最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
急ぎの用があると言われ、すぐさまボンゴレファミリーの本部に戻った家光達。
彼らが聞かされた話は、次に襲撃されるのはどこであるかの話だった。
No side.
ファミリーの襲撃事件が未だに起こる中、家光達はようやく襲撃者の名を見つけることができた。
襲撃者の名は、彼らが読んだ通りムクロを名乗る青年と、同時に脱獄した4人の脱獄者達だったのだ。
彼らの足取りも、襲撃を生き残った者達の話から少しずつわかっていき、あと少しで王手をかけることができるところまで情報が集まった。
「あとは、こいつらがどこを次に狙うかだよな……」
「ああ。でも、どうやって見つけるんだ?先回りするにも、これまでの襲撃の傾向からすると、かなりランダムだろ?」
「そこなんだよなぁ……」
集まった情報をまとめた資料を見つめながら、家光とディーノは首を傾げる。
必要な情報は全て揃っているが、最後のピースが見つからない。なんらかの法則性があれば、それを基に襲撃先へと先回りすることも可能だが、残念ながら、ファミリーの無差別襲撃に法則性はなく、先回りするためのヒントがどこにもないのである。
一応、襲撃されたマフィアがどれだけの規模であるかは把握できていた。弱小と呼べる小さなファミリーだ。
しかし、この規模のファミリーはイタリア全土に渡り、かなり存在しているため、絞り込むことが難しい。
どこかに見落とした情報はないか……そんなことを考えながら、家光とディーノは再び資料を見ようと考える。
だが、それより先に、王手になり得る一報が、彼らの元に届いた。
「「!」」
突如鳴り響く携帯電話。音の発生源は家光の携帯電話で、送信元に記されているのはボンゴレ9代目の文字。
2人は一度顔を見合わせたのち、小さく頷き、携帯電話の通話ボタンとスピーカーボタンを押す。
【調べ物をしてもらっている時にすまない。至急伝えたいことがあってな。悪いが、すぐに本部に戻ってきてもらえるかの?】
通話が開始された瞬間、9代目から告げられた言葉に、家光とディーノは顔を見合わせて瞬きをする。
しかし、すぐに意識は電話の方へと戻し、それに対する答えを口にする。
「構いませんが、何かありましたか?」
それは当然の疑問だった。
呼び出されると言うことは、9代目側が何かしらの情報を掴んだと言うことではあるが、なんの情報が見つかったのかは、大まかに知っておきたかったのである。
家光の疑問の声に、9代目は肯定する言葉を紡いだ。そして、呼び出した理由を簡潔に述べる。
【リボーンから、奈月ちゃんの足取りが少しだけわかったと言われてのう。そのことを伝えたい。
そして、今回の連続的に起こるマフィアの襲撃事件……それに関しての話もある。】
「「!?」」
告げられた言葉に家光とディーノは目を見開く。しかし、すぐに頭を切り替えては、本部への招集命令に承諾の言葉を紡ぐのだった。
…………………
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.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.
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…………………
「やぁ。家光。ディーノ。待っていたよ。」
「…………。」
「「リボーン!?」」
「……ちゃおっス、家光。ディーノ。久しぶりだな。」
ボンゴレの本部に辿り着くと、そこにはリボーンかの姿があった。
少しだけ疲れている様子があるが、家光とディーノはなんとなく、目の前にいる最強のヒットマンも必死に奈月を探していたことを察してしまい、思わず顔を見合わせた。
「リボーンはここ数日、奈月ちゃんをずっと日本の方で探していたようでな。本来ならば、情報を連絡のみで交換する予定だったのじゃが、どうしても直接我々に話したいことがあったようじゃ。」
「……ナツに関しての話だからな。連絡で済ませてもよかったんだが、やっぱり直接言った方がいいと思ったんだ。
まぁ、かなりスケジュールが詰め込まれ過ぎていて、それなりに疲労しちまってるけどな。」
少しだけ元気なさげな声音でそう告げるリボーンに、家光とディーノは心配そうに目を向ける。
あらゆる能力が桁外れであるこのヒットマンが、ここまで疲労することがあるのかと、その表情には出ていた。
「メンバーは一通り揃ったようじゃな。では、情報交換といこう。まずはリボーンからで構わんかの?」
「ああ。」
9代目の主導の元、情報交換が始まる。
最初に声をかけられたのはリボーンだった。まずは奈月の安全確認からと言ったところだろう。
「ナツは無事であることがわかった。移動した先は、並盛町の隣にある黒曜センター付近。
だが、しばらくいた痕跡はあったが、オレがたどり着いた時はすでに移動したあとだった。
どうやらナツは、自身を連れ出した張本人と今一緒にいるみてーだな。ナツが滞在していたらしい場所で、手紙を見つけた。」
そう言って、リボーンは持ってきた手紙を取り出し、9代目へとそれを手渡す。
手紙を手渡された9代目は、リボーンからそれを受け取ったのち、読んでもいいかとリボーンに目配せをして問いかける。
9代目の意図を感じ取ったリボーンは、手紙に記されていた内容を脳裏に浮かべ、頭に被っていたボルサリーノを目深に被ったのちに静かに頷く。
彼の様子から、手紙に記されていた内容がなんであるかを大方察した9代目だが、彼は顔にそれを出すことなく、手紙に静かに目を通した。
「……そうか。奈月ちゃんは、このようなことを思っていたのじゃな……。
どうやら我々は彼女のことを把握しきれていなかったらしい。これ程に抱え込み過ぎていたとは……。定期的に、彼女の想いを聞いておくべきだったかもしれんのう……。」
そこに記された内容を最後まで読んだ9代目は、その表情を少しだけ曇らせて言葉を紡ぐ。
彼女の責任感の強さや真面目さ、抱え込んでいたらしい精神的な疲労……把握していたつもりが、把握し切ることができていなかったと9代目は反省する。
同時に、彼女の能力の高さを改めて痛感した。まさか、自身の超直感すらも欺いてしまう程に、物事を隠すのが巧いとは思っていなかったのだ。
「ナツは、すでに超直感がどのような力であり、どのように制御すればいいのかを把握しており、自在に使えるようにする技術も身につけている。
どうやら、その把握能力と技術力、自分なりに新しい方法を見つけてからその方法を実行することができる器用さが最悪の方向で働いていたようだな。
超直感をどのようにすれば欺くことができるのか、それを理解しているみてーだ。」
9代目の様子から、彼であってもナツの限界を見誤ってしまったことを察したリボーンは、冷静に現状を分析する。
彼のまさかの発言に、9代目以外のその場にいた者達がざわついた。ボンゴレの血により遺伝する超直感……それを欺く方法があるのかと。
そんなざわつきの中、リボーンは俯く。周りに本来の限界を悟らせないその力の使い方は、誰にも気づかせたくない、心配させたくない、迷惑をかけたくないと言う彼女の執念……その証。
それを見破ることすら許されず、残された手紙によりようやく明かされたと言うことは、直接明かせてもらえるほど、彼女に心を許されていなかったと言う現実でもあった。
自身と彼女の間には、まだこんなにも距離があったのかと、変えようのない事実に歯を食いしばる。
湧き上がる苛立ちは、彼女に対するものもあるが、1番は自身に向けられていた。
もっと彼女に寄り添えていれば……もっと早く彼女の執念を霧散させるための手を打つことができていれば、このようなことにはならなかったかもしれないと。
「リボーン。この手紙は、家光達にも見せて構わないかのう?」
「ああ。むしろ、家光達にも知ってもらった方がいい。ナツの本音が記されている唯一の手紙だからな。」
しかし、9代目からの問いかけを聞き、すぐにその思考と感情を抑え込む。
度々感情を露わにしてはいるが、やはりそこは凄腕と呼ばれる最強のヒットマンか、頭の切り替えは早かった。
リボーンから許可を得た9代目は、家光に奈月の手紙を差し出す。9代目から手紙を受け取った家光と、彼が手紙を受け取ったのを確認して隣に並んだディーノは、丁寧なイタリア語で記されているそれを見て、その表情を曇らせた。
「……こういうことは、手紙じゃなくて、ちゃんと口で伝えてくれよ……ナツ……。」
「………。」
呟くように言葉を紡ぐディーノと、無言で手紙を見つめる家光。2人の反応に、9代目は一度目を瞑ったのち、静かに口を開く。
「このような手紙があると言うことは、奈月ちゃん自身は悩みはすれど、手紙を残しておける程の自由は与えられ、尚且つ安全面を考慮された状態で、自身を連れ出した存在と共にいるようじゃな。
ひとまずは無事であることがわかったのじゃ。今はファミリーを襲撃している者達の方を優先しても問題はなかろう。」
そう言って9代目は家光とディーノに視線を向ける。彼の視線に気づいた2人は、すぐに小さく頷いたあと、リボーンへと手紙を返し、自分達が調べることができた情報を口にする。
「今回の襲撃事件を引き起こしている者は、死刑執行を翌日に控えていたムクロと言う存在と、同時に脱獄した者達で間違いはありません。」
「脱獄した人間は、約7名。そのうちの3名が主に襲撃を担っているようですが、襲撃の中を運良く生き抜けた……もしくは生かされた者達の証言によると、襲撃者は5名おり、そのうちのムクロと思わしき男、および、双子の司令塔として動いている男だけは、余程のことがない限り、襲撃に加わる様子はなかったようです。」
「襲撃されているファミリーは、基本的に中小マフィアで、狙われるファミリーはランダム。
規則性があまりにも少なく、未だに次に襲撃され得るファミリーの特定には至っていません。」
家光とディーノの報告に、9代目は小さく頷く。
そして、報告を終えたあと、どこか考え込むような様子を見せている家光に目を向けては、静かに口を開いた。
「……家光。何か気になることがあるのではないか?」
「え?」
「考え込んでおるからな。少しばかり気になったのじゃ。どのような情報でもいい。憶測のようなものでも、引っ掛かりを感じたものでも、今思ったことでも構わん。
何か、話しておきたいこと、聞かせておきたいことがあるのであれば、今のうちに話しなさい。」
「…………。」
9代目の言葉に、家光は一瞬だけ目を丸くする。
しかし、すぐに気まずそうな様子を見せたのち、何かを決めたような表情を見せては口を開いた。
「では、お言葉に甘えて……。なんとなくではありますが、脱獄した人間のうち、ムクロと呼ばれている男は偽物であり、本当のムクロは別にいるような気がしてならないんです。
脱獄したのも、実際は7名ではなく8名で、本当のムクロは別行動を取っているのではないかと……。」
家光の言葉に周りがざわつく。脱獄した人間の数が合わないことや、現在追っているムクロは偽物ではないかと言う疑問を、彼が口にするとは思わなかったのだ。
ディーノも彼の言葉に戸惑いを見せる。なんとなくと言っている割には、どこか不思議と確証を持っているような声音だったために。
「……では、その8人目はどこにいると?」
「……ナツの手紙に記されている、一緒に行動を取っている男……この男が本当のムクロであり、隠された8人目ではないかと。
まぁ、先程も言ったように……所詮はなんとなくの勘に過ぎず、なおかつ、その男の居場所まではなんとも……。
ただ、我々が追っている襲撃者……その首謀者と邂逅することができれば、答えはわかるかと思っています。」
9代目の質問に淡々と答える家光に、ますます周りの人間はざわつく。
だが、9代目とリボーン、そして、戸惑いから頭を切り替えた、あらかじめ家光の変化を聞いているディーノは顔を見合わせる。
だが、9代目が小さく笑って頷いたのを見ては、師弟で目配せをして、小さく頷いた。
「実はの、家光。わしも同じことを考えておった。まぁ、わしの場合は、ある程度奈月ちゃんと、奈月を連れ出した者達がどこにいるかもわかっておるが、この手紙を見る限りだと、今は奈月ちゃんを保護するより、襲撃者達の捕縛を優先した方がいいと判断しておる。
手紙から見ても、奈月ちゃんは手厚く保護された状態で連れ出されておるしのう。
きっと、今はあの子にも考える時間が必要じゃ。このように迷ってもなお、ボンゴレを継ぐと言うのであれば、その時は我々が出来得る限りのフォローを行い、この子の負担を減らしてやろう。
場合によっては、日本の方にCEDEFの支部を作り、そこで家光に行動を取らせることも視野に入れた方がもしれんのう。」
「それはありがたいですが、大丈夫ですかね?ただでさえ最近は、日本にボンゴレに関するものをかなり作ってるし……」
「問題はなかろうて。奈月ちゃんに助けられたファミリーからも申し出が出ておるのじゃからな。」
「申し出?」
「ああ。奈月ちゃんの力になれるのであれば、いくらでも力を貸すと言われておる。」
「おそらく、マフィア連合の連中だな。マフィアランドにナツを連れて行った時に起こったスカルの襲撃事件で、ナツが的確な指示を出した上、被害を最小限に抑え、自らも表立って戦闘に加わってたもんだから、心酔しちまった連中がわんさかいるんだ。
今でもナツにお礼がし足りないとか言って、月に一回、オレがナツ用に作っておいた口座の中に金が振り込まれてるぞ。
なんでも、自分達のボスを助けてくれたとか、自分の妻を助けてくれたとか、こうしてまた夫婦と過ごせるとかって話をよく聞いてる。
ついでに、ナツは頭がいいからな。時折あのマフィア専用の携帯で他の地域のマフィア連中から話を聞き、超直感を併用しながら状況に合った打開策を的確に意見として口にするもんだから、ナツについて来るファミリーが後を絶たねーんだ。
人材操作がうま過ぎるんだろうな。おかげでナツに関わってるマフィア連合に混ざっていた連中ファミリーの金銭はかなり潤沢だぞ。」
「……オレの娘は何をやってんだ?」
「あー……人望が厚すぎるんだよな……。なんか、ナツには妙に高いカリスマ性があるからな。
多分だけど、ナツは軍師タイプなんじゃねーかなって思うぜ。いや、軍師タイプな上、周りを率いることができる大将タイプでもあるのか。」
「まぁ、なんでそんなもんが身についたのか、オレは知ってるけどな。」
知らぬ間に起こっていた事情に、引き攣った笑みを浮かべる家光。うちの娘は上に立つことを得意としていたのか……と少しだけ思いながらも、9代目が口にした、彼女にも考える時間が必要であると言う言葉を脳内に過らせる。
そして、小さく頷いたあと、9代目に視線を向けた。
「……娘の件に関しては了解しました。」
「うむ。では、次は襲撃者の次の狙いを話すとしよう。」
9代目の言葉に、全員が意識を向ける。
先程までの次代のボンゴレの話をしていた少しの和やかさは一瞬にして消え去り、辺りには張り詰めた空気だけが発生する。
「今回狙われたファミリーの規則性は確かに少ない。じゃが、今の現状から見てみると、この者達は、次に我々の周りに手を出してくるじゃろう。
これまで襲撃されてきたファミリーは、繋がりを辿るとボンゴレに通ずる者達に近づいてきておる。
となると、次に狙われるのは、我々の末端……ボンゴレファミリーと確かな繋がりを持ち合わせている中小ファミリーになる可能性が高い。
そこで、ここにいる者達とキャバッローネファミリーには、今から挙げるファミリーの元へと向かい、襲撃に備えて待機するのじゃ。」
9代目からの指示を聞き、その場にいたボンゴレファミリーと、合同で情報集めを行っていたキャバッローネファミリーは、承諾するように頷いた。
それを見た9代目は、すかさずどこに誰が向かうのかを告げ、それぞれ護衛に入るファミリーのボスに連絡を入れるように告げる。
そんな中、家光とディーノは顔を見合わせていた。自分達の名だけ挙げられていないのだ。
「家光。ディーノ。」
「「!はい。」」
なぜ名前を呼ばれなかったのか……その疑問を脳裏に浮かべる中、9代目が静かに2人の名を呼ぶ。
名を呼ばれた2人はすぐに反応を示し、9代目へと視線を向けた。
「2人には、先程名を呼ばなかった者達と、リボーンと共に、1番狙われる可能性が高いと思われるファミリーの元に足を運んで欲しい。おそらくじゃが、そこに奴らはやって来るはずじゃ。」
9代目の言葉を聞き、家光達はすぐに承諾の言葉を口にする。
接敵まで、あとわずか。
リボーン
奈月のことを知らせるためにイタリアに来ていたヒットマン。
奈月が無事であることを告げ、9代目に従い、襲撃者の捕縛に赴くことになる。
沢田 家光
奈月に関しての話があると言われ、すぐにボンゴレ本部に足を運んだところ、リボーンがいたことに驚く。
しかし、すぐに情報を交換し合い、やることの優先順位を決め、ディーノ達と行動に移す。
超直感が開花し始めており、ある程度の直感力が引き上げられ、9代目程ではないが、ある程度見抜ける状態にある。
ディーノ
9代目から奈月に関係する話があると聞き、すぐに本部へと足を運んだら、リボーンがいたので驚いた。
情報交換ののち、やるべきことの優先順位を決め、家光達と行動に移す。
ボンゴレ9代目
家光とディーノをボンゴレ本部に呼び戻し、今回の件に関しての情報交換を行った。
家光が超直感を開花させつつあることに気づいており、彼の意見と自分の意見を擦り合わせるために問いかけた。
なんとなく、奈月がどこにいるのかは把握している状態だが、手紙のこともあり、今は考える時間を与えるべきと判断し、襲撃者の捕縛へと人員を動かすことにする。
沢田 奈月
行方不明の10代目候補。すでに超直感の扱い方を把握している上、それを謀る技術を自ら編み出してしまう程の才を持つ。
迷いによりボンゴレファミリーの目から離れるように、行方を暗ます。