最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 暗殺部隊に属する青年と共に過ごす貝の女王の元に、チェルベッロ機関が姿を現す。
 彼女達から告げられたのは、争奪戦の舞台が決まったと言う連絡だった。



争奪戦の火蓋は切られた

 ベルに連れ出されるカタチでデートに応じ、彼がいつのまにか予約していたレストランでフレンチディナーを食べることになったわたしは、あれよあれよと過ごしているうちに、レストランの中にまで連れ込まれてしまった。

 最後まで付き合うとは言ったけど、まさかこんな場所に連れてこられることになるとは思わず、少しだけ頭を抱えてしまう。

 

「・・・・・・まさか、高級フレンチに連れて行かれることになるとは思わなかったな。」

 

「そこら辺のファストフード店もいいけど、折角姫にはおしゃれしてもらったし?それならドレスコードも問題なく通るって思ったから予約してたんだよね。」

 

「ベルはスーツになってるみたいだけど。」

 

「そりゃあ、仕事着がブロックされんの目に見えてたからな。レンタルできる場所だったし、ついでにそっちも予約しておいたわけ。」

 

「なるほどね。」

 

 だけど、ベルは頭を抱えているわたしのことなんか気にしていないのか、口元に笑みを浮かべたまま、ここに来るまでにしておいたことを得意気に語る。

 王族なだけあって、ドレスコードに関しても詳しいようだ。見事なまでに、先手を打って来ている。

 わたしの拒否権を完全に潰しに来ていたことが判明して、溜め息を吐きたくなったけど。

 

「王子の奢りだから適当にコースも頼んどいたし、姫は気にせずメシ食ってていいよ。ここ、調べた感じ評判がいいみたいだから、姫も十分美味いもん食えると思うぜ?」

 

「そりゃどうも。ていうか、本当に拒否権完全に潰しに来てるな・・・・・・」

 

「当たり前じゃん。だってオレ王子だもん。従わねーなんてさせるつもりねーから。」

 

「・・・ハァ〜〜〜〜〜・・・・・・。」

 

「うっわ、クソデカ溜め息とか酷くね?」

 

 そりゃ溜め息も吐きたくなりますわ・・・なんて内心で悪態を吐きながらも、運ばれてきた料理を口にしていると、不意に、レストランの外に現れた覚えのある気配を感じ取る。

 その気配は間違いなくチェルベッロ機関の物で、わたしは手にしていたナイフとフォークを置いたあと、口元を軽く拭く。

 

「・・・・・・よくここに入ってこられましたね。予約制のレストランだと聞いていたので、まさか足を運んでくるとは思いもよりませんでした。」

 

「?・・・・・・うわ、いつのまにか入って来たんだよお前ら。つか、姫、どこら辺で気がついたわけ?」

 

「レストラン前の廊下に入り込んだタイミング辺り・・・ですかね。気配には敏感なもので。」

 

「しかもクイーンモードだし・・・・・・王子、そっちの状態の姫はちょっと嫌いかも。」

 

「そのようなことを言われましても、何事もメリハリと言うものは大事ですので、早々に諦めることをオススメいたしますよ?」

 

 ベルが不満そうな様子を見せていようとも、気にすることなくチェルベッロへと視線を向ける。

 すると、わたしの視線に気づいたチェルベッロはその場で静かに跪き、深々と頭を下げて来た。

 

「お食事中にお邪魔して申し訳ありません、奈月様。」

 

「争奪戦を行う舞台が決まったので、お知らせに参りました。」

 

「構いません。それで?舞台が決まったとのことですが・・・・・・」

 

「こちらをどうぞ。」

 

 わたしの言葉を聞き、チェルベッロの1人が一つの資料を手渡して来た。

 静かにそれを受け取り視線を落としてみると、そこにはわたしが昨日チェルベッロに手渡していた争奪戦の舞台候補に挙げていた建物の資料だった。

 ベルが席を立ち、わたしの背後に回ってくる。見えやすくするためなのか、彼は背後からわたしに抱きつきながら資料を覗き込み始めた。

 

「これって姫が昨日チェルベッロに渡したヤツ?」

 

「ええ。どうやら、並盛中学校で争奪戦を行うと言う事態は避けることができたようですね。」

 

 ベルの質問に答えながら、手にしていた書類をチェルベッロに返す。

 チェルベッロはわたしの手元から書類を受け取り、静かにその場で立ち上がった。

 

「厳正なる協議の結果、並盛中学校よりは提示されたこちらを舞台にする方が、後処理も手早くできると言う理由から、こちらで争奪戦を行うことにしました。

 XANXUS様からも許可が下りていますので、これから争奪戦の舞台を整えて参ります。」

 

「争奪戦を開始する時刻は明晩11時。守護者の皆様への伝達は、奈月様にお任せします。」

 

「わかりました。連絡の件を引き受けましょう。ご苦労様でした。作業に戻っても構いませんよ。」

 

「「はい。失礼いたします。」」

 

 わたしの話を聞き、チェルベッロ達は音もなくその場から姿を消す。

 気配を追ってみれば、普通にレストランの外へと立ち去ったのがわかるわけだが、随分としなやかな身のこなしで姿を消すものだ。

 

「・・・・・・何でよりによって開始時間は23時なのやら。」

 

「あ、姫に戻った。」

 

「チェルベッロがいなくなったからね。ベル。離れて。」

 

「ちぇ〜・・・・・・もう少し姫に抱きついてたかったのに残念。」

 

 チェルベッロがいなくなったのを確認して、ベルに話しかければ、彼は上機嫌になりながらも席に戻った。

 それを確認したわたしは、まだ残っている料理を食べ切るために、ナイフとフォークを再び手に取った。

 

「それにしても、姫ってなんで沢山の建物持ってるわけ?姫派のボンゴレと連合とC.E.D.E.F.連中とキャバッローネ連中にも協力してもらってるんだろ?」

 

 すると、ベルから沢山の建物を所有している理由を聞かれた。

 まぁ、確かに学生の身でこんなにも大量の建物がいるかと聞かれたらいらないと言うのが正解なわけだが、こればかりはどうしても必要だから、わたしは所有しているわけで・・・・・・。

 

「強いて言うならば、特訓用かな。」

 

「特訓?」

 

「そ。みんな、沢山の長所がある分、短所もそれなりに見つかったからね。リボーン監修のマフィア強化プログラムを行うのにちょうどよかったんだよ。

 ほら、マフィアになるとしたら、いつ、どこで、どのようなトラブルに見舞われてしまうかわからないでしょ?

 だから、それを想定した基礎的な戦闘技術の向上、および応用を使った戦闘訓練なんかに使用できる場所があった方がいいと思ったんだ。

 それで、その話をリボーンやディーノさん、父さんに漏らしたところ、並盛付近には戦闘技術の向上を目指した訓練施設用の仮初のアジトが沢山ん建造された。」

 

「あー・・・・・・なるほどね・・・・・・?つか、姫ってちゃっかりC.E.D.E.F.もキャバッローネも、アルコバレーノすらも懐柔してんのかよ。」

 

「懐柔しようと思った記憶はないけど、みんな私に甘いかな。私がこうしたいって言ったら直ぐにそれを実行しようとするから。

 こっちが突拍子もないことを言っても、それを実現させるために直ぐに技術者とか場所とか探し始めるんだよね、みんな。

 あまりにも即決するもんだから、何回か別に優先度は高くないし、即決しようとするなって言ってるんだけど、私がやりたいこととか、私のワガママとか、全部叶えようとしてくるから、今は逆に何も言いたくない。」

 

「・・・・・・愛されてんね?」

 

「これって愛されてるの?」

 

「むしろ溺愛の域じゃね?」

 

 ・・・・・・どうやら、わたしはもう少し考えて発言した方がいいらしい。

 もし、ベルの言ってる通りある種の溺愛行動だとしたら、世界征服なんてものまであの人達は達成してしまうかもしれないから。

 

「・・・・・・もう少し、色々と考えて発言した方が良さそうだね。あの人達なら、どれだけやばいことを言っても全部叶えようとしてくるかもしれない。」

 

「王子的にはワガママ言ってナンボだと思うけど、突拍子もないことまで叶えようとするなら、叶えても支障が出ないくらいの軽いワガママくらいは言ってやったらいんじゃね?

 ここに出かけたいとか、これがほしいとか、海外に旅行したいとか、有名なホテルの1番値段が高いところに泊まりに行きたいとかくらいなら問題ねーと思うけど。」

 

「参考にする。大人勢からワガママ言っていい、甘えていいって言われてるけど、どこまでがいいのかまだわかってないから・・・・・・。」

 

「なんならオレが教えてやろうか?王子だからワガママとか沢山言ってるし。」

 

「助かるけど、いいの?」

 

「いーのいーの。そのお礼にこうしてまた一緒に出かけてくれたらいいし。」

 

「そっちが狙いだろ。」

 

「しししし!バレた?」

 

「バレバレだよ、全く・・・・・・。まぁ、お出かけくらいは付き合ってあげてもいいけどさ・・・・・・。」

 

「んじゃ決まり!王子は姫にワガママの言い方を教えて、姫は王子とデートな?」

 

「はいはい。」

 

 それなりに周りに色々言っては通していると思われるベルから一緒に出かけると言う対価を支払う代わりに、ワガママに関してのアドバイスをしてもらう約束を取り付けて、残りの料理に手をつけていく。

 あ、みんなにどこで争奪戦が行われるのか連絡しとこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ❀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で?何でわたしはベルと一緒に争奪戦が行われる会場に向かってんの?」

 

「え?王子が姫と話したいからに決まってんじゃん。姫がこれまで経験した話、めちゃくちゃ面白いんだよね〜。

 こっちのトラブル話もなかなか面白いっしょ?特にボスとスク先輩の日常とかさ!」

 

「そりゃまぁ、愉快な暗殺部隊の話はかなり面白いけどさ。暗殺部隊とか言ってるから、冷酷無慈悲で血も涙もない連中かと思ってたけど、仕事以外じゃ割と賑やかなことしてるみたいだし。」

 

「だろ?」

 

 夕飯を食べ終え、あとは争奪戦の時まで解散かと思っていたら、なぜか未だにわたしはベルと一緒に行動を取っていた。

 しかも、現在のわたしは日中のわたしの私服から一転して帽子をコーデの一つとして組み込んだワンピーススタイルになっている。

 これももちろんベルのチョイスで、顔を隠すのに帽子は最適だと言って来たベルが用意したものである。

 ワンピースの上には黒のコートを羽織っているのだけど、実を言うとこのコート・・・ベルの仕事着のコートの予備だったりする。

 ディナーを食べたホテルから、バスで少し移動したところに、どうやらベル達が拠点として抑えていたホテルがあったようで、一度そっちに移動したあと、ベルが自分が泊まってる部屋からもう1着コートを掻っ払って来たのである。

 

「・・・・・・これ、会場に向かったら絶対スクアーロさん辺りからツッコまれるよね?“う゛お゛ぉい!何でてめーがそいつのコートを着てやがんだ!!?どうなってやがる!?”って。」

 

「しししし!姫、スク先輩の真似すげー上手いじゃん。よくあの話し方真似できんね?」

 

「話聞いてる?」

 

 怒られないの・・・?と呆れながら、ベルを見つめるが、彼は気にしていないのか、楽しげに笑っている。

 どうしてここまで競う相手に好かれているのか・・・・・・全くもって意味不明である。

 

「夜って以外とこっち寒いみたいだし、姫は女じゃん。女って体冷やしやすいって言うっしょ?

 だから王子のコート貸してやってんの。あったかいの確定だから。」

 

「まぁ、確かにあったかいけどさ。」

 

「だろ?暗殺の依頼を引き受けたら割と色んなところに行くから、一々荷物が多くならないようにって隊服はちょうどいい体温になるような仕掛けがあるんだってさ。

 だから、割と寒いところでも暑いところでもパフォーマンスが落ちないようになってんだよね。」

 

「だからって私に着せるんじゃない。」

 

「だって姫に買ってやった上着よりも全然防寒度ならマシだと思うし、いいから着とけって。」

 

「私、沢田家光の選抜陣営。そっち、9代目の選抜陣営。なんで今からやり合おうとしてる陣営の・・・さらに言うとボスの立場に身を置いてる女の体調を気にしてんのベル。」

 

「どうせ姫はこっちに来るんだし、別に良くね?」

 

「だーかーらー!!私は暗殺部隊に入るとか言ってないんですけど!?」

 

 シレッとわたしに対して上着を着せたりしている理由として、わたしを暗殺部隊入りさせるから気にしてないと言ってくるベルに、何度目かわからないツッコミを入れる。

 だけどベルはわたしのツッコミを完全に無視して、わたしの手を引いたまま争奪戦の舞台になっている場所へと足を運び続けていた。

 

「あら?ベルちゃんに奈月ちゃんじゃない。」

 

「テメーらなぁ・・・・・・何仲良しこよしで堂々と歩いてやがんだぁ?」

 

「まさか、ベル。ずっと彼女と一緒にいたんじゃないだろうね?」

 

「ゲッ・・・・・・」

 

「・・・・・・私は知りませんからね。」

 

 ベルが手を離してくれない・・・と溜め息を吐きながら歩き、たどり着いた目的地。

 すると、ほぼ同じタイミングで争奪戦が行われる場所にてヴァリアー陣営と鉢合わせることになった。

 わたしとベルの様子を見て、呆れだったり楽しげだったりな反応を見せる彼らの姿に、ベルが表情を歪める。

 表情を歪めたベルに、わたしは直ぐに頭を切り替えて、一言知らないと口にしたあとその場から離れようとする。

 ・・・・・・が、ベルが手を離してくれなかったため、離れることができなかった。

 

「ベル。手を離してもらえませんか?」

 

「は?イヤだし。」

 

「イヤが通じると思っているのですか?私と貴方は敵同士だと何度も言ってるはずですが?」

 

「姫は王子といるのが正解だっての。なんでわざわざ目の前で掻っ攫われるくらい隙だらけな奴らのところに返さねーといけねーわけ?この時点でたかが知れてるだろアイツら。」

 

 すかさず手を離すように要求したのに、離すつもりがないと言い出したベルと軽く言い争う。

 離せ、イヤだ、離せ、イヤだの応酬を繰り返し、程なくして互いに無言になる。

 ベルに掴まれている手は、さらに力を加えられてしまい、痛みは感じないが抜け出せないという状況に陥いってしまった。

 

「・・・・・・ゔお゛ぉい!オレらは何を見せられてんだ!?」

 

「ベルちゃんがここまで女の子を気にいることになるとは思いもよらなかったわねぇ・・・・・・。」

 

「まぁ、ある意味予想通りではあるけどね。彼女の話を聞いた時は生意気だなんだと殺気立っていたくせに、会って言葉を交わした瞬間、興味津々に彼女に目を向けていたし、ベルにとっての嫌いな人種から、ベルにとってすごく気になる人種に変わった時点で、彼女にちょっかいを出しそうな雰囲気は十分あったから。」

 

 わたしとベルの子供っぽいやりとりに、とうとうスクアーロさんがツッコミを入れて来た。

 だけど、ルッスーリアさんとマーモンはツッコミを入れるというよりは、珍しいものを見たと言う好奇心を表に出して、わたしとベルのやりとりを見守っていた。

 

「なんとかならないのですか、スクアーロさん?」

 

「は?なんでそこでスクアーロ隊長に話振るんだよ。」

 

「この中で最も正常な反応をしているからに決まっているでしょう?」

 

「オレを巻き込むんじゃねぇ・・・・・・!!」

 

 頑なに手を離そうとしないベルをなんとかしてもらおうと、スクアーロさんにお願いしようとしたところ、ベルからわずかにキレられた。

 同時にスクアーロさんからも怒られてしまい、わたしはそのまま拗ねた気持ちを抱く。

 

「そうそう、姫が10代目候補から外れたら姫だけは生かしてヴァリアーに入れね?

 絶対姫の能力ってヴァリアーにいても十分過ぎるくらい力発揮すると思うんだよねぇ、オレ。」

 

「まぁ、あのレヴィの部隊を容赦なく〆た上、レヴィ本人も蹴り飛ばしてるしね。」

 

「ボスに対しても堂々と対応して怯まないし、ボス自身も奈月ちゃんの能力は一目置いているのか対等に扱ってるものね。」

 

「体力が維持できねーからっつー理由で跳ね馬に最終的には合流していたが、オレの剣撃を全て防ぐなりいなすなりしてきやがったしな。あいつが認めんなら別にいいんじゃねぇかぁ?」

 

「誰1人として異議を唱えないのはどうかと思うのですが!!?」

 

 そんな中、ベルが口にしたわたしを部隊入りさせようとしている話。

 普通は何言ってんだとツッコまれてもおかしくない内容だと言うのに、ルッスーリアさんやマーモンどころか、スクアーロさんすらもツッコミを入れないと言う現状になるだけで、誰1人として否定的な意見を言ってくれなかった。

 ・・・・・・あれ?ちょっと待って?何人かこの場にいなくない?

 

「・・・・・・さっきから気になっていたのですが、何名かそちらの陣営でこの場にいらっしゃらないのは気のせいですか?」

 

 そんなことを思いながら疑問を口にすると、彼らはその場で顔を見合わせる。

 

「こっちのボスは他人の勝負にあんま興味ねーからなぁ・・・・・・」

 

「まぁ、十中八九欠席だろうね。」

 

「レヴィに関しては先に行っちゃってるわよ。」

 

「あのおっさん、会議とかする時も1時間以上前から席についてることがあるし、多分今回もそれじゃね?」

 

「・・・・・・フリーダム過ぎません?そちらの方々。」

 

「レヴィに関しては真面目なだけよ?」

 

「むっつりだけどな。」

 

 こっちに来るまでに聞かされていたフリーダムヴァリアーの話から、もはや驚くこともできなくなってしまったわたしは、彼らのフリーダムさに少しだけ呆れながら肩をすくめる。

 これで能力に関してはものすごく高いのだから、世の中どのような人や組織があるのかわかったもんじゃない。

 

「お待ちしていました、奈月様。」

 

「ヴァリアーの皆様も、遠方より足を運んでいただきありがとうございます。」

 

 そんなことを思っていると、チェルベッロ機関が話しかけてきた。

 彼女達の気配には気づいていたけど、本当に音もなく現れる。一体彼女達はなんなのか・・・・・・今度調べてみようかな。

 まぁ、まともな情報が出てくるとは思わないけど。

 

「・・・・・・この度は、私の意見を通してくださりありがとうございます。並盛中学校は、私がお世話になっている先輩が大切にしている場所だったので、どうしても使ってほしくなかったもので。」

 

「こちらこそ、代替えとして都合のいい場所を提供してくださりありがとうございます、奈月様。

 奈月様の守護者の皆様はまだこちらへ足を運ばれていないので、しばらくの間、お待ちください。」

 

「逃げたんじゃね?」

 

「それはないので適当なことを言わないでもらえますか、ベル?」

 

「冗談だって。」

 

 余計なことを言ってくるベルに対して軽く咎める言葉を紡ぎながらも、わたしは舞台となっている建物の敷地内に足を運ぶ。

 すると、そこにはレヴィ・ア・タンさんと、謎の存在感を放つ大男が存在していた。

 

「・・・・・・レヴィ・ア・タンさんも相当な大男ではありますが、離れた位置に待機してるさらにでっかい謎の大男はなんなんですか?無駄に存在感があって、ちょっと不気味なのですが。」

 

「ああ、あれ?モスカっつーこっちの守護者。」

 

「・・・・・・ヴァリアーは個性的な連中しか在籍できない組織か何かですか?」

 

「んなわけねぇだろぉ!!」

 

「独特なのは一部だけよん♥︎」

 

「そーそー。そこのヘンタイとか、あそこのむっつりとか、あっちのでっかいのとか、そこの隊長とか、マーモンくらいだって。」

 

「サラッとキミ自身を個性的じゃないに分類しないでもらえるかい?ベル。」

 

 賑やかになる周りに溜め息を吐きたくなりながらも、わたしはその場から移動する。

 移動したら普通にベルがひっつき虫になってついてくるけど、もはや諦めた方がいいと悟ってしまったわたしは、彼に対して言及するのをやめた。

 隼人達が合流したらどうやって説明するべきか・・・・・・。ベル、わたしのこと離してくれなさそうなんだけど。

 

「!?奈月さん!?テメェら!!何奈月さんの周り固めてやがんだ!!離れろ!!」

 

「そうだぜ!!ナツはオレ達の陣営なんだぞ!!」

 

「お前達!!極限に奈月を離さんか!!」

 

「うわうっさ。」

 

「ベルが離してくれさえすれば、彼らがやかましくなることもなかったはずなのですがね・・・・・・」

 

 そんなことを思っていると、隼人達が今いる場所の敷地内に足を踏み入れたようで、わたしの側にいるベル・・・・・・だけじゃないな。

 よく見たらスクアーロさんとルッスーリアさんとマーモンもわたしの周りにいる。

 これじゃあわたしまでヴァリアーみたいじゃないか。勘弁してほしい。

 

「さっさと向こうでぽつねんとしてるレヴィ・ア・タンさんとモスカさんの元に行ったらどうですか?

 いくらXANXUSさんがいらっしゃらないからと言って、わたしの周りに集まるのは如何なものかと思いますし。」

 

「え〜?王子は姫と一緒に観戦してーんだけど。」

 

「だったらベルは勝手に残ればいいでしょう。もはや離れないだろうと私も諦めていますから。

 私が言ってるのはルッスーリアさんとスクアーロさんとマーモンにです。あなた方までこちらに陣取る必要はないでしょう?」

 

「それもそうだね。」

 

「奈月ちゃんともうちょっとお話したかったけど、もう直ぐ始まっちゃうし、向こうに戻りましょうか。」

 

「ゔお゛ぉいっベル!!そこから動くんじゃねーぞ!!」

 

「わかってるって。姫は向こうに行かせないし、王子もこっちで姫の隣で陣取って観戦しとくし。」

 

 相変わらずのマイペースっぷりに呆れながらも、さっさと自陣営に戻れとスクアーロさん達を促せば、彼らはベルとわたしを置いてレヴィ・ア・タンさんの方へと移動する。

 それを確認したベルは、どことなく満足そうに笑ったのち、わたしの隣を陣取った。

 わたしの側からベル以外が離れたのを確認した隼人達が、ベルを引き離そうと思ったのかこちらに向かおうとして来たが、その場でわたしは手を挙げて静止する。

 

「奈月さん!?」

 

「そいつ、敵なんだろ!?早く離れた方がいいぜ、ナツ!!」

 

 わたしの止まれの合図を見て、足を止めた隼人達。

 だけど、直ぐにどうして止めるんだと言う眼差しを向けながら、止めた理由を聞いて来た。

 

「そんなもん、お前らが雑魚だからに決まってんじゃん。2人もいたのに目の前で王子に姫を掻っ攫われて動けなくなってたヤツのとこなんかに姫が行こうとすると思う?」

 

「んだと!?」

 

 そんな彼らに、ベルが余計なことを口にする。

 わたしはそれに呆れながら、静かにベルへと視線を向けた。

 

「余計な挑発はしないでください、ベル。隼人。私は大丈夫です。夕方から夜にかけて彼に連れ回されましたが、今のところ彼は私に危害を加えるつもりがあまりないようなので、好きにさせてやってください。

 それに、もう直ぐ争奪戦のカードを明かされます。今はそちらに集中を。」

 

 ベルに咎める言葉をかけたのち、隼人に今のところ、ベルがわたしに何がしようとしている様子は見せていないことを告げ、一旦は争奪戦に集中するように指示を出す。

 わたしの言葉を聞いた隼人は、どこか納得していない様子を見せながらも、一旦は口を閉ざした。

 

「お話しは一通り終えたようですね。では、これより今宵のリング争奪戦の対戦カードを開示します。」

 

「厳正なる協議の結果、第一戦は、晴の守護者同士の対決です。」

 

 晴の守護者と言う言葉を聞き、わたしの陣営からは了平さんが前に出て、ヴァリアーの陣営からはルッスーリアさんが前に出た。

 

「ふぅん?あの坊やが私の対戦相手なのね。」

 

「あのサングラスをした者が相手か・・・・・・!」

 

 互いの晴の守護者同士の顔合わせが行われ、あたりに静寂が落ちる。

 争奪戦の火蓋が、とうとう切られる時が来た。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 ベルにめちゃくちゃ振り回されてしまった貝の女王。
 負けたら確実に暗殺部隊に入隊させられると察して頭を抱える。

 ベルフェゴール
 サラッと自身の陣営に奈月が負けた場合は奈月だけでも暗殺部隊に入隊させたいと話した暗殺部隊所属の青年。
 まぁ、姫の能力からして、誰も異議なんて唱えないっしょ。

 ルッスーリア
 最初の対戦カードとして出された暗殺部隊の晴の守護者。
 ベルが奈月を気に入っていることは知っていたけど、まさかこれほどまでとは思わなかった。
 え?奈月ちゃんを暗殺部隊に?私は賛成よ!彼女が暗殺部隊に入ったら、まず最初に隊服選びよね!どんなデザインが似合うかしら?

 S・スクアーロ
 ベルが奈月に夢中になってることにツッコミを入れた唯一の常識人。
 しかし、ベルの奈月を暗殺部隊に入れたいと言う意見に関しては異議を唱えるつもりはない。
 ボスの野郎が認めりゃいいんじゃねぇかぁ?オレは構わねーぜ。そいつには見どころしかねーからなぁ。

 マーモン
 ベルの爆弾発言は気にしていない暗殺部隊のアルコバレーノ。
 むしろベルが気に入ってるからちょっかいを出す気満々なのは目に見えていたので予想通りと吐き捨てる始末。
 彼女を暗殺部隊に入れたい?僕は構わないよ。彼女の能力は高いし、何より効率のいい稼ぎ方を知ってそうだからね。

 レヴィ・ア・タン
 話の輪からハブられていたが、ベルの奈月を暗殺部隊に入れたいと言う発言はしっかりと聞いていた。
 沢田奈月・・・・・・月明かりに照らされている姿が妖艶だ・・・・・・。

 モスカ
 モスカは存在感を放っている。

 奈月陣営
 争奪戦が行われる場所に行ったらヴァリアーに囲まれている奈月を見てびっくりした奈月陣営。奈月を返せ!!


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