最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
助けて………wwww
「それでは、ボンゴレ的町内交流七夕大会を始めます!司会は3丁目の三浦 ハルがつとめます。
みなさん、七夕に相応しく素晴らしいと思ったら、お手持ちのプラカードをあげてください。
100点満点で、あがった合計が点数となり、ボードにはられます。」
公民館の一部屋……そこの壁に背中を預けながら、用意されたメインステージへと目を向ける。
そこにあがったハルは、手元にある台本を時折見ながら、今回のイベントの司会進行を始める。
手元にあるプラカードと言う言葉を聞き、お年寄りの皆様方は、ハエタタキだとかうちわだとか、ちょっと的外れな言葉を口にしているが、まぁ、年末などにやることがあるご長寿クイズで参加者がぶっ飛んだ解答をしたり、的外れなことを言ったりするのを観たことがあるので、ここら辺は予測できる範囲である。
さて……ここからが問題なわけだが……。
「それでは、一番バッターは並盛野球部期待の星、山本武さん!願いは、“野球部県大会ベスト4”です!」
「まぁ、読み上げられるよね。武は相変わらず野球か。」
そんなことを思っていると、武がステージに上がり、ポケットから何かを取り出す。
それは、光るトゲボールだった。たまに玩具屋さんに売られている奴だ。
武はそれを取り出すなり、ひょいひょいと手慣れた様子でジャグリングをし始める。
「星を象った球で、七夕の天の川を表現したジャグリングです。」
どのような意味合いがあるものかの説明をされる中、一回もミスすることなく行われるジャグリングに、お年寄りの皆さんは拍手をする。
掴みは上々。何かしらのトラブルが無ければ、問題なく終わるだろう。
「くっ……思いのほかウケてやがる……!!こうなったら……!!山本!パスパース!」
「な!?バカ隼人!!何やってんの!?」
そう考えた矢先、隼人が武の名を呼び、パスしろなどと言い出した。
その行動を咎めるように声をかけるが、時すでに遅し。
「そらっ!!」
隼人の声を聞いた武が、隼人めがけてボールを投げる。そのボールの速さはやはりと言うか、明らかにかなりのスピードが出ており、手を取るのも憚れるほどのものだった。
勢いよく飛んできたトゲボール。それを隼人が反射的に躱すと、飛んできたそれは、公民館の壁に勢いよくぶつかり、かなり大きな穴を作ってしまった。
「あ、いっけねー……つい……わりー!」
「バッ……バッカヤロー!!いでっ!?」
ビビり散らしている様子の隼人に、武は謝罪の言葉を口にする。
それを見た私は、すぐに隼人の頭を思い切り平手で叩いた。
「バカなのはあんただろ隼人!!何を考えてるんだ!?」
「い゛!?」
「武も武だ!!いくらパスと言われたからと言って反射的に球を投げるな!!今回は器物損壊だけに止まったが、この場にはたくさん人がいるんだぞ!?
もし今の球が人に当たったらどうする!?それで骨が折れたらどうする!?
あんたの球速は軽傷程度にとどまるようなレベルじゃなんだぞ!?最悪それに当たって命を落とす可能性だってあるんだ!!
もう少し考えて行動をしろ!!冷静さを欠くな!!最悪の事態を招いた時、あんたは責任が取れるのか!!?
願い諸々だの評価諸々だのと言う前に!!まずは自分の行動や今の状況に伴った行動をしろ!!!」
「!!?……わ……悪い……。」
「も……申し訳ありません……!!」
明らかに責任感に欠けた行動を取った2人に、私はその場で怒鳴り声をあげる。
武はまだまともだと思っていたのに、あまりにも常識に欠け過ぎている。
ただでさえ年配の人は体が脆くなっていると言うのに……こんな危険な現状を見ることになるとは思わなかった。
「ハル。マイクを貸して。」
「は、はい。」
少しだけイラつきを見せながらハルに近寄った私は、すぐに彼女にマイクを貸すように告げる。
どことなく驚いているハルは、私に促されるままにマイクを手渡してきた。
それを受け取った私は、何度か落ち着くために深呼吸を繰り返す。そして、ある程度気持ちが落ち着いたのを確認したのち、マイクの電源を入れた。
「突然怒鳴り上げてしまい、申し訳ありませんでした。皆様、お怪我はありませんか?
もし、何かしらの不調がある場合はすぐに教えて下さい。すぐにでも救急車等を手配いたします。」
私の言葉を聞いたお年寄り達は、何度か瞬きをしたり、顔を見合わせたりしたのち、怪我や不調はないことを伝えてくる。
そのことに少しだけ安堵しながらも、私は再び手元にあるマイクに口を近づけた。
「この度は、私の友人が多大なご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。謹んでお詫び申し上げます。………隼人。武。君らも言うことがあるだろう?」
「その……すみません。」
「……申し訳ありませんでした。」
私の言葉を聞き、隼人と武は謝罪の言葉を口にして頭を下げる。
お年寄り達は再び顔を見合わせたのち、穏やかな笑みを浮かべて小さく頷いた。
「謝罪ができて偉いねぇ。お嬢ちゃんもよく怒ってくれたよ。」
「だが、暴力はいかんよー。」
「物を壊すのもいかんぞー。」
「みんなで仲良くが一番じゃ。」
「今回はまぁ、ちゃんと怒る子もいたから、これ以上言うつもりはないが、二度とこんなことしちゃいかんよ。」
「「……はい。本当に申し訳ありませんでした。」」
隼人と武の謝罪を聞き、お年寄り達は口々に言葉を紡ぎ始める。
寛大なお年寄りが多くて心底安心した。とは言え、この流れですぐに出し物を……とするにはちょっと微妙だな。
「ハル。冷たいお茶とかある?」
「はい。用意していますよ。」
「じゃあ、ここにいる皆さんに配って行こうか。だいぶ空気は柔らかくなっているけど、もう少しリラックスしてもらおう。」
「わかりました!」
「武。どうせおじさんのことだから、お弁当みたいなの用意してるんじゃない?」
「あ、ああ。オヤジが人が集まるなら持ってけって七夕寿司を持たせてきたぜ。」
「なら、それも配ろうか。今は場の空気を変える必要があるからね。」
「わかった。」
「隼人も配るのを手伝って。ちゃんと謝罪もして歩きなよ。」
「わかりました……」
それならと、私はすかさず空気を変えるための手を考えて、その場で指示を飛ばして開く。
私に名前を呼ばれた3人は、すぐに行動に移し始めた。
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「少しだけトラブルに見舞われましたが、ボンゴレ的町内交流七夕大会を再開します!
先程のトラブルを起こしたことを考慮し、山本武さんの出し物は一旦無効とさせていただき、次の出し物に入ります!
次に登場するのは、ライオンパンチニスト了平さんと、ボビーノファミリーのおしゃまさん、ランボちゃんです!」
謝罪や2度目の不調などの有無の確認を取りながらの一息を終わらせ、再び始まる町内交流会。
ハルにこっちが用意した再開時の言葉を追加した台本を読んでもらう中、私は武と隼人の間に挟まる形で壁に背を預けている。
「随分と変わった組み合わせがきたな。」
「だな。」
「あのぜってー噛み合わねー2人組で何をするんスかね。」
ちょっとした一息を入れたことにより、落ち着いてくれた隼人と武の2人と言葉を交わしながら、前にあるステージを見つめていると、浴衣を着ている了平さんとランボの2人がステージに上がる。
「ボクシングを国技にするぞ!!!」
「世界征服だもんね!!!」
「傍迷惑な願いかかげんなし……」
同時に告げられた2人の願いを聞き、思わず引きつった笑みを浮かべる。
日本の国技になったボクシングとか、世界征服したランボとか見たくないんだけど。
「さあ、いくぞチビ!」
「………(コクリ…」
「気合いを入れて演目に入るようです。」
了平さんの言葉に頷くランボ。
お年寄りの皆さんは、小さなランボにほっこりしていたり、格好から織姫と彦星を連想したりと興味津々の様子を見せている。
「武。あとで男性用の着物を了平さんに貸してもらって。」
「え?」
「さっきのジャグリングは無かったことにしたからね。出し物がなくなっただろ。
だから、あとで隼人と組んでリベンジをこなしてもらう。」
「あ……なるほどな。」
「ええ……山本と手を組むんスか?オレ……」
「当たり前だろ。元を辿れば、あんたがやらかした結果なんだから。」
「ゔっ……わ、わかりました……。」
そんな中、私は隼人と武に一つの指示を出す。一瞬、隼人が不満そうな声を上げていたが、そもそもの話、無効にせざるを得ないトラブルを引き起こす原意を作ったのは隼人であることを突きつければ、素直に指示に従ってくれた。
そのことにため息を吐きながら、とりあえず隼人の出し物事情に関してはなんとかなったと考えていると、了平さんとランボが勢いよく羽織っていた着物を脱ぎ捨てた。
「パンダだもんね!!!笹バクバク───!!!」
「オレはユーカリでコアラだ!!!」
「「バカなのか?」」
思わず隼人と声を揃えて罵倒を漏らしてしまう。
特に了平さんが口にしたユーカリには青酸が含まれているため、毒素をダイレクトに体内に入れたような物だ。
コアラは腹に毒素を分解するためのものがあるから耐え切ることができるだけだ。
あと、ユーカリは笹じゃないんだから七夕に関係ないだろ。
呆れながらその様子を眺めていると、お年寄りのうち2人がプラカードを上げていた。
これでも2点もらえるって、お年寄りの判定どうなってるんだ?普通は0点のような気もするのだが……。
「2点。」
「うおおぉ!!」
「ぐぴゃあ!!!」
そして、なんでランボと了平さんは大ショックを受けてるんだ。本当にそれでイケると思ったのか?
んなわけないでしょーよ……。
「ゔ……!!ユーカリにあたって腹が………」
「ランボさんもお腹痛い……」
「はーい、救急車2台入りまーす!!」
もう何がなんだかわかんないなこれ……と呆れながら、私は携帯電話を取り出して救急車を呼ぶ。
全く……なんだってこんなトラブルだらけのイベントをやらなくちゃならないんだ……。
もうちょっとまともなイベントはなかったのかね……。
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「ふ……再びトラブルに見舞われましたが、イベントを再開します!続いて登場するのは、お師匠様に再会したいと言う願いを持つキュートなイーピンちゃんです!ちょっと緊張気味ですが……」
了平さんとランボの2人を病院に搬送してもらい、再開することになった町内交流会。
もうやらなくてもいいんじゃない?レベルのくだらない内容にため息を吐きたくなりながらも、ステージの方を見つめていると、未だにカチコチなイーピンがステージに上がる。
すると、椅子に座っていたお年寄り達が一斉に立ち上がり、イーピンの方へと歩み寄った。
「お地蔵様じゃ〜〜〜。」
「ありがたや〜〜。」
なんだなんだと混乱していると、まさかの発言に一瞬、ズルッと転けそうになる。
いや、まぁ、お年寄り達の目……老眼の可能性がある皆さんが多いであろうことを考えると勘違いするかもしれないけど……いや全然わからないわそんな気持ち!!
「!?」
なんでお地蔵様と思ったんだこの人らは!!とツッコミを入れていると、スイッチが入るような無機質な音が聞こえてくる。
すぐに顔を上げてイーピンの方へと目を向けてみると、そこには筒子時限超爆を発動させてしまったイーピンの姿があった。
「まずい!!」
急いでイーピンの方に走り寄り、彼女の体を抱き上げる。そして、そのまま公民館の窓を開け放ち、申し訳ないとは思うけど、イーピンを勢いよく投げ飛ばした。
ある程度離れた位置まで飛び、同時に大爆発を引き起こすイーピン。
「綺麗な花火じゃの─────。」
「見事じゃ〜〜〜っ」
「あれを花火と称していいのか……?」
「イーピンは95点だな。」
「ウケてんのかい………。」
お年寄り達の発言にため息を吐きながら、よいしょと私は静かに立ち上がる。
「ナツさん!大丈夫ですか!?」
「ん。大丈夫。ちょっと爆風に見舞われたけど、怪我とかはしてないよ。」
「よかったです……。」
するとハルがすかさず私の元に駆け寄ってきては、怪我の有無を聞いてきた。すぐに怪我はしてないことを伝えれば、安堵の息を漏らす。
そんなハルの頭を優しく撫でれば、彼女は顔を赤らめて固まってしまった。
「ハル?」
「す、すみません……。ちょっと乱れてる服や髪型をしてるナツさんを見て、少しだけドキッとしちゃいました。
普段のナツさんは私服でも制服でも、ルームウェアでもキッチリしてるので……」
「おっと。見苦しい姿を見せちゃったね。風紀委員会に属してるから、身嗜みには常に気をつけているから、こんな姿を見られるのは良くないな。」
「はひ!?い、いいえそんな、むしろ新鮮でハルは好きです!!」
「ん?」
「ハッ!?す、すみません……ちょっと取り乱さちゃいました……。」
しゅん……と恥ずかしげな様子を見せるハルの姿に小さく笑う。しかし、すぐにその場で立ち上がったのち、着ていた着物を丁寧に直し、髪も手櫛で整える。
持ち歩いている鏡を見て、変なことになってないことを確認したのち、私はハルの名前を呼んだ。
「次の出し物、隼人だろ?」
「へ?あ、はい。順番としては獄寺さんですね。」
「じゃあ、そこに武も組み込んでもらえる?最初のあれは無効にしたからね。リベンジをさせたい。」
「なるほど!そう言うことでしたらお任せください!」
「ありがとう。」
私の指示を聞いて素直に頷いてくれたハルにお礼を言いながら、私は隼人と武に歩み寄る。
「隼人。何をやろうとしたのか教えてもらえる?」
「へ?ああ……えっと……七夕にちなんで77本のナイフを投げるつもりでした。」
「そう。ちょっとナイフ貸して。」
「はいっス。」
隼人から提示されたナイフの柄の部分に、私はあるものを取り付ける。
それは、持ってきていた折り紙の星と、色とりどりのビニールの紐を取り付けた物だ。
七夕だし、家に飾りつけてやろうと思っていたものをなんとなく持ってきていたのだが、ここで役に立つとはね。
「武。リボーンから渡されたバットはあるかな?」
「ん?ああ。あれなら持ってきてたぜ。イベント終わったらちょっと素振りしようかと思ってたからさ。」
こんなもんかと思いながら、星を取り付けたナイフを隼人に返した私は、次に武に声をかける。
リボーン命名、山本のバット……それを持っているか否かの問いかけだ。
どうやら持ち歩いていたらしい。これならなんとかなりそうだな。
「じゃあ、武は了平さんが脱ぎ捨てた着物を着て、バットを持ってきて。」
「わかったぜ!」
「隼人はスタンバイ。2人ならできる出し物があるから。」
「了解っス。」
次々と指示を出せば、2人は素直にそれに従う。
私は、大人しく指示に従ってくれた2人の姿に安堵しながらも、2人の出し物の準備を整えていくのだった。
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「準備できたぜ、ナツ。これでいいか?」
「うん。完璧。ステージに上がったら、隼人は自分のやることを口にしたあと、武にナイフを投げていい。」
「え!?本当っスか!?」
「嬉しそうにするなバカ。まぁいい。対する武は、前にリボーンが撃った弾丸を防いだ時のように、隼人の一投目のナイフを防ぎきるんだ。
決してボールを打ち返すような振り方はしないように。四方八方にナイフが飛ぶのはよくないからね。
で、一投目を防ぎ切ったあと、君にはある台詞を言ってもらう。」
「ある台詞?」
「うん。耳を貸して。」
「おう。…………?それを言えばいいのか?」
「問題ないよ。お年寄りなら、これでウケるはずだからね。」
「わかったぜ。」
隼人と武に指示を出し終えた私は、すぐにハルに視線を向ける。
私の視線に気づいたハルは、こちらの意図を理解したのか、すぐにコクッと頷いた。
「いよいよボンゴレ的町内七夕交流大会も大詰めです!続いて登場するのは、イタリアから留学し、日本で頑張っている獄寺隼人さんと、先程のリベンジに燃える山本武さんのペアです!
山本武さんの願いはお伝えしましたので、割愛させていただきまして、獄寺隼人さんの願い事は……」
「待て。」
「はひ!?何するんですか─────!?」
司会進行を再開したハルに対し、隼人が声をかけてそれを止める。
手にしていた願い事が書かれているであろう紙をぐしゃぐしゃにされてしまったからか、ハルは隼人に突っかかるが、隼人はそんな彼女に動じることなく口を開く。
「オレの願いは優勝するまで隠しときたいんだ。あるお方をおどかしたいんでな。」
「うん。間違いなくそれ私だね。大体隼人の願い事なんていつも言ってる私の右腕になるで決まってるだろ。今更隠す必要なんかないんじゃない?」
「んな!?さ、流石は10代目……!!」
「むぅ……!!結局ナツさんにバレてるじゃないですか!!」
「うっせ─────!!」
「アハハハ!やっぱ獄寺の願い事ってそれなんだな!」
「笑うんじゃねー野球バカ!!」
ギャーギャーと言い争う隼人とハルに、いつも通り笑っている武。
3人のわちゃわちゃを見て、お年寄り達は仲がいいねぇ……とほっこり笑いながら、お茶を飲んでいる。
ちょっと収拾が付かなくなったな……と苦笑いをこぼしそうになりながら、私はその場に響くように手を叩いた。
それにより隼人達の視線がこちらを向く中、私は口元に笑みを浮かべる。
「最後に私の出し物もあるんだから、戯れ合いはそこまでだよ。」
「は!そうでした!」
「ナツさんからの指摘もありましたし、ハルもナツさんの出し物が見たいので早く済ませますよ!獄寺さんの出し物を教えてください!」
「ああ。」
ハルの言葉を聞き、隼人が先程手渡した折り紙とビニールテープを組み合わせた流れ星付きのナイフを取り出す。
「七夕と言えば天の川。天の川と言えば星!ってことで、七夕にちなんで流星をモチーフにしたナイフ77本を投擲するナイフ投げだ!10代に言われた通り、当たんじゃねーぞ山本!!」
「わーかってるって!いつでもいいぜ?」
武の言葉を聞き、隼人が手にしたナイフを本気で武に投擲する。
……うん、あわよくば武にダメージを与えてやろうとしているのが見え見えである。
しかし、至近距離で撃たれた弾丸を真っ二つに切ることができるレベルの魔改造は受けている武にそれが通用するはずもなく、全てバットから変形した日本刀により、それは全て防がれる。
「確か、ここで言うんだったな。……我こそは武侍!星屑すらも切り落とせし流浪の剣士なり!!」
耳打ちで教えた台詞を口にして、堂々とした姿勢で刀を構える武。
「よっ!!千両役者ぁ!!」
「待ってましたぁ!!!」
その瞬間、お年寄り達はワッと盛り上がり、一斉にプラカードを上げ始める。
「な!?大ウケ!?」
「アハハハ!流石はナツだな!確かにこれは盛り上がるわ!」
「お年寄りは時代劇好きですもんね!流石はナツさん!お年寄りの皆さんのハートもガッチリとキャッチしてます!!」
「よっしゃあ!どんどんこいよ獄寺!ナイフをしっかり流れ星みたいにしてくれよな!」
「言われなくともそうするっつの!!10代目をガッカリさせんじゃねーぞ山本!!」
ウケがいいことを理解した途端、隼人と武は全力で流星ナイフ投げとそれを防ぐ侍を演じ始める。
お年寄り達はひたすら盛り上がっており、賑やかなひと時となるのだった。
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「獄寺と山本のペアは問答無用の100点満点だな。」
あれから少し落ち着いた頃。リボーンが2人の点数をボードに張り出す。
楽しんでいたお年寄り達は、今は武が持ってきていた七夕寿司に舌鼓を打ちながら、穏やかな表情を浮かべている。
「はひ〜………。時代劇パワー恐るべしです……。ナツさん。大丈夫ですか?」
「ん?ああ、評価点のこと?正直言って、私は特に評価は拘ってないんだ。
ただ、少しでもお年寄りの皆さんが安全に楽しんでくれることを優先しているだけだからね。
私の指示を聞いてくれたおかげで、武の野球力は暴走せずに済んだし、お年寄りの皆さんも晴れ晴れとした表情だ。
私はこれが見れるだけでも十分だったんだよ。まぁ、願い諸々は正直今はどうでもいいけど、最後の大トリはつとめさせてもらおうかな。」
そんな中、ハルが耳打ちをするように聞いてきた言葉に、自分の想いを返した私は、着物の袖に隠していた蒼色のグラデーションが生えるスカーフを取り出す。
このスカーフ、サイズはかなり大きいため、身につけ方によっては羽衣のようにヒラヒラと綺麗に舞うんだよね。
「ハル。最後の司会を頼むよ。これを言えばみんなこっちを見ると思うから。
リボーンは、ステージ近くにあるプレーヤーのスイッチを押してこれを流してくれる?出だしで躓いて出オチにはしたくないんでね。」
「はい!わかりました!」
「わかったぞ。」
そんなことを思いながら、私はハルに司会進行を頼みながら、ステージの方へと足を運ぶ。
先程までは荷物の中に収めていた一つ扇子に括り付けている鈴の音を、さりげなく鳴らすように歩いて行けば、お年寄り達は必然的にこちらを向き始めた。
「宴もたけなわ。穏やかなひと時をお過ごしの中、最後の出し物となります。
最後にステージに上がりますのは、“ “大切な家族や友達が平穏無事に過ごせますように”と言う願いを持つ、家族と友人思いの並盛中学校風紀委員長補佐、沢田奈月さんです。」
ハルの司会に合わせるように、その場で深く頭を下げれば、お年寄りの皆さんが拍手をして出迎えてくれた。
その様子に小さく笑みを浮かべた私は、静かに顔を上げたあと、ハルにマイクを貸してほしいと手を差し伸べる。
こっちの意図を汲んでくれたハルは、すぐに手にしていたマイクを私の手の上に乗せてきた。
「本日は、気温が高い中、我々の催しに足を運んでくださり、誠にありがとうございます。
多大なトラブルに見舞われる中でも、皆様の寛大な御心の下、なんとか最後までやり切ることができそうです。
これより行うは最後の出し物。皆皆様方、最後までどうぞお楽しみくださいませ。」
マイクを通して挨拶を口にし、再びその場で頭を下げる。再びパラパラと聞こえてくる拍手の音に、気持ちを落ち着かせるように深呼吸を行い、静かに頭を上げてマイクをハルに返す。
そして、リボーンに一度視線を向けたあと、持ってきたストールを方から羽織り、その場で静かに出だしの構えを取る。
私が用意したのは、動画サイトでたまたま目についた舞。羽衣に見立てたストールをひらひらと靡かせながら舞う、扇子を使った演舞の一種。
夏場に似合う爽やかな曲に合わせ、足を踏み込み、ストールを舞わせ、扇子につけた軽やかな鈴の音を辺りに響かせるものだ。
時には広げた扇子を軽く上に投げ、それをキャッチし、曲のテンポや盛り上がりに合わせて舞うスピードを変化させることで静と動の躍動感を出し、時には足を踏み鳴らし、あらゆる動きを取り入れながら、最後まで舞い続ける。
辺りはシンと静まって、舞う度に聞こえる音のみが響いているが、舞う中で視界に入り込むお年寄り達は、決して眠っているわけでもなく、どこか見惚れるような表情をしているようだった。
「ご静観、ありがとうございました。」
最後まで舞終わり、一言声をかけて頭を下げる。
その瞬間、お年寄り達はワッと賑わい始めた。
「女神様じゃ〜〜……!!」
「いやいや織姫じゃろうて。織姫様が降りてきなさった……!」
「思わず見惚れとったわい……」
「お迎えがきたのかと思うてしもうた……。綺麗じゃったなぁ……」
「はう……!!やはりナツさんはこの地に降り立った女神様だったのかもしれません……!!」
「お美しかったです、10代目─────!!」
「めちゃくちゃ綺麗だったな、ナツ。」
「これにはオレも100点満点を出したくなるぞ。」
口々に感想を紡ぎ、お年寄り達がプラカードを上げ始める。上げられたプラカードはこの場にいる全員。
隼人と武のコンビに並ぶ程の大盛況だった。
「ナツは合計で104点だな。」
「なんか増えてない?」
不意にリボーンが口にした点数に対して、思わずツッコミを入れてしまう。
なんでさりげなく4点増えてんの。おかしいだろ。
「オレと獄寺と山本とハルの分だぞ。」
「急なルール変更やめてもろて……。え?じゃあ何?私が優勝すんのこれ?」
こちらのツッコミにリボーン達が全員肯定の意を伝えるように頷く。
こんなオチが待ってるとか聞いてないんだけど!?
『……何やってるのですかプリーモ?』
『孫、サイコー……!!』
『孫じゃなくて来孫な。つかどっから出しやがったそれ。』
あと、そこの一番後ろでさりげなく混ざってたジョットさん!!
なんでナツキ最高とかオレの孫サイコーって書いてある団扇持ってんの!?
誰だよ彼にオタグッズの存在教えた奴!!
沢田 奈月
注意したり怒鳴ったり、アドバイスをしたりとかなり忙しくしていたボンゴレ10代目。
舞を披露したらめちゃくちゃ周りから絶賛されてしまいかなり困惑していたが、彼女が掲げた望みはしっかり叶うことが約束された。
山本 武
奈月に怒鳴り飛ばされた野球少年。
野球関連のことになると後先考えず行動を取ってしまう癖が、最悪な事態を招きかねないことを認識し、猛省した。
獄寺 隼人
奈月に怒鳴り飛ばされた右腕志望の少年。
自分がやったことが、最悪の事態を招きかねないことであり、同時に、それは最も奈月が嫌う行為であることを再認識し、猛省した。
三浦 ハル
初めて奈月が本気で怒った姿を見てかなり驚いていた秘書志望の女の子。
その後の奈月の行動には流石ナツさんです!!とドキドキと安堵の両方を抱き、改めて彼女に惚れ直す。
リボーン
数々のトラブルに見舞われても、最後までイベントをやり遂げた奈月の姿に改めて感心したヒットマンなお目付役。
今回の奈月の様子から、次に似たようなイベントをする時は、必ず安全を考慮した場所でやろうと決める。
笹川了平&ランボ
本来なら人が食べていいものじゃないものを口にした結果腹を下して病院へと搬送される。
イーピン
時限超爆を発動させてしまい、その場を離脱する。
ジョット
オレの孫サイコー!!(団扇ブンブン)
ジョット以外の初代組、およびD
何やってんだプリーモ……(ドン引き)