最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
ただ、主人公の過去に触れる話であるため、内容がそれなりに重いのでご注意ください。
こちらの話では、主人公の視点と、彼の視点の2種類があります。
肝試しを終え、自宅へと帰ったわたしは、寝るための準備をさっさと済ませ、そのままベッドに横になり、夢の中へと旅立った。
程なくしてわたしの意識は精神世界にて覚醒する。
「ん……。精神世界にきてたか……。最近は、きた瞬間の景色が完全にこれになっちゃったなぁ……」
視界に入り込むのは月夜が照らす海の底。しかし、海の外は夜であるにも関わらず、眩いばかりの澄み渡った蒼の世界であり、色とりどりの珊瑚礁や、色とりどりの熱帯魚のような鮮やかな魚達、時に真っ白なイルカや鯨が泳ぐ眩いばかりの明るさを持っている。
同時に、海の底には桜の森が広がっており、その花びらを蒼の世界へと度々泳がせている景色に染まっていた。
「夜なのに明るい蒼の世界。海底に広がるは桜と珊瑚に溢れた森。どこかキラキラと輝いていて、同時にあり得ない景色を作り上げている。」
綺麗ではあるけどね……と小さく呟きながら、わたしは海底に足をつける。
海の中にある桜の森とか、どれだけわたしの精神世界はファンタジーなのか……。
まぁ……こんな景色に変わった理由は、なんとなくわかってるけどね。
─────……この景色になったのは、リボーンに本来の名前を教えてからだったな。
春に咲き誇る桜のように、多くの人に愛されるような、穏やかな女の子になりますように……わたしの名前の由来と、母さんの姿を思い出した瞬間、わたしの精神世界が変わった。
他にも、度々桜奈とリボーンから呼ばれるから、この綺麗な桜が咲き誇るようになって、今じゃ一つの森となった。
桜奈と呼ばれる度に、この桜は増えてきたような気がする……となんとなく思いながら近寄ってきた仔白鯨に触れる。
……海の世界になったのは、やっぱりアレが関係してるのかな。
「……おやおや……相変わらず現実離れした景色ですね、ここは。」
「あ、骸……。」
ていうかこの小さい白鯨、いっつもわたしにくっついてくるな……と、撫でながら眺めていると、こっちの方に足を運んできた骸が話しかけてきた。
わたしが骸に反応すると、仔白鯨は一度骸を見遣り、そのままサッとどこかへ泳ぎ去っていく。
他の熱帯魚達も、骸が現れた瞬間スッと珊瑚礁や岩影の中へと隠れ去ってしまい、わたしと骸だけが残される。
「……嫌われてるんですかね?」
「……さぁ…………?」
骸と一緒に困惑し、互いに顔を合わせて首を傾げる。
なんで骸がきた瞬間、さっきの子達一気にいなくなったんだろ?
「……相変わらず美しい景色ですね、ここは。静かで穏やかで落ち着きます。
まぁ、最近はめっきり海底にある桜と珊瑚礁の森で安定してしまったようですが、非日常的なこの景色はなかなか飽きませんね。」
不思議に思いながらも、軽く海底を蹴り飛ばして、海中でぷかぷか浮いていると、穏やかな声音で骸が言葉を紡ぐ。
そんな彼に一度視線を向けたわたしは、少しだけ考えるように無言になり、何回かくるくると回転して海底に着地する。
「……わたしはこの景色が好きだし、この景色に落ち着きを覚えるし、この景色を見たら、嫌なことも全部忘れることができるけど、骸はこの景色に安らぎを覚えない方がいいよ。」
「え?」
普段よりも冷めた声音で骸に話しかければ、彼は驚いた様子を見せる。
そんな彼を再度見据えたわたしは、口元に小さく笑みを浮かべた。
「だってこの景色……わたしが最期に見た景色だからね。桜の花は、まぁ、前世のわたしに関わる花だから、咲き誇ってしまったのだけど。」
「最期……っ!?まさか!?」
わたしの言葉を聞き、骸が驚いたように目を丸くする。
骸がこんな風に驚いている姿は、正直言って初めて見たかもしれない。
これまで何度か驚いた表情を見せていたけど、あっちは楽しげな驚きで、ショックからきた今とは全く違うものだった。
「……そう。そのまさか。前世のわたしの死因は入水自殺。自らの意思で夜の海に飛び込んで、そのまま海底に沈んだんだ。」
そんな彼に突きつけるように、わたしは桜奈としての自身の死因を明かす。
わたしが自ら命を絶つ道を選んでいたことは知ってたと思うけど、どのような終わり方を選んでいたのかはわからなかったようだ。
「最初は苦しいだろうなって思ったけど、全然そうじゃなかったんだ。夜空に浮かぶ月に、海底で休んでいた魚に、ゆるやかに泳いでいたイルカ達に看取られて、わたしは息を引き取った。
どこか光る柱のようになっている月花に包まれていたから、どこか、月に抱きしめられたように眠れてね。
やっと、わたしはゆっくり休める……もう、何も考えないで眠れるんだって思ったら、どこか清々しさすら覚えてね。
水泡が空へと上がってくような景色に、水泡が体を撫でていく感覚に、報われない恋をして、泡となった人魚姫のように、泡となって世界から消えていくような感覚すら感じ取って、苦しい思いをすることなく、眠るように終われたんだ。」
“終わりの景色であり、一番安らぎを覚えた景色でもあるから、この景色はきっと刻まれたんだろうね”……と懐かしい穏やかさと清々しさを思い出していると、一瞬にして景色が海の底の桜と珊瑚の森ではなく、満月が見下ろす桜の森が存在する大地へと変化する。
骸に精神世界の主導権を奪われたのだと気づくまでに、そう時間はかからなかった。
「…………。」
骸の表情がどこか曇っている。悲しみに苛まれているのか、怒りを覚えているのか、それとも別の感情か。
ああ、でも、さっきの話はあまりにも不謹慎だったかな。他人の死因とか聞いても面白くないし、最後に見た景色を見せられても、綺麗でもなんでもないか。
「ごめん。不謹慎だったね。わたしにとっては綺麗でも、他人にとっては最悪な……」
「……なぜ、そうまで摩耗してまで、あなたは誰かのために行動を取ろうとするのですか?」
「……え?」
謝罪の言葉に被せるように、骸から問われた言葉に呆気に取られる。
なぜ、そうまで摩耗して、誰かのために行動を取ろうとするのか……?そんなもの決まってる。
「周りが喜んでくれるから、わたしは誰かのために動く。ただ、それだけだよ。」
「例え、それがなんの見返りも返されることなく、都合のいい人間として利用されているだけに過ぎなかったとしてもですか?」
「……………」
続けて問われた言葉に、思わず言葉を失う。
見返りもなく、都合の良い人間として利用されているだけだった?
「これまであなたは、多くの人に寄り添い、その人が苦しんでいる時は手を伸ばして自身の能力を以って助けてきた。
ですが、あなたの周りは感謝こそすれど、あなた自身に見返りを返すこともなく、ただひたすら手を伸ばし、助けを求めていただけに過ぎないじゃないですか。」
……骸が何を言ってるのかわからない。見返りを返すことなく、手を伸ばすだけ伸ばしていたに過ぎない?
そんなこと………
「そんなこと、考えたことがなかったかな。だってわたしは、みんなが幸せならそれでよかったし、笑顔を見せてくれるだけで構わなかったし、見返りなんて求めたことはなかったし、頼られるのが嬉しかったから。」
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「っ!?」
まるで当たり前であると言うように、本気でそう思っているような表情を見せる奈月に、僕は言葉を失う。
彼女の記憶をある程度把握しているからこそ、彼女が都合のいい存在として認識されていることに気がついていたがために。
しかし、彼女は全くと言っていい程、それに関して何も思っていない。
困ってる人を助ければ笑顔になってくれるから、困ってる人を助ければ、その人が幸せになるはずだから……本気でそう信じて疑っていないのだ。
「何……ですか……それ……。そんなの!!ただただあなたが都合のいいように消費されているだけではありませんか!!」
誰かに寄り添うのが当たり前。誰かを助けるのが当たり前。どれだけ自身が摩耗しようとも、どれだけ利用されようとも、それが他人の幸せに繋がるというのであれば、どれだけ大変であろうとも、その全てを引き受けて解決する……行き過ぎた献身、タガの外れた自己犠牲、それをまるで理解していない奈月を思わず怒鳴りつけてしまう。
「そんなことないよ?みんなの笑顔を見ることが一番の生き甲斐で、生きていたわたしの好きなこと。
だって、身内であれ部下であれ、周りにいる人が暗い顔をしていたり、苦しんでもがいているのが嫌だから。
笑顔を見るだけで十分だった。いてくれてよかったと思ってくれるだけでよかった。
だって、その時だけは、みんなわたしのことを見てくれていたんだもん。」
意味がわからないと言わんばかりに、表情を変えることなく言葉を紡ぐ奈月に、再び僕は絶句する。
最後に紡がれた言葉の端に、彼女の本音と記憶が過ぎる。
“ 多くの人がわたしを求めて、わたしのような存在がいてくれて助かるとか、誇らしいとか、そんな風に言ってくれて、それがわたしの生きる糧だった。”
“ そうすることで
“ なのに……ねぇ、お父さん。どうしてあなたはわたしを見てくれないの?どうしてあなたはわたしを褒めてくれないの?
どうしてあなたは………笑顔になってくれないの?”
誰かのために何かをこなし、笑顔になってもらうことで、自身の存在意義を安定させる。
同時に、どのようにすれば、万人がみんな笑顔になり、自身を見てくれるのかを探し出し、本当の意味で見てもらいたい相手に寄り添える自分になろうとする。
……元は父親のためだったものが、いつのまにか全ての人間を対象範囲に広げてしまい、それが自分の存在意義であると確立してしまった。
結果、他人の笑顔を絶やすことなく、万人の幸せを望むことが、自身の幸せであると誤認し、完全にその身へと刻み込んでしまった。
だからこそ、彼女は本当の幸せを把握することができなくなり、誰かのために自身を摩耗させることにより、それにより浮かんだ笑顔を自身の幸せとして認識してしまった。
諦観から生まれた狂った博愛……それを得ることこそが、彼女を繋ぎ止める枷となり、彼女を繋ぎ止める楔となり、彼女を維持する要となった。
だと言うのに、彼女の思いに気づくことなく塞ぎ込んでしまった彼女の父親は………彼女の前から消えることにより、彼女の世界を崩落させた。
「……ただの被害者じゃないですか、そんなの。」
自己犠牲と献身を履き違え、完全に確立してしまった彼女は、消費されることに疑問を持つことができなくなった。
これが周りのためだから……これが自分のためだから……もはや洗脳にも近い暗示を自身にかけることにより、考えることを諦めて、本当の意味での自身の望みを失った。
そして、望みを向けていた存在が、目の前から一瞬にして消えてしまったことにより、自身の世界を崩壊させ、最後は自らの命を壊した。
……命を命と見られることなく、玩具のように使い潰され、幾度となく壊されてきた僕らとどこか似ていて、しかし、消費され続けることに疑問が持てなくなってしまう程に諦観し、完全に壊れて命を自ら手放すと言う真逆の道を歩んだこの子は、一歩間違えればあり得たかもしれないもう一人の僕の姿だった。
─────……最初は利用するために近寄ったはずなのに、少しずつそれが執着へと変わり、側に置きたいと思うようになっていたのは……。
“あり得たかもしれない、僕の結末……どこか似ていて正反対になってしまったあなたのことを、助けたいと思ったからか……。”
ようやく気づいた一つの答え。憎むべきマフィアの人間であるはずのあなたに、強い執着と愛おしさを抱いた理由を知り、僕は静かにその場で俯く。
あり得たかもしれない僕自身、見返りが与えられず、利用されるだけ利用されて、何の報いも受けることができなかったあなたに、もう、誰かのために動かなくてもいいと……少しでも足を止めさせることができるのならば……。
「……奈月。あなたのその性格は、あなたが歩もうとしている世界には、全くと言っていい程合っていません。
本当は、あなたを迎えに行った時にでも伝えようと思っていましたが、どうやら、早いうちに伝えておかなくては、あなたの行動にストップをかけることができないようです。」
「…………。」
無言で僕を見つめる奈月に、僕は静かに伝える。
現実で会った時に、伝えるつもりだったこの言葉を。
「……かつては僕も、消費される側の人間でした。名誉のため、栄光のため、何度も命を弄ばれた。
このような目に遭ったのは、僕だけじゃありません。たくさんの子供が使い潰され、命を落としてきたんです。
詳しく話すには時間がなさすぎるため今は話すことができませんが、これだけは言えますから、考えてください。」
不思議そうに首を傾げる奈月の肩を優しく掴み、しっかりと彼女と目を合わす。
そして、静かに口を開いた。幼い子供に言い聞かせるように、少しでも目の前にいるあり得たかもしれない僕の結末を真っ直ぐと見据えて。
「僕は、使い潰され、利用されるだけの世界が嫌で、自らの手で現状を破壊したことにより今に至ります。
あなたのように諦観し、疑問を抱く自由すらも失い、最後に自らの命を絶つことを選ばず、自らの手で悪夢に抗い、そして、抜け出すことを選び取った。
それは全て自分のために。誰かのためではなく、自らの望みを掴むために。
だからこそ、あり得たかもしれないもう一つの結末を迎えてしまったあなた自身に、少しでも考えてほしい。
……あなたの性格では、いいように利用され、消費されてしまうだけです。
だから、マフィアなんてやめてください。どうか、もう誰かのために自身を摩耗しなくてはならない世界に足を運ばず、ご自身のために生き、穏やかな最後を迎えられるように生活してください。
もし、あなたの中に流れているマフィアの血が、何度もマフィアの世界へとあなたを引き摺り込もうとするのであれば、僕がその全てから守ってあげますから。」
沢田 奈月
父親のため、誰かのため、誰かの幸せのためにを繰り返し積み重ねてしまったせいで、自己犠牲と献身の区別がつかなくなり、周りの幸せを願った行動を取るたびに、見返りなど受け取らず、周りの笑顔を見ることが生き甲斐であり、自身の存在意義であると洗脳に近い暗示を自らかけて摩耗し続けた前世持ちの少女。
かつての目的だったものを見失い、その目的が突如として完全に目の前から消え失せたことにより、摩耗しきった精神が耐えられなくなり、崩壊、最後は入水による自らの終わりを選択して全てを終わらせてしまった。
骸にハッキリと指摘されたが、当人はそれが理解できていない。
六道 骸
奈月に対する執着の答えを得た囚人の青年。
自己犠牲と献身を履き違え、なおかつ歪んだ認識を行なってしまった結果、完全に諦観し、消費されてこそ己の存在意義であることを確立してしまった奈月を、一歩違えればあり得たかもしれない消費されるだけのもう一つの結末と重ね、自ら抜け出してほしいと手を差し伸べた。
今はまだすぐに答えなくてもいい。ただ、いつか消費されてしまうだけの道を歩むくらいならば、自身の元に来て、誰かのために生きるというその暗示を解いてほしいと願いを込めて。
物語に関係ない好奇心からのネタ質問です。主人公に好意的な感情を向ける男キャラは、これから先も増えるのですが、主人公のファーストキスは誰が一番奪いそうだと思いますか?
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リボーン
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大人リボーン
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ディーノ(事故チュー)
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ディーノ(意図してキス)
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XANXUS
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白蘭
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古里炎真(事故チュー)
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させないよ?(女性陣の壁)