最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
一部始終を見つめていた虹の黄色は、学校に向かう桜に一つの課題を告げた。
それは、これからのことも考えて、甘えられる人間を複数人作れと言うものだった。
父さん達の甘えていいと言う言葉を聞き、もう、多くの理想を演じなくてもいいのだろうかと言う疑問を浮かべながらも、学校へと向かう道のりを歩く。
わたしの両手には普段学校に向かう時以上の荷物が持たされている。とは言え、そこまで重いものではなく、特に負担がかかるものではない。
「本当に沢山買い込んだね?」
「クラスメイトと教師陣、それと校長と風紀委員会への土産だからな。1ヶ月家族でイタリア旅行に言った話の辻褄合わせにはちょうどいいだろ?」
「まぁ、確かにちょうどいいけどね。どんなところを見て回ったのかとか、何があったのかとか、それら全てを想定したシナリオまで用意してるとは思いもよらなかったけど。」
「イタリアなんてなかなか旅行する機会はないからな。周りからいろいろ質問されることは目に見えてるぞ。」
「それはそう。」
手元にあるリボーン直筆の旅行シナリオに目を向けながら、彼と会話を繰り広げる。
……わざわざイタリア語でシナリオを書いている理由はわからないけど、まぁ、イタリア語がわかる人じゃないとこれがカンペだとはわからないからいいか。
「……イタリアか。」
「ん?」
「父さんが仕事をしながら過ごしている場所であり、骸達やディーノさんが生まれ育った場所であり、リボーンがずっと過ごしていた場所であり、わたしの御先祖様の始まりの場所……いつか、行ってみたいな。」
イタリア語で記されている旅行シナリオカンペに目を通しながら、いつか本当に旅行ができたらと口にすれば、リボーンは何度か瞬きをしたあと、口元に小さく笑みを浮かべる。
「その時はオレが完璧な旅行プランを考えてエスコートしてやるから楽しみにしとけ。」
どうやら、わたしがイタリアに興味を持ったことが嬉しかったようだ。
見るだけでもわかってしまう程に、彼は嬉しげな雰囲気をまとっている。
こんな反応をされるとは思わなかったため、何度か瞬きを繰り返したが、直ぐにわたしは小さく笑い、揶揄うように口を開いた。
「その体で?」
赤ん坊の姿ではあまりカッコつかないと、指摘するように話しかけるが、彼はこちらの指摘などお構いなしに、わたしの問いかけに対する答えを口にする。
「大丈夫だぞ。この姿でもそれくらいはできるしな。まぁ、できることなら呪いが解けた時が1番いいんだが、今はまだ呪いを解くためのヒントが神谷のところにあることくらいしかわからねーから、どうにもできねーのが問題だな。
なんせイタリアは日本程治安はよくねーからな。女と赤ん坊の2人旅じゃ、何が起こるかわかったもんじゃねーぞ。」
……気のせいかな?リボーンの口から2人旅って言葉が聞こえてきたような気がするんだけど?
【……サラッと桜奈と2人きりで旅行しようとしていませんか、このアルコバレーノ。
ハッキリと答えてやりなさい。あなたと2人きりで旅行する気はないと。と言うか、まずは僕達と綺麗な海が見える場所に行きたいですよね?
一緒に過ごしていた時言ってましたもんね。いつかみんなで沖縄に行ってみたいと。】
【骸、ステイ。いきなり乱入してくるんじゃない。】
気のせいじゃなかったかと、骸の言葉に遠い目をしそうになる。
……いや、骸。なんか結構な頻度で話しかけてくるな。
「……おい、骸。お前が桜奈を通してこっち見てるの気づいてるからな?毎回毎回何桜奈の中に邪魔してやがんだ。」
【おっと、バレましたか。】
「バレバレだよ。」
骸の精神の一欠片と言う割には随分と自我が強いなこの端末……いや、端末は所詮中経ルーターに過ぎなくて、実際はイタリアにいる骸本人がこっちの様子を確認してるのかな……。
【どちらかと言うと後者ですね。メテオライトさんが僕達をイタリアにある屋敷に使用人と一緒に置いてどっかに行ってしまわれたもので。
とは言え、こちらが持ち合わせている能力は殆ど特殊なリミッターのようなアクセサリーで封じられているのですが、どうやらアイテム自体がかなり独特な構造をしているらしく、桜奈のために使うことや、精神世界の行き来全般に関しては封じられていないんですよ。
なので、割と自由にしてます。ほとんど放任するつもりのようですし。】
それでいいのかメテオライトさん……と少しだけ思いながらも、骸がこうして度々話しかけてくることに心強さを感じていると、リボーンから視線を感じ取る。
直ぐにリボーンの方に目を向けてみると、彼は何か考え込むような様子を見せていた。
「……リボーン?」
どうしたの?と質問しながら首を傾げていると、リボーンはわたしとわたしの中にいる骸の両方を見据えるかのような目を向けてきた。
「……やっぱりな。」
「やっぱり?」
何がやっぱりなんだろうかと思いながら言葉を復唱すると、リボーンがわたしの肩に飛び乗ってくる。
いつものこと過ぎて、すでに慣れてしまったリボーンの行動に瞬きをしながら首を傾げていると、彼は口を開いた。
「骸とオレが桜奈としてのお前を知って、さらに桜奈が骸との間に何かしらの繋がりを作ってから雰囲気が柔らかくなったみてーだな。」
「そんなに?」
「ああ。これなら、お前の甘え下手と自己犠牲の悪癖を治すことができそうだ。
多分だが、自分を知ってる人間が2人以上いることと、いざと言う時は強制的に止めることができるセーフティーの発生、家族からの止まっていいって言葉が心のゆとりになって余裕が生まれた感じだろうな。」
“まぁ、いろいろ思うところはあるがな”……と少しだけ拗ねた雰囲気で紡がれた言葉は、間違いなく骸に対しての嫉妬から来たものだった。
わたしでも気づける程の嫉妬に骸が気づかないわけがなく、彼は笑い声をこぼしている。
【アルコバレーノもやはり人なんですね。愛してる女性に別の男がちょっかいを出してるどころか、文字通り心すらも許されていると言う現状にどうやら妬いているようです。】
【リボーンは割と感情の変化あるし、ちょっと仕事が特殊なだけの人にしか見えなかったけど……】
【桜奈は最初からそう見えていたようですが、僕はここまでアルコバレーノが人間らしい存在とは思ってなかったんですよ。
なんせ、各分野から選出された最強の7人の集まりで、呪われた赤ん坊と言う話しか聞いたことがなかったもので。】
……どうやら、わたしと骸はアルコバレーノに対しての認識が結構違ったようだ。
結構彼には人らしいところ沢山あると思うけどな……。本来の姿の彼に、ちょっとした意趣返しをしてみたら戸惑ったりしてたし。
「……オレの知らねーところで2人だけで話してんじゃねー。」
「なんでバレたし。」
【念話は彼に聞こえてないと思うのですが……】
「バレバレに決まってるだろ。明らかに骸の気配が桜奈から強く感じ取れるぞ。」
【なるほど。桜奈の精神世界に入り込むと、僕の気配が強くなると。桜奈と僕の気配を上手く混ぜ合わせて気配に敏感な人間でも有耶無耶になるように工夫すべきですかね。】
“……なんのために?”と少しだけ引き攣った笑みを浮かべそうになりながらも、わたしはリボーンへと視線を向ける。
わたしの視線に気づいたリボーンは、すぐにわたしに視線を向けてきた。
「甘え下手と自己犠牲の悪癖を治すったってどうやって?桜奈の時から、これはなかなか治らなかったものだけど。」
「大丈夫だぞ。本来の桜奈としての性格が表に顔を出し始めているからな。それは、桜奈自身の我慢が少しずつ取っ払われてきてる証拠だ。
てことで、これからお前に初めての課題を出すぞ。優秀な桜奈でも、結構難しい課題だから、オレもそれなりに課題がスムーズにこなせるように手助けしてやるから安心して取り掛かってくれ。」
急に課題なんて言う言葉を聞くことになるとは思わず困惑の表情を浮かべていると、リボーンは口元にニッと笑みを浮かべ、その課題とやらを口にした。
「これから桜奈には、1ヶ月以内にオレと骸以外にも甘えられる人間を作ってもらう。
そうすりゃ、常に抱きしめてやれないオレや骸の代わりに桜奈の精神を安定させることができるようになるはずだからな。
そうだな。とりあえず、軽く5人くらいは作るぞ。手始めにヒバリに甘えに行って来い。」
「………はぁ!?」
【クハハハ!!いきなり雲雀恭弥が選出されますか!】
【笑い事じゃないんですけど!?】
リボーンと骸以外にも甘えられる人間を作れと言う課題にもツッコミを入れたいところではあるが、それ以上に最初の人選として出された存在に対するツッコミが上回る。
なんでよりによって手始めに恭弥さんに甘えろなんて言われんの!?
「初っ端からめちゃくちゃハードな課題なんですけど!?恭弥さんに甘えに行けって本気で言ってる!?」
「オレはいつでも本気だぞ。あと、桜奈に対してヒバリは超絶激甘風紀委員長になるから甘えに行っても別に気にしねーと思うぞ。」
「いや、あの人こそ甘えに行ったらダメな人でしょ!?風紀委員会の仕事や外回りの仕事とかいっぱいしてる忙しい人なんだよ!?」
「いいからオレを信じてヒバリに甘えに行ってみろ。アイツならどんな桜奈でも絶対に受け入れてくれるからな。
それが終わったら今度は獄寺と山本だな。最後は京子達にも甘えに行ってもらうぞ。」
「ちょっとぉ!?」
次々と知り合いの名前を出され、大きな声で怒鳴りつける。
一部始終をわたしを通して確認していた骸は大爆笑しており、笑い声がめちゃくちゃ聞こえてくる。ついでに咽せてるこの人。
【おわ!?骸さん!?急に大爆笑してどうしたんれすか!?】
【多分だけど、繋がりを使って奈月の様子見てたんじゃない?それで、骸様が思わず笑ってしまうようなやりとりがあったんだと思う。】
【ゲホッ ゴホッ す、すみません。あまりにも奈月とアルコバレーノのやり取りが面白かったもので……っ ち、千種。水ください水】
【わかりました】
【ちょっと!?そっちの様子がなんか伝わって来たんだけど!?】
【ク……フ……ッ……すみません、桜奈。ツボに入って繋がりの加減ができてませんでした……っ
今のは僕を通じてあなたの方に届いてしまったこっちのやり取りです……っ】
【笑いを堪えながら言うんじゃない!!】
あまりにもあまりな状態に、続け様にツッコミを入れてしまい、思わず息切れを起こしそうになる。
な・ん・で!!わたしの周りにいる男性女性を選出してくるのこのアルコバレーノ!!
「言っとくが、今回ばかりは桜奈に拒否権はねーぞ。あと、ヒバリと獄寺と山本はすでに桜奈が本当は甘えん坊なこと知ってるからな。」
「なんで!?」
【あ、すみません。その戦犯に関しては間違いなく僕です。】
【ちょっと骸ォ─────!?何でそんなことやらかしてんの!?】
【僕といた時に神谷さんから激写された日常の一コマで埋め尽くされた写真フォルダを見せました。】
【見せないでよそれ!!】
【あ、でも安心してください。桜奈が僕達にくっついて過ごしている写真や甘えてる写真のみ見せて、桜奈と僕が恋人同士にしか見えない写真は取り除いておいたので。】
【そう言う問題じゃない!!】
頭を抱えそうになる状況に溜め息を吐く。
まさか、入れ替え憑依をしている時に骸がそんなことをしてるとは思いもよらなかった……。
「すでにバレてることを隠す必要はねーと思うぞ。大人しくヒバリに甘えに行け。
黒曜ヘルシーランド跡地に足を踏み入れる前に、今回は警戒して一緒に行動をとれって話した時に、1週間は桜奈と一緒にいる時間を邪魔しねーって約束もしたしな。」
「また勝手に……」
「仕方ねーだろ。骸達の能力からして、ヒバリが単騎でアジトに突入するのはまずいから一緒に行動を取るようにするために、1週間は桜奈を独占していいって約束しちまった上、桜奈の真似をしたのか携帯で言質録られちまったんだ。
ただ、仕事を桜奈にさせないことって条件に基づいた約束だから、桜奈は仕事しなくても大丈夫だぞ。」
次々と明かされる事実に再び深く溜め息を吐く。
これは、本当に逃げることができなさそうだ……。
「……本当に、甘えに行ってもいいのかな………。」
……正直言って、少しでも気分を落ち着かせる場所ができることはありがたい。
学校にいる間は、しっかり者の奈月を崩すことはしないようにしていたけど、やっぱり疲れることも暫しあるのである。
恭弥さんがいる応接室は、基本的に人があまり来ないから、そこで静かに過ごすことでメンタルを休ませることができるし、そこでゆっくり過ごせる時間ができるのは都合がいい。
でも、やっぱり相手が恭弥さん……と言う部分は、それなりに引っかかるものがあるわけで……。
「まぁ、試しに行ってみりゃわかる話だ。骸は大人しくしとけよ。」
【桜奈の負担が軽くなるのであれば、こちらも邪魔などするつもりはないとアルコバレーノに伝えてもらえますか?】
「……骸が、わたしの負担が軽くなることに関しては邪魔する気ないって言ってる。」
「ならよし。んじゃ、桜奈の甘えん坊化計画を開始するか。」
【ネーミングダサすぎません?甘え桜育成計画の方がいいと思うのですが?】
「甘え桜育成計画って何……?」
「ん?骸がそう言ったのか?」
「え?うん。」
「よし、今回の計画名はそれで行くか。」
【なんか勝手に使われたのですが?】
急に始まってしまった謎計画に呆れながらリボーンを見つめていると、彼は直ぐ側にあった家の塀に飛び乗った。
わたしの視線と自身の視線を合わせながら、ゆっくりした足取りで隣を歩くリボーンを見つめていると、彼は再び口を開く。
「じゃあ、とりあえず学校に着いたらまずはその土産を配るべき生徒や教師に配るぞ。
まぁ、桜奈にはあまり必要ねーと思うが、この1ヶ月の間の授業に関しては、念の為に京子や桜奈の同級生連中から情報を集めてオレが家で補習してやる。」
「うん。ありがとう、リボーン。」
前に比べてちょっと関わる人が増えたけど、戻ってきたわたしの日常生活。
全力でわたしを甘やかそうとしている様子のリボーンに、少しだけ苦笑いをこぼしそうになりながらも、わたしは通学路を歩くのだった。
沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
2人の男性と家族の言葉により、心にゆとりができて本来の性格の片鱗を見せるようになった転生者な10代目。
骸に関わったことにより、自我が確立されているため、無意識のうちに普段のキリッとした彼女ではなく、ふわふわした彼女になっている。
しかし、どことなくツッコミ体質な部分があるせいか、リボーンと骸に軽く振り回されている様子。
リボーン
お前、何で高確率で桜奈の中に入り込んでやがんだと骸にちょっとイラッとしたアルコバレーノ。
しかし、桜奈の負担を減らしたい、のびのびと過ごせるようにしてやりたいと言う考えは一緒なので、そのためならば普通に骸と結託する。
課題と称して桜奈が甘えられる人間を増やすため、初めて彼女に問答無用の指示を飛ばした。
まずはヒバリに突撃して甘えてこい。 byリボーン
なんでいきなり恭弥さんなの!?by桜奈
クハハハハ!!ゲホッゴホッエホッ by骸
六道 骸
イタリアに着いた後、メテオライトに能力を封じるリミッターになっているアクセサリーを着けられたらしい桜奈の絶対的な味方。
しかし、あまりリミッターとして機能していないらしくひたすら自由に過ごしている。(それでいいのかメテオライト状態)
やることがあまりないので暇潰しに桜奈の精神世界に入り込んで様子を見ていたら、リボーンと彼女のやり取りがツボに入った。
基本的に桜奈以外のマフィア(犬と千種は除く)とは衝突したり嫌味な態度を取ったりするが、彼女の負担を減らすことに関しては同じ気持ちなので邪魔はしないし協力できることがあれば協力する。
犬&千種
いきなり自分達のリーダーが大爆笑したためびっくりした黒曜組。
しかし、直ぐに彼が暇潰しに奈月の様子を確認していたことが原因だとわかり、相変わらずこの人奈月が大好きだな……と思っていた。
(まぁ、オレも奈月は(親愛or友愛として)好きだけど×2)
メテオライト
名前だけ出ていた放任アルコバレーノ。
え?
大丈夫大丈夫〜。あの包帯野郎共の前では骸達の能力が完全に封じることができる状態の強さに設定して効能を試させておいたから〜。
(強弱可変式リミッターだったんだよ、あれ。)