最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
小さな家庭教師
HRも終わり、放課後の時間。部活がある人は部活へと向かい、委員会がある人は委員会に向かい、帰宅部の人は帰路につき、中には遊びに行こうと話しながら、校門の外へと出て行く人もいた。
私はと言うと、特に何かしらの委員会に参加しているわけでもないし、部活に入ってるわけでもないため、HRが終わったら、すぐに帰路へと足を運んだ。
ちなみに、花は図書室へ行って、京ちゃんはいつも通り持田センパイに捕まってしまった結果、ぼっちの帰宅である。
「……しっかし、さっきの気配と視線はなんだったんだろ?しかも、それがあったのは並中の屋上だったし。」
並中の屋上に入る知り合いとかいたかな?なんてことを考えながら、歩き慣れた帰路を進む。
しばらくすれば、自身の自宅である一軒家が見えて来た。もうここまで帰っていたのか……なんて、苦笑いを零す。
流石にちょっと考え事をし過ぎた……。
「ただいま〜。」
「ちゃおっス。」
「…………ん?」
とりあえず、あの気配のことは、家に入ってからゆっくり考えるか……なんて思いながら、家の中に足を踏み入れると、足元の方から聞いた事のない声が聞こえてきた。
不思議に思いながら視線を落としてみると、そこにはスーツを着用し、黄色いおしゃぶりを首から提げている赤子のような存在がおり、手を挙げて挨拶していた。
「お前が沢田 奈月だな。3時間くらい早く来ちまったから、ゆっくりさせてもらっていたぞ。」
「………誰かな、君は?」
赤子のような存在を視界に入れた瞬間、こいつはただの人間じゃないと悟り、警戒心が生まれる。
赤子が二足歩行でスーツを着ている時点でおかしな状況ではあるけど、それ以上に、明らかに一般人じゃないことを本能的に感じ取ってしまった。
間違いない。この気配……さっき、屋上から感じ取ったものと全く同じものだ。
となると、この赤子のような姿をしている存在が、私のことを観察していたってことか。
「……一目見た瞬間、警戒心を表に出してきたな。やっぱり開花してんのか。」
「何のこと?」
「その鋭過ぎる直感だ。平和そのものとしか言えない
どことなく嬉し気な様子の赤子のような存在を訝しむように見つめる。さっきから何を言ってるのかよくわからないけど、間違いなく私の平穏が壊される気配がする。
そんなのお断りだ。折角の第二の人生。平穏無事に過ごしながら、前世でやれなかった人生を満喫するって目標があるのに、邪魔されてたまるもんか。
「あら、なっちゃん。お帰りなさい。」
「ただいま、母さん。ねぇ、この子、誰?明らかに親戚の子じゃないよね?」
「その子はリボーン君よ。実は、今日なっちゃんが学校行ってる時に、面白いチラシを見つけてね。これなんだけど……」
「ん?」
手渡されたチラシを受け取り、その中に書かれている文面に目を通す。
ポップなイラストとポップな文字。どのような条件下による契約ができるかなど、随分としっかり作られているものだ。
でも、この文章はなぁ……
「お子様を次世代のニューリーダーに育てます。学年・教科は問わず……リボーン……?」
「ね!ステキでしょ?こんなうたい文句、見たことないわ。」
「うさんくさいうたい文句の間違いじゃないかな?て言うか、私は別に家庭教師が必要な程成績は悪くないはずなんだけど。」
「今はそうかも知れないけど、高校生とか、大学生になった時のためにも、早めに学ぶのも良いかもしれないわよ?」
「中1のうちからいる?って話だよ。受験生になったりしたら、あった方がいいかもしれないけど、今はそこまで必要ないと思うな。」
「でも、もう契約結んじゃったし……」
「……普通、我が子に相談する前に契約しちゃうかな?」
私のことを思ってやってくれたのはよくわかるけど、もう少し考えてから行動をとってほしいところである。
何かと契約する時は慎重にって言ったはずなんだけどな。
「まぁ、良いじゃねーか。ママンだって、お前を思っての行動だったんだろうしな。」
「それはわかってるけどねぇ……」
溜息が出そうになるのを我慢しながらも、もう一度リボーンに視線を向ける。
明らかに只者じゃない……もっと言えば、父さんと似た気配を持ち合わせている彼は、間違いなく私の日常生活に厄介ごとを持ち込んでくる存在だ。
どうしてかハッキリとそうわかる。つまり、平穏無事な生活を送るためには、追い出すことが先決……関わらないことが最適解だ。
でも、母さんはすでに契約済み。今すぐ帰れと言ったら、無駄な出費を増やしてしまう。
「……そこまでしょぼくれなくて良いよ。別に怒ってないから。父さんがいないからこそ、自分がしっかりと成長の手助けをしてあげないとって思った末のことなんでしょ?なら、家庭教師を受けよう。払い損にだけは絶対にさせない。
でも、今度から何かと契約しようと思った時は相談してよ。今はいない父さんだって、きっと心配するだろうからさ。
特に、口八丁に騙されて、多大な損害を被ることになるような、悪質な詐欺とかに遭ったら、どこをほっつき歩いているかわからない父さんが悲しむだろうし。」
「なっちゃん……。ええ。今度からはちゃんと相談するわね。父さんも悲しませたくないもの。」
「ん。で?どんな契約を結んだの。」
「内容としては住み込み家庭教師ね。契約期間は高校を卒業あたりまでで、大学でも必要になりそうだったら、延長する感じよ。」
「6年の契約って随分と長いな……」
「でも、これならなっちゃんの成績が悪くなることはないと思うわ。」
「まぁ……赤点だけは絶対に取らないだろうね。どれだけ学年が上がっても。」
私の言葉に、「でしょ?」と明るく笑いながら言ってくる母さんの姿に、少しだけ肩を竦める。
相変わらずこの母親は可愛らしくて無邪気だ。危なっかしくて放っておけやしない。
「(リボーンって家庭教師……体術諸々得意気に見えるし、勉強よりもそっちの方教えてもらえないかな?ど天然で心配になる自身の母親を、しっかりと守れる技術くらいは、盗んででも手に入れたいんだけど。)」
勉強よりも優先したい学びたいものを脳裏に浮かべながらも、未だに履いたままの靴を脱ぐ。
そして、階段に自身のスクールバッグを置いたのち、習慣付いている手洗いうがいを済ませた。
「宿題してるけど、手伝いが必要だったら呼んで。すぐにこっちに来るから。」
「ありがとう、なっちゃん。その時は呼ぶわね。」
「ん。じゃあ、リボーン。一応私の部屋に案内するよ。ついて来て。」
「おう。」
自室に向かうついでに、リボーンの本当の目的を聞こうと思い、リボーンに声をかける。
私に呼ばれたリボーンは、すぐに頷いたあと、軽い身のこなしでこちらへと跳躍する。
すかさずそんな彼を受け止めれば、リボーンは少しだけ驚いたような様子を見せた。
わずかな硬直程度のものではあったけど、確かな反応。だけど私は、そんな彼の様子を見なかったフリをして、自室へと向かうため、2階へと繋がる階段を上るのだった。
沢田 奈月
リボーンと出会した瞬間、学校で自身を見ていた存在が彼であることを見抜き、すかさず警戒心を見せた。
日常が壊れるだろうと既に感じており、できれば家庭教師にはお帰り願いたいが、体術くらいは学びたい。
リボーン
家庭教師として奈月の元に姿を現した赤ん坊。一目見ただけで自身に強い警戒心を見せた奈月に、良い意味で予想を裏切られた。
なんとなく勉強より戦闘技術を学びたそうだなと思っている。
沢田 奈々
奈月の母親で、ど天然可愛い女性。奈月のためを思って家庭教師と契約を結んだが、彼女の父さんが心配すると言う言葉に、さっさと決めてしまったことを猛省した。
しっかり者の奈月と、赤ん坊の姿をした家庭教師のリボーンのことは、世の中に天才っていっぱいいるのね!となんの疑問も抱いていない。