最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 花火を見て過ごした桜と藍色。祭りも終わりを迎えてしまったため、黒曜にある下宿屋へと帰ろうとしていたが、厄介なトラブルに見舞われてしまい、帰宅することができなくなってしまった。
 困惑する2人が取った行動は……。


桜と藍はトラブルに見舞われる

 花火大会も終わり、そろそろ帰宅するかと思い、再び骸のハイレベルパルクールを隠すため、幻術を使用して駅まで戻る。

 しかし、そこはやけに人がごった返しており、困惑の声を上げていた。

 

「何かあったんですか?」

 

 少しだけ嫌な予感を抱き、側にいた祭りに来ていたであろう浴衣姿と甚平姿の男性に話しかけると、その人達はキョトンとした表情を見せたあと、困ったように眉を下げて顔を見合わせる。

 

「ああ。オレ達もさっき聞いたところなんだけど、どうやら電車がトラブったみたいでね。」

 

「なんか、線路に異常が見つかった、みたいなこと言ってたよ。」

 

「折角祭りを楽しんでたのに、こんなトラブルに見舞われたから、ちょっとガッカリだよな。」

 

「ほんとほんと。ていうか、線路から煙って何があったんだって話だよね。」

 

 突然話しかけてきたわたしに、目の前の男女は何があったのかを丁寧に説明してくれた。

 ちょっぴり言動がチャラっぽいな……と思ってしまったが、その考えはすぐに消す。

 

「わたし達、さっき来たばかりなので、放送を聞いていないのですが、どれくらいで動くか、とか言ってましたか?」

 

「それが結構時間かかるみたいで、詳しい時間は未定なんだって。」

 

「明日も休みだからまだよかったけど、もし、これが仕事の前日とかだったらめっちゃ最悪だよね。」

 

「確かに、それは嫌ですね。わたし達も学生なのでよくわかります。平日前じゃなくて本当に安心しました。

 まぁ、だからといって嬉しい話でもないですけど……。」

 

「「ほんとそれ。」」

 

 なんか、この人らとの会話、妙にテンポいいな……と少しだけ思いながらも、一言二言言葉を交わしたわたしは、最後にお礼の言葉を2人に伝えて骸と共に離れる。

 ……嫌な予感は的中してしまったわけだが……さて、どうしたものか。

 

「……線路内トラブルですか………。突然起こりますね。」

 

「うん。まぁ、地方じゃ、動物が線路内に飛び込んで来て引いてしまったから止まることも、雨がひどいからって理由で止まってしまうこともあるからね。

 いつ、電車のトラブルが起こるかはわからないよ。中には、生きることに疲れて飛び込んでしまう人もいたりするし、他にも、少しの接触が大事になることもあるから。

 前世のわたしが経験したのは、線路から煙が立ち上ってるのが見えたから、火元の確認と安全確認のため止まるって奴かな。」

 

「なるほど……。まぁ、テロなどの可能性も少なからずありますから危険ですし、命を預かる仕事である以上、然るべき対処をしなくてはなりませんよね……。」

 

「そういうこと。」

 

 今回のトラブルについて、骸と話しながら、わたしは駅から少し離れた場所へと足を運ぶ。

 そこにはタクシー乗り場が存在しており、電車に乗れなかった人達が集まっていた。

 

「……タクシーでどこまで帰れるかな………。黒曜まで帰れるといいけど、場合によっては担当の範囲外だからってそこまで帰れない時もあるし……。」

 

「とりあえず、訊ねるだけ訊ねてみましょうか。あのショッピングモールあたりまで帰宅できれば、あとはどうにでもなりそうですし。」

 

「……そうだね。タクシードライバーさんに聞いてみようか。」

 

 かなり待つようにはなりそうだったが、とりあえずタクシーを使っての帰宅を試みることにしたわたし達は、しばらくの間、タクシー乗り場で待機する。

 タクシー乗り場には、次々とタクシーが入って来ては、客を乗せていくため、思ったより早く乗れそうだ。

 

「すみません……」

 

 客がどんどん減っていき、自分達の順番が来る。

 とりあえず他の客の邪魔にならないようにタクシーに乗り込んだわたし達は、ドライバーに自分達がここに来る前にいたショッピングモール……もしくは、こっちに向かう時に乗った電車の駅まで向かえるかどうかを聞いた。

 どうやら、わたし達が乗ったタクシーなら、ショッピングまでが範囲内だったようだ。

 それならと、わたしはショッピングモール付近まで向かって欲しいことをタクシードライバーに告げ、移動する。

 それなりに遠く、乗り初めの金額も少し高かったため、結構な支払額となってしまったが、ショッピングモール付近までは帰宅することができた。

 

「……さて、あとはバスがあるか否かですが…………」

 

「ん〜……これは、ちょっと厳しいかな……。」

 

「ですね……」

 

 なんとかたどり着いたショッピングモール付近から、今度はバスを探す。

 しかし、どうやら最終便は1時間後に来る反対側方面のものしかないようで、わたし達は困惑する。

 おそらくだが、電車が動いていれば、もう少し早くこっちには戻れて、バスにも間に合ったのだろう。

 だが、予期せぬトラブルが発生してしまい、バスに間に合わすことができなかった。

 

「どうする?」

 

「どうしましょうかね……」

 

 2人して頭を悩ませながら、どうしたものかを考える。

 そんな中、近隣にいくつかホテルがあることに気がついたわたしは、何度か瞬きをしたのち、小さく頷く。

 一か八かやってみるしかない。

 

「……骸。ここら辺、割とホテルがあるみたいだし、一か八か、飛び込み宿泊できるか聞いてみない?

 手持ちは潤沢だし、部屋さえ見つかれば泊まることができるはずだよ。」

 

「へ!?ホテルですか!?」

 

「……いや、何で驚いてんの。」

 

 わたしの発言を聞き、素っ頓狂な声を上げた骸に、そこまで驚く必要あるか?と言わんばかりにツッコミを入れる。

 こっちから向こうに戻るためのバスはない。歩いて帰るにもかなり時間がかかる。

 先程までわたし達が乗っていたタクシーが去ったことにより、現在タクシー乗り場にはタクシーがいない。

 まぁ、待てば来るとは思うが、どこで時間を潰せばいいかわからない。すでにショッピングモールも閉まっているために。

 

「前世では度々残業の影響で終バスも終電も逃したことがあってね。タクシーに乗れば帰れるって話だけど、あの頃のわたしはあまりタクシーのにおいが得意じゃなくて、乗りたくなかったんだ。

 割とタクシーのドライバーさんって、休憩時間にタバコを吸ってることがあるから、その影響もあってしんどかったんだよね。

 今日乗ったタクシーはそうでもなかったけど、転生した今もタクシーはあまり得意じゃないんだ。

 で、まぁ、それならどうしていたんだっていうと、ホテルに泊まって休んでから出社していたことがあるんだよ。

 あの頃は今程の大金は持っていなかったけど、いざと言う時用にそれなりの金額を持ち歩いていたんだ。

 シャツやスーツはホテル内でクリーニングすればよかったし、下着とかはホテル内で購入すればよかったから。」

 

「サラッととんでもない生活していません?終電などを逃す程の残業ってなんですか……。」

 

「部下が処理しきれなかった書類だよ。一部上司もちょっと無能でね。その分作業効率が高いわたしがそれとなく引き受けて、可能な限りやっていたんだよ。

 新人も無茶をして仕事を失敗することがあったから、そのフォローもこなしたりしてね。

 それくらいしないと、わたしがいた会社は少し回りが悪かったんだよ。」

 

「……桜奈。今世は働かなくていいです。僕が養います。」

 

「そっちもとんでもないこと言ってる自覚おありで……?」

 

 急な爆弾発言にツッコミを入れながらも、わたしは付近にあるホテルがどれだけあるかを建物を見ることで確かめる。

 明らかにアレ系なホテルがちらほらと見えるから、そっちはなるべく避けるとしよう。

 

 

 …………………

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「……で、結局ホテルに足を運んだわけですが、いきなり空き部屋があるホテルを見つけて即決するとは思わなかったのですが?」

 

「なんとなく選んだホテルがそうだっただけだよ。部屋はそこそこグレードがいい場所になったけど金銭に問題はなかったし、まぁいいか。」

 

「セミスイートはそこそこと言っていいグレードではないと思いますが……?」

 

 ホテルに泊まろうと即決したわたしに、骸が軽くツッコミを入れてくるが、これまで何度もあったことだったので無視してホテルに足を運び、部屋を引き当てたため、すぐにその部屋を取らせてもらい、部屋に移動する。

 まぁ、旅行シーズンとかでもなければ、普通にこのグレードの部屋も空いてることがあったし、今世では金銭面が誰かさん達のせいで問題はないため、できた即決とも言えるだろう。

 

「話には聞いていましたが、随分とあなたは金銭的援助をされているようですね。」

 

「父さんとリボーンが口座を作って、毎月かなりの金額を振り込んで来ていてね。

 おまけに、マフィアランドって呼ばれる場所で出会したマフィアからも、あの時のお礼だって未だにそれなりの金額を振り込まれてるんだよ。

 自分達のボスを失わずに済んだとか、軽傷で済んだから今も変わらず元気に生活しているとか、そんな理由で。

 いらないって言ってもこればかりは譲れないって理由で未だに上納金が絶えない。」

 

「マフィアの金ですか……。まぁ、碌でもない入手経路ではありそうですが、搾り取れるだけ搾り取るのも一つの手だと思いますよ?金銭面で勝手に破滅して消えてくれそうですしね。」

 

「骸のそのマフィアに対する当たりの強さ、なんなの……?」

 

「それだけ過去にマフィア共から苦しめられて来たんですよ。まぁ、こちらに関しては近々教えましょう。

 今はまだ、ゆったりとした時間に入り浸りたいですから。」

 

 穏やかに笑いながらも、過去は近々話すと告げてくる骸に、短く相槌を打ちながら、わたしは部屋を見て回る。

 ふむ……必要なものは全部準備してもらってるみたいだな。予約ではなく飛び込み宿泊だから、ドリンクとかは置かれてないみたいだけど……あ、ルームサービスで頼めるみたい。

 まぁ、今は別にいいかな。明日の朝、朝食はこっちで頼もう。

 

「少し、ホテルの電話を借りて来ます。千種達に、今日は帰れなくなったことを伝えておかなくてはいけませんからね。」

 

「わかった。お風呂、先に入ってもいいかな?」

 

「ええ。待っている間、退屈でしょうからね。」

 

 そんなことを思いながら、互いに今からやることを伝えて各々で行動を取る。

 わたしはお風呂に、骸は千種達への連絡に。

 

 ……朝帰りになっちゃうこと、千種達怒らなきゃいいけど。

 

 

 

 




 桜奈(沢田 奈月)
 前世では少々周りの人間があれだったせいで、かなり仕事を請け負っていた転生者。
 それにより発生した残業により、何度か自宅ではなくホテルに泊まっていたことがあり、終電も終バスもない……ならホテルに行くか、と即決してしまう所がある。

 六道 骸
 桜奈が前世でどのような生活をしていたのかを断片的に知ってしまい、思わずツッコミを入れてしまった前世を持つ術士の少年。
 仕事ができる自分自身が回すことに躊躇いがなく、ほぼワンマンでも気にせず過ごしていたことがわかってしまう過去を聞き、今世は自分が養うから働かないでくれと思わず言ってしまった。
 なお、当人はかなり本気の模様で、桜奈を働かせずに養う方法を思案している。

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