最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
雲雀先輩と度々関わるようになったある日のこと。
その日も私は、1人で学校内をうろついていた。武や隼人、京ちゃんや花……仲良くしているメンバーが、そろそろ話したそうにしているのを横目に、あと少し待ってほしいと考えながら。
すると、どこからともなく人の気配が猛スピードで近づいて来ることに気づき、それを躱すようにして体を翻す。
同時にすぐ横を吹っ飛んでいったのは、どう見ても不良と言う感じの人だった。
「………え?」
「ん?やあ、奈月。こんなところで何してるの?」
「雲雀先ぱ……おっふ……。」
なんでそんな人が吹っ飛んできたんだと混乱して固まっていると、最近、良く聞くようになった声が鼓膜を揺らす。
すぐに声の持ち主に、今の状況を聞こうとしたら、その声の持ち主が不良の胸ぐらを掴んでいる姿が視界に映り込んでしまった。
どうやら、不良をぶっ飛ばしていたのは雲雀先輩ご本人だったらしい。
なんか知らないけど、足元にめちゃくちゃ不良の屍が転がっている。
「……雲雀先輩。その人達は?」
「ああ、これ?僕の前で群れていたから、咬み殺しただけだよ。」
「なるほど……。そりゃぶっ飛ばされるわけだ……。ところで、この人らの制服、並盛中の制服に見えませんけど……」
「他校の奴らだからね。違うに決まってるでしょ。」
「なんで他校の生徒が……?」
「くだらない理由だよ。君は気にしなくていい。」
「そうですか……。わかりました……。」
なんだろう……。雲雀先輩か風紀委員の先輩方に何かされたんだろうか?だとしたら、ここにまで乗り込んで来た理由になる。
でも、雲雀先輩の強さの前じゃ、この不良達は手も足も出なくて、容赦なくボコボコにされた感じかな。
「……どうするんです?この人ら。」
「救急車は一応呼ぶよ。」
「はぁ……なるほど……。」
そんなことを思いながら、不良達の行く末を問えば、救急車は呼ぶつもりでいることを教えてくれた。
まぁ、校舎の中にこれだけの不良が転がってたら、いろいろめんどくさいことになりそうだしね。
それを防ぐためにも、雲雀先輩は救急車が必要になる程度には絞めといて、そのあと救急車側に任せるんだろう。
「ちょうどよかった。こいつらを咬み殺した理由として、少しだけ君を利用させてもらうよ。」
「え、なぜに?」
「こいつらが僕の並盛の生徒に絡んでいたから、咬み殺した……。ちょうどいい口実さ。」
「ええ……?まぁ、雲雀先輩にはお世話になってるので構いませんが……。」
「何かしら聞かれたらこっちの言った通りに話すこと。わかった?」
「はい……。」
まさか、このフルボッコ事件の理由として使われることになるとは思わなかった。
完全に共犯者にされてるよ……。いや、この場合共犯者と言えるのかわからないけど。
電話を取り出して、連絡を取り始める雲雀先輩を見つめながら、そんなことを考える。
しかし、不意に彼の手元にあるトンファーに視線が行ってしまい、意識はそっちに移動する。
あれが噂に聞く仕込みトンファー……なんだろうけど、側から見たらただのトンファーにしか見えないよな。いったい何が仕込まれているのやら……。
「……気になるの?これ。」
「おわ!?」
ボーッとトンファーを見つめていると、電話を終えたらしい雲雀先輩から話しかけられる。
何その反応、と少しだけ雲雀先輩が表情をむすっとさせる。そのことに苦笑いをこぼしながらも、私は静かに口を開いた。
「あまり見たことがない物だったのでつい……。すみません、ジロジロ見てしまって……」
とりあえずあたり感触のない言葉を並べて、雲雀先輩の質問に答える。
すると彼は何を思ったのか、自身が手にしているトンファーに一度視線を落としたのち、一本のトンファーをこちらに投げてきた。
慌ててそれをキャッチすれば、それなりの重さが手を伝って来る。
「え、結構重……」
「いろいろ仕込んでるからね。」
「仕込んでる……?」
「うん。」
そう言って雲雀先輩は、もう片方のトンファーを手に取り、一瞬にしてその側面に無数の突起を発生させて見せた。
なんともまぁかなり殺傷力が強そうなことになっている。こんな武器を一般人と思われる先輩が持っているとは思いもよらなかった。
でも、少しだけかっこいいとも考えてしまう。こんな武器があったら、なんかいろいろ対応できることが増えそうだ。
特に、暴走気味になる隼人とかリボーンを止める時とかに。
「……興味があるみたいだね。」
「へ!?あ、すみませ……」
「別に謝らなくていいよ。それ、返して。」
「はい。」
片手をこっちに見せる雲雀先輩に、触らせてもらっていた仕込みトンファーをそっと返せば、彼はそれをすぐに受け取ったのち、少しだけこっちを見つめて来る。
なんだ?と思いながら首を傾げると、雲雀先輩は手にしていた仕込みトンファーを短くし、そのまま制服へと納めてしまった。
「折り畳み式なんですね……」
「持ち運びやすいからね。」
「確かに持ち運び楽そう……。いざと言う時にすぐに使えますし、便利ですね。」
「うん。」
適度な距離を保ちながら、雲雀先輩と話していると、学校のチャイムが聞こえてきた。
休み時間の終わりを知らせるものだとすぐに判断した私は、教室に戻ろうと雲雀先輩に一言声をかけようとする。
「何してるの。こいつらのことがあるんだから、次の時間の授業、君は出れないよ。」
「………そう言えばそうでした。私、こいつらをぶっ飛ばした口実に使われるんでしたね。」
「次の授業は?」
「数学です。」
「それなら、数学の教師に軽く説明してすぐに戻って。わかった?」
「はい、わかりました。」
「じゃあ行ってきなよ。」
「はい。」
雲雀先輩の言葉にすぐに従う。だって咬み殺されたくないし。
そう思って急いで教室への道のりを走り抜けた私は、授業を始める直前の担当教師に、雲雀先輩に言われた、他校の不良に絡まれたところを風紀委員会に助けられたことと、事情聴取が必要になるかもしれないから授業に出ることができないことを伝えれば、あっさりと授業をパスするための許可をもらうことができた。
なんか、担当の教師が顔を真っ青にして、早く行きなさい!って言ってきたけど、え?風紀委員って教師陣営にも恐怖を与えてんの?
風紀委員の影響ヤバ過ぎない……?と引きつった笑みを浮かべそうになる。
それをまとめ上げてる先輩と、私ちゃっかり話しちゃってるんだけど……?
「戻ってきたね。何か聞かれたらこの通りに答えておいて。」
「わかりました……。」
いったい、並盛中の風紀委員って……?と言う疑問をどんどん膨らませながらも、教師に説明したら戻って来るように言ってきた雲雀先輩と合流すれば、彼は一枚の紙を渡してきた。
そこには、何かしらの質問をされた時に私が答える内容だった。
いろいろ想定して書いているけど、これは経験談か何かです?
「他の風紀委員がこっちに来るから、あとは役員達と一緒に行動を取って。僕は応接室に戻るよ。」
「はい。お疲れ様でした。」
スタスタと立ち去っていく雲雀先輩の背中を見送った私は、手にしている紙に視線を落とす。
カンペ持ってるなんて知られたくないし、とりあえず全文覚えておこう。
沢田 奈月
乗り込んで来た不良を咬み殺す口実に使われてしまった転生者な10代目。
このあと雲雀から受けた指示の通りに被害者のふりをしていろいろ乗り切った。
雲雀が持っている仕込みトンファーは、少しだけ欲しいと思った。(主に対獄寺、および対リボーン用に)
雲雀 恭弥
自分の並盛に乗り込んで来た他校の不良生徒をフルボッコにした最強風紀委員長。
たまたま居合わせた奈月を見て、ちょうどいいと不良を潰した理由にするため巻き込んだ。
奈月がトンファーに興味を持ったことに気づいている。