最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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【お知らせ】
 いつもこちらの物語を閲覧していただき、ありがとうございます。
 本日は、皆さんに一つだけ把握していただきたいことがあり、こちらにお知らせとして載せることにしました。
 現在、花粉症の症状を抑えるための薬の服用による影響で眠気による意識の混濁が発生しやすい状態にあります。
 そのため、薬の服用期間中は、物語の更新頻度が急激に低下してしまうことをお知らせいたします。申し訳ありません。
 眠気による意識の混濁の発症頻度によっては、誤字脱字も多発すると思うので、ご理解の程よろしくお願いします。


桜と藍の夏祭り

 電車に揺られ、たどり着いたのは大きな川があるのどかな場所だった。

 少し電車に揺られただけで、こんな場所にたどり着くのかと思いながら、骸と共に駅へと降りる。

 この夏最後の花火大会と言うだけあって、そこは人でごった返していた。

 浴衣や甚平を着ている人。お面を頭につけている人。かなりの屋台飯を抱えている人など、様々な鑑賞者が集まっている。

 

「これは……なんと言うか圧巻ですね。花火大会とは、これ程までに人が集まる行事なのですか?」

 

 これだけ人がいると、いい場所は取れないかもしれないと、少しだけガッカリしながらも周りを見渡していると、骸が驚いた様子で質問をしてきた。

 無理もないだろう。街とはまた違った人の群れ。明らかに雰囲気が違う祭りというイベントに彼は初めてきたのだから。

 しかも、この人のごった返し方や、辺り全体にある出店の量、様々な情報からして、この花火大会は夏のフィナーレを飾るに相応しい大きな祭りであることが伺える。

 これまでイベントごととは無縁だった骸からしたら、新鮮さと驚きに満ち溢れているはずだ。

 

「人の集まり方は祭りの規模にもよるかな。どうやらここはかなり大きな花火大会らしいからかなり集まってるみたいだね。

 町内の祭りには何度か行ってるけど、ここまで大規模なものじゃないからわたしも新鮮だよ。」

 

 “こんなに規模が大きいなら、やっぱり千種達も連れて来るべきだったかな……”と小さく呟くと、骸がわたしの手をぎゅっと握りしめて来る。

 なんだなんだと思いながら、視線を彼の方に向けてみると、彼はどこか拗ねたような表情をして、わたしのことを見つめていた。

 

「……桜奈が優しいことや、人の幸せを願うこと、人の笑顔を見ることが好きなことは知っていますが、今日は僕の桜奈でいてくれると言ってくれたではありませんか。

 気持ちはわかります。こんなに賑やかで明るい場所は、犬も千種も来たことがありませんから、せっかくならと思わなくもありません。

 ですが、今は僕だけを見てください。他の人間のことなどは考えないで、僕と過ごすことだけに集中してくださいませんか?」

 

「……ちょっと……人混みがすごい中でなんつーことを恥ずかしげもなく言って来るの……。いや、確かにわたしもそう言ったし頷いたけどさ。」

 

 あまりにもサラッと告げられた独占欲が含まれた言葉に、思わず顔を赤くしてしまう。

 周りにいる花火大会に参加しに来た人達が様々な視線を向けてきている気配がする。

 耳を澄ませてみると「あのカップルかわいい」とか、「サラッと最大級の好きぶつけられて彼女さん顔真っ赤」とか、「あんな風に言ってくれる彼氏とかめちゃくちゃ羨ましい」とか、「人目も憚らずいちゃつきやがって」とか、様々な言葉が聞こえて来る。

 中には「リア充爆発しろ」って言ってる人がいた。他にも肯定的な意見やマイナスな意見、いろんな意見が飛び交っている。

 それがかなり恥ずかしくなり、わたしは骸の胸元を軽くグーで殴ってその場から足早に立ち去った。

 すぐに骸は追いついてきたけど。

 

「照れてるんですか?桜奈。」

 

「………見ての通りだけど……?」

 

「クフフフ……そのようですね。少しは僕以外のことは考えられなくなりましたか?」

 

「………うるさい。」

 

「顔が真っ赤でりんごみたいですよ。」

 

 いたずらに成功した子供のように笑い、わたしの隣を歩く骸に、今度はわたしが拗ねてしまう。

 多くの人がいる中で、あそこまで大胆なことを言われたら、当たり前だが思考は止まる。

 同時に発言した張本人のことが思考を締めて、恥ずかしさに一瞬で意識を乗っ取られてしまう。

 ああ、その通りだ。あんな風に言われて、先程の千種達も来たらよかったのにと言う思考が塗り潰された。

 

「桜奈が悪いのですよ。僕以外のことを気にかけるのですから。」

 

「仕方ないじゃん。あの子達も楽しいことをしたいと思ってるだろうし、少しくらい考えるよ。」

 

「まぁ、否定はしませんが、彼らのことは今はなしです。今日1日は僕のことだけを考えてください。せっかく、こうして過ごせるのですから。」

 

「確かにそうだけどさ……。わたし達だけ楽しいって言うのも気が引けるんだよ。」

 

「あなたの性格ならそう思うでしょうね。誰よりも他人のことを考え、他人の幸せを願う女性ですから。

 ですが、今だけは他人を気遣う桜奈ではなく、寂しがり屋で甘えん坊の桜奈でいてください。

 他人を思いやる誰かのためのあなたではなく、自分の幸せを掴み取るあなたでいてください。

 まぁ、それはそれとして僕のことだけを考えて欲しいとは思ってますがね。

 だってせっかくのデートですよ?しかも、花火大会と言う期間限定のイベントにまで足を運んでいるのですから、少しくらい僕のワガママを聞いてくださってもいいでしょう?」

 

 するりと手を恋人繋ぎで繋ぎ止め、囁くように言って来る骸に、わたしは少しだけ視線を向ける。

 絡み合った2色の瞳から向けられている視線には、甘い熱と寂しげな光が宿っており、それが恋慕から来る望みであることはすぐに理解できた。

 デート中に他人のことを考えるのはなしにして、僕のことだけを考えて……恋愛小説のような発言が返って来るとは思わなかったけど、それがどれだけ本気から来るものであるかは、感情を流し込まれなくても把握することができる。

 

「……だから、サラッとそう言うこと言わないでってば。引きずり込まれる。」

 

「構いませんよ。それで桜奈が手に入るなら。」

 

「……きみねぇ…………。」

 

「クフフフ……仕方ないでしょう?本心なのですから。」

 

 顔が赤くなることを自覚しながらも、骸に呆れたように言葉を返せば、て彼は穏やかな声音で笑い声を漏らす。

 わたしに対して遠慮する必要がないと思っているのか、その声にも確かな甘さと愛おしさを織り交ぜられているのだからタチが悪い。

 無意識下の感情の流入も発生しているためなおさらだ。

 

「……物語みたいな恋慕を向けらることなんて、一生無縁だと思ってたのに……なんで生まれ変わった瞬間こうなるかな……。」

 

「桜奈は少々、自己肯定感が低過ぎですよ。あなたは十分過ぎる程に魅力的な女性です。

 だからこそ、あなたの周りにいる人間も、あなたの目の前にいる僕も、あなたと言う桜の花に惹かれているのですから。

 もう少し自信を持っても問題はありませんよ。まぁ、自信を持ち過ぎてその魅力を振り撒くられるのは嫌なので、そのまま無自覚でいて欲しい気もしますがね。」

 

「何それ。」

 

 骸の言葉に少しだけ笑いながらも、わたしには確かな魅力があるのだと告げてくる彼の本心に胸元がどことなく温かくなる。

 褒められる……甘えさせてもらえる……受け止めてもらえる……ほしかったこと、見てもらえていること、わたしと言う自身を見てもらえるこの現状は、怖いくらいにわたしの心を満たしてくれる。

 だからこそ、離れ難くなってしまう。本当はダメなことだとわかっていると言うのに、このまま遠くまで攫ってもらいたいと思ってしまう。

 抜け出さなくてはならないと言うのに抜け出せなくなる……蜂蜜のように甘く、底なし沼のようにズルズルと引き摺り込まれてしまいそうになる。

 自制したいのに、離れるべきだと言うのに、それができなくなりそうだから、あまり満たしてほしくない。

 でも、満たしてくれる彼の側は、本当に心地よくて、落ち着けて、自分自身を抑えなくてもいい現状に呼吸がしやすくて、満たしてほしいと望んでしまう。

 矛盾した望み、相反する意識、複数の感情がせめぎ合って、どうしたらいいかわからない。

 

「祭りに来たはいいですが……楽しみ方がわからないです……」

 

「そうだね……とりあえずまずは屋台を回ろうか。いろんな食べ物や娯楽があるから退屈にもならないし空腹にもならないよ。

 あ、でも、ヨーヨー釣りや金魚掬いなんかは避けたほうがいいかもね。自宅ならまだしも、ずっと止まるつもりがない場所に持って帰るのには適さないから。」

 

「なるほど……。では、まずは腹ごしらえでもしましょうか。おすすめなどありますか?」

 

「うーん……屋台によって食べ物ってかなり味が変わるからなんとも……でも、祭りでしか食べることができないものも沢山あるから、それを中心にしてもいいかもね。」

 

「祭りでしか食べることができない……」

 

「そ。例えばチョコバナナやリンゴ飴、あとは出来立てのベビーカステラとかかな。

 わたあめも美味しいけど、あれはお腹にたまらないから、ちょっとしたおまけとしてはいいかもね。

 惣菜系だったら、出来立てのアメリカンドッグやフランクフルト、フライドポテトや唐揚げ棒、あとは焼き鳥とか肉巻きおにぎりとかかな。

 あ、あんな感じの焼肉もあるね。竹串に刺さってるから食べやすいんだよ。それとイカ焼きなんかも祭りの十八番だね。

 ただ、イカ焼きは食べる時に気をつけないと、タレが服についたり手に垂れてきたりしてベタベタになるから要注意。

 リョウとスイの2人とまだ集まれた学生の時、20歳も過ぎていたからお酒片手に祭り屋台の食べ歩きを沢山してきたけど、その際、リョウが大惨事になってた記憶があるよ。」

 

「……他の男性の話はしてほしくなかったのですが、それはかなり大事な注意喚起ですね。

 では、イカ焼きとやらは様子見をするとして、いろんな屋台を渡り歩きましょうか。

 食べたいものがあったら言ってくださいね。僕も見つけ次第伝えます。」

 

「ん。いいよ。他に骸はしたいことあるの?」

 

「そうですね……では、せっかく2人で来たのですから、味が複数あるものなどはシェアしながら食べませんか?その方が何倍も楽しめそうですから。」

 

「いいね。じゃあ、そうしようか。」

 

 複雑な思いに苛まれてはいるけど、今は骸との思い出を沢山作ろう……そんなことを考えながら、わたし達は屋台を回っていく。

 一夏の思い出……限定の関係……一生忘れることはない、一つの幸せとして刻むために。

 

 

 

 …………………

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 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

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 あれから骸は見たことないものや興味深いものを手当たり次第回っていた。

 時折屋台のメニューを見て首を傾げたりするため、補足するように説明して、どんなものかを教えれば、それを買って口にするなり目を輝かせると言う普段より幼い姿を見せることもあった。

 祭りの屋台に関して説明されながら回ってる人を見て、不思議そうな視線を向けられる可能性はあったが、名前はなぜか日本人寄りだけどちゃんとイタリア出身なだけあり、顔立ちがやはり日本人とは少しかけ離れているからか、特にそんな視線を浴びることはなかった。

 

「祭りは初めて来ましたが、なかなか楽しいものですね。やってることは食べ歩きではありますが、普段は見かけないものが沢山あって、どれも美味しいですし、初めて食べるものも沢山あって、新鮮です。」

 

「だろうね。わたしも祭りは何度も来てるけど、いっつも新鮮さを味わってるよ。

 滅多にやらないイベントなだけあって特別感もあるし、楽しめるんだ。」

 

「確かに、街とは違い、提灯による灯りや屋台の灯りに包まれた景色は、どこか不思議で、だけど特別な何かが広がっているような気がします。」

 

 “悪くないものですね、こう言うのも”と小さく笑い、祭りの喧騒を眺める骸にわたしは釣られて笑う。

 初めての祭りを楽しめているようで何よりだ。

 

「にしても、チョコとバナナってこんなにも合うんですね。」

 

「さっきからチョコバナナを見かけるたびに買ってるのは笑っちゃうんだけど。」

 

「仕方ないでしょう。チョコレートが好きなのですから。」

 

「わかるけどさ。」

 

 どれだけ好きなのチョコレート、と思わず笑い声を漏らす。好物であることは知ってるけど、まさか度々チョコバナナを買うとまでは思わなかった。

 でも、好きなものを沢山食べたい気持ちはすごくわかるから、なんとも言えない気持ちにもなる。

 

「ねぇ、骸。」

 

「何ですか?」

 

「骸も、今こうしてる時は、本当に子供にしか見えないね。」

 

「それは桜奈といるからでしょうね。これまでの僕は、ここまで純粋に何かを楽しむことができる程の精神状態ではなかったので。

 桜奈がいるからこそ、僕は今を純粋に楽しめているんですよ。だから、これも全て、桜奈のおかげです。」

 

「わたし、何もしてないけど?」

 

「いいえ。ちゃんとしてくれてますよ。僕の側にいてくれること……それだけでも十分過ぎる程に、あなたは僕に沢山のことをしてくれているんです。」

 

「何それ。」

 

「本心からの想いですよ。桜奈がいなければ、僕はずっと憎悪以外を持ち合わせることがなかったはずですから。」

 

 穏やかに笑いながら、わたしが側にいることが、どれだけ影響をもたらしているのかを話す骸。

 提灯の灯に照らされて、普段とは違う見え方がしているからか、少しだけその横顔に見惚れてしまいそうになる。

 小説なんかで、祭りを楽しむ女の子に思わず見惚れてしまう男の子の描写などがたまにあるけど、それは、滅多にない特別な日に、こう言う不思議な見え方をしてしまうからなのだろうか。

 

「……わたしがいなければ、憎悪以外を持ち合わすことはなかった……か。」

 

「ええ。あなたとの出会いが、僕にここまで人間らしさを取り戻させてくれたのですよ。

 きっと、あの時あなたと出会わなければ、あの時あなたが僕を受け入れてくださらなければ、僕はマフィアに対する憎悪と、六道輪廻の中でもっとも嫌っていたこの人間道に対する嫌悪のみを宿し、あらゆるもの全てを壊そうと思っていたでしょうね。

 桜奈のことも、憎きマフィアのボスとしか認識することはなく、全てを壊すための手駒として利用することしか考えなかったと思います。」

 

 そんなことを思っていると、骸がわたしと出会うことがなく、受け入れられることもなく、時の流れに身を任せた場合、どうなっていかを話してきた。

 その言葉にわたしは無言を返す。もし、あの時わたしが彼と出会わなかったら、彼はそれ程までにマイナスの感情のみを抱いていたのだと言うなら、わたしと彼があの出会いを得て、変わるきっかけを見つけたことは、意味があったのかもしれない。

 

「……それは、わたしも同じだね。感情のあり方は違うけど、骸と出会わなかったら、また同じ轍を踏むことになっていた。

 誰かに甘えることも、自我を出すこともなく、みんなの幸せを願い、壊れてしまう可能性が高い道のりを歩き続けて、今みたいに心から笑うことはあまりなかったと思う。」

 

 互いに出会えたからこそ、歩むべき道が他にもあるのだと気づくことができた。

 こうして巡り会えたからこそ、わたし達の道は一つではないのだと理解することができた。

 もしもこうして出会わなかったら、共に過ごすことがなかったら、わたし達は最悪な出会いを得て、今のような環境や関係は築けなかったのだろう。

 

「……どっちが良かったんだろうね、わたし達は。」

 

「出会うべきだったのか、それとも出会わないべきだったのか……ですか?」

 

「うん。」

 

「……そうですね。もはや出会わなかった場合など考えることができない程に、僕らの関係は築き上げられているので、なんとも言えないですが、僕としては、桜奈と出会えて良かったと思ってますよ。

 桜奈と出会わなければ、僕の世界が色鮮やかなものへと変わることはありませんでした。

 桜奈が僕と出会ってくれたからこそ、僕は自身の世界にある色彩を取り戻すことができたし、今を楽しむ気持ちや、誰かを慈しみ、愛おしく思う気持ちを思い出すことができましたからね。

 だから、考えたくないですね。出会わなかった場合のことなど。きっとその道は、酷く息苦しくて、最悪な道のりだと思いますから。」

 

「……確かに、自分で聞いといてアレだけど、わたしも考えたくはないかな。

 きっとわたしも、骸とこんな風に出会うことがなく、別の出会い方をした場合の未来は最悪な道をあるくことにしかならないだろうから。」

 

 恋人繋ぎでわたしを繋ぎ止めてくる骸の手に、わたしはそっと力を込めることで応える。

 こんな風に、確かな温もりを感じ取ることができず、マイナスとマイナスをぶつけ合わせるだけの関係は、こっちから願い下げだ。

 それにより見つかる何かがあったとしても、わたしは絶対にその道は歩きたくない。

 最悪な道しか歩けない気がするとわたしが口にしたのを聞いた骸は、わたしが同じことを考えていたことが嬉しいのか、そうでしょう?と穏やかに笑いながら口にするのだった。

 

 

 




 桜奈
 骸と共に祭りに来た転生者たる桜の花。
 骸と出会えたからこそ、人形のようにならないで済んだと思っており、彼との出会いは意味があるものなのだろうと語る。
 骸と出会わなければ、最悪な道のりを歩いていたかもしれないと思っており、今の時間を記憶に刻もうと考えている。

 六道 骸
 桜奈と共に祭りに来た囚人だった少年。
 桜奈と出会えたからこそ、自身の世界に色彩を取り戻すことができたことや、他人を慈しみ愛することができるのだと告げる。
 無論、その慈しみと愛する気持ちは桜奈以外に向けるつもりはないのだが、確かに変わっている自身を自覚している。
 桜奈と出会わなかった時の道は考えたくない。


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