最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 屋敷から移動し、たどり着いた争奪戦会場。
 しかし、肝心の嵐の少年は見当たらず、女王は首を傾げた。



嵐は遅れてやってくる

 リボーンからベルの余計なお節介の可能性を聞きながら、たどり着いたいつもの場所。

 そこにはすでに、武と了平さんの2人が待機しており、わたし達に気づくなり手を挙げて挨拶してきた。

 

「お待たせしました、武。了平さん。」

 

「おう!」

 

「うむ!待っていたぞ、奈月!」

 

 それぞれ挨拶を交わしながら、合流したわたし達。

 しかし、この場には明らかに人数が足りない状態だった。

 

「・・・・・・隼人は?」

 

「それが・・・・・・オレ達も一応待ってんだけどよ・・・・・・。」

 

「どう言うわけか、まだ姿を見せていないんだ。一体何をやっとるんだ獄寺は!!」

 

 嵐の守護者同士の対決であると言うのに、肝心の隼人がいなかった。

 武と了平さんも、まだ姿を見せていない隼人のことを気にしているようで、それぞれ表情を歪ませている。

 それを確認しながら、わたしはその場で一つ指を鳴らした。昨日と同じように、了平さんの怪我が治っていると言う現状を隠しておかなくては、治した方法を探られてしまいそうだから。

 Dさんもそれを把握しているのか、わたしの幻術の上にもう一つ幻術を重ねることでカモフラージュをしてくれている。

 純粋な術士の幻術は、本当に強力である。

 

「・・・・・・可能性として挙げられるとしたら、シャマルに止められている・・・・・・と言ったところか。

 アイツのことだからな。勝機のねー戦いに弟子を送り出すことはしねーはずだしな。」

 

「・・・・・・なるほどね。」

 

 そんなことを思っていると、リボーンが隼人が来ない理由を口にする。

 シャマル先生に止められている・・・・・・何かと命に深く関わることが多いあの人なら、確かにその可能性はありそうだ。

 まぁ、どうせ理由は適当に取ってつけたようなものを口にして、隼人からツッコまれたりしてるんだろうけど。

 

「お待ちしておりました、奈月様。」

 

 うーん・・・・・・とシャマル先生と隼人のことを考えていると、チェルベッロの声が聞こえてくる。

 すぐに声の方へと視線を向けてみれば、彼女は静かに頭を下げた。

 

「本日もご足労いただき、ありがとうございます。」

 

「此度の争奪戦は室内の方で行われます。こちらへ着いてきてください。」

 

「・・・・・・わかりました。」

 

 チェルベッロの言葉に静かに頷けば、彼女達は踵を返して建物の方へと歩き出す。

 隼人が来ていない中、今回の戦闘の場となっているところに足を運ぶのは少しばかり抵抗があるが、携帯電話を見たところ、開始の時間は刻一刻と迫っている。 

 このまま向こうにいかないと言うのもできるはずもなく、仕方なく室内へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ❀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お。やっほー、姫〜♪」

 

「・・・・・・フレンドリーに話しかけてくるなと何度も言っているはずですが?」

 

「王子と姫の仲じゃん。いちいち気にすんなって。」

 

 室内に足を運んでみれば、そこにはすでにヴァリアー陣営が待機していた。

 そう言えば、ここは確か、ヴァリアーが拠点にしているホテルからかなり離れた位置にあったはず・・・・・・。

 もしや、その影響もあってかなり早目に出てきているのだろうか・・・・・・。

 そんなことを思いながら、わたしは辺りを見渡す。XANXUSさんもレヴィ・ア・タンさんもいない・・・・・・となると、片方は安定の欠席で、もう片方はまだ目を覚ましていないのだろう。

 

「・・・・・・随分と少ないですね、そちらの方も。」

 

「そりゃあテメーの守護者共にルッスーリアもレヴィもやられたからなぁ。」

 

「ボスはいつも通りの欠席だよ。多分、今頃ホテルでゆっくりしてると思うよ。」

 

「そう言う姫のところも雲と霧がいねーじゃん。しかも、今回王子が相手になるはずの奴もいねーし。何やってんの?そっちの守護者。」

 

「準備中ですよ。隼人に限って、逃げることだけは絶対にありませんから。」

 

 “彼は私に対する忠誠心がかなり高いですしね”、とベルの質問に答えながら、わたしは自身の携帯電話へと視線を落とす。

 一応、彼には室内にいることを伝えるメールを送っているから、迷子になることはないだろう。

 

「ふぅん?まぁ、そっちの守護者の忠誠どうこうはどうでもいいけどさ。姫、そいつらにちゃんと話した?」

 

「何をですか?」

 

「ちゃんと教えたじゃん。こっちが勝った時のこと。まぁ、話してねーなら別にそれでもいいけどね。代わりに王子が教えてやるから。」

 

 口元に笑みを浮かべながら、ベルは武達に視線を向ける。

 そして、静かに口を開いた。

 

「今回の争奪戦で王子が勝ったら姫のこともらうから。こっちのボスも姫の実力は認めてるし、王子が勝ったら姫のこと好きにしていいって言われたんだよね。」

 

「「!!?」」

 

 ベルの言葉を聞き、武と了平さんが目を見開く中、ブワリと辺りに一瞬の強烈な殺気が広がる。

 その殺気の持ち主は、明らかにリボーンのもので、わたしは一瞬だけ驚いて彼の方に目を向けた。

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

 小さなベルの声が響く。

 よく見ると、ベルだけでなく、ヴァリアー側のほとんどが呆気に取られており、少しだけ顔を青くしているようだった。

 チェルベッロの様子もどことなくおかしく、わたしは何度か瞬きを繰り返す。

 

「・・・・・・ああ。悪いな。ちと耳障りな音が聞こえた気がして軽く力が入っちまったようだ。それで?争奪戦にお前が勝ったら・・・・・・なんだったか?ベルフェゴール。」

 

「「「っ・・・・・・・・・・」」」

 

 リボーンからの改めての問いかけに、ベルだけでなく、スクアーロさんとマーモンの2人までもが顔色を悪くする。

 呪いが解けていないリボーンならまだしも、呪いが解けている状態とさほど変わっていない状態であるリボーンの本気の殺気は、一瞬であっても彼らにとって、かなりの牽制になったようだ。

 

「・・・・・・どうした?何か言いたいことがあったんじゃねーのか?」

 

 対するリボーンはと言うと、口元に不敵な笑みを浮かべたまま、いつもの調子で彼らに話しかけている。

 だが、リボーンの問いかけにベル達は答える様子がなく、顔を青くしたまま彼を見つめるだけだった。

 それを見てリボーンは無言のまま視線をベルにしばらく向けたあと、スッと視線を静かに逸らしてわたしの頭を優しく撫でる。

 彼らがこれ以上何かを話すことはないと判断したのか、まるで先程のあれが最初からなかったかのような様子を見せていた。

 

『・・・・・・完全にキレてたな、リボーンの奴。』

 

『キレない方がおかしいものね・・・・・・』

 

『まぁ、ナツキの思考を完全に無視するような言葉だったし、当然と言えば当然でしょ。』

 

『そうでござるな。リボーンがキレなければ、D辺りが何かしでかす可能性もありましたから、ある意味助かったような気もするでござる。』

 

『究極に同意だな。Dも殺気だっていたし、何より、片手に大鎌を出現させている状態だったぞ。』

 

『・・・・・・まぁ、アルコバレーノが殺気だってくれたおかげで、少なからず冷静にはなれましたが・・・・・・それでもやはり、彼女をヴァリアーなどに奪われるわけにもいきませんし、多少なりとも嫌がらせはしたかったですね。』

 

『気持ちはわからなくもないが、やめておけ、D。オレ達のことは向こう側に知られるわけにもいかないし、何より、死者が生者であるナツキの側にいるなんて話が知れ渡ったら何が起こるかわからない。』

 

『・・・・・・それくらいわかっていますよ、プリーモ。ですが、やはり気に食わないですね、ヴァリアーの連中は。

 使える連中ではあるため、これまで特に何かする予定はありませんでしたし、ボンゴレを維持するためには必要であるため放置しておりましたが、余計な気を引き起こさないようにと多少なりとも手を加えて躾けた方が良かったですかね・・・・・・。』

 

 Dさんから何やら嫌な雰囲気を感じ取りながらも、リボーンに視線を向ければ、彼はわたしと目を合わせてくる。

 しばらくの間、わたしと目線を交えていた彼は、すぐに小さく笑ってわたしの頬を軽く撫でる。

 

「どうかしたのか、ナツ?」

 

「・・・・・・リボーンがキレたの初めて見たからびっくりしただけ。」

 

「ナツにキレることはねーからな。教えることはしっかり教えるし、身につけられるようにと多少なりとも厳しくすることくらいはあるかもしれねーが、キレる要素はどこにもねーだろ。」

 

「まぁ、確かに。銃を教えてもらった時とかかなり厳しかったよね。」

 

「当然だろ。銃は扱い方を間違えたら使用者の方が危ねーからな。あとは、狙った場所に的確に当たるようにしておかねーと、時には大きな隙になる。

 そう考えれば、厳しくするのは必然ってヤツだ。攻撃と防御、それと回避はしっかりバランス良く身につけておかねーと命がいくつあっても足りねーからな。」

 

「ん。知ってるよ。リボーンがそう言うつもりでわたしにしっかり教えてくれてることもわかってたし。

 だから、わたしもリボーンに教えられたことをしっかりと身につけられるように頑張った。」

 

「ああ。ずっと側で見ていたからな。ナツがどれだけ頑張っていたのか、オレが1番知ってる。」

 

 くすぐるように顔を撫でられ、思わず小さく笑い声を漏らす。

 くすぐってきているのはわかるけど、感じ取れるのはそれだけじゃない。

 くすぐったさの中に、混ざり込むようにして気持ち良さと心地良さが存在しており、それをもっと感じるように、スリっとリボーンの指にすり寄る。すると、リボーンの方から小さな笑い声が聞こえてきた。

 笑い声がリボーンのものであることはわかっているため、わたしは静かに視線を彼に向けてみると、その表情は先程まであった険しいものではなく、わたしにだけ向けてくれる穏やかなものへと変わっている。

 

「・・・・・・えーっと・・・・・・相変わらずナツとリボーンって仲良いよな。」

 

「極限に良いことではないか。」

 

「そうなんスけど、なんかちょっと複雑っつーか・・・・・・」

 

「?」

 

「いずれ了平も山本が言ってる気持ちがわかるようになると思うぞ。オレや、山本、獄寺やヒバリ・・・・・・今挙げた面子以外にもいると思うが、オレ達のように、たった1人の特別を見つけるようなことがあればな。」

 

 リボーンの言葉に、了平さんは不思議そうな様子を見せながらも小さく頷く。

 今はまだわからなくても、いずれはわかる未来があるかもしれないと言う言葉だけは理解しているようだ。

 そんなことを思いながら、わたしはリボーンにぴったりとくっつくように身を寄せる。

 すると、リボーンは身を寄せたわたしに視線を向け、しばらく見つめたあと穏やかに笑い、そのまま身を寄せるわたしの肩をそっと抱いてきた。

 肩に触れた慣れ親しんだ温もりを感じ取りながら、わたしは真っ直ぐとベルに視線を向ける。

 わたしがリボーンに身を寄せているからか、ベルはその表情を歪めていた。

 

 

 

 

            ❀

 

 

 

 

 ・・・・・・リボーンの殺気に当てられてから、黙り込んでしまったヴァリアー陣営。

 余計な言葉が紡がれない状況に少しだけホッとしながらも、リボーンに大人しく身を寄せながら、わたしは自身の手元にある携帯電話に視線を落とす。

 現在の時刻は22時50分。嵐の守護者同士の対決が行われる23時まで、あと10分を切った。

 

『ナツキ様。』

 

 さて、隼人は間に合うのだろうか・・・・・・そんなことを思っていると、足元から桜月の声が聞こえてきた。

 すぐに桜月に視線を向けると、今日は真っ白なリスに姿を変えていたらしい桜月が、わたしの体をよじ登り、肩の方までやってきた。

 

『ゴクデラ様がそろそろ到着いたします。決められた時間までに間に合いますよ。』

 

「・・・・・・わかった。ありがとう、桜月。」

 

『お役に立てて何よりにございます。』

 

 桜月と静かに言葉を交わしていると、マーモンがこちらへと視線を向けてきた。

 

「そのリスは・・・・・・」

 

「・・・・・・何か?」

 

「・・・・・・いや、何でもないよ。ただ、僕のファンタズマやリボーンのカメレオンと同様、かなり特殊な気配を持ち合わせていると思ってね。

 その子は、君のものだったりするのかい?君が猫を飼ってるのは知ってるけど、他にも飼っていたとか?」

 

 ・・・・・・どうやら、マーモンは桜月がただのリスじゃないことに気づいたようだ。

 少しだけ無言でそんなことを考えながら、わたしは桜月に視線を向ける。

 どこまでこの子のことを話すべきか・・・・・・。

 

『・・・・・・ある程度であれば話していただいても大丈夫でございます。そうですね・・・・・・他の皆様も様々な力を持ち合わせているペットを飼っていらっしゃいますので、わたくしのこともそのようなものであると伝えていただければと思います。』

 

「・・・・・・この子は、桜月と言いまして。1ヶ月程前にうちへと流れ着いた子です。

 リボーンに調べてもらったところ、アルコバレーノが連れているペットと同様の不思議な力が宿っているとのことでした。

 能力としては、人間と海の生き物以外ならばあらゆる生き物に姿を変えることができる力のようで、一般人では飼育が難しいそうです。

 そこで、マフィアに関連している可能性も考慮し、私が引き取ることしたのですよ。

 野生の方に離していたら、変な人間とかに捕まるかもしれませんしね。」

 

 変な人間と言う言葉を聞き、ベル達は少しだけ納得したような様子を見せた。

 一部を除き、あらゆる生き物へと姿を変えることができる生き物が、まともな人間以外に捕まった場合どうなるか予想できたのだろう。

 

「そうそう。どうやら、もうすぐ私の嵐の守護者が到着するようですよ。長らくお待たせいたしました。」

 

「「!?」」

 

「へぇ・・・・・・やっと来たんだ。」

 

「ええ。準備に手間取ったようですね。まぁ、勝率を上げるには必要なことでしょうし、わたし自身は何かを言うつもりはありませんけど。」

 

 そんなことを思いながら、わたしはもうすぐ隼人がここに来ることを伝える。

 それにより、武と了平さんの2人が勢いよくわたしの方へと視線を向け、ずっと黙っていたベルは静かに言葉を紡ぐ。

 準備に手間取ったらしいと口にしながらも、ベルと真っ直ぐ向き合っていると、建物内に隼人の気配が入り、こちらへと近づいてくるのを感じ取った。

 

「すみません、奈月さん。遅れました。」

 

「・・・・・・大丈夫ですよ。何かしらの準備を重ねてきたのであろうことは十分把握できていましたから。待っていましたよ、隼人。行けますね?」

 

「はい。獄寺隼人、いつでも行けます。」

 

 同時にわたしの元へとやって来た隼人に静かに声をかければ、彼は即座に行けると返してくる。

 そのことに小さく笑いながら隼人に視線を向ければ、彼は口元に笑みを浮かべて頷いた。

 さぁ、嵐の守護者同士の戦いを始めよう・・・・・・!!

 

 

 

 

 




 沢田 奈月
 周りに人がいようとも、度々リボーンに身を寄せる様子をちらほらと見せている貝の女王。
 ベルフェゴールの言葉にキレた様子を見せたリボーンにかなりびっくりしたが、自身を守ろうと行動を取るリボーンの姿に頼もしさと安心感を抱いている。

 リボーン
 ベルフェゴールの言葉にキレながら殺気を飛ばした最強のヒットマン。
 奈月を守るし奪わせないと言う宣言の通り、彼女を守るための防衛行動が度々見えるようになっている。
 自身に安心感を抱いている様子の奈月にはもちろん気づいているため、安心して自身に身を寄せてくる彼女の隣に必ず寄り添うように立っている。

 獄寺 隼人
 奈月から行けるかと問われ、すかさず行けることを告げた貝の女王の嵐の守護者。
 かなりの遅刻をかましてしまったが、彼女から十全な準備をしてきた証拠だと穏やかに微笑まれたため安心した様子がある。

 ベルフェゴール
 自身が勝った際に奈月がどうなるかを告げたところ、リボーンからとんでもない殺気をぶつけられてしまい、思わず息を詰まらせて黙り込んでしまったヴァリアーの嵐の守護者。
 奈月がリボーンに身を寄せて安心している様子を見て複雑な感情を抱く。

 D・スペード
 ベルフェゴールの言葉にこちらもまたキレていた始まりの霧。
 しかし、いつも通りの余裕を持ち合わせたまま、自分以上の殺気を放ってベルフェゴールに話しかけるリボーンを見て、少しだけ冷静になった。
 これまでは自身の理想の邪魔にならなかったため、ヴァリアーを放置していたが、現在の認識は完全に女王たる奈月の邪魔になっているため、躾けた方が良かったかと苛立ちを抱いている。

 プリーモファミリー
 リボーンとDがキレた様子を見て冷静になっていたが、正直言って彼らもベルフェゴールの言葉にキレていた。

 山本&了平
 ベルフェゴールの言葉にキレかけたが、真っ先にリボーンがキレた上、自分達に向けられたわけじゃないのに訓練によりわかるようになった強大なまでの殺気にかなり息を詰まらせていた女王の守護者達。

 スクアーロ&マーモン
 リボーンの殺気に息を詰まらせた上、体をこわばらせてしまったヴァリアー組。
 最強のヒットマンのガチギレ気味な殺気は流石に2人もやばかった。


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