最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「ここが母屋だよ。さ、どーぞ!」
内乱で大騒ぎの敷地内を通り抜け、たどり着いたトマゾファミリーのアジトの母屋。
Dさんin仔猫こと仔猫のスペードを肩に乗せながら訪れることとなったその場所は、かなり立派な建物だ。
「ほう……トマゾの割にはなかなか立派な母屋ですね。私がトマゾを見た時は、こことはまた違った雰囲気の屋敷でしたが、あれと同じくらいいい屋敷ではありませんか。
これだけ立派な屋敷を抱えることができる癖に、このボスは何なのでしょうね?内乱を止めるくらいできるようになっておかなくては、これから先絶対に生き残れませんよ。」
「めちゃくちゃ辛口評価を口にするじゃん……」
「事実しか言っておりませんが?」
ハルや武が屋敷を見上げ、すごいすごいとはしゃぐ中、私の肩に乗る仔猫のスペードがハッと鼻で馬鹿にするように笑いながら、むすっとした表情を見せる。
何であの2代目の子孫がロンシャンみたいな子を生み出したんだと本気で残念に思っているようだ。
私にはてんで理解できないけど、Dさんにとっては悪い方向で予想外過ぎる子孫だったことが痛い程にわかる。
彼って失望したらとことんズバズバ言うタイプなんだな、と思わず苦笑いをこぼしてしまった。
「沢田ちゃん!こっちこっち!オレの部屋案内するよ!」
ここまでDさんが失望するってことは、2代目と争った時のトマゾは本当に強くて凄かったのさ……と仔猫のスペードを撫でながら考えていると、ロンシャンが自室に案内すると言って母屋の中へと入っていく。
とりあえずついて行くかと屋敷の中へと足を踏み入れてみれば、内乱状態の外とは違い、かなり静かな内部だった。なかなかの温度差である。
屋敷の作りは和風だっただけあり、やはりと言うか木材建築だ。立派な日本庭園のような中庭もあり、穏やかな時間が流れているようだった。
「何度言ったらわかるんだカス!!Cマイナーはこうだろ!?てめーはボーフラか!?
「ひぃ!?ごめんなさい〜〜!!」
こっちの方は静か目で割と落ち着く……とか思っていると、すぐ近くの部屋から怒鳴り声と、何かを殴りつける音、そして、誰かの謝罪の声が聞こえてきた。
驚いてその部屋の方へと視線を向けてみると、そこにはロンシャンのファミリーとして紹介されていたギタリスト、ルンガと、見たことがない少年と思わしき男性が1人いた。
「
泣きながらルンガに謝罪をしている少年の頭にはたんこぶが一つ。先程聞こえてきた殴打音は、彼がルンガに殴られた音だったようだ。
畳に涙を落としながらうずくまっている少年に、大丈夫か……?と心配の眼差しを向ける。
しかし、私達が覗いていることに気づいたらしいルンガが、スン……とした真顔でこちらの方へと足を運んでは、一つ頭を下げたのち、襖を勢いよく閉めてしまった。
「ルンガの奴、やっと心を開けるバンド友達ができたみたいなんだよね─────。
今まで友達を作ってるところなんて見たことなかったから、やっと視野が広がったかと思うと、ボスとして喜ばしいよ!」
「……あれって友達って言うか……鬼上司……」
「しっ。ナツキ。深くツッコまない方がよろしいかと思いますよ。めんどくさいことになりそうですし、何よりこんな脳内お花畑のニワトリ小僧には何を言っても無駄です。」
「辛辣〜………。」
Dさんのやまない毒舌に、表情はただただ引き攣るばかり。
うん。細かくツッコむのやめよう……。何が擦り減っていきそうだし。
「よっし、とうちゃーく!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!マイルーム!!」
意識を遠くへと向けながら歩いていると、ロンシャンから自室に着いたことを告げられる。
しかし、視界の先に映り込んだのは、お世辞にも自室とは言えないレベルの酷さだった。
辺り一面にあるのはゴミやら何やらが混同している何か。もはやゴミ屋敷としか言えない程、散らかりに散らかっている部屋だった。
「はひ─────………」
「えーっと……これはちょっと予想外だったな……。」
「ブタ小屋かよ。」
「……自室ってゴミ捨て場を示す言葉だったっけ?」
「そんなわけないでしょう。と言うか酷すぎませんかこれ?片付けもできないとか、ボスになったあと書類とかめちゃくちゃになりますよ絶対。」
普段は何でも笑ってすますあの武ですらドン引きする程に、この部屋は酷いようだ。
まぁ、男子でもここまで散らかすことは普通ないもんね……。女子だったらさらにありえないレベルだし。
「……10代目。これって確か、コンビニ弁当とかに付いてる醤油っスよね?前、少し体調を崩されていた時、弁当を作ってこれなかった10代目が買ってた弁当にもついていた気がするんスけど。」
「そうだね。隼人が小型爆弾と勘違いした時はどうなるかと思った。」
「ちょ!?それは言わないでください!あの時散々10代目に笑われて以来トラウマなんスよ!?」
「あはは!ごめんごめん。あまりにもおもしろ可愛くてね。」
「おもしろ可愛いって……!!」
顔を真っ赤にしながらワタワタする隼人の姿を見て、頭が痛くなる現状を少しだけ和らげる。
とは言え……これ程酷いとはね……。しかも、箱いっぱいに入ってるし、いったいいつから貯めてるんだこれ?
「内藤。何でこんな大量に弁当の醤油を?」
「え?あ、そっか!沢田ちゃんは女の子だから、あんまりこう言うことしないよね!
男子って割といろんなもの集めたりすんのよ!ミニカーとかラムネに入ったビー玉とか、お菓子が入ってたケースとかさ!
これらもそんな感じで、こっちが弁当の醤油でこっちが紅しょうが!こっちは使い終わった乾電池!
この箱いっぱいにあるのは商店街の福引券で、オレの命だよ!」
「……集める?」
「うーん……オレは集めねーかな。」
「オレも集めませんよ。つか集める必要ないっスね。いらねーもんは即行捨てます。」
「オレもどっちかって言うと、いらねーもんはさっさと捨てるタイプだな。置く場所もないし。」
「………集める人いないみたいだけど?」
「あれ!?普通は集めない!?オレだけ!?」
「ゴミを集めるのはお前だけですよ。ボスならばもう少し身の回りとかちゃんとしなさい。これじゃあ、ただの幼児じゃないですか。」
Dさんの言葉に思わず頷く。
あまりにも汚いと、不潔な人と思われて人が近寄らなくなるぞ……。
私みたいな女子とも連む気でいるなら、もう少しちゃんとしろと言いたくなる。
こんな人と仲が良いとか言われたくないな。自分までゴミ屋敷に住んでると思われそうだし。
「ランボ。イーピン。走り回らないようにね。これだけものが散乱していると、君らが怪我をしてしまいそうだし。」
「はーい!オレっち走り回らない!」
「─────!」
とりあえず、ランボとイーピンには走り回らないように先に注意しておく。
私の言葉を聞いた2人は、すぐに元気よく返事をしたのち、部屋の中にあるものを見渡し始めた。
あ、ランボが重なってる箱の上に……ぐらぐら揺れてないから、崩れる心配はなさそうだけど、警戒はしとかないとな。
「ん〜?ナツ〜!ここに変な壺があるもんね!」
「変な壺?」
いざと言う時のために、ランボの近くへと足を運んでいると、彼は何かを見つけたようだ。
変な壺……と言っていたけど、はて……?
「あー……これは壺ってよりはかめかな?」
「なんか少しだけ匂いますね。」
「となると………内藤。もしかしてぬか漬けでも作ってんの?」
「おー!よくわかったね沢田ちゃん!そそ!それはオレのマイぬか床ね!手間は結構かかるけど、できた時めっちゃうまいんだよー!今度沢田ちゃんにも分けてあげようか?」
「いや、気持ちだけで嬉しいよ。でも、君が食べるために作っているんだから、自分で食べな。こっちに気遣いとかしなくてもいいからさ。」
中学生でぬか漬けを作るって渋いな……と言う感想は口にすることなく、ぬか漬けはわけてくれなくてもいいことを伝える。
こう言っちゃなんだけど、こんなゴミだらけの部屋にある食べ物は食べる気にならない。
衛生管理が上手くできていなさそうな部屋にあるものを食べたいかと言われたら、絶対にノーとしか言えない。
「ん?なんだ内藤。お前、菊桃桜のファンなのか?」
本当にいらない?と聞いてくるロンシャンに、いらないから大丈夫だよと返していると、武が彼に話しかける。
武に声をかけられたロンシャンは、すぐにキョトンとした後、へらっと笑い口を開いた。
「まっさかー!ファンってわけじゃないよ!それは……あ……」
しかし、開かれた口はポスターの説明を行われる前に閉じられる。
ロンシャンの視線は私の方に向けられており、彼は無言でこちらを見つめたのち、少しだけ考え込むように視線を泳がした。
「えーっと……なんつーの?男の嗜みっていうか、そう言うものを悟らせないようにするためのカモフラージュって言うか……。」
「???」
「とと、と、とにかく!ファンって言うわけじゃなくてさ!なんつーか、言わばオレの大事な宝物を隠してるんだよ!
だからまぁ、その、気にしないでって話ね!あはははは……」
顔を青くしながら、なんとか言い訳をするロンシャンの姿に、私とリボーン以外のメンバーが首を傾げる。
私とリボーン、それとDさんは、彼が言ってる言葉の意味を理解していたため、無言スルーを決めることにした。
「トサカ頭の宝物ー?」
「そ!だから誰も見ちゃダメだよ!」
「オレっち気になるもんね!宝物見せろー!」
「……ダメだよ、ランボ。ランボだって見られたくないものがあるでしょ?」
「……あるもんね。」
「それと同じ。人には見せたくない、自分だけが独占したい宝物だって世の中にあるんだから、見せろなんて言ったらダメだよ。」
「んー………はーい、わかったもんね。」
そんな中、ランボがそれを暴こうとしたため、私は彼に注意する。
私の言葉を聞いたランボは、ちょっとだけ不満そうな表情をしたけど、自分が嫌がることや、嫌われてしまうようなことはやったらダメだとしっかり言い聞かせていたため、ロンシャンのアレが見つかることはなかった。
「さ、沢田ちゃ〜ん!マジありがとう!また2時間くらい正座でマングスタの説教を聞かされるところだったよー!」
「……全く。ちゃんと目につかないようにしとかないとダメだろ。」
「うん……次からはそうする……」
……どうやら、あの時マングスタからコッテリと怒られていたらしいロンシャンから、感謝の言葉を述べられる。
ジト目でそんな彼を睨みつけながら、もう少し考えて物を片付けろと肘で小突けば、シュンとした表情でこっちの注意を素直に聞き入れてくれた。
そのことにやれやれとため息を吐き、肩をすくめる。しかし、すぐに私はこの部屋にある一つの気配を感じ取り、その方角へと視線を向けた。
「……ところで、部屋の真ん中辺りに人の気配があるけど、そこに誰かいるの?」
「え!?」
「聞こえてるなら出てきてもらえる?さっきから気になってしょうがないんだよね。」
気配を感じると口にして部屋の中央へと呼びかける私に、ロンシャンが驚いたような表情を見せる。
しかし、私はそんなロンシャンなど気にすることなく、部屋に話しかけ続けた。
その瞬間、揺れ動く中央の山。程なくして崩れ落ちたその中から出てきたのは、1人の大きな女性だった。
「ん〜……何〜?お客さんきてんの?だったら起こしてくれたらよかったのに。」
その女性は少しだけ目をこすりながら、ロンシャンに目を向けて起こしてくれたら……と口にする。
「あれ!?さなっぴ、まだ寝てたの!?あ、紹介すんね!オレの新恋人のさなっぴだよ!おねむかわい───さなっぴー!!」
「……また恋人変わったの?」
「フラれやすいのか、それとも惚れっぽいのか……。まぁ、ナツキに惚れないだけマシではありますかね。」
ロンシャンの新しいこ恋人と言う言葉に困惑する。
なんでこう、出会す度に恋人が変わっているのか……。
「あ、やべ、バイト。」
「自然な寝グセ完ぺキー♡」
「……多分、変わった女の子に惚れっぽいんだな。」
「そうとしか思えないですね……。」
バイトに向かうために部屋をさっていくさなっぴと呼ばれた女の子を見送りながら、Dさんとロンシャンの恋人変わりまくり問題を議論する。
結果、ロンシャンは変わった女性……個性的な女性に惚れやすい少年と言う結論に至った。
まぁ、どんな女性でも愛することができると言うのは、ある意味で誰でも受け入れることができる人の良さを体現していることになるし、ボスらしい個性と言えるのかもしれない。
……まぁ、私は行き当たりばったりの人をすべて受け入れることができるような器用さも自信も持ち合わせていないけど。
「ロンシャン君!!なんてことを─────!!」
この家、情報量が多過ぎて疲れるな……と軽く頭を押さえていると、部屋の外から怒鳴り声と、走ってくる足音が聞こえてきた。
この声と気配は、間違いなくロンシャンの家庭教師であるマングスタのものだ。
「なぜボンゴレを敷地内に入れたんですか!!奴らは宿敵ですよ!!2代目の仇ですよ!!戦争ですよ─────!!」
冷静に分析しながら、気配を感じ取ることができる方角へと目を向けてみれば、そこにはやはりマングスタがいた。
彼はいつものようにプンスカ怒りながら、ロンシャンに敵マフィアを敷地内に入れるなと注意する。
うん、常識的な反応だな……とマングスタに軽く同意して、こっちの頬に擦り寄ってくる仔猫のスペードの頭を撫でていると、怒鳴りつけてくるマングスタに対してロンシャンはキョトンとした表情を見せる。
しかし、すぐにいつものヘラッとした笑みを浮かべ、マングスタの背中を叩き始めた。
「またまあマングスタはかたいなー!沢田ちゃん達は遊びにきたんだって!」
「何?それは本当だろうな、ボンゴレ10代目!?」
ベシベシとロンシャンに背中を叩かれながらも、こちらに遊びにきただけかと言う問いかけを投げてくるマングスタ。
少しだけ考え込んだ私は、チラッとリボーンの方へと目を向ける。
彼は、どこからともなく取り出したアタッシュケースから、何かを取り出していた。
「……あれ、どう見てもマシンガンですね。」
「……ま、そんなことだろうと思ったよ。」
Dさんと一緒に、マシンガンを取り出すリボーンを眺めながら、これから起こるであろう出来事を予見する。
そして、無言でしばらく目を合わせたのち、リボーンへと静かに視線を向けた。
「……私はそのつもりだったけど、どうやらこっちのお目付役はそうじゃないみたい。」
「!!?」
私と仔猫のスペードがリボーンに視線を向けたからか、マングスタは慌ててリボーンの方へと目を向ける。
既に中の組み立ても終わり、弾丸も準備し終えていたリボーンは、両手に大きなそれらを持ちながら、マングスタの方へと視線を向けた。
「アジトの視察も終わったことだし、同じクラスにボスは2人もいらねーからな。いっちょ打倒トマゾと洒落込むか。」
「待ってましたリボーンさん!!このアジトをぶっ飛ばしましょう!!」
「ええ!?やばいじゃんやばいじゃん!!」
「だから言ったでしょう!!?」
自分達のピンチに気づき、ロンシャンが頭を抱えてマングスタがプンスカ怒る。
その姿を見たDさんは、すぐに私の肩から床に飛びおり、私の方へと目を向けて走り出した。
さっさと離れるぞと言わんばかりの視線に、やれやれとため息を吐いた私は、すぐに武達に目を向ける。
「私の指示じゃないけどごめんね?身の危険を感じたし、リボーン達ってこうなったら止めるのがめんどくさ……じゃなくて難しいから、私達は先に逃げるよ。」
「待てボンゴレ!!今めんどくさいと言いかけただろう!?」
「何のことやら?ってことで、武、ハル、ランボ、イーピン。駆けあーし!」
「はひ!?駆け足ってなん……ああああ!!待ってくださいナツさ─────んっ!!」
「何かよくわかんねーけど、とりあえず走ればいいんだな!」
「オレっち一番乗り─────!!」
「─────!!」
仔猫のスペードを追うようにして床を蹴り上げ、広い屋敷の中を駆け抜ける。
その瞬間、背後の方では爆発音と連続する銃声、それと、ロンシャン達の悲鳴が聞こえてきた。
しかし、私はそんな音や声など気にすることなく、目の前を走る仔猫のスペードのあとを追いかけ続ける。
「はひ─────!?何で急にリアル脱出ゲームが始まっちゃうんですか─────!?」
「リボーンと隼人に聞いてくれ。こればかりは私にもどうにもできない。」
「アハハハハ!!獄寺達、めちゃくちゃ派手にやってるのな!!」
「やっふー!!屋敷の中を全力ダッシュだもんね─────!!」
「─────!!」
ドタドタと廊下を走り抜けながら、武達と言葉を交わす。
私だって本当は止めたいんだけど、あの2人が武器を取り出してやる気満々になってる時って説得にかなり時間がかかるんだよね。
それに、早いところロンシャンの部屋から出たかったし、何より内乱が起こってるような場所に長居するわけにもいかない。
にしても、内乱の原因はファミリー間の意見の食い違いなのか……それともまた別にあるのか……。
なんにせよ、いつかボスになった時は、そんなものが起こるリスクを下げるために何かしら工夫しないといけないかな。
ボンゴレってかなりでかいって話だし。まとめるのにかなり時間がかかりそうな予感もするけど。
「………まぁ、意見交換は大事かな。あとは、怪しい動きがある人間やファミリーを見つけた際に、それを探るためのスパイ役も必要か。
信頼できる傘下ファミリーの幹部を集めて定期的な会議もいるかもな……。それと、ボンゴレファミリーの上層部間での定例会議も……。
うーん……やらないといけないであろうことがたくさんある……。これをこなせるように今からしっかり勉強する必要があるかな……。
一応、人の上に立ったことはあるけど、組織のトップとまではいかなかったから、学ぶことがたくさんありそうだ……。」
今回、ロンシャンの屋敷にきて、見ることができた現状を整理し、将来的に自分がやらなくてはならないことをいくつも思い浮かべていく。
うん。羅列するだけでもやることが多過ぎる。まずは自分だけで考えてみるけど、場合によってはリボーンやジョットさん達に相談してみるか……。
そんなことを考えながら、仔猫のスペードを追いかけ続けていれば、彼は一瞬こっちに目を向けた後、ついてこいと首で合図してどこかへと移動し始めた。
その後をついていけば、玄関につき、全員の靴が視界に入り込む。すぐに靴を履き替えた後、玄関から外に出てみれば、辺りは内乱による爆発音や銃声がこだましていた。
そんな中、仔猫のスペードが再びこっちだと示すように首を動かしたので、急いでその後を追いかける。
すると、内乱の影響を全く受けていない場所へと移動することができた。
「お?静かになったな。」
「ですね。スペードちゃんが安全な道のりを案内してくれているみたいです!」
「このままついていこう。慌てず騒がず迅速にね。」
某男士の言葉を口にしながら、仔猫のスペードについていけば、ロンシャンの屋敷の裏口までたどり着いた。
仔猫のスペードはそれを確認するなり軽い身のこなしで裏口の塀に飛び乗った。
そして、裏口の門に視線を向けたあと、私に視線を向け、裏口の門を開けるように合図してきた。
すぐにその合図に従って、裏口の門の扉を開ける。門の外は住宅街。トマゾファミリーに関係ある人は1人もいないようだ。
「……裏門ガラ空き過ぎるだろ。何で門番配置しないんだ内藤。」
あまりにもザル過ぎる警備に、ロンシャンはボスの自覚がないのかと呆れてしまう。
まぁ、今回ばかりは助かったけどね。
「屋敷が壊滅するのも時間の問題かな。」
「はひ〜〜〜……リアル脱出ゲーム……大変でしたぁ……。」
「仔猫のスペードがいてよかったな!」
「……そうだね。」
ぐったりするハルを横目に見ながら、武の言葉に同意する言葉を返す。
話題に上がった仔猫のスペードは、一度私に視線を向けた後、テクテクとこちらへとやってきては、再び肩の上に飛び乗ってきた。
「少しは勉強になりましたか、ナツキ?」
「それなりにね。おかげで他に何を勉強するべきかある程度まとめることができたよ。」
「それは何よりです。」
「……とりあえず、まずは組織の運営方法……リーダーとしての組織のまとめ方を勉強しようかな。そのあと、組織内の争いリスクを下げる方法とかも学ぶべきか…………。」
「では、私はそれをお手伝いするとしましょうか。組織の運営方法ならば、私も得意ですよ。
他にもできることはたくさんありますので、必要とあらば言ってください。私の知識でよろしければ、いつでも教えますから。」
ヌフフフ……と独特な笑い声を漏らしながら、ドヤ顔をする仔猫のスペードの喉元を優しく撫でれば、ゴロゴロと言う喉鳴りが聞こえてくる。
違和感が発生しないように、猫の特性をしっかりと兼ね揃えた器のようだ。
ぬいぐるみとは違い、ぬくもりを感じるもふもふ……抱っこして眠ったらゆっくり休めそうだな……。
「よし、ボンゴレの大勝利だ。」
「やりましたよ、10代目!!」
「………もうそれでいいよ。」
「……ナツキ。とりあえず私をひたすらもふります?仔猫型の器を選んだ理由、一応、あなたに癒しを提供することも考えた上での選択だったのですが。」
「……もふる…………。」
ロンシャンの屋敷を壊滅に追い込み、スッキリした様子のリボーンと隼人の姿と、今日、ロンシャンの屋敷で見たことも影響してどっと疲労を感じ、Dさんの仔猫のスペードをもふるかと言う問いかけに小さく頷き、優しくもふもふと撫でまくる。
ロンシャン達が関わると碌なことにならない……とため息を吐きながら。
この時の私はまだ知らなかった。
リボーン達により壊滅させられた屋敷を立て直すから、しばらくの間うちに泊めてほしいと言ってやってきたロンシャン達がくることを。
沢田 奈月
自分はそのつもりなかったのに、リボーンと獄寺がトマゾのアジトを破壊し尽くしてしまい、頭が痛めたボンゴレ10代目。
このあとしばらく泊めてと言ってくるロンシャン達にさらに頭を痛めることになるとは思わなかった。
D・スペード
奈月命名、仔猫のスペードを器として使って堂々と奈月と言葉を交わしていた幻術士。
実は仔猫型の器を選んだのは無理しがちな奈月に癒しの提供をするためだったので、頭を痛める彼女をこのあとひたすら癒すことに専念した。
リボーン&獄寺
トマゾのアジト吹っ飛ばせてスッキリ!
ロンシャン&側近達
奈月宅にしばらく泊めてもらうことにしたたくましいトマゾファミリー達。
山本&ハル
奈月が心配………汗