最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
しかし、リングを女王の嵐が憤怒の嵐より取ろうとしたら・・・・・・?
爆発による黒煙が収まり、静寂が広がる中、隼人が一息つく。
そして、自身がいる場所にあるカメラに視線を向けた。
「終わったぜ。」
それは、チェルベッロに対する終幕を知らせる言葉だった。
相手は動けなくなっていると言うことから、自身が買ったのは確定的であることをおもってのものだろう。
しかし、チェルベッロがそれに頷くかと言われたら、否としか言いようがない。
「いいえ。完成した嵐のリングを所持するまで勝利と認められません。」
「2つのリングを手にし、嵐のリングを完成させてください。」
・・・・・・予想通り、チェルベッロは相手が戦闘不能だからと言って、勝利を認めることはなかった。
完成したリングを手に入れること、それが、勝利の条件であると冷たく突き放す。
隼人はその言葉に表情を心底歪めながらも、フラフラになりながらベルに近づく。
すると、彼が一瞬だけ膝から崩れ落ちそうになっていた。
どうやら、相当な出血量の影響で、力が入りにくくなっているらしい。
「ったく、普段ならその程度の出血でフラつくなって言ってたところだが、今回はこっちの方が正解だな。
早くリング掻っ払ってこっちに戻って来い、隼人。レディーを悲しませたりすんじゃねーぞ。」
《んな!?それくらいわかってるっつーの!!》
シャマル先生がフラつく隼人に声をかける。
すると、彼の言葉に反応した隼人が噛み付くように言葉を紡いだのち、ゆっくりと歩みを進める。
それを見守りながら、わたしは少しだけ嫌な予感を覚える。隼人は確かに戻って来てくれる・・・・・・戻って来てくれることはわかるけど、何か、無茶をしてしまうのではないかと言う予感があったのだ。
「・・・・・・隼人。君には事前に伝えておりますが、念のためにもう一度言います。
決して、自らの命を蔑ろにすることなく戻って来てください。もし、何があっても必ず自分の命を優先しないと駄目ですよ。
私は、自分のファミリーに命を無駄に使うような人間を居座らせるつもりはありません。
そのようなことをしても、早死にするだけですからね。私を守ると言うのであれば、自殺にも等しい行動は慎み、私の側にいることを優先しなさい。」
少しだけ考え込んだのち、わたしは隼人に命令を下す。
何かあったら、まずは自分の命を優先すること・・・・・・そして、わたしを守ると言うのであれば、自殺に等しい無鉄砲な行動ではなく、側にいて守ることを優先することを伝える言葉だ。
《!・・・・・・はい。わかりました、奈月さん。何かあったら貴女の元に戻ることを優先します。》
「・・・・・・聞き入れてくれてありがとうございます。その約束、決して違えないでくださいよ。」
隼人から告げられ返事にようやく安堵の息を吐く。必ず命を優先戻れと言葉に承諾の言葉を口にしてくれたおかげで、嫌な予感は消え去った。
完全に消えたわけではないが、それでも、さっきよりはマシだと言える。
そう思いながら、わたしは目の前で無機質に景色を映すモニターをジッと見つめる。
隼人は歩みを進め、ベルの元へと辿り着いた。彼が本当に意識を失っているかどうか・・・・・・それを確かめるように少しだけ見つめたのち、その場で深く息を吐く。
《・・・・・・バカ面晒しやがって・・・・・・。まぁ、オレもこんなボロボロじゃ、奈月さんに申し聞は立たねーけどな。
・・・・・・お前の言う通り、今のオレは確かによえー。このままじゃ、奈月さんに負担をかけるだけだってのも理解してるさ。
奈月さんはオレが思っているよりもずっと強くて、周りを守る大きな力を持っている。
だからこそこっちが足枷になって、奈月さんに迷惑をかける可能性だって沢山あるし、そっちの指摘は痛い程に突き刺さって否定することもできねー。》
しかし、すぐにその瞳には強い光を宿し、静かに語りかけるように、そして、力強い意志を宿した表情をしながらその場にしゃがみ込む。
未だに動かないベルを見つめ、彼は真剣な声音で言葉を紡いだ。
《今すぐに訂正しろとは言わねーよ。だが、これだけは言わせてもらうぜ。
・・・・・・オレは、これからもっと強くなる。奈月さんを超えるなんて大層なことを言うつもりはねーが、奈月さんを支えられるくらいには力をつけて、側で守れと言ってくれた奈月さんを守り抜く。
奈月さんの右腕として、奈月さんを強く想っている1人の男として、その側で肩を並べて、奈月さんの負担を軽くするためにも。
だから、訂正する準備をしとけ。もう二度と、奈月さんが可哀想だなんてふざけたことは言わせねー・・・・・・!!》
自身の決意を表明するように、力強く言葉を紡いだ隼人は、気絶するベルの胸元にある指輪を掴む。
このまま指輪を取り、隼人が持つ片割れと合わせれば彼の勝利・・・・・・だが、どうやら、今回は一筋縄にはいかないらしい。
「勝つのオレっ!!」
「!?てめえっ!!」
隼人が指輪を掴み、それを取り上げようとした瞬間、気絶したはずのベルが腕を伸ばし、隼人の首に下がってる指輪を掴みかかったのだ。
まさかの事態に驚いた隼人は、すかさず指輪を取られたいとベルのことを殴り、自身から引き離そうとしているが、指輪に対する執念がベルを突き動かしているのか、隼人を掴んだままのけぞるだけで、離れる様子がない。
「リング!!」
「くそっ!!離しやが・・・・・・どわ!?」
それでもなお隼人は抵抗を見せるが、ベルは隼人から指輪を奪わんとその体を床に引きずり倒し、指輪から手を離さない。
掴みかかって、引き離そうとして、2人して瓦礫の中もつれ込む。モニター越しでもわかる程に、隼人は疲労している様子もある。
出血多量のせいで体力が落ちているのだろう。わたしの中に芽生えていた残りの嫌な予感は、どうやらこの現状を指し示すものだったらしい。
「・・・・・・・・・そろそろ。」
「・・・・・・・・・。」
リングと言う言葉しか口にしていないベルに、離れろと殴る蹴るの抵抗を見せる隼人。
切羽詰まった状況である現状に、追い打ちをかけるかのようにチェルベッロが口を開く。
「まもなく約束の時間です。」
無機質に告げられた言葉と同時に、遠くの方で大きな爆発音が響く。
あまりにも大きく、まるで軽い地震でも起こったのではないかと思ってしまう程の音に、わたし達は勢いよく顔を上げた。
「お話しした通り、勝負開始から15分が経過しましたので、ハリケーンタービンの爆破が順次開始されました。
図書室の推定爆破時刻はおよそ1分後です。なお、観覧席には爆破は及びません。」
淡々とした説明の中、次々と聞こえてくる爆発の音に、わずかな焦燥が顔を覗かす。
Dさんとのリンクがあったとしても、突きつけられた非道の現実は、わたしの感情を抑え切ることができない。
「このままじゃ獄寺が敵諸共死んじまうぞ!?」
「何をしている獄寺!!急いでこっちに戻らんか!!」
《るせー!!こっちらだって早く戻るためにやることやってんだよ!!ぐあ!?》
ベルを引き離そうとして、体を動かすたびに、隼人の体力が明らかに消耗されているのがわかる。
このままもつれあいが続いたら、間違いなく戻るまでの体力が失われて、隼人の命が危ない。
そんな焦りを誘発させるかのように、チェルベッロが15秒経過したことを知らせる。
残された猶予は45秒。指輪と勝利に執着している状態のベルを自身から離し、この時間でこっちに戻るためには・・・・・・!!
「やむを得んな。隼人!!リングをベルフェゴールに渡して引き上げろ!!」
《!!!?》
今出すべき指示を口にしようとした瞬間、わたしより先にシャマル先生が隼人に指輪を手放すように告げた。
シャマル先生からそのような言葉を言われるとは思わなかったのか、隼人は驚いたような表情をして、今いる場所のカメラに視線を向ける。
「奈月ちゃんを側で守るんだろ!?だったらこんなところでくたばるようなバカげた結末を作り上げるんじゃねー!!戻れ!!」
《でも・・・・・・っ》
「でもじゃねーよ!!オレは言ったよな?レディーを悲しませんなって!!お前は奈月ちゃんから側にいろって言われたんだぞ!!?奈月ちゃんが求めてんのはそこのいかれたバカでもなけりゃリングでもねー!!それくらいお前にだってわかってるだろ!?」
《っ・・・・・・!!》
隼人の瞳に迷いが揺らぐ。指輪を手放すべきだと理解していながらも、守護者として、わたしの周りを固めるための証として、与えられることになっている指輪を手放せない状態に陥っているのが理解できた。
きっと、隼人は自分がやってることが間違いであると気づいている。でも、変に負けず嫌いで頑固なところがあるせいで、ベル程ではないが、指輪に対する執着が芽生えているのだろう。
・・・・・・多分、晴れの守護者と雷の守護者・・・・・・この2柱の守護者が勝ったことも、彼に迷いを生じさせている原因だ。
右腕になること、わたしの役に必ず立つこと、それはきっと、隼人の高いプライドを形成する要因としてまとわりつき、逃げると言う選択肢を選ばせることに対する躊躇いを抱かせている。
ならば、今のわたしにできることは一つだけ。指輪よりももっと大切なものを取り戻すことだけだ。
「・・・・・・隼人!!
《!?奈月さん!?》
「こちらにはまだ一つ分の余裕がある!!ベルフェゴールは完全に理性を失い、執着の塊へと変貌しています!!
確かにリングは大切なものですが、それ以上に大切なものがあると言ったはずでしょう!?私は命を取れと命じたはずです!!リングに無駄に執着するくらいならば!!私の元に帰り、生きることに執着しなさい!!
あなたは、私の答えを聞く前に、遥か遠くへと走り去る気ですか!!?」
《・・・・・・・・・!!》
怒鳴りつけるように隼人に命令すれば、彼はハッとしたような様子を見せ、少しだけ黙り込む。
しかし、すぐに決意したような表情を見せては、自身の首にかかっていた指輪をベルに投げつけた。
同時に彼はその場から走り去り、真っ直ぐとこちらへと移動する。隼人の気配を感じ取りながら、爆発の音を聞き続ける。
嫌な汗が流れてならないが、隼人は確実にこちらへと近づいていた。
薄暗い室内の中、三階に広がる廊下に目を凝らす。すると、少しずつ銀色の髪を靡かせる隼人の姿が見えてきた。
「獄寺!!こっちだ早く!!」
「急げ!!」
「っ・・・・・・わかってるっつーの!!!」
痛みに表情を歪めながらも、廊下を走り抜ける隼人。
あと少しでこちらに届く・・・・・・それくらい近い距離にまで彼が来た瞬間、まるで、それを見計らったかのように隼人の背後でタービンの爆発が起こった。
「ぐあ!!?」
隼人がバランスを崩し、強烈な爆風により飛ばされて来る。
床に転倒したかと思えば、ゴロゴロとこちら側に転がってきたため、びっくりして隼人に駆け寄れば、彼はよろよろとフラつきながら立ち上がった。
「・・・・・・獄寺隼人、ただいま戻りました。すみません、奈月さん。オレがもっと早くアイツからリング奪っとけば・・・・・・」
申し訳なさそうに言葉を口にする隼人に、わたしは静かに首を左右に振る。
わたしにとって、継承の証になる指輪は正直言って二の次だ。まずは、わたしについてこようとしてくれているファミリーの命が助かること、ファミリーの命を取りこぼさないことが何よりもわたしの大事なことなのだから。
「そんな顔をしないでください。最後の最後で、命を取ってくださりありがとうございます。」
小さく笑いかけながら、隼人に謝罪をしないでほしいことや、命を取ってくれたことへの感謝を告げれば、彼は小さく笑って頷いた。
「奈月さんが、オレに側にいてほしいと言ってくれたからこそ、命を取ることができたんです。
それに、折角、あんな小っ恥ずかしい告白じみたことを言ったくせに、答えも聞かずに死ぬなんてできませんよ。」
少しだけ恥ずかしげに言葉を紡ぐ隼人に、一瞬だけ首を傾げる。
しかし、彼がベルに言った、なかなか大胆過ぎる発言を思い出し、ああ、と思わず納得する。
「そう言えば言ってましたね。私を強く想う1人の男として、隣に並んで私を守り抜くと。」
「ゔ・・・・・・掘り返さないでください・・・・・・。恥ずかしいんで・・・・・・」
わたしの指摘を聞き、隼人が気まずそうに視線を逸らした。
彼の耳がほんのり赤くなっている。恥ずかしいと言う言葉は事実のようだ。
「・・・・・・随分と大胆にナツに告白してくれやがったな、獄寺。」
「い゛!?リ、リボーンさん・・・・・・?」
そんな中、リボーンが口を開き、大胆な告白をした隼人に声をかける。
どことなく彼の声音にはわずかな苛立ちが混ざっており、その目からはナツと良い感じになってんじゃねーぞと言わんばかりの光が揺らいでいた。
「ナツを支えるくらいに強くなるって言ったな。それなら争奪戦が終わった後にでもみっちりお前に訓練をつけてやるぞ。
ナツを守るんだろ?その隣で。だったらナツに追いつけるくらいには強くならねーとな。」
・・・・・・完全なる八つ当たりである。ただでさえリボーンはディーノさんや骸、恭弥さんやDさんと言った感じに恋敵を抱えている状態であるためか、隼人までそこに乱入して来たことに軽くムカついてしまったようだ。
わたしに側にいろと言われた人間であることも関わっているかもしれない。そうじゃないと思いたいが、リボーンの想いを考えると、そうじゃない方がありえないような気がしてならない。
「やれやれ・・・・・・ヒヤヒヤさせやがるぜ全く・・・・・・。だが、ちゃんとレディーを泣かせねー男にはなれたようだな、隼人。」
「うっせーぞシャマル!!」
「そうつんけんすんなって。褒めてんだからよ。」
そんな空気を破るようにして、シャマル先生が口を開いた。
冷やかすように言葉を紡いだシャマル先生に、苛立った様子で隼人が噛み付く。
しかし、シャマル先生は突っかかる隼人に慣れているようで、ヘラヘラとただ笑っていた。
笑うシャマル先生に、ムスッとした表情を見せる隼人。しかし、すぐに彼は武に視線を向け、その名前を静かに呼んだ。
「・・・・・・あとは任せたからな。本当は、オレも奈月さんのために勝ちたかったが、どうも力不足だったみてーだ。
お前があのロン毛にどんだけ太刀打ちできるかはわからねーが、無茶をしねー程度に足掻いてこい。」
武が自分の声に反応したことを確認した隼人が、静かな声音で彼に対するエールを口にする。
まさか、いつも自分に突っかかってくる隼人が自分にそんな言葉を告げてくるとは思わなかったのか、武は一瞬驚いたような表情を見せた。
しかし、すぐにその口元に頼もしい笑みを浮かべ、力強く頷いた。
沢田 奈月
嵐の守護者同士の対決を最後まで見届けた貝の女王。
ベルに対して思うところはあるが、自身についてこようとしている獄寺を側に置くことを決めているため、リングをベルに渡して戻ってくるように命じる。
ベルと獄寺を天秤にかけらた場合、迷うことなく獄寺を優先する。
獄寺 隼人
もつれ合いのリングの取り合いになったが、奈月との約束を選び取り、リングをベルに投げつけて撤退した女王の嵐の守護者。
訓練をつけてもらえるのはありがたいと思っているが、それはそれとして、明らかに鋭い感情をリボーンに向けられたことはわかっているため冷や汗を流す。
山本 武
撤退した獄寺に託される形で、奈月に勝利を掴ませることを約束した女王の雨の守護者。
まさか、獄寺からそんなエールを受け取ることになるとは思わなかった。
リボーン
獄寺の大胆告白に軽くイラッとしたので、訓練ついでに厳しいちょっかいを出すことにした最強ヒットマン。
強くはしてやるさ。強くはな。だが、訓練が厳しくなっても別に構わねーよな?強くなるのは決まってるからな。
Dr.シャマル
リボーンの嫉妬に内心ドン引きしていた元殺し屋の医者。
あー・・・・・・隼人、がんばれ。
笹川 了平
勝ったことは極限に嬉しいが、こいつらは何の話をしておるのだ?
ベルフェゴール
戦闘不能にまで追い詰められたが、リングだけは意地で入手することができた憤怒の王の嵐の守護者。
後日、目を覚ましてリングが手に入ったことに喜ぶが、マーモンから試合には勝ったけど勝負には負けてるよと冷静にツッコまれることになる。