最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 とうとう始まったリング争奪戦。
 貝の女王として生まれた桜の花は、最後まで見届ける決意を抱くのだった。



争奪戦のルール

 晴の守護者同士の対決を行うと宣言したチェルベッロ機関。

 ベルに手を繋がれてしまっているため、本来ならば向かうべき隼人達の元に行けない中、わたしの足元にふわふわとしたものが静かに触れる。

 

「ん?姫。その猫姫の?」

 

 わたしの足元に何かいることに気づいたらしいベルが、そのふわふわに関して静かに言及する。

 何がいるのか直ぐに把握したわたしは、ベルの問いかけに静かに頷いた。

 

「うん。わたしが飼ってる猫のスペード。いつもわたしにひっついてるんだ。」

 

 足元にいたDさんの魂が入り込んでいる仔猫の器。静かにその場でしゃがみ込み、その身体を優しく持ち上げれば、彼はわたしの肩に移動して、そのまま頬に擦り寄って来た。

 

「お前は何暗殺部隊の人間に攫われているのですか。」

 

「それに関しては申し訳ないと思ってるよ。油断してた。」

 

「全く・・・・・・どこで何が起こるかわからないのですから、しっかりと日常の中でも警戒しておきなさい。

 次、このようなことがあったらお仕置きですよ。しばらく学校などにも行かせませんからね?」

 

「それは勘弁してほしいかな・・・・・・」

 

 ただ、この行動とは裏腹に、Dさんはしっかりと怒っているけど。

 まぁ、確かにマフィアのボスがあっさりと攫われると言うのはアレだし、今回ばかりは反省だ。

 ベルだったからまだ良かったものの、もし、ベル以外だったらと思うと、自分の身が危ないのだから。

 

「姫。猫と話せんの?」

 

「話せるよ。まぁ、リボーンは虫と話したりしてるし、猫と話せる人間がいてもおかしくないと思うけど。」

 

「は?リボーンって姫んとこのアルコバレーノだろ?あいつ、虫と話せるのかよ。」

 

「みたいだよ?虫の言語とか意味不明過ぎだけど。」

 

「猫の言語を理解してんのもなんか変だと思うの王子だけ?」

 

 ・・・・・・どうやら、人間じゃない生き物とお話しすることができるというのは、ベルからしてもよくわからない状況らしい。

 リボーンのあれは特例だったか・・・・・・やっぱりリボーンって規格外なんだ・・・・・・。

 それを比較対象にして猫と話せると言ってるわたしも規格外なんだなと少しだけ遠い目をする。

 前世も今世も出自は一般家庭のはずなんだけど、なんでこんなに色んなスキルを身につけることができる才能に恵まれたのか・・・・・・。

 

「それでは、只今より後継者の座を賭け、リング争奪戦を開始します。」

 

「あちらをご覧ください。」

 

 そんなことを考えていると、チェルベッロからある方角へと目を向けるように言われた。

 わたし達はその言葉に従うように、指し示された方角へと視線を向ける。

 そこには囲いの中に鎮座する格闘技のリングのようなものが存在していた。

 

「格闘技のリングフィールド・・・・・・?」

 

 小さな声で視界に入り込んだリングフィールドに言及すると、視界の端に映っていたチェルベッロが小さく頷くのが少しだけ見えた。

 

「晴の守護者の勝負のために我々が用意した特設リングです。」

 

「今回は晴の守護者の特性を考慮したリングとしましたが、指輪争奪戦では、各勝負ごとに特別な戦闘エリアを設置いたします。」

 

 どうやら、指輪の争奪戦はなかなかに特殊なルールが存在しているようだ。

 特性を考慮したフィールドを用意する・・・・・・か・・・・・・。

 

「結構、金銭がかかる勝負になっているようですね。」

 

「姫もやっぱそう思う?ってか、その話し方やめろって。あんま好きじゃねーんだけど?」

 

「・・・・・・メリハリをつけるために必要なことだからと言ったはずですが?」

 

 相変わらず素手話せと言ってくるベルに軽く言い返しながら、フィールドを見つめていると、こちらの方に近寄ってくる気配に気づく。

 視線を気配の方へと向けてみれば、そこにはマーモンがいた。マーモンはわたしの方に飛んできたかと思えば、当たり前のようにわたしの肩に乗ってくる。

 

「・・・・・・何をしに来たのですか?マーモン。」

 

「なんとなくこっちに来ただけだよ。にしても、決まりきった勝負だと言うのに、ここまで金を注ぎ込むなんてね。無駄遣いにしかならないと思うのだけど。」

 

「・・・・・・それを言いに来ただけですか。やかましいですよ、色々と。」

 

 なんで平然とわたしの肩に居座ってんだこいつ、と内心で思いながらも、10代目としての対応で言葉を返すと、隼人達の方から一つの視線を感じた。

 よく見るとそこにはリボーンがいて、彼はわたしの肩に乗っかっているマーモンを見つめているようだった。

 

「・・・・・・めっちゃ姫んとこのアルコバレーノ、マーモンのこと見てんじゃん。」

 

「全くだね。アイツ、守護者でもないのに。見物料でもふんだくってやろうか。」

 

 マーモンの見物料発言はスルーして、わたしは隼人達に目を向ける。

 彼らはわたしに絡んでいるベルとマーモンを睨みつけており、さっさと離れろと言いたげだった。

 

「それでは、両陣営の晴の守護者はリングの中央へ来てください。」

 

 そんな中告げられた、晴の守護者への指示に、ルッスーリアさんと了平さんが反応を見せる。

 

「それじゃあ遊んでくるわね〜。」

 

「とっとと済ませろよぉ、ルッスーリア。」

 

 最初にリングの中央へと向かったのはルッスーリアさんだった。

 彼は背後から声をかけてくるスクアーロさんに後ろ手に手を振りながら、ゆっくり歩き、リングへと向かう前にわたしの元へとやって来る。

 

「奈月ちゃんには悪いけど、容赦なく貴女の守護者は潰させてもらうわねん♥︎」

 

「わざわざそれを言いに来たのですか?」

 

「当たり前じゃない。奈月ちゃんとは色々お話をした仲だもの。それにしても、貴女ってやっぱり素材がいいのねぇ・・・・・・今から隊服を考えるのが楽しみだわ♥︎」

 

「あ、姫の隊服作るなら王子とどこかしら揃うようにしといてもらえる?」

 

「もちろんよ、ベルちゃん。」

 

 遠回しにお前を負かすと言われ、少しだけ舌打ちをしたくなる。

 確かに、了平さん達は熟練の暗殺者に比べたら未熟以外の何者でもないし、彼らがこんな反応をするのは当然と言えるだろう。

 でも、了平さん達はみんな、凄まじい成長速度を持ち合わせているため、最初は押されても必ず打ち勝つことができると言う確信がある。

 あとは、まぁ、一部の悪癖が顔を出さなければ、彼らと互角になることも、指輪の防衛をすることも可能になる。

 それだけ、みんなはこの数日間、沢山の修行をしてきたのだから。

 

「大丈夫ですよ、ナツキ。お前の守護者達は確かに力を身につけています。まぁ、私から見たら未熟としか言いようがないですが、しっかりと成長をしています。

 最初のうちは苦しい戦いになると思いますが、必ず指輪を防衛しますよ。雷の少年と、そこにいる獄寺隼人は、少しばかり不安がありますがね。」

 

 そんなことを思っていると、Dさんが大丈夫だと優しく言ってくれた。

 一部の不安要素があるため、それだけが少し気になってしまうようだが、Dさんの言う雷の少年・・・・・・ランボと、わたしの嵐の守護者である隼人以外は問題なく追いつけると言ってきた。

 それを聞いて、わたしは少しだけ目を閉じる。これから目の前に広がる景色は、きっと、残酷な景色なのだろう。

 大切な友人を、大切な仲間を、死地とも言える争いの中へと送り込まなくてはいけないのだから。

 きっと、みんな無傷で終わらない。骸や、恭弥さんはわからないけど、他のみんなは沢山痛い思いをするし、苦しい思いだってしてしまう。

 ・・・・・・それでもわたしは・・・

 

 ─────・・・・・・貝の女王として名を挙げられた者として、最後までこの戦いを見届ける。

 

 それがどれだけ苦しくても・・・・・・それが、どれだけ怖くて辛いものだとしても。

 

「・・・・・・了平さん。お願いします。」

 

「うむ!!極限に任せておけ!!」

 

 わたしは、この世界と向き合ってみせる。

 

「なぁ、センパイ。折角だしさ、気合い入れるために円陣とか組みませんか?」

 

 静かにその場で目を閉じて、自身の頭を切り替えていると、武が了平さんに声をかける。

 円陣を組もうと言う言葉に、了平さんは驚いたように目を丸くしては、直ぐにキラキラと目を輝かせ始めた。

 

「極限にいい案ではないか山本!!一度やってみたかったんだ!!」

 

「はぁ!?なんでんなことしなきゃいけねーんだよ!?」

 

「こう言う時って、円陣組んで声出した方がスイッチを入れるのにちょうどいいんだぜ?」

 

 武からの突拍子もない提案に、隼人がすかさずつっかかる。しかし、武は気にしていないし、了平さんは乗り気だしで、明らかに隼人は不利の状況になっていた。

 それでも彼は円陣を組みたくないのか、全力で武の提案を却下しようとしている。

 

「知るかんなもん!!誰がそんなダセーこと・・・・・・うお!?」

 

「いいじゃねーか。少しくらい付き合ってやれ、獄寺。」

 

「リ、リボーンさんまで・・・・・・!?」

 

 しかし、隼人はリボーンから2人に付き合うように言われてしまい、かなりのショックを受けている様子だった。

 そんな中、リボーンがわたしの方へと視線を向けてくる。

 

「おい、ナツ。確かアイツを通して幻術が使えただろ?こっちにナツの有幻覚を出してくれ。」

 

「・・・・・・それ、自分で自分の有幻覚が円陣に紛れ込んでるのを見ろってこと?勘弁してほしいんだけど。」

 

 突拍子もないことを言って来るリボーンに思わず素面の自分に戻ってしまう。

 有幻覚で男性陣に紛れ込む自分自身を見るのはちょっと・・・・・・。

 

「イヤならさっさとベルフェゴールの手を振り払ってこっちに戻ってこい。それで万事解決だろ。」

 

 ・・・・・・と思っていると、リボーンからベルの手を振り払って陣営に戻ってこいと言われた。

 なるほど。わたしにベルから離れるためのきっかけを与えようとしていたのか。

 それはありがたいことだし、できることならばそれに従いたいところだけど・・・・・・。

 

「は?姫をそっちに戻すわけないじゃん。むさっ苦しい輪を作る雑魚連中の中に姫を入れるとか却下。」

 

「円陣をしようと思っているなら、勝手に君達でやっていればいいじゃないか。」

 

「そもそもの話、姫は王子の隣にいるのが当たり前だっつーの。お前らみてーな庶民連中なんかよりこっちにいる方がいいに決まってんじゃん。」

 

 それをベルとマーモンが許してくれるはずもなく、2人して完全にわたしの周りを固めている。

 仮に、ベルの手を振り払うことができたとして、肩にはマーモンが乗ったまま・・・・・・Dさんに追い払ってもらうことはできるかもしれないが、なるべく今は彼のことを伏せておきたい。

 Dさんがわたしの霧の守護者として認識されかねないし、何より一度死んでる人間がわたしの側にいると言う事実をバラすわけにもいかない。

 さてどうするべきか・・・・・・少しだけ考えたわたしは、あることを思いつく。

 わたしが混ざれないのであれば、その代理を立ててしまえばいいと。

 ちょうど、向こうには代理を立てれそうな人間が1人いるのだから。

 

「だったらこうしましょう。」

 

「ん?」

 

 そこまで考えたわたしは、マーモンとは反対の肩に居座っている仔猫の器にINしてるDさんに視線を向ける。

 それが何を意味しているのか直ぐに把握したらしいDさんは、やれやれと言わんばかりに首を左右に振り、彼自身の精神とわたしの精神を一時的に深く繋げてくれた。

 Dさんとの繋がりが深くなったことにより、わたしは彼に半分憑依された状態に陥るが、気にすることなくDさんと同時に自身が持ち合わせている霧属性の力を使用する。

 その瞬間、リボーンの足元から空に舞い上がるように桜の花びらが渦を巻く。

 凄まじいと言える激しい桜吹雪が夜空に消え、リボーンの姿がその場に現れる。

 

「「「「「っ!!!?」」」」」

 

「・・・・・・これは、つまりあれか?オレにお前の代わりをしろってことか?」

 

 しかし、現れたリボーンはアルコバレーノとしてのリボーンではなく、本来の姿をしたリボーンだった。

 そう、わたしはDさんと一緒に幻術を使用して、小さなリボーンの肉体をベースに本来のリボーンの有幻覚を被せたのだ。

 わたしだけではかかり方が薄いが、Dさんの力が合わされば、リボーン自身にも強力な幻術をかけることができるようになり、彼の五感すらも支配して呪解した時と全く同じ感覚を与えることができるようになる。

 Dさんと言う一流の術士がいることにより、可能にすることができた状況。

 ブレスレットを使うことなく呪解した状態になったリボーンは、少しだけ困惑しているようだった。

 

「当たり前じゃないですか。流石に有幻覚とは言え、自分自身がそこに紛れているのを見ると言うのはいささか抵抗がありますから。」

 

「CHAOSだな。ったく、ナツ。お前、アイツ以外にも強力な術士に体を許してやがるな?

 まぁ、誰がお前についているのかなんて安易に予想できるがな。お前が、どう言う縁かとんでもない連中と繋がりを得ているのは気づいているしな。」

 

 そう言ってリボーンはわたしの肩に乗っているDさんの魂が入り込んだ仔猫の器・・・・・・スペードの方へと静かに視線を向ける。

 リボーンから視線を向けられたDさんは、自分が何者であるのか勘付いている様子のリボーンに対して、不敵な笑みを浮かべながら、彼を見つめ返した。

 

「な!?どうなって・・・・・・!?何で君はアイツの本来の姿を知ってるんだ!?」

 

 そんな中、マーモンが混乱したようにリボーンの状況へと言及してきた。

 彼の様子からして、アルコバレーノの状態で出会ったはずの存在の本来の姿を見ることなど不可能だと考えているようである。

 確かに、本来ならばアルコバレーノの元の姿を見ることはできない。なぜなら呪いが解けることがまずないため、知っていることの方がおかしいのだから。

 でも、わたしは知っている。彼が本来は赤ん坊ではなく立派な大人であることを。

 月の光を浴びることができる時、彼は本来の姿に戻ることができる術を手に入れていることを。

 何度もわたしはその姿を見て、安心感を覚えていたのだから。

 

「・・・・・・彼の本来の姿を知っている理由?もちろん、内緒ですよ。ただ、彼がわたしを愛するために、特別な力を手に入れてくれた・・・・・・と言うことだけは言えますかね。」

 

 “その特別な力を手に入れる条件は知りませんけど”・・・・・・と嘘と真実を織り交ぜながらマーモンに教えながら、リボーンの方へと目を向ければ、彼は何度か自分の手を見つめたのち、わたしの方へと視線を向けてきた。

 その視線に、なんとなく彼は何かを思いついたことに気がつく。ボルサリーノで少しだけ見えにくくなっているけど、そんな表情を彼はしていた。

 

「・・・・・・ある意味助かったかもな。これなら、こっちの秘密はバレなさそうだ。」

 

 そう言ってリボーンは自身の腕を後ろに回し、少しだけゴソゴソと何かを始める。

 一瞬だけ見えた彼の腕には、神谷さんが作り上げたあのブレスレットが嵌っており、急いで幻術を被せることで、ブレスレットを見えなくする。

 わたしが幻術を重ねが消したことに気付いたのか、リボーンは口元に小さく笑みを浮かべ、真っ直ぐとわたしの方へと歩いてきた。

 程なくしてわたしの元にたどり着いた彼は、誕生日の時に初代組により行われていたわたしのダンスパートナーの奪い合いのように、空いていたこちらの片手を取り、流れるようにベルの元からわたしを引き離す。

 幻術に紛れ込むようにして、本来の姿に戻ったリボーンの力は強く、さらに言うと、繋がれていた手を簡単に解くことができる技術があるのか、するりとベルの手元から離れることができたわたしは、リボーンにされるがままにくるりと綺麗にターンをさせられ、肩に乗っていたマーモンのことも振り払うことになった。

 

「わ!?」

 

「むぎゃ!?ちょっと!!何をするんだリボーン!!」

 

「・・・・・・は!?姫の手しっかりと捕まえてたはずなんだけど!?」

 

 まさかの事態にベル達と一緒になって声を上げる。しかし、リボーンは気にしていないのか、ターンさせられ、流されるままに腕の中に収まったわたしの肩をしっかりと抱き、ベルとマーモンへと視線を向ける。

 

「CHAOSだな。その程度で捕まえていただと?笑わせるな。たかが恋人繋ぎで繋ぎ止めていただけで捕まえた気になるんじゃねーよ。

 ナツもナツだ。めんどくさいからと手を繋がせたまま待機するな。振り払うことくらいできただろ。」

 

「・・・・・・は〜い・・・。」

 

「随分と間延びした返事だな・・・・・・。まぁいい。ナツが細工してくれたおかげでこっちの姿で動けそうだしな。

 だが、その上着は気に入らねーな。何でベルフェゴールのコートを着てやがる。」

 

「寒いだろうからってベルが貸してくれた。」

 

「・・・・・・まぁ、暗殺部隊の隊服となれば、どんな状況でも動けるように特殊な繊維を使った服になるだろうし、道理にはあってる・・・・・・が。お前はこっち側の女だろ。」

 

 そう言ってリボーンはわたしが着ていたベルの隊服のコートをその場でサクッと脱がし、すかさず自身が着ていたスーツの上着を着せてきた。

 

「ナツを寒さから守ろうとしてくれたことには感謝するが、これは必要ない。返すぞ。」

 

「ぶ!?」

 

 そして、わたしから脱がせたベルのコートをベルの方へと無造作に投げつける。

 咄嗟のことにベルは反応できなかったのか、そのまま顔面にコートを直撃させ、その場で顔を押さえてしゃがみ込んだ。

 どうやら、コートのボタンか何かがクリティカルヒットしたようだ。間違いなく、リボーンはわざとそうなるように投げつけたのだろう。

 

「何でお前の本来の姿を奈月は知ってるんだ!?僕だって呪いが解けていないと言うのに!!まさか呪いを解くための方法を見つけたのか!!?」

 

 痛そう・・・・・・と少しだけ考えていると、マーモンがリボーンに怒鳴るように問いかける。

 自身が呪解した姿・・・・・・それをなぜわたしが知っているのかと。

 

「・・・・・・やっぱりお前はバイパーか。そうだな・・・これをナツが知っている理由をあえて言うとしたら、呪解する方法を探し始めてみたら、思わぬ巡り合わせによりヒントを得たため、何度かこれを見せる機会があったと言うだけの話だ。

 まぁ、これはまだ完全ではないし、オレも現在はモルモットとしてこうしているんだがな。」

 

「モルモット・・・・・・?まさか、誰かが呪いの解き方を見つけたのか!?」

 

「見つけたとは言い難いが、近いものを見つけた知り合いがいたのは事実だな。」

 

「誰が見つけた!?教えろ!!」

 

「これ以上オレが話すと思うのか?CHAOSだな。その答えはノー。今回はナツを寒波から守ってくれた礼として特別にこれだけ話してやったんだ。

 だが、これ以上は対価として釣り合わない。言っとくが、どれだけ金を積まれても話すつもりはない。ナツ。戻るぞ。お前の居場所はこっち側だ。」

 

 そう言ってリボーンはわたしの肩を抱いたまま、さっさと隼人達の元へと戻る。

 ベルから解放され、リボーンに連れ戻されたわたしを見た隼人達は、すぐにわたしの元に駆け寄ってきた。

 

「奈月さん!!お怪我はありませんか!?」

 

「すまん、ナツ!!オレと獄寺がいたのに、ナツを簡単に攫わせちまった!!」

 

「何!?奈月は攫われていたのか!?極限に油断し過ぎだぞお前達!!」

 

「チッ・・・・・・芝生頭に言い返せねー・・・・・・」

 

「面目ないっス・・・・・・。」

 

 了平さんに注意されてしまい、わたし達2年組はその場で肩を落とす。

 うん。今回の了平さんの言葉ら正しくど正論だ。わたし達は全員、油断しすぎていた。

 

「CHAOSだな。お前ら3人、明日はオレの元に来い。少しの油断が命取りになるってことをきっちり学んでもらうぞ。」

 

「「うっす・・・・・・」」

 

「・・・それに関しては構わないけど、あっちもあっちで何かとおかしいんだよなぁ・・・・・・。」

 

「ナツに対しての好感度が妙なことになってやがるしな。」

 

 反省してリボーンからの補習に関して言及しながらも、向こうにも多少なりとも問題あるんだけど、と少しだけ文句垂れると、リボーンは小さく溜め息を吐いたのち、わたしの肩を抱く手を腰辺りまで滑り下ろし、自身の方へと勢いよく抱き寄せてくる。

 同時に片手をわたしの顎の方に添え、そのまま上を向かせてきた。

 

「んっ!?」

 

「「「ぶほっ!?」」」

 

「はあ─────っ!!!?」

 

 リボーンの手により上を向かされたわたしの口は、リボーンの口に塞がれて、そのまま公開処刑ならぬ公開キスをされてしまう。

 隼人達が吹き出し、ベルが吠える中、わたしは急なことに驚いて固まってしまったが、リボーンは特に気にしていないのか、そのまま何度も角度を変え、触れるだけのキスを深いものへと変えてきた。

 わずかな息苦しさを感じ、酸素を求めて唇を開くが、それを待っていたかのように、リボーンの舌が入り込んでくる。

 みんなの前でそれはどうなの!?と抵抗しようとするが、その意識を奪うように施される口付けに容赦なくわたしは脱力させられてしまった。

 

「ケホッ・・・・・・いきなり何すんの・・・・・・!!」

 

「前に言っただろ。浮気するなってな。」

 

「確かに言われましたけど!!」

 

「わかってるならこれ以上オレの恋敵を増やすな。オレが負けるわけないが、獄寺や山本。ヒバリや骸。おまけに他校の学生や女性陣、その上にディーノ・・・・・・ただでさえこれだけ衝突対象がいるってのに、何暗殺部隊にまで好かれてやがるんだ。」

 

「向こうに至っては好きで好かれたわけじゃない!!」

 

 明確な嫉妬を向けられ、暗殺部隊にまで好かれたのは自分の本意ではないことを告げる。

 いや、本当にわたしもベルにここまで好かれるとは思わなかったんだってば!!

 何が琴線に触れたのかいつの間にか好かれてたの!!

 

「まぁいい。ナツには別の補習もつけるとして、今はこれを見届けるとしよう。」

 

「別の補習って何!?嫌な予感しかしないんですけど!?」

 

「そこら辺は後々わかる。今はこっちだ。」

 

 そう言ってリボーンはわたしを隼人達の側に連れて行く。

 目の前で行われていたまさかのキス事件に固まっていた隼人達は、顔を真っ赤にしたまま意識を現実に呼び戻した。

 

「ナツを連れて来た。円陣組むならさっさと組め。向こう側が待ってるしな。」

 

 話しかけて来たリボーンに、隼人達は頷こうとしたが、すぐにハッとしたような様子を見せる。

 

「・・・・・・いや、それよりあなたリボーンさんなんスか!?」

 

「そうだが?これは元々のオレの姿だ。めんどくせーことに巻き込まれたせいで、あんな情けない姿をしていたがな。

 今回はナツがオレに幻術を被せてくれたおかげで本来の姿になることができた。

 ナツはある事情によりオレの元の姿を知ってるからな。高精度の幻術ををかけられたことに関しては、かなり驚かされたが・・・・・・」

 

 最初に口を開いたのは隼人で、わたしの隣にいるリボーンに混乱したように声をかけた。

 リボーンは直ぐに小さいリボーンと今のリボーンが同一の存在であることを教え、自分より背が低くなった隼人達を笑いながら見据えた。

 

「ウッソだろ・・・・・・あの小僧がこうなるって・・・・・・」

 

「極限によくわからんぞ・・・・・・あの赤ん坊と目の前の男が同一人物だと・・・・・・?」

 

 思考が追いついていないのか、3人とも頭に沢山のクエスチョンマークを浮かべる。

 わたしはリボーンの秘密を知っているため、特に混乱することはないけど、やっぱり最初のうちは混乱するようだ。

 

「あそこまで情けない姿になっていたことに関して今は詳しく話すつもりはない。これは、オレ達アルコバレーノの事情だからな。」

 

「いずれこっちもその事情に巻き込まれそうな予感があるけど。」

 

「ん?なら、その時に話せばいいな。今はナツだけがそれを知っていればいい。」

 

 そう言ってリボーンはわたしの額に優しくキスを落とす。

 わざとらしく聞かされたリップ音に、少しだけ顔が熱くなる感覚を覚えていると、すり・・・と指で頬を軽く撫でられた。

 くすぐったいと眼で訴えれば、リボーンは小さく笑い声を漏らし、隼人達に視線を戻す。

 

「で?円陣はやるのか?やらないのか?」

 

「極限にやるに決まっているだろ!!」

 

「やっぱ気合い入れねーとだもんな!」

 

「やらなくていいだろ!!さっさとリングの方に行きやがれ芝生頭!!」

 

「あれ?わたしもやっぱり巻き込まれるの?」

 

「折角だから混ざってやれ。」

 

「だったらリボーンも混ざってよ。リボーンがいてくれた方が安心するし、落ち着くから。」

 

「・・・・・・お前、それは狡いだろ。」

 

 円陣に巻き込まれそうになってることに軽く拗ねながら、わたしを巻き込むならリボーンも巻き込まれろと伝える。

 わたしの言葉を聞いて、リボーンはやれやれと言わんばかりの反応を見せる。

 少しだけ耳が赤いのは、気のせい・・・・・・ではなさそうだ。

 

「おわ!?何しやがる野球バカ!!芝生頭!!」

 

 そんなことを思っていると、隼人が大きな声で怒鳴り声をあげる。

 よく見ると彼は、武と了平さんの2人に両隣を固められ、肩を組まされていた。

 

「オレと笹川センパイなら獄寺を巻き込めると思ってな!」

 

「奈月とリボーン・・・・・・だったな!お前達2人は、オレと山本の間だ!」

 

「じゃあわたしは了平さん側に。」

 

「オレが山本側か。」

 

 一部始終を見ていたわたしとリボーンは、了平さんと武の間に体を滑り込ませる。

 その瞬間、わたしの背中にはリボーンの手が回され、肩には了平さんの手が回される。

 それに倣うようにして、リボーンと了平さんの背中に自分の手を添えれば、軽く体重をかけられ体が傾く。

 

「了平─────ッファイッ」

 

「オー!!」

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

「えっと・・・・・・お〜・・・・・・」

 

「とりあえず鳴き声を上げた仔猫みたいな反応になってるぞナツ。」

 

「うるさい・・・・・・。思ってた以上に恥ずかしかったの・・・・・・」

 

「それには同感だな。」

 

 円陣ってこんなに恥ずかしいのかと思いながら、顔を少し赤くしていると、体を起こしたリボーンに手を差し伸べられた。

 それに応えるように手をそっと重ねれば、彼は軽い力でわたしを引き寄せ、そのまま腕の中に閉じ込めた。

 

「よーし、極限力がみなぎってきたぞ!!」

 

「きょくげんりょく・・・・・・?」

 

「ツッコまなくていいと思うぞ。」

 

 了平さんの謎の造語に首を傾げていると、リボーンが気にしなくていいと言ってきた。

 そっか。ツッコまなくていいのか・・・・・・と軽く納得しながら、彼の腕の中に大人しくおさまっていると、ヴァリアー側から強く視線を感じた。

 視線の持ち主を確かめるためにそちらへと目を向けてみれば、ムスッと拗ねた様子のベルと、妬むような視線をリボーンに向けているマーモンの姿があった。

 視線が痛いと少しだけ考えていると、リボーンが自身の頭に乗せていたボルサリーノをわたしの頭にポスンと被せてきた。

 

「ま、前が見えない・・・・・・」

 

「お前とオレは体格差があるからな。それに比例して頭のデカさも違うし、デカめになるのは当然だと思うぞ。」

 

 視界が黒に塗り潰されてしまい、困惑の声を上げるが、リボーンはわたしに目深に帽子を被せたまま隣に並んでいる。

 まるで、ベル達を見るなと言わんばかりの様子に何度か瞬きを繰り返す。

 嫉妬してるのかな・・・・・・と少しだけ思いながらも、わたしは被せられたボルサリーノのツバを上げ、自身の視界を確保した。

 同時に視界に映り込んだのは、リングの中央へと足を運ぶ了平さんの姿だった。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 自身の幻術に紛れて呪解を行ったリボーンの手によりヴァリアー側から離れることができた貝の女王。
 円陣に混ざるならリボーンも一緒がいいと告げて、彼のこともちゃっかり巻き込んだ。

 リボーン
 奈月の幻術に紛れて呪解するためのブレスレットを使った凄腕ヒットマン。
 本来の力を取り戻しているためか、サラッと流れるようにベル達の元から奈月を奪還して見せる。
 恋敵を次々増やされたので、少しだけイラッとしてしまい、周りに人がいようとも奈月にキスをしてしまう。
 円陣に参加するように促したら、甘えるような目をして上目遣いをして一緒に参加してと要望を口にしてきた奈月に柄にもなく照れてしまった。

 ベルフェゴール
 リボーンが一時的な呪解を行ったことにより、あっさりと奈月を奪還されてしまった暗殺部隊の青年。
 離れたかと思えば、見せつけるように奈月へとキスをしたリボーンにかなりイラッとしたのだが、リボーンに攻撃したところで逆に自身が返り討ちに遭う予測しかできず、苛立ちを発散できない。

 マーモン
 どう言うわけか、呪解することができるようになっていたリボーンに詰め寄った暗殺部隊の術師兼アルコバレーノ。
 しかし、リボーンが呪解方法を教えるはずもなく、恨めしさを込めた眼差しを向ける。

 獄寺、山本、了平
 目の前で片想い相手(了平から見たら後輩)が大人の男性にキスされてかなりびっくりした女王の守護者。
 リボーンなのこの人!?と大混乱した。

 D・スペード
 円陣に巻き込まれた奈月がリボーンも巻き込むように甘えたような眼差しで彼を見上げた姿を見て固まってしまった始まりの霧。
 私にはそのような表情をしてくれませんよねナツキ!?

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