最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 イタリアから戻ってきた霧の少年に様々な反応を示す中、貝の女王は彼を歓迎する。
 女王に歓迎された霧の少年は、穏やかな笑みを見せながら、再会できたことに喜びを見せるのだった。


 ※ハイパーイチャイチャタイム注意です


終幕、VS.晴の守護者

「偽物の京子であることには気づいていたし、こんな芸当が出かかるのはお前くらいだろうとは思っていたが、よくイタリアから出てきてこれたな、六道骸。」

 

 京ちゃんの姿がなくなり、骸の姿へと変わったことに周りが驚きを見せる中、彼の接触に対してすでに気づいていたリボーンが骸に問いかける。

 確かに、骸はこれまで繰り返してきた犯罪や、わたしを誘拐した容疑に問われ、メテオライトさんの監視下に置かれることになり、イタリアから出ることは許されないと言われていたはずだ。

 わたしとしては、骸が合流してくれたことを喜ばしく思っているのだけど、それとこれとは話が別になる。

 

「ああ、それに関しては安心してください。ちゃんとこちらに出ることに関して許可をいただいていますよ。

 まぁ、そもそもの話、あの幻月のアルコバレーノは形式上監視下に入れると言っていただけであり、僕らのことを監視する気はさらさらなかったようですがね。

 ただ、幻月の預かりが解消されたわけではないので、リングの争奪戦が終わるまでと言う期間限定の保釈のようなものとだけ言っておきます。」

 

「そう・・・・・・ずっとじゃないんだ。」

 

「クフフフ・・・・・・寂しそうですね、奈月?」

 

「しょうがないでしょ。わたしは寂しがり屋なんだから。」

 

「おや素直。」

 

「素直なのは嫌?」

 

「そんなわけないでしょう?むしろもっとべったりして欲しいくらいですよ。」

 

 一体どうやってこっちにきたのか、それを説明しながら骸は両腕を広げる。

 それに気づいたわたしは、すぐにDさんの腕の中から抜け出して、広げられた骸の腕の中へと走り寄った。

 わたしが抱きしめられる範囲に来たのを確認した骸は、すぐにわたしの背中に手を回し、そのまま優しく抱きしめる。

 

「犬と千種は?」

 

「あの2人もこちらに足を運んでますよ。話によると、あの2人は近いうちに奈月と門外顧問の保護下に入ることができるみたいです。

 どうやら、主犯である僕は監視下に置く必要があり、連れである犬と千種は罪状が軽くなってるようですね。

 全く、彼らが心底羨ましいですよ。僕はまだ、奈月とずっといられないようですから。」

 

 骸の腕の中に大人しく収まりながら、犬と千種のことを聞いてみると、彼はわたしに自身が置かれている現状や、犬と千種の現状を話ながら触れるだけのキスを落としてくる。

 抵抗することなくキスを受け入れていると、彼は離れていた時間を埋めるかのようにわたしに触れ、時折思い立ったようにキスを落とすというスキンシップを図り始めた。

 その感触にくすぐったさを覚えながらも、骸を抱きしめている腕に軽く力を込めていると、彼は軽々とわたしの体を抱き上げ、高い位置に来たわたしの唇へとキスをした。

 

 されるがままに過ごしながら、わたしは主犯である骸の危険性に対する懸念がなくなれば、彼もまたこっちにずっと合流できるのだろうかと考える。

 早く骸とまた一緒に過ごしたいんだけどな。犬と千種、それと、新たに加わった凪も巻き込んで、みんなで遊んでみたいのにな。

 

「・・・・・・おい、お前ら。何ナチュラルにイチャついてんだ。」

 

 そんなことを思っていると、苛立った様子のリボーンから話しかけられた。

 骸と一緒に視線を動かしてみると、イライラしている様子のリボーンとDさん、アラウディさん。

 呆れたような眼差しを向けてくるGさんとランポウ君に、顔を赤くして固まる隼人、武、了平さん、凪の4人。

 仲睦まじいと思っているのか、ほっこりしている様子の雨月さんとナックルさんに、苦笑いをこぼすジョットさんと、様々な反応がそこら中にあった。

 ちなみに、1番怖い顔をしているのは父さんである。まぁ、父さんに至っては、リングのカケラを渡した時、すでにわたしにベタベタしている骸を見ていたせいか、彼の姿を見るなりイライラし始めていたような気がするけど。

 

「あ、ごめん。骸達と過ごしていた時、これがデフォルトだったからつい。」

 

「いわゆる向こうで過ごしていた時の名残というか、延長線のようなものです。奈月だって嫌がっていませんし、別に構わないでしょう?」

 

 骸からのスキンシップは一緒に過ごしていた分、自分自身あまりにも慣れてしまった行動だったため気にせず受け入れていたが、そういや本来ならこんなことを人前でするのはおかしかったな・・・・・・と少しだけ反省しながらも、そのまま骸に抱っこされておく。

 こっちの方に合流したからか、Dさんにより邪魔されていた繋がりがいつも通りの強さになっている。Dさんからの保護も助かったけど、やっぱり骸が1番安心する。

 まるで半身が戻ってきたかのようで、何よりも心地良くて落ち着けるから。

 

「クフフフ・・・・・・完全に力を抜いていますね、奈月。こちら側にかかる重量が少しだけ重くなりましたよ?」

 

「重くない方がいい?」

 

「そうですねぇ・・・・・・まだまだ軽過ぎるくらいなので、僕としてはもっと重くなってもらう方がいいのですが・・・・・・。」

 

「どっちの意味で?」

 

「さぁ、どちらの意味でしょう?」

 

 笑い声を漏らしながら、重たくないと言ってくる骸。声音からして、この意味合いは間違いなく両方だな、と考えながらわたしは骸にくっついた。

 久々に嗅いだ骸の匂いは、どことなく花ともお菓子とも言える程に甘くて落ち着く匂いだった。

 

「クフフフ・・・・・・くすぐったいですよ、奈月。」

 

「ごめん。骸の匂い好きだからつい。」

 

「ほう?ちなみにどのような匂いがするのですか?」

 

「花とも砂糖菓子とも取れる甘い匂い。だけど、香水みたいな人工的な匂いとは違って、強過ぎることもなければ弱過ぎることもない、心地良さを感じるいい匂い。」

 

「なるほど。確かに、僕は香水の類を使っていませんし、あるとしたら洗濯用洗剤やボディソープ、シャンプーやコンディショナーといった類の匂いのみのはずですが・・・・・・ボディソープの匂いなどは時間経過で薄れていきますし、毎日のように体を洗っていても、匂いは必ずほのかなものへと落ち着いていきますから、強く香るとしたら、僕が元々持ち合わせている匂いになりそうですね。」

 

 骸の匂いを感じ取りながらさらに脱力する中、わたしが感じ取る匂いの原因を骸は冷静に分析する。

 同時に、脱力して完全に身を委ねている状態のわたしに軽く頬を擦り寄せながら、近くなっていた首元に、彼はキスを一つ落とした。

 

「奈月もいい匂いがしますよね。シャンプーとも違い、コンディショナーとも違う・・・・・・かと言って、今日は、何故か呪いが若干解けている様子のアルコバレーノからもらっていた香水も使っていないようですし・・・・・・僕と同じ類ですかね。」

 

「体臭?」

 

「まぁ、表現するならそれですが、あまり女性が言っていい言葉ではありませんよ。」

 

「ちなみに、わたしはどんな匂い?」

 

「そうですね・・・・・・花のようなふんわりとした柔らかな甘さのあるいい匂いでしょうか。」

 

「わたしも花みたいな匂いしてるんだ。」

 

 骸の返答を聞きながら、わたしらクスクスと小さく笑う。

 やっぱり、骸がきっかけで色々と曝け出すことができるようになったせいか、彼の前ではどうしても沢田奈月を保てなくなるな。

 

「だからイチャイチャすんじゃねぇ!!!!」

 

「おっと。そういえば奈月に過保護なお父様がいらっしゃいましたね。期間限定とは言え、久々にこうして共に過ごせることが嬉しくて忘れていました。」

 

 早く骸も一緒に過ごせるようになればいいのにと思いながら、彼にくっついて過ごしていると、痺れを切らしたらしい父さんが骸を怒鳴りつける。

 しかし、骸はそんな父さんのことを気にしていないようで、脱力して身を委ねるわたしのことを抱っこしたまま、肩をすくめる。

 父さんはと言うと、すぐにでも骸に詰め寄りたいと言う気持ちと、わたしがいるから詰め寄れないと言う気持ちの板挟みになっているのか、ぐぬぬと悔しげな様子を見せていた。

 

「き、京子ではなかったことは極限によかったが、オレが京子と交わした約束を、お前はなぜ知っていたんだ?

 奈月との様子から、お前が奈月の知り合いであることはわかるが、オレは過去のことを奈月に話した記憶はない。

 ゆえに、奈月からお前の方に話が流れていったとは到底思えないのだが・・・・・・。」

 

 葛藤してるなぁ・・・・・・とどこか他人事のように父さんを見つめていると、了平さんが勇気を振り絞るように話かけてきた。

 リボーンや父さんからイチャつくなと言われてしまうくらいにわたしも骸も互いにベタベタしていたわけだが、よくその空気をくぐり抜けて話しかけれたな・・・・・・。

 

「ああ、それに関しては凪に協力してもらったのですよ。凪は遠くにいた僕と話すための手段がありますから、それを通して彼女に奈月周りの情報収集をお願いしていました。」

 

 “正確には凪に憑依して僕が直接聞いたのですがね”・・・・・・と言う実際に使った方法を繋がりにより把握できる思考回路から読み取ったわたしは、骸ならやりそうだと少しだけ苦笑いをこぼす。

 わたしが苦笑いをしたことに気づいた骸は、ウィンクをしながら内緒、のポーズをわたしに見せたあと、静かに口を開く。

 

「幼い頃から、君はどうやら近所の学生連中に目をつけられていたらしいじゃないですか、笹川了平。

 その結果、君に敵意を持ち合わせている者達が京子さんを巻き込むことにより君を呼び出し、1人でやってきた君を集団でリンチにしたようで・・・・・・。その時のものらしいですね。額にある大きな傷は。」

 

「ああ。そのせいで京子は、自分のせいでオレが重傷を負ってしまったと負い目を感じてしまっている。同時に、オレの怪我に敏感になってしまった。

 だが、まだまだオレは子供で、長い年月を生きる中、どうしてもケンカしなくてはならない時もある。

 だからこそオレは、京子と約束したんだ。もし、再びケンカをしなくてはならないような時があったら、二度と負けたりはしないと。」

 

「そちらの兄妹愛に関しては正直言ってどうでも良いのですが、そのような約束をしていながらもこれ程までに大きな怪我を負ってしまっては、奈月と君の妹さんに多大な心労をかけ続けてしまいますよ。」

 

「む!?う、うむ・・・・・・それに関しては否定できんな・・・・・・。」

 

「そう思っているのであれば、これからも力をつけるために誰かに教えを乞うてみてはどうでしょう?

 今は青のアルコバレーノであるコロネロから教えを得ているようですが、あのアルコバレーノはこの争奪戦の期間が終われば再び持ち場に戻るでしょうし、そこの、なぜか呪いが一時的に解けている黄色のアルコバレーノからも指導してもらうのもありかと思いますよ。

 ご自身の妹さんのためにも、そして、僕の奈月の精神衛生を守るためにもね。」

 

「サラッとわたしを自分のものだと言い張るんじゃない。」

 

「今はまだ違うというだけです。いずれはあなたのことをもらうつもりなので、この発言は間違いではありませんよ。」

 

「相変わらずだなぁ・・・・・・」

 

「ですが、嫌ではないでしょう?僕と奈月は片割れ同士なのですから。半身が一つになる・・・・・・ただ、それだけの話ですよ。」

 

 当たり前のようにわたしのことを自分のものだと主張する骸に呆れながらも、求められていることに対する悦びを抱く。

 骸も同じこと思ってるんだ。わたしは骸の半身であり、骸はわたしの半身である・・・・・・って。

 まぁ、実際、わたしの中には骸の精神のカケラが住み着いている上、互いの精神が混ざり合ってしまってるから間違いじゃないんだけど。

 

「そういえば、わたしの精神には骸の精神のカケラが住み着いているわけだけど、骸の精神にわたしの精神を示すものってあるの?」

 

「そうですね・・・・・・では、この争奪戦が落ち着き次第、精神世界で集まりましょうか。

 しばらくは連続で精神的によろしくない争いが行われてしまうようですから、精神世界で集まるのは控えて、ゆっくり休んだ方が良いでしょうし、ね?

 僕の精神世界に奈月を示すものがあるのか知りたいと言うのであれば、その時は僕の精神世界にあなたを導きましょう。」

 

「うん。わかった。」

 

 互いの発言に笑い声を漏らしながら話し合う。先程までの緊張状態が嘘のように霧散して、わたしの心境はとても穏やかなものになっていた。

 

「オレ達はいつまでこれを見せつけられていればいいんだ?」

 

「っ〜〜〜〜!!いい加減にしろ───!!」

 

 周りのことを気にせず骸とくっついていると、とうとう父さんが怒鳴り声を上げてきた。

 しかし、わたしと骸はそんな父さんには一時的に視線を向けるだけに終わらせ、互いの温もりを満喫するように抱き合った。

 色々とツッコミどころが満載なのはわかるけど、しばらく離れていた分、かなり寂しかったのだから、少しくらい多めに見てほしい。

 

「・・・・・・とりあえず、これは奈月に渡しておくぞ?」

 

 そんなことを思っていると、了平さんがわたしの方に完成された晴の守護者の指輪を手渡してきた。

 話しかけてきた了平さんに対して、骸がかなり不満そうな表情を見せたが、わたしは自身が持ち合わせていた手提げ袋の中にあるリングを収めるためのリングボックスを取り出し、蓋を開けて了平さんの前に差し出す。

 わたしがリングボックスを差し出したのを見た了平さんは、手にしていた晴のリングをリングボックスに収めた。

 

「まずは一勝・・・・・・だけど、明日の勝負に関しては、棄権を視野に入れた方がいいかな・・・・・・。」

 

「そうですね・・・・・・。確か、奈月の雷の守護者はランボ君でしたね。元はボヴィーノファミリーの子供だと聞いていますが・・・・・・。」

 

 骸の言葉に素直に頷いたわたしは、荷物の中に入れていた携帯電話を取り出し、あるメールを開く。

 それは、ボヴィーノファミリーのボスから送られてきたメール。ランボを自分の守護者として引き取りたいことを話した時に届いたものである。

 

「これ見たらわかるよ。」

 

「ん?・・・・・・おやおや・・・・・・これはまた・・・・・・随分な熱量のメールが届いたようですね・・・・・・。」

 

 骸の方に見せたメールはかなりの長文が記されたものだ。

 内容を要約すると、ランボのことをよろしくお願いします。我々の力はボンゴレに比べたらとても小さなものかもしれませんが、我々が持ち合わせている力を尽くし、支えさせてもらいますと言ったものである。

 ちなみに、添付された画像があるのだが、その画像はわたしがランボに色々教えながら書けるようになった手紙で、イタリアの方にランボからの手紙がたくさん届いていると言う報告だった。

 

「・・・・・・ところで奈月。ちらっと画像の端に見えるのは明らかにマフィアの傘下に入るのに必要な書類なのですが、もしや、ボヴィーノファミリーまで引っ掛けました?」

 

「・・・・・・考えないようにしていたんだから言わないでくれると助かるかな。」

 

「・・・・・・CHAOSだな。ボヴィーノの連中までナツの傘下入り希望か。」

 

「ボンゴレの傘下増えまくってんなー・・・・・・」

 

 3人から告げられた言葉に溜め息を吐く。そうだよ、その通りだよ。ランボに関して定期的に報告していたらいつのまにかボヴィーノファミリーまで傘下入りしようとし始めたんだよ!!

 わたしはただランボが将来的に困らないように色々教えていただけなんですけど!?

 

「ちなみに、他のマフィア連合からもわたしがボスになったら傘下に入るとか吸収申請を出すと言われていたりもする。

 一応、争奪戦の話をしたけど、総意で自分達がつくのはわたしが継いだボンゴレのみとのことらしく、ヴァリアー側が勝利した場合はシェルディアも解散するし、ボンゴレの傘下にも入らないってさ。」

 

「奈月が継いだボンゴレだからこそ意味がある・・・・・・と言うことですかね。」

 

「多分ね。喜んでいいのか悪いのか・・・・・・。」

 

 やれやれと深い溜息を吐きながら、わたしは手にしていた携帯電話を収め、別の携帯電話を取り出す。

 新しい携帯電話が出て来たことに隼人達が驚いていたがわたしは気にせず1人の連絡先を開き、通話ボタンを押した。

 

「・・・・・・あ、このような時間帯に連絡してしまい申し訳ありません。・・・・・・ええ。とうとう争奪戦が始まりました。予測はしていましたが、やはりかなり急ぎ足のようですね。

 一体何が争奪戦を突き動かしているのかわかりませんが、先手を打っておいて正解だったと安堵しているところです。

 ・・・・・・ああ、連絡した理由ですが、やはりと言うか、わたしの守護者にヴァリアーの壁はなかなか厳しく、かなりの大怪我を負ってしまった状態になりました。

 そこで、そちらの力をお借りしたく連絡を・・・・・・ああ、はい。死ぬ気の炎には様々な効果が含まれているので、中には回復に使えるものもありますし、それを使いたいと思っています。

 ひとまず、わたしから知り合いである神谷幸弥・・・・・・ええ、マフィア事情に一等詳しい彼にも協力を要請して、特殊なアイテムを持っていきます。

 彼は不思議と、死ぬ気の炎に含まれた力や、それを増幅させる技術を持ち合わせているようなので。

 ・・・・・・はい。わかりました。お待ちしております。」

 

 骸に抱っこされたまま、繋がった電話で話したわたしは、失礼しますと一言告げて、通話を終了する。

 続けてわたしは、別の携帯電話を荷物から取り出し、そこに登録してある連絡先に通話を繋げようとする。

 

「どうも、沢田さん!」

 

「「・・・・・・神谷さん。」」

 

「おや、六道さんも一緒でしたか!まぁ、メテオライトから“保護対象と監視対象をそっちに行かせたからよろしく”、と言われていましたし、わかっていたことではありますがね。」

 

「・・・・・・お前、マジで神出鬼没だな。」

 

「まぁ、それが自分の特性のようなものですからね。今回は、自分自身も先回りして情報を把握していたというのもありますが。」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 しかし、わたしが連絡を繋げる前に、向こうの方からいつのまにかやってきており、神谷幸弥という存在を把握しているわたしと骸、そして、リボーン以外が驚いた様子を見せる。

 対する把握している組は、相変わらずいつのまにか来るなこいつ・・・・・・と言わんばかりの感情を表情に浮かべており、対極する反応を見せるわたし達を見て、彼は楽しげに笑って見せた。

 

「いやはや・・・それにしても災難でしたねぇ・・・。まさか、こんな争いが発生するとは・・・・・・。

 まぁ、兆候はありましたし、自分自身、把握している限り、この手の事件が発生する確率はどこの世界でもそこそこ高かったし、こちらの世界線はその確率がレッドゾーンに入るレベルまで高まっていたので、それが発生するだろうなとは思っておりました。

 まぁ、ですが、この世界では沢田さんの先手もありますし、ある程度は被害が軽微化しそうですけどね。」

 

「「「「「?????」」」」」

 

 神谷さんの話に理解が追いついていないのか、隼人と武と了平さんと凪、それと父さんの5人が疑問符を頭上に浮かべる。

 わたしはと言うと、彼が口にしている内容は、いわゆるパラレルワールドに関係している話ではないかと思っているため、頭がこんがらがるようなことはなかった。

 まぁ、向こうではそれが題材にされている小説とかゲームがあったから、理解していると言うだけだけど。

 骸はわたしの記憶をある程度把握していることもあり、それなりに理解はできているようだ。

 リボーンは・・・・・・あ、表情からして明らかに答えは出せているな。まぁ、リボーンって頭もいいらしいし、確率として上げる辺りまでは普通に行っていたんだろうな。

 今回はそれに確信を抱いた。神谷さんが様々な情報を把握している理由にやっと答えを見出した感じだろう。

 

「さてさて、お初にお目にかかる方も何人かいらっしゃいますね。どうも、初めまして!自分は神谷幸弥と申します!

 こう見えて宝石商のトップや、ホテルの経営者など、様々な仕事をしている者です!

 一応、情報屋に近いこともしていますが、所詮は副業ですし、割愛いたしますね!」

 

「割愛されてたまるかその内容!!」

 

 サラッと情報屋のような仕事はメインではないから割愛すると言ってきた神谷さんに、父さんが勢いよくツッコミを入れる。

 神谷さんの性質を知っているわたしと骸とリボーンはこう言う奴だからなこいつ・・・・・・と言った心境のため、もはや慣れてしまっているが、知らないうちにわたしと知り合っていた男性だったこともあり、父さんは完全にツッコミに回っている。

 隼人と武と了平さんと凪はよくわからない状況のせいか混乱したように固まっており、言葉を発することができていない。

 

「さて、沢田さん・・・・・・だと2人になっちゃうな。」

 

「あ、だったらわたしは奈月で構いませんよ。」

 

「奈月が下の名呼びになるのであれば、僕もそちらの方でお願いします。」

 

「おや?よろしいので?それならば遠慮なく!さて、奈月さん。先程自分に連絡しようとしていましたよね?内容は把握できていますので、ちゃんと用意しておきましたよ!

 そろそろお迎えの方も来ると思いますし、敷地の外に出た方がよろしいかと!」

 

「わかりました。骸、そろそろ降ろして。」

 

「え・・・・・・僕はまだ奈月成分が足りないので離したくないのですが・・・・・・」

 

「わたしの成分って何。」

 

 わたしの発言に、しょぼんと捨てられた仔犬のような反応を見せる骸に思わずツッコミを入れる。

 確かにわたしもまだ骸の温もりが足りないけど、今は最優先でやらないといけないことがあるし、そろそろ切り替えないとなんだけどな。

 

「これからやらないといけないことがあるし、離してほしいかな。」

 

「奈月だって僕が足りないくせに、離れるのですか?」

 

「それは否定しないけど、頭の切り替えも大事だし・・・・・・」

 

「嫌です。奈月を離したくありません。」

 

「駄々っ子か。」

 

 ぎゅーっと強く抱きしめてくる骸にどうしたものかと考えながら、辺りを見渡す。

 すると、呆れたような様子を見せているリボーンと目が合った。とりあえずリボーンにヘルプを出すように視線を向けていると、彼はそれに気がついたようで、すぐにこっちに歩み寄っては、抱っこされているわたしの腰に片腕を回し、骸の手を掴み、わたしの体を抱きしめているそれを割と強引に緩める。

 同時にリボーンはわたしの腰に回していた片腕に力を加え、軽々と持ち上げて骸の腕の中から取り上げたのち、足の裏に手を添えて横抱きにしてきた。

 まさかの事態に一瞬だけ骸が固まる。しかし、すぐに状況を把握したようで、ワナワナと軽く怒りに体を震わせた。

 

「はぁ!?アルコバレーノ!!何僕から奈月を掻っ攫ってるのですか!!返しなさい!!」

 

「うるせーな。さっきまではナツが嫌がってなかったから強く言わずにいてやったが、今のナツはお断りしてるだろーが。

 男なら基本的に女の意思を優先に行動して女を立てるため我慢することくらいしやがれ。それが大人の男って奴だろ。」

 

 あっさりとわたしがリボーンに奪還されたことがムカついたらしい骸が、リボーンに思い切り突っかかる。

 対するリボーンはそんな骸をしれっと無視したまま、抱き上げていたわたしを地面にそっと降ろして肩を抱いた。

 

「こうしときゃ骸から抱きつかれたりもしねーだろ。ったく、ナツ。お前にとって骸と久々に会えたことがかなり嬉しいことはわかるが、あまりオレの前で別の野郎とイチャつくな。」

 

「嫉妬?」

 

「だったら悪いか。」

 

「悪くはないけど、ちょっとわたしのこと好き過ぎじゃない?」

 

「CHAOSだな。オレの感情が好きだけの範疇に収まると思ってんのか?答えはNOだ。何度も言ってるだろ。オレはお前の全部を愛してるんだとな。」

 

「おいこらリボーン!!何どさくさに紛れてナツを口説いてやがるんだ!?オレは許さねーからな!?年の差考えろ!!つか、なんでお前、赤ん坊の姿じゃなくて本来の姿に戻ってやがるんだ!?ナツから離れやがれ!!」

 

「今更のツッコミかよ。」

 

「カオスだね。」

 

「CHAOSだな。」

 

「相変わらず無駄に発音が良いな・・・・・・。」

 

「ナツも言ってみろ。」

 

「え〜・・・・・・えっと、CHAOS?」

 

「いい発音だ。」

 

 どこか楽しげな様子で笑っているリボーンの切れ長の目には、愛おしい存在を見る時の甘さと優しさが揺らめく。

 普段はどこか冷たい雰囲気を持ち合わせているはずの目だけど、今のリボーンの目からは、穏やかな温もりしか感じ取ることができず、その目を見ることができるのは、わたしだけの特権になりつつあるのかと思うと少しだけ不思議な気持ちになってしまう。

 

「・・・・・・おい、見つめ過ぎじゃねーか?」

 

 そんなことを考えていると、リボーンが少しだけ照れたような表情を見せながら声をかけてきた。

 「うげ・・・・・・あれがリボーンとかマジかよ・・・・・・」と父さんがどことなく引いたような声を漏らす。

 父さんとリボーンは付き合いが長いはずだけど、そんな父さんが引いたような反応を見せるって、リボーンってこれまでこんな表情したことないのかな・・・・・・。

 

「だって、リボーンがそんな反応してくるのがわたしだけだと思うと、なんだかちょっとくすぐったいけど嬉しくて。

 不思議な気持ちになると言うか、これが優越感なのかな?」

 

 小さく笑い声を漏らしながら思ったことを伝えると、リボーンが一瞬だけ目を丸くする。

 しかし、すぐに深い溜め息を一つ吐いたあと、わたしの唇を自身の服の袖で拭う。

 そして、そのまま顎を掴んで上を向かせてきたかと思ったら、そのまま唇を重ねてきた。

 

「ん!?」

 

「「はぁあぁあああああ!!?」」

 

「な、奈月は極限にモテモテだな・・・・・・・・・!」

 

「「「っ〜〜〜〜〜・・・・・・!!」」」

 

 まさかのリボーンからのキスに驚いて固まると同時に、父さんと骸に叫び声と、恥ずかしそうな了平さんの声が聞こえてくる。

 それにより止まってしまった思考は動き出し、わたしはそのまま顔を赤くしてしまった。

 

「な・・・・・・なな・・・・・・な、なんでリボーンまでキスしてくんの!?」

 

「そうだな。随分と嬉しげに優越感に浸っていたナツが愛らしかったのが7割。骸に対する嫉妬が3割ってところだな。

 言っただろ?こっちの状態でいる時は遠慮なんてしねーぞってな。あまり妬かせないでくれ。止まらなくなる。」

 

「っ〜〜〜〜!!バカ!!リボーンのバカ!!すけべ!!」

 

「男はみんな割とすけべだろ。」

 

「うるさいバ〜〜〜カ!!」

 

「ナツの鳴き声はいつからバカになったんだ?」

 

「楽しそうにするなサディスト!!!!」

 

 湯気が出そうなくらいに顔が赤くなってることを自覚しながらリボーンから離れて敷地の外に走れば、背後からリボーンの笑い声が聴こえてきた。

 いつもの喉を鳴らすような笑い声ではない。完全に声を出して笑っているようだった。

 「人が照れてる姿を見て笑うなサディスト!!ドS家庭教師!!」と怒鳴りつけるように吠えるが、リボーンは気にしていないのか、吠えるわたしの姿に楽しげな笑みを浮かべたままだった。

 だけど、遠巻きに見える彼の瞳には楽しげな色と、それに混ざるように愛しさが揺らめいているのがわかってしまった。

 そのことに恥ずかしくなりながら、わたしはさっさと正門の方へと歩いていく。

 

「こんの!!娘は誰にもやら─────ん!!」

 

「僕だって奈月にあんな反応をしてもらったことないのに!!何羨ましいことしてるのですかアルコバレーノ!!」

 

「・・・・・・隙しかねーなお前ら。」

 

「「あだ!!?」」

 

「ん?」

 

 しかし、背後からやけに大きな音が聞こえてきたため、思わず足を止めて振り向いてしまった。

 そこには綺麗に地面に顔面ダイブをかましてる骸と父さんの姿があり、リボーンはズボンのポケットに手を突っ込んで足を止め、呆れたような表情を2人に向けていた。

 

「ええ・・・・・・?」

 

「奈月さんが離れてからリボーンさんは手持ち無沙汰になったのかポケットに手を突っ込んでいたのですが、どうやらそのまま襲撃してきた骸さんと家光さんをすっ転ばしたようですね。」

 

「うわ!?びっくりした!?」

 

「フフフ・・・・・・!!驚き過ぎですよー、奈月さん?まぁ、あれだけ幼子のような可愛らしい罵倒をしてましたしね。それだけ照れてしまった感じでしょうかね?」

 

「・・・・・・うるさいです。」

 

「すみません。」

 

 あまりの事態に混乱していたら、いつのまにか近くにいた神谷さんから少しだけ揶揄われる。

 そのことに軽くムスッとしていると、神谷さんは小さく笑い声を漏らす。

 

「・・・・・・この世界では、奈月ちゃんのことも、桜奈ちゃんのことも愛してくれる人が沢山いる。

 それをしっかり学びながら、今の世界と、今の人生をどうか走り抜けていってほしい。

 まぁ、平穏が訪れるまではまだまだ長い時間がかかると思うけど、安心してよ。

 君の未来。君の大切な存在の未来。そして、海に沈んでしまった桜の花が明るい光に照らされ、美しく咲き誇ることができる程の満開の幸せを君が掴み取るまで、僕はずっと君の味方でいるからさ。」

 

「・・・・・・ありがとうございます、神谷さん。」

 

 だけど、どことなく父親が娘を見るような、兄が妹を見るような、穏やかな親愛が含まれた眼差しでわたしを見据え、穏やかで、とても優しい声音で想いを伝えてくる神谷さんの姿に、マイナスな感情振り払われた。

 わたしが小さくお礼を口にしたことを確認した神谷さんは、ふわりと柔らかな笑みを浮かべながらわたしの頭を優しく撫でた。

 その手つきはどこか、小鳥遊桜奈として最期を迎えた時に感じた不思議温もりを彷彿とさせるようで、わたしは何度か瞬きを繰り返す。

 

 ─────・・・・・・ごめんな。オレ達はずっと、お前を見つめることしかできなかった。お前の悲しみを知っていながら、何もすることができなかった。

 

 ─────・・・・・・結局、最期の最期で手を貸してあげることになってしまったね。かなりの遅刻になってしまったよ。

 

 ─────・・・・・・これまでよく頑張ってきたな。もう、悲しみに暮れる必要はない。

 

 ─────・・・・・・今度こそは・・・・・・ええ。今度こそは幸せになってください。我々は皆、そのためならばどんなこともいたします。今度こそは追い詰められてしまうその前に。

 

 ─────・・・・・・オレ達の世界に来い。今度こそ、お前が笑顔で終わることができる最高の人生を送らせてやる。

 

 ─────・・・・・・安心して。向こうの世界には、君の幸せを願い、君を愛してくれる人が沢山いるから。もちろん、その沢山の人の中には、僕達も含まれてる。

 

 ─────・・・・・・さぁ、新しい世界に行こう。そこでなら、オレ達もみんな、君の力になることができるから。

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 不意に、桜奈としての終わりを迎えた時、わずかに見た景色を思い出す。

 水面に揺れ、遠くで輝いていた、水中すらも照らす程に眩しい満月が見える蒼の世界で、静かに揺蕩っていた時に見た、伸ばされていた四つの柱。

 今思えば、あの時見た柱は、どこか人の手のようで、その時に聞いたくぐもった声は、どこか・・・・・・。

 

「ねぇ、神谷さん。」

 

「ん?」

 

「わたし達が初めて会ったのは・・・・・・本当に水月輝石商店だったのでしょうか・・・・・・?」

 

「!」

 

 頭上に浮かんだ疑問を静かに口にする。すると、神谷さんから驚いたような気配を感じ取った。

 だけど、すぐにその気配は霧散してしまい、そこには神谷さんの笑い声が広がる。

 

「あははは!もちろんですよ!自分達の初対面は輝石商店で間違いありませんよ?」

 

 “変わったことをいいますね、奈月さんは!”と明るい声音で言われてしまい、わたしはそのまま黙り込む。

 気のせい・・・・・・だとは思えないのだけど・・・・・・。

 

「ん〜・・・・・・もしや、慣れない緊張状態が続いてしまい、頭がこんがらがってしまったのでしょうか?そう言う時は、ハーブティーを飲んでゆっくり休むことがオススメですよ!

 自分もよく疲れた時にやるんですが、これがなかなか効くんですよ!ちなみに、自分がオススメするハーブティーはカモミールティーです!ハチミツとミルクを入れたら最高に美味しくて!

 あ、ただし、飲むのは寝る前の1時間前がいいですよ。あったかいハーブティーは確かに疲労回復にはもってこいですが、飲んですぐに寝るのはオススメしませんがね。」

 

 そんなことを考えていると、神谷さんがいつもの商人としての神谷さんに戻ってしまい、わたしはこれ以上疑問を口にすることができなくなった。

 せめてもの訴えとして視線を向けるが、神谷さんは小さく笑い返してくるだけで、答えを口にしようとはしない。

 これ以上聞いても無駄かと諦めて、わたしは静かに正門の方へと足を運ぶ。

 迎えの車が到着したのは、それとほぼ同時だった。

 

 

 

 




 沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
 寂しがり屋で甘えたがり屋の本来の性格が本領を発揮したことにより骸とハイパーイチャイチャタイムを繰り広げていた貝の女王。
 そのあとリボーンからもキスをされるわ、揶揄われるわで恥ずかしい思いをしてしまった。
 神谷に対し、何やら引っ掛かりを覚えている。

 六道 骸
 期間限定の仮釈放をされてきた女王の霧の守護者であり半身たる青年。
 久々に最愛の女性と再会したので、ハイパーイチャイチャタイムをかましていたが、最終的にリボーンに邪魔された。

 リボーン
 合流したかと思ったら、平然とイチャイチャし始めたのでかなりイラッとしていたヒットマン。
 隙あらば普通に奈月を口説きまくるし、サディスト感が増す。
 こっちの姿なら本気でオトしにかかると言う言葉を、家光がいようとも実行するし、骸同様、人前で奈月にキスをすることも躊躇わない。

 沢田 家光
 愛娘に迫る2人の男を目の当たりにしてめちゃくちゃキレていた門外顧問。
 娘はやらん!!とリボーンに攻撃を仕掛けたが、奈月が離れたことにより手持ち無沙汰になっていたポケットに手を突っ込んだままのリボーンに軽々と顔面からすっ転がされた。

 獄寺、山本、了平、凪
 ハイパーイチャイチャタイム、および2人の男による女王争奪戦を見て赤面硬直をしてしまった。

 神谷 幸弥
 自身は表立って情報屋と名乗らないが、時には情報屋の真似事をして過ごしている青年。
 指輪の争奪戦が発生することも、奈月が特定の要件で自身に協力を要請することも把握していた。
 奈月から探るような眼差しを向けられたが、すぐに気のせいだと笑い、はぐらかした。

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