最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
帰宅ついでに寄ったスーパーで、少しの買い物を……。共に過ごす3人の脱獄者達との穏やかな日常は続く。
主人公 side.
1日の学業を終え、骸達と共に帰路に着く。
思っていたよりあっさりと黒曜中学校に馴染んでしまったわたしは、彼らに囲まれて歩く中、話しかけてきたクラスメイト達に挨拶を返しながら門を出た。
「……うーん……まさか、ここまでサラッと馴染んじゃうとは思わなかったな。
幻術と、骸の力が合わさっているとは言え、ここまで認識阻害が学校全体に発生するなんて……。」
やっぱり骸の力ってすごいな……と小さく呟いていると、隣で当本人が小さく笑い声を漏らす。
視線をすぐに向けてみれば、彼は穏やかな笑みを浮かべながら、わたしのことを見つめていた。
「これくらい朝飯前ですよ。言ったでしょう?僕であれば、あなたをどこまでも逃すことができると。
それは全て、この六道輪廻のスキルを使いこなせるからです。ここに、さらにあなたの力が合わされば、余程のことがない限り、マフィアの連中にバレることはない……。
まぁ、僕に並ぶか、上回るような術師であれば、見抜くことはできるかもしれませんが、幻術を同時に使用することにより、完全ではないとは言え、気配を有耶無耶にすることもできるので、術士が長居しない限りは僕らがいることなどわかりません。」
「へぇ……。わたしはまだ、幻術を使い始めて1年しか経ってないから、詳しいことはわからないけど、使いこなせるようになったら、結構使い勝手がいい能力なのかな……。
他人からしたら、厄介極まりないのかもしれないけど……。」
「まぁ、そうでしょうね。幻術は五感の支配とほぼ同義ですし、他人に五感を掌握されたら、それを利用した幻術により苦しめられることは間違いないです。
やり方によっては、最悪な悪夢を繰り返し見せ続けて精神を崩壊させ、そこに乗じてマインドコントロールを施し、傀儡にすることもできますしね。」
「発言が物騒……。マインドコントロールを施すための隙を悪夢で抉ることで無理矢理こじ開けるなんて……わたしじゃ考えつかないことだよ。
まぁ……そもそもわたしは幻術は使えても、マインドコントロールは使えない人間なんだけどね。」
「使えたら便利ですが、確かにあなたは使えないですね。」
穏やかな声音でする話じゃないと言いたいところだが、これを言ったらまた犬と千種から骸は元からこんな感じだからとツッコミを入れられてしまいそうなので黙っておこう。
そんなことを思いながらの家路途中、わたしは視界に入り込んだスーパーへと視線を向ける。
「このスーパーか。スミレさんが教えてくれたの。確か、離れた場所に広いお店があって、近場にあるのは小さい場所だから、ちょっとした物を買うのには最適かもしれないけど、沢山の食材を買うならここがいい……だったかな。」
「おや。では、寄って帰りましょうか。食材を買っておきたいと言ってましたよね。」
「うん。これから料理を担当する身としては、しっかりと材料は買っておきたいんだ。
趣味のお菓子作りも時間がある時にやりたいし、多目の買い物になるけど、学校帰りに一々買って帰るのもめんどくさいし、現状からお金を引き出すスパンはなるべく少なくしたいから。」
「へ!?咲良ってお菓子も作れんの!?」
「ん?うん。作れるよ。むしろ、料理よりお菓子作りの方が得意だからね。今度、何か作ってあげるよ。」
「うっひょ─────!!めちゃくちゃ楽しみびょん!」
「颯、うるさい。目立つだろ。さっさと必要な物を買って帰りましょう、蓮さん。」
「ええ。そうですね。」
骸達と言葉を交わしながら、わたしはスーパーの方へと足を運ぶ。
……特売品とか、タイムセールとかやってくれているなら、しっかりと必要な物を安く買い揃えられるんだけど、あるかな?
……………
………………………
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─────……数十分後……─────
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………………………
……………
「……思った以上に買いましたね?」
「いやぁ……タイムセールとか特売品とか見たら、つい買っちゃうんだよね。
OL時代の時は、家賃や光熱費、税金、保険、その他必要経費諸々の支払いを考えて食材を買う必要があったから、タイムセールと特売品はかなり重宝していたんだよ。」
「でも、これはちょっと買過ぎじゃない?買い物袋5袋分って……」
「お菓子作り用の物が1袋……残りが食材の4袋……なかなかの買い物ですよね。」
「こんなに買ってどうすんらよ……」
「え?普通に1週間で全体的に食べ切ることができるよ。まぁ、一人暮らしだったら無理だけど、ここにいるのは4人だし。」
スーパーの中をうろうろしまくり、必要な物を買い漁ったわたしは、荷物を男性陣に持ってもらいながら、帰宅するために通学路を歩いていたら。
あれこれ買っていたせいで、なかなかの量になってしまったが、今日の朝食を食べていた量から計算して、これくらいなら1週間で食べ切ってしまうことは理解できていた。
「こっちの町って100均みたいなお店あったりする?」
「100均……100円均一ショップでしたっけ……?」
「うん。」
「一応、商業施設が固まっている場所ならバスで行ける位置にありますが……」
「そっか。なんとか気配を誤魔化して、そう言う場所に行けるのであれば、ちょっと行ってみたいんだよね。
そう言うところって、割と使い勝手のいい道具とか容器とかあるから。」
「ほぉ……そうなのですね。それは少し気になります。」
そんなことを思いながら、ここら辺から迎える100円均一ショップはないだろうかと口にする。
すると、100均について聞いてきたため、そこに行けば大抵の便利道具は揃うことを伝えれば、興味を示した。
「大きい街の方って行けましたっけ?」
「行けるには行けますよ。ただ、幻術による気配の誤魔化しは必要不可欠になりますね。」
「どうするんですか?」
「そうですね……。咲良の幻術と僕の幻術を混ぜること……が一番手っ取り早いでしょうか。
1人分の幻術では誤魔化せる時間も範囲も対象も限られてきますが、あえて2人分の幻術を混ぜ合わせることで何もかも有耶無耶にすることは理論上可能なんですよ。
ある種の催眠のようなもので、1人では難しい技術ですが、2人でやれば普通にできます。」
「ほへぇ……幻術ってそんなことにも使えるんれすね……。」
「相当な技術量が必要になりますがね。ですが、咲良の能力であれば可能な技術ですから、今度街の方に行ってみましょうか。」
「ですが、蓮さん。流石に4人で行くのはいささか2人の負担が大き過ぎるのでは?
特に犬は落ち着きがないですし、そう言う場所に言ったら能力効果の範囲外に行く可能性もあると思いますが……。」
「なんらと!?」
「ああ……まぁ、それは否定できませんね。どうしましょうか。」
「蓮さんまれ!?」
街の方に行きたいと口にしたわたしをどうやって街に連れて行くかを骸は思案し始める。
……なんか、これ。ちょっと失言しちゃったかな。ただでさえわたしは骸に連れ出されて家出状態……誰の連絡にも出ることはせず、無言を貫いているし、骸の認識としては、わたしを誘拐したも同然なわけで……。
立場からしたら、この発言は良くなかったかも……。
「あー……難しく考えなくてもいいよ。なんとなく聞いてみただけだから。」
これは、早めに訂正をした方がいいかもしれないと思い、わたしは骸に気にしなくていいことを告げる。
すると骸は一瞬驚いたような表情を見せるが、すぐに顰めっ面を見せてきた。
「……咲良。本音はどうなのですか?」
「え?」
「ですから、あなたの本音ですよ。本当は行きたいのか、それとも行きたくないのか。」
早く教えなさいとでも言わんばかりの様子を見せる骸に困惑する。
わたしの本音は……行きたいのか、行きたくないのか……。そりゃあ、行けるものなら行ってみたい。
これだけの材料があるとなると、1週間持たせるための保存法を使う必要もあるから。
でも………
「……蓮達に迷惑や負担をかけるわけにもいかないし、本来ならこんなことを言える立場じゃないんだ。
それに、負担諸々もあるけれど、蓮達の立場を考えると、こんな話を聞いてもらうわけにも……」
「咲良。」
「!」
少しだけ苛立ちを含んだ声音に、思わず体をビクリと跳ねさせる。骸がここまで苛立ちを見せた声音は、初めて聞いた。
少しだけ背筋が凍るような寒気を覚えながらも、静かに骸に目を向けてみると、青と赤の2色の瞳に、わずかな怒りが混ざっている。
だが、その怒りはわたしに対する物……と言うには、いささか質が違うようで……
「……自分を偽って、取り繕って、本音を奥へと追いやるのは、あなたの悪い癖です。
あなたはこれまで誰かのために生き続けました。誰かの幸せを望み、誰かのためを思う行動を取ってきました。
自身の本音を深い海の底へと沈めて、自分のワガママも本音も全て沈めて、我慢し続け、頑張ってきた……。
それだけ頑張ってきたにも関わらず、あなたはまだ頑張り続ける気ですか?本当のしたいことや求めていたことを飲み込んで、今世でも誰かのために生きるつもりですか?」
確かに、その怒りの矛先は本音を隠して生きてきたわたしにも向けられている。
だが、それ以上に彼は、わたしがこうなる原因となったものへと怒りを向けていた。
手を伸ばされたら応えてしまう、わたしと言う存在に、手を伸ばし続けていた人達……彼の怒りは、そちらへと大半が注がれている。
「……それは…………」
何と答えればいいかがわからない。今世でも、他人のために生きるつもりか……わたしは、それにどうやって答えればいい?
「……桜のあなたに、僕は言ったはずですよ。今世ではもう、誰かのための幸せを願う必要はない……自分のためだけの幸せを求め、自分のためだけの人生を歩んでほしいと。
だから……言ってください。あなたの本音を。あなたが本当にしたいことを。
ほんの少しでも構いません。ゆっくりとでも構いませんから、本当のやりたいことを教えてください。
言ってくだされば、僕はどんなことでも付き合いますよ。買い物でも、漫遊でも、遥か遠くへの逃亡でも、いくらでも共にこなします。
あなたが本当にやりたいことを必ず叶えますから、どうか、あなたのための人生を歩いてください。
もちろん、その分僕も、僕自身がやりたいことを沢山話します。互いに互いのやりたいことを一緒にやって、沢山の物語と思い出を積み重ねていきましょう。
精神世界でやっていたことを、現実世界でも積み重ねていきませんか?」
互いに互いのやりたいことを叶え、自分のための人生を歩もう……その言葉を聞き、わたしは少しだけ無言になる。
だけど、すぐに彼の純粋な想い……わたしに対する純粋な、だけど、何よりも甘い特別な好意を理解して、小さく口元に弧を刻む。
わたしのやりたいことをこなしたら、今度は骸のやりたいことをこなす……互いが互いに個々の人間として、自分のための人生を……。
恥ずかしげもなくそんなことを言ってくる骸に、少しだけこっちが恥ずかしくなりながらも、わたしは心からの笑顔を浮かべた。
これまで感じていた、少しの空虚がある気持ちではなく、どこか晴れやかな気持ちと共に、わたしは、本当にやりたいことを口にする。
「ありがとう、蓮。わたし……本当はみんなと出かけたい。せっかくこうやって巡り会えたんだから、沢山の思い出を作りたい。
リョウやスイと一緒にいた時みたいに、沢山笑って、沢山はしゃいで、沢山のしたいをやっていきたいんだ。
ずっと息が詰まるようだった。誰かのために動くのは嫌いじゃないけど、やっぱりどこか苦しかった。
だけど、手を伸ばしてくる人は放って置けなくて、自分のことは二の次で……でも、それでよかった。その時は本当にそれで良かったんだ。
その人が少しでも笑顔になるなら、どんなことだってしてあげたかったし、本当に助けてあげたかったから。
父さんにできなかったことを、別の形でもいいから達成したかったから。
でも、本当は沢山やりたいことがあった。友達といっぱい遊びたかったし、行きたいところもたくさんあったし、本当の自分だって出したかった。
理想の上司とか、理想の娘とか、みんなが求めた偶像じゃない、本当のわたしで過ごしたかった。」
“リョウとスイと過ごしていた時のように、何でもない自分でも過ごしたかった”
“心から笑えて、素直になって、本当の自分を……しっかり者じゃない、寂しがりやで甘えん坊だった自分を我慢し続けたくはなかったんだ”
少しだけ泣きそうになりながら、脳裏を過った心からの望みを口にする。
すると、骸は穏やかな笑顔をその場で見せて、わたしの頭を優しく撫でつけた。
「……やっと言ってくれましたね、本音。全く……何でそんな思いが心の奥にあったのを忘れちゃったんですか、あなたは。」
「うるさい……」
「クフフフ……。拗ねないでくださいよ。……思ったより早く、本来の願いを思い出したことは予想外でしたが、先程、あなたはみんなと出かけたいし、みんなと思い出を作りたいと言ってましたね。」
「……確かに……言ったけど。」
「本当の願い、本当に求めていたものを思い出すことができたのであれば、今度はそれを満足するまでこなす番です。
あなたがすぐに満足できるとは思えませんし、まだまだここで過ごしてもらわなくてはなりませんね。
並盛に戻ったところで、またマフィアだなんだと様々な事象がつきまとうでしょうし、そうなったらあなたはまた我慢をしてしまうのが目に見えてます。」
“簡単には解放してあげませんからね”と、イタズラっぽく笑う骸に、キョトンとしてしまう。
しかし、すぐに湧き上がってきた笑いに、小さく吹き出し、わたしはそのまま笑ってしまった。
「あははは!何それ!発言がただの悪役なんだけど!」
「実際僕は悪役ですよ。こうしてお姫様を攫ってるわけですし。」
「わたしはお姫様って柄じゃないよ?」
「そうでしょうか?僕からは魅力的な姫君にしか見えませんがね。」
釣られるように笑う骸に、わたしも笑い声を漏らす。
犬と千種が蚊帳の外で、よくわからないと言った表情を見せているが、そんな様子が気にならない程に、わたしと骸は少しだけ2人だけの世界に入り浸ってしまう。
「はぁ……笑った。」
「それはよかったです。素敵な心からの笑顔と笑い声でしたよ。」
「サラッとその返しをしてくるのは卑怯……」
「クフフフ……すみません。あなたのことは全力で口説くつもりだったので、つい。」
不意打ちで告げられた発言に、少しだけ恥ずかしくなるわたしと、あっけらかんとした態度で余裕を崩すことなく言葉を返してくる骸。
正反対の反応を互いに見せ合うことになったが、すぐに小さく笑い、少しだけ互いに見つめ合う。
「咲良からの要望ですし、4人で出かけることができそうな場所でも探してみましょうか。
咲良を探す人間は、間違いなくこっちに入ってくるでしょうから、4人で出かける時は、もっと遠くへと行きましょう。
ここから向かえる近隣の場所には、少数行動が好ましいでしょうね。となると、チーム分けですが……」
「そこは、関係性を考慮して、蓮さんと咲良がセットで、オレと颯がセットの方がいいと思います。」
「オレも千歳に賛成〜。蓮さんと咲良は一緒の方がいいと思うびょん。オレと千歳は、まだ詳しく咲良のこと知ってるわけじゃねーれすし。」
「おや?ではお言葉に甘えて、少数行動の際は、僕が咲良を独り占めさせてもらいますね。」
「まぁ……状況からしてもそれが最善だよね。じゃあ、よろしくね、蓮。」
「ええ。沢山お出かけしましょうね。」
「あれ?なんか認識にすれ違い発生してる……?」
「そんなことはないですよ?」
「え〜?ほんとにござるか〜?」
「何ですかその口調。」
「クスッ……内緒。」
買い物袋を揺らしながらも、穏やかな帰宅路に着く。
いつかは必ず戻らないといけない……それはわかってる。
だからこそ今は、このままで……。もう少しだけ、普通の女の子のように。
沢田 奈月(桜奈)
骸達と話したことや、思い出した幼馴染み達との日々……それと今を重ね、本当の願いを思い出した転生者。
これにより、骸が口にした、マフィアは本当に求めたものを壊してしまうと言う意味も把握したため、次の段階に進む。
だが、今はまだ、それを考えるより前に、かつての幼馴染み達と過ごしていた寂しがりやで甘えん坊の桜奈として、もうしばらくは骸達とゆっくり過ごしたいと望む。
六道 骸
思ったよりも早く桜奈が本当の望み、本当に求めていたものを思い出したため、少しだけ落胆した桜を愛する脱獄者。
しかし、彼女がその際に口にした、みんなと出かけて思い出を作りたいし、かつての幼馴染み達と一緒にいた時のように、もう少しだけ寂しがりやで甘えたがりな桜奈としての自分で過ごしたいと言う望みを聞き、まだ元の生活に戻るつもりはないことを把握したため、それならと、沢山思い出が作れるまでは返さないことを告げる。
あなたが望むことは全て僕が叶えます。だからあなたも、僕の望みを聞いてください。
犬&千種
奈月と骸が度々2人だけの世界に入っちゃうので、蚊帳の外になりがちな二人組。
なお、それを見ていても骸さん/骸様、すごく楽しそうだし、まぁいいかと言ったノリでスルーしがち。
この後、奈月特製の夕飯フルコースをめちゃくちゃ食べる。