最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 藍色からの提案は、精神の入れ替え憑依と言うものだった。
 本来の憑依とは違う憑依ができる2人だからこそ、実行することができるものだった。
 藍色の話を聞いた桜は、その提案に同意する。全ては答えを見つけるために。

 side MUKURO.


藍色の策略

「……まさか、骸と入れ替わることになろうとはね。」

 

「クフフフ……僕らにだけ許された特権ですよ。」

 

「まぁ、それはそうなんだけどさ。」

 

 先程とは違う視界の位置。目の前にいるのは僕自身。

 考えをまとめるまでの時間がほしいと口にした桜奈に対して、それならばと提案した精神を入れ替える方法は、どうやら上手くいったらしい。

 感覚を確認するために、手をグーにしたりパーにしたり、体の動かし方を見てみたりと、初めて憑依をした僕の姿をしている桜奈は、どことなくおっかなびっくりの様子だ。

 

「初めて本格的な憑依能力を使った感想はどうですか?」

 

 そんな彼女が少しだけ面白くて、憑依をしてみた感想を問う。

 僕の質問を聞いた桜奈は、一瞬僕の方に視線を向けたあと、考え込むような様子をその場で見せた。

 

「……1番最初に出てきた感想は変な感じ……かな。自分の体じゃないのに、不思議と馴染んでいるような感覚があったり、目の前に自分自身の姿があったり……とにかく脳がバグる。」

 

「クハハハ!脳がバグると来ましたか!まぁ、確かに、最初はそんな感覚に陥りますよね。

 僕は何度か憑依弾を使ったことがあるので、すでに慣れてしまいましたが、初めて使った時は、少しだけ戸惑ったものです。」

 

「骸も戸惑うんだ。」

 

「視界に映るものが結構変化しますからね。ですが、次第にそれも気にならなくなりました。

 奈月もすぐに慣れると思いますよ。なんせ、僕と感覚は共有してますし、僕自身、憑依にある程度慣れているため、その記憶もそちらにはありますからね。」

 

「あまり慣れたらいけないような気がするのはわたしだけかな?」

 

 呆れたような表情で、憑依に慣れるということにツッコミを入れてくる桜奈に、僕は小さく笑い返す。

 正常な思考をある程度持ち合わせている彼女からしたら、確かに憑依に慣れると言うのは、疑問を浮かべても仕方ないことだろう。

 僕にとっては自由を手に入れるために……そして、復讐するために使うようになった能力だったため、特に気にしたことはないのですがね。

 

「……何か変な感じがするびょん。」

 

「確かに……。敬語じゃない骸様なんてあまり見たことなかったし。」

 

 そんなことを考えていると、犬と千種の戸惑うような声が聞こえてきた。

 視線を彼らに向けてみれば、2人は精神を入れ替えた僕と桜奈のことを何度も見比べている。

 

「クフフ……2人も珍しい反応をしていますね。」

 

「そりゃあ、ずっと一緒にいた人間が精神入れ替えてる上、会話をしてるんだから戸惑うよ。見た目と話し方が一致してないから混乱するに決まってるでしょ。」

 

「そう言うものでしょうか?」

 

「そう言うものだよ。」

 

「ふむ……僕にとっては気にする程のものではないというか、ずっとついて回った技術なので、特に戸惑いは抱かないのですが……」

 

「それはキミ単体での憑依だからだよ。今回は全く状況が違うでしょーが。」

 

 困惑した様子で言葉を紡ぐ桜奈と、その言葉に同意するように頷く犬と千種。

 普段は戸惑わない2人が戸惑っていた理由を聞かされて、少しだけ僕は納得する。

 確かに、今回は僕だけの憑依ではなく、僕と桜奈の入れ替え憑依……長らく僕についてきた2人からすると、かなり困惑する現状だ。

 

「なるほど……。まぁ、これから先もこの状況は度々発生する可能性がありますし、今のうちに慣れていてください。

 奈月の身体を利用する……と言うと嫌悪感による吐き気に苛まれるのでお借りする、に言い換えるとして……もし、奈月が僕らといることを選んだ場合、このように奈月の体を借りる必要も出ると思うので、今のうちに耐性をつけおくことは大事ですよ。」

 

「わたしの姿で行動を取る……ねぇ……。」

 

「必要なんれすか?」

 

「奈月がこっちの方に来た場合、マフィアの追手が来る可能性があるからだろ。」

 

「あ〜……」

 

 千種に言われてようやく納得している犬に少しだけ呆れてしまう。

 どう考えてもそれしかないでしょうに、なぜすぐに頭に浮かばないんですか犬。

 

「まぁ、憑依してる状態って、器になってる存在を人質にしているような状態でもあるって骸は言ってたしね。

 攻撃しようとしている対象が、本来ならば自分達が保護すべき対象だった場合、情があるならば少なからず攻撃の抑止にはなる。

 ただ、わたしがボンゴレのボスにならず、骸達と一緒に行動を取るのを選んだ場合、わたしも攻撃対象になりかねないから、どこまで通用するかはわからない……が現状かな。」

 

「それは言えてますね。ただ、あなたに想いを寄せてるメンバーは確実に動きを封じることができると思いますよ。

 想い人を傷つける……と言うことは、あなたに惹きつけられた方々にはできないでしょうからね。」

 

「……そこら辺は割り切る人もいると思うけど、完全に否定することはできないかもね。

 実際、恭弥さんはわたしに確かな想いを向けるようになってから、わたしに手合わせをしろって言わなくなったし……」

 

「むしろ手合わせよりもあなたとゆっくり過ごす時間を求めている印象がありますね。

 まぁ、だからと言ってあなたに少々働かせ過ぎと言いますか……せめて甘やかす時間くらい設けていれば、僕もそこまで文句は言わないのですが……」

 

「徹底的に甘やかそうとしてくるね、キミは……」

 

 苦笑いをこぼし、僕の言葉に軽く呆れながらもどこか嬉しそうにしている桜奈。

 精神を入れ替えているとは言え、精神の繋がりはそのまま維持しているため、甘えられると言う事実に確かな喜びを抱いていることがわかった僕は、口元に小さく笑みを浮かべる。

 しかし、すぐに頭を切り替えて、これからのことを口にする。

 

「精神が入れ替わっているので、意識はそのまま目を覚ましている状態を維持することができます。

 そこで、僕は幻術を使用することにより、僕達の本来の姿を投影し、奈月を迎えに来た連中と対峙し、その間、奈月は僕の精神世界に潜伏した状態に移行してもらって、答えを見つけてほしいんです。

 本来、憑依とは器となっている存在を強制的に眠らせて、肉体の主導権を奪い、そのまま行使する技術のため、器となっている存在の本来の精神は思考するための意識を奪われた状態ですから、考えることはできませんが、互いに精神を入れ替え、肉体の行使権がある状態になってるので、思考することも可能になってるはずですから。」

 

「なるほど……。てことは、わたしは骸がリボーン達と顔を合わせてる間に答えを探せばいいんだね。」

 

「はい。時間稼ぎなら任せてください。」

 

「ん。ありがとう。」

 

 僕の作戦を聞いて、納得したような様子を見せる桜奈に、飲み込みが早くて助かると笑う。

 正直、僕の作戦に大人しく従う桜奈の素直さが愛らしくて、すぐにでも口付けを交わしたいところだが、今の状態からそれは我慢した方がいいだろう。

 違和感の方がすごいでしょうしね。

 

「犬と千種には、彼女を迎えに来た側に僕と一緒に対峙してもらいます。できることならば、話し合いだけで全てを解決したいところではありますが、相手が話し合いに応じてくれなかった場合、戦闘は免れないでしょう。

 最悪の自体も想定して、戦力として加わってもらいます。」

 

「「わかりました。」」

 

 それだけ残念に思いながらも、僕はこれからのことに関する指示を出す。

 犬と千種の2人は、すぐに指示を聞いてくれた。これで、いざ戦闘になった時、幻術による支援を施せば、まず負傷率は低くなる。

 まぁ、流石にアルコバレーノが戦闘に入ってきたら難しくなりそうですが、桜奈の体を貸してもらってるので、ある程度の戦闘は避けることができるでしょう。

 

「千種。あなたが使ってる武器の針をこっちに入れ替えてください。」

 

 ただ、場合によっては戦闘を避けられないのも事実。

 であれば、少しでも状況を打破するための策は練る必要がある。

 

「これは?」

 

 そこで僕は、千種にあるものを渡すことにした。

 彼が使っている武器……ヘッジホッグの中に収めることができる針と同型の、薬品だけ変えている針だ。

 

「奈月が持ち歩いている痺れ薬を先端に塗ってあるヘッジホッグ用の針です。

 どうやら彼女は、念の為に持ち歩いている小さな爆発物の中にこれと同じものを混ぜているようで、経皮吸収だけでも数時間は痺れて動けなくなるようですね。

 死亡率は皆無ですが、動きを封じる際に使用するには十分です。戦闘になった時、せめて命にだけは害が出ないように、尚且つ戦闘に入った時の優勢を得られるようにしておきたいので。」

 

「わかりました。」

 

 少しでも奈月の周りを傷つけないように……そのようなことを考えるようになるとは思いもよらなかったが、彼女の心を守るためならば、いくらでもそのための考えを出そう。

 必要であれば殺しも厭わないのが僕ではあるが、今回こちらに向かってくるのは彼女の敵対者ではなく、彼女を愛し、彼女の味方ではある存在のみ。

 それならば、せめて命だけは見逃してあげましょう。無傷でいられるかは別として。

 ……邪魔ではありますが、彼女の味方を殺すことだけはしたくないですしね。

 そのようなことをしたら、桜奈の癒えぬ傷となってしまう。

 

「……いつのまにその薬品用意したの?」

 

 そんなことを思っていると、桜奈が少しだけ困惑したように僕に話しかけてきた。

 自身が持ち歩いている薬品と同じものが用意されていたことに、少しばかり驚いたようだ。

 

「あなたの記憶を見た際、使えると思って用意していたんです。どのような成分が含まれているのかの説明を受けている記憶も見つけましたから、材料を揃えて自作してみました。

 元々は裏側の人間なので、闇ルートと呼ばれるものはあらかた熟知してますしね。

 ちなみに、効果はすでに立証済みです。僕が持ち合わせているスキルの一つに、有害な生き物を召喚する畜生道があるので、ネズミを召喚して作った薬品を使用してみました。

 1時間おきに様子を見に行ったところ、夜になってようやく少し動けるようになると言う結果でしたよ。

 ネズミは体が小さい分、長時間効果を浴びた可能性が高いので、人間に使用した場合、効果は数時間から半日くらいですかね。

 ああ、利用したネズミはちゃんと始末しておいたので、近隣の方の迷惑にはならないと思いますよ。」

 

「ネズミさんェ………」

 

 桜奈からネズミに対する同情を感じ取る。利用したのはドブネズミだったので、そこまで気にする必要はないように思えるが、生き物を好いている彼女からしたら、少しだけ思うところがあるようだ。

 ですが、人を利用することはしなかった分、褒められてもいい気もするのですけど……。

 

「……まぁ、作った薬品を実験しないで使うのはあれだし、試しておくのは当然か。

 ネズミさんには申し訳ないけど、何もしないよりはマシかな……。」

 

 とは言え、薬品の作成に関しては特にどうこう言うつもりはないようだ。

 それなら好都合。この薬品はかなり使えるので、いくらか作っておいてもいいかもしれませんね。

 まぁ、どこまで持ち込むことができるかはわかりませんが。

 

「準備はあらかた済みましたね。では、奈月は潜伏状態に移行してください。

 そこにソファーがありますから、使っていいですよ。」

 

「ん。わかった。」

 

 そんなことを考えながら、僕は桜奈に答えを見つけるための思考を始めるように告げる。

 それを聞いた桜奈は小さく頷いたあと、僕が教えたソファーに近寄って横になった。

 僕自身の体であるため、特に体の負担など考える必要はないのだが、やはり、桜奈を地べたで横にさせるのは少しばかり抵抗があったため、これだけは残していて正解だった。

 

「では、しばらくの間、眠っていてください、奈月。答えを見つけたら、目を覚ましてくださいね。」

 

「ん。……一応、黙認するつもりではあるけど、なるべくみんなは傷つけないでね。」

 

「ええ。時間稼ぎ中に戦闘に入ったとしても、大きなダメージは残さないようにします。」

 

 僕の言葉を聞いて、桜奈は少しだけ安心した様子を見せたあと、静かに目蓋を閉じた。

 程なくして聞こえてきた寝息に、彼女が僕の精神世界に潜伏したことを確認した僕は、ソファーを置いているステージに腰をかける。

 同時にその場で幻術を使用して、桜奈が潜伏している僕の体を奈月としての彼女のものに、そして、桜奈自身の体は僕自身のものに見える状態に移行した。

 

「さて……彼女が歩むべき道を選ぶまで、どれくらいの時間がかかりますかね……」

 

「それはわかりません。ですが、マフィアがどのような存在であるかは、骸様の記憶を通じて把握はできていると思うので、それなりに時間はかかるのではないかと。」

 

 千種の意見に同意する。桜奈は僕らの過去や、僕らの憎悪、怒りなどを自身の記憶と精神に刻んでいる。

 そのため、責任と僕らが持ち合わせていた憎悪の狭間に揺れ動き、考えをまとめるまでそれなりの時間を有してしまうだろう。

 真面目で責任感が強く、誰よりも優しい彼女だからこそ、何をすべきかまで考えるだろうから。

 

「……オレらと、一緒に来てくれたらいいれすね。」

 

「ええ。それが彼女の精神のためですからね。できることならば、僕らの手をとっていただきたいところです。」

 

 しかし、彼女のことだから、きっと悩んでしまうのだろう。

 それならば、彼女をこちら側へと寄せるための一手も用意したほうがいいかもしれない。

 

「……一か八か、いくつか交渉してみるとしましょうか。彼女の周りにいる、人間達に。」

 

「交渉……ですか?」

 

「いったい何をするつもりなんれすか?」

 

「そうですね……それに関しては今は内緒と言うことで。まぁ、成功率は間違いなく低いでしょうが、その分、成功した時のリターンはかなり大きくなりますよ。」

 

 この一手を作るのは、本当に運によるものとなる。

 桜奈の周りにいる人間が、この交渉に賛同してくれるかどうかは本当に低いために。

 しかし、こちら側には彼女との確かな思い出があり、それは、彼女の周りの誰よりも勝ったいい交渉材料となるはずだ。

 

「クフフフ……いつでも来ていいですよ、奈月を愛する騎士達(カヴァリエーレ)

 ここまでたどり着けた際は、僕が直々に相手をしてあげましょう。」

 

 

 




 小鳥遊 桜奈(沢田 奈月)
 骸の提案に乗り、彼と精神の入れ替え憑依を行った転生者。
 初めて完全な憑依をする側になったため、少しだけ戸惑いを抱きながらも、骸の精神世界にて潜伏状態に移行した。
 自分が話しているはずなのに、声は骸だし、目の前には自分自身がいるし……と一時的に脳がバグった。

 六道 骸
 答えをまとめようとしている桜奈のために、自身との精神の入れ替え憑依を提案した術士。
 リボーン達と戦闘することになっても、桜奈のために命だけは奪わないことを約束し、千種にも毒薬ではなく痺れ薬が塗られている針を手渡した。
 桜奈が自分を選ぶ確率を上げるために、何やら企んでいる様子がある。

 犬&千種
 目の前で自分達のリーダーとその想い人が精神の入れ替え憑依を行ったことに少しだけ脳がバグった少年達。
 奈月を迎えに来たボンゴレファミリー達と戦闘することになった場合、容赦なく力を振るうことを考えている。



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