最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 互いの嵐は遂にぶつかる。
 暴嵐に飲み込まれ膝をつくのはどちらなのか・・・・・・



VS. 嵐の守護者 Ⅰ

「何だ?今のガラスの音は。」

 

「!」

 

「・・・・・・まぁ、来るよな。」

 

『アルコバレーノ。とりあえずナツキのことお願いできます?』

 

「言われなくともナツはこっち側に寄せるつもりだ。」

 

 嵐の守護者戦がどのようなものであるかを説明され、周りが表情を曇らせる中、場違いな程のんびりとした声が聞こえてくる。

 その声と気配に覚えのあるわたしは、すぐに視線を声の方へと向けるが、呆れたような声音を漏らしたリボーンに肩を抱かれて端っこの方へと連れて行かれた。

 

「ケガ人はいねーか?」

 

 その瞬間、チェルベッロの背後にはいつの間に入り込んだのかシャマル先生が現れて、2人の胸元をガッツリと揉むと言うとんでも行動を見せる。

 いきなり現れたシャマル先生に、チェルベッロは反応が遅れたようで、一瞬だけ驚いた様子を見せたのち、2人揃ってシャマル先生の顔面に肘鉄をかましていた。

 かなりの力で殴られたからか、シャマル先生はそれなりに吹っ飛ばされ、壁に思い切り頭をぶつける。

 

「いや─────よかったよかった。その弾力は健康そのものだ。」

 

 ・・・・・・え?殴り飛ばされて鼻血出してんのに、何でこの人顔赤らめてんの怖・・・・・・。

 ドン引きしながらリボーンにくっついていると、リボーンはわたしの頭を優しく片手で撫でてきた。

 

「シャマル!!テメェ、何しに来やがった!!」

 

「「「!!」」」

 

 頭を撫でてくるリボーンの手に擦り寄っていると、不意に隼人がシャマル先生に声をかける。

 すると、隼人の言葉を聞いたヴァリアー・・・・・・モスカとか言うデカブツ以外の3人がその名前に反応を示した。

 

「・・・・・・トライデントシャマル。噂では、2世代前のヴァリアーにスカウトされ、それを断ったって話だけど・・・・・・」

 

「かなりの大物やってきたじゃん。姫の人脈マジヤバくね?」

 

「ディーノにコロネロにシャマル・・・・・・奈月が口にしていたリボーンを仲介にしたっつー連中がこいつらってことか。」

 

 ・・・・・・シャマル先生ってそんなにすごい人だったの?と軽く呆気に取られる。

 リボーンの知り合いだから、実力はかなり上だとは思っていたけど、まさか、ヴァリアーにスカウトされる程の人だったとは思いもよらなかったな。

 そんなことを思いながら、シャマル先生へと視線を戻す。

 

「いや、ほら、バリーンって音がしたからさぁ。怪我人はいねーかと思って駆けつけたのよ。お前の勝負の冷やかしも兼ねて・・・・・・な。」

 

「けっ・・・・・・」

 

 シャマル先生の言葉に悪態を吐きながらも、隼人は再びベルフェゴールと向き直る。

 それを見たシャマル先生は、肩をすくめたのち、こちら側に来るためか踵を返した・・・・・・が、すぐに彼の視線は、リボーンとリボーンにくっついて身を守ってる状態にあるわたしの方に向けられ、そのまま固まった。

 

「・・・・・・リボーン。お前、何で前までの姿してんだ?呪いは?」

 

「解けてねーぞ。ただ、解くためのヒントを会得したから、それが答えになるのかを絶賛お試し中だ。」

 

「マジかよ・・・・・・。つか、奈月ちゃんにギュッと抱きついてもらってるのズルくね!?奈月ちゃ〜ん!!そんな物騒な奴よりおじさんのとこおいで〜!!」

 

「は?嫌に決まってるでしょう、馬鹿なのですか?貴方のようなセクハラ親父に抱きつくくらいならば向こうにいるベルフェゴールに抱きつく方がマシです。

 寄ってきてもらいたいのであればご自身の行いをよく省みたらいかがですか?もしくは寝言は寝て言いなさいド変態。」

 

「アイツ姫に思っくそフラれてんじゃん。ウケる。」

 

「あんな行動を見せられたら、敵側に抱きつく方がマシって言いたくなる子もいると思うよ。特に奈月はセクハラなんかに敏感みたいだしね。」

 

「妥当な判断だよなぁ。まぁ、向こうはベルフェゴールの名を挙げちゃいるが、リボーンに抱きついたまんまだが。」

 

「そこら辺は仕方ないんじゃね?王子はこっち側なんだし。名前挙げられただけでもラッキーだって。

 それって姫は別に王子のこと嫌ってるわけじゃねーってことだもん。」

 

 随分とポジティブなことを言ってる様子のベルに視線を向けると、彼はわたしの視線に気づくなりヒラヒラと片手を振ってきた。

 その姿を見つめていると、不意に、彼の左耳につけられているイヤリングが視界に入り込む。

 

「ん?奈月ちゃん、右耳にイヤリングつけてるみてーだが、ベルフェゴールのと同じじゃねーか?」

 

「え?」

 

 あれ?ベルってイヤリングつけてたっけ?と一瞬だけ過った疑問。

 しかし、それはまさかの方角から解決することとなった。

 

「あ・・・・・・本当だ。ナツのイヤリング、あっちのヤツと同じモンだな。」

 

「うむ・・・・・・これは・・・・・・なんだろうか?極限によくわからん形をしているな・・・・・。」

 

 マジマジとわたしの右耳に目を向け、イヤリングの話を知ったいる武と了平さんに首を傾げる。

 すると、リボーンが静かにわたしの荷物の中にある手鏡を取り出し、イヤリングが揺れている右耳を映し込んだ。

 そこにはゆらゆらと揺らぐ不思議な形状のイヤリング。だが、どことなくそれには見覚えがあった。

 

「・・・・・・ベルが持ってた武器と、ティアラ?」

 

「大正解。よく見てんじゃん、姫。」

 

「!!」

 

 ポツリと呟いた言葉が聞こえたのか、ベルが小さく笑いながら正解だと口にする。

 驚いてベルの方へと目を向けてみると、彼は自身の左耳についているイヤリングを指で軽く突いて揺らした。

 

「それ、王子とおそろね。オーダーメイド品だから無くすなよ。」

 

「まさか、今日街に貴方がいたのは・・・・・・」

 

「そ。これをついでに取りに行ってた。本当はピアスが良かったけど、姫って穴開けてねーからイヤリングで代用した。

 男と女が片方ずつ耳にそう言うモンつける理由、時間がある時にでも調べてみなよ。」

 

 ベルの言葉に無言を返していると、リボーンがわたしの体を自身の背後へと匿う。

 驚いてリボーンを見上げると、彼は真っ直ぐとベルを見つめたまま、少しの苛立ちを表情に浮かべていた。

 

「・・・・・・なるほどな。奈月ちゃんも隅におけないねー。まさか、あちらさんまで惹きつけてるなんてさ。」

 

「・・・・・・自ら惹きつけたわけではありません。いつのまにか気に入られていただけです。」

 

 シャマル先生の言葉に言い返しながらも、わたしは自身の右耳につけられたイヤリングに触れる。

 片耳のピアスの意味・・・・・・それに関しての知識はあった。男性が左耳だけにピアスをつけている場合、その人には『()()()()()()()()()』を暗に示し、女性が右耳にピアスをつけている場合、『()()()()()()()()()()()()』を暗に示す。

 ・・・・・・ピアスではないが、同じデザインのイヤリングを片耳ずつ・・・・・・さらに言うと左右それぞれ話の通りにつけていると言うことは、きっと、意味合いはこれで間違いないのだろう。

 

 ─────・・・・・・姫のことが気に入ったし、姫のことが好きになったから。

 

 先程、わたしを心配して側に来ていたベルに言われた言葉を思い出し、わたしは少しだけ表情を歪める。

 こんな状況であっても、自身に向けられた確かな好意を、わたしは跳ね除けることができない。

 

「さてと・・・・・・じゃあ、始めようぜ?どうやら、多少なりとも今日の相手は楽しめそうだしさ。」

 

 口元に笑みを浮かべながら、楽しめそうだと口にするベル。

 隼人はそんなベルを睨みつけながらも、いつでも戦闘に入れるように体勢を整える。

 

「では、勝負の前にいつものやっておくか!!」

 

「はぁ!?」

 

「お、それいいっスね、先輩!」

 

「てめっ・・・・・・野球馬鹿!!何やる気になってやがんだ!!」

 

「・・・・・・CHAOSだな。」

 

「これまでないくらいにぴったりの言葉ですね・・・・・・」

 

 いざ勝負と言ったところで告げられた了平さんの言葉に、リボーンと一緒に呆れを見せる。

 いつものとか言ってるけど、ランボの時はやってないんだけど。

 

「バッカじゃねーのかお前ら!!オレの勝負に円陣とかいらねーよ暑苦しい!!」

 

 武と了平さんが口にした言葉の意味を瞬時に理解した隼人が全力で円陣を拒絶する。

 まぁ、そりゃそうなると肩をすくめたわたしは、自身も円陣は少しばかり恥ずかしいと思っていたため、別の案を考える。

 誰1人として欠けてほしくないし、ちゃんと生きて帰ってきてほしい。そんな望みを込めて、一つのエールを送るとしたら・・・・・・。

 

 ・・・・・・うん。これもかなり恥ずかしい。でも、これはきっと、わたしにしかできない。

 

「だったらこうしましょう。」

 

「へ?」

 

 少しだけ深く考え込み、ある行動を脳裏に思い浮かべたわたしは、リボーンから離れて隼人に近寄る。

 そして、不思議そうな表情を見せている隼人の肩に手を置き、そのまま彼の頬へと唇を触れさせる。

 

「!?な、ななな、な、奈月さん!?」

 

 唐突にわたしがキスをしてきたからか、隼人が戸惑いの声を漏らす。まぁ、思春期であり、なおかつわたしに確かな好意を向けてくれている隼人にとって、これはそれなりに刺激が強かっただろう。

 でも、わたしからできるエールと御呪いは、これくらいしかないから。

 

「・・・・・・必ず生きて戻ってきなさい。君は、わたしの大切な人の1人なのですから、決して、命を粗末にしてはなりません。そんなことをしたら、一生許しませんからね。

 君の代わりになる人間はこの世のどこを探してもいないのだと心得なさい。わたしのファミリーに、自身の命を蔑ろにするような人間は不要です。」

 

「!!」

 

 真っ直ぐと隼人の翡翠を見上げ、自身の命を粗末にするなと告げれば、彼は一瞬、驚いたように目を見開く。

 しかし、わたしの言葉に含まれている確かな想いを感じ取ってくれたのか、その表情はすぐに真剣な元へと変わり、彼は、その場で静かに頭を下げた。

 

「はい。奈月さんの仰せの通りに。」

 

 静かに告げられた言葉に小さく笑う。

 まるで、女王に命令された騎士のようだと少しだけ思いながら隼人から離れれば、彼は改めてベルと向き直った。

 自身と向き直った隼人を見たベルから僅かな苛立ちを感じ取る。あれは、一つの嫉妬心・・・・・・なのだろうか。

 

 そんなことを思いながら、静かに隼人の背中を押す。必ず戻ってくるようにと、行ってらっしゃいの思いを込めて。

 

「それでは、両者中央へ来てください。」

 

 わたし達のやりとりが終わるのを見計らい、チェルベッロが守護者は中央へと足を運ぶようにと指示を出す。

 それを聞いた隼人は、わたしの方を振り向いた。

 

「必ず戻ってきます。奈月さんを悲しませたくありませんから。」

 

「ええ。そうしてください。前も言ったように、君の想いを聞かされていると言うのに、答えを告げることができない遥か遠くの世界へと先に旅立たれてしまった・・・・・・なんてことになったら、折角見つけ出すことができた答えをどこに捨てたらいいのかわからなくなりますから。」

 

「・・・・・・そうですね。オレも、奈月さんの想いが聞けなくなるのは嫌なんで、ちゃんと命を守って帰ります。

 だって、もし、その答えが奈月さんの隣に右腕としても、特別な人間としても側にいていいって言葉だったら、オレも後悔ばかりが残ると思いますから。」

 

「・・・・・・その言葉、忘れないでくださいよ。」

 

「はい!!」

 

 少しだけ長く言葉を交わした隼人は、行ってきますと一言告げてフィールドの中央へと足を運ぶ。

 それを静かに見届けると、チェルベッロの1人がわたしの元にやってきた。

 

「先程よりは体調が落ち着いているように見えますが、継続してこちらで争奪戦を見守りますか?」

 

 ・・・・・・どうやら、先程のフラつき事件のこともあり、このまま争奪戦を見守るかどうかを聞きにきたようだ。

 ベルは、自分達のボスも来てないから、場合によってはこの場から離れることもありだと言っていたけど・・・・・・。

 

「ええ。私の大切な守護者が戦うと言うのに、1人だけ席を離れると言うのも気が引けますから。継続してこちらには残ることにします。」

 

「わかりました。では、こちらの方へどうぞ。すぐにお席を用意いたします。」

 

 チェルベッロに声をかけられるがままに、わたし達は3階の廊下の端の方へと移動させられる。

 そこには複数のモニターと一緒に、一つの椅子が用意されていた。見た目が完全に玉座のような感じだけど、これに座れと言うのだろうか。

 

「どうぞ、奈月様。お座りください。」

 

 ・・・・・・こちらの予想は大当たりだったらしい。一体、誰がこんなものを用意したのやら。

 

 色々な疑問を抱きながらも、わたしは用意された椅子に腰をかける。

 使われている素材が明らかに上質なものな上、かなり座り心地が良く、ますます困惑してしまった。

 なんでこんなことに・・・・・・と溜め息を吐きたくなっていると、リボーンとDさんが完全に女王や王様を守る騎士のように、すぐ側に身を置いた。

 

「姫、完全に女王じゃん。しかも様になってるし。」

 

「楽しげに笑わないでいただけますか?ベルフェゴール。こちらはかなり困惑しているのですから。」

 

 軽く表情を引き攣らせながら座ったからか、ベルから楽しげな声音で軽くヤジを投げられる。

 そのことに笑うな返しながら、目の前にあるモニターへと視線を向けた。

 

「今回のフィールドは広大なため、各部屋に取り付けたカメラで3階端の観覧席にて勝負の中継を行います。」

 

「それでは、嵐のリング、ベルフェゴールVS.獄寺隼人。勝負(バトル)開始!!」

 

 辺りに響くチェルベッロの声に、周りの空気は張り詰める。

 嵐の守護者同士の衝突の火蓋が切られた。

 

 

 




 沢田 奈月
 一定のプラス感情を抱いている対象からの好意には強く返すことができない貝の女王。しかし、セクハラはノーサンキュー。
 片耳にピアスをつける意味を知っていたが、それを与えてきた存在がベルであることに表情を曇らせる。

 リボーン
 奈月にイヤリングを与え、その意味を告げるベルフェゴールに明確な苛立ちを向けていた最強ヒットマン。
 彼女が自身に向けられる愛情を強く跳ね除けることができないことを知っているため、少しでも彼女を守るためにも、強い警戒を見せる。

 獄寺 隼人
 キスをされるとは思わず、顔を赤らめてしまった貝の女王の嵐の守護者。
 しかし、彼女から告げられた、必ず生きて戻れと言う言葉にすぐに頭を切り替え、その命令を拝命する。

 ベルフェゴール
 明確な苛立ちを見せるリボーンのことも、奈月にキスをされた獄寺のことも気に食わない憤怒の王の嵐の守護者。
 自分の左耳にイヤリングをつけたのも、その片割れを奈月の右耳につけたのも、彼が抱いている明確な好意からのものである。
 争奪戦が終わったら互いの耳にピアス穴開けるのもありかと考えているのだが、それは彼だけの胸に仕舞ってある。

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