最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 全ての守護者を集めた大空の女王は、始まりの大空に声をかけ、これからのことを話す。
 彼女の言葉に耳を傾けた始まりの大空達は、彼女の望みを叶えるべく協力することを告げるのだった。



 おや……?Dの様子が…………


女王のお願い

 ランボの覚悟を聞き、守護者の証である指輪を手渡した翌日。

 わたしは、よくアラウディさんが手合わせをしてくれていた山の方へと足を運んでいた。

 

「ここら辺でいいかな。」

 

 アラウディさんと一緒に過ごすことがあった山の中の開けた場所へとたどり着いたわたしは、霧属性の死ぬ気の炎を自身が履いているブーツへと灯し、その場で地面を一回踏み鳴らす。

 その瞬間、わたしのブーツを中心にして広がった霧の死ぬ気の炎はわたしの周りにいたジョットさん達を一瞬にして包み込んだ。

 同時に彼らはこちらが作り上げた有幻覚の器により、7人全員が現界する。

 

「マジかよ……。死ぬ気の炎の消費を抑えてここまで丈夫な器を作り上げれんのか……」

 

「ヌフフフ……もう少し時間がかかるかと思っていましたが、どうやらいい意味でそれは裏切られたようですね。

 ここまで術士としての能力を高く有しているとは思いもよりませんでした。」

 

「彼女の中にある六道骸との繋がりは強くなっていない様子からすると、間違いなくナツキ本人が持ち合わせている才能のようだね。」

 

「能力を持ち合わせていることに関しては、臨機応変に対処できるようになる観点からあれこれ言うつもりはないが……やはり複雑な気分だな……」

 

「まぁ、オレ様達からすると、Dって言わば道を違えたことにより別々になった存在で、同時にオレ様達やプリーモの友達にとっての厄介者だし、それは仕方ないかもしれないものね。」

 

「究極に同意だな。なんせ、ナツキはその厄介者にも懐いており、同時に様々な知識を与えられている状態だ。

 プリーモにとっては大事な子孫が不審者に誑かされているように見えてしまうこともあり、喜ぶことができないと言えるだろう。

 ナツキを守りたいと思うオレ達からしても、大切な教え子が不審者に誑かされているようにしか見えんしな。」

 

「誑かすなどと不名誉なこと言わないでもらえません?」

 

「間違いじゃねーだろ……」

 

 自身が作り上げた有幻覚の器を使い、現世に降臨した始まりの大空達。

 彼らの言葉に耳を傾けながら、わたしは自身の幻術がおかしいくらいに伸び始めた原因を考える。

 これまでわたしは、少しずつ幻術を使用し、持続時間や強化を増やしていくカタチで幻術の方の精度を上げていた。

 事実、その影響により幻術の伸び方はゆっくりで、ここまで上達させるには、まだまだ時間がかかるはずだった。

 そこまで考えて、わたしはふと、あることを脳裏に思い浮かべる。

 わたしの幻術の伸び方がおかしくなったのは、骸の器になってからではなかったかと。

 

「……もしかしたら、骸の器の一つになったから、わたしの幻術がおかしな方向に伸び始めたのかも。

 彼は純粋な霧の属性持ちだと思うし、わたしの精神には彼の精神が混ざり込んでいるから。」

 

 少しだけ考えたあと、原因として思い浮かべたことを口にすれば、始まりの守護者達は一瞬驚いたように目を見開く。

 しかし、わたしの言葉は辻褄が合うからか、可能性があると言うように頷いた。

 わたしの中にある骸の気配……余程の手練れでなくては気づくことはできない彼の精神の一欠片……。

 どうやらそれは、わたしに思わぬ副産物をもたらしてしまったらしい。

 

「まぁ、原因がDでないのであれば別に構わないがな。」

 

「ちょっと待ちなさいプリーモ。私が原因ではないならってどう言う意味ですか。」

 

「そのままの意味だが?何度も言ってるだろう。お前がナツキにちょっかいを出して、ナツキがそれに応えている姿は不審者に誑かされている子供にしか見えないとな。」

 

「ジョットに同じく。」

 

「右に同じく。」

 

「オレ様も同意だものね。」

 

「私もプリーモと同じ意見でござる。」

 

「究極にオレも同意だな。」

 

 Dさん以外の始まりの守護者達による総ツッコミに、Dさんがピキりと青筋を立てる。

 とりあえずそれは見ないフリをして、わたしは静かに口を開いた。

 

「いつものやり取りはそこまでにして、みんなを呼んだ理由を話してもいい?」

 

 わたしの言葉に始まりの守護者達が全員会話を止め、静かにこちら側へと視線を向ける。

 相変わらずこの人達はわたしが声をかけると喧嘩が止まるし優先されるけど、わたしって何気にすごいのでは……?なんて今更な感想を抱きながらも、個性的だと称される彼らに視線を回す。

 

「なんとかわたしの守護者は決めることができたから、ここからは戦うために必要な力をつける番。

 そこで、わたしはみんなに本格的に修行をつけてほしくて今日は呼んだんだ。ここなら滅多に人は来ないし、何より十分な広さがあるしね。

 ……それに、リボーンには非常に申し訳ないと思ってるけど、きっとわたしは、最早彼に技術を教えてもらうだけじゃ能力が伸びない可能性がある。

 どっかの誰かさん達から高度な能力の底上げをされているからね。多分、彼の教える技術じゃわたしの強化は間に合わない。」

 

 わたしの言葉を聞き、始まりの守護者達は「あー……」とやらかした子供のような表情をして視線を逸らした。

 彼ら自身も自覚があったようだ。まぁ、あれだけ大量の技術を教えて来たんだから、自覚しない方が無理なのかもしれない。

 

「本来の家庭教師になるはずだった人から仕事を殆ど掻っ攫っていったんだから、ちゃんと責任を取ってもらうよ、師匠(せんせい)方。

 みんなの技術力は、今のわたしにとって、何よりも重要で、何よりも必要な糧なんだから。」

 

 小さく笑いながら、現状の自身の状態と、今必要としていることを伝えれば、彼らは苦笑いをしながらも頷いた。

 彼らが頷いたことを確認したわたしは、直ぐに笑顔を返す。始まりの守護者……初代のボンゴレファミリーに戦うための修行をつけてもらうなんて、他の守護者達のことを考えると、ズルをしているように感じてしまうが、それもこれも目の前にいる初代ファミリーが技術を詰め込んだせいなのだから、仕方ないと割り切ろう。

 

「わたしはボンゴレ10代目の候補者にして、始まりの大空とその守護者だった者達の唯一の弟子(教え子)

 そんな風に育てたのは紛れもなく師匠(せんせい)達なんだから、最後まで責任を持って育ててもらわないと困るよ。」

 

 真っ直ぐと初代ファミリーに視線を向けて不敵に笑って見せれば、初代ファミリーは目を見開く。

 でも、直ぐに彼らは口元に笑みを浮かべてしっかりと頷いた。

 

「とりあえず、今回は幻術よりは戦闘術の方が必要だと思うから、ジョットさんとアラウディさんを中心に物理の戦い方を教えてもらえる?」

 

「そうですね。確かに、今回は守護者としての争いになりそうですし、ナツキのもう一つの属性である私と同じ霧属性の活躍は少ないでしょう。

 となると、私はここいら一帯に幻術をかけ、ナツキの修行が邪魔されないようにする方がいいかもしれませんね。

 もちろん、いざと言う時のために鎌の使い方のおさらいもするので、時折相手をしましょう。」

 

 Dさんの言葉に小さく頷けば彼は口元に笑みを浮かべ、手元にいつも通り大鎌を出現させて幻術を展開する。

 その瞬間、わたしが作っていた有幻覚による器の主導権がDさんに奪われる。

 

「ナツキが器を作っていては戦闘訓練ができませんからね。器の制作者主導権は私の方へと移行させていただきました。

 私の炎を使っているため、プリーモ達が死ぬ気の炎を灯し、ナツキに訓練をつけると器を形成している私の炎が持っていかれるので、保って精々1時間くらいでしょうか……。

 まぁ、休憩を挟みながらならばなんとかなるでしょう。」

 

 あっさり奪われた……と少しだけ思ってしまったが、術士としての能力の差がかなりあることを考えれば当然かと納得する。

 軽く幻術の展開の仕方を変えてみたんだけど、やはり本物の術士には敵わない。

 

「幻術の展開の仕方を少し変えてみたようですね、ナツキ。」

 

「あ、やっぱりわかるんだ……」

 

「当然です。私は純粋な術士ですからね。ナツキとは年季が違います。なので、幻術の展開の仕方が若干違うことなど直ぐにわかりましたよ。

 しかし……ヌフフフ……まさか、このような展開方法を身につけていたとは……。六道骸に教えてもらいましたね?」

 

「うん。並の術師では主導権を奪うことが難しくなる幻術の展開方法。練習がてら使ってみたんだけど、やっぱりDさん(せんせー)には敵わなかった。

 まぁ、骸にも敵わないんだけどさ。こればかりは……。」

 

「でしょうね。ですが、この複雑な展開方法は単純な幻術とは違い、主導権が握られない展開方法です。

 私のように術士としての能力が高い相手では今回のように主導権を奪われる可能性が高いですが、ナツキの場合、術士としての能力を伸ばしていけば、私や六道骸には奪われますが、殆どの術士に主導権を奪われないようにすることも可能でしょう。

 師として誇らしいですよ、可愛い私の女王陛下(Mia adorata regina)?」

 

「その呼び方やめてってば、師匠(せんせー)。」

 

 可愛い私の女王陛下と言う言葉に、少しだけ拗ねながらやめろと伝えるが、Dさんは何も言わずに口元に笑みを浮かべるだけだった。

 その様子から、この呼び方を辞めるつもりはないと言われたことがわかったため、ますますムスッとしてしまう。

 しかし、強くそれに対して言い返せないのは、彼の瞳には確かな愛情が含まれているからだろう。

 

 “今を生きる現状の最愛”……打算ありきのものとは言え、彼から感じ取れる愛情は、紛れもない本物の感情。

 わたしはそれを知っている。彼にとってのわたしは、自身の希望とも言える女王の卵であると同時に、今の最愛にして大切に愛情を注ぐべき対象となっている。

 ただ、これは“唯一の最愛”ではなく“歪な最愛”。骸や恭弥さん、ディーノさんやリボーン。そして、隼人と武のような、“穏やかで甘い純粋な恋慕”じゃない。

 “独占欲と支配欲”、そして、“明確な執着”。重たい程の甘さを宿している毒のような……向けている対象を溺れさせ、確実に溶かして飲み干さんとしているような歪んだ執愛。

 どこか、運命が一つのキーワードとなっている物語の苛烈なプリマドンナが宿していた激毒のようなそれは、本来ならば、拒絶するべきものと言えるだろう。

 

 確かな執着を持ち合わせている自身の師とは、いつか必ず向き合わなくてはならないのだと、彼が紡いだ“可愛い私の女王陛下”と言う言葉に改めて思う。

 それこそ、わたしがボスに相応しいか否か……それを見極めてもらわなくてはならない時にでも、その機会は来てしまうかもしれない。

 

「とりあえず、何か身につけた方がいいものって何かある?」

 

 そんなことを頭の片隅で思いながらも、わたしは今やるべきことや必要なことは何かと言う問いかけを彼らにする。

 

「まずは普通に体力をつけた方がいいと思うよ。あった頃に比べたら、ナツキはかなり体力が身についているけど、今回の相手だと少し今の体力では間に合わないかもしれないからね。」

 

「次に、ナツキにはオレが使っていた技を教える。死ぬ気の炎を凍らせることができる能力でな。

 ボンゴレリングが関わるとなると、必然的に死ぬ気の炎も関係してくる。そう考えると死ぬ気の炎を封じる手段として必要になってくると思うぞ。」

 

「メインはそんなところじゃねーか?あとは、余裕があれば他の技術も終えれたら教えるカタチになりそうだな。」

 

 Gさんの言葉に、ジョットさん達が頷く。彼らの言う通り、今回の修行のメインは戦闘技術の向上。サブウェポンの使用に関する能力の向上は、どちらかと言うとついでだ。

 今回の戦いは、争うことになるであろうヴァリアーからどうやって命と指輪を守るかに重点を置かなくては……。

 

「そう言えば、Dさん。わたしの言った武器に関してボンゴレの技術開発部に話をしてみるとか言っていたけど……」

 

「ああ、それに関しては話を聞いたあとに直ぐ持っていきました。技術開発部の者達は、次期ボンゴレの女王であるあなたのアイデアを偉く気に入っていましたよ。

 それと、技術開発部の連中は、どうやらヴァリアーよりずっと、ナツキ側の方につく方が有益だと思っているようで、ヴァリアーにすら余裕で勝てるような最高の武器を絶対に作り上げると言っておりました。

 期間は10日しかないと一応伝えてはおいたのですが、10日以内に作り上げるとのことです。」

 

「……えっと、とりあえず、徹夜と無茶だけはしないようにと技術開発部の人達に伝えてもらえる?

 あと、技術開発部が作ってくれた、一瞬にして武器に変わるアイテムはとても役に立っていることや、この武器にはすごく助けてもらってることと、そのことに対する感謝も。」

 

「わかりました。しっかりと伝えておきます。彼らにも労いの言葉は必要ですからね。」

 

「ありがとう。本当は、お礼の手紙を書けたらよかったんだけど、今はそんな暇がないから。」

 

「そうですね。まぁ、お時間がある時にでも書いてやったらいいと思いますよ。きっと彼らにもいい清涼剤になるでしょうからね。」

 

 Dさんと自身の武器に関しての話をしながら、わたしは自身の精神の主導権を奈月へと戻す。

 10日以内に間に合わなければ、わたしは今持ち合わせている武器を用いて、今回の相手に臨まなくてはならないな、と考えながら荷物に入れて来た黒革の手袋を両手に嵌める。

 

「それじゃあ、よろしくお願いします!!」

 

 そして、自身の額にジョットさんと同じ死ぬ気の炎……大空の属性を持ち合わせているオレンジを灯し、始まりの空とその守護者達に告げるのだった。

 

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 Dから向けられている感情が何か把握しており、どれだけ苛烈な愛情であろうとも真っ向から向き合うつもりでいるボンゴレの女王。
 彼から向けられる愛情を、某型月の物語に出てくる苛烈なまでの(アイ)に似ていると思いながら、今は必要な技術を身につけるために初代達に教えを請う。
 自身がDに頼んだ言伝のせいで、技術開発部の心が完全に自分側になってしまう原因になってしまうことに気づいていない。

 D・スペード
 自身の手中に収め、大切に大切に愛して(支配して)、自身の言葉に無条件に、そして無意識のうちに優先して従ってしまうように可愛がりたい(独占してしまいたい)愛弟子が、精神分析を行えることをすでに把握している上、実際にそれによりこちらの感情を一度分析されてしまった経験から、とうとう吹っ切れたヤンデレ?一歩手前の術士。
 彼女の力になるのであればと、ボンゴレの技術は全て彼女に注がれるように仕向けるため、彼女から頼まれた言伝に、余計な褒め言葉と期待していると言う余計な一言を付け加えた上で、本題の感謝と労いの言葉を全て本心であるように告げると言う行動を後日行った。

 初代組
 主人公を鍛える気満々……なのだが、なんか最近Dが色々と怪しい方向へとシフトチェンジし始めていないか……?

 次期女王からの言伝(余計な一言付)を聞いた貝の技術開発部
 自分達が作った武器があったことにより、ヴァリアーからの襲撃者を撃退した次期女王からの感謝と労いの言葉を生者に憑依したD(女王の伝達係と偽っている)から告げられ、さらに余計な褒め言葉と喜んでいたと言う言葉、これからも期待していると言う様々な言葉を言伝として吹き込まれたボンゴレの技術開発部達。
 物を作り手渡すだけの仕事が主だったため、褒め言葉(偽り)と期待(偽り)と感謝(真実)と労い(真実)を組み込んだ真実と偽りの女王の言伝に完全陥落した。
 ヴァリアー?そんなもん知らん!!我らの技術は次期女王のために!!(大暴走)


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