最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 3人の守護者に指輪を託し、今後のことを伝えた女王は、跳ね馬を連れてある場所へ向かう。
 彼女が向かった先にいたのは、彼女のもう1人の守護者の元だった。


10代目の守護者達 Ⅱ

 指輪を託したあと、わたしはこれから先のことを口にする。

 託した指輪の片割れは、ヴァリアーと呼ばれる組織の元にあることを。

 ヴァリアーと呼ばれる組織があるのはイタリアで、昨日、自分達が今手にしている指輪の片割れと全く同じ型をした偽物がそちらの方へと奪取されてしまったことを。

 指輪のカケラが偽物だとわかれば、ヴァリアーは間違いなく本物である片割れを狙って日本へと雪崩れ込んでくることを。

 そして、わたし達はそれを迎え撃つ必要があることを……。

 

「ヴァリアーに渡った偽物の指輪は、かなり良くできたフェイクだったからな。早くても10日間は見抜かれねーはずだ。

 そこで、ナツの守護者として選ばれたお前達には、これから10日間、迎え撃つための力を身につけてもらう。

 ヴァリアーの連中は、それこそとんでもねー力を持ち合わせている連中の集まりだ。

 生半な力じゃ一瞬にして終わりに叩き落とされる。そんなんじゃ、ナツや大切な家族を守り抜くことすらもできねーからな。

 だから、お前達にはこれから10日間、みっちりと修行をしてもらうぞ。」

 

 指輪を狙ってくるであろうヴァリアーの話を済ませると、側にいたリボーンが静かな声音で、隼人達にこれから取りかかってもらわなくてはならないことを説明する。

 それを聞いた隼人達は、3人揃って顔を見合わせ、静かに指輪に視線を落とした。

 

「そうそう、その指輪はそれぞれ違う性質を持ち合わせてるって話がある。

 獄寺の指輪は嵐で、山本の指輪は雨、了平の指輪は晴のようだな。」

 

 不意に、リボーンが口にした指輪の性質の話に隼人達が首を傾げる。

 わたしはと言うと、これまで初代ファミリーと接触していたこともあり、その話はある程度理解していたため、詳細を聞くために耳を傾けていた。

 

「雨やら嵐やら晴やらと……天気予報のようだな。」

 

 リボーンの言葉を聞いて、了平さんが変わった指輪だと言うように、困惑した表情を見せる。

 それを見たリボーンは小さく笑い、確かになと静かに呟いた。

 

「ナツが引き継ぐことになってるボンゴレファミリーの初代達は、なかなか個性豊かなメンバーだったらしくてな。

 その特徴が指輪に刻まれているんだ。まず、ナツが手にしているボスの証は、全てに染まりつつ、全てを飲み込み抱擁する大空のようだと語られていた初代ボスにちなんで大空のリングと呼ばれている。

 そして、守護者として構成されている部下達は、大空を彩る天候になぞらえられたらしいな。

 全てを洗い流す恵の村雨、雨のリング。荒々しく吹き荒れる疾風、嵐のリング。なにものにもとらわれず、我が道をいく浮雲、雲のリング。明るく大空を照らす日輪、晴のリング。実体の掴めぬ幻影、霧のリング。そんで、激しい一撃を秘めた雷電、雷のリング……。

 これが、ボンゴレリングに込められている特徴だな。」

 

 次々と挙げられる指輪の特徴に、わたしは離れた位置にいる初代組へと視線を向けた。

 わたしの視線に気づいた初代組は、直ぐにこちらへと視線を向けて、何か用か?と言うように首を傾げた。

 

 ─────……言われてみれば、確かにジョットさん達っぽい特徴ばかりだな。

 それにわたしが該当するのがビックリなんだけど……。

 

 わたし、ジョットさんみたいな包容力とかないと思うんだけど……と少しだけ考えながらも、静かに隼人達に視線を戻す。

 

「……今回、対峙することになるヴァリアーの実力は、正直言って未知数です。

 鍛えることにより、どれだけ彼らの実力に追いつけるようになるかわかりません。

 ですが、何もしないままでいたら間違いなくこちらは壊滅に追い込まれてしまうでしょう。

 そこで、3人にはこれから力を身につけてもらうために、自身の力を上げることができる師匠(せんせい)を見つけてもらいます。

 もし、師匠(せんせい)になってくれそうな相手に心当たりがあった場合、まずはその人を当たってください。

 時には皆さんの直感も必要になると思うので、その練習も兼ねて。ですが、もし、直感に従ってもなお、師匠(せんせい)になりそうな人が見つからない場合は、こちら側から選抜します。」

 

 そして、これから先襲ってくるであろうヴァリアーを迎え撃つために何をするべきかを口にして、必要であればこちらから師匠(せんせい)役を選抜することを告げる。

 

「では、オレは心当たりが1人いるので、まずはそいつを当たってみます!」

 

「オレも、少しだけ思い当たるのがいるから、まずはそっちに行ってみるぜ!」

 

 すると、真っ先に隼人と武は心当たりがいるとわたしに告げ、まずはそっちを当たってみると告げて来た。

 

「わかった。じゃあ、2人は早速心当たりがある師匠(せんせい)のところに向かって、修行を始めて。

 もし、その当てが外れた場合はすぐにわたしのところに戻ってくること。1人でやろうとはしないで、報告をしっかりしてもらうよ。

 特に隼人。キミは、わたしと同じで時折無茶をし過ぎる。くれぐれも、1人で暴走することだけはしないように。」

 

「ゔ……わ、わかりました……」

 

 それならと、わたしは直ぐに2人には師匠(せんせい)探しに入るようにと告げる。

 同時に、くれぐれも1人で突っ走ることだけはしたらダメだと釘を刺す。特に、慢心する癖や、少しでも自身に不都合があれば1人でやろうとしてしまう癖がある隼人には念入りに。

 わたしから即行で注意された隼人は、バツが悪そうな表情をしながら、わたしの言葉に返事をする。

 多分、これなら隼人も無茶はしないはずだ。

 

「話は終わり。隼人と武は直ぐに動いて。今は一分一秒が惜しいから。」

 

「おう!ナツ、オレ達を頼ってくれてサンキューな!」

 

「必ず奈月さんを守るための力を身につけて来ます!ヴァリアーなんかに

は絶対に指輪を奪わせたりはしません!」

 

 わたしの言葉を合図に、隼人と武は今いる部屋から外へと出て行く。

 それを見送ったあと、自然と視線は了平さんへと移動する。彼はかなり頭を悩ませており、うんうん唸っているようだった。

 

「ぬおぉ……!!極限に思いつか─────ん!!すまん!!奈月!!オレは自分に最適な師となりそうな人間に心当たりがない!!」

 

 ……どうやら、自身に最適な師匠(せんせい)が思いつかなかったらしい。

 ……了平さん、何回もディーノさん含めたキャバッローネファミリーに会ってるのに、彼らではないって結論に至ったんだ。

 まぁ、それ、事実と言うかなんと言うか……正直言って、わたしも彼に適してるのはキャバッローネファミリーの人じゃないって考えだったんだけど。

 

「それなら、オレがとっておきの家庭教師を呼んでおいたぞ。」

 

「え?」

 

「何!?それは本当か!?」

 

「ああ。」

 

 了平さんの師匠(せんせい)、どうしよ……?と少しだけ考えていると、リボーンからとっておきを呼んでおいたと告げられる。

 とっておきの家庭教師?と首を傾げていると、彼が首から下げているおしゃぶりが光を放った。

 

「あ。」

 

「近くまで来たな。ディーノ。窓を開けてくれ。」

 

「ええ……?めちゃくちゃ嫌な予感しかしねーんだけど……?」

 

 アルコバレーノのおしゃぶりが光ると言うことは、同じアルコバレーノが近くにいると言うこと。

 直ぐにそれに気づいたわたしとディーノさんは、リボーンが呼んだとっておきの家庭教師に当たりをつける。

 同時にディーノさんは嫌な予感がすると口にしたが、早く開けろとリボーンに促されて窓を開けた。

 

「久しぶりだな、コラ!」

 

「どわぁ!?やっぱりかよ!!こうなると思ったわ!!」

 

「チッ、躱されたか、コラ。ちゃんと鍛えているようだな。」

 

「おい!!今舌打ちしただろコロネロ!!」

 

 その瞬間飛び込んできた1羽の鷹と、その鷹にぶら下がる小さな体。リボーンと同じく、アルコバレーノになってしまった存在の1人であるコロネロが、窓からダイナミックこんにちわをかまして来た。

 ついでに挨拶代わりなのか、窓際に寄っていたディーノさんに蹴りを一発入れようとしたようだが、流石はボスと言う立場に身を置き、部下も側にいる状態のディーノさん。

 その一撃を彼は躱し、コロネロに思い切り怒鳴り返していた。

 

「久しぶりだね、コロネロ。」

 

「ああ。久しぶりだな、コラ。」

 

 久しぶりに会ったコロネロに、挨拶の言葉をかけてみると、彼はわたしの姿を視界に入れた瞬間、鷹に何かを伝えて移動してくる。

 直ぐに肩を差し出せば、コロネロはわたしの肩に飛び乗り、一緒にいた鷹は、彼とは反対側の肩に止まった。

 

「リボーンから聞いたぞ、コラ!お前、1ヶ月くらい行方をくらませたらしいな。」

 

「ちょっといろいろあってね。」

 

「そうか……。まぁ、詳しくは聞かねーが、オレもこう見えてリボーンと同じで経験は積んでいるから、なんかあったら相談しろ、コラ!」

 

「ん。ありがとう、コロネロ。」

 

 コロネロの言葉に静かに頷けば、彼は口元に笑みを浮かべたのち、わたしの肩から飛び降りた。

 

「そうだ。ファルコを少しだけナツの肩で休ませてやってくれ。これがファルコのエサだぜ、コラ。」

 

「わかった。」

 

 どこからともなくコロネロが取り出したのは、生肉が入ったタッパーとピンセットだった。

 彼からそれを受け取りタッパーの蓋を開けると、肩に乗っていた鷹……ファルコと呼ばれたコロネロのペットが反応を見せる。

 直ぐにピンセットで生肉を摘み、ファルコの口元に持っていけば、ファルコは生肉にすかさず食らいつき、食べ始める。

 そして、生肉をこぼすことなく食べ切ったファルコは、少しだけわたしに擦り寄るような動作を見せた。

 ……猛禽類もやっぱり可愛いな……なんて少しだけ思いながら小さく笑っていると、カメラのシャッター音がいくつか聞こえる。

 

「「「………あ。」」」

 

「お前ら何やってんだ、コラ。」

 

 シャッター音の方へと視線を向ければ、そこには携帯を構えている父さん、ディーノさん、リボーンの姿と、携帯を構えた3人に呆れた眼差しを向けるコロネロの姿があった。

 

「……なんで写真撮ってんの。」

 

「いやぁ……娘が動物と戯れてるの見たらつい……な?」

 

「悪い……つい、オレも携帯手にしてたわ……」

 

「オレもだ。レオンも抱えるか?」

 

「ファルコに突かれない?」

 

 コロネロと一緒になって3人に呆れながらも、懐いてくるファルコをそっと撫でる。

 わたしに撫でられたファルコは、気持ち良さげな様子を見せて大人しくしていた。

 

「……ファルコが初対面で懐くなんてな。珍しいこともあるもんだぜ、コラ。」

 

「ナツはしょっちゅう動物に集られるからな。」

 

「ちっせー時もよく庭先に入り込んだ野良猫と遊んでたり、いつのまにか小鳥に群がられてたり、散歩中の犬にくっつかれてたな。」

 

「そう言えば、ナツが小鳥を呼んだら小鳥がナツに止まる姿を見かけたな。他にも、動物園でふれあい広場系統に足を運ぶと、いつのまにかナツの周りがメルヘンになってたぞ。」

 

「水族館のだと、カワウソとかペンギンがナツに興味津々に近づいてたっけな。」

 

 ファルコを撫でながら、リボーン達の会話に耳を傾ける。

 言われてみれば、わたしの側には動物が集まりやすい気がする。

 娘の動物触れ合いエピソードを交換する3人は、どことなく楽しげだ。

 

「そう言えば、リボーン。確かコロネロは君が呼んだんだよね?そのことについて、話はしなくていいの?」

 

「おっと、忘れてたな。」

 

「おい。」

 

「だって動物と戯れてるナツに癒されてたんだもーん。」

 

「気色わりーぞ、コラ!」

 

 それはちょっと言えているかもしれない。今のリボーンは赤ん坊の姿をしてるからまだ可愛らしいと思えるけど、実際のリボーンは明らかにイケイケなお兄さんだ。

 それを知ってるコロネロからすると、そう思ってしまうのも仕方ないし、彼の本来の姿を知ってるわたしからしてもちょっと引く。

 

「ま、茶番は置いといて……だ。コロネロにはそいつを鍛えてやってほしいんだ。」

 

「確か、ボクサー小僧だと言っていたな。こいつか?」

 

「そうだぞ。」

 

 そんなことを思っていると、リボーンはコロネロに呼び出した理由を伝える。

 ようやく本題かと言うように、コロネロは呆れた様子を見せながらも、この場にいる了平さんへと視線を向けた。

 

「どれ……」

 

 リボーンの話を聞き、コロネロはどこからともなくライフルを取り出し、長い銃口側を使って了平さんの体を調べ始める。

 程なくしてコロネロは少しだけ不思議そうな表情をしながら、リボーンの方へと視線を向けた。

 

「……メールにはナツのファミリーの中で最も弱い部類にいると書いてあったが、本当にこいつは弱いのか?」

 

 どうやらコロネロは、リボーンから1番弱い存在に当たる人間を鍛えて欲しいと言われて来ていたようだ。

 なのに反応は疑問に溢れているところを見ると、先程の行動は了平さんの筋肉等を調べていたと言うことだろう。

 そして、調べてみたところ、体は鍛え上げられているため、不思議に思ったと言ったところか。

 

「ああ。メールに書いてあった通りだぞ。」

 

 コロネロの質問に、リボーンはあっさりと肯定を返す。するとコロネロは面白いものを見たと言わんばかりに笑い声を堪え、了平さんへと視線を戻した。

 

「こいつは面白い奴を見つけたな、コラ!」

 

 コロネロはやる気に溢れた目を見せて、了平さんの視線になるべく近づくためか、ファルコが乗ってない方のわたしの肩に再び飛び乗り、口を開く。

 

「小僧、名前はなんと言う?」

 

「オレは笹川了平だ!並盛中学校のボクシング部主将を勤めている!」

 

「そうか。では了平。お前のことはオレが鍛えてやる。もし10日間、オレのトレーニングについてこれれば、誰よりも強い力を得ることができるぜ、コラ!

 あ、言っとくが、誰よりもの中にナツは含まれてないため、そこら辺は頭に入れておけよ、コラ。」

 

「あ、やっぱりわたしは比較対象外なんだね?」

 

「当然だ、コラ!誰がナツと比較できるんだ!コラ!」

 

「ナツは潜在能力が未知数過ぎて、比較できる対象自体がいねーからな。今回、幻術も使ってたみたいだしな。」

 

「「は?」」

 

「確かに使っていましたね……」

 

 幻術と言う言葉に父さんとディーノさんが反応を示すが、それに関しては、うん。

 

「……あれはただ、骸が力を貸してくれただけだよ?」

 

「待ってくれナツ。なんでそこで六道骸の話が出てくるんだ?」

 

 骸の力を借りたからと言う言葉にディーノさんが反応を示す。

 その表情には、アイツは今イタリアの方にいるはずだろう?と言う疑問が浮かんでいた。

 

「……一応、父さん達には教えとこうか。」

 

 それを見たわたしは、骸に合図を送ると同時に、了平さんへと視線を向ける。

 この話は、了平さんには聞かせないようにしないとね。

 

「話をする前に、了平さん。」

 

「む?どうかしたのかなつ……」

 

「しばらくの間、両手で耳を抑え、周りの音をシャットダウンしたまま、話さず大人しくしててください。」

 

 そうと決まれば……と考えたわたしは、骸との繋がりが強くなるのを感じ取ると同時に、了平さんへと自身の目を合わせて命令を一言口にする。

 その瞬間、わたしに目を合わされたまま、命令を下された了平さんの瞳から光が消え、意識が混濁する中で、両耳を彼は静かに抑えて座り込んだ。

 

「「!!?」」

 

「これは……!!」

 

「マインドコントロールだな。」

 

 了平さんがこちらの命令に従ったのを確認したわたしは、荷物の中から鏡を取り出し、自身の瞳を確認する。

 鏡に映るわたしの右目は、黄昏の赤に染め上げられ、六の文字が存在感を放っていた。

 

「……骸が力を貸してくれた……と言うのはこの通り、わたしと骸が常に繋がっている状態にあるため、その繋がりを利用してわたしが彼が持つ六道輪廻のスキルを使わせてもらっていたことを意味します。

 わたしと骸は少々特殊な状態になっており、彼は、禁弾とされている憑依弾を使用することなく、わたしに憑依できる繋がりを持ってるんですよ。

 この繋がりに関しては、わたし自身も承諾したものであり、無理やり行われたものではありません。」

 

 骸との繋がりの話をした瞬間、リボーン以外の人間が目を見開いて固まる。

 まぁ、六道骸の脱獄の話はマフィア界隈ではすでに有名な話になっているって聞いてるし、自分達の目の前にいる人間が、まさか彼の憑依が可能な器になっているなんて思いもよらなかっただろうから、当然と言えば当然だ。

 

「やろうと思えば、わたしの意識が眠る代わりに、彼の意識を呼び出すことも可能ですが、今は彼と言葉を交わすより、優先してやらなくてはならないことがある……なので、現在、わたしから詳しく話すつもりはありません。

 ですが、これだけは覚えておいてください。わたしは確かに骸が憑依可能な器としてすでに確立されていますが、彼が憑依する時は、わたしが同意している時のみであり、普段は憑依を行なって来ません。

 まぁ、あえて強制的に憑依を行ってくるとしたら、わたしがぶっ倒れそうになるまで無茶をしている際のストッパーになる時か、わたし達の間に決めてある条件を満たした時のどちらかです。

 ただ、わたしと骸が交わした条件と約束に関しては話すつもりはありません。

 サプライズは隠してこそ。種明かしを早々に行うことはしません。」

 

 “もっとも、このサプライズはマフィアからしたら最悪以外の何ものでもないでしょうけど”……と、骸から伝わって来た感情と全く同じ感情を胸に宿しながら、わたしは静かに言葉を紡ぐ。

 わたしの話を聞いていた父さん達は、少しだけ表情を曇らせながらも、これ以上言及することはなかった。

 

「……ナツ。明らかに骸が混ざってる気配がするが、今のナツはどんな状態なんだ?」

 

【……これ、話しても大丈夫かな?】

 

【問題ありませんよ。どうせいずれはわかることです。知る機会が早まったか遅くなるかの違いですからね。】

 

 不意に、リボーンがわたしに今のわたしの状態に関して質問をして来た。

 そのことに関して話していいか骸に繋がりを通して話していいか問いかければ、話していいと言う許可をもらった。

 言われてみれば、確かに今の状態は、いずれわかってしまうこと……それなら、話しても問題ないか。

 

「今のわたしの状態を説明するとしたら、リボーンが感じている通り、わたしと骸が混ざってる状態です。

 さっき話した条件と約束を決める際に、骸がわたしとの繋がりを強めたらしいのですが、その結果、なぜかわたしと骸は一部の精神が完全に混ざり合った状態になってしまい、互いに互いの感情や現状を共有できる状態になってしまったんです。」

 

 骸と精神が混ざっていることに、その場にいる全員が驚いたように息を呑む。

 精神の結合、混在……そのようなことが発生するのかと言うように。

 

「もっと詳細に話すとしたら、わたしと骸は繋がりを強めれば強める程、互いの五感と感情を共有することができます。

 本来、憑依と呼ばれる技術を使った時、器となっている対象の五感と自分自身の精神は別物であるため、痛みなどを感じることはないのですが、わたしと骸はその常識が崩れてしまっている。

 自分達の精神と器の相性が極めていい上、わたしと彼の精神は、どちらも目と鼻の先と言える程に近くにあるらしく……。

 わたしも憑依の技術を持ち合わせているため、互いに互いの精神の波長を合わすことが可能で、尚且つ互いに互いを受け入れていることによる副産物だろう……と言うのが骸の見解です。」

 

 そんなリボーン達を気にすることなく、自分と骸がどのような繋がりがあるのかを解説する。

 

「いわゆる、半一心同体状態。場合によっては、わたしと骸は互いの記憶すらも見ることができるくらい深く繋がることができます。

 骸が主導権を握ってる時は、彼が感じているものや感情と言ったものをダイレクトに受け取ることも可能になるらしく、わたし自身が骸になったかのような錯覚を覚えることもあります。

 まぁ、そのおかげで骸が過ごした最悪な幼少期の記憶を見ても、発狂することはなかったんですけどね。」

 

 骸が過ごした最悪な幼少期と言う言葉に、周りにいる全員が言葉を失う。

 エストラーネオファミリーの生き残り……その話もある程度は伝わっているのか、それともわたしが憑依の言葉を使ったからか……。

 なんにせよ、彼が散々な目に遭っていたことは把握できているのだろう。

 キャバッローネとボンゴレ……マフィアの中では大勢力と言っても過言ではないはずの存在が、惨状を知っていながらも無視していたのだとしたら、ますます軽蔑してしまいそうだ。

 そう言う大勢力だからこそ、何かしらの工夫だってできたかもしれないのに。

 

「とにかく、わたしと骸はかなり特殊な関係にあります。その分、できることもかなりあり、骸との繋がりを強くすることにより、わたしは骸が持ち合わせている六道輪廻のスキルを使わせてもらうことができるんです。

 スクアーロさんに仕掛けた幻術は、この仕組みを使うことによりできたことで、わたし自身の力かと言われたら微妙なところですね。」

 

 “本当は、わたしも幻術が使えるんだけど”……と言う言葉は静かに濁し、あくまで骸を通じて使っていたことだと口にする。

 まぁ、いずれは自分自身の幻術を使うことをバラすことになりそうだけど、今は誤魔化しておこう。

 

「なるほどな。」

 

「にわかには信じられんが、嘘をついてるようには見えないな、コラ。」

 

「娘が知らない間に男と特別な関係に……」

 

「言い方はアレだが、側から見たらソレだな。」

 

 納得したような反応を見せるディーノさんとコロネロに、ショックを受けている父さん。それと、ショックを受けた父さんに同意の言葉をかけるリボーン。

 様々な反応を見せる中、わたしはその場で指を一つ鳴らす。

 

「む?オレは何を……」

 

「わたしが一気に事情を話したせいか、少しだけ思考回路が処理落ちでもしたのかと。なんだかボーっとしてましたし。」

 

「な、なるほど……!!確かに奈月の話を聞いた時、極限に頭がこんがらがったな!!」

 

「でしょうね。とりあえず、京ちゃん達を守るためにも、了平さんはコロネロから指導を受けながらトレーニングを始めてください。コロネロ。了平さんを頼んだよ。」

 

「ああ。任せておけ。では了平。この10日間、オレがみっちりと鍛え上げてやるぞ、コラ。

 まぁ、かなり厳しいかもしれんが、ついて来れるか、コラ!」

 

 了平さんのマインドコントロールを解き、一時的に意識が飛んでいた理由をでっちあげながらもコロネロに声をかければ、コロネロは直ぐに話を合わしてくれた。

 

「望むところだ!!オレは負けん!!」

 

「よし!行くぞファルコ!了平!ついてこい、コラ!!」

 

「おう!!!」

 

 コロネロにバンダナを手渡されながら、ついこいと言われた了平さんは、そのバンダナを頭に巻いて移動するコロネロの後を追う。

 それを見送ったわたしは、繋がりを通して骸に合図を送ったのち、強めていた精神の繋がりを弱めた。

 その際、少しだけ名残惜しいと言う感情が流入して来たが、あえて気づかないフリをして。

 

「……骸に憑依されたわたしとは、隼人と武も対峙したことがあるけど、常に憑依ができることは知らないと思うから、繋がりに関しては黙っててね。

 あの子達に無駄な心労はかけたくない。だって疲れるでしょ?常に警戒しておくなんてさ。」

 

 口元に人差し指を添えながら、骸とわたしの関係は黙っていてほしいことを口にすれば、この場にいる全員がそれを承諾してくれた。

 そのことに小さく笑いながら、わたしはディーノさんに視線を向ける。

 

「それじゃあ、次の守護者の元に向かいましょうか。ディーノさん。一緒に来てくれますか?あなたに鍛えてほしい人がいるんです。」

 

 わたしの言葉に、ディーノさんは一瞬目を丸くする。だけど、直ぐに小さく頷いては、わたしの方へと歩み寄る。

 

「ナツ。オレも一緒に……」

 

 そんな中、父さんがわたしを呼び止める。その表情には確かな心配が滲み出ており、少しでもわたしの負担を減らせたらと言う感情があった。

 

「……いや、父さんには別にやってほしいことがあるから、先にそっちをこなしてほしいかな。」

 

「別にやってほしいこと?」

 

 疑問符を浮かべる父さんに、わたしは一枚のメモを手渡す。そこに記されているのはとある家の一つの住所。

 あの子が待ってる、保護施設。

 

「ここ。親からネグレクトを受けていた子供を保護する場所なんだけど、そこにいるある女の子と養子縁組を結んでほしいんだよね。

 つい最近、その女の子の親があまりにもあの子に対してひどいことを言っていた情報が流出したかなんかで、そのまま捕まっちゃったらしいんだ。

 丁寧に様々な証拠と一緒に、マスコミの元に送りつけられたらしくて、その子が全て合ってると言ったこともあり、あっさりと捕縛されたんだってさ。」

 

「え……?ひどいことを言った親……?」

 

「そ。保護された女の子は事故に遭ってかなり危ない状態だったんだけど、奇跡的に助かったみたいでね。

 で、その子が入院していた病院内で、他人から内臓を移植されてまで女の子が生きることなんて誰も望んでないとか言ってたらしいよ?」

 

「よし、すぐに養子縁組を結んできてやる。」

 

「ありがとー。じゃあ、女の子のことよろしくね?最近保護した凪って子を引き取りに来たって言ったら伝わるはずだから。」

 

 わたしからメモを受け取り、さっさとホテルを後にした父さんを見送っていると、リボーンがわたしの肩に飛び乗る。

 

「その話って、今日の新聞に乗ってた人気女優と一般実業家の子供の話だろ?何でナツがそれを知ってるんだ?」

 

 新聞なんて見てねーじゃねーか、と言ってくるリボーンに、わたしは小さく笑みを浮かべる。

 

「……わたしと骸の精神が繋がるのと同じで、その子も特異体質な女の子だったんだよ。

 だから、わたしと骸がしていたように、眠ってる間だけ特別な場所で巡り会えたため、話を全部知ってるってこと。

 裏工作をしたのも、実はわたしだったりするんだよね。正確には、わたしと桜月なんだけど。」

 

 知ってる理由を口にすれば、リボーンは納得したような様子でなるほどな、と呟いた。

 うん。特殊な繋がりの話をしていて正解だったようだ……そんなことを思いながら、わたしはディーノさんに再び視線を戻した。

 

「それじゃあ、ディーノさん。行きましょう。」

 

「ああ。でも行くってどこに行くんだ?」

 

 ディーノさんの質問に、わたしは並盛中学校がある方角へと視線を向ける。

 

「……並盛中学校ですよ。そこに、もう1人の守護者候補がいるんです。」

 

 そして、目的地である場所の名前を口にして、わたしは静かに目を閉じた。

 自身の脳裏に、応接室で待っているあの人の姿を思い浮かべながら。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 着々と守護者集めをしているボンゴレの女王。
 骸との繋がりの強弱により、六道輪廻のスキルを自身が行使することができる。
 自分は大空と呼べるような特徴を持ち合わせていただろうかと首を傾げながら行動中。

 リボーン
 骸とのつながりの話は知っていたが、ある種の半一心同体状態であることや、精神の混在が発生しているとは思わなかったアルコバレーノ。
 愛娘が知らないうちに脱獄した野郎と特別な関係を持ってたことに驚いていた家光に、同じ気持ちを味わったことがあるため同意した。

 ディーノ
 奈月のマフィアに対する感情の変化や繋がりの話は知っていたのであまり驚かなかったが、奈月が憑依する技術を持ち合わせていることまでは知らなかったキャバッローネファミリーの10代目。
 並盛中学校にもう1人守護者候補がいると聞き、1人の男子生徒を思い浮かべた。

 沢田 家光
 知らないうちに娘が男と特別な関係を作っていたのでかなりショックを受けた門外顧問。
 守護者を集める過程に辛い思いをしないようにと愛娘に寄り添おとしたら、別の案件を依頼された。
 直ぐにそれを引き受け、行動に移すが、あれ?なんで娘は1人の女の子のネグレクトの話に詳しかったんだ……?

 獄寺&山本
 自分達が大切にしている女子が実は別の男とかなり深い関係があり、今もなお継続されていることを知らない少年達。
 力をつけるため、各々思い当たる家庭教師の元へ向かった。

 笹川 了平
 奈月から一時的にマインドコントロールをかけられ一部の記憶が吹っ飛んだボクシング部主将。
 何があったと混乱したが、まずは強くなるためにコロネロと共に退室する。

 コロネロ
 リボーンに呼び出しをくらい、ファルコを飛ばしてやって来たアルコバレーノ。
 ファミリーの中では最も弱いと告げられた了平にかなり驚いていたが、鍛え甲斐がありそうな生徒だとワクワクしながら移動する。

 六道 骸
 度々奈月に干渉している奈月の術士。自分と奈月が特別な関係であることに優越感を抱いてはいるが、やっぱり直接触れ合えないことはめちゃくちゃ不満に思ってるし、彼女には沢山構って欲しいのでちょっと拗ねた。
 アルコバレーノ達、ズルいです……(拗)
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