最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
自身の身に起きたこと、六道骸と言う存在の闇……そして、六道骸の今の目的を。
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ランチアは語った。自身の過去を。
5年前、自身は北イタリアにあるマフィアの一員であったこと。
孤児だった自身を育ててくれたボスとファミリーには命を救われたこと。
そのら温もりに対する恩返しとして、ファミリーの用心棒として過ごし、エリア最強とまで呼ばれる程にのし上がってきていたことを。
ランチアは語った。六道骸と言う存在を。
自身がファミリーの用心棒として過ごしていた時、野望に満ちた目をしていたから気に入ったからと拾われてきた孤児であること。
骸の面倒を見ていたのは自分であったこと。
かつての自分がされたように、大切な家族のように可愛がっていたことを。
ランチアは語った。六道骸が拾われてしばらく経った時に発生した事件……カードをするためにアジトに戻った時、ボスを含めたファミリー全員が命を落としていた事件のことを。
「その話は聞いたことがあるな。」
「ああ。1日で一つのファミリーが壊滅したことで有名だ。」
ランチアの話を聞き、家光とリボーンが反応する。ディーノも心当たりのある話だったようで、無言ではあったが、その時命を落とした者達を想って表情を歪めていた。
「自身がいない間に惨殺されたファミリーのみんなを見て、オレはそれを引き起こした犯人に対する怒りに燃えた。
かならず仇を取ると決め、ファミリーを惨殺した犯人を突き止めようと調査に踏み切ったんだ。
だが、調べ始めてしばらくした頃……意外な犯人がわかった。」
“あのファミリーを壊滅させたのはオレだったんだ……”
告げられた真実にその場にいた者達は息を呑む。
ある程度情報を得ていた家光とリボーンは、互いに顔を見合わせては、少しだけ表情を曇らせる。
そんな彼らの様子を見ながらも、ランチアはそれから出会していた悪夢を語った。
目を覚ます度に身に覚えのない屍の前に何度も立っていたこと。
殺しているつもりはないはずなのに、目の前に広がる赤の景色。
自分はおかしくなってしまったのかと何度も自殺を試みたのに、まるで固まったようにそれができず、命を落とすことは不可能だった。
そして、その原因は全て、自身がいたファミリーの元へと転がり込んできた六道骸にあったのだと。
「いつしかオレは、本来の名前や心すらも奪われ、偽物の六道骸となっていた。
何もかも失ってしまったオレは、絶望して殺戮を繰り返すだけの操り人形になってしまったんだ……。」
自身の生い立ちを話し、その場で俯くランチア。
その話を聞いていた者達は、あまりにも深い絶望と悲しみを吐露するランチアに何と声をかけたらいいかわからず、静かに顔を見合わせる。
「……じゃあ、ナツが今一緒に行動を取っている少年ってのは……やっぱり……。」
辺りに思い沈黙が降りる中、口を開いたのは家光だった。
家光の呟きを聞いたディーノ達は、表情に焦りを浮かべてランチアへと目を向ける。
もし、家光が口にしたことが事実であると言うのであれば、現在、自分達が探し求めている1人の少女は、これ程までの力を持っていた青年を陥れた少年と共にいることになるために。
「……ああ。ボンゴレ10代目候補、沢田奈月と共にいるのは本物の六道骸だ。
だが、これだけは言える。お前達が探しているそのお嬢さんは、六道骸の側にいても危険に晒されることはない。」
「「「「「!!!?」」」」」」
ランチアから告げられた、悲劇の桜の現状に、周りにいた者達は目を丸くした。
今回のマフィアの襲撃や、かつてのマフィアの壊滅……ピンポイントでマフィアばかりを狙っていた現状から、マフィアのボス候補である少女は危険に晒されてしまうと思っていたのに、逆に危険に晒されることはないと言われ、肩透かしを食らったために。
「本来の目的の通りに行動を取っていたのであれば、確かにボンゴレ10代目は危険に晒されていた。
絶対にあの男に、ボンゴレ10代目と言う立場を持ち合わせている存在を掌握されてはならなかったからな。
だが、今の計画では、ボンゴレ10代目は危険に晒されない。むしろ、安全が確立されていると言っても過言ではない。」
意味がわからないと言わんばかりの表情を浮かべるキャバッローネファミリー。
対するリボーンと家光の2人は、何かしらの確信を抱いているのか、無言でランチアの話を聞いている。
「六道骸の元々の目的は、ボンゴレの10代目となる若き候補者である沢田奈月の全てを掌握し、マフィア全体に叛旗を翻すことだった。
おそらくだが、オレに対して使っていた方法と同じ方法で、マフィア全体を滅ぼす気だったんだろう。
だが、今の六道骸の目的は、ボンゴレの10代目候補とされている沢田奈月をマフィアから引き離すため、遠くへと逃がそうと言うものだ。
まぁ、マフィアから引き離したあと、沢田奈月が持ち合わせている人脈を利用することも考えていたようだが、やるべきことの優先順位は、叛旗を翻すことでもなければ、人脈を利用することでもない。
……沢田奈月をマフィアと言う立場から逃がすこと……同時に、沢田奈月と言う1人の女を自身の側に置くことだ。」
そこまで話したランチアは、何かを思い返すように遠くの方へと目を向ける。
その姿を見て、オレは自身の手元にある物へと死ぬ気の炎を灯し、この世界に記録されている過去を確かめた。
─────……僕の目的は一生変わりません。それだけの憎悪がこの身にありますから。ですが、少しだけ……ええ……少しだけ、穏やかな桜が咲く、春の温もりが欲しくなっただけですよ。
─────……彼女は……僕だけの桜の花です。誰にも穢させたりはしない。
─────……純粋で、穏やかな優しさを持つ、僕の春なんです。だからこそ、それを穢すような存在は必要ない。
─────……その美しさを損なわせ、枯れさせるような害虫は、全て排除しなくては……ね。
─────……僕は奈月の元へ向かいます。彼女はマフィアになるには心が純粋過ぎますから。
─────……だから僕が彼女を逃すんです。どこまでも遠く離れた場所に。例え彼女を攫うことになろうとも。
─────……彼女は僕だけの桜の花……僕だけの春の陽だまりです。初めて僕が心から求める大切な片割れ……僕にある隙間を埋めてくれる大切な温もりですからね。
─────……誰であろうとも、それを汚すことは許さない。彼女は僕のものです。
─────……例え、あらゆる人間を敵に回そうとも、奈月は僕だけのものにします。その命の灯火が尽きるまで。
記録されていたのは、六道骸が口にした目的の言葉。マフィアを恨み、全てを滅ぼそうとした復讐の術士ではなく、マフィアにさせられそうになっているどこか似ている大切な少女を遠くへと連れ出そうとしている愛を知った少年の姿だった。
それを見たオレは、静かに目を閉じる。月が出ているからこそ確認することができる遠く離れた場所にいる2人の少年少女は、一緒のベッドに潜り込み、穏やかな寝息を立てていた。
その手は固く繋がれており、互いに悪夢を見ないようにしているようだった。
遠く離れた位置にいる、自身の操り手だった少年が、今どのような現状であるのか、ランチアはきっとわからない。
だが、誰よりも優しく、そこにつけいられたことにより絶望へと叩き落とされてしまった彼の瞳には、どこか懇願にも似たような光が宿っている。
……まるで、六道骸を人間に戻すことができる唯一の存在……自分だけの桜……自分だけの春の陽だまりだと彼に称された1人の少女に、その少年を遥か遠くへと連れて去ってくれと言う望みを向けているようだった。
「……六道骸からの伝言がある。」
「伝言?」
「ああ。」
そんなことを思っていると、ランチアが再び口を開いた。
六道骸からの伝言がある……その一言に、全員が反応を示して視線を向けていた。
「沢田奈月の身の安全は保障してある。だが、沢田奈月の精神に関しては保障しかねるとのことだ。
六道骸は、沢田奈月を自分だけのものにするとオレに伝えてきていた。おそらくだが、それを実行するつもりでいるのだろう。
ただ、それは沢田奈月を利用するためではなく、沢田奈月を守るためだとオレは思っている。
アイツは、何かしらの手を使い、沢田奈月と接触したようだが、その方法で交流を繰り返したことにより、沢田奈月から何かしらの影響を齎されたようだ。
まぁ、そうじゃなきゃ、あの負の感情の塊としか言いようのない男が、計画を変更するなどと言うはずがないのだがな。」
もう少し早く出会ってくれれば……曇らされた表情から、そんな感情が感じ取れる。
もし、自分が殺戮するだけの機械に成り下がる前に……自身が身を置いていたファミリーを壊滅させてしまった運命の時の前に出会っていれば、こんなに苦しい思いはしなくてもよかったかもしれないのに……と言う、わずかな苛立ちと諦観も混ざっているようだ。
「ナツを守るため……なんでそんな風に思ったんだ?」
俯くランチアに対して、リボーンが一つの疑問をぶつけた。
当然だろう。六道骸に対して、アレだけ恨みや憎しみ、怒りを見せていたランチアが、今はどこか六道骸の味方をするような言動をしているのだから。
リボーンの問いかけを聞いたランチアは、静かに彼に目を向け、口を開く。
「六道骸は、沢田奈月の話をする時、必ずと言っていい程ある言葉を紡いでいる。
それは、純粋で穏やかな優しさを持つ、自分だけの春の陽だまり、自分だけの桜の花だと言う言葉だ。
六道骸は、マフィアなどと言う暗闇の世界に、沢田奈月を近づけたくないんだ。
その世界に足を踏み入れては、沢田奈月の優しさは悪意に食い潰され、穢されてしまうと言っている。
沢田奈月を春と形容し、その温もりに手を伸ばしているアイツは、こっちの世界に身を投じて、その温もりが消されてしまうのを恐れてるんだよ。
ようやく見つけた暖かな光を、失いたくないんだろうな。沢田奈月は、六道骸にとって、唯一自身を人間に戻してくれる存在になっているらしい。」
ランチアの言葉に、その場にいる者全てが言葉を失う。
自分達が探している少女が、まさか、1人の少年にとっての心の拠り所となっているとは思わなかったのだ。
「これは、必要最低限以外の思考が封じられていても感じ取れたものだ。六道骸は、沢田奈月の中にある何かを知っているようだった。
最初は、春の陽だまりのような女だと度々口にしていたから沢田奈月のことを桜の花と言う呼称を用いているかと思っていたが、どことなくその目には、何か別の存在を映していた。
意識がハッキリした今ならよくわかる。六道骸は、沢田奈月の中にある何かに寄り添おうとしているのだろう。
それが何かまでは、オレも流石にわからないが、その何かに触れることができたからこそ、今の六道骸に変わったんだ。」
ランチアの言葉を聞き、リボーンが珍しく表情に驚きを見せる。
おそらくだが、ランチアが口にした、沢田奈月の中にある何かと言う言葉が示すものに心当たりがあったのだろう。
─────……それもそうか。君も知ってるもんな。沢田奈月の中に存在しているもう1人の存在……小鳥遊桜奈と言う桜の花を。
そんなことを考えながら、オレは今いる場所から飛び降りる。
かなりの高所ではあったが、すかさず手にしていたものに死ぬ気の炎を灯すことにより、地面につく前にクッションとして利用し、そのまま地面に降り立った。
……流石に何mもの高さがある鉄塔から飛び降りるのは、死ぬ気の炎ありきでもアレだったが、まぁ、周りはオレに気づいていないためよしとしよう。
「……オレの娘は……オレの娘と一緒に行動を取っている本物の六道骸は、今、どこにいるんだ?」
ゆっくりと歩き、リボーン達が集まっている方角へと向かっていると、家光がランチアに、本物の六道骸はどこにいるのか問いかける。
それを聞いたランチアは、静かに顔を上げたあと、少しだけ考え込むような様子を見せる。
「……すまない。詳しい話までは聞かされていない。一旦は黒曜ヘルシーランドと呼ばれる、人があまり寄り付かない場所に身を隠すと言っていたが、そこから移動しているのであれば、オレの情報は当てにならないだろう。」
ランチアから告げられたのは、振り出しに戻ってしまう情報のみだった。
移動しているのであれば、把握する術はない……それを聞かされた家光達は、その表情を曇らせる。
「オレが話せるのはここまでだ。持ち合わせていた情報は全て開示した。あとはお前達の処分に従おう。
操られていたとは言え、オレは多くを奪ってしまった大罪人だ。この場で死ねと言うのであれば、潔く命を捨てる覚悟もできている。」
そんな彼らに対して、ランチアは申し訳なさそうな表情をしながらも、自分が明かせるものは全て明かしたことを告げ、あとは全て家光達の判断に任せると口にする。
死ねと言われたら死ぬことも躊躇わないことも一緒に。
「その命を捨てるくらいなら、オレの預かりにさせてもらえるか?色々とこっちにも事情があってな。それなりに手札は手元に置いておきたいんだ。」
「「「「「「!!!?」」」」」」」
一部始終を見届けたオレは、ランチア達に声をかける。
急に第三者が現れたためか、集まっていた者達は弾かれたようにオレの方へと視線を向け、警戒するような様子を見せる。
だが、その視線はすぐに、オレの右手首に括り付けてある一つのアイテムへと向けられた。
「!?お前……なんでそんなものを持ってやがるんだ……!?」
それに対して言及してきたのは、アルコバレーノのリボーンだった。
その様子を見て、オレは小さく目を細め、右腕を軽く振り上げたのち、その勢いにより持ち上がった、金と銀の色が混ざっている、アルコバレーノのおしゃぶりを手のひらへと収める。
「……なんでそんなもの持ってんだって聞かれてもねぇ。君達をアルコバレーノにした元凶である、鉄の帽子のイケすかない野郎に管理を任されたから……としか言いようがないな。」
おしゃぶりがあることに関して告げたオレは、静かに笑みを浮かべたのち、静かに口を開く。
自身が何者であるのか……それを告げるために。
「オレの名はメテオライト。この世界を観測し、時に大空の暗闇を照らす使命を与えられている者だ。
お前達が探している少女、沢田奈月の居場所を知る者でもある。」
メテオライト
金と銀が混ざった特徴的な色合いを持つアルコバレーノのおしゃぶりを保有する青年。
あらゆる事象を観測し、時に大空を導く者として姿を現すことがある。
リボーン
現れた青年がおしゃぶりを持っていたことに驚いた黄色のおしゃぶりのアルコバレーノ。
メテオライトとは初めて邂逅したはずなのだが、なぜか初めて出会した気がしない違和感を覚える。
沢田 家光
ランチアと決着をつけ、六道骸のことを聞き出した奈月の父親。
振り出しに戻ってしまったことに歯を食いしばったが、突如現れたメテオライトにより、その意識は彼に向けられた。
ランチア
自身の過去と、骸の目的を家光達に告げた骸の影武者。
操られていたとは言え、やったことは許されないことであると、命すらも終わらせる覚悟を持ち合わせていたが、乱入者により意識はそちらへと向けらた。
ディーノ
ランチアの過去を聞き、表情を曇らせていたキャバッローネファミリー10代目のボス。
突如現れた乱入者、メテオライトがおしゃぶりを持ち合わせていたことに、リボーンがかなりの動揺を見せていたため、いったい何者なんだと言う疑問を浮かべる。