最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
少しでも力を身につけて、自身のファミリーを守るために。
携帯でかけていたアラームが鳴り響き、わたしの意識は浮上する。
静かに瞼を開けてみれば、有幻覚による呪解維持状態が切れて、いつものアルコバレーノの姿になってるリボーンが腕の中にいた。
「・・・・・・リボーン。朝だよ。起きて。」
「ん・・・・・・ああ、やっぱ朝になったらサービスタイムは終わりになるか。残念だな。」
「仕方ないよ。リボーンの呪いは解けたわけじゃないんだからさ。」
「まぁ、それはわかってるんだがな。やっぱりどうしても気落ちする。」
「リボーンも気落ちするんだね。」
「当たり前だろ。オレをなんだと思ってんだ。」
少しだけ拗ねたような様子を見せるリボーンに、わたしは小さく笑い声を漏らす。
すると、リボーンはそれが気に食わなかったようで、ぺちっと軽くデコピンを喰らわしてきた。
「あいた!?」
「オレのことを笑うとは、いい度胸してるじゃねーか、桜奈。お前、夜になったら覚えとけよ。絶対に仕返ししてやるからな。」
「ええ・・・・・・?リボーンの仕返しとかひたすら恐怖しかないんだけど。」
仕返ししてやると恨めがましいと言わんばかりの眼差しを向けてくるリボーンに、軽く恐怖心を抱きながらも、わたしはベッドから起き上がる。
リボーンもすぐにベッドから降りては、いつも通りにスーツとボルサリーノを身につけ始めた。
「今日は獄寺とベルフェゴールの衝突か・・・・・・シャマルのやつ、ちゃんと獄寺に力を身につけさせてんだろうな・・・・・・」
「そこら辺は心配してない・・・・・・と言いたいところだけど、どっちも特定の人物や条件を持ち合わせてる存在以外には素直じゃないし、シャマル先生は隼人に自身が持ち合わせてる答えとか教えなさそうだからね。
自分で答えを見つけた方が力は身につけやすいことは知ってるけど、不安要素はやっぱりなくならないかな・・・・・・。」
「だな。だが、オレが獄寺の家庭教師をするわけにもいかねーからな。桜奈のこともあるしな。」
「リボーンはわたしの方につくんだ?ジョットさん達がいるから多少離れていても大丈夫なんだけど。」
「・・・・・・お前な。オレは元々桜奈の家庭教師として送り込まれたんだぞ。確かに桜奈のファミリーに抜擢した他の連中は鍛え甲斐があるとは思ってるが、優先することは全体的に桜奈の方に回される。
オレ自身も、これ以上家庭教師としてのお株をプリーモファミリーに奪われるわけにもいかねーしな。今回ばかりは桜奈を優先させてもらうぞ。」
「めっちゃ気にしてた。」
「気にしねー方が無理だぞ。」
溜め息を吐きながら呆れたように言葉を紡ぐリボーン。
そのことに少しだけ笑いそうになりながらも、わたしは屋敷の方に持ち込んでいた私服に手を伸ばす。
「おい。いくらオレが赤ん坊のなりしてるからと言って、こちとら成人してる男なんだぞ。部屋から出ていくから着替えるのはもう少し待て。」
「・・・・・・しょっちゅう一緒に風呂入ってた人がなんか言ってる。」
「あれは奈々がこっちを完全に赤ん坊として認識してるから仕方なくだ。基本、奈々は桜奈を頼る傾向があるからな。
前に比べたら、他のメンバーにもお願いするようになってきたが、大体は桜奈に声をかける。
まぁ、家族と居候だと、家族の方が声をかけやすいのは納得いくがな。」
「でも、最近は母さんの方もよく自分から動いてるけどね。」
「そりゃそうだろ。桜奈は物事を引き受け過ぎるし、その悪癖のせいでキャパオーバーを引き起こすことが度々ある。
奈々も桜奈の家出騒動から変わってきたからな。いつまでも桜奈の時間を奪い続けるのは良くないって頑張ってるようだぞ。」
「まぁ、それは見ていたらわかるよ。ただ、頑張り過ぎたりしたら母さんが倒れちゃいそうだし、あまり頑張り過ぎて欲しくないんだけど。」
「・・・・・・桜奈。お前、ブーメランが背後から勢いよく頭目掛けてぶっ飛んでくるような発言してること理解してるか?」
若干引き気味にツッコミを入れてきたリボーンに、わたしは思わず無言になる。
・・・・・・言われてみれば確かに、今の発言はまるっきりわたしに返ってきてもおかしくない言葉だったな。
「・・・・・・どうも引き受け癖が治らなくてね。もう、頑張り過ぎなくていいってことも、周りを頼ればいいってこともわかってるんだけど。」
「はぁ・・・・・・ったく・・・・・・桜奈は手間がかからねー教え子だと前までは思っていたが、そんな考えを持っていた過去のオレをぶん殴りたい気分だな。
別の意味で手がかかる女だよ、お前は。しかも、こじれにごしれまくってるせいで、その難易度はハードどころじゃねーぞ。」
やれやれと首を左右に振りながら、リボーンはわたしの寝室から外に出ていく。
それを見送ったわたしは、しばらく寝室から私室に移動するために出てくる扉を見つめたのち、寝巻きから私服へと着替える。
「着替え終わったな。そんじゃ、さっさとプリーモ達のところに行くか。
そうすれば、桜奈の訓練に参加することができるから、桜奈も力を身につけやすくなるだろ。」
私室の方に足を運べば、リボーンがわたしの肩に飛び乗ってきた。
いつものことなため、気にすることなくリボーンを乗せたまま、わたしは私室を後にする。
・・・・・・頑張り過ぎるなと言う割には、リボーンもわたしの訓練に参加するのか・・・・・・と少しだけ思ってしまったが、まぁ、リボーンの能力は学べるところがかなりあるし、色んな力をつけることができるからありがたいことに変わりはない。
「まぁ、今回ばかりはちと下心もあるがな。」
「下心?」
「ああ。有幻覚を利用することで、自身の体を本来の状態に一時的とはいえ戻せるからな。
夜だけに使える呪解は、呪いの力を抑え込み、自身の肉体を戻すことができるが、強制的に抑える分、連続で使い続けたら体に負担がかかる可能性がある。
だが、幻術の力を借りることにより有幻覚を使用し、呪いを抑え込むことなく本来の力を一時的に戻すことができるからな。
日中も桜奈にオレを意識させることができるようになるだろ?」
「・・・・・・赤ん坊の姿してるくせに、段々遠慮なくなってきたな、リボーンも。」
「言っただろ。今まで距離を置いてきていた
これからはこっちの姿でも遠慮なく攻めていけるってな。だから、逃げてくれるなよ、桜奈。
まぁ、逃げようとしたらすぐに追いかけてとっ捕まえに行くけどな。」
「それ、逃がすつもりが全くと言っていい程にないってことじゃん。」
「今更だな。オレは狙った
ふっと不敵な笑みを浮かべながら、自分の意見を口にするリボーンに、わたしは苦笑いを思わずこぼす。
骸と言い、リボーンと言い、Dさんと言い・・・・・・わたしの周りは本当にグイグイと攻める時はしっかり攻めてくる人が多く集まってしまったものである。
─────・・・・・・こっちの世界で、まさかここまで大量の好意の前に晒されるようになるとは思いもよらなかったな。
でも、それらはわたしの空白に、次々と色を注ぎ続け、わたしの世界を色彩豊かなものへと変えてくれる。
その生活は、ひどく居心地が良いもので、もはやわたしは、これらを手放すことなどできなくなっていた。
─────・・・・・・この居心地の良さは、絶対に誰にも奪わせない。例え、どんな業火が襲いかかって来ようとも、全てわたしが振り払う。
そのためにはやっぱり、わたしはもっと強くならなくてはいけない。自分の居場所、居心地の良い場所を、あらゆる悪意から守るためにも。
「・・・・・・リボーンにも訓練をつけてもらえるなら、もっとわたしは強くなれるかな。」
「そうだな。それに関してはオレが保証してやる。だが、あまり強くなり過ぎてくれるなよ。オレだって愛してる女を守ってカッコつけてーからな。」
ちょっとだけ拗ねたような声音で、強くなり過ぎてほしくないと口にするリボーン。
その言葉にわたしは、何度か瞬きを繰り返す。
「ん〜・・・・・・それなら、せめてリボーンの隣に肩を並べられるくらいにはなりたいな。
そうすればわたしも大切な居場所を守れるし、リボーンもわたしを守るって望みを叶えれるでしょ?」
少しだけその言葉に対して考え込み、わたしはそれをリボーンに伝えた。
すると、リボーンがわたしの方に視線を向けては、驚いたような様子を見せた。
「・・・・・・たまにお前すごいこと言ってくるよな。」
「そう?」
「ああ。だが、悪くねーかもな、それも。オレとしては別にそこまで強くなってくれなくてもいいけどな。」
少しだけ無言になったリボーンは、すぐに軽く呆れたような、だけど確かな愛しさを含んだ優しい声音で、悪くないと口にする。
あまり強くなってほしくない・・・・・・と言う素直な本音も織り交ぜながら。
「何それ?わたしが強くなるの嫌なわけ?」
「嫌ってわけじゃねーぞ。ただ、オレと肩を並べるくらいなんて言われたら、こっちの出る幕がなさそうじゃねーか。」
「自分が強いの自覚あるもんね。」
「ああ。だからちと弱いくらいでもオレは構わねーんだけどな。」
軽く拗ねながら、強くなるなと言いたいのか聞けば、そう言うわけじゃないと返される。
ただ、リボーンと肩を並べるようになった場合、彼からしたら守る必要がなくなるようで、それがどちらかと言うと嫌だったらしい。
「わたしは守られてばっかは嫌かな〜・・・・・・。」
「ったく・・・・・・本当、桜奈は簡単に守らせてくれねーな。」
“そんな気の強いところもいいと思っちまうオレも、相当桜奈にやられてるけどな”、と肩をすくめながら言ってくるリボーンに、わたしは小さく笑い声を漏らす。
でも、こればかりは正直言って仕方ないのだ。確かにリボーンは強いし、守られるような人じゃない。それはわたしも理解している。
だけど、わたしにとってはリボーンの側も大切な居場所で、その居場所を奪われるようなことはしたくない。
だからこれは、ある種のわたしの自己満足だ。大切な人の側を守るためにも、奪われる確率を0に近づけたいと言う、自分自身のワガママだ。
「わたしは自分のワガママを通したいだけだよ。リボーンが強いのはわかってるし、万が一がほとんどないのもわかってる。
でもね、この居心地の良い大切な居場所を、わたしはこれから先も手放したくない。
だからわたしは、自分のワガママで強くなるの。自身の不安をなくすためにも、誰にも居場所を奪わせないためにも、可能性をゼロにしたいって望みを叶えるためにね。」
自身の考えを口にしながら、わたしはジョットさん達がいる場所へ向かって真っ直ぐと歩みを進めていく。
肩に乗っているリボーンの視線を感じ取りながら。
「わたしにとってリボーンの側は、すでに誰にも奪われたくない居場所なんだ。
わたしを大切にしてくれる人達の側も、誰にも奪われたくない大切な止まり木。
だから、強くなるんだよ。こっちの世界の“私”は、前世の“わたし”と比べ物にならないくらいに居場所ができてしまったから。
沢山の居場所を守るためにも、力をつけたいと思うのはおかしなこと?」
「・・・・・・いいや、ちっともおかしくねーぞ。」
「でしょ?だから力をつけないと。大切な居場所を手放さないためにもね。」
「そうだな。でも、無理はするなよ、桜奈。お前の大切な居場所は、オレも一緒になって守ってやる。だから、1人で強くなり過ぎるなよ。」
「・・・・・・うん。ちゃんとリボーンにも甘えるよ。まだ、ちょっと甘え方がわからないけど。」
「だからオレが一緒にいるんだ。しっかりと見張ってねーと、桜奈は甘えることをしないまま突っ走りやがるからな。
わからないならオレがいくらでも教えてやる。だから桜奈は学んでいったらいい。
まぁ、時に加減がわからなくなって、桜奈をこっちに転がり落とすかもしれねーがな。そうなったらオレがちゃんと責任は取ってやるぞ。」
「ちょっと・・・・・・いい感じに話まとまりそうな時にそう言う爆弾発言やめてよ。爆発物処理班じゃないんだから毎回被爆するじゃん。」
「爆発物処理班ってオレは爆弾魔か。」
「爆弾発言常習犯だもん。」
「どんな犯人だ。」
わたしの言葉にリボーンが楽しげに笑う。
いつものクールな笑い方じゃない、笑い声をハッキリと聞き取ることができる笑い声で。
息を吐くような笑い声が、喉を鳴らすような笑い声がデフォルトのはずなのに、わたしの言葉で声を出して笑っているリボーンの姿は、見ているだけで楽しくなる。
会ったばかりの時は、どことなく諦観している部分がある人だと思っていたけど、今の彼からはそれを感じ取ることができない。
「・・・・・・少しでも、リボーンがちゃんと未来を見ている証拠かな。」
「ん?どう言う意味だ?」
「別に。ただ、今のリボーンの方が人間らしいなって思っただけだよ。」
「おい。なんか失礼なこと言ってねーか?」
「そう?まぁいいじゃん別に。今のリボーンの方がわたしは好きだしね。」
「・・・・・・ったく、なんの話してんだお前は。」
「照れてる。」
「照れてねーぞ。」
拗ねたようにわたしの指摘を否定したリボーンに、わたしは小さく笑みをこぼす。
隠せてないのわかってるのかな。今のリボーン、耳が結構赤いのに。
「今日はどんな訓練になるのかな・・・・・・。」
「まぁ、考えられるとしたら、“死ぬ気の零地点突破”に進むために必要な死ぬ気のコントロールの訓練だろうな。
かなりの難易度のスパーリングになると思うぞ。プリーモファミリーも、そろそろ本腰を入れてくるだろうしな。」
「うっわ・・・・・・。まぁ、XANXUSさんに対処するなら、まずは彼の力をどれだけ封じるかになってきそうだもんね。」
「確かにな。まぁ、でも、
「だろうね。あの人、わたしに関してはかなり力を入れてくるから。」
「それだけお前をボスにしてーってことだろうな。何がそこまでアイツを突き動かすのかしらねーけど。」
“まぁ、十中八九、エレナさんとボンゴレが関係してると思うけど”・・・・・・なんてことを思いながら、わたしは屋敷の中央への扉を開ける。
同時に視界に入り込んだプリーモファミリーの7人を見て、すぐに頭を切り替えた。
さぁ、訓練はまだまだこれからだ。
沢田 奈月(小鳥遊 桜奈)
自身の居場所を守るためにも、力をつけたいと望む貝の女王。
彼女にとって、大切なヒットマンの側や、自身の世界を色付けてくれる大切なファミリーの側は、すでに誰にも奪われたくない宝物となっている。
リボーン
アルコバレーノの姿に戻っていたことに軽く落胆してしまった最強のヒットマン。
女王にとっての自分の側がどれ程の位置にあるのか教えられ、年甲斐もなく照れてしまうが、彼女の本心に軽く触れ、その口元を綻ばせる。
彼は望む、彼女の未来を。そして、彼女の隣にその身を置き、同じ未来を走り抜けることを。