最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
自身に訪れる大きな試練……それを乗り越えるためにも、彼女は自身の守護者へと指輪を託すべく、ゆっくりと歩みを進めるのだった。
携帯電話でかけていた目覚ましアラームが鳴り響き、わたしの意識は浮上する。
それに従い目を開けてみると、わたしを見つめる眼差しがあった。
『おはようございます、ナツキ。』
「……ん。おはよう、
その眼差しはDさんのもので、昨夜の肉体はすでになく、いつもの霊体の姿に戻り、ベッドに腰をかけている。
その姿をしばらく見つめたわたしは、ゆっくりと起き上がる。少しだけ頭が痛い。
泣き疲れて眠ってしまったからか、わずかに脱水してしまったようだ。
『これはお前が口につけていたものですよね?こっそりとキッチンから取って来ました。
昨晩、泣いて眠ったから、頭が痛くなっているでしょう?』
「……人の家のものを勝手に漁らないでよ。まぁ、確かにちょっと頭が痛いから助かったけど。」
差し出されたペットボトルに入ったお茶を受け取り、それに静かに口をつける。
喉を通り抜けて流れ込むお茶は、寝起きの意識を覚ますのと同時に、少しだけ乾いていた喉を潤してくれた。
『……少しは切り替えができましたか?』
水分補給により一息ついていると、Dさんが静かに問いかけてくる。
切り替えはできたか……その質問に軽く思案したわたしは、静かに頷き返した。
「……罪悪感とか、恐怖心が消えたわけじゃないけど、泣いたおかげで少しだけ頭がスッキリした。
Dさんの言っている通り、今は泣いているばかりではいられない。ちゃんと渡すよ、今日、みんなに。
精神的なダメージはそれなりに受けると思うけど、向き合わないといけない現実から逃げるわけにはいかないから。」
『ヌフフフ……流石は、私の女王です。まぁ、未だにマイナスな感情が存在しているのは仕方ないでしょう。
常人であれば、現状にそのような感情を抱いてしまうのも無理はありません。
特にお前は、誰よりも優しい女性ですし、人の何倍も周りを大切にする女性でもある。それは、これまでの様子や、昨夜の姿からハッキリとわかります。
だからこそ、しっかりと力を身につけるのですよ。倒れてしまわないよう、無理をしない程度に休みを取らなくてはなりませんが、幸いなことに、休みながらでも十分お前は強くなれますし、問題視する必要はないでしょう。』
Dさんの話を聞きながら、わたしは少しだけ彼をジトリと睨め付ける。
今この人、なんかとんでもないこと言ってなかった?
「……誰があんたの女王だ。」
『おや……バレンタインの時に、確かにそう伝えたはずですよ。
「うわ、うざ。」
『反抗期ですか?受けて立ちますよ。』
「なんで堂々と受けて立つとか言ってんのこの人……。」
呆れていることを隠すことなく見せながら告げれば、Dさんは少しだけ無言になる。
しかし、直ぐに小さく笑ったあと、わたしの頭を優しく撫でた。急に頭を撫でられ、ビックリして目を丸くしていると彼は穏やかな眼差しをわたしに向けてくる。
『どうやら、ちゃんと切り替えはできたようですね。昨日のような暗い感情はあまり感じ取れなくなっている。
いつもの調子を取り戻すことができたようで何よりです。』
「……うん。Dさんが話を聞いてくれたおかげだよ。いろいろと言われたりもしたけど、おかげで気持ちを整理することはできた。」
今のわたしがやるべきことは、自身の守護者に証を手渡し、一緒に戦ってほしいと頼むこと。
罪悪感と恐怖があるのなら、それを少しでも解消するために自身の力も磨くこと。
「……もちろん、まだ、穏やかな生活を送っていてほしい……送り続けてほしいって思いはある。
きっと、それはこれからも抱き続けるものだと思う。だけど、やっぱり私も、昨日父さんが挙げたメンバー以外に、指輪をたくせる人はいないって感じるから、弱音は一旦吐くのをやめる。
一応、ちゃんと逃げ道を作るつもりではあるけどね。私についてくるか、それとも離れるのかを選んでもらうよ。」
『それに関してはとやかく言うつもりはありません。道を決めつけられること……それが時に精神の負担へと変わり、精神が不安定になることがあることをお前が実証してしまいましたから。
少しの逃げ道くらいは作ってあげてもいいでしょう。選択肢は時にふるいとなり、余分なものや必要ないものを削ることにも繋がりますから。』
Dさんの言葉に、わたしは少しだけ安堵する。
何としても自分の道に引き込めと言われなくてよかった。
「ナツ。起きてるか?」
そんなことを思っていると、自室の扉がノックされる。声をかけて来たのは父さんで、わたしは、目を覚ましていることを伝えるために、起きていると短く返す。
すると、父さんはわたしの部屋に足を踏み入れ、未だに寝巻き姿で座っているわたし……ではなく、何かを感じ取ったのか、Dさんがいる方角に一度視線を向けたあと、わたしの方へと視線を戻した。
「……そこに、誰かいるよな?まぁ、父さんには視えていないんだが。」
どうやら、薄らとDさんの気配を感じ取っていたようだ。それに、父さんの目には誰かがいると言う確信がある。
きっと、父さんが目覚めさせた超直感が、彼のことを直感し、父さんに教えていたのだろう。
「……うん。確かにいるよ。1人だけ男性が。わたしにいろんなことを教えてくれてる
昨日の夜、少しだけ話を聞いてもらってた。自分で渡すとか言ってるけど、正直なところ精神的にキてるものもあったから。
だから、昨日のうちに弱音を吐いて、少しの間泣いたんだ。これから先は、弱音ばかりを吐いていられない……だったら、弱音を吐ける今のうちに、頭を切り替える練習をしなさいって言われたんだよ。」
「……そっか。誰だか知らんが、娘が世話になったな。」
Dさんがいる方角へと視線を向けながら、感謝の言葉を述べる父さん。
父さんの言葉を聞いたDさんは、少しだけ父さんを見つめたあと、その場から静かに立ち去った。
ここから先は、今を生きるわたし達の番……と言いたいのだろう。
「
「はは……。もしかして父さん、嫌われてんのか?」
「と言うよりは、ここからは死者が口出しをすることじゃないって言いたいのかも。
なぜかわたしと無機物にだけは干渉ができるみたいだけど、結局のところ、
だから、基本的には今を生きるわたし任せで、こっちの選択に疑問や指摘があったら口出しをするスタンスだし。
まぁ、でも、やっぱり視える人が全くいないから暇で暇で仕方なくて、しょっちゅうわたしに絡んでくるけどね。
おかげで外国語大量に覚えちゃったよ。その上戦うための技術もね。」
「英才教育されてんなー………」
ジョットさん達にこれまで何を教えてもらったっけ……と教えてもらったことを思い出していると、父さんが苦笑いをこぼした。
考え込む程様々なことを教えてもらってるのかと引いているようだけど、実際、めちゃくちゃいろんなこと教えられているからなんと返せばいいのやら。
「……まぁ、何だ。いろんな技術を身につけてることはよくわかったし、こっちの世界に来るのなら、多めの備えは正解だ。
無理はしない程度にこれからも教えてもらっとけ。それだけで自身も周りも守れる。」
父さんの言葉に静かに頷けば、起きたばかりで何も手を加えていないボサボサの髪をわしゃわしゃと撫でられる。
髪をセットしてない分、精神的なダメージはほとんどないんだけど……
「父さん、ちょっと痛い。力加減して。
「え゛!?」
ちょっと力加減ができてなさ過ぎて物理的にダメージがくる。痛い。
そんな想いを告げるように、ペチッと頭の上にある手をはたき落としたわたしは、父さんの背中を押して部屋の外へと出す。
「着替えるからあっち行って。」
「ナツ〜……もうちょっと優しく言ってくれ〜……」
かなりショックを受けたように、言葉を紡いでくる父さんを無視して部屋の扉を閉める。
そして、制服に袖を通したあと、充電を済ませている携帯電話を手に取った。
「……とりあえず隼人達にメールかな。恭弥さんと凪はそれぞれ個人で手渡すとして、隼人と武と了平さんにまずは話そう。
ランボは……うん。あの子にはみんなに渡したあとかな。みんなには素直に説明できるけど、彼には小難しい説明はできないし。」
これからのことを考えながら、わたしはメールを彼らに送る。今日の朝、話があるから指定した場所に来てほしいと、簡潔な文面で。
次に恭弥さんにもメールを送る。学校に少しだけ遅れることと、大事な話をしたいから、学校に着き次第応接室へと向かうことを伝える文面で。
「……父さん。」
これを送った以上、後戻りはできない……自身の退路を少しだけ断ちながら、準備を進めたわたしは、部屋の外に追い出していた父さんに話しかける。
わたしの声音から、わたしが何を言おうとしているのか悟ったらしい父さんは、静かに立ち上がってわたしを見る。
「今、昨日名前を挙げられたメンバーのうち、4人にメールを送った。4人のうち3人には、ディーノさんが滞在してるホテルの名前を送っておいたから直に集まる。」
「そう言やディーノの奴。屋敷には滞在してないんだったな。」
「なんの予定もなければ屋敷に滞在すると思うけど、今回はそうもいかないからね。話の場を作るためなら、ホテルの方がいいだろうって。
ディーノさんにもメールは送った。今から隼人達がそっちに向かうから、ディーノさんが泊まってる部屋を使わせてほしいって伝えてる。」
「そうか。ったく……ナツは本当に行動が早いな。」
「あらゆる事態を想定して、考え込む癖があるからかな。やるべきことを決めたら、直ぐに行動できるようにあらゆるパターンは考えてるよ。」
直ぐに行動を取れるようにしていることを父さんに伝えれば、父さんは苦笑いをこぼした。
「……父さん。一緒に来てくれる?できる限りわたしがみんなに話して、最後はみんなに選んでもらうつもりだけど、わたしだけでは説明ができないことや、物足りない部分が出ると思うんだ。」
そんな父さんに、わたしは指輪を渡す過程の手伝いをしてほしいと父さんに伝える。
すると、父さんは一瞬だけ目を丸くするが、過ぎに口元に笑みを浮かべて頷いた。
「元からナツの手助けをするつもりだったが、改めて頼ってもらえるのは嬉しいもんだな。
父さんも昨日、こんなことならナツと顔を合わせて、親子をやり直さなきゃよかったかもしれないって一時的に心が折れそうになったが、訂正だ。
こうして顔を合わせて、ちゃんと言葉を交わすことができてよかった。やっと、少しは父親らしく娘を支えてやれる。
まぁ、どっちかっつーと、次期ボスと部下に近いかもしれねーが、細けーことはいいか。」
そう言って父さんは階段の方へと足を運び、わたしの方へと振り向く。
「んじゃ、まずは母さんが作った朝メシ食うか。腹が減ってはなんとやらってな。
そのあとは、父さんも服を着替えるから、ディーノが待ってるホテルに向かうぞ。」
「うん。」
父さんの言葉に頷き、一緒に階段を降りて行く。そこにはすでに母さん達が揃っており、庭の方からは7匹の仔猫が横並びになって窓越しにこちらを眺めていた。
「……相変わらずあそこ毛玉だらけだな………。」
「せめてもふもふ天国って言ってよ。毛玉ってひどいな。」
いつのまにDさん、ジョットさん達と合流して器を作って来たんだ……と少しだけ驚きながらも、わたしはリビングの方へと移動する。
わたしが近づいて来たことに気づいた、ジョットさんとDさんが入り込んでる仔猫の器の尻尾が緩やかに動き、早く開けてくれと言わんばかりに窓をてしてしとクリームパンのような手で軽く叩いた。
「直ぐに開けるから待って。」
足拭きマットを窓の側に敷き、窓の鍵を開けてあげれば直ぐに彼らはリビングの中へと上がり込む。
最早見慣れてしまった沢田家名物に、少しだけ癒されながらも、わたしは彼ら用の食事を作り、それぞれの器へと入れて床に置いた。
「周りには猫用のエサにしか見えないが、実際はちゃんとした料理で、オレ達はそれを食べているわけだが……いったい、今のナツキの幻術のレベルはどうなっているんだ、D?」
「ナツキの幻術のレベルですか?そうですね……レベルの最上値を10とするとして、大体8.7くらいかと。
どうも、大空の炎が強化されると同時に、霧の炎も強化されているようでして、拮抗が全く崩れないらしいのですよ。
私が幻術を教えているので当然ではありますが、ナツキは術士としては既に一流に近いですね。
あとは、細やかな調節や、炎の消費量を抑えて強力な幻術を使用する訓練を行えば、間違いなく強力な術士に成長するかと。
まぁ、私や六道骸には劣るかもしれませんが、それでも術士としても十分やっていけるレベルになると思いますよ。」
「マジでナツキって才能だらけだな……。」
「覚えもいいしね。教え甲斐があるよ。」
「学んだことの吸収の早さには目を見張るものがありますなぁ……。成長が楽しみでござる。
そう言えば奈月は剣の才能もあるでござる。元々経験者であるとは聞いておりましたが、まさかあそこまでとは思いもよりませぬことでござった。」
「早さといえば、スピードの方も究極に申し分ないぞ。おそらくだが、死ぬ気の炎を応用すれば、あのヴァリアーと言う連中も目で追うのがやっとになるかもしれん。」
「まぁ、プリーモ達が言ってることもわかるけどさぁ……。ちゃんとナツを休ませてほしいものね。
オレ様、ナツに教えられることほとんどないから構ってもらえないし。」
「それ、ただのあなたの願望じゃないですかランポウ。まぁ、休ませることには同意しますがね。」
もぐもぐと食事をしながら、繰り広げられている初代会議に耳を傾けていると、何やらわたしの幻術についての話が聞こえて来た。
わたしの力、そこまで伸びていたんだと思いながら、ジョットさん達を眺める。
「……あ。」
「?どうかなさいましたか、ナツキ?」
不意に、わたしは幻術と言う言葉により思い出したものがあった。それは、自身の武器についてのこと。
今持ち歩いている武器は、2本の長物と一対のトンファー、そしてリボーンと同型の拳銃に、特殊な薬品入りの手榴弾。
スクアーロさんとの戦いで、これらに少しの不便さを覚えたわたしは、ちょいちょいとDさんに手招きをする。
「……あのさ。私が持ってる武器に関してなんだけど、ボンゴレの技術者の中に、マルチウェポンに強い人とかいないかな?」
「マルチウェポン……ですか?ふむ……探してみないとわかりませんが、一応話は聞いておきましょう。
何か思うところがあるようですし、その疑問に行き着いた原因は何ですか?」
「うん……実はね……」
食事を終え、近くに寄って来たDさんに、わたしは小さな声で今回のスクアーロさんとの戦闘時に感じたことを話す。
臨機応変に武器を変化させ、戦うことに有利性を覚えたこと。しかし、現在手元にある武器は、少しばかり挙動が遅く、超直感を組み合わせることでようやくあそこまで立ち回れたこと。
だけどこの戦術は、あまりにも自身への負担が大きく、これから先、激しい戦いがあった際、どこまで維持することができるかわからないことなどをDさんに教えれば、彼は少しだけ考え込むような様子を見せる。
「……なるほど。確かにそれはかなり不便ですね。私と同じ属性である霧がメインであれば、それはすぐに解決することができますが、ナツキのメインは大空……幻術を駆使し、武器を入れ替えながら戦うことができない以上、必ず当たってしまう壁と言えるでしょう。」
「だよね……」
どうしたものかと考える。前世で自身のストレス発散の一つとしてやっていたゲームの中には、それを解決するための技術がSFやファンタジー内に存在していたけど、いくらいろんな技術が存在するこの世界であっても、同じ技術が存在しているかと言われたら、かなり微妙なところである。
「私がやったことある大きなエネミーと戦うゲームには、剣や槍、短剣やハンマー、大剣や大鎌なんかの刃物武器と、様々な銃を可変しなが戦うゲームや、剣と斧を切り替えて使う武器が出るゲームがあったんだよね。
せめてそれみたいに一つの道具で2種類の武器を使い分けることができれば1番なんだけど、今度は可変する際のスピードに問題がありそうだし、できたとしても重量が増えるかな……。」
「……なかなか面白い話を口にしますね。少しだけ詳細を教えてもらっても?」
どうしたものかと呟くと、Dさんがその話に反応を示す。そのことに何度か瞬きをしたわたしは、すぐに自身がやったゲームの話を彼にした。
わたしの話に耳を傾けたDさんは、時折相槌を打ちながら、話を静かに聞く。
「なるほど……ナツキの前世にはそのようなゲームがあったのですね。わかりました。少しだけ技術部の方に話を回してみましょう。
お前に渡した折りたたみ式の大鎌を作ったところなら、面白そうだと考えて作ってくれそうです。」
「本当?」
「ええ。せめて2種類の武器を一つの道具に統一し、切り替えることができないか聞いてみます。
槍と鎌の2種類なら、可能性はありそうですしね。他に何かあったら便利だと思うものはありますか?」
「あ……じゃあ、腕につけていれば盾にもアーチェリーにもなるようなものがあったら、って少し思ったかも。
これも、私がやったゲームにあったもので、普段は小型の盾なんだけど、矢を装填したら撃てる感じだったんだ。
可能なら連射型がほしいけど、難しいようなら不意打ちで素早く撃てればいいかも。
それと、ツインブレード的な感じで、臨機応変に双剣と長物武器を切り替えることができる武器とか……欲張り過ぎ?」
とりあえず、脳裏に浮かんだあったら便利かも……な武器をDさんに話せば、彼はどことなくにこにこしながら話を聞いていた。
流石にちょっと欲張り過ぎかな……と思い疑問を口にすると、彼は首を左右に振る。
「いいえ?欲張りだなんてとんでもない。面白いアイデアばかりで聞いていて楽しいですし、こちら側の技術部の方々が喜んで着手しそうなアイデアばかりです。
それに、直ぐにはできなくとも、その技術はいつかボンゴレのためになると思いますから、問題はありませんよ。」
あったら楽だし、自分が楽しいかも……なんてわずかな私情を挟みながら告げた沢山の話に、Dさんは欲張りではないと返して来た。
いつかボンゴレのためになる……か。まぁ、確かに切り替えることができる武器を組織全体が持ったら、強化に繋がるかもしれないし、認識としてはそうなるか。
「それらの話は全て私から技術開発の方へと伝えましょう。もちろん、決してその情報は他には与えないように、厳重に保管しておくよう告げておきます。
場合によっては次期ボンゴレの女王が許可するまでは、女王の専用の武器の設計図として登録し、保管の方法を他の武器とは違う方法にしてしまえば、他の技術がバレても、その技術だけバレないようにすることも可能でしょうしね。」
「だから、女王って言わないでよ。」
「それだけは無理ですね。現状、最も大切な存在だからこそ、特別な扱いをしているだけですから。
それに、自身が最も可愛がっている存在に、私は仕えているようなものです。
立場的には教育係であり、様々なことを教えているカタチですが、富裕層の認識であれば、教育係も一種の使用人のようなもの。
そして、主として仰ぐ存在が女性であるならば、令嬢や王女、女王と言った呼称を用いるのが基本です。
だからこそ、私はお前をこう呼称しているのですよ、可愛い私の女王陛下とね。立場としても違いはありませんし。」
しれっとわたしを女王と呼称する理由を口にするDさんに、思わず溜め息を吐いてしまう。
多分これ、一生治してくれないやつだ。マフィア界隈でもわたしは
「……マフィア関係の時以外は女王なんて肩書きで呼ばないでよ。小っ恥ずかしい以外の何でもないから。」
「安心してください。そこら辺はちゃんと弁えていますから。お前が重圧に感じるようなことにはならないように、普段は師として、教育者として、ちゃんと弟子や生徒と言う扱いをしますし、名前を呼びますよ。」
それならいいか……と呼び方に関して妥協と言う名の諦めを抱きながら、わたしはそっと仔猫集会の輪から離れる。
そして、自分の席に腰を下ろし、母さんが作った朝食を口にするのだった。
沢田 奈月
思うところがなくなったわけではないが、一旦は頭を切り替えたボンゴレ10代目。
自身では説明しきれない部分があるかもしれないからと言う名目で、父親である家光に同行を申し出たが、その言葉の裏には、指輪を託さなくてはならない現実の心細さが隠されていた。
沢田 家光
もっともらしい理由を口にしながらも、その言葉の中に娘の心細いと言う感情が含まれていることに気づいている門外顧問。
愛娘の側にいた秘密の友人の気配を感じ取り、少しだけそれに声をかけた。
D・スペード
奈月を自身の女王と呼称し、マフィアとして扱う時はその呼称を使用して呼ぶ始まりの術士。
時折、『
初代組
Dの奈月に対する認識に割とドン引きしていた初代組。
Dから奈月を守らねば……!!初代組の過保護レベルが上がった。