最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
廊下で待ち受けていたのは、次の課題を用意していた虹の黄色と、これまで可愛がっていた小鳥に憑依した藍色だった。
小鳥に憑依していた藍色は語る。桜が小鳥と思っていた存在の正体を。
恭弥さんと2人の時は本来の性格で過ごせると判断できたわたしは、休憩が終わると同時に応接室を後にした。
廊下に出た瞬間、感じ取ることができたリボーンの気配。すぐにわたしは応接室のすぐ近くにある消火栓の方に視線を向ける。
「リボーン。ここにいるんでしょ?」
消火栓をノックしながら声をかければ、消火栓の扉が自動的に開く。
そこにはやはりリボーンが入っており、コーヒーを淹れてくつろいでいた。
「リボーン……よくも恭弥さんにわたしが甘えたがり屋だってこと話してくれたな……」
「でもスムーズに甘えに行けただろ?」
「確かに行けたけど!!」
普通はサラッと暴露したりしないでしょーが!!とその場で怒鳴りたくなる。
コロネロの時も思ったけど、この人割と口が軽いんですけど!!
「だったらいいじゃねーか。ま、そもそもナツは秘密を明かしておかねーと素直に擦り寄ったりしねーだろうからな。
先に根回しをしておくくらいがちょうどいいと思ったんだ。どうやらそれは正解だったみてーだな。
応接室に向かってかなり時間がかかっていた様子から、なかなか言い出せなかったんだろ?
そんで、ヒバリから催促されてようやく甘えることができたんだろ?」
「ゔ……何でそれがわかるの。まさか見てた?」
「こいつが教えてくれただけだぞ。」
そう言ってリボーンが見せてきたのは小鳥のユキミだった。
しかし、そのユキミは普段のユキミではなかった。
「……なんで骸、ユキミの中に入り込んでるの?」
「おや、バレましたか?」
「いや、バレバレなんだけど。」
見た目はユキミだと言うのに、中身は明らかに骸だったのである。
この人、いつのまにユキミに憑依できるようになっていたんだ。
「実を言うと、ユキミも特異体質だったんですよ。あなたと同じで1人分の精神を放り込むことができる隙間があったんです。
これ幸いと思い、ユキミに憑依できるように道のりを作っておいたので、試運転も兼ねてユキミに憑依してみました。」
“意外といけますよ、これ”と少しだけ楽しげな様子の骸inユキミを手のひらに乗せる。
子供以上に小さな体を持つのは初めてだからか、なんだか骸自身、興味津々のようだった。
「それにしても……やはりユキミは普通の小鳥ではなかったようですね。この子、特殊な変異能力を持ち合わせているアルコバレーノのカメレオンと同じみたいですよ。」
「え?」
「まぁ、アルコバレーノのカメレオン程何にでも変異することができるわけではないようですが、どうやら変わった生き物ではあるようです。」
“見ててください”と口にして、ユキミに憑依している骸は、右目に宿る黄昏の瞳の文字を六から二へと変化させ、わたしの手元から飛翔する。
そして、わたしの周りを回るようにして飛びながら、その姿を小鳥から真っ白な毛並みを持つ鷹に姿を変える。
「あ、奈月。ちょっと腕を伸ばしてください。」
「腕?わかった……」
骸に言われて腕を伸ばしてみると、彼は鷹の姿をしたままわたしの腕に止まる。
この際、彼の黄昏は二から一へと数字が変化しており、わたしの腕が傷つかないようにするためか、アームカバーを有幻覚で出現させてくれた。
「ええ……?」
「……と、このように姿を変えることができるみたいです。生憎、ユキミと僕は奈月と僕程精神の相性がいいわけではないので、何故このような力をユキミが持っているのかわかりませんが、薄らと読み取れた情報からすると、人間や虫、水生動物以外で一度目にした生き物に変化することが可能らしいですね。」
「……いや、本当にユキミ何者?」
「さぁ……?そこまでは僕もわかりませんが、アルコバレーノ達が連れ歩いているペットに近いのかもしれませんね。」
骸もよくわらかないと言うような様子を見せるため、わたしにもユキミの正体は理解できない。
ただ、レオンのように姿を変えることができる生き物であることは確かなようだ。
「小型の生き物から大型の肉食獣まで様々な姿を持つことができるみたいですね。
ただ、アルコバレーノのカメレオンのように、無機物にまで変化することはできないようですが、別の生き物に変化することができるのはかなりの強みになりそうです。
ユキミならあなたにしっかり協力してくれそうですし、この子は常に側に置いていた方がいいかもしれませんね。
あなたの負担を大きく軽減することができそうですし、いざと言う時はウマなどに変化してもらって移動することも可能になるかと。」
まさかの事態に困惑しながらも、骸の言葉に小さく頷く。すると彼はどことなく満足気な様子を見せては、ユキミの中からいなくなった。
「?んな!?コレは隠してたはずだったのですが!?」
そんなことを思っていると、ユキミがショックを受けたような表情を見せる。
その姿を見て瞬きをしていると、ユキミがわたしとリボーンに気づく。
「ナ……ナツキ様……にリボーン様……」
「「……………。」」
わたしとリボーンがガン見していること確認したユキミは、あわあわと焦ったような様子を見せたが、その場でシュン……としょんぼりする。
しかし、直ぐにわたしの腕から地面に飛び降りては、今度は真っ白な仔狐の姿を取った。
「うゔ……絶対コレ、ムクロ様のせいですよね……。なんでわたくしに憑依することができると気がついたんですかあのナッポー……。
折角小鳥の姿のままナツキ様のお側でお仕えする小間使兼癒しのペット枠でいようと思ってたと言うのに……。」
ものすごくペラペラと流暢な敬語で話し始めるユキミに、わたしとリボーンは困惑しながら、互いに顔を見合わせる。
「えっと……ユキミ……でいいんだよね?」
とりあえず目の前にいる仔狐に話しかける。すると、目の前の仔狐はすぐにわたしの方を向き、そのまま小さく頷いた。
「……バレてしまったのなら仕方ありませんね。ええ、その通りです。わたくしはユキミで間違いありません。
本来の姿は小鳥ではなく、こっちの真っ白な仔狐なのです。元々はメテオライト様のペットだったのですが、これからのコトを考えたら、わたくしはナツキ様の側にいた方がいいと言う結論に至ってしまいまして……。
そのためわたくしはメテオライト様の元から離れ、こうしてナツキ様のお側にきておりました……。」
「めちゃくちゃ話すね?」
「まぁ、このような見た目ではありますが、一応はアルコバレーノが連れ歩いているペットなので。
メテオライト様の特徴はわたくしも受け継いでいるんです。なので、ボンゴレⅠ世が生きてた頃からずっと生きてるものですから、他のペットとは違って話せるようになってしまいました。」
「じゃあ、夏を2回見たってのは……」
「申し訳ありません。あれはウソです。実際は何百回も見てたりします。まぁ、強ちウソでもないのですが……。
だってこんなにもクソ暑い夏は本当に2回目だったりするので。」
……まぁ、近頃の夏はおかしいくらいに暑いからね……なんて心の中で思いながらも、目の前にいるユキミを見つめる。
まさか、アルコバレーノのペットにあたる存在が、わたしの側にいたとは思いもよらなかったな……。
……そんなことより…………。
「……もふもふ。」
「?あ、わたくしの真っ白な毛並みがお気に召しましたか?どうぞ、思う存分お触りくださいませ。
この真っ白な毛並みはわたくしの自慢の一品の一つですのでモフ度にはとても自身があります。」
真っ白な狐のぬいぐるみのようにもふもふで触り心地良さそうな毛並みを見つめていると、ユキミはドヤ顔をしながら真っ白な毛を自慢してきた。
触っていいとのことだから、お言葉に甘えてユキミを優しく抱き上げ、そのまま緩やかに毛並みを撫でる。
狐には触ったことがなかったけど、ものすごくふわふわで滑らかな毛並みをしている。
「ん〜……メテオライト様とナツキ様はやはり撫でられ心地が全然違いますね。
ナツキ様はとても優しくて緩やかで、無遠慮な撫で方ではないのでとても気持ち良いです。
ナツキ様にいろんな動物が寄りたくなる気持ちがよくわかりますねぇ。やはり、メテオライト様からナツキ様にお仕えする相手を乗り換えてやりましょうか……。」
上機嫌にもふもふの尻尾を揺らしながら、撫でられ心地を口にするユキミ。
流石にそれはやめてあげなさいと言いたいところではあったけど、このもふもふがお仕えしてくれるのはちょっと興味あるかも。
まぁ、引き抜きはしないけど。
「……って、仔狐と女の戯れに和んでる場合じゃなかったな。ユキミが何者かなんとなくわかったところで次のレッスンだぞ。」
「……まだやるの?」
もふもふふわふわ……と脳内でユキミの触り心地を満喫していると、リボーンから次の課題を出すと言われる。
このままファミリーに甘えるとか言う課題がスルーされたらよかったのに……。
「次は獄寺と山本に甘えに行くぞ。」
「え゛!?」
そんなことを思っていると、次の甘えに行く対象の名前を告げられた。
告げられた言葉に固まっていると、リボーンはすでに携帯電話を取り出している。
「ちなみに、ナツがヒバリにくっついてる間に2人にもナツの本当の性格は甘えたがり屋であることを伝えておいたからな。
昼休憩の時間くらいはあの2人にも少しだけナツとの時間を作ってやれってヒバリから許可をもらってきたから打ち明けるんだぞ。」
「ちょっと!?また容赦ない情報漏洩されてるんだけど!?」
「まぁまぁ、ナツキ様。そう目くじら立てなくてもよろしいではありませんか。
わたくしもリボーン様の立場でしたら、間違いなくナツキ様のことをファミリーの皆様に告げ口してますしね。
常々思っていたのですよ。ナツキ様は甘えるのが本当に下手くそでいらっしゃると。
折角メスに生まれ落ちたのですから、オスの1匹や2匹、その手のひらでころころと転がすように手玉に取って甘えて、満足したら離れるような小悪魔になってもよろしいと思いますよ?
そうすれば、ナツキ様の魅力にメロメロになられた殿方を増やせますし、ナツキ様の味方はどんどん増えていきますし。」
「……ねぇ、ユキミ。キミ、知り合いか御先祖様あたりに日本三大妖怪のお狐様いたりしない?」
「そんなことありませんよ?多分、ね。」
「ええ……?」
ユキミの反応に困惑するが、彼女はころころと鈴を鳴らすように笑うだけで全くと言っていい程に気にしていない様子だった。
助けを求めるようにリボーンへと視線を向けるが、彼もユキミの言葉に賛成なのか、「それもある種の生き抜き方だぞ」と言うだけだった。
「んじゃ、息抜きできるポイントを増やすために、昼休憩は獄寺と山本に甘えられるようになるのが課題だな。
どうせ昼休憩中は屋上をお前らが占拠してんだ。甘えるナツの姿は2人しか見ねーぞ。
仮に他の奴がいてもヒバリくらいだろうしない。なんの問題もねーしな。」
「さらにハードルが上がった………。」
「だ〜いじょ〜ぶですよ〜、ナツキ様。ナツキ様ならあのお二人も悩殺イチコロメロメロボーイにすることができますわ。
避難所を作るついでに、どんどんお猫様の下僕のように殿方を落として行っちゃいましょう!」
「……やっぱりキミ、どこぞの白面金毛の血縁でしょユキミ。あれ?て言うか、小鳥の見た目からユキミってついつけちゃったけど、名前、これでいいの?」
「わたくしの名前ですか?そこら辺はご安心くださいませ、ナツキ様。お餅に包まれたまんまるな大福アイスを連想するような見た目をしていたのはわたくし自身ですし、ナツキ様がつけてくださったユキミと言う名前はなかなかに気に入っております。
メテオライト様はわたくしに名前などつけておりませんし、あのド変態なクソジジイの小鳥に紛れ込んでいた時も、シロなどと言う犬のような名で呼ばれていただけですので。
ふわふわもちもちな大福アイスのようなユキミでも問題はありませんよ?」
こっちの指摘に特に気にする素振りを見せないユキミに、わたしは何度か瞬きをする。
まぁ、彼女が気に入ってくれているのであればこのままでもいいと思うけど、やっぱり某大福アイスを連想したからって理由でつけたユキミの名はどうなんだろう……。
折角本狐はすごく綺麗な仔狐なのに……あ。
「ん〜……やっぱユキミはなし。これからはサツキって呼ばせてもらうよ。」
「サツキ……でございますか?」
「うん。漢字にすると桜と月でサツキ。メテオライトさんに関係あるってことは、わたしの前世のこともよく知ってるってことでしょ?」
「ええ、もちろんです。ナツキ様がサクナ様と呼ばれていた時のことも知っておりますよ。」
「だったらちょうどいい名前だ。今の名前と昔の名前。両方から一文字ずつ取ってつけたからね。」
“どうかな?”と首を傾げながら問いかけてみると、彼女は一瞬キョトンとした表情を見せる。
しかし、直ぐにパァッと狐でありながらもすごく明るい笑顔を作っていると思えるような笑顔を見せては、その場で頷いた。
「とても素敵な名前です!!ですが、よろしいのですか?わたくしがナツキ様とサクナ様の両方から一つずつ漢字をいただいてしまっても?」
「うん。」
「!……ではこれからわたくしのことはサツキとお呼びくださいませ、ナツキ様!そのお礼にわたくし、キッチリとナツキ様にお仕えする癒し系ペットとしてお側にいます!」
……RPGだと新たな使い魔をゲットした………なんてテロップと一緒に入手BGMが流れそうな雰囲気に、少しだけ苦笑いをしながらも、わたしはユキミ、改めサツキの毛並みを優しく撫でれば、彼女は気持ち良さげに目を細めたのち、わたしの肩に飛び乗ってきた。
わたしの首に襟巻きのように巻きついて、そのまま伏せた。
「……何これ?」
「わたくしの親愛の証にございます。普段はあまり、このように誰かの肩に乗ったりしないのですが、ナツキ様には遠慮なく巻きつかせていただきます。
ふわふわのもふもふを存分に堪能していただけるでしょう?」
「……まぁ、確かに気持ちいいけど、夏場はやめてね?」
「暑そうだしな。」
ユキミと呼んでいた存在のまさかの正体を知ることになった一休みに、苦笑いをこぼしながらも、わたしは与えられた課題をどうやってクリアしようかと思考する。
……隼人と武にも甘えられるようになっとけって言われても、同級生に急に甘えるのって難しいよな……。
「かつての御自身のように、幼馴染みに甘える感覚で大丈夫だと思いますよ?」
「……頑張ってみる。」
「ちゃんと甘えたことが確認できるまでは課題のクリアにはならねーからな。」
「うぐ……。わかってるよそれくらい……」
大丈夫かな……。引かれないといいんだけど…………。
沢田 奈月
なんとか雲雀に甘えることができた転生者なボンゴレ10代目。
続け様に獄寺と山本にも甘えられるように心を許してみろと言われて困惑するが、なんとか頑張ると口にする。
ユキミと名付けていた小鳥のまさかの正体にかなりびっくりしたが、これに関しては割と早く受け入れ、ユキミからサツキに名前を変えてこれからも行動をとることにした。
リボーン
容赦ない情報漏洩を発揮しているアルコバレーノなヒットマン。
オレが覗きにいったら即行で桜奈にバレるよな……と思っていたので屋上で待機していたら、ユキミと呼ばれていた小鳥に憑依した骸により彼女が四苦八苦した末にヒバリに甘えたことを教えられた。
ユキミからサツキに名前を変え、これからも桜奈の側にいる不思議動物の彼女にはかなりビックリしたが、メテオライトが元の主人であることを聞き、なんだ、レオンと同じかと納得した。
ユキミ 改め サツキ
実はアルコバレーノのメテオライトのペットだった真っ白な仔狐。
メテオライトにかかった呪いの影響から不老不死になってしまっており、初代のボンゴレの時代からずっと生きている長生きさん。
そのためか、かなり流暢に言葉を話すし、頭もめちゃくちゃいいので、普通に人間と意思疎通ができてしまう。
バーズの小鳥の群れの中に紛れていたのはメテオライトから桜奈へと飼い主の譲渡が起こしやすいようにするためで、ちょっと頭がいいだけの小鳥と誤認させるためにカタコトで話していた。
見たものならば何にでも姿を変えることができる形状記録カメレオンのレオンの下位互換のような存在で、自身の目で見た動物であれば、どのようなサイズの生き物にでも姿を変えることができる生体記録キツネ。
しかし、人間や虫、水生動物と言った特定の種には姿を変えることができない様子。
キツネでありながら、骸からの契約なしの憑依を可能にしているのだが、その理由はまだ秘密。
性格はとても明るく、しかし時折小悪魔のような誘惑癖を暴露してくることがある。
メスであることを活かしてオスを転がし、自身の下僕にして味方につけるのはありですよ?と桜奈に教え、リボーンからは生き方の一つではあるが、余計なことを教えるなと軽く呆れられた。