最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「待ってよ、沢田ちゃん!オレもボクシングやめたからさ!一緒に他探そ他!」
「……いや、私は別に新しいこと探してないんだけど。」
「仕方ねーから最後まで付き合ってやれ。どうせ最終的に行き着く場所でギブアップするだろうしな。」
「……何企んでんの、リボーン?」
「別に企んでねーぞ?オレは頼まれたことをやってるだけだしな。」
「?」
ボクシング部の部室から離れて学校の敷地内を歩き続ければ、ロンシャンに追いつかれる。
まだ一緒に行動を取るのか……と少しだけ呆れてしまったが、何やらリボーンは考えを持って行動を取っているらしいし、これは最後まで付き合うのが正解のようだ……。
……頼まれたって、誰に何を頼まれたんだこのお目付役は。
「やっほ〜!!奈月ちゅわ〜〜〜〜ん!!」
「うわっ」
そんなことを思っていると、聞き覚えのある声が鼓膜を揺らす。
すぐに視線をそちらへと向けてみれば、やはりと言うかなんと言うか、シャマル先生ことDr.シャマルの姿がそこにはあった。
「たはは……会った瞬間うわっは流石におじさんでも傷つくんだけど……?」
「それはすみません。反射的に口から出てました。」
「相変わらずね……。」
完全に反射ですと返せばシャマル先生は苦笑いをこぼす。しかし、すぐにその表情はなくなり、いつもの怠そうな、それでいて穏やかな笑みを浮かべ、一瞬、私の背後へと目を向ける。
「何か新学期だからって理由で新しいことを始めようとしてる同級生に付き纏われてるんだってな。リボーンからメールで教えられたぜ。」
「え?リボーン……そんなことしてたの?」
「ああ。ナツが早めに仕事に移れるように根回しをしておいたんだ。ここの他に、あと一つ声をかけておいたぞ。」
「そっか。」
こっそりと根回しをしていたリボーンに少しだけ驚く。
でも、正直言っていくつか候補を挙げてくれたら効率は上がるし、虱潰しに彷徨かなくていいから助かった。
「ありがとう、リボーン。」
「女の負担を減らすのは男として当然のことだぞ。特にナツはいつのまにか抱えて、それを黙ってることが多い女だからな。
先回りして準備しておくくらいがちょうどいいと思ったんだ。」
「なるほどね……。いつのまにか負担を抱えて黙ってる……否定はできないな。」
「やっと認めたか。」
「まぁね……」
「全く……。これからはオレのことも頼るように甘やかすからな。」
「それは元に戻ってからにしてもらえる?いくら精神は本来のものでも、今のその姿じゃ、絵面的にやばいから。」
「………チッ……本格的になんとかできねーか考えるべきだなこれは。」
こちらの軽口を聞き、リボーンが若干拗ねたような反応を見せる。元に戻ってからにしろ、と言う言葉がぐさっときたようだ。
微妙な反応を見せるリボーンに、小さく笑い声を漏らす。それが気に入らなかったのか、リボーンは私の肩に飛び乗り、ペチッと軽く頭を叩いてきた。
まぁ、かなり力を加減されているのか、小さな衝撃を受ける程度で痛くはなかった。
「おーい……目の前で愛を育むのはやめてくれーい……」
「「育んでない。」」
「息ぴったりかよコンチキショー……!」
リボーンと2人してシャマル先生の言葉を否定すれば、彼は軽く拗ねたような表情を見せてリボーンを睨んだ。
リボーンはと言うと、フッとドヤ顔をしてシャマル先生を見据えていた。
「まぁ、今はオレの入る隙はないと割り切るとして……だ。新しいことを始めたいと言ってるガキはそこの赤毛か?」
「はい。」
「なるほどね。んじゃあお前、保健室でバイトしねーか?オレは女子をゆっくり診てーからさ。男を診てくんね?
初心者でも問題ねーよ。男なんて骨折ってよーが熱出てよーがつばつけて帰しゃいいから。」
「それは医者としてどうかと思いますけど……」
「まともにツッコんでもシャマルだから意味ねーと思うぞ。」
「リボーンまで匙を投げるんじゃない。」
「あ、なんなら奈月ちゃんもバイトしねーか?女の子がいるとオレのモチベーションも上がるし、新学期なんだからちょっくら大人の火遊びでも……」
「シャマル。それ以上言ってみろ。例えお前でも眉間をぶち抜くぞ。」
「……怖っ……冗談に決まってるだろリボーン。いや、まぁ、5割は本気……」
「何半分本気で言ってやがんだ?」
「……………。」
……あのシャマル先生が冷や汗を流しながら何もしませんと言わんばかりに両手を挙げて降伏した。
どうやら、リボーンの殺気に当てられたらしい。私には殺気を向けられてないから、どれくらいのものかよくわからないけど、浴びたくはないな。
「っか─────!いかすじゃんこの保健のおっさん!いやーどーもどーも!トマゾファミリー8代目、内藤ロンシャンでーす!」
「……自分がマフィアだってこと、公共の場で暴露しまくっていいようなもんだっけ?」
「長年マフィアの世界に入り浸っているが、基本的にそれをやってんのは三下かマフィアにも満たねーチンピラだな。
裏の世界じゃ度々ファミリーを公言することがあるが、表ではあまり見かけねーぞ。
ヤクなんかに手を出してないとしても、やっぱマフィアってのは武器なんかも手にする組織だし、いろんな情報を抱えている分、関わった人間が一般人であろうとも危険に晒すからな。
対象のファミリーに逆恨みをしてる連中が、対象のファミリーに関わったからって理由だけで一般人を襲撃することもあるし、誇張された情報のせいで、関わったつもりがないのに、名前を知ってるってだけでひでー目に会うことも稀にある。」
「……デスヨネー…………。」
リボーンの殺気のせいで、凍りついた空気。しかし、ロンシャンはそれをぶっ壊すようにシャマル先生に自分のことを話す。
……やっぱり、ロンシャンがやってることってめちゃくちゃ危ないことじゃん。大丈夫かみんなの将来。
「お前におっさんて言われる筋合いはねーよ。それ許してんのオレ自身とレディ達だけだっつの。
話には聞いてたが、てめーがトマゾのバカボーズか。」
「やだなー。バカじゃないっスよ!」
「……えっと…………」
「バカは自分がバカってことを自覚しねーよな。」
「コラ、リボーン。そんなこと言わないの。」
とりあえず、リボーンの毒舌には注意しておき、ロンシャンの様子を見る。
かなりワクワクしているような……やってみたいと思ってるような……そんな感じがあった。
それを見て私は踵を返す。ここはシャマル先生に完全に押しつけ……コホンッ……任せて、私は恭弥さんと合流するとしようか。
「ってあれ!?沢田ちゃん!?話聞かないの!?」
「だから、私には仕事があるんだって。じゃあね。」
さっさと離れようとする私に、ロンシャンが待ってと声をかけてくる。
だけど私はロンシャンより恭弥さんを優先する立場にあるし、早めに合流して恭弥さんがしっかり休める環境を作る必要があるから、いつまでも足止めを食らうわけにはいかないのである。
さっさと恭弥さんと合流しようと視線を上げれば、ふわふわと浮きながら寝そべっていたアラウディさんがこちらに気づく。
そして、ある方角を指差して口をぱくぱくと動かした。読み取れた言葉は“雲雀恭弥ならあっちにいるよ”の一言。
うん、ジョットさん達から読唇術のコツを教えてもらって正解だったな。
そう思って移動を再開すると、どこからともなく銃声が聞こえてきて、先程までいた保健室の方から、誰かが倒れ込む音が鳴り響く。
「え!?」
慌てて保健室の方へと目を向けてみれば、そこには倒れたシャマル先生の姿があった。
まさかと冷や汗を流し、じっとシャマル先生の方を見つめていると、先程の了平さんのように、パーカーのようになったがわを脱ぎ、パンイチの姿になった彼が現れた。
「もうお先真っ暗コゲ、過去も真っ暗コゲ……」
……うん。とりあえず一言言っていい?
成人男性のパンイチ号泣は流石にキッツイ!!!!
「……あれ?」
ドン引きして硬直していると、ふわりと視界が真っ暗になる。
体全体が布にすっぽりと覆われるこの感覚……それに、この匂いは……。
「……ジョットさん?」
『ああ。流石に女性が見るにはアレ過ぎる光景だったのでな。一先ずマントの中にお前を隠した。
トマゾファミリーのことは、早くにマフィアを離れたオレにはよくわからないが、特殊弾の効果を考えれば女性がいる中で撃つようなものではないだろうに……。
何を考えているんだ、あのトマゾの教育係は。トマゾの小僧があらぬ発言をしようとした時、止めていたからモラルはしっかりしていると思っていたのだがな……。』
『こればかりはプリーモに同意ですね。流石に中年男のパンツ一丁姿はキツイ以外のなにものでもありませんし、女性が見るべき姿ではありません。
ボクシングをやってる笹川了平や、学生のそれは、まぁまだギリギリ問題はない……かも知れませんが。』
『だな。ジョットの判断は正解だ。あんなもん見せるもんじゃねー。』
「……たまに、ジョットさん達って意見の一致が発生するよね。度々ギスってるのに。」
『『こればかりは同意見が出ないと頭を疑うな。』』
『ですね。むしろ否定的な意見ではない方がおかしいですから。』
「……なるほど。」
どうやら私は、ジョットさんのマントの中にすっぽりと仕舞われているようだ。
まぁ、彼らが視えるのは私だけだし、最近は霊体状態のはずなのに実会ったばかりの時のような半透明状ではなく、マジックミラーみたいな状態になってるもんなぁ。
こう言う時、この特性は本当に助かる。周りには私が見えているけど、私は周りが見えないから、真っ直ぐとパンイチのシャマル先生を見ても、私の視界には映り込まないし。
「ちくしょ─────……王妃に手を出すんじゃなかったぜ……。そーすれば、2062股をかけたぐらいで国際指名手配なんてことには……!!」
『『「バカなのか………?」』』
『完全に女性の敵じゃないですか……。ナツキ。あの変態オヤジに二度と近寄ってはいけませんよ。あなたの教育に悪過ぎます。』
『テメェもナツキの教育に悪いだろうが。』
『何ですって?』
『G。D。喧嘩なら他所でやってくれ。』
『本当のことしか言ってねーよ。』
『あなたの右腕が勝手に突っかかってきているだけですが?』
『んだと……!?』
「……Dさん。Gさん。ストップ。ただでさえ中年のパンイチと胸毛が一瞬視界に入り込んで気が滅入ってるんだから、これ以上わたしの気力にダメージを与えないで。疲れる。」
『……悪い。』
『すみません、ナツキ。』
『……何でオレの話は聞かないのに、ナツキの話は聞くんだお前達は。』
ジョットさんが軽くショックを受けている気がするが、それに関して今はツッコまず、シャマル先生の気配がある方へと視線を向ける。
多分、変な方向は向いていないはず……。見えないからちょっと不安だけど。
「誰だ!オレを詐欺師なんて言う奴は!!オレはいつだって純愛だ!!みんな平等に愛してんだ!!」
「……シャマル先生の話、これ以上聞かなくていいかな?」
『いいと思うぞ。』
『むしろさっさとスルーしても問題がないレベルですよ。』
『もうこっから離れるか、ジョット。』
『ああ。行くぞ、ナツキ。そろそろ雲雀恭弥と合流した方がいいだろう?』
「うん。」
擁護のしようがないと判断した私は、ジョットさんのマントの中で体を反転させる。
するとジョットさんが私をマントの中から出して、背後を振り向く必要はないと言わんばかりに肩を抱いて歩き始めた。
「く─────っ!!言葉が胸に刺さってくるよ……!!ここでバイトしようよ沢田ちゃん……!!」
『『『「どこが胸に刺さった?」』』』
『……一部始終見ていたけど、明らかに向こうにしか落ち度がないし、2062股をしていたなんて発言をしてる変態がいる場所に、女のナツキを置けるわけないよね?』
『当たり前だろ。』
『当たり前です。』
『置ける奴の神経を疑いたくなるぜ。』
先程まで空中に寝そべってふわふわしていたアラウディさんも合流し、いつものメンバー全員で口を揃えてツッコミを入れたあと、私はさっさとこの場を立ち去る。
流石の私でもシャマル先生の嘆きはフォローできないししたくない。女好きも極めたらここまで行くのかといろんな意味で感心はするけど、肯定も擁護もするつもりはない。
背後から、いずこへ!?なんて叫び声が聞こえるけど無視無視。
さっさと恭弥さんに合流しよ。
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保健室の前から離れ、校舎間を繋ぐ廊下近く。真っ直ぐとそこまで歩いていると、ゆらゆらと学ランを揺らしながら歩く恭弥さんの姿が見える。
何やら生徒を1人引きずってるようだけど……まぁ、風紀を乱す行為でもしたんだろう。
「恭弥さん!」
「やあ、奈月。少しは息抜きできたかい?」
「!あ……もしかして、恭弥さんですか?リボーンに何か頼んだの……」
「うん。赤ん坊に、仕事に入る前に奈月に息抜きをさせてきてって頼んだよ。
見ての通り、ちょっとだけやらないといけないことがあったからね。応接室で待たせるよりは、気分転換がてら、散歩してもらう方がいいと思ったんだ。
この後は今日中に仕上げないといけない仕事に取りかかることになるから、ゆっくりできる間にしっかり休んでもらいたかったから。」
「そうだったんですね。ありがとうございます。いい時間潰しになりました。」
そんなことを思いながら恭弥さんに駆け寄れば、彼は引きずっていた生徒をその場に捨て、私の元へと歩いてくる。
……容赦なく捨てたなこの人……と少しだけ生徒に同情してしまったが、まぁ、いいか。どうせ違反者だし。
「沢田ちゃん!オレもバイト断っちった!せっかくなら一緒にできることがいいもんね!」
「……まだくんの………?」
『こればかりは……諦めた方がいいかもな……。』
『まぁ、どうせここでピリオドが打たれそうですしね。相手はあの雲雀恭弥ですし。』
『確かに言えてんな……』
『痛い目に遭うだろうね、彼。どうでもいいけど。』
呆れが辺りに満ちる中、ジョットさん達が視えないロンシャンは私の方に駆け寄ってくる。
恭弥さんと合流できたし、さっさと仕事に入りたいんだけど。賑やかな奴を相手にするのはいつも以上に気力を使うから離れたい。
「赤ん坊から連絡が入ってきたけど、君、風紀委員に興味があるんだってね。」
「え?」
「3つ目の候補だぞ。」
「どう考えても用意すべきカードじゃない。」
そんなこと考える中、打ち明けられた最後の新しいこと候補に引きつった笑みを浮かべる。
ロンシャンみたいなちゃらんぽらんが風紀委員になれるとは思わないんだけど。
「おっ!風紀委員いいじゃん!沢田ちゃんも所属してるんだよね?いやー、どもども!トマゾ8代目、内藤ロンシャンでーす!」
こっちの困惑などつゆ知らずのロンシャンが、恭弥さんにハイテンションで話しかける。
よくそのテンションで恭弥さんと話そうと思えるなと、ロンシャンの思考回路のバグにツッコミを入れたくなったが、ツッコんでさらにめんどくさいことになるのは避けたいため、あえて視線を向けるだけにとどめることにした。
これまでの流れを考えると、そろそろあの背高のっぽがやらかすと思うんだけど……そう思った矢先、遠い位置から銃声が聞こえてきた。
しかし、放たれた弾丸は恭弥さんに届く前に、恭弥さんのトンファーによって弾かれる。
「……何のマネだい?殺し合いするなら気軽に言ってくれたらいいのに。」
その瞬間、周りの空気が重くなる。原因となっているのは恭弥さんの殺気で、ロンシャンにそれは向けられていた。
なぜ、ロンシャンにそれが向けられているのか判断できたのかと言うと、明らかに殺気を向けられている時の刺々しいような、ビリビリと痺れるような、そんな感覚を私は感じ取れないからだ。
同時に、恭弥さんの視線はロンシャンの方に固定されているため、自分には殺気が向けられていないと判別することができた。
『……あのマングスタとか言うトマゾの教育係、かなり焦っていますね。』
『そりゃそうだろ。特大地雷を踏んづけて爆発させた結果、自分のボスを危険に晒したんだからな。』
『……トマゾの8代目は殺気に気づいてないみたいだね。ノーテンキなのかバカなのか…………。』
『……あの8代目の小僧……ボスとしてやっていけなくないか?それ。』
「……殺気の読み方とか感じ方くらい教えておかないとダメでしょ背高のっぽ。」
『『本当にな。』』
『……2代目のボンゴレとかなり激しくやり合っていたトマゾの2代目の子孫がこれとは……。奈月を見習いなさい、奈月を。』
『……奈月は特例だから、見習うこと自体できないと思うけど。』
『……言われてみればそうですね。奈月はかなり特別な子でした。ですが、特例ではないにせよ、殺気の感じ取り方や戦い方、その技術の向上とそれらを身につけるための勉学は最低限必要では?
2代目の守護者として生活していた時、トマゾの2代目はボンゴレの2代目とほぼ互角の技術力を持ち合わせていたんですよ?
戦闘センスも悪くなく、頭もそれなりによかったのに……いったいどこにそれらの能力を置いてきたのやら……。』
『2代目のことは知らないけど、君がそこまで言うってことは相当だったんだ。』
この状況を作り出してしまったマングスタと、危険に晒されているにも関わらず理解できてないような反応をしているロンシャンを見て、初代組が呆れとバッシングを口にする。
特にDさんは、2代目のボンゴレと互角に渡り合っていたトマゾの血を引いてるはずの8代目へと大きく失望している。
2代目のトマゾの子孫だからこそ、私の成長のために多少は張り合いを見せてほしかったのに、完全に期待を裏切られてしまつまた……と言ったところだろうか。
うーん……まぁ、なんにせよ……だ。
「……内藤の家庭教師……内藤を甘やかすことしかしてないし、モンペ気味になってるから、教えなかったんだろうなぁ……。」
『『『あり得そうだな………。』』』
『ちょっと……私まで納得してしまったじゃないですけど?どうしてくれるんですかナツキ。』
「知らないよ……。」
ロンシャンは……うん……多分、マフィアのボスに向いてないんじゃないかな……。
まぁ、私も向いてるかと問われたら、わからないとしか言いようがないんだけど。
『あ……』
「ん?」
私って、ボスについているのかいないのか……と首を傾げていると、アラウディさんが小さく声を漏らす。
同時にその場には銃声が響き渡り、程なくしてロンシャンがいる方角から倒れるような音が聞こえる。
「は?」
まさかの事態に驚いて、背後を振り返ってみると、そこには倒れているロンシャンがおり、パーカーのようになった体のジッパーをゆっくり開いて、中からパンイチのロンシャンが姿を現した。
「お先真っ暗コゲ……過去も真っ暗コゲ……。」
「ええ………?」
ロンシャンに嘆き弾を使用することで、恭弥さんの同情を煽ろうとしていることがわかってしまい、正気か……?と一瞬頭を疑う。
恭弥さんに同情煽り戦法が効くわけないだろうに……。
「テルミ!!なぜ着信拒否なんだ!!?」
「あ、フラれた側なのね。」
嘆きの第一声を聞き、思わず素で言葉が出てきてしまった。
まぁ、あのちょっと太ましいお嬢さん、ロンシャンに自慢される度に表情を曇らせていたと言うか、口外される度にちょっと鬱陶しがっていたしなぁ……なんて、昨日までの様子を考えていると、もう1発銃声が聞こえてきて、私の方目掛けて空を切る何かが飛んでくることに気づく。
一瞬の判断で、恭弥さん同様、腰に提げていたトンファーを取り出してそれを叩き落とせば、キンッと軽い音を立てながら一つの弾丸が地面に転がった。
「奈月。怪我はない?」
「問題ありません。掠ることもなかったので無傷ですよ。」
「そう。ならよかったよ。」
私が無傷であることを把握し、穏やかな笑みを見せる恭弥さん。しかし、すぐにそれは草食動物を狩ろうとしている獰猛な肉食獣のような加虐性を宿す笑みへと切り替わり、鋭い視線が嘆き弾により落ち込んでるロンシャンへと向けられた。
「僕だけじゃなく、奈月にまで何かしようとするなんてね。確か、あれって君の連れだっけ?」
「……へ!?」
話しかけられたロンシャンが、意識をハッとさせて恭弥さんへと視線を向ける。
しかし、顔を上げた瞬間視界に入り込んだ恭弥さんの表情を見ては、だらだらと冷や汗を流し、一歩、また一歩と後退していく。
「まぁ、誰がどうかなんでどうでもいいか。まずは君から消してあげるよ。」
「え、ちょ、ま、沢田ちゃ─────んっ!!!」
私に助けを求めるように手を伸ばすロンシャン。私はそれに応じることなく手を合わせた。南無。
『ヌハハハ!!見ましたかあのトマゾの教育係の反応を!!奈月がトンファーで弾丸を弾いた瞬間、目をひん剥かせる勢いで見開きましたよ!!ボンゴレも防げるのかなど何を当然のことを言ってるのか!!
私の奈月にお宅のおバカなボスが敵うはずがないでしょう!!これだけの差がありながら自信満々に張り合おうとするとは、なんとも恥ずかしいものですねぇ!!』
「……いや、Dさんどうした。」
『もう愛弟子を自慢したがりな師匠バカになってない?このヘンテコ果実頭。』
『言ってやんな、アラウディ。』
『Dにとってナツキは心の底から気に入っている愛弟子だからな……。そんな弟子が弾丸の効果であられもない姿を晒されそうになったことに腹が立って爆発したのだろう。』
『まぁ……正直言って、僕も海に沈めたくなったけど。』
『オレも空の彼方に打ち上げてやろうかと思ったぜ。』
『ついでに言うと、オレも地面に叩きつけてそのまま埋めたくなった。あの弾丸は、いろんな意味で女性に使っていいようなものではないな。』
『つか、D……てめー勝手にナツキを所有物化すんじゃねぇ。』
容赦なく恭弥さんにフルボッコにされているロンシャンの断末魔を聞きながら、被害をもらわないように初代組4人と一緒にススス……と恭弥さんから距離を取る。
……なんだろう。距離を取ってる間、私のすぐ側で史上初と言っても過言じゃない出来事が起こっているような気がする。
比較的穏やかな分類のはずの初代組が真顔で毒舌を吐いてる上、沈めたいとか埋めたいとか恐ろしいことを言ってる。
「こっちは終わり。奈月。先に応接室に向かって書類をまとめておいて。僕はあっちの方も済ませてから合流するよ。」
「わかりました。」
恭弥さんの指示を素直に承諾すれば、彼は私の頭を優しく撫でたあとさっさとマングスタがいた方角へと歩いていく。
あの人のことだから、ロンシャンがボッコボコにされて黙って逃げることはないと思うけど、まぁ、鉢合わせたら最後、ロンシャンと同じようにボッコボコにされるんだろうなぁ……。
「……応接室に行くか。」
「その方が良さそうだな。ロンシャンは放っとけ。どうせあいつらが回収すると思うしな。」
「そうだね。そうしようか。」
さて、今日はどれぐらい応接室に仕事があるのかなー……。
沢田 奈月
トマゾの行動にマジかよ……とドン引きしながらさっさ応接室に退散したボンゴレ10代目。
このあと雲雀が合流するまで応接室で書類を整理していた。
リボーン
奈月の負担を減らすためと、強制的にロンシャンを離脱させるために風紀委員にも話を持って行っていたお目付役。
雲雀が戻るまでは応接室で奈月と一緒にいたが、彼が合流したあと退散した。
雲雀 恭弥
自分だけでなく奈月にも攻撃を放ったロンシャンの部下にかなりキレた風紀委員長。
ロンシャンを病院送りにしたあと、マングスタも病院送りボッコボコにしてスッキリしてから奈月が待つ応接室に戻った。
D・スペード
ボンゴレの2代目と激しい命のやり取りを行ったトマゾファミリーの子孫と聞き、奈月の成長のための糧にしてやろうと踏み台にする気満々だったが、あまりにも情けない8代目ロンシャンに幻滅して切り捨てた幻術士。
切り捨てを決定したあとはトマゾ如きが奈月に敵うはずないだろうと笑い飛ばした。
ナツキ?彼女は私の愛弟子ですが?状態に突入しつつある。
初代組
オレ/僕達のナツキになんてもの撃ってるんだ?怒怒怒怒(それぞれの武器を装備しながら)
内藤 ロンシャン
多分、今回の話の一番の被害者。奈月と仲良くなりたかっただけなのに、容赦なくフルボッコにされた上、見捨てられたトマゾの8代目ボス。
このあと病院に送られてしばらく入院した。
マングスタ
ロンシャンがフルボッコにされる姿を見て慌てて駆けつけたが、「そっちからきてくれたんだ?助かるよ」と殺気マシマシ、怒りマシマシ、殺る気マックス天元突破な雲雀と鉢合わせてしまい、容赦無く地面に沈められた。
ボンゴレには手を出さない方がいいと痛い程(物理)理解したので、しばらく大人しくなる。
ロンシャン同様、しばらくの間、病院に入院した。
Dr.シャマル
嘆き弾の被害者その②。しかし、擁護もフォローする価値もなしと奈月や初代組、リボーンから切り捨てられたため、特殊弾の効果が消えるまで放置された。
IFとして読みたい話はありますか?
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継承済ナツがツナの世界線に飛ばされる話
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ナツとファミリーがツナ世界側に飛ぶ話
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もしもナツがツナの姉だったらIF
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ナツと小説軸面子の個別恋愛ストーリー