最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
そんな中、眠りに落ちていた藍色は、一つの夢を見る。
それは、繋がりを通して流れ込んできた、桜の花の記憶だった。
MUKURO side.
桜の花の過去 学生時代
海の見える別荘にて、長旅の疲れを癒すように眠りに落ちていた頃のこと。
鼻腔をくすぐる桜の香りに気づいた僕は、その場で静かに目を覚ました。
辺りに広がるのは精神世界……しかも、その精神世界は間違いなく、桜奈が持ち合わせている夜桜と凪いだ海の景色だった。
「これは……桜奈の精神世界ですね。無意識に入り込んでしまったようです。」
ここ最近は、目の前に彼女がいるため精神世界に入り込むことは起こしてなかったが、別の部屋で眠ったからだろうか?
離れた距離を埋めるように、僕はこの世界に足を運んでしまったらしい。
ここまで彼女の側にいたいと思ってしまうとは……彼女に対する自身の想いに思わず苦笑いをこぼす。
いずれは捕らえられてしまう可能性が高いというのに、こんなにも彼女の温もりを求めてしまうなど、彼女と引き離されたら、僕はどうなってしまうのでしょうね。
「まぁ、入り込んでしまったのは仕方ありません。せっかくですし、桜奈と話でもしましょうか。」
独り言を呟くように言葉を紡ぎ、桜奈の精神体を探すために水面下へと目を向ける。
頭上に広がるのは満月が浮かぶ夜空。太陽とは違い、ほのかな明かりを放つだけの月では、水面の下など見えるはずもないと言うのに、この世界は不思議と満月の灯りであっても海の底まで見えてしまう。
「ああ。いましたね。相変わらず水中に咲く桜の森で、あなたは眠っているんですね。」
精神世界であるため、服が濡れることはなく、しかし、水の感覚は確かに存在している場所。
僕は、精神世界に軽く干渉しながら、地面のようになっている水面の上で軽く跳ぶ。
水面の上に再び足が触れた瞬間、体は水中の中へと吸い込まれ、確かな浮遊感が体を覆った。
このまま桜奈の精神体に近寄り、触れて声をかければ彼女は目を覚ます。
だが、彼女の精神体に触れる前に、海を漂う桜の花びらに触れたことにより、僕はあるものを観ることとなった。
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それは、僕が知らない別の日本の景色。海が見える穏やかな街に佇む一つの病室のものだった。
病室にいるのは、黒い髪と黒い瞳を持つ優しげな女性。弱々しくベッドに横たわるその女性は彼女によく似た容姿をしている幼い少女の小さな手を優しく握りしめる。
『……ごめんね。桜奈。お母さん。あなたが大人になるまで側にいてあげたいんだけど、どうやら難しいみたいなの。』
『……やっぱり、もうどうにもならないの?』
『……うん。でもね。あなたがこんなにも大きくなるまで生きることができたことはすごく嬉しいわ。
お医者様からは、あなたを出産することができても、そのまま命を落とすか、一年と生きることができない可能性の方が高いって言われていたんだもの。
それなのにこんなに大きくなったあなたといっぱい過ごすことができたし、お出かけだってすることができた。
こんなに長生きができたのは奇跡だったのよ。でも、奇跡は長くは続かないみたい。』
どこか悲しげな表情をしながらも、穏やかな笑みを浮かべながら、ゆっくり言葉を紡ぐ女性……桜奈の前世の母親である
『きっと、桜奈にも、
本当は、そんなことしたくないけど、なんとなくわかるの。きっと、お母さんはもう長くないわ。』
その言葉を聞くと同時に、幼い桜奈は両目から涙をこぼし始める。長くないと言う言葉に、彼女は嗚咽を漏らし始めた。
すぐにでも彼女を抱きしめたい……そのように思っていたとしても、所詮これは彼女の記憶で、僕はそれを辿っているだけに過ぎず、そのようなことはできはしない。
『ねぇ、桜奈。もし……もしもね……。お母さんが遠くに行っちゃったら、隆晴さんのことをお願いね。
大丈夫。あなたはとても優しい子だから、隆晴さんを支えていけるわ。隆晴さんが、別の人と結ばれそうになった時も応援してあげて。
あの人が、他の人と結ばれるのはかなり寂しいけど、でも、残してしまったあなた達が幸せでいられるなら、笑顔でいられるなら、お母さんは嬉しいの。』
『……そんなこと言わないでよ。わたし、お母さんに死んでほしくないよ……っ』
『桜奈……』
涙を流しながら、静かにひび割れていく自身の世界。壊れないでと言う強い望み、いなくならないでと言う懇願が、僕の方に流れ込む。
これ程までに強い悲しみは、僕は感じたことがなかった。彼女から流れてくるこれは、僕の知らない感情だ。
それがどれだけ辛いものか、僕はハッキリと理解できる。しかし、桜奈の母親はそれを理解していても、桜奈の名を静かに呼ぶだけで彼女の望みに応えることはせず、それ以上言葉を紡ぐことなく、涙を流す桜奈を優しく抱きしめて頭を撫でるだけ。
その腕の中で、桜奈は声を出して泣いていた。逝かないでと言う望みを口にして、側にいてと我儘を言って。
だが、運命は非情なまでに彼女の母親の命を奪い、とうとう桜奈の手の届かないところへとその命を連れて行ってしまった。
あろうことか、彼女が遠くへと連れて行かれた日は、桜奈が10歳の誕生日を迎えるはずの夜だった。
「……10歳と言う節目の誕生日に、桜奈は母親を失った……。彼女が狂い始めた記憶は一度だけ見たことがありましたが、彼女が誕生日を嫌っていた理由までは知りませんでした。
………このような過去があったせいだったんですね……。」
見えた桜奈の記憶に、僕は小さく呟くように言葉を紡ぐ。
絶えず漂う桜の花びらは、ゆらりゆらりと揺れていた。
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桜の花びらが集い、薄紅色の風のようになったかと思えば、再び僕は違う景色の中にいた。
景色の中に存在しているのは、1人の男。それが、桜奈の父親である
二人暮らしにはちょうどいいであろう部屋の中。太陽の光が差し込む中、桜奈の父親と、先程の記憶より成長した桜奈が向かい合って朝食を食べている。
側から見たら、仲良く食事を摂っているように見えるだろう。しかし、広がる空気はどこか重く、明らかに暗いものだった。
『はい、父さん。父さんのお弁当だよ。』
『ん……。ああ。いつもすまないな、桜奈。』
『気にしないで。わたしが学校に行くために、いっつも頑張っているのは父さんなんだから。
仕事が大変なのは知ってるし、家事くらいはわたしがしないとね。そうすれば、父さんはゆっくり休めるんだから。』
『……そうだな。そう言ってくれて嬉しいよ。』
2人の会話が聞こえてくる。やはり、側から見たら父親想いの優しい娘と、その娘の優しさに触れて、安心している父親のようにしか見えない。
だが、僕の目は桜奈の父親が、桜奈を見ていないことに気づいていた。明らかにあれは、いなくなってしまった母親と、目の前にいる娘を重ねている目だ。
きっと、桜奈の母親も、彼女と同じく寄り添うように、支えてくれるように側にいたのだろう。
成長しているせいで、桜奈の母親の面影が、桜奈自身にも出てしまっているため、余計に重ねてしまったのかもしれない。
冷静に分析していると、桜奈の父親は、食べ終わった食器を流しに持っていき、その場から静かに姿を消した。
そのあとを追うように部屋を歩けば、洗面所と脱衣所が合わさったような部屋がある。
桜奈の父親は、そこで洗顔を行いながらも、どこか虚ろな目をしているようだった。
その姿を確認したあと、僕は桜奈の元へと戻る。彼女も朝食を食べ終えて、先程の食器を洗っているようだが、黒曜石のような瞳には、悲しみだけが宿っていた。
『……仕事に行ってくるよ。戸締りを忘れたらダメだよ。』
『うん。わかったよ。行ってらっしゃい、父さん!』
笑顔で見送る桜奈に背を向け、仕事に向かうために家を出る桜奈の父親。
その背中を見送ったあと、桜奈に視線を戻してみれば、彼女の瞳から、先程までの光が消えていた。
『……父さん……。やっぱりあなたの目には、母さんの姿しか映らないんだね。』
ポツリと紡がれた諦観の言葉に、僕は思わず目を見開く。光を失った黒い瞳には、明らかに涙が滲んでおり、今にもこぼれ落ちそうだった。
同時に流れ込んだ記憶の中には、彼女の父親が何年もずっと、桜奈に母親を重ねている景色が一気に過り、僕は思わず手を伸ばす。
「桜奈!!」
彼女の名を呼び、その涙を拭おうと伸ばした手……それは彼女に触れることなく、新たな花びらに触れる感触だけを感じ取った。
再び視界が薄紅色の風に塗りつぶされる際、何かがひび割れるような音が、わずかに聞こえてきた気がした。
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花びらが視界から消えた時、再び景色は変化する。
それはどこかの学校だった。教室の窓からは海が見えており、色鮮やかな蒼を景色に添えている。
「……海…………。」
窓でできた額縁に切り取られ、蒼い光を揺らす海……先程の家の窓からも、最初の記憶の病院からも、海が見えていたことを思い出す。
彼女の精神世界に海が広がり続ける理由は、故郷が海の近くにあったからであると、すぐに僕は理解できた。
『小鳥遊さん!』
『ん?どうかしたの、安田さん。』
「!」
こんなにも色鮮やかな海が広がるのに、感じるものは悲しみばかりで、感動と呼ばれるものが一つも感じ取れない中、不意に聞こえてきた桜奈の声。
その声に反応するように、桜奈の方へと目を向けてみれば、彼女はクラスの女子生徒と話しているようだった。
女子生徒の顔はよく見えない。きっと、桜奈の記憶からは、すでに消えているものなのだろう。
朧げにこんな生徒がいた程度の感情しかなく、特に何かしらの想いがあるわけではない。
『小鳥遊さんって、部活に入ってないんだよね?』
『うん。入ってないけど……』
『だったらさ、剣道部に入らない!?体育の時、小鳥遊さんの剣道を見て、どうしてもスカウトしたくなったの!!』
『え?でも、わたしは体育で齧った程度だし、強くもなんとも……』
『そんなことないよ!!小鳥遊さんなら絶対すごい剣士になれるって!!お願い!!一緒に剣道部をやってみない!?
絶対小鳥遊さんなら注目を浴びるよ!!天才剣士が現れた!!って!』
『流石にそれは大袈裟だよ。でも……うん。ちょっとだけ考えさせてもらえるかな?わたし、片親だから、父さんに聞いてみないと。』
『全然構わないよ!考えてくれるだけでも助かる!!』
安田と呼ばれた女子生徒と言葉を交わし、分かれた桜奈は窓の外を見る。
『……剣道か。』
呟くように紡いだ言葉には、少しの期待が混ざっていた。
もしも剣道で好成績を残すことができたら、父親は自身を見てくれるかもしれない……彼女はそのように考えていた。
そして彼女は少しの思案をしたのち、何かを決めたように頷いて、スクールバッグに入れていたらしい携帯と思わしき端末を取り出して何かを調べ始めるのだった。
「桜奈………」
記憶を辿り、その姿を見て考える。
彼女が狂い始めたきっかけは、先程の剣道部の生徒の言葉に含まれていた、注目を浴びると言う言葉だったのかもしれないと。
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再び景色は一変し、場所はどこかの施設の中だった。
視界に入り込む桜奈は、剣道部が身につける防具を纏い、中央の方へと歩み出す。
『小鳥遊さーん!!がんばれー!!』
『ここを超えたら準決勝!!このまま走り抜いちゃいましょう、小鳥遊先輩!!』
桜奈の部活の仲間だろうか?先程の安田と言う女子生徒の他、複数の女子生徒達が声援を送る中、桜奈は対戦相手と向き合って、剣道の左方の元挨拶を交わす。
そして、審判の声を合図に、相手の剣士と打ち合い始めた。かなりの時間の攻防の末、勝利を掴んだのは桜奈の方で、彼女の方に旗が上がった瞬間、観戦していた者達から歓声が上がる。
『すごい!あの子今年入ったばかりの子なんでしょ!?』
『相手は優勝候補の学校で、経験の差があるはずなのに、あの子勝っちゃった!!』
『あの選手の名前って?』
『
『剣道界に新しい天才剣士が誕生したわね!!』
『これ、もしかして地方大会優勝しちゃうんじゃない!?』
『でも、準決勝に進出している学校は強豪ばかりよ?』
『確かにそうかもしれないけど、もしかしたらってあるじゃない!』
桜奈に注目を向ける声があちこちに広がっている。その言葉を聞き、僕は嫌な予感を覚えながら、桜奈がいる場所へと目を向けた。
そこにいた彼女は、頭の防具を外し、口元に満たされたような、とても嬉しげな笑みを浮かべていた。
同時に感じ取れた感情は、注目されていることに対する心からの喜びと、大きくなっている父への期待。
「っ…………!!」
自身を注目してもらえていると言う状況に、彼女は希望を見出した。
このまま確かな成績を残せば、きっと父親も自身を見て、しっかりと褒めてくれるはず……そのような期待を彼女は抱き、仕事により試合を見に来ていない、父親に対して思いを馳せる。
彼女の歯車が狂い始める……本能的にそう思ってしまった僕は、記憶の彼女に手を伸ばした。
「桜奈!!足を止めてください!!その道はあなたが壊れてしまうだけです!!目を覚ましなさい!!」
自身の声が届かないと分かっていても、僕は大声で桜奈に声をかける。
しかし、当然だが僕の声に彼女は反応することなく、優勝への道を駆け上がり、大歓声を引き起こした。
例え注目されていようとも、彼女が本当に見てほしいと望む相手は、決してその目を向けないのに、彼女は晴れやかな笑顔を見せる。
しかし、その笑顔を壊すかのように、大きなひび割れが映り込んだ。
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あれからぐるぐると景色は変わり続けた。
学生の時に残した数ある栄光、生徒会長としての生活、テストによる満点の連発、他にも様々な記憶を花びらは見せてきた。
しかし、どの記憶も最後はガラスがひび割れるような音と共に終わりを告げて、次の景色へと変化する。
どの記憶にも必ず刻まれていたのは、何かしらの成績を残すたびに、周りが彼女に目を向けて、彼女の凄さを讃える様子。
学生の頃から見続けた景色は、確実に彼女の考えを狂わせ、歪めていく要因となっていた。
成績を残せば周りの人間が自分を見てくれる……これならきっと、父親も自分を見てくれるようになる……。
そう信じて信じて信じ続けて、あらゆる努力を彼女は重ねていった。
しかし、彼女がどれだけ優秀な成績を残しても、彼女がどれだけ多くの人間に褒められようとも、彼女の父親は、彼女の誕生日という節目の時に命を落としてしまった彼女の母親を重ねるような目を向けるばかりで、桜奈と言う存在を映すことがなかった。
『……どうして、こんなに頑張っているのに、父さんはずっとわたしじゃなくて、母さんのことばかり見ているの?
父さんの前にいるのはわたしだよ?母さんじゃないんだよ?忘れられないのはわかってる……わかってるけど……なんでわたしを見てくれないの?
ねぇ……どうして?どうしてそんな顔をするの?なんで笑顔を見せてくれないの?
……父さんの目には、わたしの姿は映らないの…………?』
誰もいない部屋の中で、訴えるように言葉を紡ぐ桜奈。彼女は次第に両目に涙を溜め始め、家にあるベランダの方へと歩いて行ってしまった。
すぐにその後を追い、僕は桜奈の様子を見つめる。彼女はベランダの外に出ては、その場で静かに泣き始めてしまった。
『ねぇ……お母さん……っ……わたしは……わたしはいらない子供なのかな……?どれだけ頑張っても……父さんはわたしを見てくれないよ……っ』
小さく嗚咽を漏らしながら、月光の下で涙を流す桜奈。
幼い頃からずっと、しっかりと自分を見ようとしてくれない父親と過ごして、どれだけ頑張ろうとも母親と自分を重ねる目しか見せてくれない父親と過ごし続けて、彼女の精神はすでに壊れ始めていることがわかってしまった。
「……桜奈。泣かないでください。あなたのことは、僕がちゃんと見てあげますから。」
泣きじゃくる桜奈の隣にしゃがみ込み、彼女の体を抱きしめようと手を伸ばす。
しかし、記憶でしかない彼女に僕が触れるはずもなく、その手は静かに空を切るだけだった。
六道 骸
気がついたら桜奈の精神世界に入り込み、彼女の前世の記憶を巡る旅に出てしまっていた術士。
記憶の終わりに発生するひび割れが、絶望による精神のダメージを示すものであることに気づいており、何度も声をかけているが、所詮記憶でしかない彼女の前世に触れることも声を届けることもできず、拳を握りしめることしかできなかった。
小鳥遊 桜奈
沢田奈月の前世である女性。その記憶。
10歳の誕生日に母親を亡くし、心に傷を負ってしまい、母親によく似た容姿と性格のせいで、唯一の肉親である父親からは母親と重ねられ続けていたことでその傷がひどく深いものとなってしまっていた。
成績を残せば注目してもらえるかもしれない、こうすれば父親に見てもらえるかもしれないと、淡い期待を抱きながら、あらゆる成績を残し続けていたが、どれもほとんど効果はなく、すでに精神は壊れつつあった。
それでもなお、父親に寄り添おうとしたのは、母親から託された父を頼むと言う言葉を守るためだった。
小鳥遊 佳奈
桜奈の母親で、病弱な体質により、桜奈を出産したら命を落とすかもしれないとまで言われていた穏やかな女性。
しかし、桜奈を出産しても生存することができた上、自分のような存在の元に生まれてきてくれた桜奈の成長を見たい一心で、一時期医者に驚かれる程の回復を見せていた。
だが、そのような奇跡は長く続かず、桜奈が10歳の誕生日を迎えた日の夜、そのまま帰らぬ人となってしまった。
小鳥遊 隆晴
桜奈の父親。最愛の妻である佳奈を失ってから、佳奈によく似た桜奈と2人で暮らすようになったが、桜奈の10歳の誕生日を祝えると思った矢先、佳奈の容態が急変し、そのまま失ってしまったことがトラウマとなっており、精神はほとんど壊れていた。
しかし、幼い桜奈を放っておくわけにもいかず、後を追うことはしなかったのだが、成長をする度に、佳奈の面影を強くしていく桜奈を佳奈に重ねてしまうようになってしまい、桜奈を見ることができなくなっていた。