最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 手早く相手陣営の制圧を行い、青年と父親の衝突は激化する。夜空の瞳を持つ青年は、その姿をただひたすら見つめていた。
 マインドコントロールに陥った青年が、目を覚ますその時まで。

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悲劇の青年と家族思いの父親の衝突

 家光とランチアの戦闘は、先程の制圧戦に比べてかなり激化したものだった。

 最初のうちはディーノも家光と共に戦闘に参加していたが、ランチアが持ち合わせている蛇柄の巨大な鋼球がその手元にある以上、普段の鞭による搦手を混ぜたトリッキーな戦闘は難しく、途中で戦闘を断念していたが、家光はそれでいいと彼に告げたのち、鋼球により引き起こされる風の流れを完璧に読み抜き、接近戦による戦闘へと持ち込んだ。

 いくら家光と言えど、不規則な風を引き起こす鋼球の威力を喰らえば無事とまではいかない……そう判断したのだろう。

 

 接近戦に持ち込まれたランチアは、自身が得意なのも肉弾戦であると明かし、すぐに家光の接近戦に応戦した。

 しかし、その表情には明らかな焦りが浮かんでいた。それもそのはずだ。

 いくら接近戦が得意であるとは言え、あの若造が家光の技術に完璧に追いつけるはずがないのだから。

 家光は、ボンゴレに関係する諜報機関CEDEFのボスではあるが、立場としては、有事の際はボンゴレファミリーのボスである9代目、ティモッティオに次ぐ2番目の権力を持ち合わせている。

 同時に、それに見合った能力を持ち合わせており、ボンゴレの血縁であることを象徴するように、強大な戦闘能力を有している。

 まぁ、それでも娘の奈月に比べたらポテンシャルは低いのだが……適切な能力開花が発生すれば、十分ボンゴレのボス候補に挙げられてもおかしくない力がその身には宿っている。

 そう考えると、この能力の高さはおかしくもない。おまけに彼には戦闘能力以外にも、年の功により培われた経験や、様々な修羅場を乗り越えたことにより会得した経験も存在している。

 それがある以上、ランチアに勝ち目など一片もないのだ。

 

 どれだけ手足を使おうとも、どれだけ強力な力で屠ろうとしても、その力や経験を、マインドコントロールを施された結果、自我のほとんどを封じられているランチアでは、あの男を超えることはできない。

 マインドコントロールが解かれたとしても、勝てる確率は極めて低いだろう。

 だが、自身で思考を回せるようになった際、家光にある程度喰らいつくことができる能力はあるため、その実力者はできれば失いたくないものだ。

 

 ……そんなことを考えていると、家光が何かに気づいたように目を細めては、少しずつ攻撃の手を緩め始めたことに気づく。

 直接ぶつかっていたランチアは、すぐにその違和感に気づいただろう。だが、違和感に気づけたところで与えられた命令には逆らうことができず、そのまま家光に攻撃を続ける。

 次第に戦況は家光の防戦へと移行していき、周りにいる者達は、その様子に疑問を抱き始める。

 一瞬、家光が押され始めたのかと周りは考えたようだが、その割には表情や動きに明らかな余裕が存在しており、わざと手を抜き始めたのだと勘づくまで、そう時間はかかっていなかった。

 

 ではなんのために手を緩めたのか……周りの人間は、その疑問に対する答えを出せないだろう。

 なぜならそれは、超直感を芽生えさせた家光だからこそ会得した答えがあり、その答えが正しいかどうかを確かめるために始めたものなのだから。

 まぁ、オレはその答えを知っているわけだが、それは観測できていたからと言うカンニングによるものだ。

 ゆえにオレの言葉はランチアには届かない。例え解くことができる言葉を持っていたとしても、心からの言葉でなくてはマインドコントロールを打ち消す言葉にはならないのだから。

 

「……ちょいと確かめるか。」

 

「?……!?」

 

 小さく何かを呟いた家光は、ランチアが手放していた鋼球を手に取り、彼がしていたものと全く同じ動きでそれを投げつける。

 まさかの自体に驚いた様子のランチアは、飛ばされてきた鋼球に対する反応が若干遅れ、そのままそれを喰らってしまった。

 

「家光……?何考えてんだ?」

 

「ん?いや、ちと気になったことがあってな。一旦アイツの攻撃を一から見てやろうと思ったんだよ。

 どうも、なんか違和感が拭えなくってな。なんつーか、変な引っ掛かりを覚えるんだよ。」

 

「引っ掛かり?」

 

「ああ。ディーノ。手を出すなよ。オレが全部ケリをつける。」

 

「……わかった。だが、無茶すんじゃねーぞ。昔に比べてあんたも歳食ってるだろ。」

 

「バカヤロー。オレはまだまだ現役だっつーの。お前なんか片手で十分だわ。」

 

「おい。ったく……オレが言いてーのは、ナツに心配かけ過ぎるなってことだよ。度々聞いてくるんだよ。あんたが無茶してねーかどうかをな。」

 

「……そっか。なら、オレもそれなりに気をつけねーとな。大切な家族に、あまり心労かけたくねーしよ。」

 

 どこか嬉しげに、しかし、少しだけ申し訳なさそうな表情を見せては、目の前にいる操り人形に目を向けた。

 先程の笑みはすでに消え失せ、ランチアに対する敵意が現れている。

 

「……何のつもりだ?」

 

 家光から投げつけられ、それをまともに受けたランチアは、確かなダメージを感じながらも、目の前にいる家光に問いかける。

 

「ディーノと同じこと聞いてくんなっつーの。まぁ、いいか……。お前さんの球遊びに少しだけ付き合ってやろうと思ってな。……来いよ、青二才。」

 

 ランチアから質問された家光は、その身にある余裕を示すように、不敵な笑みを見せながらも、かかってこいと言わんばかりの挑発を口にしては、臨戦体勢を取る。

 

「…………」

 

 家光の言葉に一瞬だけ訝しげな表情を見せるランチア。

 だが、臨戦体勢を再び取り、いつでも戦闘ができる状態の家光を見据えながら、攻撃を繰り出した。

 

 

 

 …………………

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 ……………………………………………

 

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 …………………

 

 

 

 鋼球を取り戻したランチアは、家光に次々と猛攻を仕掛けていく。鋼球を使った牽制や、素手を使った戦闘……様々な攻撃方法を組み合わせながら。

 家光はそれに見事に対応仕切ってみせるが、時折隙を晒している。だが、その隙は全て家光がわざと見せているものばかりで、本気で晒すつもりは毛頭もないと言っているようなものだった。

 しかし、家光がわざと隙を晒していることには、この場ではオレとリボーンくらいしか判断できない程自然に作られたもので、それ以外は若干の焦りを表情に浮かべていた。

 

 それは当然だろう。あの沢田家光が押されているかのようにしか見えないのだから。

 対するランチアも、家光より優勢を取れているようにしか認識できていないようだった。

 直接戦っているにも関わらず、わざとに気づけていないのだ。

 

 おそらく、マインドコントロールにより思考を回すための自我が封じられてしまっているせいだろう。

 自我があれば、直接戦っている実力者ならわざと遊ばれていることに気づけるものなのだから。

 

「……まるで殺戮人形だな。マインドコントロールは、やっぱり気をつけた方がいい能力らしい。」

 

 マインドコントロールがどれ程厄介なものであるのかを再度把握することができたオレは、それだけは古の霧に使わせてはならないと考える。

 六道骸のマインドコントロールも強力ではあるが、あちらのそれもかなり強力なもののはずだからだ。

 

「アレなら、マインドコントロールを利用して彼女を操るか、憑依を用いて理想を体現するかのどちらかを選択することができる。

 流石にそれだけはさせたらダメだな。確かに、その道もある種の成功の道ではあるが、彼女の幸せとは程遠い。

 こっちが目指しているのは悲劇の桜の穏やかな幸福……。古の霧と、鉄帽子の野郎はその道を閉ざしてしまうBAD ENDの道だ。」

 

 だからこそ、なるべく多くの手札を揃えなくては……そんなことを考えていると、家光とランチアが戦っている方角から音が止んだ。

 思考を回すのをやめ、その方角へと目を向けてみれば、そこには鋼球を片手だけで止めている死ぬ気モードの家光の姿があった。

 

「……なるほどな。違和感の正体はこれだったか。」

 

「何だと……?」

 

 死ぬ気モードであろうとも、相当な威力があるはずの鋼球を片手だけで止めてる家光に、やっぱりボンゴレの血筋だなこいつも……なんて、ポテンシャルの高さを感じていると、家光はやれやれと言わんばかりの声音で言葉を紡ぐ。

 先程まで、防戦一方だったはずの男が、片手だけで自身の攻撃を止め、違和感の正体がわかったと言う言葉を口にしたことに、ランチアは疑問の声を上げる。

 だが、すぐに家光から真っ直ぐと見据えられたことに目を見開いては、警戒の色を強めた。

 そんなランチアを見つめたまま、家光は凝った首や肩をポキポキと鳴らす。

 

「ずっと引っかかってたんだよ。攻撃の端々に混ざってるわずかな躊躇いや、妙な緊張状態がな。

 だから、ちと遊んで、何がそうさせているのか確かめさせてもらった。お前さん、よくそんな弱っちい心でこれまでやってこれたよな。

 一撃一撃は確かに重たいが、そこに込められている殺意が弱いんだよ。」

 

「!?」

 

 家光から告げられた言葉に、ランチアは明らかな動揺を見せた。

 そんなランチアのことなど気にすることなく、家光は再び口を開く。

 

「悪人になりきれてない操り人形ってか?そんな殺意のねー攻撃で、オレが倒せるわけねーって話だよ。」

 

 そこまで言葉を紡いだ瞬間、家光の前にランチアは一瞬にして間合いを詰め、動揺や苛立ち、憎しみや悲しみと言った様々な感情が混ざった表情をしながら拳を振るう。

 

「黙れ!!殺しはオレの本心だ!!オレの心をわかったような口をきくな!!!!」

 

 放たれた拳はまともに食らったらタダでは済まない威力が乗せられている。

 いくら家光であろうとも、それを食らったら骨が何本かイってしまうだろう。

 しかし、家光はそんなランチアに対して一つ深い溜息を吐いたのち、放たれた拳を片手でいなし、勢いがついているランチアの鳩尾に、容赦なく重い肘鉄を放つ。

 骨すらも折る勢いのあるカウンターをまともに食らったランチアは、その一撃によるダメージと共に、その場で少量の吐血をしてしまった。

 

「あ゛………が………っ」

 

「……だから、殺意が弱いって言っただろ。はっきりとした迷い、命を奪う行動に対する罪悪感……それが余計な力を発生させる原因になって、重くも優し過ぎる一撃にしかなってねーよ。」

 

 ランチアがその場で膝を突き、苦悶の表情を見せながら倒れ込んだ。

 そんなランチアを見下ろしながら、家光は再び溜息を吐いた。骨を折るつもりでカウンターを放ったが、どうしても彼自身も本気になれず、自分も甘いところがあると呆れながら。

 

「……戦闘中、度々目を閉じてただろ。それに、オレがわざと隙を見せる度に、鋼球による猛攻の末とどめを刺そうとしていた。

 命を奪うのが本心だったなら、わざわざ隙ができる鋼球なんてもんを使わなくても、そのまま素手で命を奪っちまえばいい。

 だが、お前さんはそれをしようとしなかった。手早くやる方法があるってのに、なんでわざわざ猶予のある道具を使ってとどめを刺そうとしたんだ?

 ……簡単なことだ。命を奪うことに対しての強い罪悪感と迷いがあるからだろ?」

 

「っ………」

 

 どこか気怠そうな様子で、話しかけてくる家光に、ランチアは無言を返す。

 闇に塗り潰されていた瞳には、どこか安堵の感情が表に出ており、六道骸にかけられていたマインドコントロールが、解かれ始めていることがわかった。

 

「お前さんの写真を見た時、妙な違和感があるとは思ったが、直接会ってようやくその違和感の正体が分かった。

 ……絶望や悲しみに打ちひしがれて、泣き叫んでる子供みたいな雰囲気があったんだよ。

 そんで、早く助けてくれ……ここから出してくれってもがきまくって苦しんでるような感じだったんだ。

 人の命を奪ってるにも関わらず、子供のような暖かさがどこかしらに散りばめられていて、ああ、こいつは本来、優しくてお人よしで義理堅い人間だったんだ……根っからの悪人じゃねーんだなってわかったんだよ。」

 

 あー……説教くさくなっちまった……と心底うんざりしたような様子を見せながらも、淡々と言葉を紡ぐ家光を見て、ランチアは繰り返し呼吸をすることにより落ち着きを取り戻し始める。

 その瞳には、すでにマインドコントロールによる淀みは存在しておらず、完全にそれは解かれているのだと判断できた。

 

「……沢田奈月の父親……と言ったな。やはりあんたもボンゴレの血筋だな。」

 

「あ?いきなり何言ってんだお前。」

 

「……オレは、あんたの娘の話しか、六道骸から聞かされていなくてな。ボンゴレには代々、特異性が存在しているとは聞かされていたが、あんたにもそれは存在しているのだと、改めて認識したまでだ。」

 

「…………。」

 

 静かに言葉を紡ぐランチアに、家光は何度か瞬きをしたあと、そのまま静かに視線を逸らす。

 その表情からは、自身の異変が起こったのはつい最近のことだから褒められても嬉しくないと言わんばかりの感情が読み取れた。

 同時に、もう少し早く、こっち側の能力がハッキリ発現すれば、思い悩んでいる我が子のために、何かを成し遂げれたかもしれなかったのにと言うわずかな苛立ちが感じ取れた。

 

「……六道骸から聞かされたって……あんたがそいつじゃなかったのか?」

 

 そんな中、場が落ち着いたと判断したディーノが、リボーンを肩に乗せてランチアと家光の元に歩み寄る。

 ディーノの表情からは、答え合わせがしたいと言う感情が読み取れた。

 あらかじめ、家光からランチアは六道骸じゃないと聞かされていたため出てきた疑問だろう。

 いや……違うと言う確信はわずかにあるが、確固たる証拠がないため、確認したかったのだろうか。

 

「オレは六道骸の影武者だ。」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

「…………やっぱりな。そうだろうとは思ってたぜ。」

 

 ランチアから紡がれた言葉は、自分は六道骸の影武者であると言う答えだった。

 それを聞いたこの場にいるキャバッローネファミリーには、ハッキリとした動揺が現れる。

 彼らをまとめるボスであるディーノは、写真を見た時点で偽物だと見抜き、ボンゴレの9代目であるティモッティオと同じ意見を口にしていた家光に静かに視線を向けていた。

 ゴールドオーカーの瞳には、わずかな戸惑いと確証が揺れており、家光がボンゴレの血縁としての能力を会得していることを再認識しているようだった。

 そんなディーノを気にすることなく、家光はポツリと小さく呟く。やっぱりかと、正解をすでに得ていたことを示すように。

 

「……じゃあ、刑務所の写真はなんだったんだ?」

 

 再びディーノが口を開き、自分達が見た写真はなんだってのかと言う疑問を告げる。

 もはや聞く必要などないだろうに……と、思わなくもないが、やはり知っておきたいのだろう。

 ランチアや六道骸を取り巻く答えを。

 

「本物の六道骸は、自分の姿を残すようなヘマはしない。そして、六道骸……あいつは……オレの全てを奪った男だ……!!」

 

 闇に囚われ、解放された悲劇の青年は、確かな怒りと憎しみをまとい、絞り出すような声音で言葉を紡ぐ。

 静かな声音で彼が語るのは……六道骸と言う闇と、自身の身にまとわりついていた影の話だった。

 

 

 

 




 ????
 ランチアと家光の戦いを最後まで見守っていた謎の青年。
 自身の姿を記録に残さないと語られた六道骸と言う存在が、1人の少女のために記録を残すことを承諾することは、相当の変化だったのかと思いながら。

 沢田 家光
 本来ならば目覚めるはずがなかったなり損ないの超直感を覚醒させ、ランチアの呪縛を解いたCEDEFのボス。
 戦闘の末、ランチアが本当はどんな存在だったのかを見抜き、自ら隙を作ることにより、呪縛を解くための答えを掴み取った。

 ランチア
 家光との戦闘の末、家光の超直感や、熟練された戦闘技術の前に敗北し、同時にマインドコントロールの呪縛から解放された青年。
 沢田奈月の父親……ボンゴレの血縁が確かに存在している家光を見て、ようやく足を止めることができたと安堵した。

 ディーノ
 ランチアとの相性の悪さから、最後まで戦闘に参加できなかったキャバッローネファミリー10代目ボス。
 ランチアとの戦闘の末、彼の全てを見抜いていた家光に、戸惑いながらも能力の開花を確証を得た


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