最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 父親を連れて、跳ね馬の元へと訪れた女王は、呼び出した3人の守護者達と顔を合わせる。
 そこで彼女が語ったのは、自身の立場と、これからのこと……そして、共に戦うか否かの問いかけだった。


10代目の守護者達 Ⅰ

 朝食を食べ終え、普段のラフな格好からスーツへと着替えた父さんと、しっかり休んだことにより動けるようになったバジルを連れて、ディーノさんが宿泊しているホテルへと足を運んだ。

 

「……でか………。」

 

「まぁ、マフィアのボス格になると、普通にこのレベルのホテルに泊まるからな……。

 でかい分、セキュリティもかなり高いし、何より部下を複数人連れていようが泊まることができるような場所だから、勝手がいいもんだぞ。」

 

「父さんもこんなホテルに泊まることあるの?」

 

「まぁ、立場が立場だからな。セキュリティがしっかりしてるか否かを調べた上で、護衛代わりに数人の部下を連れて過ごしてることがたまにある。」

 

「とは言え、基本的に親方様がそのように動く時は少なく、部下である拙者や、他の親方様の部下が動くことがほとんどです。」

 

「なるほどね。……隼人はともかく、武と了平さんはかなり驚いてそうだな……。」

 

「一般の人間じゃ、まずよほどのことがねー限りは足を運ばねーもんな。」

 

 たどり着いたホテルがあまりにも規模が大きかったため、苦笑いをこぼしながらも、わたしはホテルの中へと足を運ぶ。

 ホテルのエントランスには、朝であるにも関わらず、人がそれなりに行き来している。

 ホテルから離れる人や、今日から泊まる人などが行き来しているのだろう。

 

「すみません。こちらを利用しているディーノと言う方の知り合いです。沢田奈月、沢田家光、バジルの3人が訪ねてきたと連絡していただけますか?」

 

「少々お待ちください。」

 

 エントランスにいる受付スタッフに声をかければ、すぐに彼らは行動を取り始める。

 少しの間時間がかかるかな……と思いながら、携帯電話を開いてみれば、そこには一通のメールが入っていた。

 送り主は恭弥さんで、昨日のメールに対する返信だった。

 

「……恭弥さん、ちゃんと時間を作ってくれたみたいだね。よかった。」

 

 学校に遅れることへの承諾と、話す時間を作っておくと言う内容に、よかったと安堵の笑みを浮かべる。

 ……まぁ、あの天上天下な僕様何様恭弥様、な風紀委員長様がここまで甘い対応をしてくれると言うのはなかなかアレだけど、これも彼にとってのツガイのようなもの扱いをされてるわたしだからなんだろう……。

 

「確認が取れました。すぐにコンシェルジュが……」

 

「その必要はないよ。お嬢達はオレが案内するから。」

 

 そんなことを思っていると、1人の男性が歩み寄ってくる。直ぐにそれがラウルさんであることに気づいたわたしは、小さく笑いながら彼に視線を向けた。

 

「おはようございます、ラウルさん。」

 

「Bonjour お嬢。お嬢が呼び出したメンバーは、すでに全員集まってるから、ディーノの部屋に行こうか。門外顧問のリーダーさんと、君もね、バジル。」

 

「はい!」

 

「無駄に発音いいなお前……」

 

「そりゃあ出身がフランスなものだから発音もいいさ。だって母国語だよ?」

 

「それもそうか。」

 

 合流したラウルさんと共に、わたし達はホテルの階層を上がるためのエレベーターへと移動する。

 わたしのことを話す時は、もはや目前に迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ❀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お。よう、ナツ。おはようさん。待ってたぜ。」

 

「おはようございます、ディーノさん。すみません、わたし達が最後だったようで……」

 

「気にしなくていいぜ。家光も自分家でゆっくりしたかっただろうしな。」

 

「うっせ。まぁ、ゆっくりできるに越したことはねーけどな。」

 

 ラウルさんに案内されて、たどり着いたスイートルーム。

 そこに足を踏み入れてみれば、部下に囲まれた状態でソファーに座っているディーノさんと、ディーノさん達と向き合うカタチで立っている隼人達の姿があった。

 

「おはよう、隼人。武。了平さんも、おはようございます。」

 

「うむ!おはよう、奈月!」

 

「おはよう、ございます……」

 

「ああ、おはよう……ナツ……」

 

 わたしの姿に気づいた隼人達は、直ぐにわたしの挨拶に返事を返したが、視線が父さんの方へと向けられている。

 唯一、了平さんだけいつも通りのようだが、他の2人はかなり戸惑い気味のようだった。

 

「お前さんらがナツの友人とナツの先輩か。こうして会うのは初めてだな。オレは沢田家光。まぁ、苗字からわかるように、ナツの父親だ。」

 

 困惑中の隼人と武に、父さんは直ぐに口元に笑みを浮かべたあと、自身が何者であるかを告げた。

 わたしの父親であることを告げられた隼人と武は、ギョッとしたような表情を見せる。

 

「い゛!?な、奈月さんのお父様!?」

 

「金持ちなんじゃねーかって噂のナツのオヤジさん!?」

 

「なるほど!奈月の父親だったか!」

 

「おーい……誰だよ金持ちとかって噂出した奴。」

 

わたしの家出騒動をリボーンが長期休暇取った父親に1ヶ月の海外旅行に連れて行かれたって話にしたからだよ。

 

あ〜……そう言やそんな話にしたんだっけか?そりゃそんな風に騒がれるわな……。

 

 まさかの自身の学校での噂を知り、引き攣った表情を見せた父さんに、ひっそりと噂の理由を伝えれば、父さんは納得したような表情を見せた。

 まぁ、それでも苦笑いは消えてないから引いているんだろうけど、ここは仕方ないと割り切ってもらおう。

 

「まぁ、なんだ。噂の真偽とかは今は置いておくとしてだ。いつも娘が世話になってるな。これからも仲良くしてやってくれな。」

 

「はい!お任せください!!」

 

「了解っス!」

 

「うむ!極限に任された!」

 

 そんなことを思いながら、わたしは父さん達のやり取りを眺める。

 ……穏やかな空気が流れているけどこれを壊してでもこの話をしないといけないのかと思うと、やっぱり少しだけ気が重い。

 迷いたくなくても迷ってしまう……本当に、これでいいのだろうか……。

 

「……ナツ。大丈夫だ。」

 

「!」

 

 少しだけ不安を抱きながら、抱えていた箱を触っていると、父さんが静かに話しかけてくる。

 直ぐに父さんの方へと目を向けてみると、父さんは小さく微笑んで、小さく頷く。

 

「不安に思うのは仕方ねーから我慢するなとは言わないし、無理に話せとも言わないさ。なんなら、今からでも遅くないし、父さんから彼らに渡してやろうか?」

 

 穏やかな声音で、自分から証を渡そうかと提案してくる父さんを少しだけ見つめ、次にディーノさんに視線を向ける。

 わたしの視線に気づいたディーノさんは、直ぐにこっちに目を向けて来ては、父さんの提案に乗るのも一つの手であることを肯定するように頷いた。

 何度か瞬きを繰り返したのち、隼人達に視線を向ける。隼人達は、わたし達の会話の内容がよくわかっていないからか、3人揃って首を傾げていた。

 

「……いや、わたしから話すよ。やっぱり、これはわたしが責任を持たないといけないことだし、みんなには問いかけたいこともあるから。」

 

 しばらくの間、無言を返していたわたしは、一度目を閉じて深呼吸を行い気持ちを落ち着かせる。

 うん。大丈夫。話すことを話して、最後はみんなに答えを委ねる……それで、わたしに着いてくるのであれば、着いてくる人を受け入れて、離れる人は見送って、せめて、わたし達のせいで辛い思いをしないように、関わりを絶って、陰ながらみんなを守り抜こう。

 

「……今からみんなを呼び出した理由をお話しします。話すことは、遊びでもなんでもない紛れもない事実であり現実です。

 ごっこだのなんだのと言える程軽い話ではない、真実のみを伝えます。」

 

 静かに口を開いたわたしは、武と了平さんが現実であると理解できるように、今から話すことは真実であり、まごうことない現実であると告げ、自身の周りで起こっていることと、これから起こるであろう出来事を話す。

 命を守るためにも、覚悟を決めるためにも沢田奈月と呼ばれる女が、何を目指して歩いているのかをハッキリと伝え、彼らに道を選んでもらわないといけないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ❀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからわたしは、沢田奈月と言う存在がどのような存在であるかを話した。

 自身の先祖がイタリアのマフィアの創設者であり、わたしはその血を引いている子孫であること。

 去年、ボスの候補者として名が挙がっていたはずの3人の子孫が立て続けに命を落としてしまい、最後の血縁者として自身の名が10代目候補として挙げられてしまったこと。

 わたしはそれを引き受けることを選び、現在はそのための人材を集めていること。

 そして、その人材として、今集まってもらってる3人の他に、あと3人程候補として挙げていること……。

 今日までの出来事をところどころ略しながら、わたしは自身の素性を明かす。

 静かに語るわたしの言葉に、武と了平さんは真剣な表情で耳を傾けてくれた。

 隼人だけは、自身が必要な人材の1人として挙げられたことを喜んでいるのか、その目をキラキラと輝かせて、期待に満ちた表情をしている。

 

「……本当は、もっと早くわたしは武や了平さん、京ちゃん達から離れるべきでした。

 一般の人間をこちらの事情に巻き込むなど、本来ならばあってはならないことでしたから。

 ですが、すみません……。わたしは離れることができませんでした。みんなの側は居心地が良くて、離れるべきだとわかっていても、離れようと考えられなかったんです。

 申し訳ありません、このような話を今更してしまって。そのせいで、わたしはあなた達を巻き込んでしまいました。」

 

 “ボンゴレのボスは、誰にでも頭を下げるようなボスであってはいけない”……いつだったかDさんに言われた言葉が頭を過る。

 でも、その言葉は直ぐに頭から追い出して、わたしは武と了平さんに、謝罪の言葉を告げながら、深々とその場で頭を下げた。

 

「ナツ……」

 

「……そうか。奈月は、いろんなことを抱え込んでいたのだな。」

 

 静かに頭を下げたわたしに、一瞬だけ2人が驚く気配を見せる。でも、直ぐにその感情は心配に染まり、2人は穏やかな声音でわたしに話しかけてきた。

 

「……すまんな。山本君。笹川君。オレの娘は本来、こちら側の事情に触れることなく一般人として過ごす予定だったんだ。

 3人も候補者がいたし、こっちの方にまで話が及ぶことはなかったはずだったから、なんの変哲もない学生として、友人関係や人間関係を築いていた。

 だが、娘が説明した通り、他の候補者だった人間が、立て続けに命を落としてしまい、誰がこっちのファミリー……ボンゴレファミリーを維持するかの話になってしまった。

 結果、かつて、ボンゴレファミリーを創設した人間であるオレ達の先祖が日本の方に永住したことにより残された直系の最後の子孫である娘に白羽の矢が立てられてしまったんだ。」

 

 本当に申し訳ない……父さんも謝罪の言葉を口にしながら、その場で静かに頭を下げる。

 去年まで知らなかったとは言え、一般人をこちらの事情に巻き込んでしまうと言う現実は、父さんにも辛いものがあったようだ。

 

「……許してなんて言葉は言いません。危険を理解していながらも、巻き込んでしまったことも事実ですから。

 だから、私はこっち側に来てくれなどと言うつもりはありませんし、むしろ、危険に巻き込まれる前に、離れることを推奨します。

 これは、京ちゃん達にも言えることですから、離れる際は彼女達も私に近づけないようにしてください。

 きっと、悲しませてしまうと思いますが、自身の立場上、絶対の安全は約束できないので、他人になるよう離れてください。」

 

 下げていた頭を静かに上げて、わたしは武と了平さんへと目を向ける。

 わたしから離れろとハッキリと言ったからか、2人はかなり驚いたような表情を見せる。

 しかし、直ぐにわたしが言ったことの重大さを受け止めて、静かにわたしから視線を逸らした。

 

「……隼人は、このまま私に着いてくる気まんまんって感じだね。」

 

「当然です!オレは絶対に奈月さんに着いていきます!奈月さんはオレの大切な人ですし、オレは、奈月さん以外のボスに仕えるつもりはありません!

 オレはあなたの右腕になるために、こうしてずっとついてきました。離れることなんて選択肢などそもそもないですよ。」

 

 2人が答えを出すのには、少しだけ時間がかかりそうだ……そう判断したわたしは、すでに道を決めている様子の隼人にまずは声をかける。

 わたしの声を聞いた隼人は、直ぐに自身の考えを口にして、わたしに着いて行くと改めて表明して来た。

 

「だったら、隼人にはこれを託せるね。」

 

「これは……指輪……ですか?」

 

「うん。ボンゴレファミリーに先祖代々受け継がれてるものらしくてね。ボンゴレファミリーの中核になる7人が必ず持ってるボンゴレファミリーの証なんだ。

 私も、昨日父さんから聞いて知ったんだけどこれまでの9代のボンゴレファミリーの中核の人間が必ず持っていたらしいよ。

 まぁ、今渡したのはまだ未完成なんだけどね。片割れが合わさり、初めて指輪は完成されるから。」

 

「片割れ?」

 

「うん。昨日の襲撃者であるS・スクアーロ……あの銀髪の剣士さんが属してる組織の人間が片割れを持ってるみたい。

 多分、近々あの人を含めた組織の人と、衝突することになると思うよ。」

 

「「!?」」

 

 わたしの言葉に隼人だけでなく、武も目を見開いて反応した。昨日の襲撃者が属する組織との衝突……武は、この言葉に反応したようだ。

 

「ナツが、昨日戦った奴や、そいつが属してる組織とぶつかる……?」

 

 確認するように告げられた言葉に、わたしは静かに頷いた。

 強力な力を持ち合わせていた剣士、スクアーロさん……あの人が属する組織となると、かなりの実力者ばかりである。

 きっと……いや、絶対みんなもタダでは済まない。下手したら命も落としかねない。

 だからこそわたしは、一般で生活している友人には、一般のまま過ごしてほしいと思っていた。

 マフィアの話を聞いた以上、狙われる可能性は十分あるけど、もし、この場でわたしから離れてくれたのであれば、マフィアの世界から適正した人を探し出すこともできるだろうから、意識をそちらに向けることが可能になる。

 まるで、囮のようだと思わなくもないけど、一般の出の人に比べれば、まだ、事情を知ってる分、対処することもできるはずだ。

 

「……ナツは、また、あいつと戦うつもりなんだな。」

 

「まぁ、スクアーロさんとまた衝突することになるかどうかはわからないけど、間違いなくスクアーロさんか、スクアーロさんと同じくらいかそれ以上の力を持ってる人とぶつかることは確定してるかな。

 でも、これは仕方ないと思ってる。この指輪はそれだけ重要みたいだからね。」

 

「………。」

 

 わたしの言葉を聞き、武は少しだけ無言になる。だけど、直ぐに何かを決意したような表情を見せては、わたしの方に手を差し出して来た。

 

「……武?」

 

「……オレ、昨日言ったよな?ナツを守りたいって。だから、小僧に護身術とか教えてもらって、なんとかナツを守れねーかなって思ってたって。

 でも、昨日は結局守られて、足手纏いだって言葉に、言い返すこともできなかった。」

 

 ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ武の声に耳を傾ける。守りたいけど守ることはできず、結局自分は守られた。

 昨日のことを思い出したのか、悔しげな表情を見せたあと、静かにわたしを見据えて来た。

 

「話からして、ナツはこれからも沢山危険な目に遭うかもしれないんだろ?でも、きっとナツのことだから、それに立ち向かって、何度転んでも頑張るんだろうな。

 それならオレは、そんなナツを支えたい。どこまでやれるかなんてわかんねーけど、好きな奴が危ない目に遭ってるかもしれないってのに、何もしないなんてオレには無理だ。」

 

 最後まで口にして、武はわたしに笑いかける。彼の目には、わたしに着いていきたいと言う強い意思と、わたしに対する恋情が宿っており、その目にわたしは思わず見惚れてしまう。

 

「……夢はきっと目指せなくなると思うし、武自身も、危ない綱渡を何度もすることになるよ。」

 

 そんな武から視線を逸らしたわたしは、こっちに着いてくると言うことが何を意味するのかを再び口にする。

 野球選手としての夢を手放すことになるし、危険な橋渡りをするばかりの生活にしかならないから、離れた方がいいと伝えるように。

 

「それはナツも同じだろ?だったらオレは、ナツから離れるよりはナツを側で守ることを選ぶぜ。

 もちろん、今のオレじゃあまり役に立たねーかもだけど、絶対にナツを守って支えてやれるくらい強くなってみせるからさ。

 だから、オレにもその指輪をくれないか?オレは、頑張るナツを助けたい。」

 

 でも、武はわたしに着いてくることを……離れないことを選びたいと口にして、手のひらを広げたまま、わたしに指輪を渡して欲しいと言って来た。

 その瞳に迷いはなく、逃げるつもりはないと言う意思のみが宿っていた。

 

「……本当にいいの?後戻りはできなくなるよ?」

 

「ああ。」

 

 最終確認をするように問いかければ、武はしっかりと頷き、わたしの守護者になることを承諾する。

 その姿を見て、彼は本気でわたしに着いてくることを選ぶつもりでいるのだと理解する。

 これは……これ以上離れるように言うことは無理のようだ。

 

「……わかった。武にも指輪を託すよ。……ごめんね……巻き込んで……。」

 

「気にすんなって!それに、オレはナツが頼ってくれてよかったって思ってんだぜ?まぁ、何回も確認するってことは、それだけ危険だってことだし、できることなら離れてほしいってナツは思っていたんだろうけどな。

 ……心配してくれたんだろ?自分が歩こうとしてるのがそれだけヤバい道で、だから巻き込みたくないって。

 心配してくれてサンキューな。でも、心配してるのはオレも同じだからさ。」

 

 武に箱の中に収まっていた指輪のカケラの一つを取り出して、広げられていた手のひらに乗せる。

 すると武は、指輪を乗せたわたしの手をそっと握り、いつもの明るい笑顔を見せた。

 

「同じ心配でも、離れているのと近くにいるのとじゃ、全然違うと思うんだよな。

 離れてたら何もできない。でも、近くならナツが抱えきれなくなる前に助けることができる。

 だから、ナツを側で守ることができる方が、オレは嬉しいぜ。」

 

「……ありがとう、そう言ってくれて。」

 

 そっとわたしから手を離し、指輪を受け取った武。これで、後は了平さんだけだけど……。

 

「……奈月がマフィアであることはわかった。まぁ、完全に理解したかと言われたら微妙なところではあるが、奈月が、オレや京子達を巻き込みたくないと言う気持ちはすごく伝わったぞ。」

 

 そんなことを思っていると、了平さんが静かに口を開く。静かに了平さんの方へと視線を向けてみると、彼は真剣な表情をしながらこちらを見据えていた。

 

「だが、奈月は自身が関わってしまっている時点で、京子も危ないと思っている。

 それは、正直言ってオレも同感だ。何かしらの繋がりがあると言う疑いだけで、目をつけられてしまう可能性も否めんと言う話だな。」

 

 そこまで口にした了平さんが、静かにわたしに手を差し伸べる。

 先程、指輪を託した武のように、手のひらを上に向けながら。

 

「本当は、京子をこれ以上、奈月に関わらせるのをやめるべきなのだろうが、きっと、それは京子自身が嫌がることだ。

 京子は、いつも学校から帰って来たら、奈月のことばかりを話していてな。奈月のことが本当に好きなのだと極限にわかる程だ。

 そんな京子に、奈月には金輪際関わるななどと言えるはずもない。」

 

 わたしを見据えながら言葉を紡ぐ了平さんは、決意を宿した目を向けて、差し出した手をわたしの方に近づける。

 

「ならば、危険から妹を守ると言うのも兄の勤めだ!最適解が使えぬと言うのであれば、その次に最善と言える方法を取ればいい!

 それに、奈月は放っておいたら無茶をしてしまいそうだからな。倒れでもしたら、それはそれで京子が心配する!オレも極限に力を貸すぞ、奈月!」

 

 真っ直ぐと向けられる強い思いが宿る瞳。わたしはそれを無言で眺めたあと、箱の中にある指輪の一つに手をかける。

 

「……後戻りはできなくなりますよ。」

 

「それでも構わん!京子を守る力となり、奈月の負担を多少なりとも減らすことができるのであればな!

 ただし、京子を巻き込まないようにするために、奈月も協力してくれると助かる。

 強さからしても、極限にオレは奈月に敵わないからな。これから先、鍛えなくてはならないことが沢山ありそうだが、奈月の力を借り、オレ自身も力をつけることができれば、京子の安全はしっかりと確保できるだろう?」

 

「……ええ。京ちゃんや、他のみんなの安全の確保はわたしもしっかりつとめるつもりです。

 ……こちらの事情に巻き込んでしまい、申し訳ありません。それと、ありがとうございます。力を貸すことを選んでくれて。」

 

 最後の確認にも躊躇いなく頷いた了平さんに、謝罪と共に感謝を伝え、触れていた指輪を差し出された手のひらの上に乗せれば、了平さんはそれをしっかりと受け取った。

 

「笹川君。君の妹の安全は、我々も尽力して確保するつもりだ。あまり表立って動くことはできないが、いざと言う時は陰ながら護衛できるように部下を派遣するつもりでいる。

 娘程ではないかもしれないが、オレの部下も精鋭が多いからな。大抵の相手からは守り抜くことができるはずだ。」

 

「!ありがとうございます!!」

 

 父さんの言葉に、感謝を述べて了平さんは頭を下げる。

 頭を下げる了平さんに、父さんは小さく頷いたあと、視線をわたしの方に向けて来た。

 その視線には、これからのことを伝えるようにと言うわずかな催促が含まれていた。

 父さんの目を見て、わたしは小さく頷き返す。そして、再び隼人達に視線を向けて、これからのことを話すために口を開いた。

 

「今から話すことは、これから確実に起こる出来事と、これからみなさんにやってもらうことの話となります。」

 

 “聞いてくれますか?”……と静かに問いかければ、隼人達は直ぐに頷いた。

 それを確認したわたしは、この指輪が未完成である理由と、完成させるための片割れがどこにあるのかと言う話、そして、自分達が持ち合わせているこのカケラを守り抜くためにするべきことを告げるのだった。

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 手渡す直前まで迷いを見せたが、選んだ仲間の決意を見てその迷いを吹っ切ったボンゴレ10代目。
 指輪を手渡すと同時に、これから先のことを話し始める。

 沢田 家光
 娘が辛そうにしていたため、やっぱり自分が渡そうかと問いかけたが、最後は迷いを吹っ切り、指輪を手渡した娘の姿を見守ることになった門外顧問。
 娘に協力してもらう以上、一般からの出である山本や了平のサポートをすることを約束する。
 ……が、山本が目の前で娘に好きだと言い出したので、内心大荒れだった父親でもある。

 獄寺 隼人
 ボンゴレファミリーの中核に属する者の証であるボンゴレリングを真っ先に受け取りに行った右腕を目指す少年。
 ようやく自身も頼ってもらえると歓びに浸りながら、手渡されたボンゴレリングを握りしめた。

 山本 武
 奈月からこれは遊びでもなんでもない事実だと言われ、マフィアとしての沢田奈月の素性を明かされた野球少年。
 自身の安全を願った奈月から離れるように言われたが、好きな人が遠く、危険な世界に足を踏み入れて戦う中、自分だけ何も知らないで過ごしたくない、奈月を守りたいと言う一心から指輪を託してほしいと告げた。
 託された指輪を握りしめ、必ず大切な女性を守る決意を新たにする。

 笹川 了平
 奈月から明かされた、沢田奈月と言う存在が抱えていた素性の一つを知り、最初は離れた方がいいことを考えた少年。
 しかし、奈月を大切に想う妹に、奈月に金輪際近寄るななど言えるはずもなく、それならばと妹を守るための力を選ぶことにした。

 ディーノ、リボーン、ラウル、バジル
 話にはあまり口出しをしなかったが、辛そうな様子を見せていた奈月を心配していた者達。
 彼女が指輪を守護者に託した姿を見て、ようやく緊張が少し解かれた。




 
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