最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
桜の花は負傷した少年の代わりに青年と衝突する。
side NATUKI.→ No side.
「す、すみません!おひいさま!!つけられてしまったようです……!!その上、吹き飛ばされた拙者まで受け止めさせてしまい……!!」
「おひいさま呼びはかなり気になるけど今はそれどころじゃないよ。」
「!は、はい……!!」
しばらくの間、スクアーロさんと睨み合いをしていると、腕の中にいた男の子がわたしに話しかけてきた。
その際随分と気になる呼び方をされてしまったが、直ぐに今はそれどころじゃないと返し、未だに殺気を放っているスクアーロさんへと目を向ける。
こっちのやり取りを見て、知り合いか?と言わんばかりの反応を見せているが、明らかに戦意は表に出ているため、このままここにいたら戦闘になるのは避けられない。
でも、この場にはまだかなり人がいる。死ぬ気モードを使えばある程度対応することはできそうだけど、周りを巻き込まないようにするのは難しい。
「……一旦離れるべきかな。」
【だったら僕が力を貸します。少しだけ繋がりを強くさせてもらいますよ。】
「!?」
この場で戦闘を行うわけにはいかないと考え、離れることを選んだ瞬間、脳裏に響いた骸の声に一瞬だけ驚く。
しかし、彼の助力を受ければ離れることが可能だと直ぐに判断できたわたしは、彼が繋がりを強くするタイミングを見計らい、自らも繋がりを強くする。
「!?おひいさま、その目は……!?」
その瞬間、腕の中にいた男の子が驚いたような様子を見せた。
一度彼の方に視線を向けてみれば、大きく見開かれた青の瞳にわたしの姿が映り込む。
映り込んだわたしの右目は別のものへと変わっていた。骸が持ち合わせている六道輪廻のスキルが刻まれている黄昏の瞳に。
なるほど、力を貸すってこう言うことか、なんて少しだけ思いながらも、強くなった繋がりを通して流し込まれたスキルの使い方の記憶を元に、わたしは第一の道・地獄道をその場で発動させ、自身の足を触媒にするように思い切り地面を踏み鳴らす。
「う゛お゛!?なんだコレ……っ……幻術か!?」
その瞬間かなりの範囲に濃霧が広がり、視界が全て白に埋め尽くされた。
明らかに一般にしか見えない人間が急に幻術を広範囲に展開するなど、実力者である人間としか思えない彼でも予想がつかなかったのか、それだけでかなりの隙ができた。
それを確認したわたしは、先程の男の子の手をつかみ、同時に自身が手にしていた槍を使って隼人と武の腕に蓮華の蔦を巻きつけて、そのまま軽く引っ張る。
「こっち!!」
「!?わかった!!」
「了解しました!!」
骸のスキルによる幻術の展開に、自身の術士としての能力を重ね合わせることで、わずかな気配だけを残してその場から走り出す。
少しの気配があれば、さっきの人なら直ぐに追ってくるはずだ。足の速さから、どこまで離れた位置に移動することができるかはわからないけど、なるべく遠く、人が少ない場所へ。
「お、おひいさま!?その目はどうして……!?」
「それに関してはあと!!今はこの場からなるべく離れて人が少ない場所に向かう!!」
「わ、わかりました!!」
わたしの右目の変化に、男の子がかなり驚いた様子を見せるが、話はあとだと言い返し、そのまま繁華街を走り抜ける。
並盛に詳しい恭弥さんから、並盛町のマップを教えてもらっていて正解だった。
並盛で変な行動を起こす人間がいた時に誘導できる人通りが少ない場所が沢山あり、そこを利用して対象を排除していたって聞かされた時は驚いたけど、まさか、こんなところで役に立つとはね。
「……桜月。多分、並盛にディーノさんが来てる。わたしが行く場所に誘導して。それまで時間を稼ぐから。」
「……お任せください、ナツキ様。直ぐにディーノ様達を誘導して参ります。」
そんなことを思いながら、足元に現れた桜月に一つの指示を飛ばせば、桜月は直ぐにそれを承諾し、鳥へとその姿を変えて、足元から空へと飛び去った。
それを確認しながらも、展開した幻術による濃霧の中に、朧げだが気配をまとっているデコイをいくつか設置して、スクアーロさんの意識をこちらへと向ける。
─────……骸の地獄道を上乗せするだけで普段以上に強力な幻術が使えるようになってるな。
やっぱり骸のスキルって、かなり強力な力なんだ。
使い方と同時に流れ込む6つのスキルの効能。それにより彼が持ち合わせているスキルは、全てが強力なものであることがわかった。
幻術を使用できる地獄道。憑依した対象の技を使用することができる餓鬼道。人の身に有害な生き物を召喚することができる畜生道。自身の身体能力を一気に引き上げることができる修羅道。肉体強化の他、様々な効果を発揮させることができる人間道。そして、強力なマインドコントロールを施すことができる天界道。
使用した際の記憶や映像からも、敵に回らなくてよかったと思いたくなる程の効能であることを思い知る。
【キミが敵じゃなくて良かったよ、本当に。】
【僕からしたら忌々しい以外の何物でもありませんが桜奈の役に立てるのであれば、まぁ、無いよりかはマシだと思えますね。】
溜め息を吐きそうになりながらも、敵じゃなくてよかったと伝えれば、骸は小さく笑い声を漏らしながらも、ないよりはマシくらいに評価を改めると告げられた。
まぁ、この能力は彼の過去を思えば忌々しい記憶に直結するものだし、その評価も仕方ない。
「見つけたぞぉ!!クソアマァ!!」
「うっわ、クソアマなんて言葉初めて言われた。」
そんなことを思っていると、こちらの気配を追ってきたスクアーロさんに見つかった。
バレることは大前提だったため、対して驚きはないけど、初めて言われた罵倒言葉に、思わず反応してしまう。
「てめぇ……!!めんどくせぇ幻術を使ってきやがって!!」
「よくできた幻術だったでしょう?こう見えて一応、そっちの道も齧っておりまして。」
骸との繋がりを隠すように、骸も自身が手を貸したことを隠すように、同時に繋がりをいつもの繋がりへと弱くして、自身の瞳にあったであろう黄昏を琥珀色に戻す。
側にいた男の子はわたしの目が琥珀色に戻っているからか、少しだけ驚いたような表情を見せていた。
「ちぃっ!!こんな女と繋がりがあったなんてなぁ……!!まぁいい!!てめぇ、そのカスとどう言う関係だぁ!?」
「さぁ、どう言う関係があると思います?」
実際は関係なんてないけどさ、なんてことを内心で思いながらも、わたしはスクアーロさんを見据える。
それが気に入らなかったのか、スクアーロさんはかなりの苛立ちを浮かべたあと、地面に置いてある足に力を入れる。
「話す気がねぇなら、死なねぇ程度にたたっ斬ってやりゃあいいだけだ!!ムカつくガキではあるが、関係あるなら人質くらいにゃなるだろぉ!?」
「おひいさま!!」
怒鳴り声を上げると共に、地面を蹴り上げて襲いかかってきたスクアーロさんを見て、男の子がわたしを守ろうと前に出るが、わたしは男の子が武器を構えるより先に手にしていたスティックの槍の刃側をスクアーロさんに向け、死ぬ気モードを使用すると同時に伸ばす。
ガキィンッと大きな音を立て、振り下ろされた剣の刃を槍の刃で受け止めれば、スクアーロさんは驚いて目を見開いた。
「……この子本人とは面識はないけど、この子のバックにいるであろう人とは十分関係してるかと。
まぁ、実際にあの人が関係しているのかはわかりませんがね。」
ウソ。本当はわかってる。この子が父さんに関係していることも、今回の騒動の原因となっているであろう物を持ち込んでいるかもしれないことも。
でも、それを口にするつもりはない。さぁ、時間稼ぎと行こうか。
❀
─────……なんなんだこの女!?明らかに動きが一般じゃねぇ!!
1人の少年が日本に向かい、それを追ってやってきた剣士、S・スクアーロはその表情に少しの焦りを浮かべる。
彼の目の前に立ち塞がるのは、一本の槍を携えて、自身の攻撃を意図も容易く受け止め、いなしてくる1人の少女。
初対面でのど飴いるかなどとある意味でとんでもない発言をしてきた追ってきた少年と同じくらいの年齢の子供である。
─────……死ぬ気の炎を灯してる時点で明らかにこっち側の人間であることは間違いねぇ……!!だが、それでもガキの時点でここまでオレに食いついてくるだと!?女のくせにか!?
スクアーロは自身の能力の高さをよく知っていた。そのため、目の前にいる1人の子供など簡単に斬り捨てることも可能だと自負していた。
しかし、蓋を開けてみれば目の前の子供は自身の攻撃を全て防ぐかいなすかのどちらかを選んでダメージを受けることがない。
─────……こうなったら……!!
通常の剣撃だけでは通用しない……そう判断したスクアーロは、渾身の力を以って少女の槍に自身の武器を振り下ろす。
痺れにより発生する隙は、スクアーロの攻撃を届かせるには十分過ぎる程のもの。
故に喰らえばひとたまりもなく、子供1人を終わらせることくらい造作もなくなるのである。
ただし……それをまともに受けていればの話だが……。
スクアーロの攻撃を見据えた子供、ボンゴレ10代目の候補たる沢田奈月は、自身が持ち合わせている
まともに受けたら自身の手は痺れ、そのまま斬り伏せられてしまうことに気づき、真正面から受けることなく、その斬撃を身躱しによる回避を行い、技の効能の判断と同時に持ち替えていた大鎌を使い、スクアーロの剣を鎌の刃で押さえつけるように振り下ろす。
「なに!!?」
渾身の力による一振りであったことや、初見で回避すると言う離れ業をやってのけた奈月に、一瞬の戸惑いを見せるスクアーロ。
彼が向けた視線の先には、大鎌を持つ手とは反対の手で拳銃を握り、自身の方へと銃口を向けてくる少女の姿があり、容赦なくその手は引き金を引いていた。
「くそっ!!」
辺りに響き渡る一発の銃声。寸前のところでスクアーロは回避したため直撃することはなかったが、その頬には一筋の擦り傷が刻まれる。
「まぁ、やっぱり普通に躱すよね。明らかにプロっぽいし。」
「っ………!?」
平然とした様子で自身を見据えてくる奈月に、スクアーロは一筋の冷や汗をかく。
だが、直ぐにそれは高揚へと掻き消され、その表情には強者を見つけたことへの歓喜による笑みを浮かべていた。
「……ただのガキかと思えば、随分とつえーじゃねぇかぁ!!」
「技術を教えてくれた人がいいもので。まぁ、人の命までは奪ったことはないけど、普通に武装解除目的で銃をぶっ放すことくらいはするよ。
だって相手がこっちを物理的に消そうとしてるんだから、それくらいはやって然るべきでしょ?」
子供のものとは思えない程の冷笑を浮かべ、本気で命を取ろうとしてくる相手に容赦する必要はあるのかと問うてくる少女に、スクアーロはさらに笑みを深める。
同時に大鎌で押さえつけられていた剣を思い切り振り上げて、彼女の大鎌を手放させようとするが、それに気づいていた奈月は、振り上げられた剣が大鎌にぶつかる前に、自身が履いていたブーツの底で振り上げられた剣に足を乗せ、振り上げられる勢いのままに宙へと跳躍する。
そして、そのまま一度宙返りを行い、落下する勢いと死ぬ気モードを併用して、思い切り大鎌を振り下ろした。
鋼同士がぶつかる無機質な音が響き渡ると同時に、スクアーロの足元にはその一撃による反動か、衝撃によるヒビが駆け抜けた。
「ここまでやってくる女は初めて見た……!!存分に殺し合おうぜぇ!!」
日本に女の身でありながらも、ここまで自身に追いついてくる存在がいるとは思わず、スクアーロの意識は完全に奈月へと向けられる。
それを見た奈月は一度だけ目を細めては、それぞれの武器を構える自身の友人へと目を向ける。
「2人は手を出さないで。スクアーロさんは君達が食ってかかっても敵わない相手。挑んだところで、一瞬にして負けて終わりだ。」
「しかし!!奈月さんだけでは危険です!!」
「そうだぜナツ!!直ぐに手を……」
「これは命令。足手纏いは引っ込んで。」
「「!?」」
「この人は2人には荷が重……っと……!!」
そんな2人を見て、奈月はすかさず手を出さないように指示を出す。
獄寺と山本は直ぐにそれに言い返すが、命令だと一言告げられて一瞬だけ怯んだ。
重ねて手を出さないようにと奈月は口にする。……が、最後まで言い切る前に、彼女に放たれた斬撃があり、大鎌から槍へと持ち替えた奈月は、それを真正面から受け止めた。
「……話してる途中に斬りつけてくるのはいかがなものかと思いますが?」
「ごちゃごちゃと外野に話しかけてるからだろぉ!!てめぇの今の相手はオレだぁ!!」
好戦的な笑みを浮かべながらも、確かな苛立ちを見せるスクアーロに、奈月は溜め息を吐きたくなる。
しかし、それは逆に相手を逆撫でする行動であると判断しては、強く足を踏み込んだ。
槍が握られていない方に彼女が握っていたのは大鎌。死ぬ気モードにより身体能力が上がっていることを利用して、彼女は片手で大鎌を振り抜く。
もちろん、それがスクアーロに当たるはずがないのだが、少しでも距離を取らせるには十分過ぎるものであり、その隙に再び真っ向からの戦闘体勢を取る。
「……マルチウェポン使いって便利ではあるけど、できれば一つの道具だけで遠距離以外は解決したいな……。
父さんに頼んだらその話技術部の方に持っていってくれたりしないかな……。」
そして、自身が使用する複数の武器を持ち歩く現状をなんとかできないかと呟きながら、静かにスクアーロを見据える。
しばらくの間、この人との戦闘に付き合うのかと、溜め息を吐きたくなりながらも、早く兄弟子を連れてきてくれと祈りながら。
沢田 奈月
自身の命や周りの命が脅かされる現状になったら容赦なく戦うへと変貌するボンゴレ10代目。
平然と対峙しているスクアーロへと銃をぶっ放したり、強烈な一撃を放ったりしているが、これは、骸が持ち合わせていたマフィアに対する憎悪や嫌悪が彼女の精神にも刻まれていることも影響している。
この日、履いていたブーツはイタリアに戻った家光からの贈り物で、実は靴底が軽くて頑丈な鋼でできているものだった。
S・スクアーロ
ただのガキかとナメてかかったら思わぬ業者に巡り合ってしまった剣士。
対峙した少女が自身の技である
彼女が主に使ってくる武器が長物であるせいか、彼女の手を覆っているグローブの手の甲に何が刻まれていることはわかるが、それが何かまではまだ判別できていない。
獄寺&山本
謎の剣士と戦う奈月を見て、すかさず手を出そうとしたが、戦力差がある相手に挑んだところで負けるだけだから引っ込んでろと言われてしまい、動けなくなる。
守られた少年
奈月をおひいさまと呼ぶ謎の少年。
最初は奈月を守ろうとしたが、逆に彼女に守られてしまった。
スクアーロと互角の勝負を繰り広げる奈月に、本来ならば守るべきは自分だと言うのに守られてしまったと言う歯痒さと、スクアーロと互角にやり合う奈月の凄さへの驚愕に苛まれる。
六道 骸
実は奈月がスクアーロと対峙した時、すでに様子を伺っていた奈月の術士。
一旦、人に被害が及ばない場所へと移動しようとする奈月を手助けするため、一時的に繋がりを憑依するギリギリまで強くして自身の六道輪廻の力を貸した。
なお、彼に答えるように奈月も自ら繋がりを強くしてくれたため、互いの精神が拮抗したため、奈月自身でスキルを発動させることができた。
元は骸が遠隔で使用するつもりだった。
桜月
奈月に指示を出され、ディーノの元へと向かった白狐。
まさか自身が離れた後、彼女がスクアーロと互角の勝負をしているとは夢にも思ってない。