最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
そこには彼女の家族が集まっており、戻ってきた彼女を暖かく迎える。
約1ヶ月の逃避行の末、答えを見つけた桜の花は、ただいまと言う言葉と共に、家族の元へと戻るのだった。
side NATUKI(sakuna)→side change REBORN.
メテオライトさんに一時的に引き取られることになった骸達と別れ、わたしは黒曜センターを後にする。
公共の交通機関を使い、並盛へと戻る間、隼人達は座席に座って眠っていた。
リボーン曰く、わたしを探し回っていたことや、骸と対峙した際の緊張状態が解けたことから、気が抜けたんじゃないかとのことだ。
「ナツ。どうやら自宅の方にディーノと家光も来てるみたいだぞ。ナツを見つけたことを9代目に報告しに行けって2人には言ってたんだが、どうやら報告してすぐに飛行機に乗っちまったらしいな。」
「それだけ心配かけたってことだよ。実際、1ヶ月は家に帰らなかったわけだし。」
「そう聞くと随分となげー家出パニックだったな。」
「……それに関しては申し訳ないと思ってる。」
長い家出パニックと言う言葉に、わたしは静かに謝罪の言葉を口にする。
よくよく考えてみれば、1ヶ月間も黙っていなくなって帰らないなんて、かなり異常だ。
数日間友達の家に泊まるわけでもなく、学校すらも無断で休んだのだからなおさらである。
「……先生達、怒るよね。」
「ん?ああ、そこら辺は問題ねーぞ。」
「?」
どう言い訳しよう……と頭を悩ましていると、リボーンから問題ないと告げられる。
意味がわからず首を傾げていると、彼は口元にニッと笑みを浮かべて口を開く。
「学校の方には、外国で忙しなく仕事してるナツの父親が、季節外れの長期休暇を取ったから、家族旅行をするぞと言って外国に連れて行かれたって言っておいたから別に気にする必要はないぞ。
連絡がなかったことに関しては、急に父親が思いついてそのまま連れていっちまったから遅くなったってことにしたしな。
学校の教師陣営も、ナツのクラスメイト連中もそれで納得してくれたぞ。その間、ママンも少しの間、県外の方で休息を取ってもらったから怪しまれてねーな。」
「ええ……?」
まさかの事実に困惑の声を上げる。このヒットマン、しれっと学校側にウソをついていらっしゃる……。
て言うか、家族旅行とは言え、父親に海外へといきなり連れて行かれて1ヶ月も留守になることを誰も疑わなかったんかい……。
「ついでに近所の方には、チビもいるからママンだけ先に帰ってきたことにしておいたぞ。
辻褄が合うように、イタリアの方で売ってる菓子を大量に用意して土産にしておいたしな。だから誰も疑ってねーな。」
「用意周到過ぎるでしょ……」
「並中の教師達用の菓子も用意しておいたから、明日学校に行く時に持っていけよ。
クラスメイトには菓子にプラスして誰でも使えるタイプの小物を買い込んでおいたから、それも一緒にな。」
「はは……裏工作が半端ない……土産分のお金はどうしたの?」
「学校用の土産はナツの口座に大量に振り込まれてる奴を使っておいた。結構な値段にはなっちまったが、その出費を上回るレベルの預金があるから問題はなかったな。」
「……まだあの連合の人達、わたしの口座にお金振り込んでるんだ。」
少しだけ遠い目をしながら、未だに行われているマフィア連合からの振り込みに言及すると、リボーンは軽く笑い声を漏らす。
「ナツが的確なアドバイスをしていたからか、マフィアの身分を隠す際に行っている表事業がどこもかしこも成功してるみたいだぞ。
そのせいか稼ぎがかなりあるみたいでな。その礼も上乗せされてたぞ。」
「大金あっても使い道ないんだけど……?」
まぁ、あるに越したことはないけどさ。預金に回しておけば、いざ必要になった時とかに便利だし。
そんなことを思いながら、窓の外を眺め続ける。すると、穏やかな……だけど、どこか真剣な声音で、“桜奈”と名前を呼ばれた。
この場でその名前を知ってるのはリボーンだけ……そっちの方を呼ぶと言うことは、私にではなく、わたしの方にようがあると言うことだろう。
「どうしたの、リボーン。いつもより真剣な声音だね。」
それならわたしとして話を聞こう。
なんとなく、彼が口にしようとしていることはわかるけど。
「……今日の夜、ちと出かけるぞ。誰もいないところで話がしたい。」
「……ん。わかった。」
2人で話がしたいと言う言葉から、桜奈としてのわたしに関して話が聞きたいと言う感情を読み取る。
彼の出方によっては、話をしなくて済むような気もするけど、多分、今回はいつものようにはぐらかせないだろう。
できることなら、わたしの話はあまりしたくない。内容が内容だから面白いものでもないから。
でも、彼の向き合う姿勢によっては、いつまでも逃げることはできないだろう。
そんなことを思いながら、わたしは流れゆく景色を眺める。
先程とは打って変わったように、景色は見慣れているものになっており、並盛に帰って来たんだな……なんて、少しだけ考える。
……母さんと父さんに……怒られないといいんだけど。
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少しの不安と、心配かけたことへの反省……その両方を抱きながら、たどり着いた並盛町。
眠っていた隼人達を起こし、今日はそのまま解散することにして、彼ら2人とも別れたわたしは、リボーンと共に帰路に着く。
さっきからリボーンはずっと携帯を見つめている。時折操作をしているようだから、話し合いの場を整えるために、何かしら準備をしているのかもしれない。
そんなことを思いながら、見慣れた町並みを歩いて行く。
─────……明日から少しの間、謝罪ツアーかな……。恭弥さんにも風紀委員会にも先生方にも迷惑をかけたし。
自分が招いたこととは言え、大変なことになるのは目に見えているため、思わず溜息を吐きそうになる。
繋がりを持ってるファミリーの人達や、9代目にも謝らないと。かなり迷惑も心配もかけちゃったから、許してもらえるかわからないけど。
「「奈月!!」」
思案しながら歩いていると、わたしの名前を呼ぶ声が聞こえて来る。
静かに顔を上げ、声の発生源を確認しようとしたが、それは叶うことがなかった。
見え辛くなる前方に、自由が効かなくなる体。温度違いの2人分の体温に包まれる。
わたしは、母さんと父さんの2人に強く、だけど優しい力で抱きしめられていた。
「……父さん……?母さん……?」
思わず確認する様に、わたしは2人のことを呼ぶ。わたしに声をかけられた2人は、すぐにわたしを少しだけ離し、険しい表情で見つめている。
「もう!!急にいなくなって!!心配したでしょ!?」
「怪我はないか!?ひどいことはされてないよな!?」
泣きそうな顔をしながら心配したと言ってくる母さんに、焦っていたことがハッキリとわかる程に表情を崩している父さん。
2人の表情を見て、わたしは思わず無言になる。痛い程に伝わってくるマイナスの感情は、わたしの罪悪感を募らせた。
「……ごめんなさい。怪我はしてないよ。一緒にいた子も、私に悪さしてきたわけじゃないし……。」
気まずさから視線をその場で逸らし、謝罪と無事であることを伝える。
少しだけぶっきらぼうに答えてしまった気もするけど、今のわたしには、これが精一杯だった。
─────……こんなに心配かけて、何て態度を取ってんのか……。バカじゃないの、わたし。
自分の態度に呆れと軽い苛立ちを抱きながら、無言になっていると、再び父さん達に強く抱きしめられる。
同時に聞こえてきた言葉は、よかった、の短い一言だった。そのことに少しだけ驚いてしまい、わたしは静かに口を開く。
「……怒らないの………?私、黙って1ヶ月もいなくなって……全く帰ってこなかったのに………。」
怒号が飛んでくることを覚悟していたのに、一言も怒らない2人に困惑しながら声をかける。
すると、父さん達は驚いたような表情を見せて、わたしのことを見つめる。
しかし、すぐに互いに顔を見合わせては、穏やかな笑みを口元に浮かべた。
「なんで怒らなきゃならねーんだよ。確かに心配はしたけどな?別に父さん達は怒ってないぞ。」
「母さんも父さんと同じよ。確かにすごく心配したけど、怒ったりなんかしないわよ。
詳しくは聞いていないけど、あなたがこれまで沢山の悩み事を抱えていたって父さんから聞いたわ。
しっかり者だからこそ、本当は沢山やりたいことがあったはずなのに、それをずっと我慢して、母さん達のために頑張ってくれてありがとう。」
「すまなかった、ナツ。父さんも、ちとナツに色々任せ過ぎちまってたな。
いくらしっかり者だからって、ナツが子供であることは変わらねーのに、何でもかんでも背負わせ過ぎていた。
……リボーンから、ナツが残した手紙を見せてもらった。あんなに沢山考えて、答えをなんとか出したくて、でも、環境がそれをさせなかった……。
離れたくもなるよな。父さんだって考える暇も、環境もなく、何もかも強いられたら嫌になる。
……自分でも嫌になるってハッキリと言えることを、子供のナツに強いていたと思うと、過去の自分をぶん殴りたくなるよ。これまで、本当に頑張ったな、ナツ。ありがとう。」
父さん達の言葉に、わたしの視界が歪む。
それは、小鳥遊桜奈としてのわたしが、ずっと家族から聞きたかった言葉だった。
「もう頑張り過ぎなくてもいいの。抱え込み過ぎなくていいの。辛いことがあったなら、悩んでることがあったなら、いつでも母さんに言ってちょうだい。
なっちゃんは母さん達の大切な子供で、大切な家族なのよ?遠慮なんてしないで、甘えたい時は甘えていいの。
ずっと頑張っていたんだもの。これからは沢山甘えてもいいから、甘えたい時は甘えてちょうだい。」
「母さんに話し辛いことは、全部父さんに言っていいからな。母さんの言ってる通り、ナツは父さん達の大切な家族なんだ。
大切な家族のワガママの一つや二つ……いや、ナツの場合はそれだけじゃねーよな。
……沢山のワガママを聞いてやれないで、何が父親だって話だ。甘えたいって思った時は甘えていい。
甘えることが息抜きになることだってあるんだから、時には力を抜くために、ワガママくらい言ってくれ。」
強く、優しく抱きしめられながら、緩やかに頭を撫でられながら、紡がれる言葉に耳を傾けていたわたしは、とうとう涙を堪え切ることができなくなった。
抱きしめてくれる父さん達の服を濡らしていることはわかるけど、溢れ出る雫は止めることができず、声を出して泣いてしまう。
幼子のように泣きじゃくるわたしを、父さん達はずっとあやしてくれていた。
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side change REBORN.
家光と奈々に抱きしめられながら、声を出して泣き出す桜奈を、オレは黙って見つめることしかできなかった。
頑張り過ぎなくていい。甘えていいと伝えられて、ようやく呪縛から解かれたような、そんな雰囲気がある。
……奈月として生まれ落ちた桜奈が、親に対して何かしら渇望していることは理解していた。
それが何かまではハッキリとわからなかったが、ようやく今それを理解できた。
桜奈は、家族に自分を止めてほしかったのだろう。肝試しの時、オレからも無理をしなくていいと伝えたにも関わらず、結局は抱え込んでしまっていた……それが何よりの証拠だ。
桜奈を止められるのはオレ達じゃない。今の桜奈の両親である家光と奈々の2人だったのだ。
─────……やっと、桜奈は苦しくても走り続けていた足を止めることができたのかもしれないな。
これまでみたいな無理を止めることができることへの安堵。
しかし、その反面で、自分では止めることができなかったと言う突きつけられた現実のダメージが胸中を渦巻く。
本当は、オレが止めてやりたかった……そんな気持ちを抱きながらも、オレは自分が被っているボルサリーノを深く被る。
すると、隣に歩み寄ってくる気配を感じ取る。近づいてきた気配に顔を上げれば、そこにはディーノがいた。
「……ナツがあんな風に泣いてる姿……初めて見たな……。」
「だろうな。ナツはあまり誰かの前で泣いたりしねーからな。」
「そっか……。どうして我慢なんかしちまうのかね……。そんなことしなくていいって、何度も伝えたはずなんだが……」
ディーノの言葉に、オレは少しだけ無言になる。きっと桜奈は、桜奈として生きていた時に我慢して抱え込む生き方しか知らず、ずっとそれを続けてきたのだろう。
結果的に、奈月としてこの世界に生まれ落ちてもその生き方が染み付いてしまい、尚且つ自分が置かれた環境から、その生き方が上手くかち合ってしまった。
だが、正直、桜奈のことに関しては、オレから間接的に伝えるよりは、桜奈自身が伝えるべき物事だと思うから、話さない方がいいだろう。
とは言え、桜奈自身が自分のことを詳しく話すとは思えない。非現実的だと言う理由から、話さない方が可能性としては高い。
なんとか話してほしいところだが、オレも桜奈のことに関して詳しく知ってから、話すべきか否かを判断するべきだろう。
ああ……でも、これだけはオレからも伝えることができるな。
「……我慢し過ぎる悪癖に関しては、オレも詳しく知らねーが、多分、ナツはオレ達じゃなく、家光達に止めてほしいと思っていたんだろうな。
血が繋がっている家族から“甘えていい”。“我慢しなくていい”。“これまでよく頑張ったな”って言ってほしかったんだ。
1年間ずっとナツといたが、家族に対する強い渇望があるんだなって感じることが何度かあった。
その望みが今叶ったんだ。きっと、これ以上何もかも抱え込むような生き方はしないと思うぞ。」
“ようやく本当の意味で桜奈を縛る呪縛がなくなった”……泣きじゃくる桜奈を見て、オレはそう感じていた。
きっかけは骸との出会いであり、骸から1ヶ月間甘やかされて過ごしたことにより、ようやく自我を出すことができたと言うのはかなり悔しいが、それがいい方向へと転がってくれるのであればそれでいい。
ただ、やっぱり骸や家光達ばかりに甘える桜奈と言うのはどこか不満も湧いてくるため、オレも桜奈に甘えられる存在にならないとな。
「……女に甘えられやすい男の特徴でも調べてみっか。」
「……なんでオレと同じこと考えてんだよリボーン。」
「……聞きたくなかったぞ、教え子のそんな言葉は。」
隣で同じことを考えていたディーノに対する少しの苛立ちを覚えながらも、オレは未だに泣きじゃくる桜奈を抱きしめている家光の肩に飛び乗る。
急に肩に乗られたからか、家光が驚いたような反応を見せたが、オレは気にせず奈々の肩も叩き、静かに口を開く。
「娘の無事を喜ぶ気持ちはわかるが、まだ2人してナツに言ってない言葉があるんじゃねーか?」
オレの問いかけに、家光と奈々は一瞬だけ目を丸くする。
しかし、すぐに思い当たる言葉が見つかったのか、ハッとしたような表情をしたあと、抱きしめていた桜奈の名前を呼んだ。
2人の言葉に反応した桜奈はゆっくりと顔を上げ、その場で首を傾げる。
桜奈の表情を見た家光と奈々は、すぐに笑顔を見せながら
「「おかえり、奈月。」」
帰ってきた我が子を迎える言葉を口にした。
おかえりと2人から言われた桜奈は、少しだけ目を丸くしたあと、涙に濡れながらも笑顔を見せる。
「ただいま……父さん、母さん。」
そして、2人のおかえりという言葉に、ただいまの一言を返した。
その笑顔はこれまで見てきたどの笑顔よりも明るくて、オレは、やっと帰ってきた大切な女への愛しさを募らせるのだった。
沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
ずっと家族に止めて欲しくて、だけど負担になりたくないと走り続けていた前世の呪縛がようやく解かれた少女。
この日を堺に、周りにいる人から大量の甘やかされ地獄をお見舞いされてしまうことをまだ知らない。
リボーン
桜奈と言う女性として生きた時からずっとまとわりついていた奈月の呪縛がなんなのか、なんとなくではあるが察していたアルコバレーノ。
血の繋がった家族である家光と奈々に止められたことにより、ようやく1人で抱え込む癖を無くすための一歩を踏み出したと安堵した。
とりあえず、これからはこいつを甘やかすと決意するが、その前に、抱えて走り続ける呪縛の原因となっていた桜奈としての彼女を知る必要があると考える。
家光&奈々
我が子がようやく帰ってきたことに安堵し、同時に、これまで頑張り続けていた彼女に、これからは甘えたい時に甘えてほしい、悩んでるなら話を聞かせてほしいと伝え、これまで頑張ってきた彼女を褒めることにより、彼女の呪縛を解いた夫婦。
しばらくはこれまで我慢してきた愛娘をベタベタに甘やかすこと決める。
ディーノ
家光と共に急いで日本へと来日したキャバッローネファミリー10代目のボス。
家光と奈々に抱きしめられ、よく頑張ったねと褒められ、これからはもっと甘えてほしいと言われ、幼子のように泣きじゃくった少女の姿にかなり驚いていたが、リボーンからようやく彼女の悪癖をなくす一歩を踏み出せたと言われて安堵する。
一旦イタリアに帰国するつもりだが、ある程度仕事を終えたら絶対に少女を甘やかすと考える。