最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 思い出を残すことを望み、記録することを望んだ桜の花と、それに賛同した藍色達は、集合した写真を撮ったあと、月白の屋敷で穏やかに過ごした。
 夕暮れ時……月白の宝石商は思い出と言えば!と4人にあることを提案する。

 No side.


月白の警告

 一緒に過ごすこの思い出を、記録として残すことを決めた奈月達は、専属カメラマンになると笑顔で言ってきた神谷から写真を撮られながらも、彼の別荘でゆっくりと過ごしていた。

 

「あ、そうだそうだ!皆さん、ちょっとよろしいですか?」

 

「「「「?」」」」

 

 時間は夕暮れ時。少しずつ外が暗くなり始めた頃、神谷が奈月に声をかける。

 急になんだと思いながら、4人が神谷に視線を向けると、彼はにこにこと楽しげに笑いながら、手招きをしてみせた。

 

「……呼んでますが、どうします?」

 

「……とりあえず行ってみようか。なんだか楽しいことが起こりそうな予感がする。」

 

「楽しいことが起こりそうな予感……?」

 

「うん。」

 

「奈月の勘てめちゃくちゃ当たるし、行ってみますか?骸さん。」

 

「そうですね。行きましょうか。」

 

 奈月が楽しいことが起こりそうセンサーを発動させたため、骸達は彼女の意見を尊重することにした。

 奈月と言う1人の存在の意見を優先して行動を起こす保護対象に、神谷は思わず苦笑いをこぼした。

 “いや、まぁ、知ってたけど……”……と一瞬漏らしそうになったが、すぐにそれは飲み込んで、足を運んできた4人を連れて別荘のガレージへと移動する。

 そこにあったのは、バーベキューをする時に使う道具と、なぜか置いてある打ち上げ花火と線香花火各種だった。

 

「……どう見ても花火の火薬玉。」

 

「なんらこれ?火薬のニオイするびょん。」

 

「武器……には見えないけど、火薬の塊だね。」

 

「えーっと……神谷さん?これらはいったい……?」

 

 ガレージ内にあったものを見て、困惑と疑問に表情を歪める奈月達。

 なかなかいい表情をしていたため、思わず手元にあるカメラのシャッターを押し、4人の新鮮な表情を収めた神谷は、再び明るい笑顔を見せた。

 

「実はですね。雨天で中止になった花火大会で打ち上げるはずだった花火を買い取らせてもらったんですよ!

 複数の仕事をこなしているため、なかなか花火大会に行く機会がなくてですね。

 せっかく職人さんが作った打ち上げ花火が花を開かないと言うのも勿体無いので、秋の始めによくやってるんです!

 うちの使用人の中には、危険物を取り扱うことができる方もいるし、何よりこの別荘はあのブイが並んでるところまでは自分の私有地ですから、水上で花火を上げることができるんですよー!

 自治体や警察、その他諸々の方々にはすでに許可をいただいておりますので、よかったらどうです?

 打ち上げ花火&バーベキューパーティー!!おまけに多種多様の線香花火もできますよ!!」

 

「「何やってるんですか神谷さん……」」

 

「……骸さんと奈月、息ぴったりびょん………。」

 

「なんか、もはや双子の域にある気がしてきた……」

 

 子供のように大はしゃぎでとんでもない提案をしてきた神谷に、奈月と骸の2人が同時にツッコミを入れる。

 全く同じ言葉を選び、同時に口にする様子は、さながら双子の兄妹のようで、犬と千種は少しだけ引いてしまった。

 この2人、別に血は繋がってないはずなんだけど……と思いながら。

 

「まぁまぁ、いいじゃないですか。夏と言えば、花火に海にバーベキューでしょう!」

 

「……奈月。何なんですか、この子供っぽい店員は。」

 

「わたしに言わないでよ……」

 

「え〜……なんとも言えない塩対応……。まぁ、基本的に上に立つ人間なもので、こんな反応をされるのは新鮮ですね〜。

 まぁ、それは置いておきまして……。どうです?思いっきり夏の最後を飾りませんか?」

 

《……夏ってもう過ぎましたよね?》

 

《9月半ばだからね……》

 

「……むむ?何やら夏か?と言わんばかりの反応ですね。自分にとってはまだ夏ですよ。なんせ、夏の間は本気でお休みがありませんでしたからねぇ……。

 ほら、夏って結構肌を晒すでしょう?だから、夏物のアクセサリーをお求めのお客様が割といらっしゃるんですよ。

 他にも、バカンスなどで最高のシチュエーションの中でプロポーズされる方もなかなかの量がおりまして。

 特別な場所での求愛は、誰もが心踊るサプライズですからね!まぁ、そのまま幸せになれるかどうかと言われたら、ちょっと難しいですが……。

 幸せになる方と同じくらい、ごめんなさいをされる方もいらっしゃるもので……。」

 

「「……こっちの思考、読まないでくれませんか?」」

 

 ジト目で反応した奈月と骸に、神谷はにこにこと笑顔を見せる。

 目の前にいる2人の仲の良さを微笑ましく思っているのか、それとも別の理由があるのかは定かではないが、2人が若干拗ねてしまうには十分過ぎる笑顔だった。

 

「まぁ、とりあえず、自分の仕事に関してはこれくらいにしまして、せっかく人数がいるんですから、パーッと騒いじゃいましょう!

 花火大会とバーベキューの会場は、もちろん、目の前に広がる自分のプライベートビーチです!

 かなりの範囲がありますし、自治体の皆さんには、今日、時期ハズレの花火が上がるので、よかったら住民の皆さんも、各々の場所でどうぞ観てくださいと伝えているので、多少賑やかにしても問題はありませんよ!

 常識ハズレで勝手に敷地内に入り込むようなお馬鹿さん達は、警備をお願いした方々がしっかりと取り締まるので、安心してお過ごしください!」

 

 そして、2人の反応に怯むことなく、神谷は4人をプライベートビーチの方へと誘った。

 彼の言葉を聞き、顔を見合わせた奈月達は、何度か瞬きをしたあと、神谷に視線を戻す。

 神谷は相変わらず無邪気な笑顔を見せており、ワクワクしている様子だった。

 

 

 …………………

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 …………………

 

 

「肉いただき!!」

 

「ちょっと犬。もうちょっと大人しく食べなよ。」

 

「バーベキューとか、久々にしたかもしれない……」

 

「僕は初めてです。外で食材を焼いて食べることができるような環境ではありませんでしたからね。

 ……ところで奈月。あなた、さっきから野菜と海鮮しか食べていないように見えますが?」

 

「…………」

 

「無言にならないでください。僕達に優先してお肉を譲ってくれるのは嬉しいですが、あなたもちゃんと食べないと。

 ほら、口を開けて。先程、僕も食べたものですが、ちょうどいい焼き加減でとても美味しかったですよ、これ。」

 

「……ん。」

 

「うへー……奈月。よく野菜ばっか食えるよなぁ……」

 

「犬はもっと野菜を食べなさい。」

 

「ぎゃああ!?大量の野菜乗っけるってひどくないれすか骸さん!?」

 

「山盛りの野菜を食べさせられたくなければ、ちゃんと適量を食べなよ犬。奈月も、ちゃんとタンパク質摂らないと倒れるよ?」

 

「……魚食べてるもん。」

 

「それだけでいいわけないだろ。」

 

 ほぼほぼ強引に始まったバーベキューだったが、奈月達は自分なりに楽しんでいた。

 一部偏ったものしか食べないため、残りのメンバーが世話を焼くと言う絵面は、側から見たら子供2人を注意する親のようだが、神谷はそれもまた一つの思い出だと言わんばかりに、食事の合間にカメラのシャッターを切りまくっていた。

 

「いやぁ……沢田さんにこのような一面があるとは思いもよりませんでしたねぇ……。

 いつもは誰よりもしっかりしてるような雰囲気だったのですが、年相応……と言うよりは、ちょっぴり幼い感じですが、初めて見ましたよ、こんな姿。」

 

「……奈月は、いつもはこのような感じではないのですか?」

 

「ええ。本当にしっかり者のお嬢さんと言った感じでして!自分の店は、並盛町の繁華街に面した場所にあるんですが、度々見かける彼女は、年下の子供達を引率して面倒を見ていたり、女子生徒のご友人や、優しそうなお母様をエスコートしたりしていて、幼さのカケラも感じられなかったんですよ。

 なので、正直言ってかなり驚いてます。きっと、六道さん達の側だと、それだけ気が抜けてしまうんでしょうね。

 いや……この場合、六道さん達……と言うよりは六道さんの側ですかね?なんと言うか、彼女が君と一緒に過ごしている時、本当にリラックスしているように見えます。

 もしかしたら、君が彼女の心の深いところまで触れることができたから、ようやく彼女も誰かに甘える決心がついたのかもしれませんね。」

 

「………神谷さん……。本当にあなたは何者なんですか?まるで、あらゆることを把握しているような、そんな雰囲気がありますが?」

 

 骸の問いかけに、神谷は一瞬無言になる。

 しかし、すぐに小さく笑みを浮かべては、楽しげな様子で食事をしている奈月の姿をカメラに収める。

 

「……言ったでしょう。自分は多くの人間の幸せを願ってるだけの男だと。その分、感情の機微や運気、縁と言う物に敏感なんですよ。

 悪縁であれば、それを断ち切るための術を教え、良縁であれば、それを繋ぎ続けるための術を教えるんです。

 そうそう……沢田さんと六道さんの縁はまごうことなき良縁であると言い切れますよ。

 あの子は出会った時から、ずっと辛そうだったんです。何かを我慢しているような……本当は吐き出したくて吐き出したくてたまらない何かを抱えているような……そんな気がしたんです。

 ですが、彼女はずっとそれを隠していました。迷惑はかけたくないからと意固地になってね。

 でも、周りに集まる人達に触れ合うことで、その抱えてきたものは、少しずつ軽くなり始めていました。

 そして、今の彼女はその我慢を完全に緩め始めている。君と出会ったことで、ようやく彼女の心は解かされ始めたんです。

 ……これからもお願いしますよ、六道さん。きっと、あの子の心に1番寄り添えるのは、君ですから。

 ですが、独り占めのし過ぎだけにはご注意を。彼女は周りに愛されているんで、いつか痛い目見ちゃいますよ?」

 

 一瞬だけ違う雰囲気を纏った神谷に、骸は一時的に警戒したが、すぐにその考えは彼の最後の言葉により霧散する。

 先程までの雰囲気はなんだったんだと言わんばかりに、どこかおちゃらけた雰囲気に、何度か瞬きを繰り返す。

 しかし、すぐに呆気に取られた表情は不敵な笑みへと変化して、彼は静かに言葉を紡いだ。

 

「どれだけの障害があろうとも、僕は彼女の隣を誰かに譲るつもりはありません。

 独占のし過ぎはよくない?いつか痛い目を見るかもしれない?それがなんだと言うのですか。

 かつての苦しみや痛みに比べたら、そんなものどうってことないですよ。

 誰よりも優しく、暖かな春の陽だまり……ようやく見つけた僕の心の拠り所となる桜の大樹の側にいられるのであれば、例えどのような組織や人間が敵になろうとも……世界が敵になろうとも、僕は手に入れて見せます。」

 

 ハッキリと告げられた忠告を一蹴する言葉に、神谷は驚いたように目を丸くする。

 そして、やれやれと言わんばかりに肩をすくめては、緩やかに口を開いた。

 

「なんと言うか……引いてしまう程に堂々と言い切りますね、六道さんは。

 ですが……まぁ、いいでしょう。君と共に過ごすことにより、幸せを掴む沢田さんもきっといると思いますし、強く止めたりはしませんよ。

 ああ、でも……これだけは覚えておいてくださいね。沢田さんの心は、必ず守り抜いてください。

 特に、古の霧が現れた時は、入念に沢田さんのことを守るように。古の霧にだけは、絶対に彼女は囚われたらダメです。

 もし、古の霧に囚われてしまったら最後……彼女の自我は、二度と目を覚ましませんから。」

 

「古の霧……?何を言ってるんですか、あなたは……?」

 

「……まぁ、占いのようなものだと思ってください。先程も言ったように、自分は運気などにうるさいので。

 信じるか信じないかは君次第ですが……頭の片隅には入れておいてくださいね。」

 

 自身の質問に明確な答えを出すことなく、神谷はバーベキューを楽しむ奈月達の元に歩み寄る。

 先程から消えていた彼の本性と思わしき雰囲気は、いつもの商人としての雰囲気に塗り潰され、自分達を匿うと言った神谷のものへと戻っていた。

 

「そろそろ使用人が花火を上げてくれるので、海の方を見てください!自分は線香花火をするための準備を済ませてきますね!」

 

 そう言って彼が手を上げると、海の方から花火が上がる時の笛の音が聞こえ、空高く煙の龍を巻き上げては大きな花を咲かせた。

 

「うっひょー!!これが花火って奴か!!」

 

「かなりの迫力があるんだね。火薬が詰められただけの玉かと思っていたけど、こんなに色鮮やかなんだ。」

 

「遠巻きに見るのとは全然違った景色に変わりますね。見えたのは面でしたが、下から見ると花火は完全に球体型で花びらを散らしているのがよくわかります。」

 

「前世だと、この沢山の花火の中に、ドローンって呼ばれるカメラをつけた機械を空に飛ばして、それを映像に撮られていたことがあるよ。」

 

「それはそれは……かなり華やかで迫力満点の絵が撮れそうですね。」

 

「いつかこっちでもドローン出来るかな……?」

 

「何年後になるかは分かりませんが、いつか出来ると思いますよ。」

 

「もしできたら、わたしも花火の中をにドローンを飛ばして、ド派手な映像撮りたいなぁ……」

 

「素敵な夢ですね。その時は僕もご同伴させてください。」

 

 各々が花火に夢中になる中、神谷は線香花火が出来るようにするための準備を行う手を止め、自身のポケットに手を突っ込む。

 そこに入っていたものを取り出しては、金色の瞳をそれに向けた。

 

「……この世界は、あの子の幸せのためにある。だからこそ、D・スペードとお前は邪魔なんだよ、鉄帽子。

 この世界で1番厄介なのはお前達だ。だから……今度こそ、彼女とファミリー、そして、彼女に関わってきた全ての人間達の幸福の邪魔などさせない。」

 

 ……吐き捨てるように言葉を紡いだ神谷の手元にあったのは、何かしらの文字が記されている布により雁字搦めにされている、銀色の何かだった。




 沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
 いつか前世で誰かがしていたように、ドローンを飛ばして花火の花畑を撮影してみたいなと思っている転生者。
 バーベキュー中、野菜と魚介ばかり口にしていたため、骸と千種から肉も食べろと言われて世話を焼かれた。

 六道 骸
 いつか花火の中にドローンを飛ばして撮影してみたいと告げた奈月に、その時は一緒にその映像を見せてくれと告げた逃走中の術士。
 神谷は普通の人間ではないと警戒するが、彼が口にした言葉に首を傾げる羽目になった。
 例え多くの組織や人が敵になろうとも、奈月を手に入れることは絶対に諦めない。

 城島 犬
 バーベキューで肉ばかり食べていたので、骸から更に山盛りの野菜を乗せられて怒られた。
 初めて見た花火に大はしゃぎ。このあと線香花火でふざけてまた怒られる。

 柿本 千種
 実は初めての花火やバーベキューをかなり楽しんでいた逃走中の少年の1人。
 このあと線香花火でふざける犬を注意しまくる羽目になる。

 神谷 幸弥
 多くの人の幸せを望む月白の青年。
 骸に必ず奈月の心を守ることと、古の霧には気をつけろと言う言葉を残した。
 何やら文字が記されている布で雁字搦めにしている物を常に持ち歩いているようで……?

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