最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 板挟みになりながらの教室生活。
 そんな中、ひまわりのような少女から、貝の女王は一つの質問をされた。


女王の誤魔化し

 転校生として同じクラスへと通うことになった凪を迎え、新たなメンバーを加えた学校生活。

 しかし、それはある意味で困った日常の始まりでもあった。

 

「奈月。ここがわからないんだけど・・・・・・」

 

「なっちゃん!ちょっとわからないところがあって教えてほしいんだけど、いいかな?」

 

「「・・・・・・。」」

 

 それは、ことあるごとに凪と京ちゃんが同じような用事を重ねてきては、わたしの側に集まるというものだ。

 今回もわからないことがあったからと話しかけてきたのだが、直ぐに2人とも顔を見合わせては、バチバチと火花を散らしてしまう。

 

「えーと・・・・・・凪はどこがわからなかったの?」

 

「!えっと・・・・・・ここなんだけど・・・・・・」

 

 とりあえず、わからないところがあるならと、わたしは最初に話しかけてきた凪にどこがわからないのかを問いかける。

 その間、京ちゃんが拗ねたような表情をしてしまうため、直ぐに柔らかくて滑らかな頬を軽く摘むことでその表情をびっくりしたものへと変えておく。

 そのあと、彼女の頭を優しく撫でながら、意識は凪の方へ。まぁ、凪は凪で頭を撫でられている京ちゃんに対して言いたいことがあるような様子を見せるけど、拗ねないのと言うように頬を撫で、そのまま伸ばした指で耳の裏をくすぐれば、凪は顔を赤くしながらも拗ねた表情をしなくなる。

 

「ああ、そこね。引っかけになってるからちょっと難しくなってるよね。だから、この公式を使うんじゃなくて、こっちの公式を使ってみて。」

 

「これ・・・・・・?」

 

「そ。」

 

「わかった・・・・・・。」

 

 とりあえず2人の拗ねた表情はなくなったと安堵しながらも、凪にどうすれば簡単に解けるのかを教えれば、凪は直ぐにわたしの言葉に頷いては、そのまま問題と向き合い始める。

 それを確認したわたしは、今度は京ちゃんへと視線を向けた。

 

「京ちゃんのわからないところは?」

 

「あ・・・・・・ここなんだけど・・・・・・」

 

「ふむふむ・・・・・・ああ、確かにここは間違いやすいよね。その問題を解くなら、こっちの公式だよ。」

 

「え?こっちじゃないの?」

 

「実は違うんだよね。問題の書き方はこっちの公式っぽいんだけど、実はこれも引っかけで、こっちの公式を使うことで答えを割り出せる。試しにこっちを使ってみて。」

 

「うん。わかった。」

 

 凪が集中している間に、京ちゃんの質問に答えると言う手段はどうやら正解だったようだ。

 京ちゃんも凪も真面目な子達だから、問題を解く間は火花を散らすように睨み合う様子がない。

 そのことにホッとしていると、凪から控えめに袖を引っ張られる。それに応えるように目を向けてみると、先程の問題が記されているページを見せてきた。

 

「できた・・・・・・」

 

「どれどれ・・・・・・うん。花丸大正解。頑張ったね、凪。」

 

 式の間違いもなく、しっかりと答えを出すことができている凪を褒めれば、凪は嬉しそうに笑顔を見せる。

 釣られるように笑い返し、その頭を優しく撫でれば、彼女は照れたように頬を染めた。

 

「なっちゃん、私もできたよ!」

 

「お、早いね、京ちゃん。さて解答は・・・・・・うん。京ちゃんも花丸大正解。よく頑張りました。」

 

「えへへ・・・・・・!」

 

 凪の頭を撫で続けていると、京ちゃんからも問題が解けたことを伝えられる。

 直ぐに式と解答を見てみると、そこにはしっかりと式を使って答えにたどり着いた問題があり、京ちゃんにもよく頑張りましたと頭を撫でながら褒め言葉をかける。

 わたしの言葉を聞いた京ちゃんは、直ぐに嬉しそうな笑顔を見せては、笑い声を漏らした。

 

「・・・・・・で?遠巻きに見ている様子のた〜け〜しく〜ん?キミもわからないところがあるんじゃないかな?」

 

「い゛!?あ・・・はは・・・やっぱりバレてるのな・・・。」

 

 2人の女の子が笑顔になってる様子にホッとしながらも、さっきからやけにこっちを見てきている武に揶揄い口調で話しかければ、彼はギクッと肩を揺らしては、苦笑いをこぼした。

 わたしの目を誤魔化せると思ってんのかねキミは、なんて、少しだけ思いながらも、ちょいちょいと手招きをすれば、武もおずおずと近付いてきた。

 

「全く・・・・・・どこがわからなかったわけ?」

 

「実はここなんだけどさ・・・・・・」

 

「・・・・・・あれま。一番難しいところで引っかかっていらっしゃる。」

 

「え!?そうなのか!?」

 

「うん。」

 

 武がわからないと言ってきたのは、今回の宿題の範囲で一番躓くだろうと予測できるところだった。

 武が見せた範囲を覗き込むようにして見つめる凪と京ちゃんも、あ、と言うような表情を見せたため、多分、この子達も難しいと思っていたのだろう。

 

「もしかしなくても、凪と京ちゃんもわからなかったり?」

 

「「うん・・・・・・。」」

 

「そんなにしゅんとしなくてもいいよ。普通に解いている生徒もそれなりにいるとは思うけど、この問題は、解いている生徒でも割と間違いやすい場所なんだ。

 実際、わたしも解答に辿り着くまでに結構時間がかかったしね。」

 

 わたしの言葉を聞いて、わからないと言ってきた3人が目を見開く。

 わたしなら直ぐに解けると思っていたようだ。わたしにも解けない問題は沢山あるんだけどね。

 

「ここは応用のさらに応用で、複数の公式を使って解答を出すところなんだ。

 最初にこっちの公式を使い、次にこの公式を使う。試しにやってみて。」

 

 そんなことを思いながら、わたしは3人にどの公式を使って解いていけばいいのかを教える。

 3人は一瞬だけ目を丸くしたあと、直ぐにこちらの説明通りに問題を解き始める・・・・・・が、少しだけ公式を使う順番が違い、それぞれ別々の解答に辿り着きそうになっていた。

 

「ストップストップ。順番がちょっと間違ってるよ。」

 

「「「!」」」

 

 それはいけない、と思いながら、わたしは一旦3人にストップの声をかけた。

 わたしの言葉を聞き、3人は直ぐに驚いたような表情を見せては、わたしの方へと視線を向けてきた。

 そんな3人に、わたしは小さく笑いかけながら、公式を解くための順番を教えていく。

 わたしの話を聞きながら、問題を解き始めた3人は、わたしが出した解答と同じ解答へとたどり着いた。

 

「「「できたー!!」」」

 

「フフ・・・・・・よくできました。」

 

 3人して元気よく喜ぶ姿を見て、わたしは笑い声を漏らしては、京ちゃん、凪、それと、勉強が苦手な武の頭を順番に撫でる。

 

「おわ!?え、オ、オレまで・・・・・・!?」

 

「いやぁ、凪と京ちゃんが可愛いのは当然なんだけど、無邪気に喜ぶ武もなかなか可愛くってね。

 だってほら、可愛いものってつい頭を撫でたり愛でたくなったりするでしょ?それの延長線だよ。」

 

「可愛いって・・・・・・オレはどっちかっつーとナツにはかっこいいって言われてーんだけどなぁ・・・・・・」

 

「おっと、それは悪かったね。」

 

 揶揄うように笑いながら、軽い調子で謝罪の言葉を紡ぐ。もちろん反省はしていないし、後悔もしていない。

 わたしの様子から、可愛いは取り消してもらえないと思ったらしい武は、少しだけ肩を落とす。

 そんな彼の様子に、凪と京ちゃんがクスクスと小さく笑い声を漏らした。

 うん。嫌悪な雰囲気は無くなった。武には申し訳ないけど、あくまでわたしはみんなに対してそれなりに平等に対応しているのだと思わせることができたようだ。

 まぁ、平等の対応・・・・・・を目指している割には、骸とかDさんから色々と不法侵入されているせいで、割と彼らに偏らざるを得ない気がしないでもないんだけど・・・・・・。

 ・・・・・・なんとかならないかなぁ、あの2人。

 

「あ、そうだ。なっちゃんに一つ聞きたいことがあるんだけど・・・」

 

 湿度の高い霧男子達を思い浮かべながら溜め息を吐きそうになっていると、京ちゃんが静かに口を開く。

 わたしも凪も、武もいつの間にか側に来ていた隼人も、彼女の言葉を聞くために視線を向ける。

 

「実はね。最近、お兄ちゃんがボクシング以外のことに夢中みたいで、少しだけ様子が変なの。

 何かあったの?って聞いてみても、男には時にやらないといけないことがあるんだって言って教えてくれないし、リボーン君のお友達だって言うコロネロ君までどっかに連れ出してるみたいで・・・。」

 

 京ちゃんの言葉に、わたしと隼人と武と凪は顔を見合わせる。まぁ、直ぐに隼人が凪に対して、なんでお前までこっちを見るんだよと言いたげな視線を向けていたけど、凪が隼人の目にびっくりしないように頭を撫でて、意識を彼に向けないようにすることでなんとか凌いだ。

 ・・・・・・了平さん・・・京ちゃんに内緒にしながら特訓していたんだ。まぁ、でも、あの人は京ちゃんを危険な目に遭わせたくないって言ってたから、当然と言えば当然か。

 

「なっちゃんは、何か心当たりとかない?山本君や獄寺君も、何か知っていたら教えてほしいな。」

 

 どうしたもんかと考えていると、京ちゃんが何か知ってることはないかと聞いてきた。

 わたし達はそれになんと答えるべきかわからず、思わず黙り込む。

 

「・・・ナツキ。ここは一つ、彼女に嘘を教えるべきかと思いますよ。」

 

『嘘?』

 

「ええ。」

 

 すると、足元でわたしにしか視えないように幻術を纏っていたDさんから話しかけられる。

 わたしの反応を見たDさんは、軽い身のこなしでわたしの足元から飛び出し、姿を消す幻術を使用したまま仔猫の擬態を解いて、唇を耳元に寄せてくる。

 

「ここの学校の人間はやけに騙されやすい傾向があるとわかっていますからね。術士としてはどうかしてると呆れてしまいたくなるものではありますが、利用しない手はないかと思います。

 例えば、少し変わった格闘技の大会が近々あるから、それに参加しようとしているとか・・・ね?

 実際は命をかけたデスマッチと言っても過言ではないのですが、それをそのまま言うわけにもいかないでしょう?」

 

『っ・・・・・・耳元で話さないでよDさん・・・・・・!!それが得意じゃないことは、Dさんが一番知ってるはずでしょう!?』

 

「それは失礼しました。で?どうします?嘘も方便と言いますし、ここは一つ、そう言うことにしてみては?」

 

 自身の耳に触れる言葉と共に吐き出される息に、身体がビックリしてしまうのをなんとか抑えながらも、わたしはその場で考えるフリをする。

 Dさんの言っている通り、今回の出来事に関しては、念のために誤魔化しを入れておくべきだろう。

 ・・・・・・いつか、きっと知ってしまう時が来るとしても。

 

「そう言えば、了平さんと隼人と武は総合格闘技の大会に出るとか言ってたよね?」

 

「「「!!」」」

 

 そんなことを思いながら、わたしは話をでっち上げるために、隼人と武を巻き込む形で言葉を紡ぐ。

 隼人と武、それと凪は、わたしが口にした言葉が嘘であると直ぐに見抜き、一瞬だけ目を丸くした。

 

「・・・・・・実は内緒にしていたんだけどそうなんだ。大人も出てくる大会みたいでさ。笹川先輩がどんな格闘技でもいいと言うなら、ボクシングで挑む!!って言い出してよ!」

 

「オレらはやる気なんざねーって言ってっけど、どうしても出たいって言うから付き合ってやることにしたんだ。

 リボーンさんからは、奈月さんを守るためにも力をつけておけって言われたしな。」

 

「そーそー。ナツと一緒に過ごしたいなら、男として女1人くらい守れるようになれって言われたんだよな。」

 

「キャンプの時にその話は聞いていてね。またリボーンは・・・って呆れたりもしたけど、2人はやる気だし、それならやってみたら?って話したんだよ。」

 

 “まぁ、その訓練をしようにも、ここの2人は仲良く私と風邪っぴきになったんだけど”・・・と肩をすくめながら伝えると、京ちゃんは目を丸くする。

 だけど、仲良く風邪っぴきになった発言がおかしかったのか、彼女はクスクスと笑い声を漏らして笑顔を見せてくれた。

 

「そっか。じゃあ、お兄ちゃんはその大会に出るために頑張ってるんだね!」

 

「そうなるね。そんな彼とコロネロが一緒に行動を取ってるのは、多分、コロネロも格闘技が好きだからだと思う。」

 

「え?なっちゃんってコロネロ君と知り合いだったの?」

 

「まぁね。リボーンと言う共通の知り合いがいるから、そこから繋がった感じ。

 知ってる?リボーンとコロネロって同じ場所で生まれて、よく一緒に遊んでいたみたいだよ?

 まぁ、その遊びがいわゆる総合格闘技で、あまりにも能力が拮抗するから、ヒートアップしかねないんだけどさ。」

 

「そうだったんだね。じゃあ、お兄ちゃんは大会の特訓のためにいつも頑張ってたんだ。言ってくれたら、私も色々手伝ったのに・・・・・・。」

 

「多分、優勝したら京ちゃんに教えようとしていたんじゃないかな?たまにはお兄ちゃんもカッコつけたいんだよ。」

 

「そっかぁ・・・じゃあ、知らないフリをしてお兄ちゃんを応援しておくね!教えてくれてありがとう、なっちゃん!」

 

 一度紡いでしまえば流れるように繋がっていく嘘。わたし達の話を聞いた京ちゃんは、そのまま騙されてくれた。

 そのことに少しの罪悪感を抱きながらも、この子に本当の理由が伝わらなくてよかったと安堵の息を吐く。

 同時に鳴り響くは次の授業の始まりを告げるチャイム。それを聞いた京ちゃんは、席に戻ると言ってわたし達の元から離れた。

 京ちゃんの様子を見るなり、隼人と武も自分の席へと戻っていく。

 

「・・・あの子には、教えないの・・・・・・?」

 

 そんな中、凪がわたしに小さく声をかけてくる。凪の言葉を聞いたわたしは、小さく頷き返しながら、彼女の頭を優しく撫でる。

 

「京ちゃんには本当のことを言わないよ。もちろん、いずれは話さないといけないことだけど、それはわたし達から伝えるものじゃない。

 確かな力をつけ、何があっても守ることができると言う自信を持った了平さんから伝えるべきことだから。

 まぁ・・・・・・こちらの事情にあの子まで巻き込まれるようなことが起こったら、隠し通すことは難しくなると思うけどね。」

 

「・・・・・・奈月・・・辛そうな顔してる・・・。」

 

「・・・・・・辛くない方が無理な状況にいるからね、わたし達は。これは、凪にも言えることだよ。」

 

「・・・・・・そうだね・・・。」

 

 凪と一緒に無言になる。そう。辛くない方が無理な状況に、わたし達はみんないる。

 正当なる後継者を決めるため、命が危うくなる戦いに身を投じ、その権利を手に入れなくてはならない。

 そして、その権利を手にするために行われる争いには、10代目候補とその中核に選ばれた者達で挑まなくてはならない。

 ・・・・・・暗殺のプロ・・・戦闘のプロ・・・そんな相手に対して、わたしが選出しなくてはいけないのは、潜在能力は未知数で、だけど、ほとんどが命のやり取りとは程遠い世界で生きてきた大切な友人達・・・・・・。

 

 ─────・・・・・・ああ・・・本当に反吐が出る。

 

 舌打ちをしたくなりながらも、わたしは次の授業の教科書とノートを取り出す。

 刻一刻と迫る、争いの時に思いを馳せながら・・・・・・。

 

 

 




 沢田 奈月
 京子と凪の板挟みにあったが、誰を贔屓目にするわけでもなく、分け隔てなくいつも通り対応して過ごした貝の女王。
 なお、霧属性の湿度増し増し美青年達は度々精神世界やらなんやらに不法侵入してくるためお手上げの模様。
 京子に事実を隠すために、罪悪感を抱きながらも嘘をついた。

 沢田 凪
 奈月が大好きな霧の守護者の代理少女。奈月が山本にも京子にも距離が近いことを知り、特別じゃないことにちょっとがっかりしたが、奈月と京子の話を聞いて、直ぐに頭を切り替えた。
 奈月の側・・・何かいる・・・・・・?

 笹川 京子
 突如現れた奈月の義妹によりかなり嫉妬心と対抗心を抱いてしまったひまわりのような女の子。
 しかし、山本や獄寺、もちろん自分にも分け隔てなくいつも通りに接してくるため、凪が特別と言うわけじゃないことにちょっとホッとした。
 奈月に了平のことを聞いてみたら、総合格闘技の大会に出ようとしていることや、カッコつけて優勝したら話すつもりだったのだろうと言われ、納得する。

 山本&獄寺
 奈月の突然の嘘にかなり驚いたが、直ぐに彼女の気持ちを察して話を合わせた少年達。
 奈月の義妹である凪が何者かわからないため困惑は継続中。


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