最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
眩い朝日が昇るまで。
「そっか……凪は病院に……」
「うん。」
「事故により一部の内臓と片目を失っている状態とは……随分と厳しい状況ですね。」
あれから女の子の笑いが収まるまで骸と一緒に待つこと数分。
ようやく笑いがおさまったらしい女の子……凪と、わたし達は話していた。
話を聞いたところ、彼女は事故に遭って危篤状態と言っても過言ではない状況に陥っているらしく、現在もかなり危ないようだ。
「このままじゃ死んじゃうってことだよね?なんとかできないかな……」
「……ううん。別にいいの。」
「え?」
「死ぬってことは、全部終わるってことだよね……?だったら、私は、このまま終わってもいいと思うから。」
「「…………。」」
凪の言葉にわたしと骸は顔を見合わせる。今の彼女の状況は、あまりにも見覚えがあり過ぎたために。
「……辛いかもしれないけど、少しだけ凪のことを教えてもらえる?」
「え?」
「君の心境は、かつての奈月にそっくりなんですよ。だから彼女は気になったのだと思います。」
「かつての……奈月に……?」
「うん。そうだね……少しだけ教えようか。奈月として今を生きる私が持つ、“桜奈としての過去”を。
まぁ、内容はかなり陰鬱で、面白いものでもなんでもないけどね。ただ、終わりを迎えたところで完全に終われるかと言われたら、少しばかりわからないってことを知ってほしい。」
不思議そうな表情を見せる凪に、わたしは骸が知っている小鳥遊桜奈としてのわたしの四半世紀の話を聞かせる。
歩いてきた道のりや人間関係、家族間の出来事と、終わりを迎えたあの瞬間の話を。
「……これが、もう1人のわたし……沢田奈月として生まれ落ちた私が持ち合わせている小鳥遊桜奈としての記憶だよ。」
「彼女のように、記憶を持って生まれ落ちることはかなり珍しいことではありますが、人は誰しも死んだところで終わるわけではなく、再びどこかへと生まれ落ちて生きるのが常です。
完全に魂や精神が消えない限り、巡り続けるばかりなんですよ。その先で幸福に生きるのか、それとも惨めに生きるのか……これは当人次第です。
ちなみに、こちらにいる桜奈の場合は、記憶を持っていながらも同じ道を歩もうとして、再び壊れゆくだけの人生を歩もうとしていました。
それを止めるためにどれだけ苦労させられたことか……ねぇ、桜奈?」
「…………………。」
「そこ。目を逸らさない。」
「ふふ……!」
骸から痛いところを突かれ、すっと彼から視線を逸らせば、目を逸らすなと怒られた。
子供っぽく誤魔化そうとしたのが面白かったのか、凪は再び小さく笑う。
しかし、直ぐにわたしの方をじっと見つめたあと、わたしと骸の名前を口にした。
静かに視線を彼女に向けてみると、彼女はどこか真剣な表情でわたし達を見つめていた。
「……私の話、聞いてくれる………?」
凪の問いかけに、わたしと骸は小さく頷く。
質問をしたのはこっち側……ノーと言うつもりは毛頭もなかった。
「ありがとう……」
わたしと骸が頷いたのを確認した凪は、凪と言う女の子に関しての話をしてくれた。
話によると彼女は、かなり冷め切った環境で過ごしていたようだ。女優をしている母親と、その再婚相手である仕事優先の義父……家族とゆっくり話したことなど一度もなく、食事も1人で摂ることが度々あったようだ。
その弊害か、誰かと話すことは苦手で、家の外でも人と話すことはほとんどなかったらしい。
今、こうしてわたしと骸と言う初対面の2人組と言葉を交わすことができていることは、彼女にとって不思議な出来事のようだ。
でも、わたしと骸がちゃんと話を聞こうとしていることが彼女の背中を押しているのか、彼女は自分のことを話してくれた。
「事故に遭う前……私、車に轢かれそうになった猫を助けようとして……それでそのまま……」
「現在の危篤状態に陥ったと……」
わたしの指摘に凪は小さく頷いた。この子もまた、優しさから自身を危険に晒してしまったと言うことだろうか。
「……ふむ……一部の内臓がどれくらいのものかまではわかりませんが、血縁者であり、尚且つ同じ血液型の持ち主からの臓器移植があれば、生存確率は上がる気がしますが……」
「母親がそうだったけど、子供のために体を切るなんて嫌だって。周りも、私をそこまでして生きることなんて考えないって、さっきまで聞こえてた……」
「うっわ……」
「……子供をなんだと思ってるんですかね、その親は。」
全くもってその通りだと頷く。それはつまり、凪の母親は、血が繋がっている子供である凪を要らない子だと遠回しに言っていると言うことになる。
そこまで言うくらいならば、子供を産む選択をしなければよかったのに、と呆れてしまう程に。
まぁ、桜奈として生まれたわたしもベクトルは違えど散々な扱いを受けてきたけどね。
ほぼ前世では透明人間だったし、こっちを見てくれた人も、わたしが纏う理想により引き寄せた人達ばかりで、明確にわたしをみてくれた人は片手で済んでしまう人数だけだった。
─────……まぁ、でも、その親にとって要らないのなら、わたしがもらっちゃっても別に構わないってことだよね?
こうして会えたのも何かの縁。捨てる神あれば拾う神あり、とも言うんだし。
だったらこの子は引き取ってしまえばい。まぁ、こっちで引き取ったら危ない目に合わせちゃう可能性もあるんだけど……。
─────……放っておけないよね。父さんと母さんに話して、うちで引き取ることができたりしないかな?
まぁ、その前に、凪はどうしたいのかを聞かないといけないわけだけど。
「……凪はどうしたい?」
「え?」
「いやぁ……話を聞いてみて、割とキミにはわたしと似たところがあるってわかっちゃってね……。
わたしもさ。骸から言われるまで自分自身がどうしたいか口にすることができなかったんだよ。」
「自分自身がどうしたいか言えなかった……」
「うん。」
わたしの言葉に首を傾げる凪の姿に小さく笑いながら、わたしは骸へと視線を向ける。
わたしの視線に気づいた骸は、一瞬だけキョトンとした表情を見せたあと、確かにと言わんばかりの笑みを浮かべた。
「桜奈もつい最近までは自分の本心……自分自身の望みを口にすることができなかったんです。
彼女の行動の全てが周りの人のためと言う動機からのものでして、周りがそれを望むならばと、自分の意思をそこに宿すことなくやることをこなしていたんですよ。」
「骸からは散々人形みたいだ、ロボットみたいだって怒られちゃった。」
「まぁ、今はそれを止めることができましたがね。桜奈自身がやりたいこと、桜奈自身が望むこと、その全てを叶える形で甘やかし続けていたので。」
「おかげで本来の甘えん坊の自分を引きずり出されちゃったよ。抑えていたかったんだけど。」
「今更抑えようとか考えないでくださいよ?」
「考えないって……」
ジト……と半目で睨んでくる骸に苦笑いをしながらしないよと返せば、彼は安心したように笑う。
そして、ご褒美のつもりなのか、わたしの額にキスを一つ落としてきた。
凪が骸の行動に顔を赤らめる中、今度はわたしが彼を少しだけ睨む。凪の前でもノンストップかこの男は。
「全く……。ごめんね、凪。わたしに対するこれ、もはや骸の悪癖レベルで身についてるものなんだ。
周りに人がいようともお構いなしのスキンシップって言えばいいのかな……。正直、結構恥ずかしいからやめてほしいんだけどね。」
やれやれと首を左右に振りながら、とんでもないものを見せつけられてしまったであろう凪に謝罪の言葉をかける。
わたしの謝罪を聞いて、凪は顔を赤くしながらも首を左右に振った。……よく見たら両手で顔を隠してるな。
うん、変なもの見せちゃってごめんね。
「ここから話を戻すのもどうかと思うんだけどもう一度聞くよ。凪はどうしたいの?」
「……私自身が、望むこと………。」
「うん。ほんの少しだけでもいい。終わること以外でこうしたかった。こんなことを望んでいたって思ってることがあったら教えてほしいな。今芽生えたものや、感じたものでもなんでもいいから。」
わたしの言葉に、凪は何度か瞬きを繰り返す。
しかし、直ぐに考え込むような様子を見せながら、わたしがあげた白い薔薇を見つめていた。
「……もし、叶うのだとしたら……桜奈達と会ってみたい。」
程なくして紡がれた言葉は、わたしと骸に会ってみたいと言う言葉だった。
その言葉は精神世界だけでなく、現実世界でもわたし達に会いたいと言う小さな望み。
「こうして……私と話してくれる人はほとんどいなかった……。人と話すことが苦手だったこともあるけど、話しかけてくれる人はほとんどいなかったし、家族とも何かを話したことがほとんどなかった……。
悲しむ人がいないなら、別にこのままいなくなってもいいかもしれないって終わったけど……私、もっと桜奈達と話したい。」
そこまで口にして、凪は静かにわたし達に視線を向ける。その表情にはどことなく不安が滲み出ており、彼女自身、これでいいのかもわかっていないようだ。
「こんなことでも……いいのかな……?」
恐る恐ると言った様子で、わたしに確認するように言ってくる凪に、わたしは一度頷き返す。
それでいいと言うように。
「……!………。」
頷いたわたしに、凪は目を丸くしながら安心したような表情を見せる。
しかし、直ぐにそれは曇天のような重さを感じるものへと変化してしまった。
間違いなく彼女の身に起きている現実が、その表情を浮かべる原因となっているのだろう。
「……骸。有幻覚を使って内臓とかって作れたりする?」
彼女の暗い感情を読み取りながら、わたしは隣を陣取る骸に問いかける。
有幻覚による仔猫の器……それを使ってかつての始まりのボンゴレを現世に蘇らせることができたから、もしかしたらと考えて。
「ええ。可能ですよ。……その様子からするに、彼女を助けたいと言ったところでしょうか?」
「うん。」
「!?」
骸からの問いかけに即時に頷き答えれば、凪が驚いたような表情を見せてわたしを見つめてきた。
わたしはそれに気づかないフリをしながら、骸に一つの提案をする。
「こうして精神世界を繋げて話すことができるってことは、彼女もわたしと同じで骸を無条件で憑依させることができるってことでしょ?
これからのことを考えると、どうしても骸の力が必要になると思うんだけど、当本人は脱獄やらなんやらをやらかした上、ボンゴレ10代目を誘拐した疑惑がかかっているせいで、イタリアから日本に向かうことは許されない。
そこで、凪を通じてこっちで力を振るうようにすることができないかと思ってね。
わたしに関係することは、ゆるゆるガバガバな制限しかされていないわけだし。」
「ああ……なるほど。確かにそれは一理ありますね。」
「????」
わたしと骸のやり取りに、凪は沢山の疑問符を浮かべている。まぁ、彼女からしたら、なんのこっちゃと言うのが正しいからね。
仕方ないとしか言いようがない。
「ねぇ、凪。もし、わたしが知る限りの方法の中で、一つだけ凪を生存させてあげることができる方法があるって言ったらどうする?」
「!?」
そんなことを思いながら、わたしは凪に一つの質問を口にする。
正直言って、この話は彼女の身にもこれから先大変なことが起こってしまうから、あまりススメたくはないのだけど、彼女の望みを叶えるのであれば、1番手っ取り早く済ませるには、これしか今はないのである。
「私……桜奈達に会えるようになるの……?」
「うん。会えるようになるよ。まぁ、骸はしばらくの間、こう言った精神の世界でしか会うことができない状況にあるのだけど、わたしには会うことができる。
でも、その代わり凪はもっと危険な目に遭ってしまう可能性が高く、正直言って、あまり推奨はできない。」
凪の問いかけに、会うことができると肯定を返す。
ただ、この話は凪自身、もっと危険な目に遭ってしまうことが明白になっているため、提案者でありながらも推奨できるような話でもないと伝える。
なんせ、マフィアに関わる話だ。平穏と遥かにかけ離れている世界に、一般人の子の意思を無視して連れて行くわけにはいかない。
「でも、桜奈達には会えるんだよね……?」
「……会えるよ。会えるけど、繋いだ命が再び危険に晒されてしまう可能性が高過ぎる。
何かあっても、守る力を身につけるつもりではいるけど、わたしが手を届かせる範囲も限られてくるからね。
守り抜けなくなってしまう可能性もそれなりにあるんだ。こっちの方に関わらせないように生活させようと奮闘しても、遅かれ早かれ巻き込まれてしまうと思う。」
“だから、この提案に乗るかどうか、よく考えて答えてほしい”……凪にそう告げながら、わたしは彼女を真っ直ぐと見据える。
わたしの言葉を聞き、凪は何度か瞬きを繰り返し、考え込むような様子を見せる。
程なくして考えをまとめたのか、彼女は静かにわたしに視線を向けた。
「……私、桜奈達に会いたい。危ない目に遭うかもしれないことは、すごく怖いけど……それでも、桜奈達に会えるようになるのなら、生きてみたい。」
彼女が口にしたのは、生きたいと言う言葉だった。危険な目に遭うかもしれない……その忠告に対して確かな恐怖を抱いてはいるが、それでもわたし達に会いたいと、ハッキリとした声音で告げてきた。
その言葉を聞き、わたしと骸は静かに顔を見合わせる。しかし、直ぐに静かに頷き合っては、凪に小さく笑いかけた。
「わかったよ、凪。」
「では、僕の手を取ってください。凪を生存させることができるのは、現在では僕だけですから。」
「まぁ、わたしもやろうと思えばできるんだけど、基本的にわたしは桜奈としてではなく奈月として生活しているからね。
常に生命を繋ぎ止めると言うのは少しばかり難しくてね。言い出しっぺでありながら申し訳ない。」
凪を常に生存させることができるのは、現状では骸だけであることを伝え、苦笑いをこぼしながら謝罪をすると、凪はその場で首を左右に振る。
そして、自身の方に手を差し伸べている骸の手に、自身の手を静かに重ねた。
凪の手をそっと握りしめた骸は、わたしに施している繋がりとはまた違う繋がりを彼女へと施す。
「……それじゃあ、わたしもわたしで凪を迎えるための準備をしないとね。」
「私を迎えるための準備……?」
「うん。いくつか現実の方で小細工を施しておくんだよ。危篤状態だった女の子を生存させるためのね。
とりあえず、まずはキミの親からキミを引き取るための口実作りをしないとね。」
「!」
骸の精神を通じて伝わってきた彼女との繋がり。それを確認したわたしは、今からやらなくてはならないことを口にする。
彼女の親から引き取る口実と言う言葉に、凪は目を丸くした。
「私を……引き取るの……?」
「そのつもりだよ。いろいろと複雑な話になるから割愛させてもらうけど、凪にひどいことを言っていた親は、ちょっと子育てに向いてないみたいだからさ。
さっきも言ったように、これから先、凪は危険な目に晒されることが度々ある。
それは、わたしが辿り着こうとしている玉座が表の世界に置けるようなものではなく、裏側の世界に置かれている玉座だからなんだ。
まぁ、いわゆるヤクザみたいなものでね。ヤクザ以上に広すぎる世界かもだけど。」
意識が少しだけ引っ張られる感覚を覚えたわたしは、その場で大きく背中を伸ばす。
同時にわたしの足元は桜と蓮華の花びらへと変化しながら、少しずつわたしの姿を消し始めた。
「!?桜奈、足が……!!」
「大丈夫。ただ、現実世界のわたしが目を覚まそうとしてるだけだから。」
「おや、もうそのような時間でしたか。もう少しお話をしたかったのですが……」
「キミはいつもわたしの中に入り込んで話しかけてきてるでしょーが……。
て言うか、こっちの世界から退去する時も完全にキミっと混ざってしまってることがハッキリわかってしまう状態になってることに何かないの?」
「特にないですね。あなたとの繋がりが強いことを確認することができるので嬉しい意外思い浮かびませんし。」
「全く……キミは相変わらずだね……。じゃあ、骸。凪を頼んだよ。」
「……ええ。あなたのお願いですからね。ちゃんと叶えておきます。」
「ありがとう。」
わたしのお願いを叶えるために力を使おうとしてくれている骸に感謝を述べながら、わたしは凪にそっと近寄る。
そして、足元から徐々に消えているにも関わらず、平然と言葉を交わしているわたしに驚いている様子の彼女の頬を両手で優しく包み込み、そっと親指で優しく撫でた。
「……これまでよく頑張ったね。これからは、わたしがキミの居場所になるよ。
どれだけ与えることができるかはわからないけど、できる限りの温もりで、冷え切ったキミを温めてあげる。
だから、わたしのところにおいで。キミの世界も明るい色で染めてあげるから。」
“ね?”と笑顔を見せながら、これから先のことを伝えれば、凪は大きく目を丸くしたあと、その頬を桜色に染めて頷いた。
繋がりを通して骸から呆れと嫉妬が混ざったような感情を向けられているような気がするけど、それはとりあえずスルーして、わたしを見つめてくる凪の頭をそっと撫で付ける。
「必ず凪を迎えに行くから少しだけ待っててね。なるべく早く準備するから。」
「うん。私、桜奈を待ってる。」
「よし。それじゃあ、また会おうね。」
凪の言葉に頷いたわたしは、その場で勢いよく跳び上がる。その瞬間、先程までゆっくりと消えていたわたしの体は、一瞬にして花びらへと変わり、そのまま視界を奪って行く。
沢山の花吹雪に見舞われながら、わたしを見上げる凪と骸を笑いながら見つめ、わたしは精神世界の意識を手放した。
……桜奈が精神世界から姿を消し、辺りに静寂が訪れる。
残されたのは、凪と骸。2人は、桜奈が姿を消した方角を静かに見つめていた。
「……なんだか、春みたいな人だった…………。」
その静寂を破ったのは、今日初めて桜奈と出会した凪だった。
それを聞いた骸は、一度だけ凪に視線を向けたあと、静かに口を開く。
「ええ。彼女は本当に、春の陽だまりのような人ですよ。僕もそれに救われました。」
「あなたも……?」
「はい。暗闇の中にいた僕の手を、彼女は春風のように颯爽と攫い、春のような温もりが広がる世界へと連れ出してくれたんです。
恋情の有無など関係なく、彼女には沢山の恩義があります。」
凪の言葉に、骸は穏やかな笑みを浮かべながら、再び桜奈が消えてしまった方角へと視線を向ける。
残された精神世界を緩やかに走り抜ける穏やかな風に、藍色の髪を靡かせて。
「だから僕は、彼女に一生をかけて恩返しをしようと思いまして……ここは、彼女に救われた者同士、一緒に返していきませんか?」
穏やかに笑いながら聞いてくる骸に、凪は小さく頷き返す。
その姿に骸は満足そうに笑い返し、再び口を開く。
「凪の命は僕が繋ぎます。その代わり、彼女の側に身を置くにはまだしばらく時間がかかってしまう僕の代理として、彼女のことを支えてあげてください。」
「はい。わかりました。」
「いい子ですね、凪は。では、これからのことを話しましょうか。僕が凪の命を繋ぎ止めることによりできることや、これにだけは気をつけなくてはならないと言う注意事項を教えます。」
これからのことを話すと告げてくる骸に、凪はしっかりと頷きながら、彼の言葉に耳を傾ける。
居場所になると言ってくれた春を思わせる穏やかな少女と、自身の命を繋ぎ止めてくれる、目の前の少年のために、自身ができることを考えながら。
沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
精神世界で出会った凪と言葉を交わし、彼女を助けるために手を差し伸べた春の少女。
提案していながらも、自分では命を常に繋ぎ止めることができないことに申し訳なさを覚え、代わりに彼女の居場所になることを約束する。
精神世界から退去する際に発生した現象を見て、どこまで自分は骸と混ざってしまったんだ……と苦笑いをこぼした。
六道 骸
春の陽だまりに救われ、桜奈に大きな感謝を向けているイタリアの術士。
目の前で同じく春の陽だまりに救われた凪を見て、同じ人間に救われた者同士、一緒に桜奈へと恩返しをしないかと誘いの声をかけた。
相変わらず人を惹きつけてる桜奈に嫉妬の念を向けたりもしたが、軽くスルーされてしまった。
凪
春の陽だまりと骸の力に救われ、完全に彼女達の味方となった女の子。
自分の居場所になるよとハッキリ伝えてきた桜奈の姿に頬を染めながらも、彼女のためにできることがあるのであればと、これからの未来に思いを馳せる。
自身の命を繋ぎ止めてくれる骸から、一緒に桜奈へと沢山の恩返しをしようと誘われ、迷うことなく頷いた。