最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「入ファミリー試験の内容は簡単だ。とにかく攻撃を躱せ。」
頭を抱えてどうにもならないと嘆いていると、リボーンが入ファミリー試験とか言う訳の分からない試験の内容を簡潔に話す。
その言葉にハッとして顔を上げると、リボーンは手元にナイフを複数持っていた。
「まずはナイフだ。」
言葉と同時に放たれる複数のナイフ。それは間違いなく本物で、明らかに当たったら大怪我どころじゃ済まない。
武は投げられたナイフを見て、持ち前の反射神経を使って、その全てを躱し切る。
すごいとは思うけど、やはり命に関わるようなことをさせるリボーンを許せるはずもなく、急いで武を庇うように前に出る。
「リボーン!!本気で武を殺す気な訳!?あと隼人!!殺気立ってるのモロ分かりだからね!?」
「さ、流石です10代目!!」
「そんなことを讃えられても嬉しくない!!」
怒鳴りつけるようにそう告げれば、隼人は勢いよくすみません!!と頭を下げる。
しばらくはこれで大人しくしてくれたらいいけど……そう思いながら、リボーンに目を向けようとしたら、ぽすっと頭の上に優しい衝撃と温もりが触れた。
「まあ、待てナツ。男はガキん時に木刀を振り回して遊んだりすることがあるんだ。それの延長戦みたいなもんだから、気にする必要はねーって。つきあってやろうぜ。」
「これを見てもまだ遊びだと思ってんの!?」
まさかの武の認識にショックを受ける。なんでこの子、ここまでど天然な訳!?
遊びの範疇にないこの状況を、なんで遊びって言い切れんの!?
「ボスとしてナツも見本を見せてやれ。」
「は!?私も!?」
「そいつぁーいい。どっちが試験に受かるか競争だな。」
「ちょ……本気!?」
「行くぞ。」
「ま!?ああ〜〜〜〜〜もう!!何でこうなるかなぁ!?」
ストップをかけようとしていたはずなのに、なぜか武と同じことをやらされることになり、叫ぶように状況の異常さを指摘する。
しかし、マフィアなリボーンにこの指摘など通用するはずもなく、ナイフ投げが再開される。
空を切るような気配と、視界に映り込む銀色の放物線でなんとか飛んでくる位置を把握して、それを全て回避すれば、隣から笑い声が聞こえてきた。
すぐにそっちに意識を向けると、武がどこか楽しげな様子を見せていた。
「ナツが預かってるあいつ、いい肩してら───。それに、ナツも全部躱せてすげーな!」
「何でこの状況を楽しめんの……!!もう────男子ってよくわかんないなぁ!!」
次々飛んでくるナイフと、この状況を楽しんでる様子の武にまた頭を抱えそうになる。
そんなことしたら危ないのはわかってるから、頭なんて抱えてる暇なんてないけど。
「しかし、最近のおもちゃってリアルな───。本物のナイフにしか見えなかったぜ。」
「……私は君の将来がめちゃくちゃ不安だよ。」
そんな中紡がれた武の言葉に、最早呆れしか出てこなくなってしまった。
なんであれをおもちゃと思ってるんだこの子は……。ていうか、この世界の人間の状況認識力おかしくないか?
そりゃマフィアなんてものが普通に存在してるような世界だから、一般の人もどっか抜けてないといけないのかもしれないけど、流石にここまで行くと、この世界を生きてる人の行末が不安だわ。
「ナイフはここまでだな。次の
「うわ、いつのまに先回りしたんだこのマフィア!!」
「やるねー!」
「こっちは相変わらず楽しんでるし……!!」
どうやって先回りしたのかわからないリボーンに足止めをされ、なんとかこの場から離脱するために体を反転する。
しかし、反転してすぐに離脱する前に、別の厄介ごとがやって来てしまい、走り出すことができなかった。
あまりにも聞き覚えのある声が、私の鼓膜を揺らしたために。
「あ、ナツ見っけ!ガハハハハ!!ついでにリボーン見─────っけ!!」
「は!?」
「今度は何だ?」
慌てて声の方へと目を向けてみると、どうやって入り込んだのか、避難用の階段の上にランボの姿があった。
思わず目を見開いて固まってしまう。だが、ランボは私と目が合うなり無邪気な笑顔を見せて手を元気よくこちらへ手を振ったあと、自信満々の表情を見せてリボーンの方へと目を向ける。
「オレっちはボヴィーノファミリーのランボだよ!!5歳なのに中学校に来ちゃったランボだよ!!」
「ランボ!!なんで並盛中に入って来てるの!?留守番しててって言ったよね!?」
「だってナツの家にいてもつまんないもん!!ママンは忙しそうだしリボーンもいないし!!ナツもいないからつまんないもん!!ランボさんも学校行く!!ナツと一緒に学校行って遊びたいの!!」
「学校は遊ぶ場所じゃないからね!?学校終わったらいっぱい遊んであげるからちょっと我慢して!!」
「ヤダヤダヤダヤダ!!ナツと遊びたいの─────!!」
駄々こねるランボに頭を抱える。懐かれた反動が、まさかこんなところでやってくるとは思わなかった。
前世で友人が、下の子がついていくと言って聞かないのって言葉の意味と大変さが、今わかったような気がする。
「ボヴィーノ?聞かねー名だな。リボーンさん、どうします?」
どうやってランボの機嫌を直しながら、大人しくしてもらおうと思案していると、隼人の声が聞こえてくる。
すぐに声の方へとを向けてみると、アメ玉を転がしながらも、リボーンにランボのことを相談する隼人と、一瞬だけランボに視線を向けるリボーンの姿があった。
「……続行。」
わずかな間を空けて、リボーンが出した返答は、入ファミリー試験と言う巫山戯た試験の続行。
同時に放たれたボウガンの矢を、武は体を翻すことで回避して、私は掴み取って勢いよくリボーンに投げ返すことで被弾を防ぐ。
「危ねっナツの奴本気で投げ返して来やがった。」
「やはり10代目はお強いです!!」
「こらそこ!尊敬レベルを上げるな!!」
リボーンに一泡吹かせてやれるかと思ったけどあっさりと躱されてしまった。
やっぱりこれくらいじゃ少し怯ませるくらいしかできないか。しかも、今ので油断を取り払われただろうから、二度は通用しないかもしれない。
「……そーっおだ!イタリアのボスが頑張ってるランボに武器を送ってくれたんだもんね!パンパカパ〜ン!ミサイルランチャ〜〜〜ッ!!ってことで
なんてことを考えていると、ランボが爆弾発言を投下してきた。同時に聞こえてくる無機質な音は、間違いなく私と武側の方に飛んできているものだった。
音の方を慌てて見てみると、複数のミサイルがこちらに飛んできている。
「危な!!?」
「うおっと!?」
ボウガンとミサイルの両方を躱せば、辺りに爆発音が轟き、爆風がその場に吹き荒れる。
飛んでくる砂塵と小石は、なるべく被弾場所から離れた位置に移動することでなんとか避け切れた。
「フ─────ッこいつぁ、なめてっと合格できねーな。」
「これでもまだ遊びだと思ってんの?」
「なかなかリアルだよな!」
「事実現実に起こってることなんだけど……?完全に命の危機だよ、もうやめない?」
「次はサブマシンガンだぞ。」
「いや、さらに殺傷力あげてこないでくれないかな!?」
「ちなみに、これは見習いの殺し屋レベルだ。」
「マフィアって銃弾躱せんの!?あれフィクションの中だけじゃないわけ!?って本当に撃ってくるな!!」
無機質な連弾音を連続で回避していると、再びミサイルの発射音が聞こえてくる。
一度だけミサイルの軌道に目を向けた私は、地面を勢いよく蹴り上げることでバックステップを取り、被弾する可能性が高い場所からなんとか離脱する。
辺りに爆発音と爆風、弾丸が飛び交う中、隙を見て武の様子を確認してみれば、彼もなんとかこの猛攻を躱しているようで少しだけ安堵する。
「10代目!!」
でも、その安堵も束の間。離れた位置から聞こえてきた隼人の声に気づいた私は、隼人がいる方角へと目を向ける。
そこにいる彼は、ウィンクをしながら、片手で何か合図をしていた。最初は意味がわからず、訝しげに彼を眺めたが、彼の手元に用意されたダイナマイトが確認できたことにより、その意味を理解する。
「ちょ!?まさか……!!ウソでしょ!?」
視界全体で確認できたのは、ダイナマイトに火をつける隼人と、ロケット弾と思わしものを発射するための砲台の引き金に手をかけるリボーン、そして、いつのまにか大きな方になったランボの電撃を受けた、複数のミサイルを撃つための砲台だった。
辺りがスローに見える中、放たれる無数の攻撃。どうやって躱せばいいのか思考を巡らせるが、状況が異常過ぎるせいで、思考回路がまとまらない。
「ナツ!!!!」
そんな私の意識を現実に引き戻したのは、隣にいた武の声と、力強くこちらの体を引き寄せる腕の温もりで、驚いて彼に視線を向けたら、視界が暗転する。
破壊音と爆風に包まれる中、すぐ近くにある温もりに強く抱きついて力を込めれば、私の頭と体を守るように、力強く抱きしめ返された。
しばらくの間、ゴロゴロと地面を転がる感覚を覚える。でも、程なくしてその感覚はなくなり、ようやく目を開けることができた。
開いた視界に映り込むのは、化繊でできた白の布。それにより私は、武に抱きしめられる形で守られたことを理解した。
「フ─────……あぶね───あぶね───……。ナツ。怪我はないか?」
「ぁ……ありがとう……。武が守ってくれたおかげで、ちょっと擦り傷ができた程度で、大きな怪我はなかったよ……。それより、そっちの方がかなり怪我してるんじゃ……。」
「だーいじょーぶだって。これくらい平気平気。そんなことより、ナツに大きな怪我がなくってよかったぜ。」
にぱっと無邪気に笑って見せる武に、ありがとうともう一度伝えれば、気にしなくていいと頭を撫でられる。
大人しくそれを受けていると、2人分の気配が近づいてくるのがわかった。
すぐにその気配に視線を向ければ、隼人とリボーンがやってきた。
「試験合格だ。お前も正式にファミリーだぞ。」
「サンキュー。」
やってきたリボーンは、すぐに武に話しかける。今回の身のこなしから、彼はリボーンのお眼鏡にかなってしまったらしい。
正式な加入を告げられた武はと言うと、笑顔でその言葉にお礼を言った。
まだ楽しんでるよ……と少しだけ眉間に皺を寄せる。命が危なかったのに、なんでこうまで楽しげなのか、全くもってわからない。
そう思いながら、気分を落ち着かせるために、ポケットに入れていたレモン味のアメ玉を口内に放り込む。
しかし、すぐに意識はアメ玉ではなく、武に近寄る隼人の方へと向けることになった。
武に近寄った隼人は、彼の胸ぐらを掴み、勢いよく自分の方へと引き寄せる。
そして、口元に笑みを浮かべたまま、静かに口を開いた。
「よくやった。10代目を守ったんだ。ファミリーと認めねーわけにはいかねぇ。でも、10代目の右腕はオレだからな。お前はケンコー骨だ!」
「け……ケンコー骨!?ハハハハ!!前から思ってたけど、獄寺って面白ぇー奴な!だが、ナツの右腕を譲る気はないね。お前は耳たぶってことで。」
「んだとコラァ!?」
「………右腕が嫌ならどっちかが左に来ればいいだけじゃない?」
「「左?」」
「右手は利き手。私がよく使う方の腕だから、仕事をよく任せることがある。左手はそこまで使うわけじゃないけど、両手を動かさないと、基本的には何もできない。
両翼あってこそのトップって奴だよ。これなら納得できるだろ。」
「「……なるほど。」」
「じゃあ獄寺が左腕な。」
「てめーの方が左腕だ!!」
くだらない言い争いをし始めた2人の様子に溜息を吐きながら、私はその場から立ち去る。
でも、その足はリボーンに名前を呼ばれたことにより、一時的に止めることになった。
「……悪かったな。今回のはオレもやり過ぎた。ナツと山本に、大きな怪我がなくてよかったぞ。」
リボーンから紡がれたのは謝罪の言葉。流石の家庭教師でも、今回のこれは、やり過ぎたと思ったようだ。
まぁ、どうせ彼のことだ。落ち着いているように見えて、心の底では、ひどく私が怒っていることを理解しているのだろう。
「……しばらく話しかけないで。今回のことは、簡単に許すことはできないから。」
「……ああ。わかった。しばらくはマフィアの勉強は休んでいいぞ。獄寺には、ナツへの謝罪と、しばらくの接近禁止指示を出しといてやる。落ち着いたら、また話しかけてこい。」
「………。」
リボーンの言葉に返事を返すことなく、私は校舎へ向かって走り去る。
しばらくの間は1人になりたい。気分が落ち着くその時まで。
沢田 奈月
今回の出来事にかなり怒っていた転生者な10代目。
しばらくの間、リボーン達と話すことなく、1人で行動を取ることを決めた。
リボーン
奈月の静かな怒りを感じ取り、流石にやり過ぎたと反省した家庭教師。
必要なこととは言え、女を怪我させてしまったことも少しだけ悔恨になっているのか、しばらくは家でも学校でも話しかけないことを決めた上、彼女が落ち着くまでは、使われていない部屋の一つである家光の部屋で寝泊まりする。
獄寺 隼人
このあと、自身が元凶となり、奈月を怒らせてしまったことをリボーンから聞かされて全力で奈月に土下座をしに行く最初のファミリー。
リボーンから、謝罪した後は奈月が落ち着くまで近寄らないように指示されて、反省も含めて彼女から距離を置くことになる。
山本 武
入ファミリー試験をクリアしてファミリーに加わった2人目。
奈月に大きな怪我がなくてよかったと安心するが、さっきまでのやり取りは、ごっこ遊びとしか認識していない。
最近のおもちゃってリアルなのな。
ランボ
途中で乱入してきたボヴィーノの雷少年。しばらくの間、リボーンが奈月から離れて寝ることを良いことに、奈月とのおやすみタイムを獲得することになる。