最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 家出して初めての土日休日。
 朝食と昼食はレンジで温めればすぐに食べられるものを用意した桜の花は、藍色の囚人とともに、一つの商業施設へと向かう。
 藍色曰く、桜とのデート。穏やかな時間を過ごしましょうとこれまで1の満面の笑顔を見せる藍色に桜の花は少しだけ苦笑いをこぼしながらも、街へと繰り出すのだった。

 主人公 side.


 ……なんか甘ったるいムクナツになったな…………。


桜と霧のお出かけ

 我慢しなくていい、甘えていいと言ってくれた骸と過ごす黒曜中の生活。

 あの日からわたしは、彼には遠慮なくくっつくようになった。そう言う気分だからと言って、休憩中や昼食を食べる時に骸の膝に乗ってみたり、別に乗る程じゃないけどくっつきたい時にピッタリとくっついてみたり、少しだけ寂しさを感じたら彼の制服の裾を引っ張って気を引いてみたりと、子供のようなちょっかいを出して。

 あっさりと甘えるようになってきたわたしに、最初骸は驚いていたが、かつてのわたしの記憶を知ってるからか、これらの行動を、全てリョウやスイにもしていたことを把握しているからか、すぐに骸はそれに応えてくれるようになった。

 正直、いきなりこんなことをしたら骸は迷惑かと思ったけど、どうやらそんなことはないようで、わたしは安心して骸にくっついていられる。

 

 まぁ、骸が誰かと話してる時にはくっついたりしないし、そこら辺はちゃんと弁えてるつもりだから、彼も何も言ってこない。

 ああ、でも、骸の方がわたしに構ってくるか。大人しく骸が人と話し終わるのを待っていると、不意に頭に手を伸ばして撫でてくる。

 最初は少しだけびっくりしたけど、わたしが寂しがらないようにしてくれているのがわかったので、かなり嬉しかった。

 犬や千種の前では普通に骸に甘えさせてもらっている。別に、あの2人が見ていても気にならないし。

 骸もこの2人の前なら別に甘えてきていいって感じだし、遠慮する必要がないっぽいから。

 ……2人はわたしが突発的に骸にくっついたり構えの合図を出しているのを見て驚いていたけど、これが本来のわたしであることを骸が伝えてくれたから、すぐに気にしないようになった。

 

 ある程度はくっついて甘えて、骸の甘やかしを満足するまで堪能したら、いつも通りのわたしに戻る……それの繰り返し。

 気まぐれにくっついて甘やかしてと強請るせいか、犬達からはすっかり猫認定されてしまった。

 その証拠にわたしが骸に甘え出したり、構えとちょっかいを出したりすると、犬が「猫咲良びょん。」と言い出して、骸もそれに乗るように「仔猫の咲良ですね」と口にして、千種からも「咲良がまた猫化してる」と言われる始末だ。

 どうせわたしは猫ですよ……と軽く拗ねてしまったが、そんなわたしの機嫌を取るように骸が頭を撫でてきたり、頬を触ってきたりしてくるので、割とすぐに復活していたりもする。

 

 …… 前、隼人達からもらった猫だらけのグッズを見て、そんなに猫っぽいかとツッコんだけど訂正。

 間違いなくわたしは猫だ。甘えたい時に甘えて、寂しくなったら勝手にくっついて、満足したらさっさと離れて、また、寂しくなったり、甘えたくなったり、構ってほしくなったら構えとちょっかいをかける。

 

「さて、桜奈。今日は桜奈がこっちに来て初めての休日です。」

 

「ん?確かにそうだけど……それが何?」

 

「何って決まってるでしょう?出かけますよ。」

 

「……どこに?」

 

「どこにって……あなたが行きたいと言ったのでしょう?商業施設で買い揃えたいものがあると言ってたじゃないですか。」

 

 前世のさらに前世は猫だったのだろうか……なんてぽけっと考えながら過ごしていると、骸から出かけると言われる。

 一瞬いきなり?と思ったが、どうやら骸に甘えるようになったあの日に話した100均などで物を揃えたいと言う話を実行するつもりのようだ。

 

「そう言えば言ったね、そんなこと。」

 

「何で他人事のように言ってるんですかあなたは……」

 

 言われてみればと思い返すように呟けば、骸が少しだけ呆れたような様子を見せる。

 その姿に笑いながら、ごめんごめんと軽い調子で謝罪を口にすれば、やれやれと言わんばかりに首を左右に振られた。

 

「まさか、こんなに早く行けるとは思わなかったんだよ。」

 

「桜奈がいなくなったことで、間違いなくボンゴレファミリーはあなたを探すために活発な行動を取り始めてるでしょうからね。

 いつ見つかるかも分かりませんし、時間は無限ではありません。だからこそ早めにやれることはやっておかなくては、あとあと悔いることになるのが目に見えてます。

 ならば、早めにやりたいことを沢山やる方が何倍も時間を有意義に扱えますからね。

 桜奈の望みも、僕の望みも、全部叶えていくならば、さっさと動く方がいいでしょう?」

 

「それもそうだ。」

 

 骸の言葉も一理あると思い、同意の言葉を紡げば、彼は笑顔を見せた。

 その表情はどことなく年相応の男の子のようで、複数の前世を持ち、尚且つ淀んだ悪意と憎悪の闇を纏う暗闇に溺れる男の子には見えなかった。

 

「じゃあ、犬と千種ようにご飯を作っておいて、レンチンしたらすぐに食べることができるようにしておこうか。

 商業施設は確か、バスに乗って行ける距離にあるって言ってたよね?だとしたら、近隣寄りのはずだから、幻術を使用しながらになるのかな。」

 

「ええ。そうなりますね。僕と桜奈の間では誤魔化しを必要としませんが、どこまで捜索の足が広がってるかわかりませんし、外部の方への多重幻覚による特殊な催眠は欠かせません。」

 

「いろいろ大変だけど、まぁ、わたしと骸なら何とかなるのかな。」

 

「当然でしょう?この場にいるのは、幻術に長けている2人組なのですから。」

 

「それもそっか。じゃあ、早めに準備して出かけようか。」

 

「そうですね。」

 

 骸と今日の行動に必要なことを確認しながら、わたしは朝食を作っていく。

 のんびりと話しているが、実を言うとまだ朝食すら食べておらず、起床後の洗顔などしか済ませていなかったのである。

 ……今日は食材が沢山あるし、朝食は和食にして、昼食は洋食にすることができるかな。

 犬と千種、割と結構な量を食べるからしっかりと食べることができるように多めに作ってタッパーに入れて……。

 あのスーパーにタッパーなんかの保存容器があってよかったな……。これなら2人分の朝食と昼食をそれぞれ別にして置いておけるし。

 出来立てを食べさせてあげられないのはちょっと残念だけど、これまで作ってきた料理は全部時間が空いても美味しく食べられるものだから問題はない……はず……。

 

「あ、桜奈。買い物を終えた後は僕にあなたの1日の残り時間をください。

 せっかくこうして現実世界で、本物の商業施設に2人で出かけるのですから、あなたと沢山デートがしてみたいです。」

 

「へ?」

 

 なんてことを考えていると、骸から必要な物を買い終わった後の残りの1日をくれと言われる。

 急なことに驚いて目を丸くしていると、骸はイタズラっぽく笑いながらわたしを見つめてきた。

 

「買い物をする……それが桜奈の望みでしょう?それを叶えるのですから、もちろん僕の望みも聞いてくれますよね?」

 

 にっこにこの笑顔で買い物に付き合う代わりにデートをしてくれと言ってくる骸の姿に、思わず瞬きをしてしまう。

 しかし、すぐにその言葉にわたしは苦笑いをこぼしながら口を開いた。

 

「骸……わたしの望みを叶えるから、こっちの望みも叶えろって交換条件……最初からこの展開を狙って出した条件だったな?」

 

「クフフフ……当たり前じゃないですか。僕が桜奈に望むのは最初からそれだけですよ。

 なんせ僕はあなたを愛していますから。1人の女性として。特別な女性としてね。

 愛しいと想う女性と、2人きりで出かけたい……デートしてみたいと思うのは、当然のことでしょう?」

 

 “僕も男なのですから”……と穏やかな声音で、しかし、どこか甘い熱を乗せた言葉に、本能的に顔を赤くしてしまう。

 本当……骸は恥ずかしげもなく愛を伝えてくる。いや、恥ずかしげもなく想いを伝えてくる人は、骸だけじゃないか。

 リボーンも、ディーノさんも、恭弥さんも伝えてくる。大人のランボも、その想いを隠さない。

 割と積極的な男性が多いのはなぜなのか……。特に恭弥さんは日本人であるにも関わらず隠そうとしない。

 でも、この4人の熱量を、骸は遥かに超えてくる。愛の言葉と共に、彼はわたしとの繋がりを利用して、侵食するような甘く特別な想いを……誰よりも深く愛しているのだと言い張る想いの洪水を流し込んでくるから。

 

「顔が赤いですよ、桜奈?」

 

「誰のせいだと思って……」

 

「僕のせい……ですかね?」

 

「わかってるならいちいち指摘してこないでよ。」

 

「無理ですね。桜奈が意識してくださるなら……桜奈が僕の感情に飲み込まれ、僕の腕の中へと堕ちてくるのであれば、いくらでもその意識を僕だけに向けさせますよ。」

 

「意地悪だな……」

 

「愛しているがゆえの意地悪です。言ったでしょう?僕は桜奈を振り向かせたい……桜奈を僕のものにしたいと。

 そのためなら意地悪も甘やかしも沢山しますよ。そうすることで桜奈は僕のことを意識して、僕のこと以外を考えることができなくなるのであればなおさらに。

 どれだけ耐えることができるか見ものですね。まぁ、僕としては全力で堕としにかかるつもりですので、さっさと陥落してくれた方が嬉しいのですが。」

 

「勘弁してよ……。ただでさえ骸にはみんな以上に気を許してるのに……」

 

「クフフフ……残念ですがお断りします。気を許してくださっているのであれば、さらに気を許すようにして、その心と意識を捕まえにいきます。

 最終的には、桜奈が僕に完全に囚われてくれるように、侵食する愛と言うのも面白いでしょう?」

 

 相変わらず意地悪に笑う骸に対して、思わずわたしは拗ねてしまう。

 流れ込んでくる甘い感情は、まるで媚薬のように体を熱くしてくる毒だ。

 少しでも力を抜いたら、そのまま飲み込まれてしまいそうな、そんな毒。

 まぁ、媚薬なんてものただのフィクションによる産物だし、実際に服用したことなんざないわけだけど、多分、こんな風に熱に浮かされてしまうような毒薬なのだろう。

 

「どこが面白いのさ……。面白いの、多分骸だけだよ?」

 

「それならそれで構いません。どっちみち、僕は桜奈を逃すつもりはありませんよ。

 あなたにとって、最初で最後の異性になれたら、きっと、これまで感じたことがない程の幸せを得ることができるのでしょうね。

 是非ともそのポジションを手に入れたいものです。僕の立場はアレですが、それでも桜奈と共にいることができるのであれば、逃亡と邪魔の排除だけの生活も楽しくなりそうですし。」

 

 骸の任意で精神世界を繋がれて、その繋がりを通じて感情を流し込まれてしまう……。

 この生活は、本来の生活以上に大変な生活になりそうだ。体は休ますはずなのに、精神は全く休めない。

 恋慕の洪水に、耐え切ることができるのだろうかと、少しだけ行き先に不安を抱く。

 全く……向こうの世界で最悪な恋慕ばかりを向けられていた反動なのかな。

 こっちでは甘過ぎる恋慕を向けらまくって、別の意味で落ち着かない。

 

「……犬と千種。これだけあればお腹いっぱいになるかな?」

 

「かなりの量がありますが、余裕で食べ切るでしょうね。桜奈が作る料理はどれもスルスルと入ってしまうので。

 これまで食べてきたどんな食事よりも確実に美味しいので、箸が止まらなくなってしまうんですよね……。

 なんせ僕達は最初はまともな生活など送ることができず、生きていればそれでいいレベルの食事でしたし、そこから離れた場所での食事は……まぁ、別に悪くはなかったのですが、まともに食事を楽しめる精神状態ではなかったので。

 そして、最近までは再び生きていればそれでいい程度の最低限の食事だったので、こんな風に温かい食事を余裕を持って食べることはできませんでしたから。」

 

「……いや、本当、骸達の幼少期ってどれだけ最低最悪な荒んだ生活だったの。

 わたしが作る平均的な家庭料理をそこまで有り難さ満載で食べるレベルって相当だよ?」

 

「仕方ないでしょう……。それだけ僕らの幼少期は最悪だったのですから。」

 

 こちらに流し込まれる恋慕の洪水を少しでも和らげようと思って口にした言葉に、骸が拗ねたように言葉を返してくる。

 恋慕の洪水はかなり少なくなったけど、入れ替わるように憎悪と嫌悪と苛立ちが混ざったような感情が流れ込む。

 ……だんだん、骸達の過去を聞くのが怖くなってきたな。大丈夫?わたしの精神耐え切れるかな?

 いや、まぁ、どんな過去でも向き合うつもりではあるわけだけど。そうすることで、過去は変えられなくても、今からを変えるためのケアも考えることができるだろうし。

 

「まぁ、暗い話はここまでに。せっかくこうして遊び回れる状態になっているのですから、沢山出かけて、沢山デートして、沢山の思い出を作りましょう。

 今日と言う1日……穏やかな時間を共に過ごしましょうね。このひと時だけはどうか、僕だけの桜の花に……僕だけの春の陽だまりになってください。」

 

 穏やかな笑みを浮かべながら、穏やかな声音で懇願するように言葉を口にする骸。

 その姿を少しだけ見つめたわたしは、一時的に苦笑いをこぼす。

 隠そうともしない独占欲……本当は、ひと時だけではなく、ずっと自分だけの桜として側で咲いて欲しいと言う願い……。

 だけど、わたしの感情が向かない限りは無理強いをするつもりはなく、ひと時だけでもいいから自分だけのものになってほしいと言う懇願。

 それを感じ取ったわたしは、一つだけ息をそっと吐いて微笑む。

 

「いいよ。今日は骸だけのわたしになってあげる。その代わり、しっかりエスコートはしてよね。」

 

「!ええ。任せてください。」

 

 骸の願いに応えるように、今日だけは骸の桜でいることを伝えれば、彼は一瞬驚いたような表情を見せた後、笑顔でわたしの言葉に頷く。

 

「では、朝食を食べ終えたあと、僕に桜奈の服を選ばせてはもらえないでしょうか?せっかく、ひと時とは言え僕だけのあなたになってくださるのですから、僕が着てほしい衣装で着飾った桜奈と出かけたいです。」

 

「それくらいは構わないけど……」

 

「よかった。あとでどのような服をキャリーケースに入れてきたのか見せてくださいね。」

 

「わかった。じゃあ、まずは朝食を食べちゃおうか。出かけるにせよ、のんびりするにせよ、朝食を取らなきゃ始まらない。」

 

「そうですね。では、朝食を食べましょうか。犬と千種は……とりあえず出かける際に声をかけましょうか。

 慣れない勉強と人付き合いを繰り返していますから、ゆっくりと眠りたいでしょうし。」

 

「勉強と人付き合いに慣れてない……?」

 

「ええ。僕達はこれまで、まともな人付き合いも勉強もしてこなかったので、まだまだ慣れていない部分があるんです。

 まぁ、僕は人に近づくことが2人より多かったので問題はないのですがね。」

 

 骸と言葉を交わしながらの朝食。

 普段は犬と千種も一緒だから、なかなかに賑やかな朝食になるのだが、今日は2人がゆっくり寝ていることもあり2人きり。

 だけど決して寂しくはなく、静かでもない。何気ない日常会話を骸が降ってくるため、静寂はそこまで訪れなかった。

 こんな風に穏やかな朝食も悪くない……。適度に骸と言葉を交わしながら、そんなことを考えながら小さく笑う。

 

 ……精神世界ではなく、現実世界での骸とのお出かけ。

 異性とのデート……と言う言葉に逸る気持ちを抱きながらも、どんな1日になるのだろうかと頭の片隅で想像する。

 ずっとは続かない、ひと時の夢……。夢はいつか覚めるものだ。だからこそ、今だけは、少しでも穏やかな夢の時間を満喫しよう。

 

 

 




 桜奈
 甘えていい、寂しさを我慢しなくていいと言われ、吹っ切れたように寂しがり屋で甘えたがり屋な本来の自身を表に出している転生者の桜の花。
 家出して初めての土日休みに骸からデートに誘われて驚いたが、すぐにそれを承諾した。
 骸からは割と定期的に繋がりを通して感情を流し込まれてしまうため、かなりたじたじになりながらも、夢のようなひと時を穏やかに過ごしている。

 六道 骸
 タガが外れたように甘えたい時に甘えてきたり、寂しさを紛らわすように構えとちょっかいをかけてくる桜奈を甘やかして可愛がる脱獄者。
 周りに1人の男子生徒として対応している間も、大人しくしている桜奈を撫でたり、いつ甘えてきてもいいように体勢を整えておくことが最近の日課となっており、彼女が満足するまでくっつかせている。
 桜奈と過ごす初めての土日休みのため、互いに互いの望みを叶えようと言う条件を利用して、桜奈を独占するための状況を着実に作り上げている。
 定期的に桜奈に自身の想いを伝え、湧き上がる恋慕を繋がりを通じて流し込むことで彼女に意識させ、自身に身も心も囚われるように誘導している途中。


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