最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 争奪戦の火蓋は切られる。正当なる継承者を決めるために。
 しかし、争いが始まる直前、黄色のアルコバレーノは何かに気づいた。



ヒットマンに芽生えた力

 戦闘フィールドとなっている格闘リングの中央。そこに集められた了平さんとルッスーリアさんは、同じく格闘リングの中に入ったチェルベッロに、手元にある晴の守護者の証を見せる。

 

「間違いありません。」

 

「正真正銘の晴のハーフボンゴレリングと確認しました。」

 

 2人がチェルベッロから何かを手渡される。

 よく見るとそれは、わたしの首にもかけてあるチェーンと似たものだ。

 チェルベッロに手渡されたそれを見て、了平さんが一瞬疑問の表情を見せるが、目の前にいるルッスーリアさんがそれをハーフボンゴレリングに通して首にかける様子を見ては、真似をするようにハーフボンゴレリングをかける。

 

 どうやら、指輪(リング)は原則として首からかけるルールになっているようだ。

 そして、勝敗はどちらかの守護者が相手より指輪(リング)を奪い、一つに合わせることで決まるとのことらしい。

 チェルベッロの話を聞きながら、了平さんは着ていた服をその場で脱ぎ捨てる。

 それにより顕になった了平さんの体を、ルッスーリアさんは少しの間ガン見した。

 

「あらぁ?んまぁ!よく見りゃあなたいい肉体(からだ)してるじゃない!!好みだわぁ〜〜〜♥︎」

 

「なに!?」

 

「え?あいつ、今なんて言いました・・・・・・?」

 

「おい、獄寺。聞き返すんじゃねーよ。ナツの教育に悪いだろうが。」

 

「突然の子供扱い!?」

 

 程なくしてテンションを上げて言葉を口にしたルッスーリアさんの発言に、隼人が理解しようと考えて疑問の言葉を上げるが、同じく話を聞いていたリボーンが呆れたような表情を見せつつわたしの耳を塞ぐ。

 いや、あの、読唇術も使えるからルッスーリアさんが「お持ち帰り決定」って言ってるのわかってんだけど・・・・・・。

 あ、視界の端でDさんとアラウディさんとジョットさんとGさんがわたしにのみ見える姿になってる・・・・・・。ついでに頭を抱えた。

 読唇術を教えるんじゃなかった?いや、教えてもらってわたしは助かってるんだけど・・・・・・。え?教育に悪いものまで読み取らないで欲しかった?

 そっちも急に子供扱い!!?

 

「あーあ・・・・・・あのリョーヘーって奴かわいそ。姫側ドン引きしてんじゃん。」

 

「それは言えてるね。まぁ、彼女の耳はリボーンが塞いでるから発言はあまり聞こえてないと思うけど、自身の部下がよりによってルッスーリアのお眼鏡にかなうとか同情するよ。」

 

「確かに。あの娘には慰めの言葉をかけてやりたいものだ。」

 

「やめとけぇ。てめーが近づいたら、間違いなくあっちの連中・・・・・・特に、沢田奈月の隣にいる奴から痛烈な一撃を喰らわされるだろうからなぁ。」

 

「あれは本来の姿をしたアルコバレーノのリボーンだよ。」

 

「何!?」

 

「どう言うわけか、呪いを解くヒントを見つけたらしくてね・・・・・・くそっ・・・・・・僕だってまだ見つけてないのに、よりによって何でリボーンが・・・・・・!!」

 

 急な初代組からの子供扱いに困惑していると、ヴァリアー陣営が何やら会話をし始めた。

 読唇術を使ったことにより、どのような話をしているか把握できるため、彼らの口元から読み取った言葉に勝手に声をつけながら頭に浮かべる。

 彼らがわたしに同情しているのは目に見えている。つまり、ルッスーリアさんのあの発言は、何らかの趣味による延長線か・・・・・・。

 ・・・・・・うん。とりあえずこれだけは言っておこう。

 

「リボーン。わたしは一応読唇術使えるから耳を抑えても意味ないよ?」

 

「は?」

 

「だから、読唇術が使えるから、耳を抑えられても彼らの言葉を聞くことができるんだよ。

 ルッスーリアさんのお持ち帰りって言葉も理解(わか)ってるし、ベル達がわたしに同情してるのも把握できてるんだけど。」

 

「・・・・・・おい、誰だナツに読唇術なんてもん教えたヤツは。」

 

『『オレだな・・・・・・』』

 

『僕も教えた・・・・・・』

 

『私も教えてしまいましたね・・・・・・』

 

 ジョットさん達が自分達が読唇術を教えてしまったと言うことを口にする。

 その瞬間、リボーンの視線が彼らの方へと向けられた。

 

「・・・・・・お前ら、いつの間にそこにいたんだ?」

 

『『『『!?』』』』

 

『あれ!?オレ様達のこと見えてる!?』

 

『そんなこと、あり得るものなのか?』

 

『ふむ・・・・・・霊感を持ち合わせている者の側に長期間いると、霊感が発現してしまう話がありますし、もしかしたらリボーンは奈月の側にかなりの期間身を置いているため、発現してしまったのやも知れませぬなぁ。』

 

 あれ?と思った瞬間、告げられたいつの間にいたと言う言葉に初代組が驚いたような反応を見せる。

 そんな中、ナックルさんと雨月さんの2人が冷静にリボーンの状況を整理しており、何度か瞬きを繰り返した。

 

『あー・・・・・・もしかしなくとも、見えてんのか?オレらのこと。』

 

「普通に見えてるが・・・・・・」

 

『だよな・・・・・・しっかりオレの姿がお前の目に映ってるもんな・・・・・・』

 

 ・・・・・・どうやら、リボーンが霊感に目覚めてしまったらしい。確かに、霊感がある人間を示すように、リボーンの目にはGさんの姿が映り込んでいた。

 ジョットさん達曰く、自分達の姿を見ることができない存在の瞳に彼らは映らないようなのだが、彼らを見ることができる存在の瞳には、彼ら自身、映り込めるようになるとのことだし、リボーンが彼らを認識できるようになったのは間違いないのだろう。

 

「・・・・・・ナツ。やっぱこのメンバーに色々教え込まれていたな?」

 

「うん。彼らがわたしの師匠(せんせい)達で間違いないよ。」

 

「ったく・・・・・・とんでもない連中を家庭教師にしてやがったな。そりゃあ、オレが教えられることがほとんどなくなるわけだ。」

 

 ようやく自身の出番がほとんどなかったことを把握することができたリボーンが呆れたような声音で言葉を紡ぐ。

 最強と謳われた初代ボンゴレファミリー全員から技術を継承していたのだから、最強のヒットマンの出番もなくなると納得もしているようだ。

 

「それはそれとして、何、ナツに読唇術なんてもん教えてくれてるんだ。おかげで余計なことまで読み取れるようになっちまったじゃねーか。」

 

『『すまない/すまねぇ・・・・・・』』

 

『それに関しては悪かったと思ってるよ。』

 

『ナツキがあまりにも物覚えが良いもので、つい・・・・・・申し訳ありません。』

 

 リボーンの言葉にわたしに読唇術を教えた組が謝罪の言葉をかける。

 わたしは沢山の技術を学べるから嬉しかったんだけど、今回のこれは、あまり読み取れるようになってほしくなかったようだ。

 それは、初代組も同じなのか、かなりスムーズな謝罪をしている印象がある。

 

「リボーンさん・・・・・・?」

 

「えーと・・・・・・何がどうなって・・・・・・?」

 

 初代組のかなり本気の謝罪って割とレアな気がする・・・・・・なんてことを考えていると、隼人と武が混乱したように言葉を紡ぐ。

 それに気づいたリボーンは、一度隼人達に目を向けたあと、小さく溜め息を吐いた。

 

「・・・・・・どうやら、オレもナツと同じもんが見えるようになっちまったらしい。そこに、ナツがよく口にしている秘密の友人兼家庭教師がいるんだよ。」

 

「「!!?」」

 

「まぁ、お前らには見えてないようだがな。」

 

 リボーンの発言に驚く隼人と武。しかし、リボーンはそれ以上何かを言うつもりはないのか黙り込み、格闘リングの方へと視線を向けた。

 そんな中、わたしはすぐ近くにいたアラウディさんに手を引かれ、リボーンの腕の中からアラウディさんの腕の中に収められる。

 まさかの事態に驚き、リボーンがアラウディさんに視線を向けるが、わたしはそのままアラウディさんのコートの中に顔を出す形にされながら収められていた。

 

「・・・・・・何してんだお前?」

 

『ナツキを温めているだけだけど。』

 

「・・・・・・ぬくい。」

 

「・・・・・・はぁ〜〜〜〜〜〜・・・」

 

 アラウディさんの体温にほっこりしていると、すぐ側でリボーンがクソデカ溜め息を吐き出した。

 そんなにわたしが別の男性の腕の中に収まってるのが気に入らないのか・・・・・・。

 

「貴様!!ボクシングへの侮辱は許さんぞ!!」

 

 そんなことを思っていると、格闘リングから了平さんの怒鳴るような声が聞こえて来た。

 驚いて格闘リングの方へと目を向けてみると、そこには少しだけ独特な構えをして了平さんと向き合っているルッスーリアさんの姿があった。

 

「何あれ?」

 

『確か、ムエタイと呼ばれる立ち技の格闘技の構えですね。』

 

「ムエタイ・・・・・・」

 

 そう言えばそんな格闘技あったなと思いながら、格闘リングを見つめていると、リボーンが「やっぱりか・・・・・・」と小さく呟く。

 不思議に思い視線をリボーンに向けてみると、彼はわたしの視線に気づくなり口を開いた。

 

「晴の守護者は高確率で足や拳を使った技術者ばかりで、大体が格闘家に連なる連中なんだ。」

 

『言われてみれば、歴代のボンゴレファミリーの晴の守護者は肉弾戦・・・・・・さらに言うと、格闘経験者がほとんどでしたね。

 晴の守護者と呼ばれる存在はファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、その道筋を明るく照らす日輪となることを使命として持ち合わせていますから。』

 

「・・・・・・・・・。」

 

 リボーンがオレの仕事を取るんじゃねーよと言わんばかりの眼差しをDさんに向ける。

 訴えるような眼差しを向けられたDさんは、そんなリボーンなど特に気にしていないのか、少しだけ考え込むような様子を見せる。

 

『・・・・・・ナツキ。お前は足技を度々使っていますし、何らかのヒントを得ることができるかもしれません。

 時折ルッスーリアの動きを見て、技を盗んでみるのもありかもしれませんね。』

 

「足技を?」

 

『ええ。まぁ、本命はどちらが晴の守護者の後継になるか・・・・・・ですが、この際ハッキリと言っておきますが、まず、笹川了平は無傷では済みません。

 それは、他の守護者にも言えることです。ヴァリアーとこちら側では、あまりにも能力に差があり過ぎる。

 いくら追いつける潜在能力を持ち合わせているとしても、スタートは間違いなくこちら側が遥かに負けた能力値からになります。

 となると、怪我をしてしまうのはもはや決まりきったようなもの。だからこそ、ファミリーを見るのではなく、相手を見るのです。

 確かに、心配になるのはわかりますが、怪我をしない方が無理であると割り切っておくことを優先し、本当に死にそうになった時のみ意識をファミリーに向けなさい。

 最初から心配してファミリーを見つめ続けるのは、ナツキの精神の負担にもなります。』

 

「・・・・・・わかった。」

 

『ヌフフフ・・・・・・やはりお前は誰よりもいい子ですね。特別に私が精神を繋げておいてあげます。そうしておけば、多少なりとも精神的負担は軽くなるでしょうしね。

 六道骸がお前にしていたように、精神の感覚を私のものに繋げておけば、多少なりとも精神疲労の軽減になるはずですから。』

 

 そう言ってDさんは私の方に手を伸ばす。大分体もぬくもっていたので、伸ばされた手に自身の手を重ねれば、そのままアラウディさんの腕の中からわたしは抜け出し、Dさんの腕の中へと移動させられた。

 ポスッと軽い衝撃を受けながらも、Dさんの腕の中に身を置けば、彼は一度指を鳴らして羽織っていた上着を現代にあるようなロングコートへと変え、アラウディさんがしていたようにわたしのことを内側にしまった。

 裏起毛にしてあるのかあったかい・・・・・・何でこんなコートを有幻覚で出せるんだこの人・・・・・・?

 

『私の精神にナツキの精神を深く繋げます。力を抜いて、私の方に意識を向け、精神の糸を伸ばしてください。』

 

 そんなことを思いながら、わたしはDさんに言われた通り、意識を彼に向け、自身の精神の糸を少しだけ伸ばす。

 すると、同時に伸ばされていたらしいDさんの精神がわたしの精神に結びつき、そのまま彼の感覚が共有され始める。

 

 これは、ある意味で憑依の応用だと、わたしは何となく考えた。

 憑依能力を使った場合、基本的に自身が憑依した対象の肉体に生じる痛みなどは感じ取ることがないけど、一方的な憑依ではなく、憑依能力を持ち合わせているもの同士が同時に憑依能力を使用することにより、感覚すらも繋げてしまうと言う、ある種の一心同体になるための方法。

 きっと、わたしが桜奈と言う霧に属する存在の魂を持ち合わせてなかったら使えない、相手を理解するための力。

 もしかしたらわたしは、Dさんや骸に寄り添える存在としてこちらの世界に呼ばれたのかもしれない。

 どちらも辛い過去を持ち合わせているから、少しでも彼らの心が休まるように。

 少しでも彼らが・・・・・・穏やかな時を得られるように。

 

『深く繋げてみましたが、どうですか?お前が持ち合わせている感覚は残っていますか?』

 

「・・・・・・意識はあるけど、わたし自身が感じ取ってる感覚はほとんど無くなってるかな。

 完全に、Dさんが感じ取っている感覚に塗りつぶされている。骸の記憶・・・・・・骸の過去を見ていた時のように。」

 

『それはよかった。これで、お前の精神の負担はかなり軽減されます。長い年月、マフィアの世界を見届けて来た私の感覚は、完全に一般人のものではなくなっていますからね。

 多少の怪我を負う程度では、大した精神的なダメージにはなりません。』

 

 Dさんがわたしの頭を優しく撫でる。同時に繋がりを通してわたしは人を慈しみ、愛しく想う感情を胸に抱いた。

 それが、Dさんがわたしに向けている感情の一片であることはすぐに理解することができた。

 

「どうしたんだ、ナツ?」

 

「ん〜・・・・・・?今、師匠(せんせー)がわたしに精神を深く繋げて来てるから、意識はあるのに自分は何も感じれなくなってるって思っただけ。」

 

「それ大丈夫なのか?」

 

「問題はないよ。ただ、わたしの精神が強めに保護されてるだけだからさ。」

 

 わたしの言葉を聞き、リボーンは何度か瞬きを繰り返す。

 だけど、すぐに小さく溜め息を吐いたのち、Dさんの横に並んでわたしの頭を優しく撫でて来た。

 

「・・・・・・ナツに妙なことをするようなら、問答無用でお前を消すからな。」

 

『ヌフフフ・・・・・・随分と警戒してくるではありませんか、黄色のアルコバレーノ、リボーン。』

 

「ナツが口にした名前に覚えがあったからな。お前が、あのD・スペードだと言うのであれば、警戒するに越したことねーだろ、“裏切りの幻霧”(アストゥート・ネッビア)。」

 

『・・・・・・その呼び方、やめてもらえませんかね?私はボンゴレのためを思って行動をしていたに過ぎないのですから。』

 

「お前にはおあつらえ向きの名前だろ。」

 

 ・・・・・・頭上でバチバチと火花が散っているような錯覚を覚え、わたしは思わず遠い目をしてしまう。

 Dさんの感覚を感じている現状だと、彼がどれだけリボーンに対して苛立っているのかハッキリとわかってしまった。

 しかも、リボーンはリボーンで遠慮なくDさんに殺気を向けている。かなり本気のそれは重苦しさを感じてしまう程だ。

 まぁ、Dさんの感覚を共有されているせいで殺気を向けられているとわかっているけど、しんどさや恐怖は全く感じてないんだけどさ。

 この人殺気に慣れ過ぎでしょ・・・・・・まぁ、何世代にも渡って器を変えながらボンゴレに身を置いていたって話だし、慣れてしまうことには納得しちゃうんだけどね・・・・・・。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 師匠(せんせー)お目付け役(リボーン)に挟まれてしまい、一時的に争奪戦が開始されていることが抜け落ちてしまった貝の女王。
 助けて〜・・・・・・と思っていたけど、しばらく挟まれたままだった。

 リボーン
 とうとう初代組が見えてしまった貝の女王のお目付役なヒットマン(呪解中)。
 推測はしていたが、本当に初代ボンゴレファミリーの中核メンバーに、最愛の女が憑かれているとは思わなかった。
 Dとはバチバチに火花を散らす。お前、絶対ナツに惚れてるだろ“裏切りの幻霧”(アストゥート・ネッビア)

 D・スペード
 とうとう彼女のお目付役と完全にエンカウントしてしまった始まりの霧。
 ボンゴレのためを思っての行動だったため“裏切りの幻霧”(アストゥート・ネッビア)呼びがめちゃくちゃ気に入らない。
 リボーンとバチバチに火花を散らす。呪われた男如きが私のナツキに近づかないでもらえます?

 初代ファミリー
 とうとう貝の女王のお目付役に姿を見られてしまった初代ファミリー。
 自分達が彼の仕事を取ってしまったことは自覚があるので素直に謝った。

 奈月陣営
 突然リボーンが霊感に芽生えてしまったのでびっくりした。
 めちゃくちゃオレ達に見えない何かと言い争ってる・・・・・・(引き)

 ヴァリアー陣営
 アイツ、何と話してんだ・・・・・・?(引き)

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