最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
ビアンキさんを自宅に招き入れた翌日。昼下がりでも照りつける真夏の暑さに、ちょっとぐったりしそうになる中、私は自宅の中を歩いていた。
これだけ暑いとあまり動けないから、熱中症になる前に、水分補給をしながら自室でゆっくりするに限る。
そう思って扉を開けると、何かに扉がつっかえた。なんだ?と思い、そっと覗き込んでみると、そこにはすやすやと眠ってるランボの姿があった。
「暗殺に疲れておねんね中の雷少年が落っこちてるよ……。」
出入口付近で寝たら危ないって何度も言ってんだけどと苦笑いをこぼしながら、優しくランボを抱っこする。
うん。完全に爆睡しちゃってるよこの子。少し動かした程度じゃ全然起きないな。
「で、リボーンは日本の夏を満喫中と。」
「ちゃおっス、ナツ。なかなか楽しめてるぞ。ナツも素麺食うか?」
「遠慮しとくよ。私、ちょっと素麺が苦手でね。美味しいのは美味しいんだけど、薬味とか使っても最終的に味があまりしないから得意じゃないんだ。」
「あらそうだったの?知らなかったから作っちゃったわよ。」
「ん?」
甚平にうちわに蚊取り線香に風鈴に……とめちゃくちゃ夏を満喫しているリボーンと会話をしていると、辺りに女性の声が響き渡る。
すぐに声の方へと目を向けてみると、そこにはビアンキさんがいて、その手には明らかに素麺ではない何かが用意されていた。
「ビアンキさん……うん。ごめんなさい。食べれないことはないんだけど、苦手なものって、ちょっと喉通りにくくてさ。」
「だから貴女、ママンが用意した素麺も少量しか食べてなかったのね。少食なのかとか、夏バテなのかとか考えていたけど……」
「あはは……うん。ただの苦手意識。母さんには悪いと思ってるんだけど、体が受け付けないんだ……。」
苦笑いをしながら、素麺を元から食べることができないことを伝えれば、じゃあ、これは片付けておくわと告げられる。
よかった、ポイズンクッキングは食べなくて済みそう……。この体質は本当のことだから作り話じゃないから、どっちみち本当に食べれなかったしね。
「そう言えばビアンキさん。急遽客室を母さんに空けてもらったけど、ゆっくり休めたかな?」
「ええ。ありがとう。しっかりと休めたわ。貴女の配慮のおかげで、リボーンと一緒に過ごせるし、満足できそうよ。」
「それはよかった。枕とかベッドが変わると寝れない人ってたまにいるから、大丈夫かなって心配してたんだ。」
「ふふ、ありがとう。貴女は本当にいい子ね。なんだか癒されるわ。」
「そう?そんな風に感じられるとは思わなかったな。」
「あら、そうなの?」
「うん。友達から、私の側はすごく落ち着くって言われることはあるけど……」
「貴女の友達と言うと、あの女の子達ね。確か、学校で貴女を含めてサンコイチ組って言われてるうちの2人組。」
「そうだよ。実は、あの子達、中学に上がった当初にちょっと悪質なナンパに絡まれていたことがあってさ。それを助けた時から一緒にいるようになって……」
「それは確かに落ち着けそうね。守ってくれる人がいるのって、か弱い女の子側からすると、すごく安心できるもの。
ていうか、貴女、中学に入ったばかりの時から戦えたのね。」
「実を言うとね。」
それなら、あそこまで徹底的に防がれてしまうのも無理はないわね……と呟くビアンキさんに、ごめんね、と返す。
でも、彼女はそんなこと気にしていないのか、大丈夫よ、と小さく笑いながら言ってきた。
「ところでビアンキさん。今、ビアンキさんが持ってるそのポイズンクッキング、なんか毒々しさが上がってるような気がするんだけど、どしたのそれ?」
「あら、めざとい。流石はナツね。実は、殺傷力2倍になるポイズンクッキングを開発中なの。その名もポイズンクッキングⅡ!いいと思わない?」
「……なるほど。殺し屋たるもの、精進は続けるのが吉ってわけね。」
「そう言うこと。だって毒耐性を持ってる標的を殺せって依頼が来た時とか大変でしょう?その耐性をぶち抜けるようなものを作らないと、逆にこっちがやられる可能性があるもの。
だから、貴女もマフィアのボスになったあともしっかり勉強も精進も続けなくてはダメよ?」
「うん。肝に銘じとく。」
「それがいいわ。さて、リボーンと相談して、私は毒に関係する内容を貴女に教えることになったから、あとで台所にいらっしゃい。ポイズンクッキングに関しても教えてあげる。
全部を教えることはできないけど、簡単なものが使えれば、身を守る時に使えるでしょうし。」
「……ありがたいけど、それ、ちゃんと後始末できるやつ?台所は母さんが主に使う一般人のテリトリーなんだけど。」
「大丈夫よ。貴女との約束はちゃんと守るから、安心していらっしゃい。」
そう言って自室を出ていくビアンキを見て、うーん……と少しだけ頬を掻く。
一般人には手を出さない、害さないと言う約束の元、自宅に住まわせることにしたのはいいけど、いつ母さんに彼女の裏の顔が見られるかわからない。
だから、なるべく自宅でのポイズンクッキング作成は遠慮してもらいたいところなんだけど、彼女のやりたいことを取り上げるわけにもいかない。
どうやったら、ビアンキさんの楽しみと、母さんの安全を両立することができるだろうか……。そんなことを考える。
「なかなかいい師弟関係になりそうだな、ナツとビアンキは。」
「そうかな?」
「ああ。ビアンキもなんだか楽しそうだしな。自身に気を遣って欲求を満たすための案を出してくるナツを気に入ったんだろ。」
「……それならいいんだけどね。」
「安心しろ。ビアンキはもう一般人を巻き込むことはしねーぞ。そんなことしたら、ナツにブチ切れられることは十分理解してるだろうからな。
それに、オレも一種の反面教師になってるからな。ナツが切れて、しばらく周りにかなりの影響を及ぼした上、オレにもそれなりに動揺をもたらしたって話をしたら、怒らせないようにするって言ってたぞ。」
「……だから、なんか昨日夕方あたりに顔を青くして謝罪してきたのか。」
「そうなるな。オレに動揺をもたらした事実は、一流のヒットマンを十分動揺させるレベルの力を持ってることを示すからな。二度と一般人は巻き込まないって、ビアンキも反省していたぞ。」
知らないところで一般人の安全が確保されていたことを知り、マジか……と少しだけ遠い目をする。
でも、まぁ、大切な人達が危ない目に遭わないなら、今はそれでいいかな。
なんてことを思っていると、玄関のチャイムが鳴り響き、10代目と呼ぶ男性の声が聞こえてきた。
まさかの訪問者に少しだけ目を丸くする。でも、こんな暑い中来てくれたわけだから、出迎えなくては失礼だろう。
自室から出て、玄関の方へと足を運ぶ。そこには上機嫌な様子を見せて、片手に大玉のスイカを持った隼人の姿……が……?
「なんもない時にタバコは吸うなって言ってるでしょーが!!」
「もが!?す、すみません!!」
視界に入った隼人の口元に、タバコが咥えられているのを見つけた私は、タバコを即時奪い取り、手にしていた棒付きキャンディーを入れ替えるように突っ込む。
私に棒付きキャンディーを突っ込まれた隼人はと言うと、謝罪をしながら棒付きキャンディーを舐め始めた。
「全く……。で?どうしたのそのスイカ。」
「あ、これっスか?こっちに来る時に、なんか手土産でもと思って店を漁ってた時に見つけたんです!
売ってる店の奴から、今年のスイカはめちゃくちゃ甘くて美味いって聞いたんで、10代目も一緒にどーかと思いまして!」
「そうだったんだ。ありがとうね。んじゃ、折角来てもらったわけだし、上がってってよ。外、今日も暑かったでしょ?なんか飲みものでも……っとぉ!?」
いつになったらタバコを吸うのをやめるんだこの子……と思いながらも、暑い中来てくれた隼人に、飲み物を用意するから上がるように伝える。
……が、その前に隼人が急に固まり、折角買ってきてくれたスイカを手元から溢れ落としてしまったため、慌ててそのスイカをキャッチする。
こんなまんまるで大きなスイカ、かなりのお値段がしたはずだろうし、折角の隼人の厚意が無駄にならなくてよかった。
「アネキ!!!」
「へ?」
「あら、隼人じゃない。貴方もこっちに来てたのね。」
安堵の息を吐いている中、不意に聞こえてきた会話に目を丸くする。
確認するように隼人に目を向けてみれば、彼は私の背後に目を向けて固まっていた。
次に背後へと視線を向ける。そこには泡立て器を使って、何かを混ぜている途中のビアンキの姿があり、隼人を見つめながら、数回の瞬きを繰り返す。
「ビアンキさん、隼人のお姉さんだったの?」
「ええ、そうよ。腹違いの弟なんだけど、まさか、ナツのファミリーになってるとは思わなかったわ。」
「実は、私がマフィアのボスの候補者になった時、早い段階で隼人とは会ってたんだよ。歳が近いファミリーがいた方がいいって考えたのか、リボーンが呼んでいたんだ。」
「そうだったの。隼人なら確かに、ナツの役にも立てそうね。これからも仲良くしてあげてくれる?」
「それはもちろん。」
まさかの事実に少しだけ驚く。しかし、ビアンキさんの様子から、彼女が隼人を大切に思っていることがヒシヒシと伝わってくるため、仲良くしてほしいと言う言葉に素直に頷く。
そして、優しいお姉さんだね、と隼人に話しかけようと振り返ると、急に彼はお腹を押さえてその場に蹲ってしまった。
「え、ちょ、隼人?」
「失礼します!!」
「ええ!?ちょっと、どこ行くの!?」
逃げ出すように走り去ってしまった隼人の姿に唖然としてしまう。いったい彼の身に何が……?
「……いつもあーなのよね。変な子。」
「いつも?」
「ええ。一緒に暮らしていた時は、あそこまで病弱な子じゃなかったのよ。いったいどーしたのかしらね……。」
「うーん……ちょっと私にはわからないかな……。とりあえず、様子を見てくるよ。この暑さだから心配だしね。」
「そう?じゃあ、お願いできるかしら?」
「うん。」
不思議そうな表情を見せるビアンキさんの代わりに、隼人の様子を見に行くことを決めた私は、台所へと一旦向かい、冷凍庫で凍らせていたスポーツドリンクのストックを一本手に取る。
貰ったスイカは桶に入れた氷水へと漬け込んだあと、隼人が向かった方角へと行くために靴を履く。
さて、彼はいったいどこまで走っていったのかな……。
沢田 奈月
ビアンキと暮らすようになった転生者な10代目。
少しでもビアンキがリボーンと過ごせるようにとさまざまな案を使って、彼女の不満を減らしており、それなりに良好な関係を築き始めている。
リボーン
奈月とビアンキのやり取りを見て、なかなかいい師弟関係が築けそうだと考える家庭教師なヒットマン。
奈月からビアンキと過ごす時間を増やすように言われ、ビアンキと過ごす時間はそれなりに増やしている。
ビアンキ
奈月の自宅に招き入れられたフリーの殺し屋。
奈月のおかげで、リボーンとゆっくり過ごせる時間が増えた上、彼女の何気ない気遣いに癒されたりもしており、殺意がどんどん消えている節がある。
獄寺 隼人
敬愛する10代目の自宅に足を運んでみたら、まさかの姉がいて固まった最初のファミリー。
その後腹痛と吐き気に襲われたのか、彼女の前からダッシュで逃げ出してしまった。
ランボ
ランボさんはおねむだもんね〜……スピー……