最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
Natuki side.
骸のフォローを受けながらも、黒曜中学校での授業を過ごす。
中学3年生の内容と言うだけあり、中2の内容からより複雑な授業が繰り広げられていたが、かつて大学まで出て、社会に身を投じていたわたしからすると、特に問題が発生する程難しくもなく、そう言えばこんな内容があったな……懐かしい……と言う感情のみしか感じなかった。
……黒曜中の授業は、最後に必ず今日習ったところのおさらいをするために、習った部分を使った小テストが行われるものだった。
習ったことの応用問題のため、数学や英語で苦戦する生徒がいると授業合間の休憩時間に骸が教えてくれたけど、まぁ、わたしは全くと言っていい程に関係ない。
骸も頭がいいからか、同じく問題などなくて、平然と満点を叩き出していた……けど、国語は苦手なのか、かなり躓いているのが繋がりを通じてわかった。
そのことに少しだけ笑いそうになったが、脳内に直接“笑わないでくれません!?”と告げられたことにより、笑い声は漏らすことはなかった。
……何の変哲もない子供のように、普通の学生のようにクリアした午前中の授業も終わり、現時刻は12:40……いわゆる昼休憩の時間だ。
骸の話によると、13:15までが昼休みのようで、この時間帯の間は自由にできるらしく、昼食を食べたり、グラウンドや体育館で自由に運動していたり、図書室で本を読んだり、委員会が仕事をこなしたりと様々なことをしているのだとか。
この時間帯の間、骸は基本的に生徒会長代理としての仕事をこなしていることがあると言っていた。
まぁ、今日はわたしのこともあり、今日提出しないといけない書類はすでに片付けて来たようだけど。
「……にしても意外だったな。骸って国語苦手なんだ。」
「いや、だってたまに日本語ってよくわからないじゃないですか。百人一首とかかなり混乱しますし、どうして古来の日本人はこんな言葉を口にしたんだとか思いません?
短歌って日本にありますが、その単語の“なりけり”とか、なぜあれで“〜であった”の意味合いになるんですか。」
「うーん……昔の人じゃないからわたしにもわからないかな。」
「他にも国語に含まれている内容には異議申し立てをしたいものが山程ありますよ。
確かに日本語は話せますが、こっちは元々イタリア出身ですし、同じ言葉であっても複数の意味がありすぎて最初はかなり混乱しましたよ。」
どことなく不機嫌な様子を見せながら、国語の授業に対する不満を口にする骸に苦笑いをこぼす。
前世では純日本人だったし、今もイタリアの血が色濃く出ているとは言え、生まれも育ちも日本だし、国語に関しては何とも思わないんだけど、やっぱり外国の人からすると混乱することあるんだ。
「オレも国語は無理びょん……」
「犬の場合は全教科苦手だろ。赤点ギリギリばかりだし。」
「うるへー!メガネ割るぞ!?」
「メガネにヘイト向けるんだ……」
「やめなさい、2人とも。」
人払いを済ませた空き部屋で、3人と一緒に昼食を食べる。
骸曰く、こっちの方は生徒会長代理としての権限を利用して、誰も近寄らせないようにしたようだ。
職権濫用……と思ったけど、元々ここは不良の溜まり場だったので、不良を制圧した際に、近づけなくすることができたのだとか。
話を聞く限りだと、こっちの不良も相当厄介な上、やばいことをやらかしていたらしい。
まぁ、話を聞く限りだと、骸は骸で相当なことをやらかしているみたいだけど、それに関してはツッコまない方が良さそうだったのでスルーしておいた。
「奈月。」
「ん?」
サラダとおむすびをもぐもぐ食べていると、骸に名前を呼ばれる。
視線をそっちに向けてみると、コンビニで買っていた2種類の板チョコが挟まってるパンを半分にしてこっちに差し出していた。
むすびを食べ終わり、それを受け取ったわたしは、すぐにパンを口にする。
「「「一口ちっさ」」」
「ん?」
「あ、いえ、すみません……」
「一口がめちゃくちゃ小さいびょん……」
「すぐにお腹いっぱいにならない?それ。」
「……?ならないよ?」
その瞬間告げられた言葉にわたしは首を傾げる。
どうやら、ここの3人から見ると、わたしの一口はかなり小さいようだ。
考えたことなかったため、何度か瞬きをしたあと再びパンを食べ進める。
「このパン美味しい。」
「ええ。それには同感です。割とコンビニって美味しいものありますよね。」
「菓子はスーパーや駄菓子屋の方が多いれすけどね。」
「犬は菓子食べ過ぎ。」
「規模が違うのと、専門にしてるか否かの違いがあるからお菓子の陳列量の違いは当たり前だよ。」
何となしの日常会話を行いながら、骸に渡されたパンを食べ切ったわたしは、荷物の中からチョコ入りマシュマロを取り出し、袋を開ける。
「ん。個包装されてる奴だし、今のうちに分けちゃおっか。」
「え?オレも食っていいびょん?」
「オレももらっていいんだ……」
「?いや、沢山入ってたらみんなに分けるよね……?」
「「え?」」
「え?」
当たり前のように分けるわたしと、よくわかってない犬と千種。
あまりにも対極過ぎる反応に互いに困惑していると、すぐ側にいた骸が吹き出した。
「うわ!?いきなり吹き出さないでよ!!」
「ク……ッ……す、すみません……っ……あまりにも3人が対極的な反応を見せていたので、つい……」
肩を揺らして笑い声を必死に堪える骸になんでツボに入ってんだとツッコみたくなるが、しばらく笑いが収まりそうにない様子のため、視線を再びマシュマロに向ける。
数としては22個か。となると、1人5個ずつは確定で、残りの2つはわたしと骸に追加して6個……が正解かな。
「これが犬。こっちが千種。これは骸で、こっちはわたし。はい。分配完了。」
「ご、5個も食っていいびょん!?」
「買ったのは奈月でしょ?」
「?確かにわたしが買ったけど、複数ある時はちゃんと分配するよ。」
「僕は6個入ってますが、これに関しては?」
「え?骸がチョコ好きだから多めに入れた。」
「……奈月。僕も5つでいいのであなたが7つ食べなさい。」
「ええ……?」
なぜ……?と困惑するが、わたしの困惑など無視するように、骸から渡していた6つのうちの一つを返却される。
……前世でリョウやスイと一緒にいた時、普通に3人でお菓子を買ったら均等に分けて、分ける対象になっていたお菓子が好きな子には多めに渡すのが当たり前だったし、3人とも気にせずに過ごしていたから返却されるとは思わなかったんだけど。
「おかしいかな……。幼馴染み達と過ごしていた時は3人ともこれが当たり前だったんだけど。」
「前世のあなたの幼馴染み達も全員にものを分けるタイプだったんですか?」
「うん。わたしの幼馴染み……2人くらいいてね。リョウとスイ……
それで、お菓子を食べながらスイの家で遊んで帰るのが当たり前でさ。好きなものがあったら、分ける際にそのお菓子が好きな子には多めに分けてたんだよ。」
「ふへ〜……めっちゃ仲良しびょん。」
「男2人に女1人って目立ちそう……」
「実際めちゃくちゃ目立った。小学生までならともかく、高校や大学に行った時も、わたし達は3人一緒でね。
距離感バグりすぎって言われたっけ……。まぁ、今思えばわたしって、学生時代は、よくスイの膝の上に座ってたし、リョウが昼休憩中に寝るって言った時は膝枕したりしてたし、確かに距離感はおかしかったかも……」
「へぇ……。そうなんですね……」
「Oh……めちゃくちゃ不機嫌オーラ満載……」
骸からジト目で睨まれてしまい、思わず視線を逸らしてしまう。
多分……これって嫉妬……?それとも別の何か……?可能性としては前者な気がしてならないなぁ……。
「……互いに社会に出てから、リョウとスイは警察官になって、わたしは大企業に就職して……って感じになって、音沙汰がほとんどなくなった。
まぁ、リョウだけはわたしの側にいてくれたんだけどね。アレがあったから……」
「「アレ?」」
「ああ……ストーカープラス強姦未遂三連続ですか……」
「ゲッ……」
「うわ……」
そんなことを思いながら、わたしはかつての自分の話を行う。
骸が補足するように、わたしが口にしたアレと言う言葉の意味を口にした瞬間、犬と千種は表情を歪めた。
まぁ、それくらいの意味はわかっていたのだろう。牢獄暮らしと言うことは、そう言った変態共が収監されているのも見ていただろうし。
「そう言うこと。」
「翠星と言う方は、奈月の側にいなかったのですか?」
「……うん。彼は側にいなかった。警察官になったあと、かなり功績を残してね。
最終的に警視庁の一課に推薦されて引き受けていたから、忙しくなっちゃったのか、スイと会うことも連絡もできなくなっちゃって、最期まで会わず仕舞いだったよ。」
小さく笑いながら、今でも覚えている2人のことを思い出す。
赤茶色の髪と瞳をした、誰よりも熱く、しっかり者で、例え功績を評価されていい場所へ推奨されても、わたしの側に寄り添うことを選んで守ってくれていたリョウと、青みがかった黒髪に、青い瞳を持っていて、掴みどころがなく飄々としていたけど、離れるまでずっとわたしと一緒に過ごして、だけどしょっちゅう口説いてきて、困った姿を見せるけど、誰よりも優しかったスイ……。
結局、わたしは精神が壊れて、自ら命を投げ出してしまった身ではあるけど、この2人だけはずっと気がかりだった。
「……本当に、誰よりもわたしのことを支えて、側にいてくれた大切な幼馴染み達……。
あの2人とずっと笑いながら過ごしていた学生生活は……今思えばどれだけ辛いことがあっても幸せで……わたしも、素直に甘えることができていた気がするよ………。」
手にしていたチョコレート入りマシュマロの包装を破り、白くてふわふわなそれに静かに噛み付く。
……そう言えば、マシュマロが好きになったのも、あの2人から誕生日にもらって、初めて食べたからだったっけ。
あの時はいちごマシュマロで、甘酸っぱいのとほんのりしたバニラの甘さがあって、しかもふわふわぷにぷにで……食べたことがない感触に驚いたけど、それがたまらなくクセになって、気がついたら食べるくらいにハマってたな。
「……ごめん。変な話しちゃったね。忘れて。」
わたしがいなくなったあの世界で、2人は何をしてるのかな……?幸せに過ごせているかな……?
そんなことを考えながら、マシュマロを食べていたら、3人が無言になっていることに気がつく。
その様子を見て、こんな話、するべきじゃなかったかな……と反省しながら、お茶を飲んでいると、「奈月」、と骸に名前を呼ばれる。
「ん?どうしたの?」
「…………。」
名前を呼んできた骸に、首を傾げながら話しかけると、彼は少しだけ思案するように無言になったあと、静かにわたしの方へと視線を向けてきた。
昼と夕方が共存している2色の瞳には、何かを決めたような光が宿っていた。
「……僕は、奈月の幼馴染み達のようにはなれません。立場が立場ですし、あなたが見てきたもの以上にひどい地獄の世界を見てきたため、普通の人間の不幸と言うものに共感ができないものですから。
ですが、あなたの寂しさや辛さ、苦しみを僕は知っていますし、彼らがどれだけ大切で、あなたを人間たらしめる要だったのかもわかります。
そして、あなたの優しさが、彼らの優しさを受け取り続けていたことや、愛され続けていたことから生まれ、今度はあなたがそれを他の人に与えようとしていることも。」
真っ直ぐと向けられる2色の瞳。
彼の口元には穏やかな笑みが浮かび上がり、瞳には強い優しさが宿る。
「実際、僕はあなたから混ざりっ気のない優しさを沢山分けていただきました。
精神世界で一緒に散歩をして、あなたの記憶を元に作り上げた遊園地で沢山遊び、沢山の贈り物を与えてくれた……。
これらのあなたの行動は、僕にとって大切で、輝く宝物となっています。
おかげでとても息がしやすくなりました。様々な感情や欲が飛び交うこの世界で、ここまで気持ちが穏やかになることがあるとは思いもよりませんでしたよ。」
骸がそっとわたしの頬に手を伸ばし、手の甲で優しく緩やかに撫でつける。
少しだけくすぐったく思いながら、骸を見つめ返せば、優しい眼差しと視線が絡み合う。
「だから、彼らのようにはできなくても、少しくらいは彼らの代わりを僕にやらせてください。
誰にでも尽くし、他人の幸せを願い、自己を犠牲にしてしまう機械のようになってしまった桜のあなたを、人間に戻すことができる存在にさせてください。
あなたの幼馴染み達のように、真っ当な道は歩いていませんが、マフィアに対する敵意は誰よりもありますので、例えあなたを向こうに連れ戻そうとする影があろうとも、僕ならばそれを全て壊すことができますから。」
穏やかな声音で、自分をリョウとスイの代わりにして欲しいと言ってくる骸を見つめる。
マフィアに対する敵意……その言葉に、思うところがないと言えば嘘になるけど、そんな言葉とは裏腹に、確かな優しさが言葉と声音に含まれていることはわかるから。
「……ありがとう、そんな風に思ってくれて。」
お礼だけは伝えよう。
その申し出を引き受けるかどうかは、すぐに決めることはできないけど、その優しさと、わたしの精神や心を守りたいと言う想いは、本物であることがわかるから……。
沢田 奈月(桜奈)
別にずっと息苦しかったわけではなく、何の変哲もない女の子として過ごすこともできていた転生者。
2人の幼馴染みに大切にされていたこともあり、その2人と過ごしていた時は、素直に甘えることもできていたのだが、彼らと離れ離れになってからは、息を抜ける場所がなくなってしまい、手遅れになるまで異変に気づかれることもなく、誰かに尽くすばかりの暴走状態に陥っていた。
六道 骸
距離感がおかしくなっていた幼馴染み♂2人の話を聞いて、嫉妬で不機嫌になったが、桜奈からその幼馴染みといた時は、素直に甘えることも、笑うこともできたのだと聞き、その幼馴染み達の代わりをさせて欲しいと口にした脱獄者。
自分は真っ当でもないし、桜奈が見てきた以上のひどい地獄を見てきたため、一般的な人間の不幸には共感できないが、そんな自分にも優しさを分けてくれた桜奈のおかげで息苦しさが解消されていたのも事実のため、自分も桜奈を息苦しさから助けたいと思っている。
犬&千種
自分で買ったものを均等に分けるのが当然である奈月にかなりビビり散らした脱獄者達。
え?オレ達もこんなにもらっていいの?マジで?普通自分で買ったなら自分のものだし均等に分けたりしなくない!?
リョウ&スイ
桜奈の幼馴染みだった2人の男性。桜奈を唯一、ただの女の子に戻すことができていた2人だが、片方が離れた場所に行ってしまった結果、寂しいけど忙しいから仕方ないし、甘えるのは申し訳ないと言う考えを持ち始めた桜奈が無意識に甘えることを封じてしまい、最期は一度も3人が集まることなく、永遠の別れを迎えてしまった。
もし、3人が定期的に集まることができていたのであれば、未来は変わっていたかもしれない……。