最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
離れた場所へと飛び出した、桜の花を迎えに行くために。
side. REBORN.
家光とディーノにはイタリアに残るように告げたのち、日本へと戻るためのジェットをチャーターしたオレは、獄寺と山本、ヒバリの3人へとメールを送った。
メールの内容は簡易的に、“ナツの居場所がわかったから話す。ナツの家に集まれ”と言うものだ。
群れるのが嫌いなヒバリも、ナツが……桜奈が関われば集まるはずだと思いながら。
「……………。」
片道約13時間の空の旅。
いくらジェットを飛ばしても、その時間を大きく縮めることはできないため、しばらくの間は大人しくするしかない。
だが、この移動している時間は、正直言って今のオレには苦痛でしかなかった。
ナツの中にいるもう1人の存在、桜奈……。名前を明かしてくれたり、オレの前にいる時は、そっちの人格に戻ってくれたりしていたことに、勝手に蟠りは少なくなっているのだと思っていた。
だが、蓋を開けれてみれば本音を口にしてもらえる程近くにいたわけじゃなくて、蟠りは少なくなったと勘違いしていただけに過ぎなかった。
どうしてもっと早く歩み寄っていなかったのか……様子を見ることばかりしていたのか……本音を明かしてもらえるように……桜奈と言う存在に本当の意味で向き合う姿勢を見せることができていれば、抱えていたものを吐き出させることだってできたはずなのに。
その姿勢を本当の意味で見せることができていなかったことに情けなさを抱き、強めの後悔に苛まれる。
─────……もう少し、ちゃんと話しておけばよかったかもな。
明かそうと思うまで明かさなくていいと言うだけ言って、明かしやすいようにしていなかったのはオレ自身。
桜奈のことだ。本当に向き合おうとしてる姿勢を見せていれば、ちゃんと話してくれていた。
1人で抱えることに慣れ過ぎていて、だけど、本当は誰かに一緒に抱えてもらいたいと思っている女なのだから。
じゃなけりゃ手紙とは言え、本音を漏らしたりするはずがない。
─────……迎えに行ったあと、ちゃんと話を聞いてみるか。
明かしたくないなら明かさなくていいじゃなく、今のオレに対して話せる範囲まででいいから話してくれと。
その上で、これからも寄り添うことを伝えて、ゆっくりでいいから桜奈のことを教えてほしいと。
─────……これで、どれだけ桜奈との距離が縮むかはわからねーし、そんなに縮まらねーかもしれねーが、別にそれでも構わない。
─────……それならそれで、縮めることができるように寄り添い続ければいい。
何があっても桜奈の側から離れずに、ずっと隣にいてやればいい。
─────……もう、オレは生きることを諦めるのをやめたんだ。
─────……前までは、いつ別れてしまうかわからねーし、碌でもない終わり方しかしないだろうからと、深く関わらねーようにしていたが、今のオレは違う。
─────……桜奈と言う存在に惚れ、奈月と言う存在を支えるために生きることを選んだのだから、何があってもその隣に寄り添い続ける。
─────……どれだけ沢山の試練が桜奈やオレの前に降りかかっても、桜奈の手を絶対に握り締めて離さずに。
─────……それこそ……命の終わりが2人を分つまで。
我ながら、重い感情を持ったものだと呆れてしまう。
だが、桜奈が目の前からいなくなって、なんとか見つけようと探し回って、だけどちっとも見つからなくて、それにより生じた経験のない焦燥感や、桜奈と言う存在がいなくなったことによる空白は、自身の感情がどれ程のものであるかを示す証だった。
「……しっかり向き合って、ちゃんと桜奈の話を聞いて、寄り添い続けることと、内に宿るこの気持ちを改めて伝えねーとな。
このままじゃ、桜奈の心を軽くしてやれねーどころか、甘やかしてやることすらできねーぞ………。」
そこまで考え、オレはボルサリーノを目深に被る。今日までずっと桜奈を探すために走り回って、情報を集めて、手がかりを見つけたあとすぐにイタリアに向かって、連続でマフィアを襲撃していた連中と相対して、イタリアから日本に戻るためにジェットをチャーターして、それに今は乗り込んでいる。
流石に今の姿のオレにとって、スケージュールがハード過ぎてしまった。
「……日本に着くまで、仮眠を取るか。」
このままじゃ、獄寺達に話をする間に倒れちまいそうだと思いながら、オレは一旦仮眠を取ることにする。
明日は朝から桜奈がいる場所に向かう予定なんだ。少しでも疲労を回復させねーとな……。
…………………
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…………………
「リボーンさん!!」
「小僧!」
「待ってたよ、赤ん坊。」
ナツの自宅の方に戻ってみると、すでに玄関の前に獄寺達が待機していた。
オレの予想通り、桜奈に関係する話だと知ったからか、ヒバリも獄寺達と共にいた。
……よく見たら雲雀に若干の疲労が見受けられる。桜奈に対して強い恋慕を持ち合わせていることもあるし、探し回っていたのだろう。
「悪い。遅くなっちまったな。ちとイタリアの方でもナツがいなくなったことは騒がれててよ。
ナツの父親とディーノ。それと、9代目とも話をしてきたんだ。」
「前置きはどうでもいいよ。奈月はどこにいるの?」
とりあえず遅れた理由を口にすると、ヒバリが少しだけ苛立ったような声で言葉を口にする。
様子からして、オレのこともついでに探してたらしい。まぁ、桜奈の身に何かあったなら、真っ先にこっちを訪ねてくるか。
そう言うことに関しては、常に側にいることができねーヒバリより、常に側にいることができるオレの方が詳しいしな。
「落ち着けヒバリ。まず、ナツは無事だ。隣町の方にまで家出しちまってたみたいでな。
んで、しばらくは、黒曜センターっつー娯楽施設の近隣にあった古い下宿屋で過ごしながら、家出の協力者だった人間と一緒に黒曜中学校に通っていたらしいぞ。
だが、オレが近隣に足を運んだことがバレちまったらしくてな、黒曜中学校には休学届を出して、そのままさらに遠くに行っちまったみてーだ。
どうやら、家出に協力していた奴は、情報操作にたけてるらしくてな。ナツのことは病弱な従兄妹ってことにして、体調が悪化したから自然がある場所に一時的に療養しに行くと言って、連れ出したらしい。」
オレの説明を聞いて、その場にいる全員が顔を見合わせる。
しかし、すぐに意識をこちらに戻しては、話を聞く姿勢を見せた。
「イタリアでは連続でマフィアが襲撃される事件が多発していたんだが、その首謀者がナツの家出に協力していた奴の近い位置にいた男で、誰がナツの家出に協力したのか話してくれた。
ナツに協力した奴の名前は六道骸。イタリアにある犯罪マフィアを収容する場所から脱獄し、日本へと流れてきた男だ。
捕縛した男は、そいつの近くに常にいた男で、話を聞いてみたところ、六道骸は元からナツを狙って日本にやってきたことがわかった。」
元から桜奈が狙われていたことに、獄寺達が目を見開く。
遠く離れたイタリアの地……更に言うと、投獄されていたにも関わらず、桜奈の存在を知っていた……この事実は、誰が聞いても衝撃的としか言いようがない。
「待ってくださいリボーンさん!イタリアと日本はどれだけ見積もっても約9730km離れた位置にある国っスよ!?
10代目はイタリアに行ったことないし、仮に行っていたとしても、相手は投獄されていた野郎だし、10代目と接触することなど……!!」
「ああ。本来ならばあり得ねー話だ。ナツの父親からも、ナツはイタリアへ旅行しにきたことはないと聞いているしな。
だが、六道骸は何らかの方法でナツに接触し、現在も連れ去ってる状態にある。
悪い夢であってくれと思わなくもねーが、これが現実であり事実だぞ。」
「っ………」
オレの言葉に、獄寺が言葉を詰まらせた。今もなお、桜奈の姿がこの場になく、すでに半月以上も戻ってきていないと言う事実は、嘘だと吐き捨てたくても変えようのない話であると、理解してるのだろう。
改めて言葉にしたことにより、自身も軽くダメージを受けながらも、オレは静かに口を開く。
「……捕縛した男から、六道骸からの言伝を聞いた。ナツの身の安全は保障するが、精神は保障しかねるとのことだ。
身の安全は保障するが、精神面の方には何かしらのちょっかいを出すのは確定している。
……ただ、ナツが関わったことにより、六道骸には何かしらの変化が発生し、同時に、ナツのことを守るために側に置こうとしていると言う話も聞いているからな……。
とりあえずオレは、今ナツがいる場所に明日向かってみる。」
何かしらのちょっかいを出そうとしていることは確定していることを獄寺達に告げると、獄寺が口を開いた。
「だったらオレも一緒に行きます!!10代目を真っ先に狙いやがった六道骸の本当の目的は知りませんが、ここで黙って待っていたらダメな気がするんで!!」
「オレもついていくぜ、小僧。精神諸々の話はよくわかんねーけど、ナツに何かしら害があるかもしれないことがわかってるんだったら、助けてやらないといけないしな!」
獄寺がついてくると告げ、それに繋げるようにして山本がついてくると口にする。
この2人ならそう言うと思っていたオレは、短くそうか、とだけ口にした。
「……なんで奈月に何かあるかもしれないってわかっていて、明日になるまで動かないわけ?」
そんな中、ヒバリがオレに問いかけてきた。
当然の疑問とわずかに感じ取れる苛立ちと怒りに、オレは一度だけ無言になったあと、あるものをヒバリに手渡した。
「……これを見たらわかる。」
それは、桜奈がオレ宛に残していた手紙。唯一桜奈が本音を綴ったもの。
オレが差し出した手紙を見たヒバリは、静かにそれを受け取って、中に記されている文章に目を向けた。
そこに記されていた桜奈の悩みや葛藤、自分で自分がわからなくなったと言う悲痛な本音を見たヒバリは、一瞬だけ目を見開いたのち、しばらく手紙を見つめ、オレにそれを返してくる。
「……時間はすでに夕方だ。だからすぐに迎えにいくより、ナツに考える時間を残したい。
確かに、精神の方には何かしらのちょっかいを出すと宣言されてはいるが、不思議と大丈夫だと思ってんだ。
まぁ、でも、いつまで目家出されたままなのは流石に困るし、ママンも辛そうだから、明日には迎えに行くつもりだぞ。
ナツの考えも聞かねーといけねーからな。やりたいこと、望んでること、どんなことを思っているのかと言う意見……そう言ったものを聞くためにも。」
「……そう。」
「ヒバリも来るか?」
「群れるのは嫌いだよ。でも、明日顔を出すだけ出してあげる。奈月の居場所は教えてもらうよ。」
「そうか。まぁ、お前ならそう言うと思ったが、敵地に単独で乗り込むのはやめた方がいいぞ。」
「何で?」
「……嫌な予感がするからだ。」
嫌な予感と言う言葉に、ヒバリだけじゃなく、獄寺達も反応を示す。
それを見たオレは、海が存在している方角へと目を向けて無言になる。
イタリアから戻る前から感じていた胸騒ぎ……それはもはや気のせいと言えなくなる程に強くなり、異常なぐらい鮮明に姿を現していた。
桜奈を迎えに行った時、対峙することになるであろう六道骸と言う存在……それが、厄介な状態で立ちはだかるのではないかと。
「……とりあえず、今日のところは解散するぞ。……ヒバリ。移動は別々にしても構わねーが、突入するのは少し待ってくれ。
単独で動きたい気持ちはわかるが、1人で敵地に乗り込むつもりなら、オレはお前に居場所を教えない。」
「…………。」
オレの言葉を聞いて、ヒバリは無言でこちらを見下ろした後、踵を返してこの場から立ち去っていった。
その背中を無言で見送っていると、獄寺が悪態をつく。
「んだよあいつ!!リボーンさんを睨みつけやがって!!」
「まーまー、落ち着けって獄寺。ヒバリがナツのことを好きになってるのは夏祭りの時にわかったじゃねーか。だからイラついてんだろ。
……正直言って、オレもちょっとムカついてんだ。ナツのところに早く行きたいのに、こう止められちまうとさ。獄寺だってそうだろ?」
「それは……っ……だが!リボーンさんは10代目に何かを考える時間を残したいって言ってんだ!
ムカつく以前に、10代目の悩みを解決する方が優先事項だろ!?だったらオレはリボーンさんに従う!!」
「……まぁ、ナツって最近、いろいろ悩んでるみたいだったしな。
オレさ。一回、自分の取り柄だった野球が全然上手くいかなくなった時期があったんだ。スランプって奴?
その時、すっげー悩んで悩んで悩みまくって、ずっと苦しかったんだよな。」
「……オレも、一回跳ね馬からボンゴレの幹部になる話を持ってこられて、それに悩みまくった時がある。
10代目のために行くべきか、ずっと10代目のお側にいるべきか考えてて……そんで、1人で空回って、最終的に10代目に相談したんだ。
それで、最後は答えを見つけて、今のオレがいる。」
「オレもそんな感じだ。俺が悩んでることにナツが気づいてさ。
それなら一旦休んでみようって言われて試しに休んでみたら、悩んでたことが嘘みたいに体が軽くなって、また沢山の成績が残せたんだよ。
もし、あのまま休まずに野球やってたら、取り返しがつかねーことになってたかもって思うと、ナツはオレの恩人なんだ。」
獄寺と山本が、互いにかつての自身にあったことを明かし、そのまま無言になる。
下から見える表情は、どことなく苦痛に歪められており、悔しさに苛まれているのがよくわかった。
「……オレ達、ナツに助けられてばかりだな。」
「ああ。それには同感だ。10代目がいてくれたおかげで切り抜けられたことが沢山あり過ぎる。だから、今度は……」
「……ああ。オレ達がナツを助けないとな。ナツみたいに、上手く解決することなんてできねーかも知れねーけど……」
「それでもやるんだよ!!確かに10代目みたいに上手く動けねーが、それならそれで、少しでも10代目を支えるために!!」
だが、その表情は一瞬にして決意したものへと変わり、桜奈に対してこれからどうしていくべきかを話し始めた。
その姿を見て、オレは小さく笑みを浮かべたのち、2人にも帰るように告げる。
オレの言葉を聞いて獄寺と山本も今日は一旦解散することを承諾し、そのまま自分達の家へと帰るための道を歩き始める。
それを見送ったオレは、その場で踵を返し、今のオレが帰る場所へと足を運んだ。
家ん中に戻ったら、ママン達に桜奈が無事であることを伝えねーとな。
了平にも桜奈の無事が確認できたことを伝えて、不安になってる京子達を落ち着かせるように言っとかねーとだ。
……迎えに行くのは、少数でいい。混乱がこれ以上悪化する前に、桜奈の元に駆けつけよう。
リボーン
桜奈の捜索、およびイタリアと日本の往復にかなり疲労していた黄色のアルコバレーノ。
桜奈としっかりと向き合うために、行動を選択中。
獄寺&山本
リボーンから奈月の居場所がわかったことを聞かされ駆けつけた両腕候補達。
すぐには迎えに行かないリボーンに対してわずがな苛立ちを覚えたが、すぐに冷静になって、まずは準備を済ませることを選ぶ。
雲雀 恭弥
奈月の情報も得られず、リボーンも捕まらないことにかなりの苛立ちを覚えていた風紀委員長。
リボーン達と合流したが、すぐに迎えに行かないと言ってきたリボーンに一瞬殴りかかりそうになったが、彼から手渡された手紙に記されていた奈月の本音を見て、その矛を一旦収めた。
1人でも迎えに行きたいところだが、リボーンから嫌な予感がすると言われ、一旦は引き返すことにした。