最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
いつもの場所から帰路につく桜の花は、そこで父親と合流するのだった。
ジョットさん達とこれからのことを話し終えたわたしは、いつも通り並盛神社をあとにする。
いくら家に連絡を入れているとは言え、あまりにも帰りが遅かったら再び母さん達に心配をさせてしまうから。
しばらくの間は、なるべく早めに帰らなくては……下手したらまた、ちびっ子達に泣かれてしまいそうだ。
「お。ナツ。ここにいたのか。」
「父さん。」
そんなことを思いながら神社の階段を下っていると、聞き慣れた声が前方から聞こえてきた。
まさか父さんが来ているとは思わなかった、と少しだけびっくりしながら父さんの方に歩み寄ると、彼は小さく笑ってわたしの頭を優しく撫でる。
「お参りでもしてたのか?」
「うん。そんなところ。」
「そっか。だが、あまり遅くなり過ぎんなよ?母さんとチビ達が心配するぞ?もちろん、父さんもな。
実際、母さん達がちと落ち着かねー様子をせてたから迎えに来ちまった。」
「ん。気をつける。」
苦笑いをしながら、迎えに来た趣旨を伝えてきた父さんに、これからは気をつけることを伝える。
父さんはそれに安堵したのか、口元に小さく笑みを浮かべながら踵を返した。
直ぐに父さんの隣に並び、これまで関わってきた男性の中でもかなり逞しい太さと硬さを持ち合わせている腕に自身の腕を絡ませて離れないようにくっつけば、父さんは一瞬驚いたような表情を見せるたが、直ぐにそのまま歩き始めた。
「ディーノからちゃんと物は受け取って帰ったか?」
「うん。今つけてる手袋が贈り物。9代目からって言われた。」
「9代目から?」
「そ。」
9代目から手袋……?と首を傾げながら疑問符を浮かべる父さんに、何を受け取ったのか見せるため、死ぬ気の炎を灯す。
その瞬間、手を覆ってる手袋はエンブレムが刻まれたグローブへと姿を変えた。
「初代ボンゴレが使ってたグローブと同じものなんだって。刻まれてるエンブレムはわたしの代の英数字だけど、それ以外は同じだって手紙に書かれてた。」
「なるほどな。でも、ナツにはちょうどいいかもしれねーな。父さんをぶん殴ってきた時、めちゃくちゃ早かったしな……」
「フゥ太のランキングでもパワー型よりはヒットエンドランを中心にしたスピード型の戦闘スタイルがいいって言われた。」
「マジか。いや、まぁ、確かにナツは素手やトンファー、槍を使った方が有利に戦えるって話は父さんも聞いていたが、フゥ太からのお墨付きだったんだな。」
“つか、ナツも自力で死ぬ気になれるのか”……と苦笑いをこぼす父さんに、小さく頷き返した後、死ぬ気モードを解除する。
わたしと父さんが話しているからか、ジョットさん達は少しだけ離れた位置を歩いているけど、わずかに見えた御先祖様はドヤ顔を披露していた。
まるで“オレが育てました”とでも言いたげ……あ、Dさんがつっかかって口喧嘩が……Gさんに殴られて止められてる……。
……相変わらずわちゃわちゃしてるな御先祖様達。
「にしても、9代目からの手紙に書かれてたって……」
「9代目とは前から文通してるよ?」
「マジか。父さんは知らなかったんだが?」
「言ってないし。」
「そうだけどよ……」
前からっていつからだよ……と知らぬ間に娘が自身が従っている人間と文通してることに軽くショックを受けながらツッコんで来る父さん。
9代目と文通を始めたの、今更話すことなんてとかウジウジ言って連絡先をくれなかったマフィアランドの一件頃からって言ったら精神的にダメージ入るかな?
「9代目と文通を始めたのはどっかの誰かさんが何を話したらいいかわからないとか言ってウジウジと連絡先を直ぐに教えてくれなかったマフィアランドの一件辺りからだよ。
9代目、わたしのことをすごく気にかけてくれて、どっちが父親なのかわからないよ本当。」
「はぐ!?」
わざとらしく刺々しい声音を使っていつ頃から9代目と文通していたのかを告げれば、父さんがその場で凹んだ。
その姿を鼻で笑ったあと父さんから離れて歩けば、「待ってくれナツ〜!!」と随分と情けない声を出しながら追っかけてきた。
「今回の手紙にも気にかけてくれる文字が記されていた。我々は君の味方だとも、躓くことがあったら頼ってほしいともね。どこぞの放浪オヤジに比べて何倍も頼もしい言葉だよ。」
「悪かった!本当に悪かったこの通りだ!!これまでのことを考えるとそんな風に言われても仕方ねーし、甘んじてその小言は受け止める!!
だから頼む!!挽回の機会を父さんにくれ〜〜〜〜〜っ!!」
ちくちくと精神を刺すように言葉を紡いでいると、わたしの前に急いでやってきた父さんが深々と頭を下げて謝罪してきた。
『なんとも情けないですね、この門外顧問。』
『ナツキを自分の実子として考えるとして、仕事にかまかけて放ったらかしにして過ごせるか?』
『無理だな。』
『無理でござるなぁ……』
『兄妹で考えても無理だものね。』
『無理に決まってるよね?ただでさえ無茶をしやすい子なんだから。』
『究極に無理だな。』
『無理に決まってるでしょう。私が父親であれば仕事とナツキの父親の両方をこなしますし、なるべく毎日気にかけることができるように仕事の効率化や側に住んでいてもこなせるような工夫をしますよ。』
『……Dと同じ意見がものすごくイヤなんだが。』
『勝手に考えて勝手にショックを受けないでもらえますかプリーモ?』
『……つか、この場にいる全員が同じこと考えてんじゃねーか?』
『『『『……Dと同じか………。』』』』
『ちょっと!!なんで全員ショックを受けてるんですか!!張っ倒しますよ!!』
……賑やかだなー………と少しだけ遠い目をしたくなりながら、全力で謝罪する父さんへと視線を向ける。
頭を下げられていて顔はよく見えないけど、本気で申し訳ないと思っていることはよくわかった。
「……だったら、もう二度とくだらないことでウジウジしないで。わたしも母さんも、今更話すとかあり得ないって言ったりしないから。
まぁ、デリケートな話をされたら流石にキレるけど、それ以外なら別に気にしないし。
あと、少しくらい顔を見せて。それだけでも安心できるから。
……他にも言うとしたら……今のごちゃごちゃが落ち着いたら、ちゃんと旅行とかに連れてって。
遊園地とかでもいいから、ちゃんと家族の時間を作ってよ。」
“それで全部ちゃらにしてあげる”と、拗ねた声音で伝えれば、父さんは目を丸くしてわたしの方に視線を向ける。
しかし、直ぐに口元に笑みを浮かべては、そのまま静かに頷いた。その姿に少しの安堵を抱きながらも、わたしはカバンの中に入れていた9代目からの手紙を取り出す。
そして、そこに記されているある文字に目を向けては、父さんと再び向き直った。
「ここからは、父と娘としての話じゃなくて、マフィアのボス候補とマフィアに属する大人としての話だよ。
9代目からの手紙に、少しだけ気になる文字が記されていてね。父さんにも一応知らせておきたかったんだ。」
「!?」
わたしの言葉に、再び父さんは驚いたような表情を見せる。しかし、直ぐに頭を切り替えたのか、その表情は先程までの父親の顔ではなく、マフィアと言う立場にいる沢田家光としての顔になっていた。
切り替えが早いな……と頭の片隅で思いながらも、わたしは手にしていた手紙の一文を指差す。
「この一文なんだけど……」
「……“今この時も、何やら怪しい動きをしている者達がいる”……か。確かに、こっちの方でも一部の人間の怪しい行動は観測しているが、9代目もやはり気づいていたか。」
「みたいだね。」
わたしが指差した文章を見て、父さんの方も一部の怪しい動きを観測していると口にする。
父さん達でも観測できる……と言うことは、やっぱりこの手紙に記されている“沢山の試練”の文字は間違いないようだ。
でも、わたしが言いたいのはそれだけじゃない。わたしは、この文字を見てから少しだけ嫌な予感が胸中を渦巻いていた。
「……9代目が危ない。」
「!?」
「わたしの中に流れてるプリーモの血がそう言ってる。怪しい動きをしている人達は、きっと、9代目に対して何かしらの行動を取るつもりだよ。」
「……プリーモの血が………。」
「うん。不思議と、わたしは自身に流れてるプリーモの血の声が聞こえるんだ。
何が危ないのか、何を警戒すればいいのか、手に入れた手札をどんな風に使えばいいのか、それを教えてくれるんだよ。」
わたし自身、ジョットさんと言葉を交わし、触れ合うことができるけど、ジョットさんが側にいなくても、わたしは彼の声を聞くことがある。
いや、これに関しては聞けるようになった……が正しいかな。9代目から贈られたジョットさんと同じ形状のグローブ……それに触れた時から聞こえるようになった。
まるで、わたしの中に彼がいてくれているような……そんな感じだ。
「父さん。イタリアに戻るのはいつ?」
「明日には飛行機に乗ってイタリアに戻るつもりだ。」
「ボンゴレの証を取りに行くために……かな。」
「!!そんなことまでわかるのか……!?」
「うん。」
いつイタリアに戻るのかを父さんが教えてくれた瞬間、再び聞こえた穏やかな声。
わたしの視界に映り込むジョットさんが、驚いたような表情を見せている様子から、彼が何かを言ったわけじゃないのは明白だ。
『……ジョット、ナツキに何か言ったか?』
『いや、今は何も言ってないはずだが……』
『え゛!?じ、じゃあ、ナツは本当に自身の中に流れてるプリーモの血の声を聞いてる……ってこと……?』
『……ふむ……可能性として挙げるとしたら、我々がそれなりに干渉をしてしまった結果、彼女の中に宿るプリーモの遺伝子が完全に目を覚ました上、これまで吸収していった知識や技術によりイレギュラーが発生して能力が引き上げられてしまった……と言ったところですかね。』
『そのようなこと、あり得るのでござろうか……?』
『ナツキは特殊な生まれ方をしてるし、これまでのボスとは明らかに違う環境にある。あり得ない話ではないんじゃない?』
『うーむ……確かにあり得ない話ではないかもしれんが、ここまで能力が引き上がるものだろうか……?』
『何であれ、私としては大歓迎ですがね。プリーモと同じ能力を持ち合わせていると言うのであれば、その能力をさらに引き上げ、彼女を女王への玉座へと導くまでですから。』
背後で話してる初代ファミリーの会話に耳を傾ければ、ジョットさんは今のわたしには何も言っていなかったことが確定する。
少しだけ無言で彼らを見つめたわたしは、自身の手元へと視線を落とした。
今は黒皮の手袋となっているグローブ……英数字のXが刻まれているから、イクスグローブとでも言うべきか……。
死ぬ気の炎を灯してなければ、普通の革手袋にしか見えないそれを見つめながら、わたしは一度目を閉じる。
─────……わたしの中に流れているジョットさんの血……それが、完全に覚醒しているのか。
“そのグローブとプリーモの血が守ってくれる”……きっと、手紙に記されていたこの一文を書いた時、9代目もそれに気づいていたのだろう。
イレギュラーな覚醒と能力の引き上げが起こっているのだとしたら、それならそれで、自分のやりたいことのために使えばいい。
─────……例え、なんらかの拍子に1人になるようなことがあっても、ジョットさんの血がわたしを守ってくれるし、力を貸してくれる……それは、すごく心強いかな。
これからの試練がどのようなものになるかはわからない。でも、厳しいと言うことだけはハッキリわかる。
沢山苦しい思いもするし、痛い思いだってするだろうから、不安の二文字が脳裏に過る。
だけど、それを打ち消すかのように、わたしの手は大きな手に握られ、大丈夫だと言うように頭を撫でるような温もりに包まれた。
少しだけ驚いてジョットさんの方を見るけど、今の彼らはわたしから離れた位置にいて、わたしを抱きしめたり、頭を撫でたりできるような距離にはいない。
では、さっきの温もりは……?疑問を浮かべながら視線を少しだけ後ろに向けてみれば、一瞬だけオレンジ色の炎を灯してる男性の姿が視えた気がした。
─────……そっか。いつも話してるのは、友人としてのジョットさんで、今視えたあなたは、ボンゴレⅠ世としてのあなたなんだね。
正解だと言うように、再び温もりが体を巡る。言葉を交わすことはできないけど、ボスとしての先達である彼も側にいてくれるのであれば、わたしはきっと頑張れる。
─────……ありがとう、プリーモ。
「……イタリアに戻ったら、真っ先に9代目の安否を確認した方がいい。もし、少しでも手を回すのが遅かったら、かなり厄介なことになりそうだし、最悪の場合、取り返しのつかないことになるかもしれない。」
「……やれやれ。オレ達の次代の女王陛下は随分と超直感が強いようだな。オレにも一応あるんだが、どうもナツのそれにゃ及ばねーわ。」
「わたしも正直言ってびっくりしてる。でも、わたしのやりたいことを達成するには、これくらい強力な力は必要な気がするよ。」
「ナツのやりたいこと?」
「うん。わたし、マフィアを取り締まるマフィアを作るつもりでいるんだ。そのためには、ボンゴレファミリーの力はかなり必要になる。」
「!」
わたしのやりたいことを聞き、父さんは驚いて目を見開く。娘の口から、マフィアになってマフィアを取り締まりたいなんて急に聞かされたら、その反応も頷ける。
そんな父さんに、わたしは自身の想いを伝えた。骸と過ごしたことにより知ることになったマフィアの闇や、それに伴い苦しめられ、歪められた子供の存在、もう少し見方を変えることができていれば、繰り返す悲劇は止められたことを。
同時に、その副作用として、自身のマフィアに対する印象が最底辺にまで暴落し、今の自分はマフィアに対して、軽蔑と怒りしか向けることができないことも話した。
まぁ、骸達のマフィアを殲滅したいと言う感情に同調してしまうくらいになっていることだけは話さなかったけど。
流石に父さんに、こんな話は聞かせることはできない。
「誰かがマフィアを変えようとしなければ、同じような子供をひたすら増やしてしまうだけで減らすことができなくなる。
一度歪まされ、壊されてしまった子供は一生そのまま生きていき、マフィアに対する恨み辛みを募らせる。
そして、恨み辛みを募らせた上で歪まされてしまった子供は、新たな悲劇を生み出す引き金になりかねない。
誰かが手を差し伸べてその悪循環を止めなければ、無法地帯化がひたすら進み、いずれマフィア全体が完全に崩壊すると思うよ。
……どの世界にも、抑止力になり得る存在は必要ってこと。まぁ、わたしの代でどこまで変えることができるかはわからないけどね。」
自分のやりたいこと……その考えに至った理由を最後まで語れば、大きな手がわたしの頭に乗せられる。
直ぐにわたしの頭に手を乗せてきた張本人を見据えれば、彼は少しだけ心配そうに、だけど、応援するような笑みを浮かべていた。
「……そんなことを考えていたとは、父さん思いもよらなかったぞ?全く……見ないうちにとんでもないお姫様に成長しちゃってよぉ……。
でも、ナツの想いはしっかりと伝わったぞ。なかなか大規模な野望じゃねーか。
だが、無理はするんじゃないぞ?でっかい目標を持つことはいいことだが、ハードルを上げ過ぎたらまたぶっ倒れちまうからな。
……オレにもできることがあったらいつでも言ってくれ。こっちが使える立場や能力を以て、しっかりとサポートしてやるから。」
父さんの言葉に静かに頷けば、父さんはいつもの父親としての笑顔を見せる。
……わたしが言った言葉は、普通の子供が考えるようなものじゃないと思うけど、それに関して口を出さないのは、きっと、父さんも“わたし”に気づいているからだろう。
でも、それを話せと言わないのは、わたしのことを想ってのことだとわかるから、今はそれに甘えよう。
その代わり、そのお礼としてわたしは、父さんの大切なものを少しでも守るためにも力と人脈を使っていこう。
「んじゃ、帰るか!母さんが美味い晩飯沢山作って待ってるぞー!」
「うん。」
そんなことを思いながら、わたしは父さんと一緒に帰路につきながら、マフィアの連絡先が登録されている携帯電話を取り出した。
画面に表示しているのは、いつのまにか増えていた連絡先の一つ……メテオライトの名前を持つ青年のアドレス。
それを少しだけ見つめたわたしは、直ぐにメールボックスを開き、新規作成を選択する。
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from:メテオライト
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題名:相談とお願いがあります
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こんにちは、メテオライトさん。奈月です。
突然ですが、あなたに一つだけお願いがあり
ます。
9代目が危ない……彼からの手紙を見た時に、
わたしの中に宿る血がそう言って気のですが
可能であれば9代目を助けるためにも力を貸し
てほしいです。
きっと、彼の力が必要になるので、あなたの権
力を少しだけ使わせてもらえないでしょうか?
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沢田 奈月
自身に流れているプリーモの血……
9代目からの手紙を見て、嫌な予感を抱いたために、これからのことを考えて、メテオライトに協力要請を出した。
父親の放任に関して、実はまだ根に持っていた女の子。
沢田 家光
愛娘からちくちくと精神的に攻撃されてしまい、全力で謝罪した門外顧問。
彼女の中に宿るもう1人には気づいているが、それは彼女の精神の傷であることをなんとなく察して口にしていない。
D・スペード
周りから色々と言われるわ引かれるわで踏んだり蹴ったりな始まりの1人。
奈月の能力の高さや、未だに伸び代がありまくりの愛弟子を相変わらず可愛がっており、必ず彼女をボンゴレの女王にと改めて決意する。
初代組
うっわ……親としてのあり方はこいつと被りかよ。
いや、まぁ、この考えは正しいものだしみんなそう思うのもわかるけどなんかヤダ……。
何かヤダってなんですか!!何かヤダって!! by D・スペード
賑やかだなー…… by 奈月
……え?オレの娘、何か視えてねーかこれ……? by 家光