最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
船が港につき、上陸することができたマフィアランド。南の方にあるリゾート地と言うだけあって、なかなか温度が高いが、蒸し暑いと言う程のレベルではない。
「最高にステキねーっ!!」
「ひゃっほー!!」
「リゾート!!リゾート!!」
ゆっくりとした休暇を過ごすためか、かなりの人数が島の中で過ごしている。
もちろん、子供連れもたくさん存在しており、至る所から楽しむような声が聞こえていた。
「……これが全部マフィアに関係してる人達なんだからすごいですよね。」
「はは。確かにな。でも、これも所詮一部って感じだと思うぜ?割とわんさかいるからな。裏の世界の住人なんて。」
「……この場に既に私含め、11人も固まってますしね。」
「だな。」
それにしても、ここにいるほとんどの人間がマフィアだと言うのに、殺伐とした空気は一つもなく、本当に、家族や知り合い、友人達と一緒にバカンスにきてるだけなんだなと改めて思う。
もしかして、この島の中では小競り合いなどは禁止と言ったルールでもあるのだろうか?
それとも、本当にゆっくりと過ごしたいと思っているだけで、住む世界が違うだけでリラックスできる時はリラックスしたいのか……。
「このマフィアランドは、セキュリティも完璧だぞ。島は移動できる上、強力な妨害電波で誰からも察知されないようにできているんだ、
マフィアが真っ白な気持ちで休めるように、ドス黒い金を大量に注ぎ込んだからな。」
「……最後の一文がなければ、何も考えなくて過ごせるんだけどなぁ………。」
「これがリボーンだから諦めた方がいいぜ。あまり考えずにスルーすんのが、ある種のリボーンの攻略法だ。」
苦笑いをしながらポツリと呟けば、ディーノさんも苦笑いをこぼす。
経験者は語るとよく言うけど、多分、ディーノさんもこんなリボーンにずっと振り回されてきたのだろう。
「じゃー沢田ちゃん!オレ、レンコとデートだから!そっちもゆっくり楽しんでね!!」
「そうするよ。」
そんなことを思っていると、ロンシャンが私に手を振りながら、恋人さんと立ち去っていく。
それを見送りながらディーノさんと腕を組めば、彼は小さく笑みを浮かべて、私の方に体を寄せてきた。
しかし、私達は同時に背後の方に目を向ける。そこにはアヴィドファミリーのボスが、複数の若い女性を連れて歩いていく姿があった。
「……本当、厄介ですね。」
「全くだな。」
ため息を吐きたくなりながら、ディーノさんと小声会議。島はそれなりに楽しみにしていたのに、あのおじさんがいるってだけで楽しさは半減だ。
乗り合わせ悪かった……と少しだけ遠い目をしていると、リボーンの方に複数の人が走り寄っていく気配を感じ取る。
不思議に思いながら視線を移動させてみれば、そこにはマイクを持った人達に囲まれているリボーンの姿が……。
「リボーンさん。今回は記者会見は……?」
「断るぞ。」
「……………。」
マフィアの記者会見って………?と混乱する。
いや、おかしくない?リボーンってヒットマンだよね?ヒットマンって本来ならあまり表に出ない存在じゃないの?
なんで記者会見の有無を聞かれてるんだよこの赤ん坊。実際は赤ん坊じゃないんだろうけど。
「おーい、リボーン。ナツが混乱してんぞー?」
「ん?ああ、言い忘れてたな。」
思わず宇宙を背負って固まっていると、ディーノさんがリボーンに私のことを伝える。
すると、リボーンはすぐに私の様子に気づいては、テクテクとこっちに歩み寄ってきた。
「ビアンキからも聞いていると思うが、オレはこっち側ではかなり有名でな。ここの島には結構歓迎される立場にあるんだ。ホテルの方を見てみろ。」
リボーンに言われてホテルの方へと視線を向けてみれば、そこにはリボーンを歓迎するバルーンが飛ばされていた。
あまりにも目立つことをされているため、それでいいのかヒットマン……と考えていると、リボーンが私の肩に乗ってくる。
「よくできてるバルーンだろ。」
「まぁ、そうなんだけど……ヒットマンが有名でいいのか……。しかもめちゃくちゃ歓迎されてるし……」
「問題はねーぞ。仮にちょっかいかけられても、返り討ちにしちまえばいいだけの話だからな。」
返り討ちにすればいいと言って拳銃をすちゃっと取り出すリボーン。
すぐに私は銃を掴み、ヒョイっとリボーンの手元から取り上げる。
「サラッとオレから銃を取るな。相変わらずそこら辺、度胸があり過ぎるだろ。」
「だって、今は別に使うつもりなかったんでしょ?でなきゃリボーンの手元から銃なんて取り上げることができるわけないじゃん。」
銃を本気で撃とうとしてる人間の特徴や、本気と本気じゃない人間の見抜きかたは、あらかたアラウディさんから教えてもらっていた。
そのため、リボーンの力の入り方から、銃を取り上げることができるかできないかの判断はそれなりにできるようになっていた。
予想通り、今のリボーンは別に戦闘に入っていたわけじゃないから、簡単に銃を取り上げることができた。
「そう言えば銃って引き金を引かれる前にちょっと細工したら回転不良とか、不発を引き起こすことがあるって聞いたけどリボーンのコレもそんなこと起こるの?」
「一応、撃てなくすることはできなくもねーが、オレが止められるわけねーぞ。
って言うか、なんつーもんを秘密の友人とやらに教えてもらってんだナツ。そいつらの知識、かなり本格的な裏の知識じゃねーか。」
「だってその人達もマフィアに関係していた人だし。」
「……本当か?」
「うん。ああ、でも、調べても無駄だと思うよ。どうせ出てこないだろうし、万が一何かしらのデータが見つかったとしても、彼らに会うことは不可能だ。」
リボーンの銃から手を離し、小さく笑いながらそう言えば、リボーンはどことなく不服そうな表情を見せる。
リボーンであってもデータは見つからない……仮にあったとしても、当人達に会うことはできない……あらゆるスキルを持ち合わせている彼にとって、この決めつけは気に入らないようだ。
でも、私は嘘を言っていない。
データが見つからないのは、彼らは既に活動を停止しているから。
それでも断片的なデータなら見つかるかもしれないのは、彼らが初代のボンゴレファミリーだから。
そして……断片的なデータを見つけることができても彼らに会えないのは、彼らは既に死んでおり、わたしにしか視えない存在になってしまっているから……。
ほら、会えない。“わたし”かDさんが有幻覚を使った器を作り、そこに呼び込みでもしない限り。
「あ、なっちゃん!あっちを見て!」
「ん?」
そんなことを思っていると母さんから声をかけられる。母さんが指を刺している方角には真っ白な砂浜と、キラキラと蒼を反射している海が広がっていた。
「……海か。」
「ええ!早速泳ぎましょう!!」
私が海を見つめて言葉を呟けば、母さんは一緒に海に行こうと声をかけてくる。
ビアンキ姉さん達も泳ぐ気満々だったようで、どうやら服の下に水着を着込んでいたようだ。
「あとでね。ホテルに荷物を置いたり、入島手続きをしたりしないといけないと思うから。母さん達は先に泳いでなよ。」
「そう?じゃあ、私達は行くわよ?」
「ん。あ、ロマーリオさん。母さん達の付き添いをお願いできますか?特に母さんとチビ達はちょっとぽやっとしてるので、しっかりした人に見ていてもらいたくて……」
「任せてください、姫さん。ボスも姫さんと一緒に行った方がいいんじゃねーか?」
「だな。じゃあ、ナツ。一旦インフォメーションの方に行こうぜ。着いたことを知らせに行かねーとだからな。」
「はい。」
それならと、私は母さん達をロマーリオさん任せて、やらないといけない用事を済ませる。
島自体がアトラクションや施設になっているのであれば、それ相応の手続きが必要になるし、リボーンからも紹介したい人間がいるって言われてるからね。
「んじゃ、ナツ。ディーノ。行くぞ。」
「ん。」
「おう。」
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「次の方、どうぞ。」
リボーンとディーノさんに連れられて、やってきたインフォメーション。
リボーン曰く、ファミリーの代表が推薦状や招待状を提示することにより、入島手続きが終わるようだ。
ディーノさんは、リボーンに呼ばれた時に推薦状を手渡されていてたようで、それを提示することで手続きを終えるのだと言っていた。
「キャバッローネファミリーのディーノだ。これ、提示したらいいんだよな?」
ディーノさんが荷物の中から推薦状を取り出し、受付の人へとそれを手渡す。
受け付けの人はそれを受け取り、デスクの上にあるノートパソコンを操作し始めた。
「……はい。確認が取れました。ようこそいらっしゃいました、キャバッローネファミリー10代目、ディーノ様。お連れ様はロマーリオ様1人でお間違い無いですね?」
「ああ。」
「……入島手続きが終わりました。ごゆっくりとお過ごしください。」
「あ。少しだけここにいていいか?」
「?構いませんが……」
「じゃあ、ちょっとだけいせてもらうぜ。」
ディーノさんが受け付けから少し離れた位置に移動し、私の方へと目を向ける。どうやら、彼は私のことを待ってくれるようだ。
でも、私ってこのあとリボーンの知り合いに会わないといけないんだよね……。
待ってもらってもいいのだろうか……。
「ついでにディーノも連れて行くか。行くぞ、ナツ。本来なら、ボンゴレのボスとしてナツに手続きをさせるところだったんだが、今回は特別にオレが手続きをパスできるようにしておいた。
受け付けにはオレから説明するからナツは気にしなくていいぞ。」
「わかった。」
とりあえず、リボーンを受け付けまで連れて行けばいいのかな?と思いながら、次の方どうぞと言う言葉をかけられるとともに、リボーンのことを受付の方まで連れて行く。
すると、受け付けの人はびっくりしたような表情を見せては、リボーンを見つめ返した。
「リボーンさん!?どうかなさいましたか?」
「ああ。こっちにくる前に話したと思うが、今回はナツにあいつを合わせることを目的にしてきたからな。」
「ナツ……?そちらのお嬢さん……ですか?」
「そうだぞ。こいつはボンゴレファミリーの10代目ボスの沢田奈月。お目付役として、オレが今一緒に過ごしている女でな。
本来ならば、ここでナツに手続きを取らせるのも勉強の一つだと思っていたんだが、ここのガードマン連中はちと乱暴だからな。
あんまり女に打ち身とかアザとか作らせたくねーし、さっさとあいつに会わせようと思ったんだ。」
「少々お待ちください。」
リボーンの言葉を聞き、受け付けの人はどこかへと連絡を入れる。言葉の使い方からして、この島の管理人とか、受け付けの人の上司に当たる人物と話しているようだ。
一応、話は通してあると言っていたけど、念のための確認といったところだろうか。
「……島の管理管轄の方から確認が取れました。どうぞ、こちらへきてください。」
「あ、はい。」
「ディーノ。お前もついでにこい。」
「え?オレまで?」
「ナツには先に会わせねーといけねー奴がいるからな。先にホテルの方に行くかついてくるかのどっちかしか選べねーぞ。」
「マジか……。んー……じゃあ、ついて行くか。ボスになる前にもここに連れてこられた記憶あるし、リボーンがナツに誰を会わせようとしてんのか予想はついてるからな。
ナツが持ち合わせている能力面を考慮すると、オレみたいにスパルタな扱きを受けるとは思わねーけど、念のためにな。」
「あいつも流石にナツには手を出さねーと思うぞ。もしくは手を出した瞬間さっきのオレみたいにさらっと止められるだろうな。」
元師弟2人組の会話内容に首を傾げる。ディーノさんがボスになる前にも会ったことがある存在……?スパルタに扱かれた?
なんだろう。別の教育係か何かだろうか?
「あいつもオレと同じような状態になってるが気にすんなよ。」
「へぇ……ってことは、本来の年齢とは全く違う見た目をしてるんだ。他にも何人か、同じような人っているの?」
「ああ。6人程な。一応、もう1人オレやそいつらが受けたものとは別口の事情を抱えてる奴もいる。
まぁ、そこら辺は気にする必要はねーぞ。今はただ、どんなボスになるかを考えながら経験と出会いを重ねとけ。」
「ふぅん?……本当に関係ないのかな。いずれは複雑に糸が絡み、めちゃくちゃになるように、なんらかの関係が出てきそうな気もするけど。」
「さぁな。」
リボーンと話しながら受け付けの人について行くと、そこは一台の電車があった。
辺りは暗い。どうやら地下鉄の乗車口のようだ。
「こちらにご乗車ください。すぐに目的の場所に辿り着きます。」
「わかりました。」
「うわぁ……懐かしいな……。オレも前ここに放り込まれたんだよな……。」
「放り込まれた………?」
「言ったろ。ここのガードマン達はちと乱暴な奴らだってな。男ならまだ多少アザができたところで親はやんちゃしたんだとしか思わねーが、女だったらかなり慌てる。
特にナツは、性格からして自ら派手なやんちゃをするようなタイプじゃねーだろ。
風紀委員会に入ってからそれなりに変わっただろうが、そうなる前まではどちらかと言うと本とか読んで静かに過ごすタイプだったんじゃないか?」
「……まぁ、学生特有のテンションはあまり持ち合わせてなかったね。京ちゃん達と遊ぶ時も、基本的にはウィンドショッピングや食べ歩き、カフェでのティータイム、よくてもカラオケくらいしか行かなかったし、京ちゃん達と過ごしていない時は、読書ばかりしていた子供だったかな。」
「その上、ナツの趣味は菓子作りやアクセサリー作り……。そんな子供が、急にアザを作って帰ったりしたら、親は余計に心配するもんだ。
だからオレから話をつけるカタチにしたが、ディーノの時は自分で手続きをやらせたんだ。
まぁ、その時は推薦状も紹介状もねー状態で、今回みたいにスムーズに手続きはできなくてな。
その流れで今から向かう場所に文字通り放り込まれたってわけだ。」
「……Oh………」
「あの時は思い切り両側から掴まれて、容赦なく電車に投げ込まれたんだよな……。
おかげで掴まれた場所は赤くなるわ、思い切り投げ飛ばされて電車の壁にぶつかってアザを作るわで散々だったぜ……。」
苦笑いを浮かべながら、自分の経験談を教えてくれたディーノさんに少しだけ同情の眼差しを向ける。
ディーノさんの過去を通じてリボーンのスパルタさを知ることになるとは思わなかったな……。
私には本当に紳士的と言うか、あまりそう言う素振りを見せないから。
まぁ、それも多分、こっちに生まれた際におかしなくらい身体能力のスペックが上がった結果だと思うんだけど。
前世では、物事を吸収し、身につけ、実際に使える器用さはあったけど、身体能力は平均よりちょっとある程度のものだったし。
前世の物事を吸収し身につける器用さと、平均以上どころか、はるかに高い身体能力が合わさってしまい、おかしな方向へと成長してしまったものである。
しみじみとそんなことを考えながら地下鉄に乗り込めば、ドアを閉じると同時に地下鉄は走り出す。
外の景色は変わらず暗いが、トンネルの光の流れ方からかなりの速さが出ているようだ。
「これってどこに向かってんの?」
「裏マフィアランドだぞ。」
「さっきの入島手続きの際、推薦状や招待状を持ってなかったら本当にマフィアの人間かどうかを審査するマフィア審査ってのをやらされるんだが、それに失格した際、向かわされる場所なんだ。」
「審査をクリアすればそのまま島に入れるが、クリアできなかったら不法侵入と見做されちまうんだが、一度だけ再審査のチャンスを与えられるんだ。
裏マフィアランドってのは、それを行う前の準備をするために鍛える修行場みたいなもんだな。」
「あの時は本当、ふざけんなって叫んだな……。しかも、いつもの指導が倍になるし、もうくたくたになるしかなかったぜ……。」
「でも、そのあとちゃんと審査もクリアできただろ。」
「できたけど遊ぶ時間がなかっただろ!!?」
……多分、リボーンの考え方から予測するに、そもそもディーノさんに遊ぶ時間は与えるつもりはなくて、鍛える方に重点を置いたんだろう。
でも、ディーノさんからしたら散々としか言いようがないと言う。
「何と言うか……お疲れ様です。」
「オレももうちょい優しめに教えてもらいたかった……」
「男で尚且つヘナチョコな奴に容赦する必要ねーだろ。」
リボーンとディーノさんの過去を聞きながら、電車に揺られていると、地下を抜けたのか車内が明るくなる。
あまりにも眩しかったため、少しだけ表情を顰めると、リボーンが私の肩に乗ってきた。
「お、ママン達だぞ。」
「ロマーリオもいるな。」
「側から見たらどこかの奥様を守るSPと子供達を見守る奥様過ぎて、ちょっと近寄り難い雰囲気になってる。」
「言えてんな。」
「オレとしてはあと2、3人ディーノから部下を借りようと思ったくらいだぞ。
ママンは心配になるくらい人が良くて信じやすく、どっか抜けてるところがあるからな。」
「……母さん、私がボンゴレを継いで家を出ることになったり、旦那さん見つけて結婚して家を出ることになったりしたらどうするんだろう?
今はまだ、私がいるから父さんの代わりに守ってあげることができるけど……。」
「将来的な課題になりそうだな。さりげなく警戒心とか天然さを改善できるように促すことはしてみるか。」
「どんだけ奈々さん心配されてんだよ……」
「去年とかスリにあってましたよ。」
「しかも2回くらいされそうになってたよな。」
「“お子様を次世代のニューリーダーに育てます。学年・教科は問わず”とか言う明らかに怪しい広告に釣られるし。」
「おい、あれはよくできてただろ。」
「私が親だったらうわ何これ……?って捨ててたかな。」
「……力作だったのにサラッと捨てるって言われて地味に傷ついたんだが?」
裏マフィアランドとか言うどことなく物騒な雰囲気のある名前の場所へ向かっているにも関わらず、地下鉄の中で交わされている言葉は、かなり暢気なものだった。
まぁ、別に警戒する必要性はなさそうだったからね。私の場合は鍛えるのではなく、そこにいるリボーンの昔馴染みと顔を合わせると言うのが目的となっているのだから。
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移動の間、教育係と教え子の関係だったリボーンとディーノさんの話を聞いたり、適当な雑談に花咲かせたりしつつ過ごしていると、地下鉄が動きを止める。
リボーン達が言っていた裏マフィアランドとやらに到着したようだ。
「着いたな。降りるぞ、ナツ。ディーノ。」
「うん。」
「ああ。」
地下鉄のドアが開き、到着した場所に降り立ってみると、そこには荒波が揺れる海と、その荒波を受け止めるゴツゴツとした岩肌の大地が広がっていた。
それを見て私は一瞬だけ目を細める。その景色はどこか、遠くの過去のそれによく似ていた。
あの時の海は、ここまで荒っぽくなくて、かなり穏やかだった気もするけど。
「ナツ?どうしたんだ?」
「え?」
「いや、ボーっとしていたからさ。体調が悪いのかと……」
「……確かに、ちとボーっとしていたな。何かあったか?」
「……何でもないよ。表と裏でここまで海の顔が違うんだと思っただけ。本当に、何でもないから大丈夫。」
じっと海を見つめて動かずにいたからか、リボーンとディーノさんに声をかけられる。
すぐに私は何でもないと一言告げて、荒波を受け止める岩肌の岸辺に足を運んだ。
「よくきたな、コラ!名乗れコラ!」
すると、すぐ足元の方から声が聞こえてくる。視線を下に落としてみれば、そこには1人の赤ん坊がいた。
……何でこの赤ん坊、語尾がコラなんだろ?話しづらくないのだろうか。
「ちゃおっス、コロネロ。」
無言で瞬きをしていると、リボーンが目の前にいる赤ん坊……コロネロと呼ばれた存在に声をかける。
コロネロと呼ばれた存在は、すかさず視線を私からリボーンに向け、わずかな殺気を纏った。
「リボーン!!」
名を呼ぶと同時に、背中に背負っていたらしいライフルを素早く外し、容赦なく発砲したコロネロ。
しかし、リボーンは素早くそれを回避したのち、着地と同時に2発の弾丸をコロネロに放った。
「くわっ!?」
「お見事。」
「そうだろ?オレは早撃ちを得意としてるからな。」
「いや、初見だとどう見ても殺害現場だぞ、ナツ。何で平然としてんだよ……。」
気配で生きていることはわかったため、リボーンを称賛する言葉をかければ、ディーノさんからツッコミを入れられてしまった。
まぁ、ディーノさんが言ってることはもっともだし、本来ならば非難するか恐怖するかのどちらかであることも理解しているのだが、コロネロと呼ばれた赤ん坊から死んだ気配が全くしないのでどうも冷静になってしまっていると言うか……。
「ナツ。こいつが裏マフィアランドの責任者、コロネロだ。」
「だろうね。この場にいるの彼のみだし、リボーンと同じで明らかに只者じゃない気配と雰囲気があるし。
ところでいつまでひっくり返ってんの?別に死んでないんでしょ?」
「……よくわかったな、コラ!鍛え方が違うから死んでないのは当然だコラ!」
私の声に反応して、むくっと起き上がったコロネロ。
鍛え方が違うとか言ってるけど、常人じゃ鍛えても普通に死ぬと思うから、やはりただものじゃない。
「この軟弱な弾丸……間違いなくリボーンだぜコラ!」
「どでかいライフル、相変わらず趣味わりーなコロネロ。」
……弾丸に軟弱わ強固とかあったっけ?とクエスチョンマークを浮かべる。
いや、まぁ、火薬の量とか銃の本体とかで威力は変化すると思うけど、どれも一撃当たっただけで普通に死ぬよね?
「リボーンから話に聞いてるけど、君、彼の昔馴染みなんだってね。」
私じゃ想像しきることができないレベルの世界観を生きてるなこの2人……と少しだけ引きながらも、コロネロに話しかける。
すると、リボーンとちょっと火花を散らしていたコロネロが私の方へと向き直り、肯定するように頷いた。
「リボーンは腐れ縁だ。」
「オレ達は同じところで生まれて育ったんだ。」
「なるほど。確かにそれなら昔馴染み……幼馴染みって分類になるね。じゃあ、君のことを知れたし、今度は私が名乗るべきかな。
初めまして、コロネロ。私は沢田奈月。ボンゴレの10代目だよ。」
コロネロの話を聞いたのち、小さく笑いながらしゃがんだ私は、握手を求めるように手を差し伸べて、自分の立場と名前を名乗る。
私の話を聞いたコロネロは、すぐにこちらが差し伸べた手に触れ、そのまま片手で海の方へと投げ飛ばしてきた。
「おっと。」
すかさずその場にあるものを把握したのち、受け身を取りながら飛ばされた方向にあった岩に着地し、死ぬ気モードを使って強く蹴り飛ばして岸辺へと戻る。
「何!?」
こっちの行動に気づき、コロネロはライフルを構えようとしていたが、それより先に彼の前にたどり着いた私は、ライフルの銃口を勢いよく大地に叩きつけ、そのまま彼の体を蹴り飛ばした。
「ぐあ!?」
ガシャンッと言う音と共に、近場にあったフェンスに体を打ち付けるコロネロ。
抑え込んでいたことにより、足元に残されたライフルを拾い上げながら、私は吹っ飛ばしたコロネロへと目を向けた。
「小手調べだったんだろうけど、お生憎様。出は一般家系だけど、ボンゴレの10代目の話を引き受けることを決めた時からそれなりに特訓は積んでいたし、小手調べ程度で制圧することができると思わないでもらえる?」
「ナツがすごいのは知ってたけど、マジか………」
「フ……ッ……ククク……ッ……!!やっぱコロネロも初手でこうなったか……っ」
ライフルを担いだまま、コロネロを見据えていると、ディーノさんから少しだけ引いたような声が。
リボーンからは、私に綺麗に吹っ飛ばされたコロネロを笑う声が聞こえてくる。
「な……なんて女だ、コラ……。」
「フ……フフ……ッ……オレも初手でライフル向けようとした瞬間距離詰められて銃口踏んづけられたことがあるから恥ずかしがる必要はねーぞ……ッ」
「お前もやられてるくせに笑うんじゃねーぞコラ!!!」
笑いながらコロネロをバカにするリボーンに対し、コロネロは突っかかるように言葉を紡ぐ。
しばらくの間、コロネロを揶揄うリボーンと、揶揄われて怒りまくるコロネロの図が繰り広げられるのだった。
沢田 奈月
コロネロに握手を求めたら投げ飛ばされたので、とりあえず仕返しに蹴り飛ばしたボンゴレ10代目。
前世の記憶から、海に対して何かしら思うところがあるようだが、問われても口にするつもりはない。
ディーノ
初手投げ飛ばされたにも関わらず、容赦なくやり返している奈月にかなりびっくりしたキャバッローネ10代目。
奈月の隣に並ぶためには置いていかれないようにしないとと考え、仕事の合間にできそうな訓練を考え始める。
リボーン
予想通りコロネロが奈月に反撃を喰らって吹っ飛ばされた姿を見て爆笑していたお目付役ヒットマン。
ガードマンの乱暴さは、ディーノを初めて連れてきた時に把握していたため、今はまだ、奈々に心配をかけないようにするため先手を打った。
コロネロ
ボンゴレの10代目がどれほどのものか小手調べに投げ飛ばしてみたら容赦ない反撃を喰らって吹っ飛ばされたリボーンの幼馴染み。
明らかに一般人じゃない動きをしてきた少女に虚を突かれた結果、ガードはできたが回避まではできなかったし、フェンスに背中をかなりの勢いで打ち付けたのでちょっと痛かった。
こんなダメージを受けたのは久々だぜ……コラ……!