最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 始まりの霧からアプローチを受けながらも特訓を続ける貝の女王。
 始まりの大空はそんな彼女に、自身が使用していた零地点突破を教え始める。


女王は零地点を始まりに教えられる

 初代組酔い潰し事件があった昨日の夜から、Dさんの行動は明らかに変化していた。

 気がつけば近くにいるのは当たり前で、ジョットさん達の目が外れている時は、度々キスをしてくるようになった。

 時には休憩時間中に、わたしを買い出しに連れ出して、2人きりになった好きを突き、深くキスをしてくるなんてこともしょっちゅうしてくる。

 

 1番厄介なのは、ジョットさん達の目に止まらぬように、自分だけが連れ出しているような状況を決して作り出したりしないところだ。

 Dさんが連れ出す時と、他のメンバーが休憩中にわたしを連れ出す時・・・・・・Dさんはそれが不自然にならないようにバランスよく機会をバラけさせている。

 “頭の回転は早いので”なんて、キスを終えた時に不敵に笑いながら自身の唇についた唾液を舐め取りながら言ってきた時は、一度何回も快楽を与えられた身であるせいか異様なまでに色っぽく見えて、一瞬くらりときてしまったのは不可抗力だと思いたい。

 

 ちなみに、あまりにも何回も手を出してたら流石にジョットさん達に勘付かれないか?と考えたりもしていたが、それはDさん本人からバレるようなヘマはしないと返された。

 なぜ?との問いに返ってきたのは、昨夜の精神の繋がりの強化に乗じてわたしが編み出した超直感を欺く方法を記憶から読み取り、把握しておいたとのことらしく、この時程超直感を欺く技術を編み出した自分自身を恨んだことはない。

 記憶の奥に隠していても、今のDさんにとってはそれは少し意味がないようで、こっちの意識が快楽に蕩かされて、Dさんに向けられている時にサルベージすることくらいはできると言われてしまった。

 本気で過去の自分を恨んだ。まさか、自分が心配かけたくないからと作っていた一種の自己防衛手段をこんなことに利用されることになろうとは・・・・・・。

 

「うわぁ・・・・・・本当にカチンコチン・・・・・・。」

 

 マジでやばい人に目をつけられたな・・・・・・と自身にちょっかいを出してくるDさんのことを考えながら、わたしは目の前にある氷の塊を突っつく。

 だいぶ体力も戦闘技術も向上したからと言う理由から、ジョットさんが見せてくれた零地点突破。

 灯火石に灯された死ぬ気の炎を対象にして披露されたそれは、本当に炎を凍らせてしまった。

 

「これがオレが生前編み出しておいた死ぬ気の炎を封じる術、零地点突破だ。

 コツさえ掴むことができたらナツキでも使えるようになるだろう。だが、コツを掴むまで少しだけ時間がかかるかもしれないな。」

 

「だろうね。死ぬ気の炎のエネルギーがプラスから一度ゼロに行きつき、そこからマイナスへと変化していたのはなんとなくわかったけど、それを完遂するまでの流れまでは少し把握できなかったし。

 ただ、実物を見せてもらった分、あとはどうやってその流れを作っていくのかを見つけるだけだから、いくらかやりようはあるかな。」

 

「あの一回で流れを把握できたのか・・・・・・。」

 

「ヌフフフ・・・・・・流石は私のナツキです。やはりお前はこれまで見てきたどのボスよりも頭がいい。」

 

 ジョットさんが見せてくれた、零地点突破のやり方から、大まかな変化の流れを口にすると、ジョットさんは少しだけ驚いた様子を見せていた。

 対するDさんは、大まかとは言え、流れを把握することができたわたしにすかさず褒め言葉を口にしてきた。

 一部、余計な一言も混ざっていたりもしていたけど。

 

「おい、D。ナツキはお前の所有物じゃねーぞ。」

 

 そんな中、GさんがDさんの言葉に反応を見せる。

 すると、Dさんは少しだけGさんに視線を向けたあと、笑みを浮かべて口を開いた。

 

「ええ。確かにGの言う通り、ナツキは私のものではありません。ただし、それは今のところはと言う前置きの言葉が必須ですがね。」

 

 そう言ってDさんは、私の肩に手を回し、そのまま力強く抱き寄せてくる。

 急に近くなった距離と、昨夜のうちに散々覚えさせられてしまったDさんの体温と、Dさんのにおいが鼻を掠め、無意識のうちに体から力が抜けていく。

 

「あなた達が何を言おうとも、必ず彼女は私の手元に堕ちてくる。私は、二度と自分の手元から最愛をこぼれ落としたりしないと決めたのです。

 まさか、新たな最愛と呼べる存在が、私の言葉を聞き入れることなくことを進めた結果、私がそれを失う原因を作り上げた男の残した子孫などと言う皮肉な話になるとは思いもよりませんでしたがね。」

 

 自身の体が無意識のうちに見せた変化に目を丸くしていると、わたしの肩を抱いていたDさんが片手をこちらの顎に添え、そのまま上を向かせてきた。

 同時に近寄ってきた彼の端正な顔は、容赦なく互いの唇の距離をゼロにして、空いていた隙間を埋めてきた。

 ジョットさん達がいる目の前で、まさかキスをしてくるとは思わず、体が一瞬だけ驚きにより硬直する。

 しかし、程なくしてその硬直は体からなくなり、そのまま彼のキスを受け入れる体勢になっていた。

 流れ込んでくる支配欲と独占欲が混ざり込んだ、歪でありながらも明確な本気の恋慕は、昨夜の甘ったるい程のキスを思い起こさせるかのように、思考を痺れさせていく。

 この人の好意、マジで媚薬かなんかじゃないのかと疑ってしまいたくなる程、意識が熱に浮かされる。

 程なくして離された唇から、わずかな吐息が溢れ出る。少しだけ顔が熱くなっていること感じていると、静かに額にキスが落とされた。

 

「精々、お前達が裏切り者と称した男の手により、堕とされいく少女の姿をその傍で見ているといい。

 死人だった存在に、狂わされていく姿はさぞ背徳的で妖艶な姿を晒してくれると思いますよ。」

 

 静かにジョットさん達を睨みつけながら、吐き捨てるように言葉を紡ぐDさんに、彼を除く始まりは息を呑む。

 ・・・・・・きっと、わたしが少しでも拒絶する様子を見せていたら、怒りや苛立ちと言ったマイナスな感情をDさんに向けていたのだろう。

 でも、わたしが見せていたのは拒絶ではなく、受け入れるかのような姿勢で、困惑以外の何ものでもない。

 わたしだって受け入れている自分がいることに困惑してしまっているのだから、見せられた側の彼らは、ますます意味がわからないはずだ。

 だけど、わたしは自身に向けられている束縛とも取れるようなDさんの感情を、突っぱねることはできないのだ。

 愛されたいと思っていた、本来の自分自身がいることや、歪でありながらも本気であるとハッキリとわかってしまう恋慕と愛情を、拒絶すると言う選択を端から捨ててしまっている。

 そしてそれは、わたしが明確に好意を抱いている人全てに適応されていた。

 

 ─────・・・・・・思えば、骸からの感情も、恭弥さんからの感情も、ディーノさんや、リボーン、隼人や、武が持ち合わせている感情も、わたしは拒絶することができていない気がする。

 

 自身の渇愛が、まさかここまで強いとは思いもよらなかった。思っていた以上に、わたしは愛情に飢えていたらしい。

 そう考えれば、Dさんや骸、ディーノさんやリボーンからキスをされても受け入れてしまう自分に納得できる。

 

「ああ、ですが今はまだ安心しても大丈夫ですよ。確かに私は、ナツキの全てを私の手で徹底的に堕とすつもりですが、何も直ぐに全てを手に入れようなどと思っていません。

 一方的なもの程虚しいものはありませんし、私自身も避けたいことですので。

 私は彼女に無理強いをするつもりはありません。自らの口で、自身の全てをD・スペードのものにしてほしいと望むまで、スキンシップとキス程度に留めておくつもりです。

 まぁ、今はそちら側にうつつを抜かす時間もありませんしね。非常に残念ではありますが。」

 

 “キスマークと快楽地獄はスキンシップの枠組みに入らないだろ”とDさんの頭を疑いたくなったが、それを口にしたら彼が何をしでかすかわからない。

 どうもDさんは、わたしに対して度々サディストになるようだから、余計な一言を口にして、そのスイッチを入れさせないようにしなくては、言葉の通り堕とされる。

 流石に死んだ人に本気になりたくはないぞ・・・・・・と内心で思いながらも、わたしの肩を抱くDさんの力に逆らうことなく身を任せていると、彼はわたしに一度視線を向けて小さく笑った。

 

「・・・・・・あまり、目立つような行動は取るなよ、D。」

 

「目立つような行動?私はただ、愛する女性を振り向かせようとアプローチをしているだけですが?」

 

 わずかに下がる辺りの温度。

 Dさんとジョットさんの睨み合いに少しだけ怖いと思っていると、わたしの様子に気がついたらアラウディさんが、静かに手招きをしてきた。

 するりとDさんの腕の中から抜け出して、アラウディさんに近寄ってみると、彼はコートのボタンを外して、近くに来たわたしを仕舞い始める。

 

「・・・・・・何をやってるのですか?アラウディ。」

 

「睨み合ってる変質者と先祖の間に挟まれて居心地が悪そうだったから、コートの中に仕舞っただけだよ。

 どうやらナツキにとって、僕は1番の安全圏みたいだし。」

 

 わたしが腕から抜け出したことに、Dさんが直ぐに反応を示したが、そんな彼の問いかけに、アラウディさんはしれっと答える。

 その間わたしは、アラウディさんのコートに隠れたまま、彼の腰に抱きつくカタチで身を寄せた。

 先程までDさんの温もりやにおいに痺れていた思考が、アラウディさんのにおいにより正常に戻っていく。

 だけど、顔にたまっていた熱は、あんまり引いてはくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ❀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Dさんとジョットさんに挟まれて、少しだけ気まずくなると言う状況から解放されて、しばらくした頃。

 思考を切り替えることができたわたしは、ジョットさんに見せてもらった零地点突破を身につけるための訓練をこなす。

 しかし、やはりと言うか、これまでのように簡単に身につけることができるような能力ではないようで、直ぐにはコツが見つからない。

 超直感を活用してみても、複数の道筋があり過ぎて、どれが正解で外れかがわからず、答えを掴み取るには何かが足りなかった。

 

「・・・・・・思った以上に難しい。」

 

「まぁ、そもそもプリーモが編み出した零地点突破は複雑な技術と言うに相応しいですからね。

 これまでの歴代のボンゴレボスの中でも使えた人数は少なかった気がします。

 ただ、9代目は使えていたようですね。何かしらの資料があったのか、それとも自ら直感したのかは分かりませんが・・・・・・。」

 

「言われてみれば、指輪を継承してきた子孫達の中でこれを使えた者は少なかったな・・・・・・。

 一応、やり方を書き留めたメモはあったと思うのだが・・・・・・。」

 

「それを見ることができたら苦労はしない気がするけど、絶対持ち出し禁止なやつ・・・・・・。」

 

 ある程度落ち着いたこともあり、ジョットさんと、歴代ボスを全て見てきたDさんからレクチャーを受けながら訓練に集中していたが、結局明確な答えを見つけ出せるまでには至らず、空は薄暗くなってしまった。

 ダメだこりゃとその場に座ろうとしたら、それに気づいたらしいDさんが、ひょいと軽々私を横抱きにして、座らせることはしなかった。

 

「・・・・・・なんで抱っこされたの?」

 

「休むのであれば屋敷に戻ってからにしなさい。今日のスケジュールは終わりましたし、あとは自由時間ですので。」

 

 そう言ってDさんはわたしに何かを見せる。それは写真付きの懐中時計で、霧の炎が灯っていた。

 

「すご・・・・・・。死ぬ気の炎が何かに灯せることは知っていたけど、武器以外にも灯すことができるんだ。」

 

「ああ。それは特殊な構造になっていてな。オレ達がボンゴレファミリーとして行動を取り始めた頃に、一つの記念として特注したものなんだ。」

 

 そう言ってジョットさんは自身の懐から同じデザインの懐中時計を取り出した。

 倣うようにして、他のメンバーも時計を取り出し、閉ざされていた蓋をその場で開ける。

 同時に開いた懐中時計は、それぞれの属性の炎を灯し、暗くなった世界でも、時間を刻む秒針をハッキリと見せてくれていた。

 そんな中見えた、一つの写真に、わたしの視線は自然と惹きつけられる。

 

「・・・・・・女の人・・・・・・もしかしなくてもDさんの?」

 

「ええ。私の初恋の人です。エレナと言いまして、私と同じく貴族出身の方だったのですよ。」

 

「そうなんだ。すごく綺麗で優しそうな人。」

 

「そうですね。とても綺麗で優しい女性でしたよ。」

 

 なんとなく呟いたわたしの言葉に、Dさんは静かに答えてくれた。

 その表情はとても穏やかで、幸せだった日々を思い出しているようだった。

 そういえば、Dさんはこの人と最初はお付き合いをしていて、それで最後は失ってしまったんだっけ。

 

「・・・・・・いつか、エレナさんのことを聞いてもいい?前も話したように、今はわたしだけを見てほしいけど、落ち着いた時にでもDさんの過去を教えてほしいな。」

 

「・・・・・・ええ。構いませんよ。時間がある時にでも教えましょう。区切りをつけた、私のかつての初恋の話を。」

 

「ん。楽しみにしてる。」

 

 そう思うとなんだか、不思議とエレナさんのことが知りたくなってしまい、わたしはDさんからかつて愛した人のことを教えてほしいと口にしていた。

 Dさんは、わたしからそんなことを言われるとは思わなかったのか、一瞬だけ驚いた様子を見せたが、直ぐに小さく笑っては、時間がある時に教えると言ってくれた。

 その言葉に楽しみにしてると返したわたしは、とりあえず降ろしてくれと言うように、Dさんの腕をぺちぺち叩く。

 

「くすぐったいのですが?」

 

「いや、降ろしてほしくて。」

 

「このまま運んでも問題ないのでは?」

 

「問題ないかもしれないけど降ろして?」

 

 降ろしてほしいと言うわたしの思いを聞き、Dさんは渋々わたしを降ろす。

 なんで渋々なんだと少しだけツッコミを入れたくなりながら、屋敷に戻るための道へと足を運ぼうと踵を返す。

 ・・・・・・が、足が前に進むより先に、勢いよく桜月の気配が近づいていることに気づき、わたしは直ぐに足を止めた。

 

「ナツキ様!!!!」

 

「!どうしたの、桜月!?」

 

 聞こえてきた桜月の声は、あまりにも焦燥に溢れており、わたしはすかさず声をかける。

 その瞬間、茂みから出てきたのは、真っ白な狼の姿をした彼女の姿だった。

 

「うわ、狼!?」

 

「申し訳ありません!急いでいたためこのような姿に!いえ、今はそれどころではなく、大至急お耳に入れたいことがございます!!」

 

「!?・・・・・・わかった、話を聞くよ。」

 

 明らかに尋常じゃない状況に、わたし達は一瞬口を噤み、話を聞く姿勢を見せる。

 すると桜月は少しだけ切れていた呼吸を整え、真っ直ぐとわたし達に目を向けた。

 

「ヴァリアーの連中が日本へと襲来してきました!!本物のボンゴレリングを狙ってのものと見て間違いありません!!」

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

 桜月から告げられた言葉に、一瞬にして言葉を失った。

 どうやら、わたし達に残された時間は、あまり長くはないようだ。

 

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 Dからの熱烈なアプローチを受けるようになってしまった貝の女王。
 かつての渇愛の記憶から、自身が好意的に思っている存在から向けられる様々な愛情を拒絶できない体質になってしまっていることを自覚する。
 D達が見せてくれた写真入りの懐中時計を少しだけ羨ましく思いながらも、時間がある時でいいからとDの過去に触れてみたいことを告げた。
 桜月から告げられたヴァリアー襲来の話に言葉を失う。

 D・スペード
 奈月に明確な恋慕を向けていることを隠すことなく、ジョット達にも彼女のことは手に入れると宣言した始まりの霧。
 懐中時計にある写真を見て、自身の初恋の君であるエレナに興味を示した奈月に、時間がある時にでも、自身の過去について話すことを約束する。
 現れた桜月から告げられたヴァリアー襲来の話に言葉を失った。

 D以外の初代ファミリー
 思った以上に奈月がDに侵食されてしまっていることに固まってしまった始まりの大空達。
 しかし、それよりも桜月から告げられたヴァリアー襲来の話に焦燥感を抱いた。

 桜月
 訓練をこなしている奈月達に変わってパトロールをしていたところ、まヴァリアーの襲来を目撃してしまった白狐。
 慌てて奈月の元に向かい、彼女にその情報を伝えた。




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