最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 視点なしの話になります。
 ……第三者視点って、あまり書いたことないのでかなり下手くそだと思うのですが、そこは温かい目で見ていただけたらと。


獄寺隼人は頼られたい Ⅰ

 何の変哲もない夏場のある日。

 ボンゴレ10代目候補たる少女、沢田奈月の部下として並盛町に滞在していた獄寺隼人は、休日の町中を歩いていた。

 彼の思考にチラついているのは、自身のボスたる奈月の姿。

 

「……10代目……なんか最近考え込んでるっつーか、どっかにいつのまにかいなくなっちまいそうな様子があるんだよな。何か困ったことがあるのか聞きたくても聞き辛いし……。

 何度も無茶をされてる方だから、また無茶をしているとか……?いや、でも、それならアネキとかリボーンさんが止めてるはずだし……」

 

 うーん……と頭を悩ませながらも、タバコは体に良くないからと言われて禁煙するために持ち歩くようになった棒突きのキャンディーを獄寺は咥える。

 同時に彼は自身のあとをつけている二つの気配がする方角へと視線を向け、すぐ近くにあった横道へと足を運んだ。

 程なくしてやってきた二つの気配。それを確認した獄寺は、すかさず現れた2人の男を容赦なく殴りつけ、蹴りつけ、怯んだ隙に黒髪の男の首元に自身の腕を押し付ける形で気道を圧迫する。

 

「あ゛………が……っ!?」

 

 壁に押し付けられ、気道を腕により圧迫された男は、呼吸を制限されることにより、言葉すらも封じられる。

 しかし、意識を失うところまでは行かず、継続して気道を抑えられている苦しさに襲われた。

 

「このクソ暑いのにうぜーんだよ。10代目の様子がおかしいから、何とかできねーか考えたりもしてたってのに、うろちょろとあとをつけてきやがって。

 なんだ?てめーら。誰の指図だ?とっとと言わねーと……」

 

 自身の腕で黒髪の男性の気道を圧迫したまま、獄寺はホルスターに収まるダイナマイトに手を伸ばす。

 だが、それは第三者の声により、止められることになるのだった。

 

「そいつらに尾行の指示を出したのはオレだよ。」

 

「!」

 

 いるはずのない第三者の声を聞き、獄寺は驚いたように背後を振り返る。

 そこには自身に歩み寄ってくる青年……キャバッローネファミリーの10代目であるディーノの姿があった。

 

「ん─────いーんじゃねーか。なかなか適任だと思うぜ。」

 

「ディーノ!!」

 

 まさかの人物の登場に、獄寺は一瞬だけ混乱する。

 しかし、すぐに頭を切り替えては、目の前にいるディーノを睨みつけた。

 

「てめー何の用だ?」

 

 警戒するような様子を見せる獄寺に、ディーノは一瞬だけキョトンとする。

 だが、すぐにその表情はいつもの余裕にあふれたものへと変わり、口元には変わらぬ笑みが浮かび上がった。

 

「さっきイタリアからきたところだ。悪くない話を持ってきたぜ。」

 

 いつもの調子で実になる話を持ってきたのだと伝えてくるディーノの姿に、獄寺は意味がわからないと言わんばかりに首を傾げる。

 そんな彼を見たディーノは、聞くだけ聞いてくれと笑顔を見せながら、獄寺をファミレスに連れて行くのだった。

 

 

 ─────── 某所ファミレス ───────

 

 

「しょ……昇進?」

 

 ディーノに連れていかれるままに、ファミレスへと入ることになった獄寺は、そこで驚きの話を聞くこととなった。

 それは、自身の昇進の話。まさかの話に驚き、困惑した様子を見せる獄寺に、ディーノは小さく頷き、概要を話す。

 

「ああ。9代目からのお達しでな。ボンゴレ第6幹部(カポ)に異例の大抜擢だ。

 2つのカジノと80名の部下はお前のもんだ。こいつはすげー話だぜ。」

 

「……つーか待て!!てめーはキャバッローネだろ!!」

 

 ディーノの言葉に、獄寺は少しだけ固まる。しかし、不意に何でボンゴレではなくキャバッローネのボスがその話を伝えにきたんだと思い切り怒鳴りつけた。

 反応としては間違いない。しかし、ディーノはそんな獄寺のツッコミを無視して言葉を繋いだ。

 

「9代目のじいさんとは子供んときからの知り合いでわ身内に頼めねーことをオレに頼んでくる。ま、持ちつ持たれつなんだけどな。」

 

 平然と自身のツッコミを躱され、獄寺は一瞬だけディーノを睨みつける。

 しかし、すぐに彼が見せてきた書類に目を向け、その表情を明るいものへと変えていく。

 

「や……やったぜ!!!さっそく10代目に報告だ!!」

 

 すぐにでも店を飛び出しそうな獄寺に、ディーノは少しの間、無言で視線を向ける。

 そして、一度静かに目を閉じたのち、再び口を開いた。

 

「そうだな。そんじゃあ、荷物まとめとけよ。明日イタリアに帰るからな。」

 

「……は?……イ……イタリア……?」

 

 ディーノから告げられた言葉に、獄寺は目を丸くして固まる。

 ディーノはすぐに獄寺に真剣な眼差しを向け、彼に一つの現実を突きつけた。

 

「若年とはいえ幹部(カポ)になるんだ。当然、イタリア本土で9代目のサポートするのが仕事だ。」

 

 一瞬の思考停止。しかし、彼が口にした言葉の意味をすぐに処理した獄寺は、その表情に怒りを浮かべる。

 

「冗談じゃねえ!!オレは9代目に仕えてんじゃなくて10代目に仕えてんだ!!そんな条件ならオレはおりる!!」

 

 勢いよく店内の机を叩きつけ、苛立ちを隠すことなくディーノを怒鳴りつける獄寺。

 だが、ディーノは予想通りの反応だと言わんばかりに小さくため息を吐く。

 

「大人になれよスモーキン・ボム。現在のボンゴレの繁栄が、回り回って将来のナツのためになるんだ。」

 

 子供に言い聞かせるかのように、穏やかな声音で言葉を紡ぐディーノに、獄寺は黙り込む。

 自身が繁栄に貢献することにより、最終的に10代目を引き継ぐ奈月のためになると言われ、自身の思考を巡らせる。

 

「まぁ、とりあえずは誰かに相談するなり何なりして考えてみろ。いい返事を待ってるぜ。」

 

「…………。」

 

 告げられた言葉に、少しだけ俯く獄寺。

 しかし、不意にディーノが口にしたナツと言う敬愛すべき少女の名が出たことに顔を上げ、彼は静かに口を開いた。

 

「……ディーノ。お前、10代目からなんか言われてねーか?相談とかされたり……」

 

「?ナツから相談?………いや、ナツとは定期的に連絡を取り合ってるし、おとといも電話したりしたが、何も言われてねーぞ?」

 

「……そうか。」

 

「………?ナツに何かあったのか?」

 

 獄寺が口にした言葉に、今度はディーノが首を傾げる。

 相談事はされていないか、と言う質問が飛んでくると言うことは、彼女に何かしらの異変があると言うことだ。

 もし、彼女に何かあったら……少しの焦りを彼は抱く。

 

「……最近、10代目はどこか考え込むことが多くなったんだ。上の空……って程じゃねーが、どこか意識を遠くにやってて、時折消えそうだと思うことがあって……だから、何があったのか知りたかった。

 10代目は、お前やリボーンさんには何かしら話してることがあるからな。

 ………何もないならいい。オレは帰るからな。」

 

「…………」

 

 ファミレスから出て行ってしまった獄寺の背中を見て、ディーノは無言になる。

 立ち去って行った彼の表情からして、あまりいい状態ではないことをすぐに把握できたために。

 

「……ナツの様子がおかしい………?いったい……何が……」

 

 

 ───── 並盛中学校・廊下 ─────

 

 

 ファミレスから離れ、並盛中学校の敷地内に入った獄寺は、風紀委員長である雲雀がいないことを確認したのち、自分が通っている2年A組へと向かうための廊下へと足を運ぶ。

 向かう先は教室ではなく、その廊下に存在している消火栓。たどり着いたそこにしゃがみ込み、辺りをキョロキョロと見渡したのち、消火栓を何度か叩く。

 

「リボーンさん!相談があるんスけど!」

 

 側から見たら、あまりにもおかしな光景だろう。まるで消火栓を玄関のように叩き、人の名前を呼ぶのだから。

 普通ならば、それに応える声はなく、何やってんだこいつと言わんばかりの目を向けられる。

 だが、この学校にある消火栓は、多くの人間が思っている普通の消火栓ではない。

 

 勝手に開くことがないはずの消火栓。しかし、その扉は来客を迎えるかのように開き、同時にある人物が姿を現す。

 

「人生相談、うけたまわってまわってまわっております。」

 

 それは、占い師のような格好をした1人の赤ん坊……獄寺が目的としていた人物である、ヒットマンのリボーンだった。

 彼は占い師が使うような机の上に乗り、くるくると何度も回転しつつ、裏声で獄寺を迎える。

 彼の本来の姿を知っている奈月であれば、シュール過ぎるだろと引きつった笑みを浮かべて固まっていたかもしれない。

 だが、この場にいるのは獄寺とリボーンのみ。それにツッコミを入れる者など1人もいなかった。

 

「んだこのくされババアは!!!」

 

 さらに言うと、獄寺は目の前にいるのがリボーンであることに気づいておらず、怒鳴りつけるように言葉を紡ぐ。

 するとリボーンはくるくると回る最後の勢いと共に、自身が身に纏っていた占い師のような衣装を投げ捨てる。

 

「悪かったな。」

 

「リボーンさん!!?」

 

 現れた人物に絶句する獄寺。奈月がこの場にいたのであれば、間違いなくこう言っていただろう。

 “いや、なんでみんなしてリボーンが変装していることに気づかないのかな?”と。

 

 

 

 

 ……あれから落ち着きを取り戻した獄寺は、ディーノから持ちかけられた昇進の話を明かし、同時に、それを受けた際の自身の状況をリボーンに説明する。

 

「頭ではイタリア行った方が10代目のためとわかっていながら……オレを頼りにしている10代目のことを思うと踏ん切りがつかねぇっつーか……」

 

 もごもごと、まるで照れ隠しをするかのように、しかし、どことなくドヤ顔を見せているような獄寺を見て、リボーンは少しだけ無言になる。

 

「行っていいんじゃねーか?ナツはお前なんか頼りにしなくても何でもこなしちまうし。」

 

「なああ!!?」

 

 シレッと突きつけるように言葉を紡ぐリボーンに、獄寺はショックを受けたように顔を青くする。

 しかし、すぐに口元には笑みを絶やさず、だが、明らかに苛立ちを見せている表情を浮かべ、リボーンを見据える。

 

「確かに10代目は何でもこなしちまう御方ですが!!オレを頼りにしてくれることだってたくさんありますよ!!何言ってんスかリボーンさん!!」

 

 抗議するように言葉を紡ぐ獄寺に、リボーンはスン…とその表情から感情を落とす。

 

「頼りにしてねーだろ。基本的に全部こなしてんのはナツだし、そもそもオレだって頼られることがほとんどねーんだぞ。

 オレレベルの男ですら頼りにしてこねーナツが、いつお前を頼ったんだ?」

 

「はぐ!?そ、それは……き、今日だって、今この時だって頼りにしてくれて……る……はず……」

 

「「………………」」

 

 2人の間に気まずい空気が流れる。言われてみれば、2人して奈月にあまり頼られたことなくないか……?と非情なまでの現実に、互いに言葉を見失ってしまった。

 いや、リボーンはそれなりに頼られていると思っている。思っているのだが、それでも少な過ぎないか?と疑問に思ってしまうレベルの頼られなさだ。

 

 “オレのスペックならもっと頼られてもいいはずじゃねーか?”

 残念ながら、頼ってもらう以前に、彼女は前世と言うアドバンテージと、成熟した大人の精神、そして、あらゆることを努力すれば身につけることができてしまうと言うハイブリッド少女ゆえに、その疑問が解消されることはない。

 甘えることや頼ること、それは決して甘えではないと教え込むことができなければ、夢のまた夢となるだろう。

 

「……じゃあ、こうしてみるか。今日中に一度でもナツが頼ってきたら日本に残れ。

 頼らなかったらイタリアに帰るんだ。言っとくが、ママンから頼られることに関してはノーカンだぞ。ナツが獄寺に声を掛け、頼んだらカウントだ。」

 

「な、なるほど!」

 

「まぁ、結果は目に見えてるがな。多分ナツはお前を頼ることなく自分で何とかしちまうぞ。」

 

「やってみなきゃわかんないスよ!」

 

 リボーンの言葉に言い返す獄寺。リボーンはそんな彼を見つめては、少しだけ肩をすくめてその場から立ち去ろうとする。

 しかし、不意に彼は足を止め、少しだけ無言になった。

 

「リボーンさん?」

 

 様子のおかしいリボーンに、獄寺は思わず声をかける。

 リボーンは、しばらくの間無言を貫いたが、程なくして獄寺へと視線を向けた。

 

「……獄寺。ナツから何か聞いてないか?肝試しが終わった夜から、明らかにナツの様子がおかしいんだ。

 まるで何かを考え込むような、どこか遠くを見ているような……桜の花びらが風に飛ばされて一瞬でなくなっちまいそうな、そんな雰囲気がある。」

 

「!」

 

 リボーンが紡いだ言葉に、獄寺は驚いたように目を丸くする。

 それは、つい最近、自分自身も度々奈月から感じ取ることがある雰囲気と全く同じものであり、リボーンも同じものを感じ取っていたと言う証拠でもあった。

 

「それが……オレもよくわかってないんスよ。山本の野郎に聞いても、笹川や黒川に聞いても、三浦や芝生頭に聞いてみても全員様子はおかしいと気づいていても、その理由がなんなのかまでは全く……。

 オレの昇進の話を持ってきた跳ね馬の野郎にも聞いてはみたんスけど、どうやら跳ね馬の野郎のところにも話はいってないみたいで……」

 

「……そうか。」

 

 獄寺の説明を聞き、リボーンは短く答えたのち、その場からさっさと立ち去っていく。

 その表情は完全にボルサリーノのツバに隠れて把握することができず、獄寺はリボーンをただ見送ることしかできなかった。

 

 

 




 獄寺 隼人
 幹部への昇進の話にノリ気になったが、その概要を聞いてすぐに蹴ろうとした未来の右腕。
 自身のボスである奈月の様子がおかしいことに気づいてはいるが、そのことを聞こうにも、話しかけるとすぐにいつもの彼女に戻ってしまうため聞き辛くなりどうことができない。

 リボーン
 オレのスペックであろうともあいつはあまり頼ろうとしてこねーのに、オレよりスペックは低いであろうお前をあいつが頼りにしてるわけねーだろと感情が抜けた表情で言い返したアルコバレーノ。
 奈月の様子がおかしいことに気づいているし、何かあったのか聞いたりもしたが、何のこと?とまるで光を失ったような目で言ってくるため、追求することができなくなっている。

 ディーノ
 獄寺に昇進の話を持ってきたキャバッローネファミリー10代目ボス。
 獄寺から奈月の様子がおかしいことを知らされ、少しの嫌な予感と、奈月に何が起こったんだと言う疑問に苛まれる。

 沢田 奈月
 名前だけ出ていたボンゴレ10代目。
 肝試しの夜、夢幻の青年より告げられた言葉の意味を把握しようと考え込み、理解しようと思考を巡らせることが多くなり、明らかに様子が変貌している。
 そのことについて質問された場合、まるで拒むような目と声音で、質問を返すため、誰も聞くことができていない状況が続いている。

物語に関係ない好奇心からのネタ質問です。主人公に好意的な感情を向ける男キャラは、これから先も増えるのですが、主人公のファーストキスは誰が一番奪いそうだと思いますか?

  • リボーン
  • 大人リボーン
  • 獄寺隼人(事故チュー)
  • 山本武(事故チュー)
  • 雲雀恭弥
  • 六道骸
  • ディーノ(事故チュー)
  • ディーノ(意図してキス)
  • XANXUS
  • ベルフェゴール
  • 白蘭
  • 古里炎真(事故チュー)
  • させないよ?(女性陣の壁)
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