最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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風紀委員長と転生少女

 雲雀先輩と出会した翌日。今日も私は、並盛中の屋上へと1人足を運ぶ。

 今日は少し暑いと聞いたから、手にはペットボトルのお茶を持って。

 

「今日も来たんだね。」

 

「すみません。ここ、結構落ち着くので。」

 

「別にいいよ。その気持ちはわからなくもないから。」

 

「そうですか……。あ、そうだ。雲雀先輩。今日は曇りでも結構暑いそうなので、よかったらこれ……」

 

「ん?」

 

「差し入れです。お茶ですけど。」

 

「ああ。ありがとう。こっちに投げてくれる?」

 

「わかりました。」

 

 屋上の扉を開けると、すぐに雲雀先輩が話しかけてきた。落ち着くから足を運んでしまったことを素直に伝えれば、彼は私が来ることは別に気にしないようで、普通に滞在許可をくれた。

 そのことに感謝を述べながら、投げてと言われたペットボトルのお茶を雲雀先輩の方へと放り投げれば、彼はそれを軽々と受け取り、その場で開封して飲み始めた。

 ちょっと喉が渇いていたらしい。まぁ、生きていれば誰だって喉が乾くし、最凶と恐れられている彼も人の子である証拠だろう。

 そんなことを思いながら、私は自分のペットボトルを開封する。こっちはスポーツドリンクだ。

 前世でも、夏場にはかなり重宝していたから、こっちでも夏場は口にすることがある。

 まぁ、一番好きなのはコーヒーなんだけど、熱中症対策にはあまり向いていないから、我慢している。

 

 スポーツドリンクを口にしながら、昨日、居場所にすると定めた場所に移動して座り込む。

 屋上は、どの位置から外を眺めても町がよく見えるからいい。風もよく吹くし、雲雀先輩も関わらなければ物静かな人だから、落ち着くにはちょうどいい。

 本当は、アメ玉も舐めながら過ごしたいところだけど、流石に彼の前で食べる勇気はない。

 本来、学校にはお菓子なんてものを持ってきたらダメな場所だからね。そこら辺は考える。

 まぁ、彼がいないところでは、普通にアメ玉を食べるけど。やっぱりアメ玉は好きなのである。

 

 静寂のみが広がる並盛中の屋上。静か過ぎではあるけど、気まずいと感じるような静けさではないため、問題なく過ごせる。

 それに、普段はみんなと話すのが楽しくて、学生としての今の自分が必然的に表に出てくるけど、やっぱり、どこか疲れを感じる自分もたまにいるため、こんな風に喧騒から離れて過ごすのも悪くない。

 こっちの私は、いわゆる前世が主に出ている状態なんだろう。やっぱり、どこか中学生のノリについていけない時があるようだ。

 

「冷たっ」

 

「ん?」

 

 そんなことを思っていると、ポツンと顔面に水滴が落ちてくる感覚に襲われる。

 驚いて声を上げると、雲雀先輩が少しだけこっちに反応したのち、ふと空を静かに見上げた。

 

「雨が降ってるみたいだね。」

 

「……そうらしいですね。折角ゆっくりできると思ったのに、校舎に逆戻りかぁ……。」

 

 ポツポツと少しずつ雨脚が強くなる中、溜息を吐いて私は今いる場所から離れる。

 仕方ない……今日は屋上に繋がる階段で昼休憩を潰そう……。少しずつ落ち着いてきてはいるけど、やっぱりまだわずかな怒りは残ってるし、今は友達とは関わらない方がいいだろうから。

 少しだけがっかりしながら、急いで校舎に戻るための出入口へと戻る。

 すると、上から軽い身のこなしで雲雀先輩が飛び降りてきた。思わずおお……と小さく声を漏らす。

 この人、ようしゃなく人を叩きのめすと言われているだけあり、身のこなしがかなり熟練されている。

 

「静かなところに行きたいんでしょ。ついてきなよ。」

 

「え?」

 

「こっち。」

 

 雲雀先輩の身のこなしに驚いていると、自分について来いと告げられる。混乱しながらも、とりあえず雲雀先輩の後ろをついていけば、彼は一度私に視線を向けたのち、すたすたとどこかへと移動し始める。

 よく見ると、彼が歩いている道は、どこか人通りが少ない。いや、人はいるけど、雲雀先輩を見るなり、蜘蛛の子を散らすように群れを解散させて、辺りを疎にしていると言う方が正しい表現だろうか。

 なんか、私の方にも視線が向けられていると言うか、あの生徒何やったんだ?とか、風紀委員のヒバリだ……怖ぇ〜〜……とか、あれって一年の沢田じゃ……とか、いろいろな声が聞こえて来る。

 少しだけそれらに居心地が悪くなる。まぁ、最凶と恐れられている雲雀先輩をを後ろからちょこちょこと追いかけている女子って状況から、悪目立ちするのも仕方ないと思うけど。

 

「ついたよ。」

 

「……ここは……応接室……ですよね?」

 

「うん。」

 

「なんで応接室……?」

 

「いいから来なよ。」

 

「あ、はい。」

 

 平然と応接室のドアを開けて入っていく雲雀先輩に続いて、私もその部屋へと足を運ぶ。

 まさか、応接室なんてものに入る経験をすることになるとは思わなかった。

 と言うか、なんで応接室なんだろう……?ここ、関係者以外入っちゃダメなところじゃなかったっけ。

 

「好きなところに座りなよ。」

 

「どうも……。」

 

 好きなところ……って言っても、座れる場所はどう見たって目の前にある座り心地の良さそうな長物ソファーだけなんだけど。

 ていうか、本当に座っちゃっていいのだろうか?あとから先生に怒られたりしない?

 本来ならば、校長とか、立場が上の人が来客を招いて使う場所のはずだよね?

 

「早く座ったら?立っていられると迷惑なんだけど。」

 

「え、あ、はい。わかりました。」

 

 そんな疑問など他所に、雲雀先輩は堂々とこの部屋の奥にある、本来ならばお偉いさんが座るような椅子に腰をかけて、私に座るように促してきた。

 その声にちょっとだけ苛立ちを感じ取ってしまった私は、すぐに長物のソファーの端っこに腰をかける。

 すると、雲雀先輩は満足したように苛立ちを引っ込めて、仕事用の豪勢なデスクの上にある書類と思わしきものに意識を向けてしまった。

 

「……あの……雲雀先輩。」

 

「何?」

 

「……なんで、応接室に?」

 

「風紀委員が使ってるからに決まってるでしょ。」

 

「……そうだったんですね。知りませんでした。」

 

 応接室を利用する委員会って何……?と言う当たり前の疑問が脳裏を過ぎるが、触らぬ神になんとやら……と言うことで、そこには触れないようにして、大人しく座っておく。

 すると、応接室のドアが数回たたかれ、失礼しますと言う低い声とともに、リーゼントの男子生徒……生徒……と言うよりは強面すぎるような気もしなくもないが、とにかく第三者が入ってきた。

 その第三者は、ソファーにちょこんと座る私の姿を見るなり、驚いたような表情を見せるが、すぐに表情を戻し、雲雀先輩に向き直った。

 

「草壁。その子に何か飲み物でも淹れてあげなよ。あと、こっちの書類は確認済ませたから持ってって。」

 

「はい、わかりました。」

 

 雲雀先輩の指示を聞いたリーゼントさんは、テキパキと指示されたことをこなしていく。

 私の前には、温かい緑茶が入った湯呑みを置かれ、持っていくように言われた書類をさっさと持ってい行く。

 

「……今のは?」

 

「草壁。一応、風紀委員の副委員長をやってるよ。」

 

「なるほど……。」

 

 雲雀先輩の言葉により、先程の彼のことを教えてくれた。風紀委員の副委員長だったのか。

 見たことない人だったから、あの人も先輩なんだろう。

 とりあえず、草壁先輩と呼称することにして、目の前に出された日本茶を口にする。

 ……美味しい。

 

「雨が降ったらここに来なよ。離れた位置で静かにしてるなら、自由にしていていいから。」

 

「ありがとうございます……。でも、どうしてこんなに対応してくれるんですか?」

 

「……なんとなく。」

 

「なんとなくですか……。」

 

「悪い?」

 

「いいえ。そのなんとなくでも、複数人ではなく、1人でいられそうな場所を提供してくれるだけでも助かります。ちょっと、最近いろいろあり過ぎたので、疲れていたから。」

 

「ふーん。どうでもいいけど、それを飲んだら教室に戻りなよ。昼休憩も終わるはずだから。」

 

「はい。わかりました。」

 

 雲雀先輩の言葉に素直に従えば、彼はそれ以上話しかけて来なくなった。

 それを確認した私は、これ以上のお話は彼の不評を買ってしまいそうだと判断して、出された日本茶をゆっくりと飲み干した。

 使わせてもらった湯呑みはさっと洗って、その場にあった布巾で水分を拭き取る。

 

「お邪魔しました。失礼しますね。」

 

「うん。」

 

 そして、湯呑みを食器が入った棚へと戻した私は、一応雲雀先輩に一声かけて、応接室を退室した。

 退室する間、書類を整理する音が聞こえていたけど、返事が聞こえてきたから、こっちの言葉は聞いていたのだろう。

 そう思いながら廊下へと足を運べば、昼休憩の終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。

 雲雀先輩の言う通りだったな……と少しだけ思いながら、教室への道のりを歩いていく。

 明日は、雨が止むといいな。

 

 

 




 沢田 奈月
 屋上で休んでいたら雨が降ってきたので、雲雀の提案に乗って応接室に足を運んでいた転生者な10代目。
 邪魔をしなければ、静かにするのであれば、などの条件はあるがたまに1人になれそうな場所をなんとなくでも提供してくれる雲雀に対しての好感度は上がり中。

 雲雀 恭弥
 なんとなくで奈月の居場所を提供している最強風紀委員長。
 たまに話しかけてくるけど、基本的には最低限の疑問のみである奈月の様子に、こちらもまた、お気に入り度を着々と上げている。

 草壁 哲矢
 自身が従う風紀委員長の雲雀が、応接室に一般の女子生徒を招き入れていることにびっくりした副委員長。
 まるでそこにいるのが当たり前と言うような自然な流れでお茶を淹れるように指示を出したり、いつも通りの対応をしているので、自分もそれに従うべきかと判断して、とりあえず従う。

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