最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
そんな中慌ただしく彼女達の元に合流したのは、娘が襲撃された話を聞き、急いで駆けつけた彼女の父親だった。
「申し遅れました。拙者はバジルと申します。この度は、助けていただきありがとうございます、おひいさま。」
「……そのおひいさま呼びは誰から教えられた?」
「え?親方様がおひいさまは自慢の娘で大切な姫君だと言っておりましたし、姫君と呼ばれる立場にいるお方は、日本ではひいさま、おひいさまと呼ぶと……」
「…………。」
あれからしばらくして、ディーノさんが持っている日本の屋敷へと移動したわたしは、改めてスクアーロさんに追われていた男の子と顔を合わせていた。
男の子の名前とか聞いてなかったし、ちゃんと立場を把握した上で今回の出来事について話をする必要があると思っていたために。
しかし、改めて話してみたら、ずっと男の子……バジルが使っていたおひいさま呼びのまさかの出所を聞いてしまい、思わず無言になってしまう。
「ち、違いましたか!?それともお気に障ってしまったのでしょうか!?す、すみません!!」
わたしが無言になってしまったせいか、バジルが慌てて謝罪の言葉を口にする。
その姿にわたしは思わず頭を抱えてしまった。この子が言ってる親方様が誰かわかるため、なんつーもんを吹き込んでいるんだと呆れながら。
「……今更姫呼びが増えたところで別に気にしないけどさ………。女王と言い、姫さんと言い、おひいさまと言い……なんでこうも高貴な方々の呼び方が私に纏わりつくのかな…………。」
「そりゃあ、姫さんはボンゴレの10代目候補だし、扱いとしちゃ間違いないと思いますがね……」
「女王に関しては、明らかにマフィアランドの連合のせいだな。女王呼びの出所はあっちだし。
ただ、正直言ってあの時のナツの容赦のなさは女王でも問題ねーと思う。」
「おひいさまは親方様の愛娘でありますし、拙者も間違いはないかと思っております。」
漏らした疑問に対する答えに、再びわたしは無言になる。
うん。もう名前呼びに関しては考えるのやめた方がいいかもしれない。
『……訂正は諦めた方が良さそうですよ、ナツキ。』
「……はぁ……もうなんでもいいです。」
なんてことを考えていると、とどめをさすかのようにDさんから諦めろと言われてしまった。
正直言って、言い返したいことだらけだけど、これ以上話を脱線させるわけにもいかないし、今は呼び方に関しては置いておこう。
「……バジルは私のことを知ってるみたいだけど、一応名前は言っておく。私は沢田奈月。ボンゴレ10代目として名前を上げられた人間だよ。」
「はい!存じ上げております、おひいさま!」
「…………。」
名前言っても呼び方それかい……と少しだけ呆れそうになりながらも、この屋敷に連れてこられている顔馴染み……と言うか、わたしがキャバッローネファミリーと共に過ごす時に必ずディーノさんが連れてくる、わたし専用の使用人であるラウルさんが淹れてくれた紅茶に口をつける。
うん、少しだけ落ち着いた。
「……とりあえず、情報交換を始めましょうか。まぁ、正確には交換と言うよりは私の質問に答えてもらう流れになると思いますけどね。
この中で1番情報がわかってないのは私なので、今回の出来事を整理するためにも、いろいろ教えてもらいたいです。」
「ああ、いいぜ。」
「わかりました。」
落ち着いたのであれば、やることは一つ。
そう思いながら、静かに口を開けば、ディーノさん達は直ぐに承諾の言葉を紡いでくれた。
「では、まず最初に、今回襲ってきた人……スクアーロさんについてですが、あの人は何者なんですか?
戦闘しなくてもわかる程に、あの人の体はしっかりと作られており、持ち合わせている能力も高い……刃を交えて分かったことは、明らかにその道のプロであり、一撃一撃が命を奪うためのものでした。
なんとか対処することはできましたが、長引いたら間違いなく私はこの場にいなかったと思います。
それだけ、スクアーロさんの攻撃には躊躇いのたの一文字も存在していなかったので。」
それを確認したわたしは、最初にスクアーロさんのことを2人に問いかける。
どう考えても命を奪うことに慣れている雰囲気……命のひとかけらすらも残すことなく喰らい尽くそうとする獰猛なサメのような人。
マフィアに関係してるだけではない何かを感じ取れたあの人、いったい何者だったのか。
「ナツが対峙していたのは、ボンゴレファミリーに属している組織、独立暗殺部隊ヴァリアーに所属しているS・スクアーロって剣士だ。」
「ヴァリアーの実質No.2で、かなりの実力を持ち合わせている。ナツはそんなやつと渡り合ったってところだな。」
「……知らなかったとは言え、完全に命の綱渡してたようで……。よく追いつけたな……。」
わたしの問いかけに答えたのは、ディーノさんとリボーンだった。2人から明かされたスクアーロさんの詳細に、少しだけ冷や汗をかく。
うん、本当によくやり合ったなわたし……。アラウディさんやDさんに武器の扱い方とか戦い方を教わってて正解だった……。
『ノーモーションの攻撃を教えたのはやはりアラウディですか?』
『ん?ああ……確かに教えたね。攻撃動作をあまり出さないように戦う技術は、不意打ちを測るのにちょうどいい技術だから。
どのタイミングで攻撃を放つかわからなくすることは、対人戦において有効な方法だし、それを身につけているか身につけていないかで戦況は割と左右される。』
『まぁ、確かにそうだが、いつのまにそんな技術を教えていたんだ?』
『いつだったか忘れたけど、かなり前だった記憶はあるよ。』
『ナツの技術吸収力……相変わらず凄まじ過ぎるものね……』
……背後で初代組が何やら話しているが、そっちに目を向けることはせず、バジルに対して質問しようと目を向ける。
……が、不意に感じ取れた気配により、その質問をする必要はないと判断することとなった。
「……どうやら、今回私に1番用事がありそうな人が来たようですね。」
「「?」」
呟くように言葉を紡げば、ディーノさん達が首を傾げる。
しかし、不意に聞こえてきた慌ただしい音により、意識はそちらへと向けられる。
「ナツ!!」
「おわ!?家光!?」
「親方様!!こちらにいらっしゃったのですか!?」
勢いよく開かれる部屋の扉。驚くディーノさんとバジル。だけど、バジルが口にする親方様……わたしの父親である沢田家光は、2人に一度視線を向けたあと、真っ先にわたしの方へと駆け寄ってきた。
「リボーンから聞いたぞ!!ヴァリアーのスクアーロと一戦交えたって!!大丈夫か!?怪我は!?」
「わたしはなんともないからまずは自分の部下を心配してあげなよ。」
「ハッ!?そ、そうだったな……!!大丈夫かバジル?」
「あ、はい!大丈夫です!ただ、お恥ずかしながら、このように負傷をしてしまい、おひいさまに助けていただくことになりましたが……」
「……いや、あのスクアーロと戦ってそれだけで済んだだけでも上出来だ。
つか……バジルがここまで負傷してるっつーのに、ナツは無傷なんかい……。」
少しだけ苦笑いをこぼしながら、負傷しているバジルと無傷のわたしを見比べる父さんに、言われてみればと考える。
確かに、手練れと思われるバジルがかなり負傷してしまう程の実力者であるスクアーロさん相手に、よくわたし、無傷で対処することができたな……。
「……9代目が言ってた、プリーモの血が守ってくれるってこう言うことだったのかな。」
「ナツ?」
「……こっちの話だから気にしないで。」
9代目の手紙に記されていた言葉の意味を考えながら小さく呟けば、父さんから疑問の声をかけられる。
直ぐに何でもないと父さんに返したわたしは、情報整理の続きを行うために、父さんにも座るように促した。
「……娘に座るように促される父親って………。」
「とりあえず、今は情報がほしいんだと思うぜ?」
「まぁ、気持ちわかるけどな……」
苦笑いをこぼしながらもソファーに座る父さん。
すると、そのタイミングを見計らったように、彼の前に紅茶が置かれた。
紅茶を置いたのはラウルさんことラウルさんで、驚いたような表情を見せる父さんにニコッと笑顔を見せる。
「……あんまり見ねー顔だが、どうしたんだ、こいつ?」
「ん?ああ、そいつはラウルって言って、ナツと一緒に行動を取る時はナツに仕えるように指示してるうちの幹部だ。ラウル。」
「ダコール、ディーノ。初めまして、門外顧問のリーダーさん。オレはラウル・アンブロワーズ。キャバッローネファミリーの幹部であり、お嬢専用の護衛兼バトラーって感じの立場にいる者だよ。」
ディーノさんに名前を呼ばれたラウルさんは、いつもの所作を崩すことなく、笑顔で自身の身の上を明かす。
とは言え、初めて会った人間に、急に娘に仕えてるなどと言われたら訝しんでしまうわけで、父さんはラウルさんを見極めるようにじっと見据える。
「ラウルは信頼できる人間だから安心していいぜ、家光。」
すると、そんな父さんを見かねてか、ディーノさんが一枚の書類を父さんに見せる。
それを受け取る父さんの手元を横から少しだけ覗き込むと、そこにはラウルさんの経歴や出身地、どのような学校出で、どのような資格を持ち合わせているのかなど様々なことが記されていた。
「プレーネルネファミリー……?」
父さんはその中に記されていた一つの単語に意識を向ける。
そこに記されていたのは、フレーネルネファミリーと言うマフィアのファミリーの名だった。
「フランスの方にあったマフィアで、キャバッローネファミリーと昔からの付き合いがあるファミリーだ。
ボンゴレファミリーにとってのキャバッローネファミリーと同じくらいの結びつきがある場所って言えば関係性はわかるか?」
「ああ。わかりやすいな。」
「だろ?ラウルはそこの元10代目だぜ。ただ、プレーネルネファミリーは、古参マフィアの中でかなり弱体化しちまったファミリーでな……。」
「昔はかなりの勢力で、キャバッローネファミリーの傘下の第二勢力だったんだけど、オレ自身のファミリーの仲間内での結びつきが強過ぎてね。
新参者がなかなか入れなかったんだよ。その結果、ファミリー内の高齢化が進み、次々と仲間がいなくなってしまった。
最終的にはかなりの弱小ファミリーになってしまってね。このままじゃ若輩メンツやオレだけしか残らなくなって、ファミリーを維持することができなくなってしまいそうだったんだ。」
そこまで言ってラウルさんは、少しだけ悲しげな表情を見せる。
ファミリーを維持することができなくなる……それは、ボスと言う立場を持つ以上、最も恐ろしいことであると告げるように。
「こう言ったらあれだけど、オレのファミリーはお行儀のいいファミリーと言われるくらい穏健でね。
力はあるけど、好んで戦いをふっかけたりするようなファミリーではなかったから消滅してしまうのは目に見えていた。
そこで、オレはディーノに頼んで、キャバッローネファミリーに吸収合併をしてもらい、幹部に落ち着いた。
おかげで残っていた若輩は生き残ることができるようになったし、馴染み深いキャバッローネファミリーに新たに加わることにより、確かな守りを得たんだ。
ディーノには、感謝しても仕切れない程に恩があるよ。」
寂しそうに、だけど安堵したような微笑みを浮かべ、ディーノさんへと視線を向けるラウルさん。
ラウルさんから穏やかな笑みを向けられたディーノさんは、一瞬だけ目を丸くしたあと小さく笑った。
「ラウルはいろんな資格や免許を取る趣味があってさ。マイナーな物からメジャーなもんまで大量に持ってんだ。
そこで、ナツがいる時はナツの護衛兼使用人みたいな立場に落ち着いてるな。」
「ディーノからの提案でね。キャバッローネファミリーの中で、最もお嬢に年齢が近いし、お嬢も気を楽にすることができるんじゃないかってことで、お嬢がいる時はお嬢に優先的に仕えるように言われてるよ。
こう見えてバトラーの資格も持ち合わせてるし、料理人に必要な資格なんかも大量に持ってるから、存分にその資格を使って最高のお仕えを提供中さ。」
笑顔を見せながら、自身の現状を打ち明けるラウルさんに、父さんは少しの間無言になり、程なくして一つ大きく息を吐いた。
書類とディーノさん達の言葉により、ラウルさんの安全性を確認したからか、一応は納得したようだ。
「そいつの素性は大体わかった。まぁ、あとでこっちでも調査させてもらうが、今のところは問題ないとして判断しておく。」
“だが”……と小さく呟くように言葉を紡ぎ、父さんがジトッとした眼差しをラウルさん向ける。
ラウルさんは父さんの反応を見つめたあと、何か思い当たる節があったのか、なるほど、と短く言葉を紡いだ。
「安心してくれ、沢田家光さん。確かにお嬢は魅力的な女性ではあるが、あくまで主人に仕える使用人としてとか妹を想う兄とか、そう言った感情しか向けてないから。
あなたの娘であるお嬢を取ろうとは思ってないさ。ただ、オレ以上に若い年齢でボスなんて立場の候補者として名を挙げられている状態だからかなり心配はしてるし、少しでも負担を減らすための役に立てたらと思ってる。
とは言え、オレはディーノ程マフィアのボスの立場を経験しているわけじゃないから、サポートできることは少ないけどね。
だから、せめてこうして過ごしている時は、穏やかに過ごせるようにしてるんだ。」
真っ直ぐとラウルさんに見据えらながら、そう告げられた父さんは、何度か瞬きをして見せたあと、バツが悪そうに頭を掻いた。
自身が言おうとしていたことを、さらっと見抜かれたからなのか、それとも彼の真っ直ぐな視線に気まずさを覚えたからなのか、どちらからの行動かはわからないけど、父さんもそれなりに落ち着きを取り戻せたようだ。
「話はまとまりましたか?では、話を戻しましょう。」
それならとわたしは情報整理を再開する。
スクアーロさんのことは聞けたし、門外顧問がどのようなものであるかも理解している。
それなら、次に聞くことは、完全に決まっているようなものだった。
「スクアーロさんが持って行った箱……まぁ、あれは偽物のようでしたが、あれを見てバジルは言いましたね……ボンゴレリングと。
一応、少しだけそれが何か教えてもらっていますが、詳しく話を聞かせてくれますか?」
沢田 奈月
静かに情報収集を進めて行くボンゴレ10代目候補の少女。
今回の騒動により、マフィアのドンナとしての側面が少しずつ完成され始めている。
ボスとしての側面を出していない時は、いつも通りの口調だが、ボスとしての側面に切り替わる時は、完全に口調が敬語へと変化するらしく、どこか
沢田 家光
奈月がヴァリアーのスクアーロの襲撃に遭ったと聞き、慌てて彼女の元へ訪れた門外顧問。
しかし、顔を合わせてみたらまさかの無傷で、部下であるバジルの方が負傷していると言う様子に思わず苦笑いをこぼした。
奈月に仕えているというキャバッローネファミリーの幹部であるラウルに一時警戒したが、ディーノからの説明や書類の提示、そして、奈月程ではないが芽吹いている超直感により、問題はないと判断した。
だが、念の為に素性は門外顧問側でも調べることを告げ、奈月の情報整を手伝う。
バジル
奈月が情報を整理を始める前に、自己紹介をした門外顧問所属の少年。
奈月に対するおひいさま呼びは、どうやら家光に吹き込まれたらしい。
奈月が口にした、スクアーロが持って行ったボンゴレリングはレプリカであると言う言葉に驚く。
ディーノ&リボーン
奈月の情報整理のため、スクアーロの話を彼女にした師弟組。
普段の口調が敬語に変わった瞬間、纏う雰囲気が明らかに一般人の少女のものではなく、成熟した大人としての落ち着きに変わったため、実は少し驚いていた。
ラウル・アンブロワーズ
プレーネルネファミリーと呼ばれるフランスにあるマフィアの元10代目であり、現キャバッローネファミリー幹部を勤めている青年。
プラチナブロンドの癖のある髪にマリンブルーの瞳を持つ整った顔立ちをした19歳。
趣味で様々な資格を取っており、その過程で学んだことを応用して奈月の護衛と使用人を兼任している。
アラウディ
奈月にノーモーション攻撃を教えた張本人。
D・スペード
愛弟子のボスとしての目覚めの気配を察知。
後方ドヤ顔師匠ヅラを決めて画面外で一部ファミリーに殴られた……と思われる。