最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 桜の花の記憶を見た藍色は、さらに桜にひっつくようになった。
 周りに自身についてくる者達がいようとも、気にせず彼女に対する恋慕を曝け出すようになったのだ。
 自分達のリーダーの様子に、軽く引く脱獄者達。対する桜の花は、困惑しながらも彼を振り解くことはなかった。



桜は思い出を刻みたい

 わたしの記憶をたどり、骸が泣いてしまった日の翌日。

 神谷さんの別荘にて、のんびりと過ごしながら、自身のやるべきことを考えようとしていたのだが、少々困ったことになってしまった。

 

「奈月。なんでこっち向いてくれないんですか。寂しいです。」

 

「いや、そっち向いたら即行キスが降ってくるでしょ。」

 

「いいじゃないですか。もう何回もしてますし。」

 

「確かに何回もしてるけどさ。」

 

 それは、骸がわたし限定のキス魔と化してしまったと言うものだ。隙さえあればどこかしらにキスをしてきて、向き合っていると高確率で唇の方にしてくるのである。

 しかも、それは神谷さんがいようとも、犬と千種がいようとも、使用人さんがいようとも……と言う状態だ。

 いや、まぁ、キスくらいなら問題はないけどさ。乱暴なものじゃなくて、本当に触れるだけのものだし。

 何より性急的なものじゃない……と言うのが、かつての付き纏いやろう達との1番の違いだろう。

 彼らのは本当に最悪な気分にしかならないものだった。乱暴で卑しくて邪で、逃げ出したあとは何度も嘔吐したものだ。

 その上、悪夢となってそれを見ることがしばらくの間は続いていたと言う最悪なおまけ付きだった。

 夢の中で無理矢理襲われると言うのも地獄のようで、しばらく不眠症になった記憶しかない。

 

 それに比べて骸のは、最悪な気分とは全くの無縁としか言いようのないものだ。

 本当に愛されているんだと、大切にされているんだとわかるようなキスと表現すればいいのだろうか?

 大切にされていると言うのがハッキリと伝わるそれは、嫌な気分になることがない。

 

 でも、だからと言って何度もされてしまうのはちょっと勘弁してほしい。

 嫌な気分になるからとか、そんな理由じゃなくて、変に意識してしまいそうになるのである。

 さらに言うと、何度も繰り返しされていると、少しずつ骸に囚われてしまいそうな感覚に陥って、恥ずかしいったらありゃしない。

 だから勘弁してほしい……その思いはちゃんと彼に伝わっているのか、彼は無理強いはしてこない。

 してこないんだけど……たまに狙われてるなってわかってしまうため、ちょっと複雑な心境である。

 

「……骸さん、なんか起きてからやけに奈月に触ってね?」

 

「ツッコまない方がいいよ、犬。めんどくなるし。」

 

 そんなことを考えていると、犬と千種の2人が、わたしと骸の姿を見ながら、ヒソヒソと小さく会話する。

 彼らでもわかってしまう程の骸の変化に、どうやら戸惑っているようだ。

 その気持ちはよくわかる。スキンシップをされているわたし自身がそう思っているのだから。

 

「何で急にキス魔になっちゃったかな……」

 

「たまたま読んだ本に、人は初めてキスをしてきた相手を意識しやすいと書かれていたので実験も兼ねてやってみたんです。

 どうやら本当だったみたいですね?こんなにもあなたは僕を意識してくださるのですから。」

 

「人を実験台のモルモットにするんじゃないよ、全く……」

 

「モルモットだなんて人聞きの悪い。僕はただ、あなたの全てがほしいだけです。

 でなければこんな風にキスしたりしませんし、あなたのペースに合わせることもしませんよ。」

 

 “本当は、すぐにでも桜奈と体を重ねたりもしたいんですから”……と、繋がりによりわずかに感じ取れた本音に、わたしは思わず顔を赤くする。

 精神世界でも度々感じたことがある恋慕と劣情が、僅かに流れ込んできたため、それが本気であることは理解できていた。

 バカ!!そんな思いを込めて、骸の頭を思い切り叩く。「あいた!?」と痛みに悶える声を出しながら、頭を抑える骸の腕の中からさっさと抜け出したわたしは、部屋に隣接しているバルコニーに足を運び、広がる海を眺めた。

 熱くなった頬を潮風で冷やすために。

 

 ─────……他の奴らから向けられた劣情はクソ喰らえってレベルで吐き気を覚えるのに、骸からのそれは吐き気を覚えないどころか、そのまま流されそうになるなんて……っ

 どれだけ絆されてるのわたしは……。このままじゃ、本格的に骸に囚われちゃうよ……勘弁してほしい……。

 

 軽く拗ねながら、自身の髪の毛先を捻る。自身の気持ちを落ち着かせるために、昔からやっていたこの癖は、今でもわたしを落ち着かせるものとなっていた。

 しばらくの間、ねじねじと指で弄っていると、次第に気分もおとなしくなってきた。

 やっと気持ちが落ち着いた……そんなことを思いながら、体を反転させると、何かに衝突する。

 匂いと気配から、明らかにそれは骸で、いつの間に来たんだ……とぶつけてしまった鼻を抑えた。

 

「鼻打った……」

 

「てっきり僕は気づくかと思ったのですが?」

 

「むぅ……」

 

「クフフフ……それだけ意識してしまった……と言うことですかね。」

 

 軽く拗ねながら骸を睨みつけると、彼は小さく笑ったのち、目の前に広がる海に視線を向ける。

 青空の色を写し取ったかのような綺麗な蒼の世界は、太陽の光を反射している。

 

「……あなたが海を気に入っているのは、前世のあなたが住んでいた場所が海から近い地域だったからなんですね。」

 

「うん。綺麗な海が広がってる地域だったんだよ。まぁ、わたしの故郷の海ですら負けてしまう綺麗な海も沢山あったけど。」

 

「例えば?」

 

「そうだね……日本国内だったら沖縄とか、海外だったらハワイとか。他にも綺麗な海は沢山あったよ。」

 

「沖縄……そう言えば、雑誌などにも載っていましたね。確かに、写真に写っていた海はとても綺麗な場所でした。いつか行ってみたいですね、沖縄の海とやらにも。」

 

「うん。いつか絶対行きたいな。」

 

「その時は一緒に行きますよ。桜奈とならどのような場所でも楽しめる気しかしないので。」

 

「……わたしに期待し過ぎじゃない?」

 

「そんなことはありません。僕は本気で思ってます。桜奈とならどのような場所でも笑って過ごせるとね。

 まぁ、そのような時間を得るまでには、少々時間がかかりそうですが……。」

 

「だろうねぇ……。骸っていわば脱獄犯なわけだし。」

 

「そう言うことです。過去にも散々やらかしてますから、脱獄と誘拐がさらに罪状として上乗せされてますね。

 まぁ、どれだけ上乗せされようとも、僕は自身の行動に反省も後悔もするつもりがないのですが。」

 

「うん、知ってた。」

 

 やれやれと溜息を吐きながら、隣に並んで海を眺める骸と会話をこなす。

 すると、背後からカシャッと言うシャッター音が聞こえてきたため、わたし達は音の方へと目を向ける。

 その瞬間、再びカシャッとシャッター音が辺りに響き渡った。

 

 そこにいたのは、一眼レフを手に持っている神谷さんで、彼はにこにこと笑顔を見せながらわたし達を見つめている。

 

「神谷さん?」

 

「フフ……すみませんね、沢田さん!あまりにも六道さんと仲睦まじく話していたので、思わず写真を撮っちゃいました!

 いやぁ、お二人とも見目がいいので絵になりますね!海をバックにしてお話ししている姿、とても良かったですよ!」

 

「褒め言葉として受け取らせていただきますが、勝手に写真を撮らないでくださいませんか?立派な盗撮ですよ。」

 

「あははは!確かに、これは盗撮ですね!ですが、せっかくこうやって一緒に過ごしているのですから、思い出の一つや二つ、写真に残してアルバムにするのもありだと思うんですよね、自分としては。

 それに、沢田さんと六道さんの笑顔がすごく自然にできた明るいもので、最高の瞬間でしたよ。

 どうです?せっかくの休暇ですし、沢山の思い出を残してみませんか?それが、いつか皆さんの精神を癒すお薬にもなると思いますしね。」

 

 神谷さんの言葉に、わたしと骸は一度だけ顔を見合わせる。そして、バルコニーには足を運んでいない犬と千種に目を向けてみれば、彼らはわたし達の意見に任せると言わんばかりに小さく頷いた。

 

「……奈月。彼はこう言ってますが、あなたはどうしたいですか?」

 

「わたし?」

 

「はい。あなたの望む選択をしてください。僕らは、あなたの意思を尊重しますよ。」

 

「……骸達は大丈夫なの?写真なんて残しちゃって。」

 

「おやおや……仕方ない子ですね。」

 

 立場上、骸達はあまり写真を残さない方がいいのではないかと思い、3人は大丈夫なのかと問いかけると、骸は困ったように笑っては、わたしの頭を優しく撫でてきた。

 その行動には、わたしの望むようにしていいと言う思いが含まれており、全てわたしの判断に委ねるつもりであることがわかった。

 

「……わたしは、みんなとの写真は残したい。思い出は記憶に刻むものではあるけど、ふと、こんなこともあったよねって、写真を見返しながら楽しいことを考える時間もほしいから、アルバムが作れるなら作りたい。

 ……骸達の立場上……本当は、こんな望みを口にするのはよくないと思うんだけど、いつか離れることになるであろう3人とは、沢山の記録を残したいな……。」

 

 少しだけ考えたのち、わたしは自分の思いを口にする。

 思い出を記録として残せるのであれば……残していいと言うのであれば、わたしはそれを残したいと。

 本来ならば、彼らの立場上、あまり良くない望みではあっても、いつか離れてしまうであろう3人との物語は、大切な宝物のような思い出は、記録として手に入るのであれば、1ページ1ページ残していきたいと思ったから。

 

「お姫様からのお願いは、アルバムを作ることのようです。犬。千種。彼女のワガママ、叶えてあげても構いませんね?」

 

「はい。構いませんよ、骸様。」

 

「奈月にはたらふく飯食わせてもらってるし、それくらい構わないれすよ、骸さん。」

 

「……とのことらしいです。僕としては、あなたから離れるつもりは毛頭もないのですが、引き離される可能性はどこまでも付き纏いますからね。

 それならば、あなたとの思い出を記録として残すことくらい造作もありません。

 アルバムのページが沢山埋まるくらい、僕達の日常を残していきましょうね。」

 

「……うん!」

 

 この4人で過ごす一つ一つの時間を残したいと口にしたわたしに、骸達は穏やかな笑みを浮かべながら賛同してくれた。

 それがとても嬉しくて、残そうと口にした骸の言葉に笑顔で頷けば、再びシャッター音が辺りに響いた。

 びっくりして神谷さんに目を向けてみれば、彼は口元に人懐こい笑みを浮かべては、カメラを持ち上げる。

 

「最高の笑顔の一枚!しっかりといただきましたよ、沢田さん。」

 

「あ、その写真、現像して一枚僕にください。」

 

「はーい、了解しました!」

 

「ちょ、骸!?なんでわたしの写真を個人的に現像してもらおうとしてんの!?」

 

「当然でしょう?あなたの笑顔の写真だけじゃなく、撮られた写真は全て個人用にも現像してもらいます。

 1番は目の前にいる生身のあなたではありますが、愛しい人の写真だって、欲しいと思うものですよ。

 僕はそうです。写真に残された、一つ一つのあなたの姿と記録は、残らず全てもらいます。

 あなたの温もりは、きっと写真からも感じ取ることができるはずですからね。

 それなら僕は、あなたの1秒を閉じ込めた瞬間を大切な宝物として手元に置いておくことを選びます。」

 

 穏やかな笑みを浮かべながら、写真は余さず現像してもらうと宣言した骸に、もう……と小さく言葉を漏らしながらも承諾する。

 あまりにも骸が幸せそうに笑うから、その幸せが、少しでも彼の暗い心に温もりと明かりを残すのであれば、やめてほしいなど言うことはできない。

 

「僕らもアルバムを作ってもらいましょうか。まぁ、あっちの方に逆戻りになってしまった場合、持ち込めないと思いますが。」

 

「ん〜……なんか訳ありっぽいんで深く探ったりはしませんが、もし、なんらかの拍子にアルバムを持ち込めない場所に行くことになったら、自分が預かっときますよ?

 せっかく作ったアルバムを、台無しにされるのは嫌ですしね。」

 

「それは助かります。では、いざと言う時は僕らのアルバムは預かっていてください。」

 

「わかりました!そう言うことであれば、お引き受けいたしますよ!」

 

 骸からいざと言う時はアルバムを預かってほしいと言われた神谷さんは、承諾の言葉を紡ぐと共に、明るい笑顔を表情に浮かべる。

 それに満足したのか、骸は小さく笑ったあと、犬と千種の名前を呼んだ。

 

「せっかく綺麗な海が背景にありますし、2人ともこっちに来てください。個人個人の写真もいいですが、集合写真もあった方がいいでしょう?」

 

「……そうですね。こんな機会は滅多にありませんし。」

 

「骸さんの意見に賛成れす。写真なんてあっちのしかねーし、なんの変哲もねー写真っての、一度撮ってみたかったんれすよね。」

 

「なんだか修学旅行とか卒業旅行みたいなことになってきてるな……。」

 

「いいじゃありませんか沢田さん!こんな機会は滅多にないんですから、沢山の写真を残しましょうよ!

 ってなわけで、こっちの方で皆さんが過ごしてる間は、自分が皆さんの専属カメラマンになりますよ。

 こう見えて写真の腕はかなりのもので、コンクールでも最優秀賞をもらう程の実力なんですから!」

 

「神谷さん、あなたいったい何者なんですか?宝石商の代表取締役な上、天然石の店のオーナーで、写真のコンクールで最優秀賞をもらえる腕のカメラマンて……。

 随分と沢山のことをしてますね?ここまで行くと少々引きますよ?」

 

 苦笑いをこぼしながら、神谷さんに何者なんだと問いかける骸。

 そんな彼の言葉を聞き、カメラから一時目を離した神谷さんは、何度か瞬きを繰り返したのち、口元に笑みを浮かべ……

 

「……ただ、多くの人の幸せを願っている、しがない一般人ですよ。」

 

 静かな声音で、はぐらかすような言葉を紡ぐのだった。

 

 

 

 




 小鳥遊 桜奈
 沢田奈月としてではなく、本来の性格である桜奈として今を過ごしている転生者。
 骸がキス魔化した上、いつかは体を交えることだってしたいと言う本音を少しだけ教えてきたため、かなり照れていた上、意識してしまった。
 骸達の立場上、写真を残すのはどうかと思っていたが、自分としては写真を撮り、アルバムとして残したいと、本音のワガママを口にした。
 4人で写真を撮った時、骸の隣に並んでいた。

 六道 骸
 彼女の過去に改めて触れ、その寂しさや悲しさを埋めるように、同時に彼女を六道骸と言う異性に囚われるように、隙があればスキンシップと言う名の口付けをしている術士。
 本音を言えば、精神だけでなく、肉体としても深い交わりを望んでいるが、彼女の過去や、大切にしたいと言う純粋な想い、一方通行の恋慕ではなく、互いに交わることすら許せるような、想い想われの関係になりたいと言う考えから、キスまでにとどめ、彼女が自身を求めるその時を待っている。
 自身の立場上、確かに写真を残したらまずいのだが、桜奈との一時を、記憶だけでなく、思い出の記録としても残したいため、彼女のワガママを快く承諾した。
 4人で写真を撮る時は、もちろん桜奈の隣に並んでいた。

 城島犬&柿本千種
 桜奈のことをすでに身内認定をしており、自分達のリーダーと共に過ごす彼女のワガママも快く引き受けた2人組。
 認識としては、第一に骸、第二に桜奈と言った序列になっており、1番は骸の指示だが、骸からの指示がなければ普通に桜奈の指示を聞くくらいには絆されている。
 自分達を対等な同年代の仲間と認識している彼女の側に居心地の良さを覚えており、このままずっと、この時間が続けばと望んでいる。
 4人で写真を撮った時は、骸と桜奈を挟むかように立って写っていた。

 神谷 幸弥
 様々な趣味を持ち合わせている宝石商の代表取締役の青年。
 桜奈達にせっかくだから写真を撮りましょう!と提案して、一眼レフカメラを引っ張り出してきた。
 僕が望むのは、多くの人の幸せだけですよ。もちろんそれは、脱獄したあなた方にも言えることです。


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