最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 一時的に桜の領域となった藍色の精神世界……そこに、1人の人影が姿を現す。
 それは、あらかじめ藍色が送り込んでいた、力の断片から生まれた幼い頃の藍色だった。
 彼は桜に問いかける。自分の答えは見つかったかと。
 その問いかけに、桜が返した答えは………

 side SAKUNA.→side change MUKURO.


桜の決意

 骸の精神世界に入り、どれくらいの時間思案したのだろう。

 彼の精神世界の主導権が、わたしに一時的に渡った結果、辺りに咲き誇ってしまった桜の花の木に登ったわたしは、人が1人寝転べてしまう程に太い木の枝に寝転んで、広がる桜を見つめる。

 そよそよと吹き抜ける穏やかな風は、沢山の桜の香りを運んでいた。ほのかな甘さと優しさを感じるそれは、わたしのことを落ち着かせる。

 

「……常識的に考えれば、わたしはマフィアの世界にいるべきじゃないんだろうね。」

 

 骸の手により確立された、わたしの自我。それが芽生えたあの日から、わたしは様々なことを思うようになった。

 

 友達と一緒に遊びたい。

 沢山の思い出を作りたい。

しっかり者の私じゃなくて、寂しがり屋で甘えたがり屋なわたしを受け入れてほしい。

 頼られるばかりは嫌だ。

 わたしだって頼りたい。

 わたしだって甘えたい。

 わたしばかりに押し付けないで。

 わたしじゃなくてもできることは、そっちがしたらいいじゃない。

 わたしだってワガママを言いたい。

 もっともっと甘やかして。

 趣味の時間もいっぱいちょうだい。

 

 本当に、沢山のやりたいことやほしいものを思い浮かべるようになった。骸からしたら、これはいい傾向なんだろう。

 わたしは自我を殺し過ぎた。望みがあっても口にしなかった。彼はそれを、もうしなくていいよと言ってくれた。

 その言葉はとても嬉しかった。息をし易くしてくれた。今がきっと、わたしにとっての最善で、わたしが選ぶべき道なのだろう。

 でも、その沢山の望みの中に混ぜるように、わたしはある望みと願いを思い浮かべていた。

 

 それは、“もう二度と、骸達のようにマフィアに苦しめられる人を生み出したくない。少しでも多く、被害を受けた人や被害を受けそうになった人を助けたい”と言うものだった。

 

「……最後の最後にこれが出てくる時点で、わたしの思考、終わってるな。」

 

 離れた方がいいことを理解していながら、踏み入れるための理由を見つけてしまっている。

 折角骸が自分のためだけに生きていいって言ってくれているのに、誰かのために動こうとする自分がいることに、思わず溜め息を吐いてしまった。

 本当、わたしはどこまでお人好しなんだろう。多くの人を助けることができるヒーローなんかじゃないのにさ。

 

「……どこにもいないと思ったら……なんてところにいるんですか桜奈。」

 

 自分の馬鹿さ加減に頭を抱えたくなる中、不意に下から声をかけられる。

 視線を声の方へと向けてみれば、そこには骸が立っており、わたしの方へと目を向けてきている。

 

「……骸?」

 

「はい。あなたの六道骸ですよ。」

 

 この世界に足を踏み入れることができるのは、今の所わたしと骸のみ。

 だからこそ、疑問系の骸呼びはおかしいのだが、戸惑いも含めて思わず問いかけてしまった。

 わたしの問いかけに、骸はすぐに頷いた。なんか妙な追加言葉と一緒に。

 彼の姿は、一度見せてもらった過去に映った、幼い頃のそれだった。

 

「ええ……?何で子骸になってんの……?」

 

 まさかの事態に困惑しながら木の枝に座り込んだわたしは、下にいる骸に声をかける。

 すると骸は何度か瞬きをしたあと、口元に小さく笑みを浮かべた。

 

「大半は桜奈の体の方へと憑依している状態ですが、あなたのことですから、きっとまた迷っているだろうなと思いまして。

 そこで、少しだけこちら側に僕の精神のカケラを移動させておいたんです。

 知ってますか?憑依は精神を分裂させることにより、複数の人間を操ることも可能なんですよ。

 まぁ、これに関しては六道を巡った記憶を持つ僕だからこそ、使える方法のような気もしますがね。」

 

 骸の見解を聞き、その可能性は確かにありそうだと思いながら、再び彼の方へと目を向ける。

 彼の格好は、ハッキリ言って見窄らしい以外の何物でもなく、眼帯に覆われた右目は、どことなく痛々しく見えた。

 何度か瞬きを繰り返したわたしは、現在自身の手元にある骸の精神世界の主導権を行使して、彼の服装をシンプルなシャツとチェックの上着、背丈に合わせたズボンと足に合わせたスニーカーへと変化させ、右目の眼帯は取り除き、黄昏の瞳を表に出す。

 

「!」

 

「うん。こっちの方が何倍も似合うね。」

 

「桜奈……。ありがとうございます、僕の服を変えてくれて。クフフフ……随分とあなたも精神世界に慣れましたね。

 ここまで僕の精神世界に適応し、支配権を行使できるようになるとは……。

 普段の僕なら、他人に自分の体を好き勝手されることを嫌うのですが、桜奈になら好き勝手されてもいいかもしれません。」

 

「キミが色々教えてくれたおかげだよ。」

 

 どこか嬉しげに笑う骸に小さく笑い返しながら、わたしは木の枝から地面に飛び降りる。

 わたしの行動に驚いたのか、骸はギョッとした表情を見せたあとわたしの方へと駆け寄ろうとした。

 それより早く、水面に落ちている沢山の桜の花びらを操り、纏まった花びらによる階段を作り上げ、ゆっくりと地面に降りていけば、骸はホッとしたような表情を見せる。

 

「し……心臓に悪い降り方をしないでくださいよ……。ビックリしたじゃないですか……」

 

「それに関してはごめん。手っ取り早いと思って。」

 

「手っ取り早いって……確かにそうかもしれませんけど……」

 

 “7度目の死を迎えるかと思ったじゃないですか”……と冷や汗を流す骸に、わたしは思わず苦笑いをこぼす。

 そこまでヤバかったのか、今の降り方……。今度からはしないようにしよう……。

 

「全く……二度とこんなことしないでください。もし、あのような行動を繰り返して僕の寿命が縮まって死んだら、化けて出てあなたも道連れにしますからね?」

 

「わー……道連れは勘弁してほしいなー……」

 

 むっすーと拗ねた表情をしながら忠告してくる骸に、それだけは勘弁してほしいと伝えながら、もうしないよと約束する。

 それによりようやく安心したのか、骸は小さく息をついたのち、わたしの方へと視線を戻した。

 

「その様子だと、まだ答えを出しきれていないようですね。」

 

 穏やかな声音で紡がれた言葉に、わたしは小さく頷き返す。

 すると骸は小さく笑い、わたしの手を引いて歩き始めた。彼が行こうとしている場所には、いつも精神世界で言葉を交わする時に座っている桜の木の下にあるベンチがあり、真っ直ぐとそこに向かっている。

 骸に手を引かれるままに、ベンチの方まで歩いたわたしは、そのまま流れるようにベンチへと座った。

 わたしの手を引いていた骸は、わたしがベンチに座ったことを確認したのち、わたしの隣……ではなく、わたしの膝の上に腰を下ろしてきた。

 

「……なんでお膝抱っこ?」

 

「ちょうど体が小さくなってますし、普段は僕が桜奈を膝の上に座らせているので、今回は逆を試してみました。」

 

「なるほどね。……今の骸って何歳くらいの見た目なの?」

 

「これですか?確か、5年くらい前の姿なので10歳くらいでしょうか。」

 

「……わたしの親戚でも10歳の子はもっと重たかったんだけど、軽過ぎない?」

 

「必要最低限の食事しか与えられていなかったので。」

 

「エストラーネオファミリー死すべし慈悲はない。」

 

「安心してください。もうすでに死んでます。」

 

 軽く話を脱線させながら、わたしは膝の上にいる小さな骸を優しく抱きしめる。

 触れているところからハッキリとわかるほどに、小さな彼の体は痩せ細っていた。

 それによりわたしは、余計に願いを募らせた。こんな風に苦しめられてきた子供達が、今もなおいるかもしれないと言う可能性と、これから先で苦しめられるかもしれない子供がいるかもしれないと言う可能性を、少しでも取り除きたいと。

 

「……桜奈。あなたの考えを教えてください。いったいあなたは何に悩んでいるのかを。

 読み取ることは容易いですが、それでは意味がないでしょう?だから、あなた自身の言葉で教えてください。

 ここには僕しかいません。弱音でもいい。迷いでもいい。あなたの思いを吐き出してください。」

 

 穏やかな声音で、わたしにそう聞いてくる骸。

 そんな彼を見つめたわたしは、静かに自分の思いを口にした。

 

「……わたしね。骸のおかげで息もし易くなったし、自分のやりたいことを沢山思い浮かべることもできるようになったんだよ。

 思い浮かべたら切りがないくらい、やりたいことが沢山出てくるんだ。」

 

 思案する間、自身の脳裏に過った沢山の願いを口にする。あれがしたい、これがしたい、こんなものがほしい……紡げば紡ぐ程出てくる望みは、途切れることがなかった。

 わたしの話を聞いている骸は、ただ静かに相槌を打つ。特に自分の意見を口にしたりせず、話だけを聞いてくれる。

 そんな彼に、わたしは再び口を開く。思案の先に出てきた、ある願いを。

 

「でもね、最後に出てきたのは、明らかに自分のための願望じゃなかった……」

 

「どのような願望ですか?」

 

「…… もう二度と、骸達のようにマフィアに苦しめられる人を生み出したくない。少しでも多く、被害を受けた人や被害を受けそうになった人を助けたい。それが、最後に出てきたわたしの願い。」

 

 素直に明かした願望……それを聞いた骸は、わたしの方に視線を向けては、困ったように笑って見せた。

 その表情からは、やっぱりそこに行き着いてしまうのかと、少しだけ寂しげな感情が見え隠れしていた。

 

「……バカだよね、本当。お人好しにも程がある。折角自分のために生きていいって言ってくれたのに、マフィアから引き離そうとしてくれたのに、マフィアの道を歩むことを意味するような願望が出てくるんだから。

 骸が言ってることの方が正しいのに……明らかにわたしの判断は間違っているのに……苦しい世界に戻ることを考えちゃう。

 そんなことをしたところで、全てを助けることができるはずがないのに、辛い道にしかならないはずなのに、摩耗する道でしかないのに……。

 わたしは物語のヒーローじゃない。ただ少しだけ力と器用さがあるだけの人間だってわかってるのに……行き着く道の一つに、マフィアを入れてしまってるんだ……。」

 

 自分のことを貶す言葉を口にしながら、わたしはその場で涙を流す。

 折角もうそんなことはしなくていい、責任を背負う必要はない、逃げたければ、足を止めたければ、その思いに従っていいと言ってくれる人がいるのに、苦しくない道を教えてくれている人がいるのに、正しい道を教えてくれた人がいるのに、わたしは、自分より人を優先する答えを必ず思い浮かべてしまう。

 その道が苦しいことは、小鳥遊桜奈として生きてきた時に、痛い程にわかっているはずなのに……!!

 

 ボロボロとこぼれ落ちる涙と共に、自分の思いを吐き出す。

 流れ出る涙は、自分のバカさ加減を嘆くものなのか、それとも……折角向けてくれた優しさを、助けようとしてくれた手を無碍にするような願いを抱いてしまった罪悪感によるものか……今のわたしには、その答えを出すことができなかった………。

 

 

 

 …………………

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 …………………

 

 

 side change MUKURO.

 

 

 

 背後から聞こえる嗚咽に耳を傾けながら、僕は口元に笑みを浮かべる。

 どうしようもない寂しさと、どこまでも優しい愛しい人が苦しんでいることに対する辛さ……その両方が胸元を渦巻いていた。

 桜奈から感じ取れるのは、僕に対する罪悪感。自分のためを想い、手を伸ばしてくれた者のそれを、振り払うような願望を抱いてしまった自身に対する蔑みも含まれている。

 

 ─────……本当に……あなたは他人ばかりを優先にした感情を持ち合わせていますね。

 辛いと理解し、苦しい道だと身を以て知っていると言うのに、自らその苦しみに飛び込むなんて、愚か以外の何者でもありませんよ。

 

 しかし、それが彼女を彼女たらしめる優しさであることも、僕はすでに理解していた。

 確かに彼女は、自分の存在意義を見つけるために、多くの人を助けてきた。

 だが、そこに打算や下心など一つも混ざっておらず、純粋な心から本気で助けたいと思っていたからこそ、そのような行動に移すことができた。

 結果、それがこれまで渇愛してきた彼女の心を満たすものとなってしまい、後戻りができなくなる程に、その道へと歩みを進ませてしまった。

 次第にそれは純粋な心からの助けたいと言う願いから、それが自身の存在意義という義務的なものへと変化してしまい、結果、彼女は精神をすり減らしてしまった。

 だけど彼女はそれに気づくことができぬまま、運命の時を迎えてしまった。

 

 本当は、誰かがそれに気づいてあげなくてはならなかったのに、誰かが行き過ぎだと止めてあげなくてはならなかったのに、誰もそれを止めなかった。

 きっと、彼女に助けられた者達は、行き過ぎた献身を見て見ぬ振りをして、そのまま利用し続けたのだろう。

 運悪く彼女は器量が良かった。運悪く彼女は容量がよかった。運悪く彼女は、努力をすれば全て身につけることができてしまう才能に溢れていた。

 そのような便利な人間がいて、誰が止めようとするのだろうか。むしろ止められるわけには行かないと考え、そのまま走り続けさせるだろう。

 仮に、彼女を止めよう思ったことがあったとしても、自身の力に自信がなければ、それを見て見ぬ振りをして、縋る道しか選ばない。

 行き過ぎているのはわかるけど、仕事を増やすのは嫌だ……そう考えてもおかしくない。

 彼女が勤めていた会社は、無能と三流の集まりだったこともあり、余計にそうなっていたのだろう。

 彼女の優しさと献身、純粋な心を穢し、無造作に踏み躙ってきた人間達には、本当に怒りしか湧いてこない。

 

「……本当に、あなたはバカで愚かな女性ですね。呆れてものも言えません。」

 

 彼女を利用してきた人間達と、散々利用されて苦しめられてきたにも関わらず、同じ過ちを繰り返そうとしている桜奈に対する苛立ちを乗せて、吐き捨てるように言葉を紡ぐ。

 僕の言葉を聞いたことにより、怒られた幼子のように体を強張らせ、僕を抱きしめる腕に力が入ったが、気づかなかったフリをして、再び僕は口を開く。

 

「自身が持ち合わせていた献身を、散々利用されて苦しめられていたと言うのに、再び誰かのためを想い、自身の自由を蹴り捨てて、誰かのための願望を抱くなど……本当に……救いようがないお人好しですね。」

 

 僕を抱きしめていた腕から力が抜ける。それを確認した僕は、桜奈の膝の上から下に降り、彼女と向き合うように体を反転させる。

 口から出るのは罵詈雑言……俯き泣いている彼女の愚かさを責めるようなものばかり。

 しかし、確かな苛立ちは存在しているが、僕の心は不思議と穏やかで、それを示すかのように口元は緩やかに弧を描く。

 予測していた通りの願い……彼女の優しさを考えれば、彼女のその願望は、出てきて当然のものだった。

 

「後悔しかありませんよ。向き合うと言ってくれたあなたに、僕の記憶を見せるのは正しいものだと思っていましたが、どうやら間違いだったようです。

 あの記憶を見せていなければ、あなたにそのような願望を抱かせてしまうことはなかったかもしれません。」

 

 だとしたら、それに気づいていながらもなお、その優しさに縋った僕も……

 

「……本当に、バカで愚か者ですね。あなたも、僕も……」

 

 愚かと言うに相応しい。

 

 ─────……マフィアから離れさせるため……などと言う建前で、自身の記憶と苦しみを教え、僕を知って、受け入れてほしいと……そう望んでしまった時点で、彼女を僕の方に引き込むなんて、夢のまた夢だったのかもしれません。

 

 誰かのために力をつけて、誰かのために身を削り、誰かの助けとなることを選ぶ彼女に対し、とんだ悪手に出てしまったものだと、僕は自身を嘲笑する。

 あのまま桜奈を甘やかすことを考えていれば、こんなことにはならなかっただろう。

 引き離したいと思っていたのに、自分の手でその道へと歩む標を作り出してしまうなど、なんとも皮肉な結末だ。

 

「……ねぇ、桜奈。僕は言いましたよね。確かな自我を持ち、選んだ道のりであるならば、僕は引き止めたりはしないと。

 もちろん、本心としてはマフィアになることを反対します。その道はあまりにもあなたに荷が重い。

 ですが、本心からの望みがあるなら、本心からの答えがあるなら、僕はそれを尊重します。

 ……答えは出ましたか?もし、出たと言うのであれば、本気で望む答えが出たと言うのであれば、僕に教えてください。あなたが出した答えを。」

 

 僕の問いかけに、桜奈は静かに顔を上げる。鮮やかな琥珀色の瞳は、彼女が流した涙により濡れて、溶かしたハチミツのような輝きを放っていた。

 その輝きには迷いもあるが、それでもなお、自身のやりたいことを見つけ出した彼女は、自身の答えを口にする。

 

「……やっぱりわたし……自分を優先にして考えることができないみたい。沢山やりたいことはあるのに、沢山欲しいものがあるのに、どうしても、誰かを助けたいって気持ちが……どこまでも大きいみたいだ。

 だから……わたし、やっぱりマフィアになるよ。骸達のように、苦しめられる人が少しでも安心して過ごせるように、息がしやすい世界で過ごせるように……。

 こんな願望……叶えられるはずがないけど、頑張れるだけ頑張ってみたい。

 ……ねぇ、骸。変なことを言うけど、笑わないでね………。」

 

「……笑いませんよ。あなたが本気で望んでいるなら。」

 

 桜奈が僕によく使ってくれる言葉と同じものを口にして、僕は彼女の答えに耳を傾ける。

 

「……マフィアを取り締まるマフィア……奪うためのマフィアじゃなくて、守るためのマフィアを……わたしは、目指してみるよ。

 どこまでその通りに歩いて行けるかわからない……叶うかもわからないし、挫折だってするかもしれないけど……それでも……やれることはやりたいんだ。

 もう二度と、キミ達のように暗い思いを抱えないと生きていけないような人達を生み出さないようにするためにも。

 全てが叶うとは思わない。むしろ、叶わないことの方が多いだろうけど……」

 

 “少しだけ、頑張ってみてもいいかな……?”

 そう問いかけてくる桜奈に、僕は静かに笑みを返す。

 

「……本当に……どこまでもお人好しですね、あなたは。」

 

 そして、呆れを混ぜた穏やかな声音で、お人好しだと吐き捨てた。

 

 

 

 

 




 沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
 本当は骸の意見の方が正しいと思っていても、骸達のように、マフィアに苦しめられてきた人達を少しでも多く助けたいと言う一心で、マフィアを取り締まるマフィアになると言う答えを出したボンゴレ10代目。
 強い罪悪感や、自分のバカさ加減に対する嘆きを抱きながらも、逃げようと言ってくれた骸に、少しだけ頑張りたいと返した。

 六道 骸
 薄々、桜奈が自身の誘いを振り払うことには気づいていた双天を宿す脱獄した術士。
 本気で彼女を想い、一緒に逃げる道を選んで欲しいと望んでいたが、自分が見せた過去の記憶により、マフィアの道への標を作り出してしまった。
 もう二度と、マフィアに苦しめられる人を生み出したくないと言う確かな望みと、彼女が口にした、マフィアを取り締まるマフィアを作り上げると言う答えを、本当にお人好しだと呆れながらも穏やかに笑って聞き届けた。


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