最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
主人公ちゃん、泳ぎも得意なので……汗
そう言えば、奈月の前世の方の姿と今の姿を並べた絵を描いてみました。
女の子でプリーモやツナヘアってなんかなって思い、ちょっとだけ髪型変えてみました。
決して上手いわけではありませんので、閲覧は自己責任でお願いします。
【挿絵表示】
梅雨も過ぎ、学校のプール開きも行われた7月上旬。
自宅に戻ってきた父さんは、すでにイタリアのチェデフと呼ばれる組織の拠点に戻っているが、私と母さんを心配させないようにと週に2回程連絡を寄越すようになった。
連絡するタイミングは全て父さんの仕事事情に左右されるが、基本的に日曜日には連絡を必ず入れてくる。
それを一週間のうちの楽しみにしながら、学校生活を謳歌する日々を送っている。
ある日のこと。何か飲みながら宿題でもするかと台所に足を運んでみると、何やら短冊が数枚置かれていた。
側には“願いを書いてね”と言う文字が記されたメモと、願い事を書く用のペンが置かれており、何度か瞬きをしてしまう。
「願い事……そう言えば今日は七夕か。小さい子供じゃあるまいし、別に書き記す程の願い事なんてものはないんだけど……」
少しだけ呆れながら、短冊を1枚手にする。
こんなことをしそうな人間なんて、1人くらいしか思いつかない。
「いったい何を企んでんだか……。でも、こうやって置いてあるってことは、書けってことなんだろけど……どうしたもんかな。」
ペンをくるくると回しながら、なんとか思考回路を回す。
しかし、やはりと言うか、願い事なんてものがすぐに出てくるはずもなく、少しばかりため息を吐きたくなる。
「何を悩む必要があるのですか、ナツキ?あなたの願いなど一つしかないでしょう?」
「父さんがいる間どっかに行ってた仔猫のスペードじゃないか。何を企んでたわけ?」
「企むだなんてとんでもない。ただ、一度は死んでるはずの人間が、仔猫の姿になっているなんて摩訶不思議なことに混乱しないための配慮をしただけですが?」
しれっとした態度で、私の質問に答える仔猫のスペードことD・スペード。
混乱しないためだとか言ってるけど、絶対違うだろとツッコミを入れたくなる程、白々しいものだ。
なんせこの長生き術士、父さんを見た瞬間、ゲッて言ってたからね。
混乱諸々じゃなく、何かしら父さんに目をつけられてもおかしくないようなことをやらかしたから逃げたのは明白である。
まぁ、指摘したところで何をやらかしたのか教えてくれないだろうけど。
「そんなことより」
「そんなこと言うなし。」
「ナツキの願いなど一択でしょう?さぁ、さっさと記すのです。立派なボンゴレのボスとなりマフィア界を統べるのだと。」
「勝手に願い事を決めんな。ボスは目指すけど統べるって何。全てを支配しろっての?イヤだよ。」
「何を言ってるのですかナツキ。あなたは歴代のボスの中で最もボスに相応しい女王の卵なのですよ?
それほどの能力を持ち合わせているのですから、ボンゴレに歯向かう者すらも全て服従させ、その頂点に君臨しなさい。」
「なんでさ。イヤだよそんなの。私はあくまで先祖が残したものを守ろうとしているだけであって、何もかも支配しようとしてるわけじゃないんだけど?」
「ボンゴレの女王となり、歯向かう者を誰1人として産まないことこそ、守ることへの近道です。
同時にあなたの大切なものを守ることにも繋がるのですから、支配することはこちら側の世界では有効打となり得るのですよ。
つまり、あなたがボンゴレの女王となり、裏の世界を統べることは一番効率の良い方法と言うことです。」
「言ってることは一理あるかもしれないけど、決めつけるなっての。」
「師に逆らうと言うのですか?」
「師というか毒親だわアホ。」
Dさんと言い争いをしながらも、私は手にしていたペンで2枚の短冊に文字を記していく。
実際、今の私にはこれくらいしか書けるものはない。
「“次期ボンゴレの10代目として、立派に勤めを果たせますように”……ですか。もう少し野心とか野望とか、そんなものも織り交ぜても問題ないと思いますが?」
「これでいいんだよ。」
「もう片方は、“大切な家族や友達が平穏無事に過ごせますように”……?なぜ2枚も書いたのですか?」
「……2枚用意した方がいいと思っただけだよ。念のためにね。」
書いた短冊を見つめながら、Dさんの質問に答えていると、どこからともなく吸盤のついた釣り糸が飛んでくる。
すかさずそれを片手で掴み取り、逆に糸を勢いよく引っ張ってやると、テーブルの上にリボーンが落っこちてきた。
「……いてーじゃねーか。」
「受け身取りなよ。」
「引っ張られるとは思わなくて判断が遅れちまったんだ……。」
こっちが引っ張ったことにより、ビタンッと腹から落っこちてきたリボーンに呆れながら声をかければ、彼はどことなく拗ねたような表情をして私を見上げてくる。
「はい。これが必要なんでしょ。公にマフィアのボスとか、ボンゴレの10代目とか、そんなこと言うのはどうかと思うから、2枚書いた。
もし読み上げたりするようなことがあるなら、こっちの大切な家族や〜の方を読んでもらえる?」
リボーンが油断するなんて珍しいと思いながら、手にしていた短冊を差し出せば、リボーンはすぐにそれを受け取った。
無言でそれを見つめるリボーン。しかし、すぐに私のことを見上げて口を開いた。
「……なんで読み上げるところまで想定してたんだ?」
「これまで誕生日や正月で独特な催しをしていたからね。もしかしたら七夕にも何かやるんじゃないかと思って2つ書いたんだ。
……その様子から察するに、私の考えは当たった感じかな?」
口元に笑みを浮かべながら、探偵が推理をするように言葉を紡げば、リボーンはやれやれと首を振る。
しかし、すぐに私の方へと視線を戻し、小さく頷いた。
「その通りだぞ。七夕だからな。ボンゴレ的町内交流七夕大会をしようと思ってな。」
「何それ?」
「いわゆる町内交流会だな。マフィアにとって年配者との地域交流はかなり大事なんだ。
なんせ、どの国でも年配者は地域における最も重要な長でありスポンサーだからな。
彼らの信頼の有無は、転落するか維持するかの要になるわけだ。」
「……てことは、対象はご年配の方々ってこと?」
「そうなるな。」
「大会概要って教えてもらえるの?」
「ああ。ルールは簡単でな。各々が七夕にちなんだ出し物をして、それを審査員にジャッジしてもらい、点数を競い合うんだ。
そして、競った結果、一位となった者は短冊に書いた願いが叶うってシステムだな。
ちなみに、この大会で一位になった人間はボンゴレの強大な力により100%願いを叶えている。
過去に一位になった奴の例を挙げるとしたら、国王になった者や、人類初の月面着陸を叶えた者もいるな。」
「…………ボンゴレっていったい……?」
「財力から人脈、権力全て申し分ないですからね。やろうと思えばいくらでも可能だと思いますよ。
確か、私が知る中だと、望んだ人間と結婚した方もいたかと。つまり、ナツキの願いも簡単に叶ってしまうわけです。
まぁ、あなたの場合、そのようなものに頼らなくとも、私が全て完璧に仕上げて差し上げますが。
立派な女王様になりましょうね……ナツキ?」
囁くように紡がれたDさんからの言葉に思わず意識が遠くなる。
いや、本当、ボンゴレって何?マフィアなのはわかるけど、いろいろとスペックが高過ぎる組織では……?
え?それを私が継ぐ予定になってんの?いろんな意味で持て余すんだけど?
「んじゃ、説明も終わったし、公民館に行くぞ、ナツ。すでに準備はできているからな。
あとは、ナツが到着したらイベント開始だ。準備するなら今のうちにな。」
ボンゴレのスペックの高さを改めて痛感していると、リボーンから準備を済ませて公民館に向かうぞと告げられる。
……別に願いなんてもの、誰かに叶えてもらうつもりは毛頭もないんだけど、これも一つの経験かな……。
そう思いながら、私は自室の方へと一旦移動する。ご年配の方に喜ばれそうなものは……まぁ、あれが丁度いいかな?
こっちの世界にもある動画サイトで、夏場に丁度いい演舞の動画を見まくっていたから、覚えちゃったものがあるんだよね。
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あれから私は、部屋着から和服へと着替え、腰には扇子を携えるスタイルでリボーンと共に公民館へと向かった。
「……何これ?」
願い諸々は後回しに、少しでもこれでお年寄りが楽しんでくれたら助かるな……なんて考えながら、公民館へと辿り着いてみれば、そこには何やら緊張しているハルとイーピン、なんか燃えてる了平さんとランボ、何かごそごそしている隼人の姿があった。
「よお、ナツ……って、着物着てきたんだな。似合ってるぜ。」
「ありがとう、武。実は、リボーンから今回のイベントの概要を聞いてね。
お年寄りの方がいらっしゃるって話だから、少しだけそれに合わせてきたんだ。」
「そうだったんだな。いつも制服姿ばっかだから、やっぱそう言う格好をしてるナツって新鮮で……その……。」
「ん?」
「や、やっぱなんでもねーわ。ハハハ……」
唯一、いつも通りだった武の反応が急におかしくなってしまった。
顔が真っ赤でリンゴみたいだな……。
「山本。お前、たまにヘタレになるよな。昔のディーノに似てるぞ。」
「ゔ……し、しかたねーだろ……。いざ言おうとしたら、その……恥ずかしくなってきたって言うか……こう、ちょっと、ドキッとしちまってな……」
「いつも通りの態度で言えばいいじゃねーか。中途半端にしてっと、お前がナツに伝える前にオレが掻っ攫っちまうぞ。」
「は!?それはねーだろー……」
リボーンに揶揄われて、さらに顔を赤くしながら、困惑したように言葉を紡ぐ武。
その姿が少しだけおかしくて、小さく笑ってしまう。
「10代目!着物お似合いっスね!」
「やぁ、隼人。褒めてくれてありがとう。君も参加していたんだね。」
「はい!10代目のプラスになる願いを持参してやってきました!その服……ってことは、すでに何かやることを決めてるんですか?」
「うん。お年寄りの方にどれだけ通用するかはわからないけど、多分、気に入ってくれるんじゃないかな。」
「流石10代目ですね!となると……オレはどうしたもんか……」
……隼人の反応からして、私が用意してなかった場合、一緒に余興をするつもりだったらしい。
まぁ、最悪リボーンに相談するなりして、なんとかできるようにしちゃえばいいと思うけどね。
「ハル。」
「はひ!?え、あ、ナツさん!?」
「やあ。なんだか緊張気味だったからね。声をかけさせてもらったよ。」
「な、なんと……!?すみません……お見苦しいところを……。実はハル、リボーンちゃんに頼まれて総合司会をすることになっちゃって……台本はリボーンちゃんが用意してくれたのですが……」
そんなことを思いながら、額を叩いたり、うろうろしたりしていたハルに話しかけてみると、彼女は緊張の理由を教えてくれた。
……前世で高校の時に生徒会長をやったことあるから、その気持ちはわからなくもない。
台本はあるけど、多くの人の前に立って話すのって結構緊張するんだよね。
「ほら。深呼吸をゆっくりして……。一旦はリラックスする必要がある。」
「は、はい。」
ハルの肩にそっと触れ、深呼吸をするように促せば、ハルは何度か深呼吸をし始める。
触れている部分から、ハルの肩の力が抜けていくのを感じ取る。程なくして完全に体の強張りが和らいだことを感じ取った私は、口元に小さく笑みを浮かべ、私より低い位置にあるハルの頭をそっと撫でた。
「ハルなら大丈夫。いつも通りの元気な君でステージに立てば問題ないよ。
いいかい?お年寄りの方々は少しの失敗だけじゃ怒ったりしないさ。なんせ、これまで歳を重ねてきた彼らは、何度も失敗しながらも歩いてきた大先輩なんだから。
それに、今回は別に店にきた客を相手にするわけじゃない。少しの失敗をしたところで、可愛らしい孫のような女の子が一生懸命頑張ってるんだと微笑ましく思ってくれるはずだよ。
だから、失敗を恐れないで、やり切ることだけを考えよう。」
「!……はい!ハル、頑張ります!」
それに比べたら、今回のこれは堅っ苦しい式典なんかよりもずっと楽で、例え失敗しそうになっても大丈夫だと思い、失敗を恐れずやり切ろうと伝えると、ハルは一瞬キョトンとした表情を見せたあと、笑顔で私の言葉に頷いた。
表情からも、触れている手からも、ハルの緊張がしっかりほぐれていることが伝わってくる。
うん、いつもの可愛らしい笑顔のハルに戻ったね。
「よし、気合い十分だね。応援してるよ。」
「はい。ありがとうございます、ナツさん!」
ニコニコと無邪気な笑顔を見せるハルの姿に、自然と私も笑顔になる。
これでハルは大丈夫。あとはイーピンだけど………
「そろそろ時間だな。ハル。司会を頼んだぞ。」
「はい!任せてください、リボーンちゃん!」
「あ……」
ハル以上の緊張状態になっているイーピンにはどんな声をかけようかと思っていると、リボーンがそろそろ開始時間だからと言って、イベントを進め始めてしまった。
これは……ちょっと難しくなっちゃったかな……。
「イーピンの緊張……解すには時間がかかりそうだからもうちょっと待ってほしかったんだけど……。」
これは……別の意味で警戒する必要性が出てきちゃったかな……。
沢田 奈月
またトンチキなイベントがありそうだと思い、予防として2枚の短冊を書いていた10代目。
ボスは目指すけどDのように全てを支配したりするつもりは今のところないため、なんかうるせー……と思いながらも、野心薄めの内容の短冊を書いた。
実は前世で生徒会長をやった経験があるため、司会や大人数の前で話すことの辛さは知っている。
D・スペード
なぜ私の愛弟子はこうまで野心が薄いのか……。もう少し教育を施す必要がありますかね……。
リボーン
短冊を取ろうとしたら逆に釣り上げられてビタンッしたヒットマン。
相変わらず先のさらに一手先を見据えて準備を済ませる奈月に、敵わねーないろいろと……と改めて痛感する。
山本 武
奈月のことを褒めようとしたが、肝心なところで照れてしまい最後まで言えなかった野球少年。
オレが掻っ攫っちまうぞとリボーンに言われ、それは勘弁と苦笑いをこぼした。
獄寺 隼人
10代目と余興をしようと思ったのに、彼女自身何か用意している様子があるため、どうしたものかと考えている右腕。
三浦 ハル
総合司会を任され緊張していたが、奈月から励まされてやる気十分の様子を見せた、奈月の秘書を目指す女の子。