最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
双天を宿す藍色の少年は、どれだけ彼女が色々抱えていたのかを告げ、並盛やマフィアから引き離すことが1番いいと言うが、それでは彼女が抱いていた確かな友情の先がなくなってしまうと考え、彼らに一つの提案を告げるのだった。
side MUKURO.
僕が見せた写真に言葉を失うアルコバレーノ達。自分達がどれだけ桜奈を追い詰めていたのかをようやく理解した4人に、強い呆れを抱きながら、僕は静かに言葉を紡ぐ。
「奈月は決して、君達の理想を体現するためだけの存在ではありません。確かな意思を持ち、確かな思いを抱いている女性なんですよ。
だと言うのに、君達はこの子に10代目と言うレッテルを押し付け、風紀委員の役員としての立場を足枷にして、誰よりも頼れる女性として扱ってきた。
僕がこの子の自我を目覚めさせるのにどれだけ時間がかかったかわかりますか?
全て、彼女が君達の理想を汲み取り、それに合わせた仮面を被ることによりそれらしくあり続けたことが原因なんですよ?」
問いかけるように。突きつけるように。これまでの彼女が抱え続けて決して明かそうとしなかったことをアルコバレーノ達に告げる。
本来ならば、桜奈自身が伝えることではあるが、これまでの傾向からして、彼女は彼らに自分の苦しみを明かしたりはしないだろう。
周りに迷惑をかけたくない、これまで通り我慢していればいいからと、我慢には慣れているし、重石にだけはなりたくないからと、相手を気遣う理由のままに。
「奈月は誰よりも優しい女性です。その人がそうであれと望むのであれば、それが笑顔に繋がるのであれば、どれだけ難易度が高くても、どれだけ苦手なことであっても、それをこなすように動くんです。
それが例え自身の自我にそぐわないものであっても絶対に理想を体現するんです。
自分の精神をすり減らしてでも他人のために動く……それが彼女が持ち合わせている悪癖なんですよ。」
それならば彼女の代わりに僕がそれを伝えよう。少しでも彼女が休まる環境を作るため……同時に目の前の桜奈を休ませなかった者達を咎めるために。
少しでも精神に何かしら響けば、僕の計画の成功率は上がるはずだ。彼女を守り、僕の復讐を果たすための一手になりうる要因を作り上げることができる。
「まるで感情を持たないロボットのようでしょう?内側には確かに感情はありましたが、どれだけ辛いと思っていたとしても、苦しいと思っていたとしても、疲れたと思っていたとしても、それを隠して周りの理想をずっと演じ続けていたのですから。」
彼女と共に過ごしたことにより、理解することになった彼女の特異性。
そのような存在がほしいと望むのであれば、自分がそのような存在になろうと考えて、それを見事に体現する。
全ては自分を見てもらうために。全ては自分を頼ってもらうために。全ては自分の存在をちゃんと世界に止めるために。
これは全部、妻を亡くした桜奈の父親の目に映る自分が自分自身ではなく、自分自身に重ねられた母親の姿であったことが要因となっている。
桜奈はただ、父親に自分を見てもらいたかった。そのためだけの下準備だった。
誰もが頼る自分自身……誰もが自分を見てくれるような状況を作り出せるようになれば、きっと父親も自分を見てくれるはずだと言う思いからの暴走だった。
しかし、どれだけ周りから頼られようとも、どれだけ周りが自分を見るようになっても、父親は彼女自身ではなく、彼女に重なった妻のことしか見ることがなかった。
どれだけやれば父親は自分を見てくれる?その疑問を解決するためだけに、行き過ぎた献身の果ての自己犠牲に走り、周りが自分から離れないようにと、何度も仮面を入れ替えて、繋ぎ止める鎖にしていた。
その行いは正解だった。彼女の父親以外の人間は、理想の人材を桜奈に見出し、その偶像に縋り続けた。
おかげで彼女の周りには、決して人が絶えることなく、全員が桜奈を見るようになった。
その内側では桜奈の精神が壊れつつあることなど知らないで、理想の桜奈を求め続けた。
その見返りとして自分達の物差しで測った行動を全ていいものだと思い込み、それを彼女に施した。
まさに、地獄の道が善意で舗装されていくばかりだったと言えるだろう。
もっと早くにそれに気づき、誰かが強く止めさえすれば、仮面を被らない彼女を深く愛していれば、このようなことにはならなかったのに。
だが、それができそうな人間に限って、彼女の手元から離れていった。遠くの方へと行ってしまった。
彼女の技術を真っ先に評価してしまうと言う悪手を取ってしまい、彼女の方から離れてしまった。
その結果、彼女の精神の摩耗は手遅れな程に進んでしまい、いつしか崩壊寸前のギリギリのところまで行ってしまった。
そんな彼女が元の世界に止まることができたのは、肉親である父親がまだいると言う事実だった。
いつか自分に重ねた母親ではなく、自分自身を見てくれるはずだと信じて信じて信じ続けて、それを楔に、要にして生きていた。
だと言うのに父親は、彼女を置いて命を絶った。最期の最期に娘の幸せを望む言葉を残して。
自分こそがその幸せの要であったのだと気づくことなく、亡き妻の後を追ったのだ。
確かに、桜奈の父親のことを思えば、その道をいつ歩いてもおかしくなかったと言えるだろう。
ただでさえ命日と言うものは、記憶に残りやすいものだと言うのに、運悪くそれが桜奈の誕生日に重なってしまったのだから。
一緒に娘の10歳を祝おう……そう笑い合っていたと言うのに、その約束の日に死んでしまったとなると、その絶望は相当なものはずだ。
特に、桜奈の父親は、桜奈の母親を深く愛していた。だからこそ、その忘れ形見である桜奈を育てるために、沢山の仕事を重ね、金銭を稼ぎ、彼女を大学の卒業に至るまで尽力した。
だが、年を重ねる度に、桜奈は母親に良く似た美しい女性へと成長してしまい、その度に彼女を妻と重ねてしまった。
もし、桜奈が母親に良く似た美しい女性ではなく、父親と母親の面影もハッキリと感じ取れるような女性に成長していれば、少しは未来が変わったのかもしれないが……。
─────……そう考えると、此度の転生により、父方の血縁の面影が色濃く出た女性として生まれ落ちたのは、何らかの巡り合わせかもしれませんね。
母親似に生まれたトラウマが、転生の際に何かしらの作用を引き起こしたのでしょうか。
そんなIFを考えながらも、改めて思い返した桜奈の生い立ちに僕は表情を曇らせる。
どうしてこの子も、僕達のように普通の子供として生まれることができなかったんだと、与えられた運命に怒りを抱く。
全てが遅過ぎる。後手に回り過ぎている。そのせいで彼女も苦しんで、最後は自ら命を絶ったのだから。
─────……これ以上彼女に足枷が嵌められないように、この場から彼女を連れ出さなくては、彼女は再び苦しんでしまう。そんなこと、見過ごせるはずがない……!!
もう二度と、他人に利用され、摩耗するだけの人生など歩ませるものか。
これまで自分のためではなく、他人のためだけに生きてきたのだから、今世では自分のためだけに生きてもいいはずだ。
そのためには拘束具になりうるマフィアや並盛から彼女を離す必要がある。
それがある限り、彼女は自分のためだけに生きられない。
「だからこそ、僕は彼女を並盛から引き離したいんですよ。並盛にいる限り、君達から向けられる理想像を、彼女は常に被ってしまう。
例え君達がそれをやめたとしても、並盛に身を置く限り、彼女は自身に与えられてしまった立場を全うするでしょうからね。
正直言って、僕は奈月に君達を近づけたくもないんですよ。この場で存在を抹消してしまいたい程に。
ですが、それは彼女の本意ではない。何度も言ってますが、彼女はとても優しい女性なんです。
そのため、一度懐に入れた人間は、何よりも大切にしようとしますし、その対象の幸せを願い、その対象の望みを叶えようとしてしまうんです。
だから、命は奪うつもりはありません。それが彼女の望みの一つですからね。」
淡々とした口調で、桜奈の望みの一つである友人を傷つけたくない、傷つけてほしくないと言う望みを伝える。
まぁ、これまで桜奈に理想を被せ、その役割を与え続けた結果、桜奈が疲弊していた現実を聞かされたことにより、精神的にダメージを受けているような気がしなくもないが、これは今まで彼女の心を休ませることをしてこなかったアルコバレーノ達に対する罰だ。
あとで桜奈に説明しておこう。それでも彼女が辛いと思ったのであれば、誠意を以て謝罪しよう。
「……本題に入りましょうか。先程までは君達の意見の話だったので、次は僕達の意見の話です。
さっきも反対する……としか言ってませんでしたからね。なので、こちら側の意見を聞いてもらいます。」
そんなことを思いながら、今度はこちら側の意見を聞いてもらうことを告げ、僕は静かにその場から離れる。
向かった先は桜奈の精神が宿る僕の肉体の元。未だに起きる様子のない彼女が答えを見つけやすくするために、少しの細工を施す。
「僕達の意見は、奈月をマフィアや風紀委員という足枷を外したいと言うものです。理想像を押し付けてくるような者達からの解放とでも言いましょうか。
誰かのための奈月ではなく、奈月自身のための奈月として、自由気ままに生活してほしいんですよ。
そのためならば、僕達は彼女のどんなわがままも望みも叶えるつもりでいます。
まぁ、無償でする程僕達は優しくないので、僕達の望みも彼女に伝えていくつもりですけどね。」
「お前達の望みだと?」
「ええ。」
その間に口にしたこちら側の意見。その中に含まれていた僕達の望みと言う言葉にアルコバレーノが反応を示す。
僕はすぐにその問いかけに肯定の言葉を返し、その内容を口にする。
「奈月が甘えたいと言うのであれば、彼女が満足するまで甘やかします。奈月が遠くへ逃げたいと言うのであれば、どれだけ邪魔が立ちはだかろうとも尽くを退けます。
その代わり奈月には僕達の望みを叶えてもらいます。とは言え難しい望みを強いるつもりはありません。
僕達が行きたいと思ったところについてきてもらったり、僕達がやりたいことに付き合ってもらったりとそんなありふれたものですよ。
そうですね……一例をあげるとしたら、奈月を甘やかす代わりに、僕のことも甘やかしてほしい……とかですかね。
もしくは、僕と2人でおでかけしてくだされば嬉しいです。何気ない日常を送る友人のように、一緒に過ごしたいんですよ。」
「オレは奈月が嫌な奴は全部ぶっ飛ばしてやっから、奈月が作るメシをいっぱい食ってみたいびょん。
あとは、当たり前の学生みてーにふざけ合って、そんれ時には遊びまくって、色んな思い出を作りてーな。」
「……オレは、奈月が負担に思ってることを軽くするし、嫌なことがあれば、それを排除する。くっつきたいって言うならくっつかせてあげたりもするつもり。
その代わり、奈月と一緒に図書館とか、買い物できる場所に行きたい。普通の人間みたいに、沢山の当たり前の日常を送りたいんだ。」
かつて僕達が得ることがなかった、当たり前の日常生活……それをよく知ってる桜奈には、それを沢山教えてほしい。
総じて言うならばこんなところだろう。当たり前を生きることができなかった僕達にとって、何よりも大きな願望だ。
もちろん、マフィアの殲滅も忘れていないが、そんなものは裏で行ってしまえばいい。
桜奈が持ち合わせている人脈は、使いようによっては同士討ちをさせることも可能なものだった。
それならば、マフィアはマフィア同士で勝手に潰し合い、そのまま消えてしまえばいい。
僕達はただ、桜奈と過ごす日常生活を失いたくないのである。そのためならば、邪魔になるものを全て排除しよう。
「……当たり前の日常か。」
「3人揃ってそれに執着してるみたいだけど、何で?」
「確かに……。なんでお前らは、そんなに日常が過ごしたいんだ?これまで過ごすことはなかったのか?」
そんなことを思っていると、獄寺隼人、雲雀恭弥、山本武の3人が、口々に日常を望む理由を問うてきた。
その言葉に僕達は一度だけ顔を見合わせて、静かに一つ頷く。
「そうですね。日常に執着する理由を少しだけ教えましょうか。僕達の過去の話になるので、少々長くなりますが……」
そして、僕達が送った最悪としか言いようのない幼少期の話を、簡易化しながら説明した。
幼少期の僕らの劣悪な環境……それにより発生した周りからの差別……自分達にとっては命を脅かされるのが当たり前の日常であり、普通の子供のように遊ぶことなど全くできなかったことを。
「……マジかよ………。」
「………過去の話って言ったから、最初は少しだけくだらないと思ったけど、訂正させてもらうよ。」
「………そんな生活を送る奴って……本当にいたんだな……。物語の中だけかと思ったぜ……。」
僕達の過去を断片的に聞いた獄寺隼人と山本武は、顔を青くして言葉を紡ぐ。
雲雀恭弥は僕達から目を逸らし、こちら側の話が真実であると理解しては、話を聞く前に考えたことを訂正すると口にする。
意外と話を聞いてくれるんですね、彼ら。まぁ、桜奈が知ってることよりもずっと軽いものではありますが、ぬくぬくとした環境で過ごしていた彼らにとっては壮絶な話ですかね。
獄寺隼人は一応マフィアですが、エストラーネオファミリーのことは知らないでしょうし、反応としては当然か。
「……やっぱりエストラーネオファミリーの生き残りだったんだな。」
意外な展開に少しだけ呆気に取られた中、アルコバレーノから静かに問いかけられる。
エストラーネオファミリーと言う言葉に、犬と千種が身構えたが、アルコバレーノからは僕達を排除しようとしていた連中のような感情は感じ取れなかった。
「……先程の話だけでよくわかりましたね。ええ、正解です。君達マフィアが憑依弾を禁弾として指定した上、ヒトデナシのレッテルを押し付けてきたことにより、実験のためのモルモットとして扱われ、虐待もされてきただけで無実だったと言うのに、そのファミリーの人間だからと言う浅はかな理由だけで害虫のように容赦なく撃ち殺してきた子供の生き残りですよ。」
吐き捨てるようにそう告げれば、アルコバレーノは俯いた。表情が読み取れなくなってしまったため、その感情は把握できないが、何か思うところが存在してくれば、これ以上色々言うつもりはない。
「エストラーネオファミリー………?」
不意に、獄寺隼人が聞き馴染みのないファミリーの名前に疑問の声を出す。
その様子から、やはり彼はかつての悪意の塊を知らないのだと把握できた。
「追放されたマフィアの一つですよ。あまりにも忌々しい組織なので、事細かに話そうと思い出すと憎悪と吐き気に苛まれますし、詳しく話すつもりはありませんが、簡易的に言うと、自分達の栄誉のためだけに命を命とすら思うことなく、ゴミのように捨てていく者達です。
僕達はそれの被害者と言えるでしょうね。ただ、追放されて消されたマフィアではあるので、マフィアの中でも暖かな環境にいた君が知らないのも無理はありません。
あちらの世界の深淵の方に行くと、普通に行われてるんですよ。人体実験がね。
それにより強力な力を得ることができても、その過程は死んだほうがマシだと叫びたくなる程に劣悪な地獄の道のりです。
本来ならば人間が持ち得ない能力を無理矢理会得させたり、限界を超えてもなお実験を続けたり……果てにはその過程で命を落としたとしても、我々の栄光のために使われて死んだのだから栄誉なことだと思えと吐き捨てられる。
命を奪われたにも関わらず、それを栄誉だと思え……などと言われ続けた僕らに、当たり前の暖かい日常があったと思いますか?」
少しの苛立ちと憎悪を乗せて、僕達がかつて身を置かざるを得なかった悪意の掃き溜めの話をすれば、獄寺隼人は目を見開く。
「……悪い……嫌な話をさせちまったな……。」
しかし、すぐにこちらの感情を読み取ったのか、謝罪の言葉を口にした。
かつての彼だったなら、きっともっと違う反応をしていたのだろう。だが、桜奈と過ごすことにより、多少はしっかりするようになったのか、それとも常識を学べたのか、自分本意の意見ばかりを口にすることはなくなった。
桜奈は、どこでも様々な影響をもたらしているようですね。それにより変わった人間や、成長した人間、いい方向に向かわせた人間はどれ程いるのやら……。
「嫌なことや疎ましいこと、忌々しいことと呼ばれるものは、一生消えることがありません。
それはハッキリと言えます。なので、僕達もこれに関しては永久的に恨むでしょうね。
ですが、今はそれを軽く割り切ることはできています。こうして昔話として話すことができたのが証拠です。
だから、嫌な話をさせたと言うその謝罪は素直に受け取らせていただきます。
全てのマフィアがそうではないことは、ある程度理解しているので。」
桜奈の影響力に、少しだけ苦笑いをこぼしそうになりながらも、僕は獄寺隼人の謝罪を受け取る。
それにより彼は少しだけ安堵したのか、一つ深く息を吐き、真っ直ぐと僕を見据えてきた。
彼の瞳からは、真剣であることが感じ取れた。こちらの意見をしっかり聞こうとしているのだろう。
「このような経験があるからこそ、僕達は日常に執着しているんです。そして、それをもたらしてくれたのが、他でもない奈月だったんです。
今や彼女は僕達の日常に必要不可欠な存在なんですよ。本当に、感謝してもしきれない程に、対等と当たり前を与えてくれた彼女には恩が沢山あるんです。
だからこそ、様々な役割を押し付けられて、身動きが取れなくなりつつある彼女を助けてあげたいんです。
暗闇の中に閉じ込められていた僕達の手を引いて、息がしやすい方へ、温かい光の方へと連れ出してくれた彼女への恩返しとして。」
話を聞いてくれるなら、それはそれで無駄に力を消費しなくて助かると思いながら、僕は桜奈を並盛やマフィアから引き離したいことを伝える。
最終的な判断は桜奈自身に任せるつもりではあるが、この交渉が上手く行けば、彼女を休ませる環境は幅広くなるはずだ。
「本当のところを言うと、奈月を僕達に渡して、二度と彼女に近寄らないでくださいとハッキリ言いたいんですよ?
君達の側にいては、彼女が心休まる時間がなくなってしまいますから。
だって4人のうち半数は、彼女をボスにしようとしているマフィアで、1人は奈月と共にいるためだけに風紀委員会に入れたかと思えば、つい最近までしょっちゅう手合わせに付き合わせるような男じゃないですか。
そのような存在が側にいて、何故彼女が疲弊しないと思ったのか疑問がつきません。
この中では山本武が1番マシなのでは?と言いたくなりますよ。まぁ、君は君で彼女に頼りすぎるところがあるようですが……。」
少しだけ責めるように言葉を紡げば、目の前の4人は気まずそうに視線を逸らす。
先程までは、度々僕に突っかかっていたはずだが、桜奈の疲弊を説明したことにより、こちらが言ってる言葉にも一理あることを把握したのか。
なんにせよ、これなら上手くことを進めることはできそうだ。
「さっさと奈月を置いてこの場からいなくなってください……と、正直言って告げたいところですが、僕も君達の奈月に対する好意を本物であると認めています。
そこで、一つだけ提案したいことがあるんですよ。奈月の幸せを望んでいるのであれば、彼女の側にいることを望んでいるのであれば、悪い話ではないと思うんです。」
確かな疑問を浮かべながら、僕の方を見るアルコバレーノ達。
もし、この提案を聞き入れてもらえるならば、こちらとしてもできる範囲が広がるので、聞き入れてもらいたいところですが……。
「ねぇ、皆さん。僕達と一緒に来ませんか?そして、奈月が望むこと、行きたいところ、その全てに付き合ってあげるんです。
組織に身を置き、頂点に立ち、我慢ばかりさせるような生活などさせることなく、奈月のやりたいことを全て叶えるんですよ。
彼女はこれまで何度も多くの人間を助けてきました。これまで何度も多くの人間を救ってきました。これまで何度も多くの人間の幸せを願ってきました。」
そんなことを考えながら、僕は自分の提案を口にする。
桜奈を深く愛し、幸せを願っているのであれば、こちらの口車に乗ってくる可能性は高いと判断して。
まぁ、口車とは言え、これは全て僕が望んでいることであり、彼女が望んでいることでもある。
彼女の大切すらも全て取り込んで、彼女の幸せのために導入してしまえばいい。
「それならば、これからは他人のためではなく、自分自身のために生きても問題はないと思うんですよ。
だから、奈月のための幸せを僕達で作り上げてあげるんです。もちろん、それを害するものは全て排除するつもりなので、それには協力してもらいますが、彼女の笑顔と幸せのためならば、軽いものでしょう?」
骸in桜奈
桜奈の幸せを願い続ける術士。
そのため、彼女の幸せのためならば、利用できるものを全て導入することも辞さないため、リボーン達に自分と共に来ないかと問いかける。
この話に彼らが乗ってきた場合、桜奈を連れ戻そうとしたり、始末しようとした人間の排除を彼らにもさせるつもりでいる。
リボーン
骸達がエストラーネオファミリーの生き残りであることを、わずかな情報から導き出した。
憑依弾を利用した悪辣な行いは許すつもりはないし、禁弾にするのも妥当であると考えてはいるが、それにより発生した弊害による骸達の苦しみまでは知らなかったこともあり、目を逸らすことしかできなかった。
獄寺 隼人
骸達の過去を聞き、マフィアの世界には自分でも知らない劣悪な環境が存在していたことにかなり動揺した少年。
日常に執着する理由を知り、自分がどれだけ恵まれていたのかを思い知った。
山本 武
裏の世界のことはハッキリとわかってるわけじゃないが、自分の過去を話した骸の様子から、劣悪な環境下にいたことは把握できたため言葉を失う。
雲雀 恭弥
奈月に関わったことにより、かなりの影響を受けていた風紀委員長。
自分が望んだことにより、奈月がその負担を抱えてまで相手してくれたことを突きつけられ、言葉を失ってしまった。
骸達が過去の話をする際、くだらないと少しだけ思ったが、出された事実があまりにも重いものだったため、くだらないと言う考えを訂正した。
犬&千種
まさか、骸がアルコバレーノ達を自分達側に引き込もうとする言動をするとは思わず、かなり驚いていた2人。
しかし、奈月のことを考えれば、彼女が大切にしているものを自分達側に引き込むことは彼女の負担の軽減や、彼女の望みを叶える幅の拡張に繋がるため、異議を唱えるつもりはない。