最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 父親と共に帰宅し、いつものように寝るまでにやることを済ませた桜は、眠りに落ちると同時に精神世界へと足を踏み入れていた。
 そこである種の片割れたる存在と言葉を交わした彼女は、一つの企てを少年に話す。


桜の企て、双天の協力

 父さんと自宅に戻り、夕飯を食べ、入浴や宿題を済ませたわたしは、寝支度まで終わらせてベッドに横になり、眠りに落ちる。

 程なくして浮上した意識に従い、静かに目を開けてみれば、桜と蓮華が咲き乱れる水辺の精神世界だった。

 

「桜奈。待ってましたよ。」

 

 相変わらず混ざってるな……と精神世界を眺めていると、背後から骸に抱きしめられる。

 わたしを包み込む温もりの持ち主に視線を向けてみれば、彼は穏やかな笑みを浮かべ、わたしの唇へとキスを落としてきた。

 

「……なんでキスしてきたの。」

 

「跳ね馬にだってされていたじゃないですか。上書きですよ上書き。」

 

 ……どうやら、ディーノさんにキスをされていたことが相当腹が立ったようだ。

 浮気しないでもらえます?とでも言いたげな感情が精神世界に広がっている。

 わたし、誰とも付き合ってないはずなんだけど……そんなことを思いながら、骸から何度も落とされるキスを大人しく受け止める。

 

「ちょっと待って?なんか首筋を強く吸われた気がするんだけど?」

 

「……気のせいですよ。」

 

「うん、気のせいじゃないね?」

 

 不意に、首筋に走った少しの違和感に気づき、わたしは手元に鏡を作り出す。

 そっとそれを使って違和感を覚えた首筋を映してみれば、やはりそこには一つだけ赤い印がつけられていた。

 

「……精神世界だったからまだいいけど、キスマーク付けるのやめてくれない?」

 

「だって桜奈は僕の桜奈じゃないですか。」

 

「わたしは誰のものでもない。」

 

 ムスッと拗ねている骸の額にデコピンをかましながらツッコミを入れる。

 ペチッとそれなりに強い力でかましたからか、骸は「痛いです」と痛みを訴えてきた。

 キスマークなんか付けるから少し痛い目にあったんでしょうが。これに懲りたら精神世界だからってキスマークを付けるんじゃない。

 

「なんなんですか。そんなに跳ね馬が好きなんですか。年上が好きなら僕でもいいでしょう。」

 

「なんでそうなんのよ。好きとか以前に付き合ってない女にキスマークをつけることが普通におかしいからね?」

 

 なかなかにめんどくさい彼氏ムーブを見せてくる骸に呆れながらも、そう言うのは恋人になってからにしなさいよと呆れる。

 まぁ、彼の熱烈な想いに応えるどころか、周りからも熱烈な想いを伝えられ過ぎて応えられないわたしが言うのもどうかだけどさ。

 

「ほら、じゃれ合いはここまで。今日は骸とイチャつくために精神世界に来たわけじゃないんだから本題に入らせて。」

 

「今日は……?今日はって言いましたか今?」

 

「……特定の単語を都合よく拾い上げるな。」

 

「あだ!?」

 

 めちゃくちゃ嬉しそうな様子を見せて聞き返してきた骸に今度はチョップをかましながら、わたしはここに来た目的を口にする。

 

「今回、ここに来たのは骸にお願いしたいことがあるからだよ。メテオライトさんからもオーケーが出たしね。」

 

「お願い……?ああ、なるほど……。ボンゴレの9代目……現ボンゴレファミリーのボスに危険が迫ってるんですね。」

 

 わたしのお願いと言う言葉を聞き、こちら側の記憶を見たらしい骸が納得したように頷く。

 ……いちいち説明しなくていいのは助かると思いながら、静かに頷けば、骸は考え込むような様子を見せた。

 

「何が9代目に魔の手を伸ばそうとしているのかはわからない。でも、何かしら手を打っとかないと9代目が危ないことはわかる。それも、誰かの策略によってね。」

 

「そこで、僕に手を貸してほしいと。」

 

「うん。マフィアの手助けになってしまうのは申し訳ないけど……」

 

「桜奈のお願いですから問題はありませんよ。まぁ、確かに、結果的にはマフィアの手助けになってしまいますが、これもまた、あなたの目指しているもの……確かな自我を以てやりたいと思っていることの布石になるのであれば……ね。」

 

 穏やかな声音で協力することを承諾してくれた骸に、わたしは小さく笑い、ありがとうと一言告げて、彼の唇へと自身の唇を軽く触れさせる。

 わたしからキスをされるとは思わなかったのか、骸は一瞬驚いたように青天と黄昏の瞳を丸くしたが、直ぐに口元に笑みを浮かべて深めのキスを返しつきた。

 お礼のお礼って何?と脳裏に過る疑問に遠い目をしそうになったが、彼からのキスが終わるまでは大人しくしておく。

 

「……舌を挿れるのはストップね?」

 

「むぐっ……」

 

 しかし、不意に舌を口内へと挿れられそうになったため、すかさず口を離して彼の口元を片手で押さえる。

 かなり不満そうな視線を向けられたが、そのままそれはスルーして、お預けと言うことを貫く。

 

「わたしの企てが成功したら、そっちの方も受け入れるから今はダメ。楽しみはあとにとっておく方がいいでしょ?」

 

「…………。」

 

「うにゃ!?ちょっとなんで手のひらに舌を這わせたの!!?」

 

「折角良いところだったのにあなたが止めるからでしょう。だから少しだけ仕返しです。」

 

「仕返しで人の手のひらを舐めるんじゃない!!」

 

「首筋や耳にいかなかっただけマシでしょう?」

 

 むっすーと拗ねた表情を見せながら、舐められたことにより力が抜けたわたしの手を掴み、そのまま手首へとキスを落とす。

 彼の双天の瞳には、わずかながら情欲とも取れる熱を帯びた光がチラついており、寸前のお預けに、かなりダメージを受けていることがわかった。

 

「……手首は確か強い欲望だっけ………。」

 

「はい?」

 

「こっちの話。」

 

「あ、ちょっと、意味を確かめようとしてたのに一部の記憶を閉じるのずるいです。

 いくら僕の干渉を拒むことができないくらいの繋がりがあっても、隠されたものは見ることができないんですよ?」

 

「そうなんだ。だったらこのままでいいね。」

 

 前世でシナリオライターをやっている個性的な後輩のせいで謎に増えている知識の内容を骸に見せないように奥の方へと仕舞い込む。

 知識を得たら何をしてくるかわからないしね。変なことはしないと思うけど。

 

「本題。わたしの企てに関しての説明をするよ。まぁ、記憶を見てもらった方が早いんだけどね。」

 

 そんなことを思いながらも、わたしは骸に記憶を見てもらう。

 自分が何をするつもりでいて、骸とメテオライトさんには何をしてほしいのかを。

 

「これは……確かにやろうと思えばできますが、必要なものがかなりありますよ?」

 

 わたしの記憶を見て、骸は理論的には可能だが、必要なものがかなりあるのではと疑問を口にする。

 その疑問はもっとものため、同意するようにわたしは頷いた。

 

「だから、わたしは自分が持ってる人脈をそれなりに使って行くつもり。」

 

「桜奈の人脈ですか……。確かにあなたが持ち合わせているそれはかなりの規模のものとなっていますが、使える人脈があるんですか?」

 

 骸の問いかけに、わたしは思案することなく頷いた。

 同時に、わたしの脳裏にはわたしに流れているプリーモの血の声が聞こえていた。

 

「……『神谷幸弥とメテオライトには明確な繋がりがある。』」

 

「!?」

 

「……わたしの中に流れてるプリーモの血が教えてくれた。彼らに協力を仰げば、間違いなく上手くいくってね。」

 

 聞こえてきた言葉と全く同じ言葉を紡ぎ、驚いている骸へと目を向ける。

 

「余程のことがない限り、わたし達は気配を誤魔化すことができる。だって、あの気配に敏感なリボーンですら、側にいたわたし達に気づけなかったんだから。」

 

「……クフフフ……ええ。僕達なら必ず成功させることができます。あのアルコバレーノすら出し抜くことができたのですから。

 あなたが警戒している何者かには、強烈な嫌がらせをしてやりましょう。自身が優勢に立っていると思い上がるような存在を、奈落の淵に立たせるように蹴落としてやるんです。」

 

「わー……考えがかなり陰湿ー……。まぁ、ちょっと見てみたい気もするけどね。そう言う状況に陥ってる人。」

 

「おやおや……桜奈もなかなか良い性格をしてますね。」

 

 2人してくすくすと笑いながら、企ての果てに餌食になるのはどんなマフィアなんだろう?と揃って考える。

 できれば人の心をポッキリと折るようなことはしたくないけど、まぁ、敵対してくる人にはそれをしてもバチは当たらないよね。

 

「……あれ?」

 

「……おや……。何やら珍しいことが起こってるみたいですね。」

 

 そんなことを考えていると、不意にどこからか緩やかな風が吹いてきた。

 目を覚ます時に起こる意識浮上の気配ではなく、何か、どこかに繋がってしまったかのような感覚だ。

 不思議に思い、風が入り込んでくる方向へと目を向けてみると、星と月が輝く水辺の夜の花園には似つかわしくない光が見えていた。

 骸と一度顔を見合わせて、何度か瞬きを繰り返す。

 

「……行ってみる?」

 

「そうですね……。僕としては桜奈と2人きりで過ごしたいのですが、あなた以外にも精神世界が繋がってしまう存在がいると言うのは少しだけ気になります。あなたの側にいる桜月とも違うようですしね。」

 

「じゃあ行ってみようか。なんだか出会いの予感がする。」

 

 見えてきた光……その先にいるであろう誰かの気配に、新たな出会いの予感がすると口にして、骸と一緒に光の方へと足を運ぶ。

 誰が待っているんだろう……ワクワクする気持ちを抱きながら。

 まぁ、骸はちょっと不満そうだけど。わたしと2人きりでいられないのがちょっとだけイヤみたいだ。

 

「眩しっ」

 

「暗がりにいたからでしょうね。」

 

 しばらく骸と歩いていると、光と闇の境目を通り抜け、眩しい世界に出る。

 その世界はまるで穏やかな水辺のようで、清澄な空気が広がっていた。

 

【……女の子?】

 

【みたいですね。こちらの彼女はまだ覚醒していないようですが……。少しだけ待ってみましょうか。】

 

 まるで自然豊かな避暑地にでも来たのではないかと思わせるような世界に出たわたしと骸は、自分達の繋がりを通して静かに会話をこなす。

 基本的に、精神世界を彷徨いている骸や、同じく精神世界で意識を覚醒させる術を持ち合わせているわたしの声は、例え精神世界に足を踏み入れても持ち主に聞こえたりはしないけど、目の前で眠っている女の子には、わたし達が言葉を使って話すと確実に聞こえることがわかったために。

 

「……え………?」

 

「あ、起きた?」

 

「ふむ……どうやら僕達の姿が完全に見えているようですね。まさか、今を生きる中で2人も精神世界で僕を認識できる存在に巡り合うとは……人生って何が起こるかわかりませんね。」

 

「骸。なんか発言が年寄りくさい。」

 

「年寄りくさいってなんですか年寄りくさいって!!」

 

 目を覚ました女の子と目が合い、挨拶をしながらも骸とのやりとりを行う。

 目を覚ましたら男女2人組がなんかわちゃわちゃしてるもんだから、女の子はかなり混乱しているような様子を見せていた。

 そりゃそうだと思いながらも、わたしは彼女の前に差し伸べる。女の子は不思議そうにわたしとわたしの手を見比べて首を傾げた。

 その姿を微笑ましく思いながら、わたしは指を一つ鳴らす。同時にわたしの手元に現れたのは、一本の白い薔薇。

 

「!」

 

「目を覚ましたら知らない2人がいてびっくりしたよね。驚かせてごめん。

 わたしの名前は沢田奈月。お詫びと言ったらなんだけど、この白い薔薇を君に。」

 

「……奈月。あなた、絶対男だったら女性トラブル起こして刺されますよ?」

 

「……ちょっと。怖いこと言わないでもらえるかな?」

 

 わたしの手元に現れた白い薔薇を少しだけ頬を赤らめながら受け取る女の子に自身の名前を教えると、骸から男だったらとんでもないことになっていたとツッコまれる。

 そのことに少しだけ言い返しながらも、女の子へと視線を向けてみれば、女の子は骸に目を向けて、この人は誰だろう?と言わんばかりに首を傾げている。

 その姿を見て、名前を明かせと促すように肘で小突けば、骸は一瞬だけ痛いと言いたげな表情を見せた。

 

「僕は六道骸です。彼女の恋人だと思ってくだされば……あだ!?」

 

「余計なことを吹き込もうとするんじゃない。」

 

 しかし、直ぐに彼は頭を切り替えたのか、女の子に自分の名前を教える。

 そのあと余計なことを言おうとしていたため、やめろと言うように肘鉄をかませば、綺麗に鳩尾に入ったのか骸はその場で軽くうずくまった。

 

「ごめんね。この人、たびたび変なことを言うことがあってさ。全く……別に付き合ってもないのに勝手に恋人認定をして来る悪癖なんとかならないのかな……」

 

「強ちウソではないじゃないですか。キスを受け入れてくれると言うのにひどいです……」

 

 拗ねたように言葉を紡ぐ骸に、思わず呆れた眼差しを向けながらも否定することができず無言になる。

 よくよく考えてみれば、キスを受け入れている時点で相当な状態である。

 でも、実際恋人になっているかと言われたら微妙なところで……いや、待って?外国の基準だと日本みたいな告白やらなんやらしなくても、男女で2人で出かけたり、キスをしたりするのはそう言う関係になってるのと同義扱いなんだっけ?

 あれ?だとしたらわたし、三股してることになるの?外国基準だと。

 んん……?

 

「ふっ……ふふふ……!!」

 

 混乱しながら固まっていると、女の子が小さく笑い声を漏らす。

 骸と一緒になって女の子の方に目を向けてみると、彼女はどこか無邪気さを感じる笑顔を見せていた。

 

「ご……ごめんなさい……!2人のやり取りが、ちょっと面白くて……!」

 

 ……どうやら、わたしと骸の痴話喧嘩もどきが彼女のツボに少し入ってしまったようだ。

 小さく肩を振るわせながら、笑い声を漏らしている女の子に、わたしと骸は顔を見合わせて何度か瞬きを繰り返す。

 でも、どことなく暗い表情をしていた女の子が笑顔になってくれたことは嬉しくて、わたし達は小さく微笑んだ。

 

 ひだまりの中に広がる水辺と自然。そこで笑っている女の子が落ち着くまで、わたしと骸は静かに見守る。

 突然訪れた新たな出会い……目の前にいる女の子との邂逅は、意味があるものだと感じながら。

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 9代目が危ないことに気づき、骸に協力要請と言う名のお願いをするために精神世界へと足を運んだボンゴレ10代目。
 風と光に導かれるままに足を運んだ穏やかな世界で、1人の少女と巡り会う。

 六道 骸
 あなたのお願いならばと、彼女の企みに一枚噛むことを承諾したイタリアの術士。
 風と光に惹かれた奈月に手を引かれるままに訪れた穏やかな世界で、1人の少女と巡り会う。

 精神世界の女の子
 目を覚ましたら目の前に綺麗な顔立ちをしている男女2人組に出くわしてびっくりした女の子。
 混乱しながら警戒したが、目の前で繰り広げられる2人の穏やかなやり取りに、この世界で目を覚ます前に聞こえてきた暗いやり取りとは違う暖かさと穏やかさを感じながらも、思わずツボって笑ってしまった。




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