最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 デートと呼べる異性とのお出かけ。
 互いに初めての経験となる穏やかな1日は、2人の未来を明るく照らす陽だまりとなる。
 ひとときの夢、ひとときの日常。なんの変哲もない学生のような穏やかな春は、桜色と藍色の確かな宝物となる。

 主人公 side.


桜と霧の穏やかな1日

 今は夢が覚めた時のことは考えないで、穏やかな時間に身を任せよう……骸から言われた言葉に頷き、再びショッピングモールを歩く。

 すると、最初にわたしが教えた店内のマップが置いてあるエスカレーター付近にたどり着いた。

 

「……こうして見ると、ショッピングモールってかなりの数のお店があるのですね。

 確かにこれなら、見て回るだけでも楽しいわけです。」

 

「でしょ?だから行き当たりばったりもなかなか乙なもんだよ。気になった店に足を運んで、そこで服を見て、気に入ったものがあれば買う……これがショッピングモールの楽しみ方の一つ。」

 

「では、適当にブティック巡りでもしましょうか。映画館も気になりはしますが、面白い映画があるかと言われたら微妙なところですしね。」

 

「わたしも映画館はいいかな。観たい映画は今はないし。」

 

「では、ブティック巡りで決定ですね。僕は桜奈の服を選ぶので、桜奈は僕の服を選んでくれませんか?

 もし、長く一緒に過ごすのであれば、新しい服の1着や2着、持っていても構わないでしょう?」

 

 お金はありますしね?と財布を見せてくる骸に、わたしは苦笑いをこぼす。

 その財布の中身、いったいどこからどうやって調達したのかな?

 

「一文無しでは生活なんてできませんからね。移動するまでにそれなりに期間は設けておいたので、こっちに出向く前にいくつかマフィアを襲撃して、そこにあった財産をある程度くすねておいたんです。

 売れるものは適当に売り払っておいたので、手持ちはかなりあるんですよ。」

 

「……何と言うか、やっぱりきみは悪い子なんだなって思うよ。」

 

「クフフフ……あなたと一緒に過ごすなら、手持ちを潤沢にしておくのは当然でしょう?なんせ僕は、あなたの悪い王子様なので。」

 

「全く……わたしの悪い王子様は、悪いことに躊躇いなしだね。」

 

 骸の行動力の高さに思わず呆れてしまう。まさか、わたしと過ごすためだけに、強盗紛いのことをしているとは思いもよらなかった。

 骸と一緒に遊び回れるのは嬉しいけど、そのためだけに襲われた人がいると思うと、なんとも複雑な気分である。

 

「桜奈に似合いそうな服が売られている場所は沢山ありそうですね。これは片っ端からお店を回って試着などをしてもらう必要がありそうです。」

 

「程々にね……」

 

 これは……しばらくの間着せ替え人形コースになりそうな予感がするなぁ……。

 

 

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「……まさか、こんなに大量に購入されるとは思わなかったな。」

 

「桜奈はなんでも似合いますから、ついつい僕も張り切ってしまいました。まぁ、そのお返しとばかりに僕もかなり選んでもらいましたけどね。」

 

 あれからしばらくの間、予想通り着せ替え人形にされたわたしは、骸からくすねたお金でそれなりの量の服を買い与えられていた。

 スカート系だったり、ワンピースだったり、パンツスタイルだったり……合計で10万は軽く吹っ飛んでいるだろう。

 まぁ、対するわたしも、骸が選んでくれた分、お礼に何着か選んで買ったけどね。

 やっぱりイケメンは何を着てもイケメンだった……と言うのが結論だ。

 

 顔が整ってる人って本当に何を着てもよく似合うよね。ここまで選ぶのに苦労する人なんて初めて見たよ。

 まぁ、そもそも誰かに服を選ぶってこと自体が初めてなんだけどさ。

 

「あ……桜奈。少し、あの店に寄りませんか?」

 

「ん?」

 

 そんなことを思っていると、骸が一つのお店を指差す。

 彼が指差した方向を見てみると、そこには天然石の店があった。

 

「天然石の専門店?」

 

「ええ。桜奈がああ言ったものが好きなのは知っているので、僕も少し興味があったんです。

 だから、もし店を見かけたら、少し寄ってみたいと思いまして。」

 

「なるほどね。いいよ。わたしも、新しいアクセサリーを作るためのインスピレーションが欲しいし。」

 

「よかった。では行きましょう。」

 

 骸に手を引かれて足を運んだ天然石の専門店。

 すでにできているアクセサリーや、作成するために必要な天然石の数々は、いつ見てもキラキラとしていて綺麗だ。

 

「こうして見ると、天然石はかなりの種類があるのですね。」

 

 水月輝石商店程品揃えがいいわけじゃないけど、ここもなかなか種類が豊富だ……なんてことを考えていると、骸が興味津々に天然石を見つめる。

 ずっと牢獄暮らしだったわけだし、珍しいのだろう。まぁ、そもそもがこんなキラキラした場所に入ること自体初めてだから仕方ないか。

 

「そうだよ。天然石はいわゆる一つの幸福のお守り。様々な効能があるとされていて、組み合わせ方によっては効能がさらに伸びると言われてるんだ。

 まぁ、パワーストーンはパワースポットと同じで、本当にそんな効能があるのかまではハッキリとしないけど、持ってるだけで気の持ち方も全然変わるから、わたしは好きだな。」

 

「なるほど……。そう言えば、僕は誕生日が6月9日で、双子座なのですが、誕生石ってわかりますか?」

 

「6月?となると、代表的なのはムーンストーンだね。星座に合わせるとしたら、アクアマリン、サンタマリアアクアマリン、クレイジーレースアゲート、モスアゲート、ドラゴンアゲート、ブルーレースアゲート、ボツワナアゲート、ブルートパーズと言ったところかな。」

 

「え?星座に合わせる……?天然石って星座にもリンクするのですか?」

 

「うん。合わせることができるよ。」

 

 初めて天然石が星座に合わせることができると知った時のわたしと同じような反応をする骸を微笑ましく思いながら、星座と天然石もリンクできることを肯定すれば、彼は驚いたような表情を見せる。

 しかし、すぐにその場にある天然石に視線を向けては、小さく笑みを浮かべた。

 

「では、いくつか天然石を見繕って、何か僕にも作ってもらえませんか?雲雀恭弥とアルコバレーノがあなたから手作りのアクセサリーやお守りをもらっていたので、羨ましかったんです。」

 

「ん。いいよ。どんなのがいい?」

 

「そうですね……。では、ネックレスをお願いできますか?ブレスレットやピアスは、なんらかの拍子に外れてしまいそうですが、ネックレスであれば、余程のことがない限りは外れないので。」

 

「わかった。使って欲しい天然石があったら教えてほしいな。」

 

「ローズクォーツとアクアマリン、それと、ムーンストーンが使われていたら嬉しいです。」

 

「いい組み合わせだね。じゃあ、いくつか見繕うよ。」

 

 ネックレスを作ってほしいと口にした骸に、承諾の言葉を返し、店内にある天然石を見繕っていく。

 アクセサリー作りはわたしの趣味だからと、荷物の中にそれらの道具も入れておいて正解だったと思いながらも、天然石を見繕って、購入するためのケースの中へと入れていく。

 そして、ネックレスを作るにあたり、必要な数を見つけたわたしは、それをレジの方に持って……

 

「材料費は僕が払います。」

 

 ……行こうとしたら、骸にヒョイっとそれを取り上げられてしまった。

 あ……と小さく声を漏らしているうちに、彼はさっさとレジの方へと足を運ぶ。

 それを見たわたしは、急いで彼の背中を追いかけた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「こちらの会計をお願いします。」

 

 レジへとたどり着いた骸は、すぐにわたしから取り上げた天然石の数々を店員さんへと差し出す。

 すると、後から骸に合流したわたしを見た店員さんが、一瞬だけこちらに目を向けたのち、明るい笑顔を見せた。

 

「彼女さんへの贈り物ですか?」

 

「……は!?」

 

 その瞬間告げられた言葉に、思わず顔を赤くして声を上げてしまう。

 わたしの反応を見た店員さんは、きょとんとした顔で首を傾げた。あれ?違った……?と言うかのように。

 

「フフ……すみません。僕の恋人は少々照れ屋な方でして。お付き合いしてまだ間も無く、こうやってデートするのも今日が初めてなんです。」

 

「あ、なるほど……。照れ屋な方だったんですね!これは失礼しました。」

 

「いいえ。彼女の愛らしい表情が見ることができたので、お気にならさらず。

 それと、これは彼女への贈り物……と言うよりは、彼女のアクセサリー作りのお手伝いのようなものでして。実は、今度アクセサリーを作ってもらうことになったんです。

 お店のアクセサリーも素敵なものばかりではありますが、初めてのアクセサリーは、彼女が作ってくださったものにしたいのです。」

 

「まぁ……!それは素敵ですね!初めてのアクセサリーを手作りにしてもらうとなると、一生物の思い出になりそうです!」

 

「きっとなると思います。だからとても楽しみで……。」

 

 和やかに会話をしながら、天然石の会計を済ませてしまう骸。

 わたしは、顔を赤くしたまま何も言えず、なんてこと言うんだと彼を睨みつける。

 しかし、骸は大して気にしていないのか、支払いを済ませてプラスチック容器に入った天然石をわたしに手渡してきた。

 

「天然石はいわゆる一つのお守りでもありますので、可愛らしいカップルであるお客様方に確かな幸せをもたらしてくださると思います!」

 

 お幸せに〜と明るく言ってくる店員さんに静かに頭を下げたあと、骸と一緒に店の外に出る。

 そして、先程の店から離れた位置まで歩いたのち、わたしは骸の横腹を肘で小突いた。

 

「あいた!?」

 

「なんてこと言うの……!!恥ずかしげもなく……!!」

 

「クフフフ……すみません。桜奈と僕が恋人同士に見えると言われたことが嬉しかったもので。

 こうしている間は桜奈は僕だけの女性……そのように周りが認識してくださるのが幸せなんですよ。

 例えひと時のものであろうとも、この穏やかな時間に浸りたい……そう思うのは悪いことですか?」

 

「悪いこと……じゃないけど……」

 

「だったらいいではありませんか。桜奈は今のところ、この夢を現実に挿げ替えるつもりはないのでしょう?

 それならば、この穏やかで暖かい夢の間だけは……僕だけの恋人(桜奈)でいてください。」

 

 “もちろん、僕はこの春の陽だまりをひと時の夢で終わらせるつもりはありませんが”……とイタズラに笑いながらも、指を絡ませるように手を繋いでくる骸に、恥ずかしさと拗ねた気持ちを抱く。

 骸はずるい。感情を流し込んでくる……と言うのもそうだけど、それ以上にこのひと時の間だけは、年相応の表情を見せるのだから。

 その雰囲気は、あまりにも幼馴染み達によく似ていて、容赦なくわたしを引き込んでいくのだから。

 そう言う反応をされたら、そんな表情を見せられたら、わたしは何も言えなくなるどころか、それに引きずられてしまうのに。

 

 でも、一番タチが悪いのは、この時の骸は狙って利用しているわけではなく、無意識下でそんな表情と反応を見せている事実だ。

 彼はわたしといる時は、憎悪の闇の中から陽だまりに出て、このひと時だけは人間に戻っている。

 それがイヤと言う程にわかるのだ。繋がっている精神のパス……そこから流れ込んでくる、憎悪からかけ離れた彼自身……わたしが骸といる間、素の自分で過ごしているように、骸もわたしといる間、憎悪をマフィアに抱く前の彼になっている……と言えばいいのだろう。

 

 心から楽しいと思えることをして、心から好きだと思うものに手を伸ばし、心から大切だと……愛しいと想っているわたしの隣を歩いている。

 おそらくだけど、一緒に行動を取り始めた際は、意図的にわたしに感情を流し込んでいたのだろう。

 だけど、今の彼は無意識下で素の感情を……心から感じている感情をわたしに共有しているのがわかる。

 だからこそ、余計にいろいろ言い返せなくなってしまう。今の彼は、失った時を取り戻している最中だから。

 ……今のわたしと同じように、穏やかな時間を取り戻している最中だから。

 

「……やっぱり、わたしと骸は、どことなく似ているね。ほんの少しだけど。」

 

「……そうですね。僕も桜奈も、かつて失ってしまった時間を取り戻すために、今をこうして過ごしている。

 自身が憎悪に染まっていることは自覚しています。それは過去が過去なので、当然の結果ですがね。

 ですが、今の僕は、憎悪に塗れて失った時間を、こうして取り戻すことができている。

 もちろん、憎悪は捨てるつもりはありませんし、必ず僕自身の目的は果たすつもりでいます。

 だけど、その前に当たり前の学生のように……そこら辺にいる普通の子供のように、日々を過ごしたいと思ってもいいでしょう?」

 

「……わたしは……骸に否定されるまで、誰かに尽くすことを信条としてきた。

 周りが笑顔になることが……周りが幸せになることが……わたしにとっては大事だったから。

 例え自身の幸せが遠くへ行こうとも、みんなが……父さんが笑顔になってくれるならって、ずっと考えて動いていた。

 もちろん、寂しがり屋で甘えたがり屋の自分も出したかったけど、それは周りの迷惑になるだろうし、負担になるだろうと思ったから、ずっと出すことができなくて……多分、本当に機械のように過ごすだけ過ごして、自分の時間を失った。

 だけど、今は骸がいるから……骸がそれでもいいよって言ってくれたから、かつて失った自分自身……本当の自分としての時間を過ごすことができている。」

 

「憎悪に塗れ、復讐に駆られてしまった僕と、他人の幸せを願って、他人の笑顔を願って、伸ばされる手を片っ端から掴み、人のためにだけ生きていた桜奈……。」

 

「こうして整理してみると、本当にわたしは機械みたいだし、骸はただの復讐鬼だね。」

 

「ええ。ですが、今は違うでしょう?」

 

「うん。寂しがり屋で甘えたがり屋な桜奈と、当たり前の少年のように遊んでる骸だね。

 取り繕う必要もなく、燃え盛る業火も鎮火して、機械的な人形でもなければ復讐鬼でもない人間として過ごしてるだけの子供達。」

 

「心地良いとは思いませんか?機械的に動くでもなく、憎悪に煮え繰り返るわけでもなく、ただの学生……どこにでもいる男女のように過ごしているこの時間は。」

 

「……それは否定しない。でも、いつかは戻らなくちゃいけない。」

 

 キッパリと断るように、いつかは目覚めなくてはいけないと口にすると、骸は驚いたような表情を見せる。

 しかし、すぐに肩をすくめ、首を左右に振って溜め息を吐いた。

 

「……やれやれ……やはりすぐには頷いてくれませんか。」

 

 “少しくらい、そんな素振りを見せてくださってもいいではありませんか”……と軽く文句を言ってくる骸に、わたしは静かに視線を向ける。

 同時に、首を左右に振り、彼に自身の考えを告げた。

 

「当たり前だよ。甘いだけの夢の中じゃ、いつかわたしはダメになっちゃうから。

 ……本当に……骸なしじゃ過ごせなくなっちゃう。依存するだけの関係は、いつか破滅に向かうだけだよ。」

 

「ダメになってもいいし、僕なしで生きていけなくなってもいいと思いますよ。

 確かに、依存関係と呼ばれるものは、いつか破滅へと向かうかもしれませんが、桜奈とならばそれも悪くはないと思ってます。

 ほら、いつだったか言ったでしょう?2人で暗闇の中を歩くことになった時は、覚悟しそうな自分がいると。」

 

 “それを最初に言ったのは、桜奈の方ではありませんか……。”

 夢に浸り続けるつもりはないと言う意思を見せるわたしに、骸はいつかのわたしが告げた言葉を引き合いに出してきたため、わたしは少しだけ無言になる。

 そう言えば、確かに言ったね。骸のことを知ることは大事なことだと思ってるって。

 例え、暗闇を歩くことになっても、骸がわたしを求めてきたら、それを承知の上で手に取るだろうとも。

 

「あの時の言葉……僕は嘘ではないと思っていましたが、違いましたか?」

 

「……あれは気の迷い……と言いたいところだけど、改めて考えてみても、その時は覚悟するだろうなって結論しか出ないかな。」

 

「クフフフ……それならよかったです。遠慮なくあなたを連れ去っていけますから。」

 

「簡単には攫われないよ。こればかりはね。」

 

「それならそれで構いませんよ。全力で堕とすだけなので。」

 

「全く……」

 

 少しだけ呆れながらも、わたしは骸にピッタリとくっつく。“今だけは、骸だけの桜奈(わたし)に”……その言葉に対する答えとして。

 わたしの行動を見た骸は、一瞬だけキョトンとした表情を見せたが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべ、再びショッピングモールの中を歩き始めた。

 

「次はどこに行きましょうか?」

 

「時間帯的に昼を食べても問題はないと思うし、早めにフードコートに行ってみる?」

 

「……言われてみれば、確かにお腹が空いてきましたね。では、少々早めの時間ではありますが、昼食にしましょうか。」

 

「うん。」

 

 ゆっくりと道を歩きながら、次に行く場所を2人で決める。

 いつかは覚めてしまう夢の時間をしっかりと記憶に刻むように。

 昼食を食べたら何をしよう?先の予定も話し合いながら、過ごすこの時間は、わたし達の宝物となるのだろう。

 まぁ、ある意味で呪いの類にもなりそうだけど……ね……。

 

 

 




 桜奈
 骸に依存はしたくはない……だけどこの時間は心地よい……そんなことを考えながらも、今を噛み締めるように過ごしている桜の花。
 帰ったら骸のネックレスを作らないとと思いながらも、今だけは骸だけの自分として彼に寄り添っている。

 六道 骸
 何よりも今の時間が心地よい……だからこそ桜奈には自分に依存して、自分だけを求めてほしい……そんなことを考えながらも、今を噛み締めるように過ごしている脱獄した術士。
 桜奈と歩めるのであれば、依存の果ての破滅も悪くはないと思う程には、彼女に陶酔しきっており、彼女と過ごせるのであれば、どのような暗闇であろうとも過ごせると思っている。


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